JP2006120010A - 在庫制御システム及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】流通アイテムのライフサイクルを通じて流通アイテムの在庫過不足を抑制する。
【解決手段】
在庫制御システムにおいては、情報処理装置が、予め定められたタイミングで、流通品の流通に関する実績データから、流通品の現在のフェーズを示す指標(KPI)を算出する(S1101)。その後、情報処理装置は、コード記憶領域に格納された移行条件とKPIとを照合し、KPIが移行条件を満たす場合に、流通品のフェーズが変化下と判断する(S1103)。ここで、ユーザが、流通品の安全在庫量の更新許可を入力すると(S1104)、情報処理装置が、移行後のフェーズにおける、流通品の安全在庫量を算出する(S1107)。
【選択図】図11

Description

本発明は、需要変動及び補充期間の不確実性を吸収するための安全在庫を、流通アイテムのライフサイクルに応じて管理する在庫制御技術に関する。
一般的に、安全在庫量は、以下の理論式(1)により与えられる。
安全在庫量=K×√T×σ ...(1)
ここで、Kは、品切れの確率によって定まる安全係数、Tは、需要予測の誤差を吸収する必要がある計画期間(定期発注方式の場合には、計画立案サイクルと、在庫ポイントへの輸送リードタイム・生産リードタイムと、計画立案のするためにかかるリードタイムとの合計値)、σは、過去の需要のばらつき(標準偏差)である。
このような安全在庫を、計画期間(計画立案サイクル、在庫ポイントへの輸送リードタイム・生産リードタイム、計画立案のするためにかかるリードタイム)の更新とともに動的に変更する技術として、例えば特許文献1記載の技術が知られている。
なお、その他、安全在庫の管理に関する技術として、特許文献2及び非特許文献1記載の技術が知られている。
特開2004−70612号 特開2004−102367号 日立評論 2004年3月号 P33〜P36
ところが、上記従来の技術の利用方法を誤ると、流通アイテム(製品、部品、半製品、仕掛品、原材料等)のライフサイクル(市場導入初期から販売終了)のいずれかの段階において在庫過不足を生じる可能性がある。
そこで、本発明は、流通アイテムのライフサイクルの各段階において、在庫の過不足の発生を防止することを目的とする。
本発明は、
拠点における、流通品の在庫量を管理する在庫制御システムであって、
前記流通品の現在のフェーズを表すフェーズ識別情報と、前記流通品のライフサイクルにおける、各フェーズへの移行条件と、が格納された記憶手段と、
前記フェーズ識別情報が表すフェーズのつぎのフェーズに移行したことを判断するための指標を、前記流通品の流通に関する実績データから算出し、当該指標を前記移行条件と照合し、当該指標が前記移行条件を満たす場合に、前記流通品のフェーズの変化を検出する演算処理手段と、
前記演算処理手段が前記変化を検出した場合に、前記流通品の安全在庫量の更新許可の入力を受け付ける入力受付け手段と、
を有し、
前記演算処理手段は、
前記入力受付け手段が前記更新許可の入力を受け付けると、移行後のフェーズを表すフェーズ識別情報による、前記記憶手段に格納された前記フェーズ識別情報の更新と、前記拠点についての、前記移行後のフェーズにおける、前記流通品の安全在庫量の算出とを実行する、
ことを特徴とする在庫制御システムを提供する。
本発明によれば、流通アイテムのライフサイクルを通じて、在庫過不足を抑制することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る実施の一形態について説明する。
まず、図1により、本実施の形態に係る在庫制御システムが適用可能な物流ネットワークのモデルの概要を説明する。
工場101から顧客104への物流には、例えば、以下のような複数種類の流れがある。第1の流れは、工場101から物流センタ102及び販社103を経由して顧客104に至る流れ、第2の流れは、工場101から物流センタ102を経由して顧客104に至る流れ、第3の流れは、工場101から直接顧客104に至る流れである。このような流通ネットワークにおける流通品(製品、部品、半製品、仕掛品、原材料等)を、以下、アイテムと呼ぶ。
