JP2006124282A - 3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 医薬・農薬の中間体として、また含フッ素重合体等の機能性材料の製造原料または合成中間体として有用な3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を工業的規模で製造する方法を提供する。
【解決手段】1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンと環状2級アミンとを反応させて、トリフルオロメチル基含有エナミンを製造する。このトリフルオロメチル基含有エナミンを加水分解して、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを得る。さらに3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化剤によって酸化することにより、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得ることができる。酸化剤としては硝酸が特に好適である。
【選択図】なし
【解決手段】1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンと環状2級アミンとを反応させて、トリフルオロメチル基含有エナミンを製造する。このトリフルオロメチル基含有エナミンを加水分解して、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを得る。さらに3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化剤によって酸化することにより、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得ることができる。酸化剤としては硝酸が特に好適である。
【選択図】なし
Description
本発明は、医薬・農薬の中間体として、また含フッ素重合体等の機能性材料の製造原料または合成中間体として有用な3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法に関する。
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸は、医薬・農薬の中間体として、また含フッ素重合体等の機能性材料の製造原料または合成中間体として極めて重要な化合物であるため、これまで多くの製造方法が報告されてきた。
非特許文献1では、マロン酸モノエチルエステルのカルボン酸部位を四フッ化硫黄(SF4)を用いてトリフルオロメチル基へと変換し、エステル部位を加水分解することによって3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造する方法が開示されている。非特許文献2では、多段階の複雑な反応を経てCF3CH2COOSO2OHを得た後に、これを加水分解して3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造する方法が開示されている。非特許文献3では、シクロヘキサンカルボン酸と1,1−ジフルオロエチレンを出発原料に用い、4段階で3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造する方法が開示されている。
非特許文献4では、トリフルオロ酢酸エチルを出発原料に用い、硫酸中、酸化水銀を用いて3,3,3−トリフルオロプロピオン酸に変換する方法が開示されている。非特許文献5では、3-ブロモ-1-プロペンを臭化トリフルオロメチルカドミニウムでトリフルオロメチル化し、次いで過マンガン酸カリウムとクラウンエーテルを用いて酸化し、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造する方法が開示されている。非特許文献6では、パーフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペンとトリフルオロメチルチオ銅を作用させて得た混合物の中に3,3,3−トリフルオロプロピオン酸があったと報告している。
非特許文献7では、酢酸t−ブチルのt−ブチルジメチルシリルエノールエーテルに対して、ヨウ化トリフルオロメチルをラジカル付加させることによって、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造する方法が開示されている。特許文献1では、トリフルオロメチルマロン酸ジメチルから、臭化水素酸や塩酸を用いて3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造する例や、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルから3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造する例が開示されている。
3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化して3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得る技術としては、Oxone(登録商標)(2KHSO5・K2SO4・KHSO4)を酸化剤として用いる例が知られている(特許文献2)。
一方、本発明に関連する技術として、上記特許文献2において3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の原料として用いられている3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドの製法について、種々の報告が行われている。
非特許文献8には3,3,3−トリフルオロプロペンを硝酸水銀(II)と氷酢酸などを用いて3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノールへと誘導し、これをクロム酸ナトリウムにより3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドに酸化する方法が開示されている。また特許文献3において、3,3,3−トリフルオロプロペンをパラジウム塩の存在下、水と反応させることで3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されている。非特許文献9にはヨウ化トリフルオロメチルをエチルビニルエーテルに付加させ、加水分解することによって3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されている。特許文献4においては、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを、パラジウム塩と酢酸ナトリウム、そして氷酢酸を用いて酢酸3,3,3−トリフルオロプロペニルへと変換し、これを加水分解することによって3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されている。
特許文献5においては、アルキル 3,3,3−トリフルオロプロペニルエーテルを、ヨウ化水素酸水溶液を用いて加水分解して3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されている。特許文献6では1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを、Rが炭素数1〜4のアルコール(ROH)中で反応させ、CF3CH=CHORもしくはCF3CH(OR)2へと変換し、引き続いて特許文献5の方法と同様に、加水分解して3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されている。特許文献2では、酢酸ビニルへの塩化トリフルオロメタンスルホニルの付加により、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロピルアセテートを製造し、これを硫酸で加水分解して3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されている。
