JP2006119273A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 作像時、感光体表面温度が均一ではない状態においては,正確な電位制御を行っても所望の画像出力を安定して得られない。
【解決手段】 Xd>感光体表面温度検出手段の像露光位置からの距離Xe>2×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμを満たし、且つ、
0<感光体表面温度検知手段の前記像露光位置からの距離Xt<10×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ(τ:TF法による正孔移動度測定における時定数(sec)PS:プロセススピード(mm/sec)Vc:作像における必要な潜像コントラスト(V)Mc:感光体電荷輸送層膜厚(cm)Vμ:TF法正孔移動度測定において試料に印加するバイアス(V)Mμ:TF法正孔移動度測定で用いる試料の膜厚(cm)Xd:像露光部と現像器感光体対向位置の距離(mm))を満たす。
【選択図】 図2

Description

本発明は、複写機、レーザープリンタ及びファックスなどの電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、さらには光学的特性を備えていることが要求され、特に繰り返し使用される感光体にあっては、その感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理といった電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求されている。
電子写真装置(複写機・プリンタ等)や静電記録装置等の画像形成装置において、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体(被帯電体)を所用の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としてはコロナ帯電器あるいはロ−ラ−帯電器が、よく使用されている。
コロナ帯電方式は、引加する電圧にAC成分を含むロ−ラ−帯電方式より、感光体表面の電気的劣化を少なくできる。コロナ帯電方式におけるコロナ帯電に比べ、ロ−ラ−帯電の場合は、放電生成物の総発生量は、格段に少ない。しかし、ロ−ラー帯電方式は、放電電流が感光体表面と帯電ロ−ラー表面の間の微小空間に流れており、非常に高エネルギ−な電子やイオンなどの粒子が感光体表面に衝突を繰り返し、感光体表面の分子鎖が分断され、削れ易くなり、傷も入り易くなる。つまり、感光体表面層は、ロ−ラ−帯電で使用される場合、電気的ダメ−ジと機械的ダメ−ジを、受けなければばらないが、コロナ帯電は、マイルドな放電を利用した帯電方式であるため、電気的ダメ−ジは、ほとんど無く、機械的なダメ−ジが支配的となる。つまり、感光体の高耐久化に対し、コロナ帯電は、優位である。
一方、コロナ帯電器を用いた場合には、コロナ帯電器の放電により一次帯電器内部(シールド内部)に多量のNOx等のオゾン生成物が発生する。画像形成工程終了後感光ドラムが停止し、しばらく放置すると、上記オゾン生成物が帯電器直下の感光ドラム上の水分と反応し、硝酸化合物等として、ドラム上に滞留する。この硝酸化合物の導電性により、次の画像形成時に、停止時に帯電器直下にあったドラム上部分だけ帯電電位が所望電位とならず正常な潜像形成が行われず、線がにじんだり、濃度が薄くなったりしてしまうという現象(休止メモリ)が発生する。
そこで、放電により発生するNOx等のオゾン生成物を効果的に排出するため、及、機内飛散トナー等による帯電器汚れを防止するため、ファンによって帯電器内に機械外部から空気を送風したり、排気ダクトにより帯電器外へ排気したりする方法が知られている。また、高湿化において、NOx等のオゾン生成物の導電性の影響を除去するため、感光体表面温度を一定以上に維持するため、感光体内部や周囲にヒータを設ける方法もまた、よく利用されてきた。
また、特開2004−78088号公報に記載されているように、感光体表面温度に依存する露光部電位や暗減衰レベルを安定に制御するため、感光体温度を検出した上で、露光量や帯電電位に補正をかける手段なども用いられた。
特開2004−78088号公報