一般に、流通アイテムのライフサイクル(市場導入初期から販売終了までの期間)は、市場への流通アイテムの導入期である第1フェーズ、市場への流通アイテムの普及期である第2フェーズ、流通アイテムが使用者層を獲得する成熟期である第3フェーズ、流通アイテムの販売終了に至るまでの衰退期である第4フェーズに分けられる。図1に示した第1〜第3の流れのうち、例えば、第1の流れは、第1及び第2フェーズにおける流通アイテムの流れ、第2の流れは、第3フェーズにおける流通アイテムの流れ、第3の流れは、第4フェーズにおける流通アイテムの流れに相当する。
つぎに、図2及び図3により、このような物流ネットワークに適用可能な、本実施の形態に係る在庫制御システムの概略構成について説明する。
図2に示すように、在庫制御システムには、ネットワーク210を介して接続された複数のサブシステム220A,220A,...,220Aが含まれている。
各サブシステム220A,220A,...,220Aは、それぞれ、プログラムを実行が可能なハードウェア構成を有している。具体的には、サブシステムは、図3に示すように、それぞれ、情報処理装置221、ユーザからの入力を受け付ける入力装置(キーボード、マウス等)222、各種情報を出力する出力装置(ディスプレイ等)223、各種プログラム及びデータが格納された補助記憶装置224、等を有している。ここで、情報処理装置221は、周辺機器(補助記憶装置224、入力装置222、出力装置224)が接続されるインタフェース221A、主記憶装置221C、補助記憶装置224等から主記憶装置2223にロードしたプログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)221B、等を有している。
このようなサブシステム220A,220A,...,220Aのうち、少なくとも1つのサブシステム(ここでは1つのサブシステム220A)は、各拠点のアイテムの安全在庫量を制御するシステムである。このサブシステム220Aの補助記憶装置224は、図4に示すように、仮想的に、コード記憶領域224A、及び、コード記憶領域よりもデータ更新頻度が高いデータ記憶領域224Bに分けられており、各記憶領域224A,224Bに、安全在庫量の制御処理に必要なデータが格納されている。
コード記憶領域224Aには、後述の在庫制御処理を実現するための在庫制御プログラム及び後述の在庫制御処理において参照されるマスタデータ群が格納されている。ここで、マスタデータ群には、以下のマスタデータ(フェーズ移行マスタデータ、拠点間マスタデータ、拠点マスタデータ)が含まれている。
図5に示すように、フェーズ移行マスタデータには、管理対象アイテムのライフサイクルのフェーズごとにフェーズ移行情報が格納されている。各フェーズ移行情報には、フェーズの識別情報(フェーズ番号)500、フェーズの目的を表す目的情報501、フェーズの特性を表す特性情報502、つぎのフェーズへの移行したことの指標となるパラメータ(評価指標:以下、KPI)の名称(KPI名)503、つぎのフェーズに移行するために評価指標が満たすべき条件(移行条件)504、このフェーズにおいて安全在庫を保持すべき拠点(安全在庫拠点)の識別情報(安全在庫拠点名)508、つぎのフェーズへの移行に伴うリスク(移行リスク)505、移行リスクへの対応案(移行リスク対応案)506、ユーザが調整可能なパラメータ507、等が含まれている。なお、第4フェーズのフェーズ移行情報の次には、流通アイテムのライフサイクルが終了することを示す空値のフェーズ移行情報が登録されている。図5には、流通アイテムのライフサイクルを、前述の第1フェーズ〜第4フェーズに分けた場合のフェーズ移行マスタデータの内容を一例として示してあるが、流通アイテムのライフサイクルを5つ以上のフェーズに分けた場合には、それに応じてフェーズ移行情報の登録数が増加する。
図6に示すように、リンクマスタデータには、拠点間のリンクごとに、リンク情報が登録されている。各リンク情報には、輸送元拠点の識別情報(輸送元拠点名)600、輸送先拠点の識別情報(輸送先拠点名)601、輸送対象アイテムの識別情報(アイテム番号)603、リードタイム602、輸送手段名604等が格納されている。例えば、工場α1から物流センタβ11へのリンクについては、リンク情報として、輸送元拠点名「α1」600、輸送先拠点名「β11」601、リードタイム「28日間」603、輸送対象アイテム名「X」602、輸送手段名「船」604がリンクマスタデータに登録されている。なお、拠点内における移動に要する時間もリードタイムとして考慮する場合には、輸送元拠点名600と輸送先拠点名601とに同じ拠点名を含むリンク情報をリンクマスタデータに登録すればよい。例えば、拠点「α1」内における、徒歩による流通アイテム「X」の移動時間が「1日」である場合には、輸送元拠点名600「α1」、輸送先拠点名601「α1」、アイテム番号603「X」、リードタイム602「1日」、輸送手段名604「徒歩」を含むリンク情報を登録しておけばよい。または、各リンク情報のリードタイム602として、輸送元拠点内における移動時間も加えられた値を登録するようにしてもよい。
