JP2006124795A - マグネシウム合金製筐体 - Google Patents

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馬渕  守
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空之 藤井
Kazuo Araki
和夫 荒木
Toshiharu Sakurai
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Abstract

【課題】 マグネシウム合金の組成を特定化し、内部の不純物量を適正値以下にすることにより、成形性を保証した、家電製 品等の筐体に積極的に適用することが可能な高品質の複雑形状を有するマグネシウム合金製筐体を提供する。
【解決手段】 添加合金元素の一部として、アルミニウムを1.0〜10.0mass%、亜鉛を0.5〜3.0mass%、マンガンを0.1〜0.8mass%含み、酸素濃度が300massppm以下であるマグネシウム合金製板材の超塑性成形体からなり、超塑性成形における空洞形成が抑制された構造を有するマグネシウム合金製筐体。
【選択図】 図4

Description

本発明は、マグネシウム合金製板材の超塑性成形体からなるマグネシウム合金製筐体に関するものであり、更に詳しくは、マグネシウム合金製板材の酸素濃度及び材料組成を制御することにより、超塑性成形における空洞形成を抑制した、高品質で複雑形状を有する超塑性成形体からなるマグネシウム合金製筐体及びその製造技術に関するものである。本発明は、例えば、宇宙・航空材料・電子機器材料、自動車部材等の幅広い分野で利用することが可能な高耐破壊性及び高強度の特性を付与した新規マグネシウム合金製筐体を提供するものである。
マグネシウム合金材料は、実用構造金属材料の中で最も低密度(=1.7g/cm3 )であり、金属材料特有の易リサイクル性を有し、資源も豊富に存在することから、次世代の構造用軽量材料として注目されている。現在、日本におけるマグネシウム製品の多くは、ダイキャストやチクソキャスト等の鋳造法により作製されている。これらの手法により薄肉成形が可能となったことがマグネシウム合金材料の工業的利用を助長した最大の要因である。特に、家電製品では、例えば、パソコン、携帯電話、及びデジタルカメラ等の家電製品筐体にマグネシウム合金鋳造材が利用されている。しかし、現状の鋳造法によるマグネシウム合金材料の生産法には、鋳造欠陥を補うための後処理が必要であること、歩留りが低いこと、部材の強度・剛性に問題があること等の問題が存在する。
塑性加工プロセスは、一般的に、歩留まりが高く、成形と同時に高強度・高靭性化を図ることができることから、需要拡大の有効な手段と言える。特に、マグネシウム合金製板材から深絞り成形、張り出し成形、及びブロー成形等により成形体を作製できれば、薄肉かつ高強度な成形体を安価なプロセスで作製することができ、家電製品の筐体等の多くの需要が期待できる。しかしながら、これまで、塑性加工プロセスにより作製されたマグネシウム合金製部材が流通した例は殆ど無いのが実情である。
マグネシウム合金の非底面すべりの臨界分解せん断応力は、常温において、他のすべり系と比較して非常に大きく、常温成形性は低い。更に、マグネシウム合金圧延材には{0001}面が板面に対して平行に配向する集合組織が形成される特徴があり、塑性変形時の板厚方向の歪みが期待できず、常温成形性を妨げる一因となっている。上記の問題から、冷間プレス成形を実施することが本質的に困難であることが、塑性加工プロセスによりマグネシウム合金部材が作製できないことの大きな理由である。
冷間成形性に乏しいマグネシウム合金を塑性加工により成形する手法として、現在、注目されているのが、超塑性変形を利用した成形である。金属材料は、結晶粒を微細化させると超塑性現象が発現する。本発明において、超塑性変形とは「多結晶材料の引張り変形において、変形応力が高いひずみ速度依存性を示し、局部収縮を生じることなく数百%以上の巨大伸びを示す現象」を指す。この超塑性変形では、結晶自体の形状は基本的に変化せず、結晶同士が界面間で滑ることにより変形が達成される。この現象は、粒界すべりと呼ばれる。一般的に、材料の結晶粒径を微細にし、液相線温度に対して約50%以上の温度に試料を加熱した際に超塑性変形が生じる。
