明 細 書
3, 3, 3—トリフルォロプロピオン酸の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、医薬'農薬の中間体として、また含フッ素重合体等の機能性材料の製造 原料または合成中間体として有用な 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオン酸の製造方法 に関する。
発明の背景
[0002] 3, 3, 3 トリフルォロプロピオン酸は、医薬'農薬の中間体として、また含フッ素重 合体等の機能性材料の製造原料または合成中間体として極めて重要な化合物であ るため、これまで多くの製造方法が報告されてきた。
[0003] 非特許文献 1では、マロン酸モノェチルエステルのカルボン酸部位を四フッ化硫黄
(SF )を用いてトリフルォロメチル基へと変換し、エステル部位を加水分解することに よって 3, 3, 3—トリフルォロプロピオン酸を製造する方法が開示されている。非特許 文献 2では、多段階の複雑な反応を経て CF CH COOSO OHを得た後に、これを 加水分解して 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオン酸を製造する方法が開示されている。 非特許文献 3では、シクロへキサンカルボン酸と 1, 1—ジフルォロエチレンを出発原 料に用い、 4段階で 3, 3, 3_トリフルォロプロピオン酸を製造する方法が開示されて いる。
[0004] 非特許文献 4では、トリフルォロ酢酸ェチルを出発原料に用レ、、硫酸中、酸化水銀 を用いて 3, 3, 3_トリフルォロプロピオン酸に変換する方法が開示されている。非特 許文献 5では、 3 _ブロモ _ 1 _プロペンを臭化トリフルォロメチルカドミニゥムでトリフ ルォロメチル化し、次いで過マンガン酸カリウムとクラウンエーテルを用いて酸化し、 3 , 3, 3 _トリフルォロプロピオン酸を製造する方法が開示されている。非特許文献 6で は、パーフルオロー 2—(トリフルォロメチル)プロペンとトリフルォロメチルチオ銅を作 用させて得た混合物の中に 3, 3, 3—トリフルォロプロピオン酸があったと報告してい る。
[0005] 非特許文献 7では、酢酸 t ブチルの tーブチルジメチルシリルエノールエーテルに
対して、ヨウ化トリフルォロメチルをラジカル付加させることによって、 3, 3, 3—トリフノレ ォロプロピオン酸を製造する方法が開示されている。特許文献 1では、トリフルォロメ チルマロン酸ジメチルから、臭化水素酸や塩酸を用いて 3, 3, 3—トリフルォロプロピ オン酸を製造する例や、 1, 1 , 3, 3, 3 _ペンタフルォ口— 2_トリフルォロメチルプロ ピルメチルエーテルから 3, 3, 3_トリフルォロプロピオン酸を製造する例が開示され ている。
[0006] 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドを酸化して 3, 3, 3 _トリフルォロプロピ オン酸を得る技術としては、 Oxone (登録商標)(2KHSO ·Κ SO 'KHS〇)を酸化 剤として用いる例が知られている(特許文献 2)。
[0007] 一方、本発明に関連する技術として、上記特許文献 2において 3, 3, 3 _トリフルォ 口プロピオン酸の原料として用いられている 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒ ドの製法について、種々の報告が行われている。
[0008] 非特許文献 8には 3, 3, 3—トリフルォロプロペンを硝酸水銀 (II)と氷酢酸などを用 いて 3, 3, 3—トリフルォロ一 1—プロパノールへと誘導し、これをクロム酸ナトリウムに より 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドに酸化する方法が開示されている。ま た特許文献 3において、 3, 3, 3—トリフルォロプロペンをパラジウム塩の存在下、水 と反応させることで 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示 されている。非特許文献 9にはヨウ化トリフルォロメチルをェチルビニルエーテルに付 カロさせ、加水分解することによって 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドを製造 する方法が開示されている。特許文献 4においては、 1—クロ口— 3, 3, 3—トリフルォ 口プロペンを、パラジウム塩と酢酸ナトリウム、そして氷酢酸を用いて酢酸 3, 3, 3—ト リフルォロプロぺニルへと変換し、これを加水分解することによって 3, 3, 3_トリフル ォロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されている。
[0009] 特許文献 5においては、アルキル 3, 3, 3 _トリフルォロプロぺニルエーテルを、ョ ゥ化水素酸水溶液を用いてカ卩水分解して 3, 3, 3_トリフルォロプロピオンアルデヒド を製造する方法が開示されている。特許文献 6では 1 _クロ口 _ 3, 3, 3_トリフルォ 口プロペンを、 Rが炭素数:!〜 4のアルコール(R〇H)中で反応させ、 CF CH = CH
ORもしくは CF CH (OR)へと変換し、引き続いて特許文献 5の方法と同様に、加水
分解して 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されてい る。特許文献 2では、酢酸ビニルへの塩化トリフルォロメタンスルホニルの付加により 、 1—クロ口— 3, 3, 3—トリフルォロプロピルアセテートを製造し、これを硫酸で加水 分解して 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドを製造する方法が開示されてい る。
