JP4321423B2 - 塗工用ロッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗工用ロッドの製造方法に関するものであり、例えば、紙、フィルム、金属シート等のウェブ表面を塗工するコーター、特にロッドコーターに装着される塗工用ロッドの製造に適するものである。
従来から紙、フィルム等の連続して走行するシート(以下ウェブと称す)に対して、紙のウェブであれば印刷適性と美麗性の付与を目的に、有機、無機顔料、例えばプラスチックピグメント、クレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウムと主ラテックス、澱粉、カゼイン、CMCや各種分散剤からなる塗工液を塗布する塗工装置(以下コーターと称す。)が備えられている。一方、フィルムのウェブでも塗工するものは違えども、例えば感光乳剤等を塗布するコーターを備えているのが一般的である。
紙の塗工に限定すれば、運転速度、要求品質、塗膜の種類や塗工膜厚に応じて、方式を使い分ける傾向があり、ロールコーター、ブレードコーター、ダイコーター、カーテンコーター、ロッドコーターなど多岐に及ぶ。しかしながら高速塗工に適する、塗工量が広範囲に調整可能である、塗工品質に優れる等により、現状ではブレードコーターが主流となっている感もあるが、その欠点としてブレード寿命が短い、両面同時塗工が困難なことが挙げられる。一方、塗工品質はブレードコーターと比べてやや劣るものの、ロッドコーターは装置の構造が簡単で設備コストが安いこと、塗工用ロッドの塗工寿命がブレードコーターのブレードと比べて比較的長いこと及び両面同時塗工が可能であるなど利点も多く、依然として根強い需要がある。
ロッドコーターには、ウェブに直接塗布された塗工液をロッドで掻き落とし、均しながら塗布する方式と、塗工液を一旦ロール表面に塗布し、これをロッドで均してウェブに間接塗布する方式とがある。ロッドコーターの直接塗工方式の一例を図1に示す。図中、1はウェブ、2はバックアップロール、3はアプリケーターロール、4は塗工液、5はロッドコーター、6は塗工用ロッド、7はアプリケーターロール表面の塗工液である。但し、図1は、ウェブに対する片面塗工を示している。また、図2は、同じく片面塗工で例示しているが、給液ヘッド8から吐出した塗工液を一旦、アプリケーターロール3の表面に均一塗工し、これをウェブ1に転写する間接塗工方式(ロッドメタリング方式とも呼ばれる。)を示している。図2の給液ヘッド8からの塗工液のフローについて説明すると、給液ヘッド8内より同一方向に回転しているアプリケーターロール3と塗工用ロッド6の対向面(完全に密着タッチせずに僅かにクリアランスがあるか軽くタッチしている)の右下方から給液され、塗工用ロッド6で均一に均してアプリケーターロール3表面に塗膜を造るものである。
これらロッドコーターに利用される塗工用ロッドの多くは、直径8〜50mm迄、長さは0.5〜10m(多くは2〜6m)の中実材ないし中空材が利用されており、その表面に塗工量調節を目的として細径のステンレス線を円周に沿って隙間なく巻いたもの、ステンレス線を巻く代わりに転造法で溝を付したもの、さらには表面が平坦なものなどを目的に応じて使い分けているのが実態である。
なお、直接塗工方式ではウェブの走行方向に対して塗工用ロッドを逆回りに、また、間接塗工方式の場合は、アプリケーターロールの回転方向とは逆回りの異速タッチとするのが通例である。従って、当然のことながら塗工用ロッドにも磨耗による寿命がある。その為、寿命の延長を目的として硬質クロムめっきした塗工用ロッドが最も良く知られている。
