JP2006124864A - 印刷用塗工紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ドクターブレード1の表面硬化部3でのビッカース硬さを1000〜1700Hvとする。さらに、表面硬化部3に2つの屈曲部4b、4cを設けるとともに、2番目以降の屈曲部4cでの屈曲角度のトータル角度を15〜30°とする。
【選択図】 図1
Description
ところが、上記のような従来方法では、塗工速度の高速化などによる塗工紙の生産性の向上及び塗工面感の向上の両立を図ることは困難であった。具体的には、塗工速度を1200m/分以上の高速塗工を行った場合、ことに12g/m2以上に塗工量を増加させた場合に、光沢むらの発生を十分に抑えることができずに、塗工面感を向上できないことがあった。
前記表面硬化部でのビッカース硬さを1000〜1700Hvとするとともに、この表面硬化部に屈曲部を2箇所以上設け、かつ当該表面硬化部の最先端箇所から2番目以降の屈曲部での屈曲角度のトータル角度を15〜30°としたことを特徴とするものである。
また、上記表面硬化部でのビッカース硬さを1000Hvよりも小さくした場合には、塗工速度等によっては摩耗が表面硬化部に生じ易くなり、ドクターブレードの寿命低下を招くことがある。一方、ビッカース硬さを1700Hvよりも大きくした場合には、屈曲部を形成し難くなって、表面硬化部、ひいてはドクターブレードの形成に時間及び手間を要したり、コストアップを招いたりすることがある。
この場合、表面硬化部の耐摩耗性を十分に確保しつつ、その靱性を高めることができるとともに、上記屈曲部による塗工面感の向上効果を容易に得ることが可能となる。すなわち、タングステンは耐摩耗性に優れた素材であり、表面硬化部、ひいてはドクターブレードの長寿命化を容易に図ることができる。また、タングステンはその粒子が細かいことから、良好な塗工面感を容易に得ることができるとともに、表面硬化部に摩耗が生じたときでも、塗工面感が悪化するのを極力抑えることができる。
この場合、塗工速度を高速化したときなどでも、塗工液の濃度及び粘度を適切なものとして、塗工速度の高速化などによる塗工紙の生産性向上を阻害することがない。尚、塗工液の固形分濃度を50重量%よりも低くした場合には、塗工効率が低下することがある。一方、72重量%よりも高い固形分濃度とした場合には、表面硬化部を比較的硬くしたときでも、当該硬化部での摩耗が進行し易くなって塗工速度などを上げ難くなる場合がある。また、上記せん断速度でのキャピラリー粘度を70mPa・sよりも大きくした場合にも、表面硬化部を比較的硬くしたときでも、当該硬化部での摩耗が進行し易くなって塗工速度などを上げ難くなる場合がある。
この場合、塗工速度を高速化したときなどでも、表面硬化部での適切な耐摩耗性を確保することができ、しかも上記屈曲部の形成が比較的容易でコストパフォーマンスに優れたドクターブレードにより、塗工面感を高めることができる。尚、上記表面硬化部でのビッカース硬さを1500Hvよりも大きくした場合には、当該表面硬化部の材質などによっては、上記屈曲部の形成を比較的行い難くなったり、ドクターブレードのなじみが低下して塗工層の厚みに不均一が生じたりすることがある。また、ビッカース硬さを1200Hv未満としたときには、塗工速度を高速化したときなどに表面硬化部の摩耗によるドクターブレードの寿命低下を生じ易くなる。
この場合、全顔料100重量部に対して20重量部以上の重質炭酸カルシウムが含まれているので、塗工紙での白色度等の品質向上を図ることができる。また、塗工速度を高速化したときなどでも、上記重質炭酸カルシウムの平均粒子径及び上記重量割合を適切なものとして、塗工速度の高速化などによる塗工紙の生産性向上を阻害することがない。尚、重質炭酸カルシウムを20重量部より少なくすると、白色度が不足することがある。また、重質炭酸カルシウムの平均粒子径を0.3μmよりも小さくした場合には、その粒子が再凝集し易くなって当該炭酸カルシウムによる白色度等の塗工品質の改善効果が低下することがある。一方、平均粒子径を2.0μmよりも大きくした場合には、塗工品質の改善効果が小さくなったり、表面硬化部を比較的硬くしたときでも、当該硬化部での摩耗が進行し易くなって塗工速度などを上げ難くなる場合がある。また、2.0μmよりも大きい粒子径の粒子の重量割合を10%よりも大きくした場合には、表面硬化部を比較的硬くしたときでも、その硬化部での摩耗が進行し易くなって塗工速度などを上げ難くなる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷用塗工紙の製造方法でのドクターブレードの要部構成を示す側面図である。