超塑性成形を利用したマグネシウム合金板材の成形方法に関する事例としては、例えば、(1)マグネシウム合金部品とその製造方法(特許文献1)、(2)マグネシウム部品とその製造方法(特許文献2)、(3)マグネシウム素材のスピンドル加工方法及びその装置(特許文献3)、(4)マグネシウム合金製板材の深絞り成形方法及びその成形体(特許文献4) 、等が挙げられる。上記の方法では、超塑性成形により、板材へのボス立て、スピンドル加工、深絞り成形等を行うことにより、複雑構造部材を超塑性成形により作製することに主眼に置かれている。
特開2004−149841号公報 特開2003−311360号公報 特開2000−126827号公報 特開2004−58111号公報
マグネシウム合金の主な超塑性変形機構としては、粒界滑りが挙げられる。粒界滑りの原理図を図1に示す。粒界滑りとは、粒内の変形を伴わず、粒界間で結晶が移動することにより変形が達成する機構を指す。なお、理想的な粒界滑りが結晶間で起こった場合、粒内の変形を伴わずに粒界間で結晶が移動するため、粒界三重点付近に不可避に空洞が生じることになる。図2に、各種合金の粒界拡散係数の温度依存性を示す(M.Mabuchi et al.: "Tensile Properties at Room Temperature to 823K of Mg-4Y-3RE Alloy", Mater. Trans. 43 (2002), pp.2063-2068.) 。図2の横軸は、融点により規格化した無次元温度を示す。縦軸は、無次元化した粒界拡散係数を示す。マグネシウムの粒界拡散係数は、全ての温度域にわたって、アルミニウム、鉄と比較して、著しく高いことが確認できる。粒界拡散係数が大きいマグネシウムでは、超塑性成形中に粒界三重点付近で空洞が生じたとしても、拡散により空洞形成を緩和することが可能であると考えられる。マグネシウム合金の成形方法として、超塑性成形を積極的に利用しようとするのは、上記理由による。
一方、市販されているマグネシウム合金板材を超塑性成形に供した場合、成形条件を誤れば、空洞形成に起因して、板材は成形途中に破断する。図3に、AZ31マグネシウム合金(Mg−3mass%Al−1mass%Zn−0.5mass%Mn)圧延材に、623K、ひずみ速度1×10-3-1にて真歪み0.9まで引張り変形を印加した際に生じる内部空洞の様子を示す。なお、この場合、初期結晶粒径は10μmであった。図3によると、1μm未満の微細な空洞と5μm以上の比較的粗大な空洞が確認できる。図3に見られる空洞は、粒界近傍の空洞形成を物質の拡散により緩和できない時に発生する。すなわち、拡散速度に影響を及ぼす変形温度、空洞形成速度に影響を及ぼす歪み速度の制御が、超塑性成形において非常に重要な要素となる。
超塑性変形中の空洞形成の起点は粒界のみでは無く、内部の不純物を起点とすることも考慮される。ところが、マグネシウム合金の合金規格には、成形性に根ざした不純物の規格は皆無であり、不純物が超塑性変形に及ぼす影響を無害化するための方策も見受けることができない。本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、マグネシウム合金製板材の組成を特定化し、内部の不純物量を適正値以下にすることにより、超塑性成形体としての成形性を保証し、複雑形状を有するマグネシウム合金製筐体を作製し、提供することが実現可能となる、という本発明者らの新規知見に基づいて完成されたものである。本発明は、超塑性成形体としての成形性を保証し、高品質で複雑形状を有するマグネシウム合金製筐体を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、マグネシウム合金製板材の超塑性成形体において、添加合金元素の一部として、アルミニウムを1.0〜10.0mass%、亜鉛を0.5〜3.0mass%、マンガンを0.1〜0.8mass%含み、酸素濃度が300massppm以下であるマグネシウム合金製板材の超塑性成形体からなり、超塑性成形における空洞形成が抑制された構造を有していることを特徴とするマグネシウム合金製筐体、である。