また、非特許文献10では、トリフルオロメチル基含有エナミンであるジメチル−[1−(2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロペニル)]アミンを硫酸マグネシウム水和物存在下28日間反応させて3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されている。
特開2004−115377号公報
特表2003−522743号公報
特開昭63−63633号公報
米国特許5,777,184号明細書
米国特許2,715,144号明細書
米国特許6,111,139号明細書
Journal of Chemical and Engineering Data、第16巻、第3号、376頁〜377頁、1971年(米国)
Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii 、第10号、1321頁〜1324頁、1973年(ロシア国)
Journal of Fluorine Chemistry、第21巻、99頁〜106頁、1982年(オランダ国)
Acta Chemica Scandinavica、第43巻、69頁〜73頁、1989年(スウェーデン国)
Journal of Chemical Society, Perkin Transaction 1、2147頁〜2149頁、1991年(英国)
Journal of Fluorine Chemistry、第63巻、253頁〜264頁、1993年(オランダ国)
Tetrahedron Letters、第37巻、第11号、1829頁〜1832頁、1996年(英国)
Journal of Fluorine Chemistry、第30巻、153頁〜158頁 1985年(オランダ国)
Zhurnal Organicheskoi Khimii、第25巻、第7号、1376頁〜1380頁 1989年(ソ連)
Izvestiya Akademii Nauk、Seriya Khimicheskaya、第5号、1069頁〜1071頁 1997年(ロシア国)
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造する方法に関して、これまで知られている方法は、小規模で行うには有利であるが、高価な原料を必要とし、取扱いの難しい試薬を用いるなどの問題があった。
非特許文献1の方法はフッ素化剤であるSF4の反応性が高く、取扱いが困難であり、非特許文献2、非特許文献3および非特許文献4の方法は、工程が多段階にわたるという問題がある。さらに非特許文献4の方法は、酸化水銀を使用し、非特許文献5では、臭化トリフルオロメチルカドミニウムを使用しており、工業的な使用には制限がある。非特許文献6の方法は、入手が困難なトリフルオロメチルチオ銅を使用している上、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸が主生成物ではないという問題がある。非特許文献7の方法は、高価なヨウ化トリフルオロメチルを使用することが求められる。特許文献1の方法は、原料である1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルおよびトリフルオロメチルマロン酸ジメチルが高価であることから、工業的に有利な方法とは言えない。
特許文献2の方法は、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化して3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得る例であるが、使用される酸化剤であるOxone(登録商標)(2KHSO5・K2SO4・KHSO4)は高価であり、しかも反応性が高く取扱いが困難であるため、工業的に採用するのは困難である。
一方、上記特許文献2で用いられている3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化して3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造する技術が確立すれば、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドは、当化合物製造の有用な中間原料になる。しかしながら、この3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを製造する方法についても多数の例が知られているものの、いずれも工業的な製造には問題がある。
非特許文献8の方法は水銀やクロム酸等有害な薬品を使用し、特許文献3及び特許文献4の方法は高価なパラジウム塩を大量に必要とする。特許文献5の方法も、高価なヨウ化トリフルオロメチルを使用し、特許文献5の方法は、腐食性が高く取扱いが困難なヨウ化水素酸を使用している。特許文献6の方法も、安価な出発原料を使用しているものの、加水分解の際に高価な長鎖のアルカン酸(ヘキサン酸)を使用しており、特許文献2の方法は高価な塩化トリフルオロメタンスルホニルを必要とする。非特許文献10の方法は、トリフルオロメチル基含有エナミン類を3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドに変換している数少ない例であるが、反応に28日間もかかるうえ、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドが主生成物ではないという問題がある。
このように、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の安価で工業的生産に適する製造方法を確立することが課題であった。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた。その結果、工業的に容易に、しかも安価で入手できる、式[1]で表される1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン
を出発原料として、3工程を経て、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を製造するための優れた方法を見出した。すなわち、上記1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、式[2]で表される環状2級アミン
と容易に反応し、式[3]で表わされる、トリフルオロメチル基含有エナミン
を高収率で生成することを見出した(第一工程)。
(式[1]中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、炭素数1〜4のパーフルオロアルカンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、またはアリールスルホネート基を表す。
(式[1]中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、炭素数1〜4のパーフルオロアルカンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、またはアリールスルホネート基を表す。
式[2]中、Aは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、CR1R2基(ここでR1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、SiR3R4基(ここでR3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、NR5基(ここでR5は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、PR6基(ここでR6は、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、またはBR7基(ここでR7は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)を表し、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数を表す。
式[3]中、A、mおよびnの意味は、式[2]に同じ。)
通常、1−ハロゲノプロペンのような、フッ素を有していないビニルハライド類のハロゲンは不活性であり、窒素原子と容易に置換しない。しかしながら、電子吸引性のトリフルオロメチル基を有する1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン類は意外にも、環状2級アミンとの間に高い反応性を示し、上記トリフルオロメチル基含有エナミンを高収率で生成することが判明した。