より高安定、高画質が求められる近年のカラー電子写真装置においては、特に安定した潜像形成が必須である。潜像コントラストの経時的変化は、通紙枚数に伴う出力画像の色味変動につながるため、極力小さく抑えることが望ましい。
ここで、帯電後の露光による電位の降下は、感光体の温度依存性を持っており、1℃の温度変化で現像部の電位が2〜3Vも変動してしまうような場合もある。そこで、露光部電位を安定にするためには極力感光体温度を一定にするか、あるいは感光体温度の変化に追随した電位制御が必要になる。そこで、ドラム表面温度を検出するセンサを用いて、その検出温度に応じて電位制御する方法をとることも可能である。
しかしながら、ドラム表面の温度は全面常に均一ではなく、先に述べたように、特に一次帯電器としてコロナ帯電を用いた場合などは吸気FANによる外気の吹き付けが必要であり、その空気の吹き付け部の温度が送風時に限って局所的に低下する。また、ドラム回転開始と同時に一次転写部において接している中間転写体等の低温の部材に熱を奪われるために一次転写部通過後の部分が局所的に温度が低下する。そこで、安定した静止状態のドラム表面温度を検出しても、実際の作像時のドラム表面温度と異なり、感光体電位や露光量の制御が不正確となり、所望の画像出力を得られないという問題があった。また、高い頻度で電位を検出し、制御を行うことである程度補うことはできるが,電位制御は作像と同時には必ずしもできず,一定の時間を要するため,作像の生産性を落とすことにもなる。
本発明の目的は、作像時、感光体表面温度が均一ではない状態においても,正確な電位制御を行い安定した所望の画像出力を得ること、及び電位制御回数を減らして生産性を維持する画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも、電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段、該電子写真感光体表面温度検出手段、該電子写真感光体表面電位検出手段をもつ電子写真画像形成装置において、前記感光体表面温度検出手段と感光体表面電位検出手段の、前記感光体回転方向における位置が、前記像露光手段の感光体照射位置から現像手段の感光体対向位置までの範囲で、作像領域内に配置され、
前記感光体表面温度検出手段の、前記像露光位置からの距離Xeが、
Xd>Xe>2×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ
を満たし、且つ、前記感光体表面温度検知手段の、前記像露光位置からの距離Xtが
0<Xt<50×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ
τ:TF法による正孔移動度測定における時定数(sec)
PS:プロセススピード(mm/sec)
Vc:作像における必要な潜像コントラスト(V)
Mc:感光体電荷輸送層膜厚(cm)
Vμ:TF法正孔移動度測定において試料に印加するバイアス(V)
Mμ:TF法正孔移動度測定で用いる試料の膜厚(cm)
Xd:像露光部と現像器感光体対向位置の距離(mm)
を満たすことを特徴とする。
少なくとも、電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段、該電子写真感光体表面温度検出手段、該電子写真感光体表面電位検出手段をもつ電子写真画像形成装置において、前記感光体表面温度検出手段と感光体表面電位検出手段の、前記感光体回転方向における位置が、前記像露光手段の感光体照射位置から現像手段の感光体対向位置までの範囲、より好ましくは感光体表面温度検出手段の、前記像露光位置からの距離Xeが、
Xd>Xe>2×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ
を満たし、且つ、前記感光体表面温度検知手段の、前記像露光位置からの距離Xtが
0<Xt<10×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ
を満たす配置とすることで、感光体の感光層で発生するフォトキャリアの発生箇所からドラム表面に移動して帯電電荷をキャンセルする潜像形成箇所を直接的に制御することが可能となる。したがって、現像領域において常に安定した潜像電位が維持される。