図7に示すように、拠点マスタデータには、拠点が保有する安全在庫アイテムごとに拠点情報が登録されている。拠点情報には、拠点の識別情報(拠点名)700、安全在庫アイテムの識別情報(アイテム番号)701、安全在庫量703、安全係数704等が格納されている。例えば、拠点「γ111」が3種類の安全在庫「X」「Y」「Z」を保有している場合には、拠点「γ111」について、各安全在庫「X」「Y」「Z」ごとの拠点情報が拠点マスタデータに登録される。
一方、データ記憶領域224Bには、図4に示したように、単位期間(ここでは1日)おきに逐次更新される3種類の実績データテーブル(現在までのアイテムの需要状況を示す需要実績データテーブル、現在までのアイテムの在庫状況を示す在庫実績データテーブル、現在までのアイテムの供給状況を示す供給実績データテーブル)、需要予測の結果得られる需要状況を示す需要計画データテーブル(不図示)、アイテム管理テーブルが格納されている。
図8に示すように、在庫実績データテーブルには、各拠点の在庫実績情報が登録されている。各在庫実績情報には、拠点の識別情報(拠点名)800、拠点が保有している安全在庫アイテムの識別情報(アイテム番号)801、安全在庫アイテムの在庫情報(数量及び数量の単位)802が格納されている。例えば、拠点「γ111」が3種類の安全在庫アイテム「X」「Y」「Z」を保有している場合には、拠点「γ111」について、各安全在庫アイテム「X」「Y」「Z」ごとの在庫情報が在庫実績データテーブルに登録されている。
図9に示すように、需要実績データテーブルには、アイテムごとに需要実績情報が登録されている。各需要実績情報には、アイテムを保有している拠点の識別情報(拠点名)900、アイテムの識別情報(アイテム番号)901、現在までの単位期間(例えば1日)ごとの需要量情報902、が格納されている。
需要計画データテーブルは、需要実績データテーブルと同様なデータ構造を有している。ただし、需要量情報902の代わりに、現在までの単位期間(例えば1週間)ごとの予測需要量情報が格納されている。
図10に示すように、供給実績データテーブルには、アイテムごとに供給実績情報が登録されている。各供給実績情報には、アイテムの供給先拠点の識別情報(拠点名)1000、アイテムの識別情報(アイテム番号)1001、現在までの単位期間ごとの供給量情報1002、が格納されている。
アイテム管理テーブルには、管理対象アイテムごとに、アイテムの識別情報(アイテム番号)と現在のフェーズの識別情報(フェーズ番号)との対応情報が格納されている、
このようなハードウエア構成及びソフトウェア構成により、サブシステム220Aは、図4に示す機能構成を実現する。具体的には、情報処理装置が、データ記憶領域224B及びコード記憶領域224Aに対するデータ読出し/データ書込み処理を実行するデータ読書き部、フェーズ移行マスターデータに基づきKPIを算出するKPI計算部、KPI計算部が算出したKPIに基づきフェーズの移行タイミングを検出するフェーズ評価部、安全在庫を更新すべき拠点を決定する安全在庫位置決定部、安全在庫位置決定部が決定した拠点の安全在庫量をフェーズの移行タイミングにあわせて算出する安全在庫計算部、ユーザに提示すべき情報(フェーズ評価部の評価結果等)を出力装置223に出力する出力処理部、入力装置222がユーザから受け付けた指示を処理する入力処理部等を、在庫制御プログラムの実行によって実現する。
なお、本実施の形態においては、在庫制御システムが汎用情報処理装置及びソフトウェアで実現される場合を例に挙げたが、必ずしも、このようにする必要はない。例えば、在庫制御システムは、ハードワイヤードロジックを含むハードウェア、または、このようなハードウェア及び予めプログラムされた汎用情報処理装置により実現されてもよい。