式[3]中、A、mおよびnの意味は、式[2]に同じ。)
通常、1−ハロゲノプロペンのような、フッ素を有していないビニルハライド類のハロゲンは不活性であり、窒素原子と容易に置換しない。しかしながら、電子吸引性のトリフルオロメチル基を有する1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン類は意外にも、環状2級アミンとの間に高い反応性を示し、上記トリフルオロメチル基含有エナミンを高収率で生成することが判明した。
この1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン類におけるハロゲンの置換反応は、メチルアミンやジエチルアミン、トリエチルアミンのような、通常の直鎖状あるいは分岐鎖の1級〜3級アミン、さらにはピリジンのような環状3級アミンでは進行せず、式[2]で表される「環状2級アミン」を用いた場合に特異的に進行する反応であることがわかった。
発明者らはさらに、このようにして得られた、式[3]で表わされる、トリフルオロメチル基含有エナミンが、酸性条件下、容易に加水分解を受けて、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドに変換することを見出した(第二工程)。
得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドは、特許文献6に示された通り、酸化剤によって酸化することによって、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオン酸に変換し(第三工程)、本発明の目的を達することができる。
なお、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化する方法として、前記特許文献2に示された方法は、取扱いの難しい過硫酸系の酸化剤を用いる点で、工業的には必ずしも満足のいくものでなかった。しかしながら、発明者らは、この酸化反応のために、安価で、取扱いの負荷も少ない硝酸を好適に使用できることを見出した。この結果として、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化して、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸に変換することも、従来よりも格段に容易なものとなった。
上記、第一工程〜第三工程の反応とも、分離の難しい副生物をほとんど生成せず、有害な廃棄物も生じず、従来の方法に比較して、工業的規模で実施する上で、特に好適な方法であることがわかった。この結果、工業的に安価で入手できる、式[1]で表される1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンを出発原料として、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオン酸が、従来よりも格段に有利に製造できることとなり、本発明の完成に到達した。
すなわち本発明は、次の三工程からなる、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法を提供する。
第一工程:式[1]で表される1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン
第一工程:式[1]で表される1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン
と、式[2]で表される環状2級アミン
を反応させて、式[3]で表わされる、トリフルオロメチル基含有エナミン
を得る工程。
第二工程:第一工程で得られたトリフルオロメチル基含有エナミンを、酸性条件下、加水分解して、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを得る工程。
第三工程:第二工程で得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化剤によって酸化し、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得る工程。
(式[1]中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、炭素数1〜4のパーフルオロアルカンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、またはアリールスルホネート基を表す。
第二工程:第一工程で得られたトリフルオロメチル基含有エナミンを、酸性条件下、加水分解して、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを得る工程。
第三工程:第二工程で得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化剤によって酸化し、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得る工程。
(式[1]中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、炭素数1〜4のパーフルオロアルカンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、またはアリールスルホネート基を表す。
式[2]中、Aは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、CR1R2基(ここでR1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、SiR3R4基(ここでR3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、NR5基(ここでR5は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、PR6基(ここでR6は、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、またはBR7基(ここでR7は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)を表し、mおよびnはそれぞれ独立に、1〜3の整数を表す。
式[3]中、A、mおよびnの意味は式[2]に同じ。)
また本発明は、上記方法において、1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFC−1233zd)(トランス体もしくはシス体、あるいはトランス体とシス体の混合物)であることを特徴とする、上記の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法を提供する。
また本発明は、上記方法において、1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFC−1233zd)(トランス体もしくはシス体、あるいはトランス体とシス体の混合物)であることを特徴とする、上記の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法を提供する。
また本発明は、上記方法において、環状2級アミンが次の式[4]で表される環状2級アミン
(式[4]中、Eは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、CR1R2基(ここでR1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、SiR3R4基(ここでR3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、NR5基(ここでR5は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、PR6基(ここでR6は、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、またはBR7基(ここでR7は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)を表す。)
であることを特徴とする、上記の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法を提供する。