また、非特許文献 10では、トリフルォロメチル基含有ェナミンであるジメチル— [1— (2—トリフルォロメチル _ 3, 3, 3 _トリフルォロプロぺニル)]アミンを硫酸マグネシゥ ム水和物存在下 28日間反応させて 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドを製 造する方法が開示されている。
特許文献 1:特開 2004— 115377号公報
特許文献 2:特表 2003— 522743号公報
特許文献 3 :特開昭 63— 63633号公報
特許文献 4 :米国特許 5, 777, 184号明細書
特許文献 5 :米国特許 2, 715, 144号明細書
特許文献 6 :米国特許 6, 111, 139号明細書
非特午文献 1 :Journal oi Chemical and Engineering Data、第 16卷、第 ύ 号、 376頁〜 377頁、 1971年(米国)
非特許文献 2 : Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii 、第 10号、 1321頁 〜1324頁、 1973年(ロシア国)
非特許文献 3 Journal of Fluorine Chemistry、第 21卷、 99頁〜 106頁、 198 2年 (オランダ国)
非特許文献 4 : Acta Chemica Scandinavica、第 43卷、 69頁〜 73頁、 1989年( スウェーデン国)
非特許文献 5: Journal oi Chemical Society, Perkin Transaction 1、 21 47頁〜 2149頁、 1991年(英国)
非特許文献 6 :Journal of Fluorine Chemistry、第 63卷、 253頁〜 264頁、 19 93年(オランダ国)
非特許文献 7 : Tetrahedron Letters,第 37卷、第 11号、 1829頁〜 1832頁、 19
96年 (英国)
非特許文献 8 Journal of Fluorine Chemistry、第 30卷、 153頁〜 158頁、 19 85年 (オランダ国)
非特許文献 9: Zhurnal Organicheskoi Khimii、第 25卷、第 7号、 1376頁〜 13 80頁 1989年(ソ連)
非特許文献 10 : Izvestiya Aka emii Nauk;、 Seriya Khimicheskaya、弟 5亏、 1069頁〜 1071頁 1997年(ロシア国)
発明の概要
[0011] 3, 3, 3—トリフルォロプロピオン酸を製造する方法に関して、これまで知られている 方法は、小規模で行うには有利であるが、高価な原料を必要とし、取扱いの難しい試 薬を用いるなどの問題があった。
[0012] 非特許文献 1の方法はフッ素化剤である SFの反応性が高ぐ取扱いが困難であり
、非特許文献 2、非特許文献 3および非特許文献 4の方法は、工程が多段階にわた るという問題がある。さらに非特許文献 4の方法は、酸化水銀を使用し、非特許文献 5 では、臭化トリフルォロメチルカドミニゥムを使用しており、工業的な使用には制限が ある。非特許文献 6の方法は、入手が困難なトリフルォロメチルチオ銅を使用している 上、 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオン酸が主生成物ではないという問題がある。非特 許文献 7の方法は、高価なヨウ化トリフルォロメチルを使用することが求められる。特 許文献 1の方法は、原料である 1 , 1 , 3, 3, 3 _ペンタフルォ口一 2_トリフルォロメチ ルプロピルメチルエーテルおよびトリフルォロメチルマロン酸ジメチルが高価であるこ とから、工業的に有利な方法とは言えない。
[0013] 特許文献 2の方法は、 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドを酸化して 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオン酸を得る例である力、使用される酸化剤である Oxone (登 録商標)(2KHSO ·Κ SO 'KHS〇)は高価であり、しかも反応性が高く取扱いが 困難であるため、工業的に採用するのは困難である。
[0014] 一方、上記特許文献 2で用いられている 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒド を酸化して 3, 3, 3—トリフルォロプロピオン酸を製造する技術が確立すれば、 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドは、当化合物製造の有用な中間原料になる。し
力 ながら、この 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドを製造する方法について も多数の例が知られているものの、いずれも工業的な製造には問題がある。
[0015] 非特許文献 8の方法は水銀やクロム酸等有害な薬品を使用し、特許文献 3及び特 許文献 4の方法は高価なパラジウム塩を大量に必要とする。特許文献 5の方法も、高 価なヨウ化トリフルォロメチルを使用し、特許文献 5の方法は、腐食性が高く取扱いが 困難なヨウ化水素酸を使用している。特許文献 6の方法も、安価な出発原料を使用し ているものの、加水分解の際に高価な長鎖のアルカン酸 (へキサン酸)を使用してお り、特許文献 2の方法は高価な塩化トリフルォロメタンスルホニルを必要とする。非特 許文献 10の方法は、トリフルォロメチル基含有ェナミン類を 3, 3, 3_トリフルォロプ ロピオンアルデヒドに変換している数少ない例である力 反応に 28日間も力、かるうえ、 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドが主生成物ではないという問題がある。
[0016] このように、 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオン酸の安価で工業的生産に適する製造 方法を確立することが課題であった。