また、本実施の形態においては、1つのサブシステム220Aにだけ在庫制御プログラム及び必要なデータ群がインストールされているが、複数のサブシステムに同様な在庫制御プログラム及び必要なデータ群が個別にインストールされていてもよいし、必要に応じて、他のサブシステムが在庫制御プログラム及び必要なデータ群をサブシステム220Aからダウンロードするようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、1のサブシステム(1台の情報処理装置)220Akが在庫制御システムとしての機能を実現しているが、在庫制御システムの機能を複数のサブシステム(複数台の情報処理装置)に分散させてもよい。
つぎに、図11により、本実施の形態に係る在庫制御システムが実行する処理について説明する。
サブシステム220Aの情報処理装置220は、予め定められたタイミングで(例えば定期的に)、以下の在庫制御処理を実行する。
データ読書き部が、各データテーブルをデータ記憶領域224Bから読み出すとともに、各マスタデータをコード記憶領域224Aから読み出す。
KPI計算部は、アイテム管理テーブルからすべての対応情報を読み出して、各対応情報に含まれるフェーズ番号と同じフェーズ番号500を含むフェーズ移行情報をフェーズ移行マスタデータから読み出す。そして、KPI計算部は、このとき読み出した各フェーズ移行情報に含まれるKPI名503が示すKPIをそれぞれ算出する(S1101)。
例えば、フェーズ番号「1」及びアイテム番号「X」を含む対応情報が得られた場合、KPI計算部は、フェーズ番号「1」を含むフェーズ移行情報のKPI名が示すパラメータ「現在までの総サンプル数」を算出する。ここで、「現在までの総サンプル数」とは、例えば、アイテム番号「X」に対応付けられた需要量情報902が示す全数量の合計値に相当する。また、アイテム番号「X」及びフェーズ番号「2」を含む対応情報が得られた場合、KPI計算部は、フェーズ番号「2」を含むフェーズ移行情報のKPI名が示すパラメータ「現在までの総出荷件数」を算出する。ここで、「現在までの総出荷件数」とは、アイテム番号「X」に対応付けられた供給量情報1002が示す全数量の合計値に相当する。また、アイテム番号「X」及びフェーズ番号「3」を含む対応情報が得られた場合、KPI計算部は、フェーズ番号「3」を含むフェーズ移行情報のKPI名が示すパラメータ「在庫滞留時間」を算出する。ここで、「在庫滞留時間」とは、アイテム番号「X」に対応付けられた在庫情報802が示す数量と、アイテム番号「X」に対応付けられた需要量情報が示す全数量との加算値から、アイテム番号「X」に対応付けられた供給量情報が示す数量を現在の方から過去にさかのぼって順次差しひいてゆき、その値が、現在における需要量情報が示す全数量に等しくなったときの日時から現在までの時間に相当する。また、アイテム番号「X」及びフェーズ番号「4」を含む対応情報が得られた場合には、KPI計算部は、フェーズ番号「4」を含むフェーズ移行情報のKPI名が示すパラメータ「受注日間隔」を算出する。ここで、「受注日間隔」とは、アイテム番号「X」に対応付けられた供給量情報1002において、供給量が0以外の数値を表した最後の日時から現在までの日数に相当する。
このようにして、すべての管理対象アイテムのKPIが算出されたら、フェーズ評価部は、それらのKPIが、それぞれのフェーズ移行情報の移行条件504を満たすか否かを判断する(S1103)。このとき、移行条件504が、KPIの順位に関する条件である場合(例えば、フェーズ2,3)には、フェーズ評価部は、判断に先立ち、そのKPIと同じパラメータをすべての管理対象アイテムについて算出し、それらのパラメータ内におけるKPIの順位を算出する。
その結果、移行条件504を満たすKPIが存在していた場合、すなわち、つぎのフェーズに移行した管理対象アイテムが存在していた場合には、フェーズ評価部は、その管理対象アイテムについて、アイテム番号と、安全在庫量の更新許可の入力を促す旨のメッセージとを、出力処理部を介して出力装置223に出力させる。