であることを特徴とする、上記の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法を提供する。
また本発明は、上記方法において、環状2級アミンがピペリジンであることを特徴とする、上記に記載の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法を提供する。
また本発明は、上記の何れかにおいて、環状2級アミンがモルホリンであることを特徴とする、上記に記載の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法を提供する。
また本発明は、上記方法において、第三工程において用いられる酸化剤が硝酸であることを特徴とする、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法を提供する。
さらに本発明は、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを硝酸によって酸化することを特徴とする3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法を提供する。
本発明によれば、安価で入手できる1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンから、少ない工程数で簡便に、しかも良好な収率で、医薬・農薬の中間体として、また含フッ素重合体等の機能性材料の製造原料または合成中間体として有用な、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を工業的規模で製造できるという効果を奏する。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明は、次の三つの工程(第一工程〜第三工程)よりなる。
第一工程:式[1]で表される1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、式[2]で表される環状2級アミンとを反応させて、式[3]で表わされる、トリフルオロメチル基含有エナミンを得る工程。
第二工程:第一工程で得られたトリフルオロメチル基含有エナミンを酸性条件下、加水分解して、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを得る工程。
第三工程:第二工程で得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを、酸化剤によって酸化し、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得る工程。
第一工程:式[1]で表される1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、式[2]で表される環状2級アミンとを反応させて、式[3]で表わされる、トリフルオロメチル基含有エナミンを得る工程。
第二工程:第一工程で得られたトリフルオロメチル基含有エナミンを酸性条件下、加水分解して、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを得る工程。
第三工程:第二工程で得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを、酸化剤によって酸化し、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得る工程。
これら第一工程〜第三工程の関係を図示すると、次のスキームのようになる。
まず、第一工程について、詳細に説明する。第一工程は、式[1]で表される1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンを、式[2]で表される環状2級アミンと反応させて、式[3]で表されるトリフルオロメチル基含有エナミンを得る工程である。上述のように、このような方法でトリフルオロメチル基含有エナミン類を製造する方法はこれまで知られていなかった。本工程は、工業的に容易に、しかも安価で入手できる1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンを出発原料とし、環状2級アミンを用いた場合に特異的にトリフルオロメチル基含有エナミンを製造できるという、本発明の根幹を成す特徴的な工程である。
この第一工程で使用される、式[1]で表される1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンとしては、具体的に(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−ヨード−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−ヨード−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−フルオロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−フルオロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−トリフルオロメタンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−トリフルオロメタンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−ペンタフルオロエタンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−ペンタフルオロエタンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−(1−ノナフルオロブタンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−(1−ノナフルオロブタンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−メタンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−メタンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−エタンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−エタンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−(1−プロパンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−(1−プロパンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−(2−プロパンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−(2−プロパンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−(1−ブタンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−(1−ブタンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−ベンゼンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−ベンゼンスルホニル−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−(o−トルエンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−(o−トルエンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−(m−トルエンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−(m−トルエンスルホニル)−3,3,3−トリフルオロプロペン等を挙げることができる。