本マグネシウム合金製筐体は、(1)酸素濃度が、100massppm以下であるマグネシウム合金製板材の超塑性成形体からなること、(2)マグネシウム合金製板材の一部の部位が超塑性成形により成形されていること、(3)超塑性成形が、深絞り成形であること、(4)超塑性成形が、張り出し成形であること、(5)超塑性成形が、ブロー成形であること、(6)マグネシウム合金製筐体の一部の結晶粒が、20μm以下であること、を好ましい態様としている。また、本発明は、上記のマグネシウム合金製筐体からなることを特徴とする構造用軽量部材、である。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明者らは、超塑性成形体としての成形性を保証し、高品質で複雑形状を有するマグネシウム合金製筐体を提供することを実現するための手段として、マグネシウム合金製板材内部に存在する酸化物に注目した。マグネシウムは、実用金属中最も酸素との親和力が高い元素であり、鉄鋼精錬等においては脱酸剤として利用されている。マグネシウム合金の合金調製・鋳造工程においては、溶融マグネシウムが大気と接しないようにSF6 とCO2 の混合ガス等のカバーガス内で作業が行われるが、凝固過程を経るまでに起こる溶融マグネシウムの酸化を皆無にすることは、プロセスの制限上困難である。現状では、非金属介在物としての酸化物(MgOもしくはAl23 )を、溶融状態のマグネシウムにアルゴンを吹き付けることにより、凝集し、浮上・沈降分離を行っている。
超塑性成形を行うマグネシウム合金製板材の内部に上記酸化物が過度に混入している場合、酸化物を起点とした空洞形成が起こる。空洞形成のメカニズムを図4に示す。超塑性成形中に酸化物近傍で応力集中が起こることにより、更に、酸化物周辺に転位が蓄積されることにより、酸化物を起点とした空洞形成が発生する。図4に示す空洞形成が材料内部で頻繁に発生する場合、空洞同士の合体が起こり破壊の起点となる。本発明者らは、鋭意研究開発の結果、材料の酸素濃度を適正値に制御することにより、更に、適正な添加元素をマグネシウムに加えることにより、空洞形成を抑制しつつ超塑性変形を達成することが可能であり、高品質で複雑形状を有するマグネシウム合金製板材による筐体を創製可能であるという新規知見を得た。
具体的には、マグネシウム合金製板材の酸素濃度を300massppm以下、好ましくは100massppm以下に制御することにより、超塑性成形を利用して複雑形状をマグネシウム合金に付与可能であることが実験的に確認された。すなわち、マグネシウム合金製板材内部の酸化物を所定量に制御することにより、たとえ、酸化物を起点とした空洞形成が超塑性成形中に発生しても、空洞の拡大が起こらず、拡散により緩和されることが分かった。一方、マグネシウム合金製板材の酸素濃度が増加すると不純物としての酸化物が粒界三重点に存在する確率が向上することになる。酸化物が粒界三重点に存在する場合、酸化物が粒界拡散の障壁となり、空洞形成の緩和を阻害し、成形性は著しく劣化する。それゆえにマグネシウム合金板材内部への酸化物の混入は極力さけるべきである。すなわち、本発明者らは、酸素濃度を300ppm以下、望ましくは100ppmに抑えることにより、酸化物が空洞形成を助長する現象を抑制し得ることを確認した。マグネシウム合金製板材の酸素濃度が300ppmを上回ると上記空洞形成及び空洞の拡大を抑制することができない。本発明では、特に、酸素濃度が300massppmを超えないように当該酸素濃度を所定の範囲に制御したマグネシウム合金製板材を使用して上記超塑性成形体を作製することが重要である。