図1において、本実施形態のドクターブレード1は、同図に斜線部にて示す母材2と、この母材2上に設けられた表面硬化部3を備えている。また、このドクターブレード1は、図示の側面形状で紙面の垂直方向に延ばされており、図の左端部(自由端部)側が変形するのを許容された状態で図の右端部側が図示を省略したブレードコーターのクランプにて固定されている。また、ドクターブレード1は、バッキングロール上で当該ロール回転によって図に二点鎖線の矢印方向に走行する紙基材(原紙)に対向して配置されるようになっている(図示せず)。そして、ドクターブレード1では、塗工液が塗被された上記紙基材に、表面硬化部3が接触することにより、塗工液の固形分の付着量が片面当たり5〜20g/m2になるよう紙基材上の塗工量が調節され、平滑な塗工面が形成された印刷用塗工紙が製造される。また、ドクターブレード1は、表面硬化部3の紙基材との接触圧(ブレード線圧)を制御可能に上記ブレードコーターに取り付けられており、このブレード線圧を調節することで塗工量を容易に変更できるようになっている。尚、紙基材は特に限定されるものではなく、KP等の化学パルプやPGW等の機械パルプ、古紙パルプやケナフ等の非木材パルプを単独又は二種以上を配合した各種の紙基材に対し、本発明の製造方法では、最適な塗工工程を実施できるようになっている。
また、上記ベベル面4には、ドクターブレード1の自由端側から固定端側に向かって、その最先端箇所である端部4a、及び2箇所の屈曲部4bと屈曲部4cと順次設けられており、当該ベベル面4は二つの傾斜面4d、4eを備えた二段形状に構成されている。つまり、ベベル面4では、上記プラズマ溶射法によって母材2上に形成した表面硬化部3の先端部に対して、研削加工を実施することにより、傾斜面4dが端部4aと屈曲部4bとの間に形成され、傾斜面4eが屈曲部4bと屈曲部4cとの間に形成されている。さらに、このベベル面4では、図左端の最先端箇所側から2番目以降の屈曲部4cでの屈曲角度のトータル角度が15°〜30°の範囲内に設定されており、当該ベベル面4では、塗工量を12g/m2以上に増加させ、かつ1200m/分以上の高速塗工を行う場合でも、紙基材と少なくとも傾斜面4d、4eとの間に適切な塗工液の液溜まりを形成して塗工面感を向上できるようになっている。
また、2番目の上記屈曲部4cでは、図1に“θ2”にて示すように、その屈曲角度は当該屈曲部4c前後での傾斜面4eと上面3aとの相対的な角度にて規定されており、具体的な屈曲角度θ2は上記トータル角度範囲内の例えば20°に設定されている。尚、図にS1及びS2にてそれぞれ示す傾斜面4d及び4eの具体的な寸法は、0.5mm及び0.4mmである。
また、上記トータル角度は、塗工量が減少するにつれて、大きい角度に変更されるようになっており、ベベル面4では、塗工量に応じて液溜まりを適切に形成できるようになっている。
また、表面硬化部3のビッカース硬さを1000〜1700Hvとして当該表面硬化部3に適切な耐摩耗性を与えているので、摩耗の発生を抑えることが可能となり、塗工液の過剰分のかき落とし不良の発生も極力抑えることができる。
一方、トータル角度を30°よりも大きくした場合には、塗工速度、塗工量、塗工液の濃度や粘度等によっては液溜まりが大きくなり塗工面感を向上できないことがある。
一方、ビッカース硬さを1500Hvよりも大きくした場合には、表面硬化部3の材質や形成方法あるいは屈曲角度などによっては屈曲部4b、4c及び傾斜面4d、4eの形成が比較的難しくなったり、ドクターブレード1のなじみが低下して塗工層の厚みに不均一が生じたりすることがあり、ドクターブレード1のコストパフォーマンスの低下を招くことがある。また、1700Hvよりも大きくした場合には、表面硬化部3の材質や形成方法あるいは屈曲角度などによっては屈曲部4b、4c及び傾斜面4d、4eを形成し難くなって、表面硬化部3ひいてはドクターブレード1の形成に時間及び手間を要して大幅なコストアップを招いたりすることがある。
具体的には、顔料には、全顔料100重量部に対して20重量部以上の重質炭酸カルシウムが含まれており、塗工紙での白色度、光沢度、不透明度、インク受理性など品質向上が図られている。尚、全顔料100重量部に対して、炭酸カルシウムを20重量部より少なくすると、白色度が不足することがある。また、顔料を全て重質炭酸カルシウムとしてもよいし、クレー、カオリン、タルク、シリカ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機顔料や、プラスチックピグメント等の有機顔料等の他の顔料と炭酸カルシウムとを混在させてもよい。