また近年、硬質クロムめっきを被覆したものよりもさらに寿命延長が可能であるとして特許第3553877号に見られるセラミック溶射被覆塗工ロッドの提案がある。さらには特表2002−524670号では、硬質クロムないしセラミック溶射の表面に存在する亀裂ないしクレーター(気孔)にイオン注入した塗工用ロッドも提案されているが、ロッドコーターに求められる機能は長寿命だけではなく、塗工用ロッドの最大の難点である塗工品質、つまり「塗工むら=リングパターン(塗工面の筋状むら)の防止」が挙げられる。ロッドコーターに於ける塗工むらの解消の為に、現状で採られる方法は塗工液の成分や粘度調整や速度低下に限定されているのが実態である。
特開平06−312155号は、ロッドコーターによる感熱紙の製造に於いて、マイクロカプセル入りの塗工液をカプセルを破壊せずに塗工することを目的としており、塗工むらを回避する手段としてロッド材の表面にサンドブラスチングして粗面化し、クロムめっきすることを提案しているに過ぎない。しかしながら、サンドブラスチングによって、山頂を揃えて均一に粗面化することは甚だ困難であると同時に筋状むらを完全に解消するに至らないことが分かった。
一方、ロッドコーターに於ける塗工むらを装置側の機構で解消しようとする試みもなされており、特開2000−288456号及び特開2002−113404号が代表的なものである。特に後者の提案は、塗工用ロッドの表面に例えばシリコン系合成油の塗工液剥離性の膜を形成することで、塗工むらを解消しようというものであるが、実際問題として常時均一な剥離膜を形成することは困難であり、また、塗工液にシリコン系合成油が混練されて抄造された塗工紙の表面に残存して後々の印刷障害に直結し、実用に至っていない。
特許第3553877号公報 特表2002−524670号公報 特開平06−312155号公報 特開2000−288456号公報 特開2002−113404号公報 特開平04−283268号公報 特許第2896613号公報
前述したようにロッドコーターは、機構が簡単で、塗工用ロッドの寿命も比較的長く、多目的塗工に適したコーターであり、今後の高速塗工法の一つとして挙げられる。現在では塗工むら(筋状むら)を解消する為に、塗工液の組成を代えたり、低粘度にしたり、さらには装置側での塗工むらの解決に繋げようとする状態にある。しかし益々多様化する塗工液に対応するには、自ずと限界があり、塗工に直接関与する塗工用ロッドが極めて重要である。
本発明者らは、実用上寿命と言う問題もさることながら、いかなる塗工液であっても塗工むらを防止し得る塗工用ロッドを提供することを目的として、塗工用ロッドの表面性状、特に塗工液のロッド材表面からの剥離性について鋭意研究し、本発明を完成するに至った。
本発明よれば、上記の課題を解決するために、中実ないし中空の円柱状物品であって、ウェブと直接接触する最外表面に純水に対する表面接触角が90〜170°、より好ましくは110〜170°であり、かつ、純水に対する滑落角が1〜40°、より好ましくは1〜20°であるフッ素化合物と金属との複合材料をめっきによって被覆し塗工用ロッドの製造方法において、フッ素化合物は、その分子量が2,000以下に化学的に分子鎖切断されたテトラフルオロエチレンオリゴマーであり、テトラフルオロエチレンオリゴマーを分散させた複合材料は、マトリックスの金属が、ニッケルないしニッケルを主体としたコバルト、タングステン、モリブデン、リン、鉄などの元素を少なくとも1種類以上含む合金であって、分子内に=C−SO 2 を有する有機化合物を添加した液から電気めっきし、電気めっきによるフッ素化合物と金属との複合材料の被覆後に、250℃〜320℃の温度範囲で焼成することを特徴とするものである。ここで、中実ないし中空の円柱状物品は、金属であっても良いし、非金属であっても良い。
めっきによる複合材料の被覆厚は、10〜1,000μmとし、より好ましくは20〜300μmとする。
本発明の製造方法を用いた塗工用ロッドによれば、塗工液剥離性を付与することで、塗工むらの解消を実現した。ウェブ材質に制約はないが、特に紙への塗工に於いて塗工むら防止に絶大な効果を発揮する。また、250℃〜320℃の温度範囲で焼成することにより、接触角の摩擦・磨耗安定性を得ることができる。