本発明では、マグネシウム合金が、20μm以下の微細結晶粒を有していれば、好ましくは15μm以下の微細結晶粒を有していれば、473K以上723K以下の温度域、1×10-51/s以上1×10-11/s以下の歪み速度領域にて、容易に超塑性現象を発現させることができる。ここでは、マグネシウム合金製板材の一部の歪みが1.0以上であること、又は板材の一部が粒界滑りにより変形することを超塑性変形の定義とする。粒界すべりにより板材が変形した場合、板材の結晶粒は成形中に粒成長を起こさない、もしくは動的再結晶に伴い結晶粒が微細化する。すなわち、本発明では、成形体で最も変形が起こった部位の結晶粒が20μm以下、好ましくは15μmであることを、超塑性成形の証拠とすることができる。
理想的には超塑性成形に供するマグネシウム合金製板材の結晶粒径を20μm以下に微細にしておくことが必要である。一方、40μm程度の比較的粗大な粒径を有するマグネシウム合金製板材でも超塑性成形に供することが可能である。40μm程度の粗大な粒径を有するマグネシウム合金製板材を超塑性成形に供したとしても、加工中に伴う動的再結晶を利用することにより、板材の結晶粒を微細化し、有効な超塑性成形をマグネシウム合金製板材に付与することが可能である。
成形中の結晶粒の成長を抑制するために、更には、成形後のマグネシウム合金製板材の強度、腐食特性を保証するためには、マグネシウム合金の他の組成を規程する必要がある。具体的には、添加合金元素の一部として、アルミニウムを1.0〜10.0mass%、亜鉛を0.5〜3.0mass%、及びマンガンを0.1〜0.8mass%含有することが望ましい。
上述のように、本発明では、添加合金の一部として、アルミニウムは1.0〜10.0mass%添加されることが好ましい。アルミニウムを1mass%以上添加することによりマグネシウム合金の固溶強化が期待できる。また、6mass%以上アルミニウムを添加すると、粒界にネットワーク状のβ相(Mg17Al12)を析出でき、材料の強度を更に向上させることができる。一方、アルミニウムを10mass%以上添加すると、成形後のマグネシウム合金の延性を著しく劣化させてしまう可能性がある。そのため、アルミニウムの添加量は1.0mass%以上10mass%以内とすることが望ましい。
また、本発明では、亜鉛の添加は、再生材の強度を保持するために必要である。一方、3.0mass%以上の亜鉛の添加は腐食特性を低下させることがあり、好ましくない。マンガンは、耐食性を低下させる不純物元素である鉄の影響を緩和することができ、マンガンを上記の範囲内で添加することにより、その効果を最も発揮することができる。
更に、本発明では、マンガンの添加は、マグネシウム合金製板材の結晶粒径を制御する上で不可欠である。マンガンを適量添加しないと、超塑性成形中に材料内部の結晶粒が成長し、粒界滑りを起こし得る微細結晶を保持することが困難となる。具体的には、マンガンを0.1mass%以上添加することが望まれる。一方、マンガンを0.8mass%以上添加すると、粗大なマンガン・アルミニウムによる金属間化合物が材料内部に形成され、材料の延性・強度に悪影響を及ぼすことになり、0.8mass%以上のマンガンの添加は好ましくない。
本発明のマグネシウム合金製板材に超塑性成形を施したマグネシウム合金製筐体は、超塑性成形の種類には依存しない。超塑性成形によるマグネシウム合金製板材の成形としては、深絞り成形、張り出し成形、及びブロー成形が挙げられる。本発明は、基本的には、マグネシウム合金製板材の材質を制御することにより、超塑性成形体としての成形性を保証し、高品質で複雑形状を有する筐体を作製することを可能とするものであり、本発明は、いずれの手法を用いて作製されたマグネシウム合金製筐体をも対象とされ得る。
本発明のマグネシウム合金製筐体は、超塑性成形を経て作製されるため、特定量のアルミニウム、亜鉛及びマンガンを添加元素の一部としてマグネシウム合金製板材に添加しておけば、超塑性成形により微細な結晶を保持することが可能である。具体的には、これらの添加元素の添加量と酸素濃度の制御により、マグネシウム合金製筐体の一部の結晶粒が20μm以下である超塑性成形体からなるマグネシウム合金製筐体を作製することが可能となる。マグネシウム合金の降伏強度(硬度)は、結晶粒径と強い相関があり、結晶粒を20μm以下に微細化することにより高強度な筐体を作製することが実現できる。従来の手法では、超塑性成形による空洞形成を防ぐこと及び結晶粒を20μm以下に微細化することは困難であったが、本発明により作製されたマグネシウム合金製筐体は、他の手法を経て作製された筐体と比較して、超塑性成形における空洞形成が抑制されていること及び結晶粒が20μm以下に微細化されていること、それにより、高耐破壊性及び高強度を有する製品となること、から、これらの性状を分析することにより、両者を明確に区別(判別)することができる。