尚、本明細書で説明した具体例は1つの具体例に過ぎず、各種本体、高圧設定や電位、温度の制御方法、使用するセンサ等のいかなる代替も可能であることは言うに及ばない。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明における最良の実施の形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
以下に本発明に関わる感光体について詳しく説明する。
図2は、本発明の画像形成装置としてフルカラー複写機の概略図を示す。この複写機の基本構成は、原稿を読み取り、その色情報をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に分解したのち、各色の画像を紙のような転写材上に順次形成することによってフルカラー画像を転写材上に形成するように構成されている。
次に図2に添って詳細に説明すると、該複写機の基本構成は、像担持体である感光ドラム1があり、その周囲に、感光ドラム1を所定電位に帯電させるための帯電手段としての帯電器2、露光手段としての走光学装置3、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像手段としての現像器4y,4m,4c,4Bkを保持する回転体、転写材を担持搬送し、感光ドラム1上のトナー像を転写材に転写するための転写手段としての中間転写体5および転写帯電器5b、感光ドラム1のクリーニング手段としてのクリーナー6から成る各画像形成手段が配置されている。
次に、カラー画像が転写材上に形成されるまでの工程を述べると、帯電器2により均一に帯電した感光ドラム1上に、原稿の第一色目(例えばイエロー)の画像情報が、光学装置3により潜像として形成される。この感光ドラム1上の潜像を、同期して現像器保持回転体(以下現像ロータリー)の回転によりドラム対向位置に配置された現像器4yにより第一色目のトナー像として形成し、このトナー像を、中間転写体5上に転写(一次転写)する。同様にマゼンタ、シアン、ブラックの順に中間転写体5上に重ねて転写し、担持給紙カセット7から送られて搬送された転写材P上に一括に転写(2次転写)する。
感光ドラム1は、一次転写工程終了後クリーナー6によってクリーニングされ、前露光ランプ13によって感光ドラム1の残留電荷を除電した後再び画像形成される。また、中間転写体5は、二次転写後クリーナーによってクリーニングされる。転写工程を終了した転写材Pは中間転写体5から分離され、定着器9によって転写材P上のトナーが溶融混色された後トレイ10に至る。
図1は感光ドラムの帯電手段であるワイヤとシールドとグリッドを備えるコロナ帯電器2の概略図である。矢印はファン11が帯電器2に空気を流す送風方向を示す。すなわち、画像形成装置外部からの新しい空気を一次帯電器内部に画像形成装置に設けられたファン11を用いて送風をしている。この送風は下記のような理由から行っている。
すなわち、一次帯電器2の放電により一次帯電器2内部(シールド内部)に多量のNOx等のオゾン生成物が発生する。画像形成工程終了後感光ドラムが停止し、しばらく放置すると、上記オゾン生成物が帯電器2直下の感光ドラム上の水分と反応し、硝酸化合物等として、ドラム上に滞留する。この硝酸化合物の導電性により、次の画像形成時に、停止時に帯電器2直下にあったドラム上部分だけ帯電電位が所望電位とならず正常な潜像形成が行われず、線がにじんだり、濃度が薄くなったりしてしまうという現象(休止メモリ)が発生する。一次帯電器内にファン11によって送風を行うことにより、一次帯電器内部のオゾン生成物の濃度を一定値以下に保つことになり、休止メモリを軽減することが可能となる。以上の理由から、画像形成装置の動作中は常に一次帯電器への送風を行う構成とした。
さらに、感光体の回転軸中には感光体の表面温度を外気温度よりも高く一定にするための加熱用ヒータが設けられている。このヒータは、装置本体のメイン電源がOFFされた状態でも一定の温度調節が可能な構成となっており、夜間の高湿化の放置後においても、NOx等のオゾン生成物の導電性の影響を除去することができる。
ここで、このヒータの温度調節について説明する。ドラム表面の温度調節は、非接触温度センサ(サーモパイル)を、ドラム表面近傍に配置することにより行う。本実施例では、42.5℃一定となるように、サーモパイルの検出温度が42.5℃よりも高いときはヒータをOFFし、低い時はヒータをONすることにより、概ね±2℃の範囲内で制御することが可能である。高湿環境化において、ドラム表面温度が40℃以下になると放置後帯電器下画像流れが発生してしまうため、本制御により防止可能である。