[0017] 本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた。その結果、工業的に 容易に、し力も安価で入手できる、式 [1]で表される 1—ハロゲノ一 3, 3, 3—トリフル オロフ。口ペン
[化 1]
F3C、
C=CHX [ 1 ]
H を出発原料として、 3工程を経て、 目的とする 3, 3, 3—トリフルォロプロピオン酸を製 造するための優れた方法を見出した。すなわち、上記 1—ハロゲノ一3, 3, 3 _トリフ ルォロプロペンは、式 [2]で表される環状 2級ァミン
[化 2]
HN
と容易に反応し、式 [3]で表わされる、トリフルォロメチル基含有ェナミン [化 3]
(式 [1]中、 Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、炭素数 1 4のパーフル ォロアルカンスルホネート基、炭素数 1 4のアルキルスルホネート基、またはァリー ルスルホネート基を表す。
[0018] 式 [2]中、 Aは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、 CR1^基(ここで R1 および R2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数:!〜 6の直鎖、分岐鎖あるいは環状 のアルキル基を表す)、 SiR3R4基(ここで R3および R4は、それぞれ独立に水素原子、 炭素数:!〜 6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、 NR5基(ここで は 、水素原子、炭素数 1 6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、 PR6 基(ここで R6は、炭素数 1 6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基を表す)、ま たは BR7基(ここで R7は、水素原子、炭素数:!〜 6の直鎖、分岐鎖あるいは環状のァ ルキル基を表す)を表し、 mおよび nはそれぞれ独立に:!〜 3の整数を表す。
式 [3]中、 A mおよび nの定義は、式 [2]に同じ。)
[0019] 通常、 1 ロゲノプロペンのような、フッ素を有していないビュルハライド類のハロ ゲンは不活性であり、窒素原子と容易に置換しない。し力 ながら、電子吸引性のトリ フルォロメチル基を有する 1 ハロゲノー 3, 3, 3—トリフルォロプロペン類は意外に も、環状 2級ァミンとの間に高い反応性を示し、上記トリフルォロメチル基含有ェナミ ンを高収率で生成することが判明した。
[0020] この 1 ハロゲノー 3, 3, 3 トリフルォロプロペン類におけるハロゲンの置換反応 は、メチルァミンゃジェチルァミン、トリェチルァミンのような、通常の直鎖状あるいは 分岐鎖の 1級〜 3級ァミン、さらにはピリジンのような環状 3級ァミンでは進行せず、式
[2]で表される「環状 2級ァミン」を用いた場合に特異的に進行する反応であることが
わかった。
[0021] 発明者らはさらに、このようにして得られた、式 [3]で表わされる、トリフルォロメチル 基含有ェナミンが、酸性条件下、容易に加水分解を受けて、 3, 3, 3—トリフルォロプ ロピオンアルデヒドに変換することを見出した(第二工程)。
[0022] 得られた 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドは、特許文献 6に示された通り 、酸化剤によって酸化することによって、 目的とする 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオン 酸に変換し (第三工程)、本発明の目的を達すること力 Sできる。
[0023] なお、 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドを酸化する方法として、前記特許 文献 2に示された方法は、取扱いの難しい過硫酸系の酸化剤を用いる点で、工業的 には必ずしも満足のレ、くものでな力、つた。し力 ながら、発明者らは、この酸化反応の ために、安価で、取扱いの負荷も少ない硝酸を好適に使用できることを見出した。こ の結果として、 3, 3, 3—トリフノレ才ロプロピ才ンァノレデヒドを酸ィ匕して、 3, 3, 3—トリ フルォロプロピオン酸に変換することも、従来よりも格段に容易なものとなった。
[0024] 上記、第一工程〜第三工程の反応とも、分離の難しい副生物をほとんど生成せず 、有害な廃棄物も生じず、従来の方法に比較して、工業的規模で実施する上で、特 に好適な方法であることがわかった。この結果、工業的に安価で入手できる、式 [ 1] で表される 1 ハロゲノー 3, 3, 3—トリフルォロプロペンを出発原料として、 目的とす る 3, 3, 3—トリフルォロプロピオン酸カ S、従来よりも格段に有利に製造できることとな り、本発明の完成に到達した。
詳細な説明
[0025] 本発明によれば、安価で入手できる 1—ハロゲノ一3, 3, 3 _トリフルォロプロペン から、少ない工程数で簡便に、し力、も良好な収率で、医薬'農薬の中間体として、ま た含フッ素重合体等の機能性材料の製造原料または合成中間体として有用な、 3, 3 , 3 _トリフルォロプロピオン酸を工業的規模で製造できるという効果を奏する。
[0026] 上述したとおり、本発明に依れば、次の三つの工程(第一工程〜第三工程)を含む 3, 3, 3—トリフルォロプロピオン酸の製造方法が提供される。
第一工程:式 [1]で表される 1 ハロゲノー 3, 3, 3 トリフルォロプロペンと、式 [2] で表される環状 2級ァミンとを反応させて、式 [3]で表わされる、トリフルォロメチル基
含有ェナミンを得る工程。
第二工程:第一工程で得られたトリフルォロメチル基含有ェナミンを酸性条件下、 加水分解して、 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドを得る工程。