本発明により、1)マグネシウム合金製板材の酸素濃度及び材料組成を制御することにより、複雑形状を有するマグネシウム合金製筐体を超塑性成形により作製することができる、2)それにより、超塑性成形における空洞形成の抑制された構造を有する高耐破壊性及び高強度を有する超塑性成形体からなるマグネシウム合金製筐体を提供することができる、3)次世代の構造用軽量材料として期待されている超軽量マグネシウム合金製筐体を提供することが実現可能となる、という格別の効果が泰される。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
種々の酸素濃度を有するAZ31マグネシウム合金圧延材を用意し、その超塑性成形性を評価した。AZ31マグネシウム合金の組成は、Mg−3mass%Al−1mass%Zn−0.5mass%Mnであり、代表的な展伸用マグネシウム合金である。内部の酸素濃度が異なる幅50mm、厚み5mmのAZ31マグネシウム合金板材を用意した。上記マグネシウム合金板材を、試料温度673Kにて熱間圧延に供することにより厚さ1mmのマグネシウム合金圧延材を作製した。熱間圧延においては、ロール加熱は実施せず、1パス毎の圧下率を12%とした。得られた試験片の酸素濃度と試料の平均結晶粒径を表1にまとめて示す。なお、酸素濃度はグロー放電質量分析計(GDMS)により測定を実施し、結晶粒径は圧延方向と平行な面の組織を光学顕微鏡により観察し、切片法により測定した。
上記圧延材より縦70mm、横70mm、厚み1mmの矩形状のマグネシウム合金板材を切り出し、超塑性ブロー成形に供した。ブロー成形においては、図5に記載の押さえ金型及び成形金型を利用した。両金型の間にマグネシウム合金板材を固定し、金型と試験片を673Kに熱した状態で、押さえ金型よりN2 ガスをマグネシウム合金板材に0.2MPa又は0.5MPaの圧力にて印加することによりブロー成形を実施した。なお、0.2MPaの圧力を印加した際の材料の歪み速度は約1×10-5-1、0.5MPaの圧力を印加した際の材料の歪み速度は約1×10-4-1に相当する。板材の一部が破断した時点で成形を完了した。
表2に、各種AZ31マグネシウム合金板材をブロー成形に供した結果をまとめて示す。また、ブロー成形後の板材の代表的な外形を図6に示す。図6の実施例1及び実施例7の外形に注目すると、実施例1では完全なカップ形状が成形可能であることが確認できる。一方、実施例7ではカップ形状は成形できないもののドーム状の成形が可能であった。実施例1及び実施例7は、内部の酸素濃度が最も低い(14massppm)板材の結果である。なお、各種実施例によると、酸素濃度の増加とともに成形性は低下する傾向にあった。表2の“成形性”の欄に示す記号は、実施例1又は実施例7の結果と当該実施例の結果を目視にて比較した結果である。○は目視による差が殆ど確認できない条件を示す。△は成形性の劣化が目視により一部みられた条件を示す。×は同条件で複数回成形を実施して成形性の劣化が明らかに確認された条件を示す。実施例3及び実施例11に示すように○及び△の部分では、成形性の劣化は目視では殆ど確認されなかった。一方、実施例7及び実施例15に示す通り、酸素濃度が300massppmより大きくなると明らかな成形性の劣化が確認された。
なお、表2に、ブロー成形後試料の結晶粒径もまとめて示す。測定箇所は最も板材が変形した部分である板材の中央部分である。いずれの結晶粒も微細(20μm以下)な状態を保っており、超塑性成形により試料が変形したことが示唆された。
