JP2583611B2 - 塗工用ブレードの製造方法 - Google Patents

塗工用ブレードの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は塗工用ブレードに関するものであり、この種
のブレードは、印刷用塗被紙、感圧複写紙、或いは感熱
記録紙等の塗被紙製造工程において原紙に顔料及び接着
剤を主成分とする水性塗料などを塗布するいわゆる塗鋼
工程で利用されるものである。
[従来の技術] 従来、原紙への塗工に利用される塗工用ブレード(コ
ーターブレード)は、厚みが約0.2〜0.8mmで板幅が約50
〜150mm、長さが約1500〜7000mmに及ぶ可撓性を有する
鋼材、例えばJIS−G−4401に制定される炭素工具鋼鋼
材(SK材)やSUS410などで構成されている。塗工用ブレ
ードは塗布する塗料の塗布量に応じてブレード先端を利
用するベベルブレードと、ブレードの側面を利用するベ
ントブレードとに大別されるが、いずれにしても原紙と
これに塗布される塗料とで連続的に擦すられているため
に、ブレード鋼材が比較的短時間で摩耗による損傷を受
けているのが実状である。
塗工用ブレードの摩耗による損傷を極力防止し、耐久
性を増す試みとして、例えば、特開昭59−88995号公報
が挙げられる。これは、ブレード用の鋼材に対してセラ
ミック材料、特にアルミナ、アルミナ−チタニア、酸化
クロムなどを溶射法によって被覆したものである。
ところが、上記公報によるブレードは、従来からのブ
レードと比べると耐摩耗性が改良されてはいるが、原紙
との接触面近傍が全てセラミックで被覆されていないた
めに発錆したり、セラミック材特有の脆さと多孔性のた
めに欠落したり多孔性に起因する接触面上でのボイドの
発生があって、必ずしも満足できるものではない。さら
に、セラミック材料を溶射するためには、セラミック材
料が高融点であるところから少なくとも数千数〜数万度
のプラズマ炎もしくはガス火炎で材料を溶融・吹き付け
しなければならないといった制約があった。そのため、
ブレード材の変形をもたらすなどの問題があるだけでな
く、ブレードとしての接触部の平坦性や平滑性を保持す
るために溶射後の研摩を必須とするなどの難点があっ
た。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は被覆の脆さによる欠落や被覆の不完全さによ
る発錆を防止できると共に、製造時の変形が少なく、ブ
レードとしての接触部の平坦性や平滑性、可撓性などを
保持できる塗工用ブレードを経済的に製造する方法を提
供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明にあっては、上記の課題を解決するために、可
撓性の鋼からなる塗工用ブレードの塗工用原紙との接触
部近傍に5μm以上であって且つ鋼材の厚みよりも薄く
クロムを被覆し、次いで110℃〜145℃でアニールするこ
とを特徴とするものである。
[作用] 本発明者らは、上記の課題を解決するために、被覆材
料の選定、摩耗試験、被覆の欠けの原因解析、研摩工程
の省略、耐食性の付与等について詳細な検討を行った。
被覆材料の選定 まず、本発明者らはブレード鋼材の被覆材料を決定す
るべく、各種の被覆の摩耗減量をテーバー式摩耗試験機
により測定することで適切な被覆を検討した。その結果
を第1表に示す。表中、摩耗減量の単位は〔mg/1000re
v.〕である。また、第1表には各被覆硬度〔HV〕の測定
値を併記した。
第1表において、被覆形成後の処置Aは研摩のままと
し、処置Bは研摩後200℃で1時間アニールした。被覆
と擦り合わせる相手材はシリコンカーバイト(H−10)
とした。シリコンカーバイトには荷重1Kgを付加してあ