本発明者らは、まず、塗工むらが発生しやすい厚膜・高粘度塗工を想定し、塗工液の主成分となる市販の濃厚(70質量%)炭酸カルシウム(イメリスミネラルズジャパン製“Carbita190”)に0.2質量%のCMC(第一工業製薬製“SGセロゲンPR”)を添加したものを試験用塗工液として準備し、また、図3のSUS304製試験片の斜線部分に有機、無機を問わず各種の被覆材料を設けて、準備した試験用塗工液に浸漬し、塗工液に対する馴染み性の良いもの、逆に弾き性の良いものを選別することから開始したが、また表面の性状を知るために純水に対する接触角を測定した。
結果を表1に示した。
Figure 0004321423
表1の結果から塗工液との親和性は、純水との接触角が100°以下であれば大して差異が見られず、100°を超える皮膜に限って塗工液の離型性の良いことが明らかとなった。塗工液に対する親和性の良いことが塗工むら解消に繋がるのかどうかについては、特開平06−312155に開示されているサンドブラスト面にクロムめっき被覆したもの、表1の例では、No.6の試験片の表面接触角の高いことと類推させると接触角の高い皮膜とすることが、塗工むらの解決に繋がると考えられる知見を得た。
そこで、本発明者らは純水に対する接触角が90°以上、望ましくは100°以上の皮膜の創製と皮膜の耐久性に向けて、図3の試験片と図4に示すロッドコーターを摸した試験機を製作して以下の塗工試験を繰り返した。図4の試験機では、塗工液を塗布すべき紙(ウェブ)の無い状態で試験している。塗工液は、まず、図中の符号9で示す位置に設けた塗工液供給ノズルからアプリケーターロール3と塗工用ロッド6の対向面の右上方から給液し、塗工用ロッド6で均一に均してアプリケーターロール3の表面に塗膜を形成する。そして、塗工面をP点で観察あるいはレーザー計測器で測定する。したがって、図4の塗工試験の場合は、アプリケーターロール3のほぼ全面に塗工膜が形成され、図では詳細を明示していないが、余剰の塗工液は塗工用ロッド6の下方から排出するようにしており、アプリケーターロール3に堆積しないように工夫を凝らしている。
[塗工試験:皮膜の耐久性と塗工むらに関する定性評価試験]
表1に示す皮膜の中から酸化クロム溶射、クロムめっき(比較用)、フッ素樹脂コーティング、PTFE/分散ニッケルめっき、シリコーン樹脂コーティングを選定し、図4の擬似ロッドコーターを利用し、アプリケーターロールの表面に塗工される塗工液に発生する塗工むらを観察すると同時に皮膜の損耗状態を観察した。なお、塗工液は、表1の浸漬試験に利用したものと同様の濃厚状態で使用した。その他の塗工条件については、以下の通りとし、結果を表2に示した。
1)アプリケーターロール :硬質ウレタン樹脂
2)同上周速度 :100m/分
3)塗工用試験ロッド周速度:1.3m/分
4)目標塗工量 :30g/m2
5)試験時間 :30分
Figure 0004321423
つまり、塗工むらの発生に関しては、やはり純水に対する表面接触角の大きいものが隣接する塗工筋の山と山とのピッチが細かく良好であることを発見したが、まだ満足し得る水準にはない。さらに耐久性に関しては皮膜硬度に劣るフッ素樹脂、シリコーン樹脂は、到底使用に耐え得ない。また、比較的良好な塗工性を示すPTFE分散ニッケルに於いては、金属マトリックスをベースとしているだけに、シリコーン樹脂やフッ素樹脂と比べると、はるかに良好な耐久性を示すものの、皮膜厚が10μmを超えると皮膜に内在する応力により、剥離する難点があり、実用に供し得ない。以上を総合すると、塗工むらの解決には、水に対する高い接触角の付与が、良好な塗工液剥離性に繋がる傾向を示し、また実用に供せられる耐久性の確保の為に少なくとも金属並の硬度を必要とすることを知見した。
[塗工液に対する高度な離型能を有する被覆材料の創製試験]