さらに、S1103の判断で用いた移行条件504を含むフェーズ移行情報から、移行リスク505、移行リスク対応案506及び調整パラメータ507を読み出し、それらも、出力処理部を介して出力装置223に出力させる。ユーザは、これらの出力情報を参照することにより、移行リスク及び移行リスク対応策を認識することができるため、移行リスクを少なくすべく、リードタイム、輸送手段、安全係数α等の調整パラメータの調整を検討することができる。ここでユーザが設定した調整パラメータ値によって、マスタデータが更新される。例えば、ユーザが、つぎのフェーズに移行した、ある管理対象アイテムについて、欠品の発生確率に応じた安全係数αを入力装置に入力すると、入力処理部が、入力された安全係数αをデータ読書き部に渡し、データ読書き部が、その安全係数αで、拠点マスタデータの対応安全係数704を更新する。同様に、ユーザが、つぎのフェーズに移行した、ある管理対象アイテムについて、拠点間のリードタイム(または、拠点内のリードタイム)を入力装置に入力すると、データ読書き部が、そのリードタイムで、リンクマスタデータの対応リードタイム602を更新する。
ここで、ユーザが、入力装置223に更新拒絶コマンドを入力すると(S1104)、フェーズ評価部は在庫制御処理を終了させる。
一方、ユーザが、入力装置223に更新許可コマンドを入力すると(S1104)、その更新許可コマンドに応じて、入力処理部が、安全在庫位置決定を安全在庫位置決定部に指示する。この指示に応じて、安全在庫位置決定部は、移行後のフェーズのフェーズ移行情報から安全在庫拠点名508を読み出す。
さらに、安全在庫計算部は、つぎのフェーズに移行したアイテムの安全在庫量を、安全在庫拠点名508が表す拠点ごとに算出する(S1107)。具体的には、以下の通りである。
安全在庫計算部は、安全在庫拠点名に合致する輸送先拠点名601を含むリンク情報をリンクマスタデータから読み出し、このリンク情報に含まれるリードタイム602を読み出す。ここで、リンク情報に含まれる輸送元拠点名が工場を示していれば、安全在庫計算部は、安全在庫拠点名508が表す拠点について、このリードタイムを調達リードタイムとして設定する。一方、リンク情報に含まれる輸送元拠点名が工場を示していなければ、安全在庫計算部は、その輸送元拠点名に合致する輸送先拠点名601を含むリンク情報をリンクマスタデータから読み出し、このリンク情報に含まれるリードタイムを読み出す。安全在庫計算部は、輸送元拠点名として工場を含むリンク情報が得られるまで同様な処理を繰り返し、輸送元拠点名として工場を含むリンク情報が得られたら、すべてのリードタイムの合計値を算出する。そして、安全在庫計算部は、安全在庫拠点名508が表す拠点につき、リードタイムの合計値を調達リードタイムとして設定する(S1107)
その後、安全在庫計算部は、安全在庫拠点名508が表す拠点につき設定した調達リードタイムを用いて、つぎのフェーズに移行したアイテムの安全在庫量を算出する(S1107)。なお、安全在庫の算出式及び算出処理の詳細については後述する。
つぎのフェーズに移行したすべてのアイテムについて、各安全在庫拠点における安全在庫量が得られたら、安全在庫計算部は、それらの安全在庫量を、出力処理部を介して出力装置223に出力させる(S1108)。
その後、データ読書き部は、拠点マスタデータに格納された拠点情報のうち、つぎのフェーズに移行したアイテムの拠点情報を更新する。すなわち、データ読書き部は、つぎのフェーズに移行したアイテムのアイテム番号704を含む拠点情報のフェーズ番号702及び安全在庫量703を、つぎのフェーズのフェーズ番号及びS1107で算出された安全在庫量で更新する(S1109)。
なお、以上においては、ユーザが、安全在庫量の更新を行うか否か、調整パラメータの調整を行うか否かを決定しているが、必ずしも、このようにする必要はない。例えば、フェーズの移行が検知されたら、安全在庫量の更新許可をユーザに求めず、または、ユーザから調整パラメータの調整を受け付けずに、自動的に安全在庫量が更新されるようにしてもよい。
つぎに、安全在庫量の算出式及びこの算出式を用いた、安全在庫量の算出処理(S1107)を、図12及び図13により説明する。
(1)安全在庫の算出式
ここでは、計画リードタイムを1週間、調達リードタイムを6週間、計画立案サイクルを1週間と設定した場合を例に挙げる。
図12に示すように、現在の日付を含む週(以下、当週と呼ぶ)の先頭を計画立案の開始日Aとすると、立案した計画の発行日Bは第1週の先頭、入庫完了日Cは第6週の終わり、現在における計画需要量の消費完了Dは、第7週の終わりとなる。現在における計画需要量Mには、計画範囲(当週から、最終週であるまでの期間)内の各週の計画需要量を表すデータ(当週:360、第1週:252、第2週:252、第3週:252、第4週:252、第5週:252、第6週:322、第7週:322)が含まれている。ここでは、各週の実績需要量と計画需要量との差分(予測残差)が正規分布N(0,σ)にしたがうと仮定する。