る。SK−5の化学組成は、C:0.80〜0.90、Si:<0.35、M
n:<0.50、P:<0.03、S:<0.03である。アルミナ−チタ
ニアの組成は、Al2O3−3%TiO2とした。被覆の厚みは
いずれも0.15mmである。
第1表から明らかなように、比較した被覆の中では、
クロムめっきの摩耗特性が最も良好で、SK−5に対して
は約10倍、アルミナ−チタニアに対しては約4倍の耐摩
耗性を示し、ブレードへの被覆に適したものであること
が判明した。
摩耗試験 次に、上記被覆を実際にブレードに適用して、テスト
コーターによる摩耗試験を試みた。SK−5鋼材から第4
図に示すように幅w=55mm、長さl=500mm、厚みd=
0.5mmのブレードを作製した。図中、d1=0.1mm、θ=30
゜である。このブレードに対して、溶射法によりアルミ
ナ−チタニア、クロムカーバイト、めっき法によりクロ
ム、ニッケル−リン合金の被覆を形成した。被覆範囲は
第5図のように設定し、被覆幅w1=10mmとした。被覆の
厚みは100μm(0.1mm)を目標厚みとしたが、ニッケル
−リン合金を除いて、いずれもブレード鋼に変形(曲が
り)を生じた。溶射法による被覆、つまりアルミナ−チ
タニアについては変形が僅かであったので、そのまま利
用することにしたが、クロムカーバイトについては変形
が著しいので、試験を中断した。
また、めっき法によるクロム被覆については、種々検
討した結果、クロムめっきを析出させることによって生
ずるクロムめっきの内部応力が引張側の応力にしろ圧縮
側の応力にしろ、被覆厚みが5μmを越える場合におい
て15Kg/mm2を越える場合に変形をもたらすことが判明し
た。そして、応力を上記範囲内とするには、クロムめっ
き液中の成分である無水クロム酸を100〜400g/、好ま
しくは250〜350g/とし、硫酸を無水クロム酸の1/70〜
1/120量、好ましくは1/70〜1/90量とした組成で液温が3
5〜65℃、好ましくは40〜48℃とした条件で電流密度を
選ぶことにより殆ど変形のない状態でクロムを被覆でき
ることを発見した。
ところで、塗被紙を製造する塗工工程で利用される塗
料は、印刷溶塗被紙の場合は、水、分散剤、接着剤、顔
料及び助剤などから成り、感圧複写紙の場合は、顕色
剤、接着剤、マイクロカプセル等から成り、感熱記録紙
の場合は顕色剤、染料、接着剤等から成り立っている
が、ブレードの摩耗は原紙と連続的に接触し、且つ擦す
れるだけでなく、塗料に含まれる成分、特に顔料に使用
される無機質材料によりブレード鋼の摩耗が促進され、
比較的短時間での交換を余儀なくされている。そして、
顔料として利用される無機質成分としては、クレー、焼
成カオリン、炭酸カルシウム、タルク、シリカサチン
白、チタン白、水酸化アルミニウム、活性白土、微粒シ
リカ、酸化亜鉛、有機顔料などが代表的であるが、これ
らを総括すると、カルシウムの炭酸塩や硫酸塩、マグネ
シウムの炭酸塩、チタンの酸化物、バリウムの硫酸塩、
アルミニウムの水和物、亜鉛華、カルシウム・マグネシ
ウム炭酸塩、ケイ酸及びそのケイ酸塩などであり、印刷
用塗被紙、感圧複写紙、感熱記録紙、インクジェット記
録紙等の塗被紙に要求される性状に応じて、これらを適
宜選択し、混合して利用しているのが実状である。
テストコーターでは、塗料の配合を次のように行い、
水により固形分濃度を60%としたものを試験に利用し
た。
カオリン 80重量部 炭酸カルシウム 20重量部 ピロリン酸ナトリウム 0.1重量部 スチレン・ブタジエンラテックス 12重量部 澱粉 5重量部 また、テストコーターの運転条件は次のように設定
し、被覆されたブレードの原紙との接触面の変化を逐次
調査した。
速度:1000m/min ブレード線圧:0.8Kg/cm 原紙 60g/m2 塗被量 10g/m2 ブレードのベベル面の被覆後の表面粗さは第2表の通