PTFE分散ニッケルめっきの有する課題、つまり接触角の不足と厚膜化の可能性を求めて、鋭意検討した。まず、純水に対する接触角が大なるものとして、TFEO(テトラフルオロエチレンオリゴマー)を利用した特許2896613号及び特開平4−283268号の事例がある。これはPTFEの炭素鎖をフッ素ガスで切断し、平均分子量を10,000以下としたものであり、本発明者らは、ニッケルをマトリックスとし、TFEO分散めっきの創製を試みた。
しかし新たな課題として、
a)PTFE分散ニッケルと同様に、ほぼ10μmに膜厚限界があり、これを超えると皮膜割れこそ発生はないものの、窪みだらけの凹凸粗雑面となり、正常な皮膜創製が不可能であった。また、TFEO分散ニッケルめっきを得るにしても上記特許ないし公開特許で提案しているスルファミン酸浴に限ってTFEOの分散析出が可能で、浴種を代えて硫酸塩型のいわゆる「ワット氏浴」では、ニッケルは析出するものの、全くと言って良い程TFEOの分散析出が生じないこと。
b)10μm膜厚の皮膜の示す接触角は、150°以上とフッ素樹脂単体あるいはPTFE分散ニッケルめっきを遙かに凌駕するものであるが、何故かそれは静置状態に置かれた場合にそうであって、物理的に表面を擦られると直ちに90°以下の接触角へと悪化し、摩耗を受ける物品には利用出来ないことなどが判明し、このままでは到底実用に供し得ないことを知見した。
本発明者らは、従来から提案されているTFEO分散ニッケルめっき皮膜の課題を解決すべく、皮膜厚の制約、外観改善、めっき浴種制約からの脱却に鋭意取り組んだ結果、従来からニッケルめっきの第1種光沢剤として利用されている有機化合物、すなわち分子内に「=C−SO2 」を有するものを併用して皮膜創製を行うと、その確たる理由は不明ながら絶大な効果が得られ、膜厚、浴種制約から解き放たれ、平滑面の得られることを見出した。
通常、ニッケルめっきに利用される第1種光沢剤は、応力低減に用いられるが、本発明のTFEO分散金属皮膜の創製メカニズムには合致しない。分子内に「=C−SO2 」を有する有機化合物としては、例えばサッカリン、1,5ナフタリンジスルフォン酸ナトリウム、パラトルエンスルフォンアミドなどが挙げられ、それらの好適な添加量は、有機化合物の種類により異なるが、いずれも2g/l以下の範囲にある。また、使用するTFEOの分子量は、2,000以下の場合に限って、純水に対する接触角の再現性が良いことも明らかとなった。
一方、接触角の摩擦・磨耗安定性について検討を繰り返した結果、皮膜創製後の焼成が重要であることを見出した。つまり皮膜創製後、直ちに焼成して置くと、何故接触角の安定性を得ることが出来るのか理由がはっきしないが、低分子量のTFEOの揮散、金属との化学反応などが安定化に寄与すると考えられる。なお、接触角の安定化に必要な温度は、少なくとも250℃以上でTFEOのガラス転移点である320℃迄が好ましい温度範囲である。
表3は、TFEO約40容量%分散ニッケル皮膜に物理研磨、焼成温度条件を付与した際の純水に対する接触角の変化を示したものである。素材は、50mm径×20mm厚のS25Cであり、皮膜創製面は、50mm径の片側面である。皮膜は、硫酸ニッケル300g/l、塩化ニッケル20g/l、ホウ酸30g/l、粒径4μmのTFEO200g/l、サッカリン1g/l、粒子分散剤:第3級パーフルオロアンモニウム塩1g/lの浴から温度50℃、電流密度5A/dm2 によって100μm厚で被覆したものを利用した。皮膜の物理研磨には、#400〜#1,000のエメリーペーパーを利用した。
Figure 0004321423
TFEO分散めっき皮膜の可能性を模索する為に以下に示すニッケルを主要成分とする皮膜を創製し、それぞれの皮膜を320℃で5時間焼成してのち表面接触角を測定した結果と、その後、約5μm物理研摩したのち表面接触角を測定した結果を表4に示す。但し、それぞれの浴の組成と適用条件は、これらに限定される訳ではない。
Figure 0004321423
[TFEO分散皮膜1]
スルファミン酸ニッケル 400g/l
塩化ニッケル 10g/l
ホウ酸 35g/l
TFEO(*1) 200g/l
分散剤(*2) 1g/l
サッカリン 0.5g/l