第三工程:第二工程で得られた 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドを、酸化 剤によって酸化し、 目的とする 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオン酸を得る工程。
[0027] これら第一工程〜第三工程を図示すると、次のスキームのようになる。
[化 4]
[スキーム ]
—— »- CF
3CH
2CHO —— CF
3CH
2C0
2H
第一工程 第二工程 第三工程
[0028] まず、第一工程について、詳細に説明する。第一工程は、式 [ 1]で表される 1—ハ ロゲノー 3, 3, 3 _トリフルォロプロペンを、式 [2]で表される環状 2級ァミンと反応さ せて、式 [3]で表されるトリフルォロメチル基含有ェナミンを得る工程である。上述の ように、このような方法でトリフルォロメチル基含有ェナミン類を製造する方法はこれま で知られていな力、つた。本工程は、工業的に容易に、し力、も安価で入手できる 1—ハ ログノー 3, 3, 3 _トリフルォロプロペンを出発原料とし、環状 2級ァミンを用いた場合 に特異的にトリフルォロメチル基含有ェナミンを製造できるという、本発明の根幹を成 す特徴的な工程である。
[0029] この第一工程で使用される、式 [1]で表される 1—ハロゲノ一 3, 3, 3 トリフルォロ プロペンとしては、具体的に(E)—1—クロ口一 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、(Z) — 1—クロ口一 3, 3, 3—トリフノレオ口プロペン、 (E)— 1—ブロモ 3, 3, 3—トリフノレ ォロプロペン、 (Z)— 1—ブロモ— 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (E)— 1—ョードー 3, 3, 3—卜リフノレ才ロプロペン、 (Z)— 1ーョードー 3, 3, 3—卜リフノレ才ロプロペン、 ( E)— 1—フルオロー 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (Z)—1—フルオロー 3, 3, 3— トリフルォロプロペン、 (E)— 1 トリフルォロメタンスルホ二ルー 3, 3, 3—トリフルォロ プロペン、 (Z)— 1 トリフルォロメタンスルホ二ルー 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (
E)—1—ペンタフルォロエタンスルホニル 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (Z)— 1 —ペンタフルォロエタンスルホニル 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (E)— 1— (1 —ノナフルォロブタンスルホ二ル)一 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (Z)— 1— (1— ノナフルォロブタンスルホ二ル)一 3, 3, 3_トリフルォロプロペン、 (E)_l_メタンス ノレホニル一 3, 3, 3_トリフルォロプロペン、 (Z) _1_メタンスルホニル一3, 3, 3—ト リフルォロプロペン、 (E) _1_エタンスルホニル _3, 3, 3_トリフルォロプロペン、 ( Z) _1_エタンスルホニル一3, 3, 3 _トリフルォロプロペン、 (E)_l_(l_プロパ ンスルホニル)_3, 3, 3_トリフルォロプロペン、 (Z) _1_ (1—プロパンスルホニル )—3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (E)—1— (2—プロパンスルホ二ル)— 3, 3, 3 —トリフルォロプロペン、 (Z) _1_ (2—プロパンスルホ二ル)一 3, 3, 3 _トリフノレオ 口プロペン、 (E) _1_ (1—ブタンスルホ二ル)一 3, 3, 3_トリフルォロプロペン、 (Z ) _1_ (1—ブタンスルホ二ル)一 3, 3, 3_トリフルォロプロペン、 (E)_l_ベンゼ ンスルホニル 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (Z)—1—ベンゼンスルホニル一 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (E)—1— (p トルエンスルホニル)— 3, 3, 3—トリフ ノレォロプロペン、 (Z)— 1一(p トルエンスルホニル) 3, 3, 3—トリフルォロプロぺ ン、 (E)—1— (o トルエンスルホニル)— 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (Z)— 1— (o トルエンスルホニル)— 3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (E)— 1— (m—トルエン スルホニル)—3, 3, 3—トリフルォロプロペン、 (Z)—1 (m—トルエンスルホニル) —3, 3, 3—トリフルォロプロペン等を挙げることができる。
[0030] この中で入手の容易さから、(E)— 1—クロ口一 3, 3, 3 トリフルォロプロペン、(Z) — 1—クロ口一 3, 3, 3—トリフノレオ口プロペン、 (E)— 1—ブロモ 3, 3, 3—トリフノレ ォロプロペン、 )_1_ブロモ_3, 3, 3 _トリフルォロプロペン、 (E)_l_フルォ 口一3, 3, 3_トリフルォロプロペン、 (Z) _1_フルオロー 3, 3, 3_トリフルォロプロ ペンが好ましく、 (E)_l_クロ口 _3, 3, 3_トリフルォロプロペンと(Z)_l_クロ口 —3, 3, 3 _トリフルォロプロペンが特に好ましい。
[0031] 尚、上述した種々の 1—ハロゲノ _3, 3, 3_トリフルォロプロペンは単独で用いて も良いし、各種の混合物を用いても良レ、。特に、トランス体とシス体は混合していても 問題は無い。特定の環状 2級ァミンを使用した場合、トランス体とシス体のいずれを用