この中で入手の容易さから、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(E)−1−フルオロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、(Z)−1−フルオロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが好ましく、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが特に好ましい。
尚、上述した種々の1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンは単独で用いても良いし、各種の混合物を用いても良い。特に、トランス体とシス体は混合していても問題は無い。特定の環状2級アミンを使用した場合、トランス体とシス体のいずれを用いても、ほとんど選択的にトランス体のトリフルオロメチル基含有エナミンが生成する。
従って、上述したように、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、それぞれ工業的に入手が容易であり、安価であるため、出発原料として特に好ましいが、これらトランス体とシス体はそれぞれ単独で用いても良いし、混合物の状態で用いても良い。
この1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造法によっては、トランス体とシス体の混合物が生じるため、これを蒸留等で精製・分離してトランス体とシス体が供給されているが、本発明による方法では、トランス体とシス体の混合物をそのまま使用できるため、さらに安価に原料を調達できるという特徴を有する。
一方、式[2]で表される環状2級アミンとしては、特に次の式[4]で表される6員環の環状2級アミンが好ましい反応性を示す。
具体的に、モルホリン、チオモルホリン、セレノモルホリン、テルロモルホリン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、3-メチルアゼチジン、3-メチルピロリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、3−メチルヘキサメチレンイミン、4−メチルヘキサメチレンイミン、3−メチルヘプタメチレンイミン、4−メチルヘプタメチレンイミン、3-エチルアゼチジン、3-エチルピロリジン、3−エチルピペリジン、4−エチルピペリジン、3−エチルヘキサメチレンイミン、4−エチルヘキサメチレンイミン、3−エチルヘプタメチレンイミン、4−エチルヘプタメチレンイミン、イミダゾリジン、1−メチルイミダゾリジン、2−メチルイミダゾリジン、ピペラジン、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、ホモピペラジン、1−メチルホモピペラジン、1−エチルホモピペラジン等が例示できるがこれらに限られない。これらの内で、入手の容易さからモルホリン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、3-メチルピロリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、ピペラジン、1−メチルピペラジンが好ましく、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンが、特に優れた反応性を示すため、特に好ましい。これらの中でも安価なピペリジン、モルホリンがさらに好ましい。
第一工程の反応には、反応時に生成するハロゲン化水素を中和するための受酸剤として、塩基性物質が必要である。系内に別途の塩基性物質が存在しない場合、上述の「環状2級アミン」がこの受酸剤としての機能も兼ねる。これに対し、受酸剤として、別途塩基性物質が共存する場合には、「環状2級アミン」は反応基質としてのみ作用する。
まず、他に塩基性物質を共存させず、「環状2級アミン」のみを用いる場合について説明する。この場合、前記、式[1]で表わされる1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン類1モル当たり、2モル以下の環状アミンを使用した場合には、理論的に半分が反応基質として作用し、半分が受酸剤として作用する。2モル以上使用した場合には、理論的には1モルが反応基質として作用し、もう1モルが受酸剤として作用し、残りは溶媒として作用する。
環状2級アミンの使用量は、前記、式[1]で表わされる1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン類1モルに対して、通常1.8モル〜20モルであり、好ましくは2.0モル〜10モル、更に好ましくは2.0モル〜6.0モルである。
このように、系内に別途の塩基性物質が存在しない場合、目的物の収率を高めるためには、比較的高価な「環状2級アミン」を過剰量、要求されることが多い。しかし、第一工程において過剰量の環状2級アミンを使用したとしても、第一工程の反応が終了した後、未反応の環状2級アミンは適当な方法(蒸留等)によって、高純度、高回収率で回収できる。また目的物が3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドである場合は、第一工程が完了した後、敢えて単離精製を行わず、未反応の環状2級アミンが共存する状態で、下記の第二工程(酸の存在下における加水分解)を実施することもできる。この場合、第二工程が終了した後、生成した3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを蒸留等で分離し、その後、残渣液に無機塩基等の塩基を加え、未反応の環状2級アミンを水相から二層分離させて回収することができる。こうして回収された環状2級アミンは、次バッチにおいて再利用することができる。
次いで、受酸剤として別途、塩基性物質を添加する場合について説明する。受酸剤としては、上述の「環状2級アミン」を除く塩基性物質であれば特に制限は無いが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど無機塩基の他、トリエチルアミン、ジエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等の有機塩基を例示することができる。好ましくは、無機塩基が用いられ、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムは安価であり、反応性も良好なので特に好ましく用いられる。
受酸剤の使用量に特別な制限はないが、通常、1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン類に対して0.8モル〜1.2モルであり、好ましくは0.9モル〜1.1モルである。上述したとおり、この場合、環状2級アミンは反応基質としてのみ作用するため、過剰に使用する必要はなく、その使用量は、通常、1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン類に対して0.8モル〜1.2モルであり、好ましくは0.9モル〜1.1モルである。勿論これ以上用いても反応性に影響することはないが、生産性の観点から好ましくない。
第一工程の反応は通常窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行われる。圧力については特に制限はないが、不活性ガスを封入して密閉しておいてもよいし、不活性ガスの加圧下で行ってもよい。好ましくは大気圧下で反応が行われる。反応時間については、特に制限はないが、ガスクロマトグラフィー等で反応の進行状況を確認し、終点に近づいたことを確認した後、反応工程を終了することが好ましい。
溶媒に関しては、環状アミンを塩基兼溶媒として用いるのが好ましいが、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトン等のアルキルケトン類、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒等、もしくは水が例示できる。
反応温度は、通常、-50℃〜100℃、好ましくは-10℃〜100℃で、さらに好ましくは、-5℃〜60℃の範囲である。
反応終了後、反応溶液を直接蒸留する方法や、副生する固体をろ過して、得られる溶液を蒸留する方法、あるいは、水または氷水を加えた後、有機溶媒による抽出操作及びそれに続く蒸留等の通常の手段により、目的とする式[3]で表わされる、トリフルオロメチル基含有エナミンを単離することができる。ただし、第二工程を行う上では、トリフルオロメチル基含有エナミンを敢えて単離することなく、第一工程で得られた反応混合物をそのまま第二工程に使用することも可能である。