図7に、実施例3及び実施例11にてブロー成形を実施した試料の断面を観察し、各部位の板厚歪みを測定した結果を示す。X軸は歪みの測定箇所を示しており、板材の中央部分を0mmと規程して同心円上の板厚ひずみ分布を示している。Y軸は各測定点での板厚ひずみ分布を示している。図7で確認できるように、何れの歪み速度においても1.0以上の板厚歪みが一部の測定箇所で確認されており、超塑性成形が達成されていることが分かる。すなわち、酸素濃度を制御した試料に関しては、超塑性成形が発現したことが確認された。
以上詳述したように、本発明は、マグネシウム合金製筐体に係るものであり、本発明により、マグネシウム合金製板材の不純物及び組成を規程することにより、超塑性成形を経ても空洞形成が抑制された構造を有する、高耐破壊性及び高強度の特性を付与した、複雑形状を有するマグネシウム合金製筐体を提供することができる。本発明は、例えば、デジタルカメラ、ノートパソコン、PDA等、家電製品の筐体に積極的に適用することが可能な超軽量マグネシウム合金製筐体の実用化と量産化を可能にするものとして有用である。
粒界滑りの原理を示した図である。結晶粒内を変形させずに粒界間を結晶が移動することにより材料が変形することを示している。 マグネシウム、鉄、アルミニウムの粒界拡散係数の温度依存性を示した図である。マグネシウムの粒界拡散係数は、全ての温度域にわたって、アルミニウム、鉄と比較して著しく高いことを示している。なお、横軸は融点により規格化した無次元温度を示し、縦軸は無次元化した粒界拡散係数を示す。 AZ31マグネシウム合金(Mg−3mass%Al−1mass%Zn−0.5mass%Mn)圧延材に、623K、ひずみ速度1×10-3-1にて真歪み0.9まで引張り変形を印加した際に生じる内部空洞の様子を示した図である。1μm未満の微細な空洞と5μm以上の比較的粗大な空洞の形成を示している。なお、初期結晶粒径は10μmである。 材料内部に不純物が存在した際の超塑性成形中の空洞形成の原理を示した図である。超塑性成形中に酸化物近傍で応力集中が起こることにより、更に、酸化物周辺に転位が蓄積されることにより、酸化物を起点とした空洞形成が発生することを示している。 実施例でのブロー成形に利用した金型の形状を示した図である。 ブロー成形後のマグネシウム合金板材の外観を側面から観察した図である。印加ガス圧力を0.5MPa及び0.2MPaとした際の結果を示している。マグネシウム合金板材の内部酸素濃度の増加とともに板材の成形性が劣化することを示している。 実施例3及び実施例11にてブロー成形に供した試料の板厚歪み分布を示した図である。試料の一部の部位にて1.0以上の板厚歪みが発現していることを示している。X軸は歪みの測定箇所を示しており、板材の中央部分を0mmと規程して同心円上の板厚ひずみ分布を示している。Y軸は各測定点での板厚ひずみ分布を示している。

Claims (8)

  1. マグネシウム合金製板材の超塑性成形体において、添加合金元素の一部として、アルミニウムを1.0〜10.0mass%、亜鉛を0.5〜3.0mass%、マンガンを0.1〜0.8mass%含み、酸素濃度が300massppm以下であるマグネシウム合金製板材の超塑性成形体からなり、超塑性成形における空洞形成が抑制された構造を有していることを特徴とするマグネシウム合金製筐体。
  2. 酸素濃度が、100massppm以下であるマグネシウム合金製板材の超塑性成形体からなる請求項1に記載のマグネシウム合金製筐体。
  3. マグネシウム合金製板材の一部の部位が超塑性成形により成形されている請求項1又は2に記載のマグネシウム合金製筐体。
  4. 超塑性成形が、深絞り成形である請求項3に記載のマグネシウム合金製筐体。
  5. 超塑性成形が、張り出し成形である請求項3に記載のマグネシウム合金製筐体。
  6. 超塑性成形が、ブロー成形である請求項3に記載のマグネシウム合金製筐体。
  7. マグネシウム合金製筐体の一部の結晶粒が、20μm以下である請求項1から6のいずれかに記載のマグネシウム合金製筐体。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のマグネシウム合金製筐体からなることを特徴とする構造用軽量部材。


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