りであり、程度の差はあれ、元のブレード鋼よりも粗化
されている。そこで、被覆を設けないSK−5材を除いて
全て0.6〜0.8μRmaxの表面粗さに研摩して試験に供し
た。運転時間は2.0時間としたが、0.5時間毎に摩耗量を
調査し、結果を第2表に示した。また、2時間運転後の
ベベル面の表面粗さを併記した。表面粗さの単位は〔μ
Rmax〕である。
第2表において、ブレードIはSK−5ブレード、ブレ
ードIIはアルミナ−チタニア被覆を施したSK−5ブレー
ド、ブレードIIIはクロムめっき被覆を施したSK−5ブ
レード、ブレードIVはニッケル−リン合金被覆を施した
SK−5ブレードである。摩耗量は0.5時間後、摩耗量
は1.0時間後、摩耗量は1.5時間後、摩耗量は2.0
時間後の測定値である。また、表には記載していない
が、ブレードIIとブレードIIIでは、試験後、ブレード
の刃先の所々に被覆の欠けが見られた。第2表から、ク
ロムめっき被覆を施したブレードIIIは、刃先に部分的
な欠けが見られるものの、SK−5鋼材と比べると約4倍
の耐久性を示し、被覆選定試験の結果が裏付けられた。
被覆の欠けの原因解析 上述のように、クロム被覆を施したブレードは局部的
ながら刃先に欠けが見られ、均一な塗工という観点から
は欠けの発生した時点がブレードとしての寿命というこ
とになって、クロムの耐摩耗性を発揮できない場合も起
こり得る。そこで、被覆の欠けの発生原因を解明するた
めに種々の検討を加えた。
本発明者らは、長さ100mm、幅10mm、厚み0.5mmのSK−
5材を用意し、これにクロムを5μm、10μm、50μ
m、100μm、300μm全面に被覆したものと、予めニッ
ケルを3μm、5μm、50μm全面に被覆した後、クロ
ムを3μm、5μm、100μm被覆したものと、無電解
ニッケルめっきによりニッケル−リン合金を予め5μm
被覆してクロムを100μm被覆したものと、シアン化銅
浴を利用して銅を5μm被覆し、次いでクロムを100μ
m被覆したものなどを用意し、これらの被覆を施したこ
とにより、素材が欠け易くなっているのか否かを確認し
た。その結果を第3表に示す。具体的には素材を90度折
り曲げて脆化の程度を確認する方法を採った。
表中、○は折り曲げても破損しない、△は折り曲げる
と破損する場合と破損しない場合がある、×は折り曲げ
ると完全に破損することを示す。第3表によれば、クロ
ムだけを被覆したSK−5材において、被覆の厚みが5μ
mを越えると、破損しやすくなっていることが認めら
れ、これがテストコーターでのブレード刃先の部分的欠
けの原因と考えられる。
本発明者らはクロムとSK−5材との中間層にニッケル
やニッケル−リン合金、銅などの被覆しておくと、中間
層の厚みが僅か5μmから素材の脆化を防止できること
を発見した。また、テストコーターで利用したクロム被
覆ブレードのクロム被覆部と未被覆部とから長さ100mm
の折り曲げ試験片を切り出し、同じように折り曲げて見
るとクロム被覆部にのみ脆化が見られた。したがって、
脆化はクロムを被覆することによりクロム被覆部にのみ
生ずる現象と考えられ、これはクロムめっき時に発生す
る水素ガス吸蔵の結果としての水素脆性であると推定さ
れた。そして、脆化が水素脆性であればクロム被覆後、
アニールすると脱水素され、脆性除去できるはずで、事
実、水素脆性除去温度として一般的な150〜250℃の範囲
でアニールすると、脆化そのものは除去することが可能
であった。ところが、上記の一般的なアニール温度では
弊害としてブレード鋼材として必要なバネ性が変化する
などの問題を呈した。そこで、バネ性(可撓性)を変化
させずに脆化を除去できるか否かを詳細に検討したとこ