PH 4.0
温度 50℃
電流密度 4A/dm2
目標めっき厚 0.1mm
マトリックス ニッケル
TFEO分散量 35容量%
*1:平均分子量1,000、粒径4μm
*2:第3級パーフルオロアンモニウム塩
[TFEO分散皮膜2]
スルファミン酸ニッケル 400g/l
スルファミン酸第一鉄 10g/l
塩化ニッケル 8g/l
ホウ酸 40g/l
TFEO(*1) 200g/l
分散剤(*2) 0.6g/l
1,5−ナフタレンスルフォン酸 1.0g/l
PH 3.0
温度 50℃
電流密度 4A/dm2
目標めっき厚 0.1mm
マトリックス ニッケル−10質量%鉄
TFEO分散量 32容量%
[TFEO分散皮膜3]
硫酸ニッケル 300g/l
硫酸コバルト 30g/l
食塩 10g/l
ホウ酸 30g/l
TFEO(*1) 200g/l
分散剤(*2) 0.6g/l
サッカリン 1.0g/l
PH 4.0
温度 50℃
電流密度 3A/dm2
目標めっき厚 0.1mm
マトリックス ニッケル−10質量%コバルト
TFEO分散量 28容量%
[TFEO分散皮膜4]
硫酸ニッケル 30g/l
タングステン酸ナトリウム 80g/l
クエン酸二アンモニウム 90g/l
TFEO(*1) 200g/l
分散剤(*2) 1.0g/l
サッカリン 2.0g/l
PH 6.5
温度 55℃
電流密度 8A/dm2
目標めっき厚 0.05mm
マトリックス ニッケル−40質量%タングステン
TFEO分散量 23容量%
[TFEO分散皮膜5]
硫酸ニッケル 200g/l
塩化ナトリウム 10g/l
亜リン酸 60g/l
クエン酸ナトリウム 30g/l
TFEO(*1) 200g/l
分散剤(*2) 1.0g/l
サッカリン 0.5g/l
PH 3.0
温度 55℃
電流密度 5A/dm2
目標めっき厚 0.05mm
マトリックス ニッケル−12質量%リン
TFEO分散量 28容量%
[TFEO分散皮膜6]
硫酸ニッケル 30g/l
モリブデン酸ナトリウム 30g/l
グルコン酸ナトリウム 70g/l
TFEO(*1) 200g/l
分散剤(*2) 1.0g/l
サッカリン 1.0g/l
PH 10.0
温度 25℃
電流密度 2A/dm2
目標めっき厚 0.05mm
マトリックス ニッケル−35質量%モリブデン
TFEO分散量 25容量%
以上の如く、分子内に「=C−SO2 」を持つ有機化合物を併用すると、ニッケルないしニッケルを主成分とするマトリックスの皮膜を得る場合に、従来の浴と手法の難点であった膜厚の制約と浴種によりTFEOが未分散となる問題、さらには外観の改善などが可能となることが明らかとなった。次に図3の塗工用の試験片に対して代表的皮膜を被覆し、図4のロッド塗工試験要領に基づいて塗工試験を実施した結果を実施例及び比較例を交えて記載する。
[実施例及び比較例]
図3の試験片の斜線部分にクロムめっき、フッ素樹脂をそれぞれ50μm厚、またPTFE分散ニッケルめっきについては、厚み制限がある為に10μm厚に被覆して比較例1,2,3とした。図3において、(a)は試験片の左側面図、(b)は正面図であり、寸法の単位は[mm]である。
また、上述のTFEO分散皮膜2及び3より、TFEO分散ニッケルとTFEO分散ニッケル−12質量%リンを50μm厚に被覆し、300℃で1時間焼成したものを準備し、実施例1,2とした。表面粗さは、いずれも焼成後に研摩して1μRz以下としてある。これら5本の塗工試験片を図4に示したロッド塗工試験要領に基づき、塗工試験に供した。図中、アプリケーターロール3の直径は360mm、塗工用ロッドの直径は35mmである。試験用の塗工液は、表1の浸漬試験に利用したものと同様とし、塗工試験の条件は、表2の塗工試験に用いた条件1)〜4)を踏襲し、試験時間のみ60分に変更した。