レ、ても、ほとんど選択的にトランス体のトリフルォロメチル基含有ェナミンが生成する。
[0032] 従って、上述したように、(E)— 1—クロ口一 3, 3, 3—トリフルォロプロペンと(Z)—l —クロ口— 3, 3, 3—トリフルォロプロペンは、それぞれ工業的に入手が容易であり、 安価であるため、出発原料として特に好ましいが、これらトランス体とシス体はそれぞ れ単独で用いても良いし、混合物の状態で用いても良い。
[0033] この 1—クロ口一 3, 3, 3 トリフルォロプロペンの製造法によっては、トランス体とシ ス体の混合物が生じるため、これを蒸留等で精製 *分離してトランス体とシス体が供給 されているが、本発明による方法では、トランス体とシス体の混合物をそのまま使用で きるため、さらに安価に原料を調達できるという特徴を有する。
[0034] 一方、式 [2]で表される環状 2級ァミンとしては、特に次の式 [4]で表される 6員環 の環状 2級ァミンが好ましレ、反応性を示す。
[化 5]
式 [4]において、 Eの定義は式 [2]の Aと同じである。
[0035] 具体的に、モルホリン、チオモルホリン、セレノモルホリン、テル口モルホリン、ァゼチ ジン、ピロリジン、ピぺリジン、へキサメチレンィミン、ヘプタメチレンィミン、 3—メチノレ ァゼチジン、 3 _メチルピロリジン、 3—メチルビペリジン、 4—メチルピペリジン、 3—メ チルへキサメチレンィミン、 4 _メチルへキサメチレンィミン、 3 _メチルヘプタメチレン ィミン、 4 _メチルヘプタメチレンィミン、 3 _ェチルァゼチジン、 3 _ェチルピロリジン 、 3—ェチルビペリジン、 4—ェチルビペリジン、 3 _ェチルへキサメチレンィミン、 4_ ェチルへキサメチレンィミン、 3 _ェチルヘプタメチレンィミン、 4 _ェチルヘプタメチ レンィミン、イミダゾリジン、 1—メチルイミダゾリジン、 2—メチルイミダゾリジン、ピペラ ジン、 1—メチルビペラジン、 1—ェチルビペラジン、ホモピぺラジン、 1 _メチルホモ ピぺラジン、 1 ェチルホモピぺラジン等が例示できるがこれらに限られなレ、。これら
の内で、入手の容易さからモルホリン、ァゼチジン、ピロリジン、ピぺリジン、 3—メチノレ ピロリジン、 3—メチルビペリジン、 4ーメチルビペリジン、ピぺラジン、 1ーメチルビペラ ジンが好ましぐモノレホリン、ピロリジン、ピぺリジン、ピぺラジン力 S、特に優れた反応性 を示すため、特に好ましレ、。これらの中でも安価なピぺリジン、モルホリンがさらに好 ましい。
[0036] 第一工程の反応には、反応時に生成するハロゲン化水素を中和するための受酸剤 として、塩基性物質が必要である。系内に別途の塩基性物質が存在しない場合、上 述の「環状 2級ァミン」がこの受酸剤としての機能も兼ねる。これに対し、受酸剤として 、別途塩基性物質が共存する場合には、「環状 2級ァミン」は反応基質としてのみ作 用する。
[0037] まず、他に塩基性物質を共存させず、「環状 2級ァミン」のみを用いる場合について 説明する。この場合、前記、式 [1]で表わされる 1—ハロゲノ一3, 3, 3 _トリフルォロ プロペン類 1モル当たり、 2モル以下の環状アミンを使用した場合には、理論的に半 分が反応基質として作用し、半分が受酸剤として作用する。 2モル以上使用した場合 には、理論的には 1モルが反応基質として作用し、もう 1モルが受酸剤として作用し、 残りは溶媒として作用する。
[0038] 環状 2級ァミンの使用量は、前記、式 [1]で表わされる 1 ハロゲノー 3, 3, 3 トリ フルォロプロペン類 1モルに対して、通常 1 · 8モノレ〜 20モノレであり、好ましくは 2. 0 モル〜 10モル、更に好ましくは 2· 0モル〜 6. 0モルである。
[0039] このように、系内に別途の塩基性物質が存在しない場合、 目的物の収率を高める ためには、比較的高価な「環状 2級ァミン」を過剰量、要求されることが多い。しかし、 第一工程において過剰量の環状 2級ァミンを使用したとしても、第一工程の反応が 終了した後、未反応の環状 2級ァミンは適当な方法 (蒸留等)によって、高純度、高 回収率で回収できる。また目的物が 3, 3, 3_トリフルォロプロピオンアルデヒドであ る場合は、第一工程が完了した後、敢えて単離精製を行わず、未反応の環状 2級ァ ミンが共存する状態で、下記の第二工程 (酸の存在下における加水分解)を実施す ることもできる。この場合、第二工程が終了した後、生成した 3, 3, 3 _トリフルォロプ ロピオンアルデヒドを蒸留等で分離し、その後、残渣液に無機塩基等の塩基を加え、
未反応の環状 2級アミンを水相から二層分離させて回収することができる。こうして回 収された環状 2級ァミンは、次バッチにおいて再利用することができる。
[0040] 次いで、受酸剤として別途、塩基性物質を添加する場合について説明する。受酸 剤としては、上述の「環状 2級ァミン」を除く塩基性物質であれば特に制限は無いが、 水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム 、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリ ゥム tert—ブトキシド、カリウム tert—ブトキシドなど無機塩基の他、トリェチルァミン、 ジェチルァミン、 1, 8—ジァザビシクロ [5, 4, 0] _ 7 _ゥンデセン等の有機塩基を例 示すること力 Sできる。好ましくは、無機塩基が用いられ、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリ ゥム、炭酸水素ナトリウムは安価であり、反応性も良好なので特に好ましく用いられる