ろ、110〜145℃、望ましくは130〜145℃でアニールする
と、可撓性の変化なしに脆性を除去できることを発見し
た。
第1図(a)〜(d)はアニールにより脆性を除去し
たベントタイプのブレードの断面図、同図(e),
(f)はアニールにより脆性を除去したベベルタイプの
ブレードの断面図である。図中、1はブレード鋼材、2
はクロムめっき被覆である。第2図(a),(b)はア
ニールせずに中間層3の存在により脆性を除去したベン
トタイプのブレードの断面図、第2図(c)はアニール
せずに中間層3の存在により脆性を除去したベベルタイ
プのブレードの断面図である。この場合の中間層3は、
ニッケル、ニッケル−リン合金、ニッケル−ホウ素合
金、又は銅よりなり、その厚みは3〜50μmとする。
研摩工程の省略 本発明者らは、ブレード鋼材にクロムを被覆するにあ
たって、クロムめっき液の組成を選ぶと、変形のないク
ロム被覆ブレードを得ることができるだけでなく、クロ
ム被覆後の研摩工程を省略できると考えた。このような
目的でクロムめっき液の組成について種々検討を加えた
結果、無水クロム酸100〜400g/に硫酸を無水クロム酸
濃度の1/70〜1/120量加えた液に、ケイフッ酸、ケイフ
ッ酸塩(例えばケイふっ化ナトリウム)、ホウ酸、ホウ
酸塩(例えばホウ砂)、スルファミン酸、アルキルスル
ホン酸などを1〜25g/の割合で加えると、平滑で事実
上クロム被覆後の仕上げ研摩を不要にできるだけでな
く、応力による変形のないブレードが得られることを発
見した。
第4表は研摩されたSK−4鋼材上に各種クロム被覆を
施したブレードの被覆完了後の表面粗さ〔μRmax〕を触
針法で測定したデータ、及び被覆硬度〔HV(100/3
0)〕、さらにスパイラルコントラクトメーターにより
計測した電着応力〔Kg/mm2〕のデータなどを示した。
第4表において、No.1のクロム液の組成は、無水クロ
ム酸300g/、硫酸4g/、No.2のクロム液の組成は、無
水クロム酸300g/、硫酸4g/、ホウ酸5g/、No.3の
クロム液の組成は無水クロム酸300g/、硫酸2.5g/、
ケイフッ化ナトリウム1.5g/である。また、応力の−
符号は圧縮側応力を示す。なお、未被覆のSK−4材の表
面粗さは0.90〜0.95μRmax、硬度は583HV(100/30)で
あった。
第4表から明らかなように、No.1のクロム液を除い
て、ホウ酸やケイフッ化ナトリウムなどを添加すると、
元の素材粗さよりも平滑化され、なお且つ低応力となっ
ていることが分かる。また、付随効果として硬度の増加
が認められた。なお、これらのクロム被覆されたSK−4
材を90度に折り曲げてみると、No.1,2,3の各クロム液に
よるクロム被覆はいずれも素材から簡単に破損すること
が分かった。また、アニールもしくはニッケル、ニッケ
ル−リン合金、銅などを5μm以上事前に被覆しておく
と、No.2及びNo.3のクロム液についても脆化防止に効果
を発揮することを認めた。以上のように、無水クロム酸
と硫酸を含む液にケイフッ酸及びその塩、ホウ酸及びそ
の塩、スルファミン酸、アルキルスルホン酸などを適量
添加すると、変形の全く無い、しかもクロム被覆後の研
摩を不要としたブレードを作製できた。
耐食性の付与 クロム被覆ブレードは従来のクロムを被覆していない
ブレードに比べて著しく寿命延長効果が見られたが、従
来のブレードでは短寿命の故に問題とするに足らなかっ
た鋼材の発錆が耐久性(寿命)の延長に伴って新たな問
題を提起するに至った。そこで、その解決策としてクロ
ム被覆ブレードで生ずる素材鋼材の脆化(水素脆性)の
防止に利用できるニッケルやニッケル−リン合金被覆を
ブレードの特定部分だけでなく全面に被覆すればクロム
未被覆部の発錆を防止でき、同一被覆で脆化防止と発錆