尚、塗工液の固形分濃度を50重量%よりも低くした場合には、塗工効率が低下することがある。一方、72重量%よりも高い固形分濃度とした場合には、表面硬化部3を比較的硬くしたときでも、当該表面硬化部3での摩耗が進行し易くなって塗工速度を上げ難くなったり、塗工量を減少し難くなったりする場合がある。
また、上記せん断速度でのキャピラリー粘度を70mPa・sよりも大きくした場合にも、表面硬化部3を比較的硬くしたときでも、当該表面硬化部3での摩耗が進行し易くなって塗工速度の高速化を行い難くなる場合がある。
尚、重質炭酸カルシウムの平均粒子径を0.3μmよりも小さくした場合には、その粒子が再凝集し易くなって当該炭酸カルシウムによる白色度等の塗工品質の改善効果が低下することがある。一方、平均粒子径を2.0μmよりも大きくした場合には、塗工品質の改善効果が小さくなったり、表面硬化部3を比較的硬くしたときでも、当該表面硬化部3での摩耗が進行し易くなって塗工速度を上げ難くなったり、塗工量を減少し難くなったりする場合がある。
また、2.0μmよりも大きい粒子径の粒子の重量割合を10%よりも大きくした場合には、表面硬化部3を比較的硬くしたときでも、その表面硬化部3での摩耗が進行し易くなって塗工速度の高速化などを行い難くなる場合がある。尚、上記平均粒子径及び重量割合は、例えばセディグラフ5100 V3.07を用いて測定することができる。
以下、本発明の発明者が実施した検証試験の試験結果例について、具体的に説明する。
この検証試験では、表1に示す本発明品相当の実施例1〜8と、表2に示す従来品相当の比較例1〜8を用意した。また、各実施例1〜8では、図1に例示した2つの屈曲部4b、4cを設けるとともに、それらの屈曲角度θ1、θ2をそれぞれ32°、20°とした。また、各比較例1〜8には、上記従来例と同様に、例えば30°の一定の傾斜角(ベベル角度)にて構成された一段のベベル面を有するドクターブレードを用いた。そして、各例において、塗工面上での光沢むらについて目視により確認し、その塗工面感について◎、○、△、×の4段階で評価した。また、各例のドクターブレードによって塗工工程を継続的に実施して、当該ドクターブレードに生じた摩耗によって塗工品質の低下し新たにドクターブレードを交換する必要があると判断した時点までの経過時間をドクターブレードの寿命時間とした。
また、上記の説明では、母材のランド面が当該母材の下面に直交し、さらに表面硬化部のランド面を上記母材下面に直交するように母材ランド面に連続的に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記の少なくとも一方のランド面が母材下面に対して所定角度で傾斜したものでもよい。
3 表面硬化部
4a、4b、4c 屈曲部
Claims (5)
- 表面硬化部が紙基材と接触する先端部に設けられたドクターブレードを具備するブレードコーターを用いて、表面硬化部が紙基材と接触する先端部に設けられたドクターブレードを具備するブレードコーターを用いて、顔料と接着剤を含む塗工液の固形分の付着量が前記紙基材の片面当たり12〜20g/m2になるように、当該塗工液を1200m/分以上の塗工速度で塗工する印刷用塗工紙の製造方法であって、
前記表面硬化部でのビッカース硬さを1000〜1700Hvとするとともに、この表面硬化部に屈曲部を2箇所以上設け、かつ当該表面硬化部の最先端箇所から2番目以降の屈曲部での屈曲角度のトータル角度を15〜30°としたことを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。 - 前記表面硬化部が、タングステンを主成分とする材料により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
- 前記塗工液は、その固形分の濃度が50〜72重量%であり、かつそのせん断速度105sec−1でのキャピラリー粘度が70mPa・s以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
- 前記表面硬化部は、1200〜1500Hvのビッカース硬さを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
- 前記顔料には、全顔料100重量部に対して20重量部以上の重質炭酸カルシウムが含まれるとともに、この重質炭酸カルシウムは、その平均粒子径が0.3〜2.0μmであり、かつ粒子径が2.0μmを超える粒子の重量割合が10%以下の湿式重質炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷用塗工紙の製造方法。
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