次に、本発明の第二工程について説明する。本発明の第二工程は、第一工程で得られた式[3]で表わされるトリフルオロメチル基含有エナミンを、酸の存在下、加水分解して、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを得る工程である。
この第二工程に用いるトリフルオロメチル基含有エナミンとしては、第一工程終了後、反応液を精製操作に付して単離したものを用いることができるが、単離精製操作を行うことなく、続けて第二工程に使用することもできる。単離精製せずに用いる場合、第一工程と同一の反応器を用いて連続的に第二工程を実施することも可能である。
また、第一工程の反応終了後に、析出した塩等の固体を濾別し、得られた濾液から過剰な受酸剤または溶媒等を留去しただけのトリフルオロメチル基含有エナミン類粗体を第二工程の加水分解に供することもできる。
第二工程の加水分解において用いられる酸は、ブレンステッド酸であれば特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、珪酸、臭化水素酸、ホウ酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、クロトン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸を例示することができる。好ましくは、無機酸が用いられ、特に、塩酸、硫酸、硝酸が好ましく用いられる。その使用量は、使用する酸の価数により変化するが、例えば1価の酸の場合、第一工程で得られた一般式[3]で表わされる、トリフルオロメチル基含有エナミン類1モルに対して、酸の使用量は、1モル以上であり、好ましくは、1〜5モルである。また、2価の酸の場合、第一工程で得られた一般式[3]で表わされる、トリフルオロメチル基含有エナミン1モルに対して、酸の使用量は、0.5モル以上であり、好ましくは、0.5〜2.5モルである。
未反応の環状2級アミンが残存した状態でそのまま第二工程を行う場合には、上記酸の量に、環状2級アミンを中和するのに要する量を加算する。
本工程に用いられる水の使用量は、基質である一般式[3]で表わされる、トリフルオロメチル基含有エナミン1モルに対して、1モル以上であれば特に制限はないが、好ましくは1〜1000モルであり、更に好ましくは1〜100モルである。それ以上用いても良いが、容積あたりの収量が減るので好ましくない。また、上述した酸の中に水が含まれている場合はその水を使用しても良い。
また、本工程における酸の濃度に関して特に限定は無いが、10%〜90%が好ましい。
本工程は、反応溶媒を使用せずに行うことが好ましいが、場合によっては使用することもできる。使用される溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類等が例示できる。
反応温度は特に限定されないが、通常、−50℃〜+250℃、好ましくは−20℃〜+200℃で、さらに好ましくは−10℃〜+150℃の範囲である。
反応後の処理は特に限定されないが、反応液を直接蒸留する方法や、有機溶媒による抽出操作及び蒸留等の通常の手段により、第二工程で目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを得ることができる。
なお、上述のように、第二工程終了時の反応液に、第一工程の原料である、未反応の環状2級アミンが塩の状態で残存する場合は、例えば、反応液を蒸留した残渣に無機塩基水溶液を加えることによって、環状2級アミンを水相と二層分離させて回収し、再利用することができる。
次に本発明の第三工程について説明する。第三工程は、第二工程で得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを、酸化剤によって酸化し、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得る工程である。
この第三工程は、第二工程で得られた反応混合物をそのまま原料として使用することも可能であるが、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを単離するかまたは、過剰の塩基及び副生する塩を分離してから原料に供する方が、良好な反応性が得られるので、好ましい。
第三工程に使用される酸化剤としては、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、重クロム酸カリウム、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、前述のOxone(登録商標)(2KHSO5・K2SO4・KHSO4)等の過硫酸系酸化剤など、過酸系統の酸化剤が好ましい。
ここで、本発明者らは、第三工程を行うに際して、硝酸を非常に好適に用いることができることができることを見出した。硝酸は上述の過酸類に比較して安価であり、かつ大量での取扱いも容易な試薬である。したがって、本発明の第三工程は硝酸を酸化剤として用いることが特に好ましい。
硝酸としては、通常、30%以上の濃度の硝酸が使用されるが、生産性及び経済性を考慮すると好ましくは50〜90%であり、更に好ましくは60〜70%である。
硝酸の使用量は上記、第二工程で得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒド1モルに対して、通常1モル以上である。好ましくは1〜5モルであり、更に好ましくは1〜2モルである。それ以上用いても良いが、生産性及び経済性を考慮すると好ましくない。
反応温度は、通常、−10℃〜100℃、好ましくは−5℃〜70℃で、さらに好ましくは0℃〜50℃の範囲である。
また、硝酸を酸化剤として用いる場合、酸化反応をより円滑に行うために亜硝酸塩を共存させるのが好ましい。亜硝酸塩の使用量は硝酸1モルに対して、通常0.5〜20モル%であり、好ましくは1〜15モル%、更に好ましくは、2〜10モル%である。使用される亜硝酸塩としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムが好ましい。
第三工程の反応は通常大気中、大気圧下で行われる。反応時間については、特に制限はなく、ガスクロマトグラフィー等で反応の進行状況を確認し、終点に近づいたことを確認した後、反応工程を終了することが好ましい。
第三工程の反応形態に特別な制限はないが、原料である3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドと酸化剤を逐次的に、もしくは連続的に混合するのが、反応の制御が容易であり、好ましい。
反応後の処理は特に限定されないが、反応液を有機溶媒と接触させ、目的物を有機相に抽出した後、蒸留等の通常の手段に付して、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得ることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施態様に限られない。ここで、組成分析値の「%」とは、生成ガスを直接ガスクロマトグラフィーによって測定して得られた組成の「面積%」を表す。
[実施例1](E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジンの製造(1)(環状2級アミン類を反応基質及び受酸剤として利用する場合)
3000mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン1305g(15.3mol)(4.0当量)、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 500g(3.83mol) (1.0当量)を加え、反応温度10℃〜20℃で3時間攪拌した。白色固体を濾過し、得られた濾液を減圧蒸留(80−81℃/2.4kPa)し、純度99%の(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン 439gを収率63%で得た。
((E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジンの物性)
1H-NMRスペクトル(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.5-1.6 (6H, m), 2.99 (4H, m), 4.26 (1H, dq, J=13.7, 6.4 Hz), 6.60 (1H, dq, J=13.7, 1.5 Hz).