例えば、各週の予測残差分布の分散値(σ〜σ)が等しい場合には、計画範囲内の累積残差分布の分散値σと安全在庫量との関係は、次式1により表される(図12の仮定1)。
Figure 2006120010
ところが、予測残差の分散値σは週ごとに異なることがある。例えば、当週から第6週までの需要が確定している場合(すなわち、当週から第6週までの各週の分散値σ〜σが0、第7週の分散値σが0でない場合)には、計画範囲内の累積残差分布1001の分散値σと安全在庫量との関係は、次式2による表される(図12の仮定2)。
Figure 2006120010
また、計画範囲の各週の分散値も0でなく、かつ、いずれも等しくない場合には、計画範囲内の累積残差分布の分散値σと安全在庫量との関係は、次式3により表される(図12の仮定3)。
Figure 2006120010
数式3は、仮定1,2の数式1,2を包含する、汎用的な数式である。そこで、本実施の形態においては、仮定3の数式3を用いて安全在庫量を算出することとする。
(2)安全在庫量の算出処理(S1107)
図13は、安全在庫量の算出処理(S1107)のフローチャートである。
安全在庫計算部は、需要実績情報の需要量情報が示す数量及び計画需要情報の計画需要量情報が示す数量との差分(予測残差Z)のサンプル数nを算出し(S11071)、そのサンプルnの標本平均を算出する(S11072)。さらに、安全在庫計算部は、偏差平方和Sを算出し(S11073)、得られた偏差平方和Sから標本分散値sを算出する(S11074)。その後、安全在庫計算部は、標本分散値sから標本標準偏差sを算出する(S11705)。
その後、安全在庫計算部は、予測誤差Zのサンプル数nが予め定めた閾値k以上であるか否かを判断する(S11706)。
その結果、予測誤差Zのサンプル数nが閾値k以上であれば、安全在庫計算部は、S11705で算出した標本標準偏差sを母標本標準偏差σに設定する(S11709)。
一方、サンプル数nが閾値k未満であれば、安全在庫計算部は、予め保持した対応情報から、S11071で算出したサンプル数nに対応付けられた水増し係数1/c(ただし、c>1)を読み出して(S11077)、この水増し係数1/cと標本標準偏差sとの積(1/c)×sを、母標準偏差σとして算出する(S11078)。このように、サンプル数が少ない場合に水増し係数を用いるのは、サンプル数が少ないと、母標準偏差σよりも標本標準偏差sが小さくなる傾向にあるためである。
その後、データ読書き部は、つぎのフェーズに移行したアイテムのアイテム番号及び安全在庫拠点名に対応する安全係数αを拠点マスタデータから読み出し、これを安全在庫計算部に渡す(S11080)。安全在庫計算部は、その安全係数αと母標準偏差σとの積α×σを安全在庫量として算出する(S11081)。この乗算式α×σは、仮定3の安全在庫量算出式(3)と同等である。
このような、安全在庫量算出処理によれば、図14に示すように、フェーズが移行すると、移行後のフェーズにおいて安全在庫を保有すべき拠点について、移行後のフェーズに適したデータを用いて安全在庫量が再設定される。このため、流通アイテムのライフサイクルの各段階において、それぞれ、より適切な安全在庫量を得ることができ、結果として、流通アイテムの在庫過不足を、ライフサイクルを通じて抑制することができる。
例えば、図16に示すように、第1フェーズにおいては、類似品の需要実績等に基づき安全在庫量が販社に設定されているが、第2フェーズへの移行時に、図5のフェーズ移行マスタデータを用いて上述の安全在庫量算出処理を実行することにより、図17に示すように、第2フェーズの安全在庫拠点として定められた販社に対して、第2フェーズに適した安全在庫量が再設定される。また、第3フェーズへの移行時に、図5のフェーズ移行マスタデータを用いて上述の安全在庫量算出処理を実行することにより、図18に示すように、第3フェーズの安全在庫拠点として定められた物流センタ及び販社に対して、第3フェーズに適した安全在庫量が再設定される。さらに、第4フェーズへの移行時に、図5のフェーズ移行マスタデータを用いて上述の安全在庫量算出処理を実行することにより、図19に示すように、第4フェーズの安全在庫拠点として定められた工場に対して、第4フェーズに適した安全在庫量が再設定される。なお、図14〜図19には、図5のフェーズ移行マスタデータの登録内容を用いた場合の安全在庫拠点の変化が示されているが、各フェーズにおける安全在庫拠点は、フェーズ移行マスタデータの登録内容が変われば、それに応じて変わることとなる。