防止とを同時に行えることになるので、頗る経済的であ
る。
第3図(a),(b)は中間層3をブレード鋼材1の
全面に被覆して、防錆と脆化防止を兼ねたベントタイプ
及びベベルタイプのブレードの断面図である。この場合
の中間層3は、ニッケル、ニッケル−リン合金、ニッケ
ル−ホウ素合金の少なくとも1種類の金属よりなる。
なお、クロム被覆ブレードの水素脆化防止に有効な銅
については、元々銅という金属の耐食性の欠如から上記
目的には合致しない。ニッケルやニッケル−リン合金の
被覆法としては、ニッケルは電気めっき法が、また、ニ
ッケル−リン合金の場合には電気めっき法と無電解めっ
き法のいずれをも利用できるが、脆化防止のためには無
電解めっき法の方がやや優れている。さらに、耐食性を
与えるのに必要な厚みは3μm以上であり、この厚みは
脆化防止に必要な厚みにほぼ一致する。厚みを増加させ
ても脆化防止機能に変化を与えず耐食性を一層改善でき
るが、厚くても不経済であるばかりか、肝心のブレード
に必要なバネ性の変化を伴うので、50μm以下とするの
が好ましい。また、クロム被覆範囲も塗工用原紙との接
触部方向の先端から15mmまでがブレード用鋼材のバネ性
から考えて好都合で好ましくは10mm以下とするのが良
い。
以上の検討結果から明らかなように、可撓性の鋼から
なる塗工用ブレードにおいて、塗工用原紙との接触部近
傍に、水素吸蔵を妨げるクロム以外の金属を被覆し、該
被覆上にクロムを5μm以上で且つ鋼材の厚みよりも薄
く被覆することにより、本来ならばクロムが脆化される
ところを、水素吸蔵を妨げるクロム以外の金属の存在に
よりクロムの水素脆性が防止され、ブレードの欠けを防
止できる。また、鋼に対する防食性を有し水素吸蔵を妨
げるクロム以外の金属をブレードの全面に被覆すること
により、ブレードの発錆をも同時に防止することが可能
となる。
一方、ブレード鋼材とクロムとの間に上記のような中
間層を設けなくても、可撓性の鋼からなる塗工用ブレー
ドの塗工用原紙との接触部近傍に5μm以上であって且
つ鋼材の厚みよりも薄くクロムを被覆し、次いで110℃
〜145℃でアニールすることにより、水素脆性を除去す
ることができる。この際、アニール温度を上記のように
選ぶことにより、鋼材の可撓性を変化させることを防止
できる。
また、可撓性の鋼からなる塗工用ブレードにおける少
なくとも塗工用原紙との接触部近傍に電気めっきにより
クロムを被覆し、電気めっき液の組成は無水クロム酸が
100〜400g/、硫酸が無水クロム酸濃度の1/70〜1/120
で、液温が35〜65℃でクロム析出による応力が±15Kg/m
m2以下となるようなめっき条件とすれば、クロムめっき
の電着応力を低減し、ブレードの変形を防止できる。
さらに、電気めっき液にケイフッ酸、ケイフッ酸塩、
ホウ酸、ホウ酸塩、スルファミン酸、アルキルスルホン
酸のうちの少なくとも1つの化合物を加え、その添加量
はクロムめっき後の研摩を不要とする程度にクロムの平
滑性が得られる範囲とすれば、研摩工程の省略により、
経済的にブレードを作製できる。
[実施例] 本発明者らは、SK−5鋼材からなるベントタイプノブ
レード(幅100mm、長さ2220mm、厚み0.381mm)に対して
クロム被覆範囲を先端部から10mmとし、4種類のクロム
被覆ブレードを作製し、塗料及びブレードコーターの操
業条件は前記の条件と同様にして実施した。
実施例1 ブレードにクロムを40μm被覆した後、140℃で10時
間アニールし、その後、クロム未被覆部分を防錆塗料で
コーティングした。クロム被覆に用いた電気めっき液の
組成は、無水クロム酸が300g/、硫酸が4g/とした。
ブレードの表面粗さは0.93〜1.0(μRmax)、クロム被
覆後では1.7〜1.8(μRmax)、研摩後では0.81〜0.85