[0041] 受酸剤の使用量に特別な制限はなレ、が、通常、 1—ハロゲノ一3, 3, 3 _トリフルォ 口プロペン類に対して 0. 8モル〜 1. 2モノレであり、好ましくは 0. 9モノレ〜 1. 1モルで ある。上述したとおり、この場合、環状 2級ァミンは反応基質としてのみ作用するため 、過剰に使用する必要はなぐその使用量は、通常、 1 ハロゲノー 3, 3, 3—トリフ ノレォロプロペン類に対して 0. 8モル〜 1. 2モノレであり、好ましくは 0. 9モノレ〜 1. 1モ ノレである。勿論これ以上用いても反応性に影響することはないが、生産性の観点から 好ましくない。
[0042] 第一工程の反応は通常窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行われる。圧力につい ては特に制限はないが、不活性ガスを封入して密閉しておいてもよいし、不活性ガス の加圧下で行ってもよい。好ましくは大気圧下で反応が行われる。反応時間につい ては、特に制限はないが、ガスクロマトグラフィー等で反応の進行状況を確認し、終 点に近づいたことを確認した後、反応工程を終了することが好ましい。
[0043] 溶媒に関しては、環状アミンを塩基兼溶媒として用いるのが好ましいが、反応に関 与しなレ、ものであれば特に制限はなぐ例えばへキサン、ベンゼン、トルエン、キシレ ン等の炭化水素類、ジェチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、 ジォキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロ口ホルム等のハロゲン化炭化水素類 、アセトン等のアルキルケトン類、メタノーノレ、エタノール、エチレングリコール、ジェチ
レングリコール、グリセリン等のアルコール類、ァセトニトリル、 N, N—ジメチルホルム アミド、ジメチルスルホキシド、へキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒 等、もしくは水が例示できる。
[0044] 反応温度は、通常、 _ 50°C〜100°C、好ましくは _ 10°C〜: 100°Cで、さらに好まし くは、 _5°C〜60°Cの範囲である。
[0045] 反応終了後、反応溶液を直接蒸留する方法や、副生する固体をろ過して、得られ る溶液を蒸留する方法、あるいは、水または氷水をカ卩えた後、有機溶媒による抽出操 作及びそれに続く蒸留等の通常の手段により、 目的とする式 [3]で表わされる、トリフ ルォロメチル基含有ェナミンを単離することができる。ただし、第二工程を行う上では 、トリフルォロメチル基含有ェナミンを敢えて単離することなぐ第一工程で得られた 反応混合物をそのまま第二工程に使用することも可能である。
[0046] 次に、本発明の第二工程について説明する。本発明の第二工程は、第一工程で 得られた式 [3]で表わされるトリフルォロメチル基含有ェナミンを、酸の存在下、加水 分解して、 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドを得る工程である。
[0047] この第二工程に用いるトリフルォロメチル基含有ェナミンとしては、第一工程終了後 、反応液を精製操作に付して単離したものを用いることができるが、単離精製操作を 行うことなく、続けて第二工程に使用することもできる。単離精製せずに用いる場合、 第一工程と同一の反応器を用いて連続的に第二工程を実施することも可能である。
[0048] また、第一工程の反応終了後に、析出した塩等の固体を濾別し、得られた濾液から 過剰な受酸剤または溶媒等を留去しただけのトリフルォロメチル基含有ェナミン類粗 体を第二工程の加水分解に供することもできる。
[0049] 第二工程の加水分解において用いられる酸は、ブレンステッド酸であれば特に限 定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、珪酸、臭化水素酸、ホウ酸等の無機酸や、 ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、シユウ酸、コハク酸、アジピン酸 、クロトン酸、メタンスルホン酸、トリフルォロメタンスルホン酸等の有機酸を例示するこ とができる。好ましくは、無機酸が用いられ、特に、塩酸、硫酸、硝酸が好ましく用いら れる。その使用量は、使用する酸の価数により変化するが、例えば 1価の酸の場合、 第一工程で得られた一般式 [3]で表わされる、トリフルォロメチル基含有ェナミン類 1
モルに対して、酸の使用量は、 1モル以上であり、好ましくは、:!〜 5モルである。また 、 2価の酸の場合、第一工程で得られた一般式 [3]で表わされる、トリフルォロメチル 基含有ェナミン 1モルに対して、酸の使用量は、 0. 5モル以上であり、好ましくは、 0. 5〜2. 5モノレである。
[0050] 未反応の環状 2級ァミンが残存した状態でそのまま第二工程を行う場合には、上記 酸の量に、環状 2級ァミンを中和するのに要する量を加算する。
[0051] 本工程に用いられる水の使用量は、基質である一般式 [3]で表わされる、トリフル ォロメチル基含有ェナミン 1モルに対して、 1モル以上であれば特に制限はないが、 好ましくは:!〜 1000モノレであり、更に好ましくは:!〜 100モルである。それ以上用い ても良いが、容積あたりの収量が減るので好ましくない。また、上述した酸の中に水が 含まれている場合はその水を使用しても良い。
[0052] また、本工程における酸の濃度に関して特に限定は無レ、が、 10%〜90%が好まし レ、。
[0053] 本工程は、反応溶媒を使用せずに行うことが好ましいが、場合によっては使用する こともできる。使用される溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく 、例えばへキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジェチルエーテ ノレ、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジォキサン等のエーテル類、ジクロロ メタン、クロ口ホルム等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、エチレング リコーノレ、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類等が例示できる。