19F-NMRスペクトル(400MHz,CDCl3):-56.6 ppm(3F, br d, J=6.0 Hz) (CFCl3=0 ppm)
[実施例2](E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジンの製造(2)(環状2級アミン類を反応基質及び受酸剤として利用する場合)
300mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン130.5g(1.53mol)(4.0当量)、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 50g(0.38mol) (1.0当量)を加え、反応温度10℃〜20℃で3時間攪拌した。白色固体を濾過した。得られた濾液から過剰ピペリジンを留去し、(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン 64.5gを収率95%(GC純度95%)で得た。
3000mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン1305g(15.3mol)(4.0当量)、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 500g(3.83mol) (1.0当量)を加え、反応温度10℃〜20℃で3時間攪拌した。白色固体を濾過し、得られた濾液を減圧蒸留(80−81℃/2.4kPa)し、純度99%の(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン 439gを収率63%で得た。
((E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジンの物性)
1H-NMRスペクトル(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.5-1.6 (6H, m), 2.99 (4H, m), 4.26 (1H, dq, J=13.7, 6.4 Hz), 6.60 (1H, dq, J=13.7, 1.5 Hz).
19F-NMRスペクトル(400MHz,CDCl3):-56.6 ppm(3F, br d, J=6.0 Hz) (CFCl3=0 ppm)
[実施例2](E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジンの製造(2)(環状2級アミン類を反応基質及び受酸剤として利用する場合)
300mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン130.5g(1.53mol)(4.0当量)、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 50g(0.38mol) (1.0当量)を加え、反応温度10℃〜20℃で3時間攪拌した。白色固体を濾過した。得られた濾液から過剰ピペリジンを留去し、(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン 64.5gを収率95%(GC純度95%)で得た。
[実施例3](E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジンの製造(3)(環状2級アミン類を反応基質及び受酸剤として利用する場合)
300mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン130.5g(1.53mol)(4.0当量)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス体とシス体の混合物;混合モル比:トランス体:シス体=65:35) 50g(0.38mol) (1.0当量)を加え、反応温度10℃〜20℃で3時間攪拌した。白色固体を濾過した。得られた濾液から過剰ピペリジンを留去し、(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン 62.0gを収率91%(GC純度94%)で得た。
300mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン130.5g(1.53mol)(4.0当量)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス体とシス体の混合物;混合モル比:トランス体:シス体=65:35) 50g(0.38mol) (1.0当量)を加え、反応温度10℃〜20℃で3時間攪拌した。白色固体を濾過した。得られた濾液から過剰ピペリジンを留去し、(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン 62.0gを収率91%(GC純度94%)で得た。
[実施例4](E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジンの製造(4)(環状2級アミン類を反応基質として用い、別途受酸剤として塩基性物質を使用する場合)
10mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン0.65g(7.6mmol)(1.0当量)、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 1g(7.6 mmol)(1.0当量)、水酸化ナトリウム307mg(7.6mmol)(1.0当量)を加え、反応温度30℃で5時間攪拌した。白色固体を濾過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、得られた濾液を減圧蒸留(80−81℃/2.4kPa)し、目的の(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン(収量960mg、収率70%、純度95%)を淡黄色液体として得た。
10mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン0.65g(7.6mmol)(1.0当量)、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 1g(7.6 mmol)(1.0当量)、水酸化ナトリウム307mg(7.6mmol)(1.0当量)を加え、反応温度30℃で5時間攪拌した。白色固体を濾過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、得られた濾液を減圧蒸留(80−81℃/2.4kPa)し、目的の(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン(収量960mg、収率70%、純度95%)を淡黄色液体として得た。
[実施例5]3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドの製造(1)
100mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷浴下、[実施例1]で得られた(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン10.0g(0.056mol)(1.0当量)、濃硫酸 5.5g(0.056 mol) (1.0当量)、水5.5gを加え、1時間攪拌した。得られた反応液を常圧にて蒸留し(沸点55℃)、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒド(収量5.6g、収率89%、純度98%)を得た。
100mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷浴下、[実施例1]で得られた(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン10.0g(0.056mol)(1.0当量)、濃硫酸 5.5g(0.056 mol) (1.0当量)、水5.5gを加え、1時間攪拌した。得られた反応液を常圧にて蒸留し(沸点55℃)、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒド(収量5.6g、収率89%、純度98%)を得た。
[実施例6]3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドの製造(2)
200mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン85.1g(1.00mol)(4.0当量)、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 33.0g(0.25mol) (1.0当量)を加え、反応温度10℃〜20℃で3時間攪拌した。白色固体を濾過し、得られた濾液を減圧蒸留(38−41℃/11kPa)し、純度99%のピペリジン33.6gと40.0gの蒸留釜残を回収した。蒸留釜残をガスクロマトグラフィーにて分析すると(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジンの含有率は99%であった。
200mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピペリジン85.1g(1.00mol)(4.0当量)、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 33.0g(0.25mol) (1.0当量)を加え、反応温度10℃〜20℃で3時間攪拌した。白色固体を濾過し、得られた濾液を減圧蒸留(38−41℃/11kPa)し、純度99%のピペリジン33.6gと40.0gの蒸留釜残を回収した。蒸留釜残をガスクロマトグラフィーにて分析すると(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジンの含有率は99%であった。
次いで氷浴下、上記で得られた(E)−1−(3,3,3−トリフルオロプロペニル)−ピペリジン40.0g(0.22mol)(1.0当量)、50%硫酸 22g(0.11 mol) (0.5当量)を窒素置換した100mlメカニカルスターラー付きガラス反応器に加え、徐々に昇温し、25℃で1時間攪拌した。得られた反応液を常圧にて蒸留し(沸点55℃)、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒド(収量19.3g、収率77.5%。純度99%)を得た。
[実施例7]3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドの製造(3)
500mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷浴下、ピペリジン81.5g(0.958mol)(2.5当量)、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 50g(0.383 mol) (1.0当量)を加え、反応温度30℃で5時間攪拌した。続いて、反応液を0℃に冷却し、35%塩酸60g(0.575mol)(1.5当量)を1時間かけて滴下した(pH<1)。このフラスコに、蒸留塔、冷却管、受けフラスコを取り付け、常圧にて蒸留を行い(沸点55℃)、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒド(収量32g、収率74%、純度98%)を得た。
500mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷浴下、ピペリジン81.5g(0.958mol)(2.5当量)、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン 50g(0.383 mol) (1.0当量)を加え、反応温度30℃で5時間攪拌した。続いて、反応液を0℃に冷却し、35%塩酸60g(0.575mol)(1.5当量)を1時間かけて滴下した(pH<1)。このフラスコに、蒸留塔、冷却管、受けフラスコを取り付け、常圧にて蒸留を行い(沸点55℃)、目的とする3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒド(収量32g、収率74%、純度98%)を得た。
[実施例8]3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造
マグネチックスターラー、冷却管(開放系)を備えた50mlガラスフラスコに、氷浴下、60%硝酸14.1g(0.13mol)(1.44当量)、亜硝酸ナトリウム0.1g(8.9mmol)(10モル%)を添加し、攪拌下、実施例6により得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒド10g(0.09mol)(1.0当量)を1時間かけて滴下した。氷冷下1時間攪拌後、室温で2時間攪拌した。反応混合液に上水20g加え、ジイソプロピルエーテルで有機物を分液ロートにて抽出した(40mlでの抽出を2回)。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒留去(40℃、6.66kPa)した後、常圧蒸留(沸点(塔頂温度)136℃)し、目的の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸(収量6.9g、収率61%、純度94%)を得た。
マグネチックスターラー、冷却管(開放系)を備えた50mlガラスフラスコに、氷浴下、60%硝酸14.1g(0.13mol)(1.44当量)、亜硝酸ナトリウム0.1g(8.9mmol)(10モル%)を添加し、攪拌下、実施例6により得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒド10g(0.09mol)(1.0当量)を1時間かけて滴下した。氷冷下1時間攪拌後、室温で2時間攪拌した。反応混合液に上水20g加え、ジイソプロピルエーテルで有機物を分液ロートにて抽出した(40mlでの抽出を2回)。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒留去(40℃、6.66kPa)した後、常圧蒸留(沸点(塔頂温度)136℃)し、目的の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸(収量6.9g、収率61%、純度94%)を得た。
Claims (7)
- 次の三工程からなる、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法。
第一工程:式[1]で表される1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペン
第二工程:第一工程で得られたトリフルオロメチル基含有エナミンを、酸の存在下、加水分解して、3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを得る工程。
第三工程:第二工程で得られた3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを酸化剤によって酸化し、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸を得る工程。
(式[1]中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、炭素数1〜4のパーフルオロアルカンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、またはアリールスルホネート基を表す。
式[2]中、Aは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、CR1R2基(ここでR1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、SiR3R4基(ここでR3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、NR5基(ここでR5は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、PR6基(ここでR6は、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、またはBR7基(ここでR7は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)を表し、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数を表す。
式[3]中、A、mおよびnの意味は、式[2]に同じ。) - 請求項1において、1−ハロゲノ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFC−1233zd)(トランス体もしくはシス体、あるいはトランス体とシス体の混合物)であることを特徴とする、請求項1に記載の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法。
- 環状2級アミンが次の式[4]で表される環状2級アミン
(式[4]中、Eは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、CR1R2基(ここでR1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、SiR3R4基(ここでR3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、NR5基(ここでR5は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、PR6基(ここでR6は、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、またはBR7基(ここでR7は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)を表す。) - 環状2級アミンがピペリジンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法。
- 環状2級アミンがモルホリンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法。
- 第三工程において用いられる酸化剤が硝酸であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法。
- 3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒドを硝酸によって酸化することを特徴とする3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の製造方法。
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