最後に、本実施の形態に係る在庫制御システムの適用例を挙げる。
企業で使用され始めている情報処理システムとしてサプライチェーンプランニングシステム(Supply Chain Planning:以下、SCP)及びエンタープライズリソースプランニングシステム(Enterprise Resource Planning:以下、ERP)がある。前者は、需要計画、供給計画、納期回答及びスケジューリング等の機能を有し、後者は、在庫管理等の機能を有している。例えば、図15に示すように、本実施の形態に係る在庫制御システムは、SCPとERPとの間に存在し、両者を関連付ける、いわばSCPとERPとの中間的な位置付けのシステムとして機能することができる。
本発明の一実施形態に係る在庫制御システムが適用可能な物流ネットワークモデルを示した図である。 本発明の一実施形態に係る在庫制御システムの概略構成を示した図である。 本発明の一実施形態に係る在庫管理システムのハードウエア構成図である。 本発明の一実施形態に係る在庫管理システムの機能構成図である。 フェーズ移行マスタデータのデータ構造を説明するための図である。 リンクマスタデータのデータ構造を説明するための図である。 拠点マスタデータのデータ構造を説明するための図である。 在庫実績データテーブルのデータ構造を説明するための図である。 需要実績データテーブルのデータ構造を説明するための図である。 供給実績データテーブルのデータ構造を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る在庫制御処理のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る在庫制御処理において用いる、安全在庫量の算出式を説明するための図である。 図11のS1107の処理のフローチャートである。 在庫制御処理前後における、拠点の安全在庫量の変化を示した図である。 本発明の一実施形態に係る在庫制御システムの適用例を説明するための図である。 第1フェーズの安全在庫量を示した図である。 第2フェーズの安全在庫量を示した図である。 第3フェーズの安全在庫量を示した図である。 第4フェーズの安全在庫量を示した図である。
符号の説明
210...ネットワーク、220A,220A,...,220A...サブシステム、221...情報処理装置、222...入力装置、223...出力装置223、224...補助記憶装置224

Claims (7)

  1. 拠点における、流通品の在庫量を管理する在庫制御システムであって、
    前記流通品の現在のフェーズを表すフェーズ識別情報と、前記流通品のライフサイクルにおける、各フェーズへの移行条件と、が格納された記憶手段と、
    前記フェーズ識別情報が表すフェーズのつぎのフェーズに移行したことを判断するための指標を、前記流通品の流通に関する実績データから算出し、当該指標を前記移行条件と照合し、当該指標が前記移行条件を満たす場合に、前記流通品のフェーズの変化を検出する演算処理手段と、
    前記演算処理手段が前記変化を検出した場合に、前記流通品の安全在庫量の更新許可の入力を受け付ける入力受付け手段と、
    を有し、
    前記演算処理手段は、
    前記入力受付け手段が前記更新許可の入力を受け付けると、移行後のフェーズを表すフェーズ識別情報による、前記記憶手段に格納された前記フェーズ識別情報の更新と、前記拠点についての、前記移行後のフェーズにおける、前記流通品の安全在庫量の算出とを実行する、
    ことを特徴とする在庫制御システム。
  2. 請求項1記載の在庫制御システムであって、
    前記演算処理手段が前記変化を検出した場合に、前記移行後のフェーズに関する情報を出力する出力処理手段を有し、
    前記入力受付け手段は、さらに、前記安全在庫量の算出に用いられ、当該安全在庫量の大きさを変化させるパラメータの入力を受け付け、