[0054] 反応温度は特に限定されなレ、が、通常、 50°C〜 + 250°C、好ましくは 20°C〜
+ 200°Cで、さらに好ましくは一 10°C〜 + 150°Cの範囲である。
[0055] 反応後の処理は特に限定されなレ、が、反応液を直接蒸留する方法や、有機溶媒 による抽出操作及び蒸留等の通常の手段により、第二工程で目的とする 3, 3, 3_ト リフルォロプロピオンアルデヒドを得ることができる。
[0056] なお、上述のように、第二工程終了時の反応液に、第一工程の原料である、未反 応の環状 2級ァミンが塩の状態で残存する場合は、例えば、反応液を蒸留した残渣 に無機塩基水溶液を加えることによって、環状 2級アミンを水相と二層分離させて回 収し、再利用することができる。
[0057] 次に本発明の第三工程について説明する。第三工程は、第二工程で得られた 3, 3 , 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドを、酸化剤によって酸化し、 3, 3, 3—トリフル ォロプロピオン酸を得る工程である。
[0058] この第三工程は、第二工程で得られた反応混合物をそのまま原料として使用すること も可能である力 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドを単離するかまたは、過 剰の塩基及び副生する塩を分離してから原料に供する方が、良好な反応性が得られ るので、好ましい。
[0059] 第三工程に使用される酸化剤としては、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、重 クロム酸カリウム、過酢酸、トリフルォロ過酢酸、塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、 ヨウ素酸ナトリウム、前述の Oxone (登録商標)(2KHSO ·Κ SO -KHSO )等の過 硫酸系酸化剤など、過酸系統の酸化剤が好ましい。
[0060] ここで、本発明者らは、第三工程を行うに際して、硝酸を非常に好適に用いることが できることができることを見出した。硝酸は上述の過酸類に比較して安価であり、かつ 大量での取扱いも容易な試薬である。したがって、本発明の第三工程は硝酸を酸化 剤として用いることが特に好ましい。
[0061] 硝酸としては、通常、 30%以上の濃度の硝酸が使用されるが、生産性及び経済性 を考慮すると好ましくは 50〜90%であり、更に好ましくは 60〜70%である。
[0062] 硝酸の使用量は上記、第二工程で得られた 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアル デヒド 1モルに対して、通常 1モル以上である。好ましくは 1〜5モルであり、更に好ま しくは:!〜 2モルである。それ以上用いても良いが、生産性及び経済性を考慮すると 好ましくない。
[0063] 反応温度は、通常、 _ 10°C〜: 100°C、好ましくは— 5°C〜70°Cで、さらに好ましく は 0°C〜50°Cの範囲である。
[0064] また、硝酸を酸化剤として用いる場合、酸化反応をより円滑に行うために亜硝酸塩 を共存させるのが好ましい。亜硝酸塩の使用量は硝酸 1モルに対して、通常 0. 5〜2 0モル0 /0であり、好ましくは:!〜 15モノレ0 /0、更に好ましくは、 2〜: 10モル0 /0である。使 用される亜硝酸塩としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムが好ましい。
[0065] 第三工程の反応は通常大気中、大気圧下で行われる。反応時間については、特
に制限はなぐガスクロマトグラフィー等で反応の進行状況を確認し、終点に近づい たことを確認した後、反応工程を終了することが好ましい。
[0066] 第三工程の反応形態に特別な制限はないが、原料である 3, 3, 3—トリフルォロプ ロピオンアルデヒドと酸化剤を逐次的に、もしくは連続的に混合するのが、反応の制 御が容易であり、好ましい。
[0067] 反応後の処理は特に限定されないが、反応液を有機溶媒と接触させ、 目的物を有 機相に抽出した後、蒸留等の通常の手段に付して、 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオン 酸を得ること力 Sできる。
[0068] 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施態様に限られない。こ こで、組成分析値の「%」とは、生成ガスを直接ガスクロマトグラフィーによって測定し て得られた組成の「面積%」を表す。
[0069] [実施例 1] (E) _ 1 _ (3, 3, 3 _トリフルォロプロぺニル)—ピペリジンの製造(1) ( 環状 2級アミン類を反応基質及び受酸剤として利用する場合)
3000mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピぺリジン 1305g (15. 3mol) (4. 0当量)、 (E)— 1—クロ口一 3, 3, 3—トリフノレオ口プロペン 500g (3. 83mol) (1. 0当量)を加え、反応温度 10°C〜20°Cで 3時間攪拌した。 白色固体を濾過し、得られた濾液を減圧蒸留(80— 8 l°C/2. 4kPa)し、純度 99% の(E)— 1— (3, 3, 3—トリフルォロプロぺニル)一ピぺリジン 439gを収率 63%で 得た。
( (E) - 1 - (3, 3, 3—トリフルォロプロぺニル)ーピペリジンの物性)
Η— NMRスぺクトノレ(400MHz, CDC1 ) δ (ppm) : 1. 5— 1. 6 (6H, m) , 2.
99 (4H, m), 4. 26 (1H, dq, J= 13. 7, 6. 4 Hz), 6. 60 (1H, dq , J= 13. 7, 1. 5 Hz) .