(μRmax)であった。
比較例1 未被覆のSK−5鋼材からなるブレードを用いた。
実機操業条件において、比較用のSK−5鋼材からなる
ブレードを含め、順次使用し比較したところ、比較例1
のクロム未被覆ブレードでは、7時間操業で使用不能に
なったのに対して実施例1では28時間の使用に耐えた。
実施例2 塗料配合として、水酸化アルミニウム65部、酸化亜鉛
20部、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛
とα−メチルスチレン・スチレン共重合体との混融物
(混融物80/20)15部、ポリビニルアルコール水溶液5
部(固形分)及び水300部をボールミルで24時間粉砕し
て得た分散液に、カルボキシ変性スチレン・ブタジエン
共重合体ラテックス20部(固形分)を加えて調製した感
圧複写紙用水性塗被液を用い、ブレードコーター条件と
して、スピード800m/分、塗被固形量5g/m2(固形分)、
原紙40g/m2とした以外は実施例1と同様にして、ブレー
ド刃の摩耗試験をした結果、30時間使用可能であった。
比較例2 未被覆のSK−5鋼材からなるブレードを用いた以外は
実施例2と同様にして実施した。ブレードの使用可能時
間は6時間であった。
[発明の効果] 以上述べたところから明らかなように、請求項1に記
載の発明によれば、クロムめっきの下層に金属被覆を設
けなくても、クロムめっき形成後のアニールにより水素
脆性を防止でき、被覆の脆さによる欠落を防止できると
いう効果があり、しかも、アニール温度を110〜145℃と
したことにより、ブレード鋼材の可撓性が損なわれるこ
とを防止でき、ブレードとしての性能を保持できるとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)乃至(f)、第2図(a)乃至(c)、第
3図(a),(b)は本発明の塗工用ブレードのそれぞ
れ異なる断面構造を示す断面図、第4図は本発明の塗工
用ブレードの摩耗試験に用いたブレード鋼材の断面図、
第5図は同上のブレード鋼材に被覆を施した状態の要部
断面図である。 1はブレード鋼材、2はクロムめっき被覆、3は中間層
である。
フロントページの続き (72)発明者 藤田 淑雄 兵庫県尼崎市常光寺4丁目3番1号 神 崎製紙株式会社内 (72)発明者 田中 淳一郎 兵庫県尼崎市常光寺4丁目3番1号 神 崎製紙株式会社内 (72)発明者 福原 武司 兵庫県尼崎市常光寺4丁目3番1号 神 崎製紙株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−88995(JP,A) 実公 昭49−8946(JP,Y2) 金属表面技術協会編「金属表面技術便 覧」(昭51−11−30)日刊工業新聞社 P.275−318

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可撓性の鋼からなる塗工用ブレードの塗工
    用原紙との接触部近傍に5μm以上であって且つ鋼材の
    厚みよりも薄くクロムを被覆し、次いで110℃〜145℃で
    アニールすることを特徴とする塗工用ブレードの製造方
    法。
JP1199597A 1989-07-31 1989-07-31 塗工用ブレードの製造方法 Expired - Lifetime JP2583611B2 (ja)

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JP1199597A JP2583611B2 (ja) 1989-07-31 1989-07-31 塗工用ブレードの製造方法

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