    前記演算処理手段は、前記入力受付け手段が受け付けたパラメータを用いて前記安全在庫量を算出することを特徴とする在庫制御システム。
  3. 拠点における安全在庫量の算出処理を、情報処理装置に実行させる在庫制御方法であって、
    前記情報処理装置は、
    前記流通品の現在のフェーズを表すフェーズ識別情報と、前記流通品のライフサイクルにおける、各フェーズへの移行条件と、が格納された記憶手段と、
    演算処理手段と、
    入力受付け手段と、
    を有し、
    当該在庫制御方法は、
    予め定められたタイミングで、前記演算処理手段が、前記フェーズ識別情報が表すフェーズのつぎのフェーズに移行したことを判断するための指標を、前記流通品の流通に関する実績データから算出し、当該指標を前記移行条件と照合し、当該指標が前記移行条件を満たす場合に、前記流通品のフェーズの変化を検出する処理と、
    前記演算処理手段が前記変化を検出した場合に、前記入力受付け手段が、前記流通品の安全在庫量の更新許可の入力を受け付ける処理と、
    前記入力受付け手段が前記更新許可の入力を受け付けると、移行後のフェーズを表すフェーズ識別情報による、前記記憶手段に格納された前記フェーズ識別情報の更新と、前記拠点についての、前記移行後のフェーズにおける、前記流通品の安全在庫量の算出とを実行する処理と、
    を含むことを特徴とする在庫制御方法。
  4. 請求項3記載の在庫制御方法であって、
    前記情報処理装置は、さらに出力処理手段を有し、
    当該在庫制御方法は、
    前記演算処理手段が前記変化を検出した場合に、前記出力処理手段が、つぎのフェーズに関する情報を出力する処理と、
    前記入力受付け手段が、さらに、前記安全在庫量の算出に用いられ、当該安全在庫量の大きさを変化させるパラメータの入力を受け付ける処理と、
    を有し、
    前記演算処理手段は、前記入力受付け手段が受け付けたパラメータを用いて前記安全在庫量を算出することを特徴とする在庫制御方法。
  5. 拠点における安全在庫量の算出処理を、情報処理装置に実行させるプログラムであって、
    前記情報処理装置は、
    拠点における安全在庫量の算出処理を、情報処理装置に実行させる在庫制御方法であって、
    前記情報処理装置は、
    前記流通品の現在のフェーズを表すフェーズ識別情報と、前記流通品のライフサイクルにおける、各フェーズへの移行条件と、が格納された記憶手段と、
    演算処理手段と、
    入力受付け手段と、
    を有し、
    当該プログラムは、
    予め定められたタイミングで、前記演算処理手段が、前記フェーズ識別情報が表すフェーズのつぎのフェーズに移行したことを判断するための指標を、前記流通品の流通に関する実績データから算出し、当該指標を前記移行条件と照合し、当該指標が前記移行条件を満たす場合に、前記流通品のフェーズの変化を検出する処理と、
    前記演算処理手段が前記変化を検出した場合に、前記入力受付け手段が、前記流通品の安全在庫量の更新許可の入力を受け付ける処理と、
    前記入力受付け手段が前記更新許可の入力を受け付けると、移行後のフェーズを表すフェーズ識別情報による、前記記憶手段に格納された前記フェーズ識別情報の更新と、前記拠点についての、前記移行後のフェーズにおける、前記流通品の安全在庫量の算出とを実行する処理と、
    を実現することを特徴とするプログラム。
  6. 請求項5記載のプログラムであって、
    前記情報処理装置は、さらに出力処理手段を有し、
    当該プログラムは、
    前記演算処理手段が前記変化を検出した場合に、前記出力処理手段が、つぎのフェーズに関する情報を出力する処理と、
    前記入力受付け手段が、さらに、前記安全在庫量の算出に用いられ、当該安全在庫量の大きさを変化させるパラメータの入力を受け付ける処理と、
    をさらに実現し、
    前記演算処理手段は、前記入力受付け手段が受け付けたパラメータを用いて前記安全在庫量を算出することを特徴とするプログラム。
  7. 請求項5または6記載のプログラムが格納された、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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