19F— NMRスぺクトノレ(400MHz, CDC1 ) :— 56. 6 ppm (3F, br d, J = 6. 0
Hz) (CFC1 =0 ppm)
[0070] [実施例 2] (E) _ 1 _ (3, 3, 3 _トリフルォロプロぺニル)—ピペリジンの製造(2) ( 環状 2級アミン類を反応基質及び受酸剤として利用する場合)
300mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピぺリジン 1
30. 5g (l . 53mol) (4. 0当量)、(Z)— 1—クロ口一 3, 3, 3—トリフノレオ口プロペン 50g (0. 38mol) (1. 0当量)をカ卩え、反応温度 10°C〜20°Cで 3時間攪拌した。 白 色固体を濾過した。得られた濾液から過剰ピぺリジンを留去し、 (E)— 1一(3, 3, 3 —トリフルォロプロぺニル)—ピペリジン 64. 5gを収率 95% (GC純度 95%)で得た
[0071] [実施例 3] (E) _ 1 _ (3, 3, 3 _トリフルォロプロぺニル)—ピペリジンの製造(3) ( 環状 2級アミン類を反応基質及び受酸剤として利用する場合)
300mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピぺリジン 1 30. 5g (l . 53mol) (4. 0当量)、 1—クロ口— 3, 3, 3—トリフノレオ口プロペン(トランス 体とシス体の混合物;混合モル比:トランス体:シス体 = 65 : 35) 50g (0. 38mol) ( 1. 0当量)を加え、反応温度 10°C〜20°Cで 3時間攪拌した。 白色固体を濾過した。 得られた濾液から過剰ピぺリジンを留去し、(E) _ l _ (3, 3, 3_トリフルォロプロぺ 二ル)—ピぺリジン 62· 0gを収率 91% (GC純度 94%)で得た。
[0072] [実施例 4] (E)—1ー(3, 3, 3—トリフルォロプロぺニル)ーピペリジンの製造(4) ( 環状 2級アミン類を反応基質として用い、別途受酸剤として塩基性物質を使用する場 合)
10mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピぺリジン 0. 65g (7. 6mmol) (1. 0当量)、(E)— 1—クロ口— 3, 3, 3—トリフノレオ口プロペン lg (7. 6 mmol) (1. 0当量)、水酸化ナトリウム 307mg (7. 6mmol) (1. 0当量)をカロ え、反応温度 30°Cで 5時間攪拌した。 白色固体を濾過し、ジイソプロピルエーテルで 洗浄後、得られた濾液を減圧蒸留(80— 81°C/2. 4kPa)し、 目的の(E)— 1一(3, 3, 3_トリフルォロプロぺニル)—ピペリジン(収量 960mg、収率 70%、純度 95%)を 淡黄色液体として得た。
[0073] [実施例 5] 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒドの製造(1)
100mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷浴下、 [実施例 1] で得られた(E) _ l _ (3, 3, 3_トリフノレオ口プロぺニノレ)一ピペリジン 10. 0g (0. 05 6mol) (1. 0当量)、濃硫酸 5. 5g (0. 056 mol) (1. 0当量)、水 5. 5gをカロえ、 1 時間攪拌した。得られた反応液を常圧にて蒸留し (沸点 55°C)、 目的とする 3, 3, 3
—トリフルォロプロピオンアルデヒド(収量 5· 6g、収率 89%、純度 98%)を得た。
[0074] [実施例 6] 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドの製造(2)
200mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷冷下、ピぺリジン 85 . lg (l . OOmol) (4. 0当量)、 (E) _ l _クロ口 _ 3, 3, 3_トリフノレオ口プロペン 33 . 0g (0. 25mol) (1. 0当量)をカ卩え、反応温度 10°C〜20°Cで 3時間攪拌した。 白 色固体を濾過し、得られた濾液を減圧蒸留(38_41°CZl lkPa)し、純度 99%のピ ペリジン 33. 6gと 40. Ogの蒸留釜残を回収した。蒸留釜残をガスクロマトグラフィー にて分析すると(E) _ l _ (3, 3, 3 _トリフルォロプロぺニル)—ピペリジンの含有率 は 99%であった。
[0075] 次いで氷浴下、上記で得られた(E) _ 1 _ (3, 3, 3 _トリフルォロプロぺニル)—ピ ペリジン 40. 0g (0. 22mol) (1. 0当量)、 50%硫酸 22g (0. 11 mol) (0. 5当 量)を窒素置換した 100mlメカニカルスターラー付きガラス反応器に加え、徐々に昇 温し、 25°Cで 1時間攪拌した。得られた反応液を常圧にて蒸留し (沸点 55°C)、 目的 とする 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒド(収量 19. 3g、収率 77. 5%。純度 99%)を得た。
[0076] [実施例 7] 3, 3, 3—トリフルォロプロピオンアルデヒドの製造(3)
500mlメカニカルスターラー付きガラス反応器を窒素置換し、氷浴下、ピぺリジン 8 1. 5g (0. 958mol) (2. 5当量)、(E)— 1—クロ口— 3, 3, 3—トリフルォロプロペン 50g (0. 383 mol) (1 · 0当量)を加え、反応温度 30°Cで 5時間攪拌した。続いて 、反応液を 0°Cに冷却し、 35%塩酸 60g (0. 575mol) (1. 5当量)を 1時間かけて滴 下した (pHく 1)。このフラスコに、蒸留塔、冷却管、受けフラスコを取り付け、常圧に て蒸留を行レ、(沸点 55°C)、 目的とする 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオンアルデヒド( 収量 32g、収率 74%、純度 98%)を得た。
[0077] [実施例 8] 3, 3, 3 _トリフルォロプロピオン酸の製造
マグネチックスターラー、冷却管(開放系)を備えた 50mlガラスフラスコに、氷浴下、 60%硝酸 14. lg (0. 13mol) (1. 44当量)、亜硝酸ナトリウム 0. lg (8. 9mmol) (1 0モル%)を添カ卩し、攪拌下、実施例 6により得られた 3, 3, 3_トリフルォロプロピオ ンァノレデヒド 10g (0. 09mol) (1. 0当量)を 1時間かけて滴下した。氷冷下 1時間攪
拌後、室温で 2時間攪拌した。反応混合液に上水 20g加え、ジイソプロピルエーテル で有機物を分液ロートにて抽出した (40mlでの抽出を 2回)。有機層を硫酸マグネシ ゥムで乾燥し、溶媒留去 (40°C、 6. 66kPa)した後、常圧蒸留(沸点 (塔頂温度) 13 6。C)し、 目的の 3, 3, 3—トリフルォロプロピオン酸(収量 6. 9g、収率 61%、純度 94
%)を得た。