なお、当塗工試験では筋状塗工むらを定量的に評価する為に、アプリケーターロール表面の塗面を図4の矢印Pで示した観察ポイントでレーザー測定器により計測し、凹凸、ピッチ等の数量化を図った。また、試験前後でそれぞれの試験片の直径の計測を行い、その差を摩耗減肉量とした。表5にこの結果をまとめた。表5において、ピッチ及び高低差は、レーザー計測の結果として現れる規則正しい山谷の山と山(ピーク/ピーク)をピッチと表現し、また塗工面の凹凸の差を高低差としてある。
Figure 0004321423
なお、表5の結果からの疑問点として実施例2と比較例2及び3とを見ると、試験前の純水での接触角は、むしろ実施例2の方が劣っている。にも係わらず現実の塗工試験結果は、それを反映していない。
そこで、この現象を解明する為に、実施例1,2及び比較例1〜3の皮膜について、さらに平板試験片を別途作成して、接触角のみならず一定体積の水滴が何度の傾斜角で落下傾向となるか、いわゆる滑落角を求めた。その結果を表6に示す。
Figure 0004321423
この結果は塗工むらの防止は単純に接触角が高ければ良いと言うものではなく、同時に滑落角が限り無く低い状態が望ましいことを、つまり、これを塗工と言う面から考察すれば、ロッド表面には塗工液が付き難い性質とそれを速やかに剥離する機能の両方が必要なことを示唆している。
以上のように、ロッドコーターの塗工に於いて、従来迄に問題とされてきた塗工むらの発生は、直接的に塗工液と接触する塗工用ロッドの表面性状が極めて重要で、塗工液のロッドからの剥離性を飛躍的に改善することで解決に繋がり、ロッドコーターで利用できる塗工液への対応力を拡大し得る。これは、従来技術のTFEO分散金属めっきに存在した厚みの制約とTFEOを分散させる浴種の制約を本発明によって解決したことで可能となった。そして、従来から塗工むらの発生ゆえに何かとブレードコーターに比べて品質的に劣るとされた塗工品質の向上を図ることができ、製紙産業に甚だ貢献出来るものである。
また、本発明のTFEO分散金属皮膜の塗工液剥離性に優れることは、フッ素樹脂コーティングが利用されている製紙用ドライヤードラム、キャンバスロール、コーターロールなどの汚れを嫌うものにも十分適用し得ることを意味する。
さらに、塗工むらと言う同種の問題を内在するフィルム、金属箔ウェブの塗工用ロッド、ローラー等にも効果がある。
直接塗工式ロッドコーターの概略構成図である。 間接塗工式ロッドコーターの概略構成図である。 試験片の外観を示す図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図である。 塗工試験機の概略構成図である。
符号の説明
1 ウェブ
2 バックアップロール
3 アプリケーターロール
4 塗工液
5 ロッドコーター
6 塗工用ロッド
7 アプリケーターロール表面の塗工液
8 給液ヘッド
9 塗工液供給ノズル
P 塗工面観察ポイント

Claims (2)

  1. 中実ないし中空の円柱状物品であって、ウェブと直接接触する最外表面に純水に対する表面接触角が90〜170°であり、かつ、純水に対する滑落角が1〜40°であるフッ素化合物と金属との複合材料をめっきによって被覆し塗工用ロッドの製造方法において、
    フッ素化合物は、その分子量が2,000以下に化学的に分子鎖切断されたテトラフルオロエチレンオリゴマーであり、
    テトラフルオロエチレンオリゴマーを分散させた複合材料は、マトリックスの金属が、ニッケルないしニッケルを主体としたコバルト、タングステン、モリブデン、リン、鉄などの元素を少なくとも1種類以上含む合金であって、分子内に=C−SO 2 を有する有機化合物を添加した液から電気めっきし、
    電気めっきによるフッ素化合物と金属との複合材料の被覆後に、250℃〜320℃の温度範囲で焼成することを特徴とする塗工用ロッドの製造方法
  2. めっきによる複合材料の被覆厚は、10〜1,000μmであることを特徴とする請求項記載の塗工用ロッドの製造方法
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