次に、ドラム表面電位センサの配置について説明する。図6は、ドラム表面が帯電されてから現像されるまでの間の電位の推移を模式的に示している。横軸は時間、縦軸はドラム表面電位である。図中Bは、露光部であり、露光されることによりドラムの電荷発生層においてフォトキャリアが発生し、電位が低下してゆく様が示されている。ここで、電位センサは、現像位置での現像コントラストを制御するために配置されるものであるため、図中C領域のような変化の大きい箇所は測定するべきではなく、ある程度電位が落ちきり安定した領域を測定することをもって現像位置の電位を制御可能とすることが必要となる。
ここで、図7は温度違いによる電位の推移を表している。図からもわかるように、電位の安定する箇所については、ドラム表面の温度に対する依存性が強く、一概に時間や距離で表現することはできない。これは、温度により発生するキャリアの量や、発生箇所である電荷発生層からドラム表面までの電荷輸送層中のキャリアの移動速度(以下、正孔移動度)が異なることによるものと考えられる。そこで、電位の安定領域を特定するためにはそれらの特性を把握する必要がある。以下に、感光ドラムの製造過程において、そのドラムの感光特性のひとつとして一般に用いられる正孔移動度の測定について説明する。
本実施例において、正孔移動度の測定は、Time of flight法により行った。本発明に用いた電子写真感光体は、アルミニウム支持体上に電荷注入阻止層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順次形成しており、アルミニウム支持体はアース側電極として扱うことができる。そこで正孔移動度の測定用サンプルは、真空蒸着用チェインバーに設置可能な大きさに支持体を含む形で電子写真感光体を切り取り、電子写真感光体の表面、本発明では表面保護層の上に金を半透明になるように真空蒸着して測定用サンプルとした。このサンプルに電圧を印加した後、波長680nmのレーザーダイオードによるパルス光照射を行って電荷発生層から電荷を発生させ、生じた過度電流波形を高速電流アンプ(keithley428)とデジタルオシロスコープ(Tektronix TDS420A)を用いて測定した。Transit timeの判定には、電流(i)と時刻(t)との関係を対数変換し、得られた波形の折れ曲がり点から求める方法(Scher−Montroll法)を用いた。
また、本実施形態の電子写真感光体においては、3×10^5V/cmの電界下における正孔移動度μt(cm2/V・sec)を測定した。最終的に、正孔移動度は次式で表される値である。
μt=Mμ^2/Vμ・τ(cm^2/V・sec)
上記正孔移動度μtを求める際の実スケールで電流−時間特性、即ち感光体にパルス光を照射した後に感光層内に流れた電流値の時間変化、を表示した図が図3及び8である。この場合、電流値のピークを1に規格化してある。図3及び図4において、電流値のピークから減衰を始める曲線の傾きは、最初に電荷の先頭集団が感光体表面に移行してきた後に遅れて表面まで移行してくる電荷に対応している。図3に比べ、図4の傾きは小さく、長い時間に亘って電荷が表面に移行している状態を表している。図4のような感光体においては、最後まで電荷が表面に移行しきれない割合が高くなり、結果として電位センサの配置をより現像器寄りに設定しなければならないことを意味する。ここで、電流値のピークから減衰を始める曲線の時定数τの2倍の時間は、キャリアの重心到達地点と定義されており、この電流値の減衰に関し鋭意検討を行った結果、露光後、ドラム表面電位がほぼ落ちきり、その後の電位の変化が非常に少ない安定する領域であることがわかった。すなわち、電位センサの配置を
Xd>Xe>2×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ 式(1)
τ:TF法による正孔移動度測定における時定数(sec)
PS:プロセススピード(mm/sec)
Vc:作像における必要な潜像コントラスト(V)
Mc:感光体電荷輸送層膜厚(cm)
Vμ:TF法正孔移動度測定において試料に印加するバイアス(V)
Mμ:TF法正孔移動度測定で用いる試料の膜厚(cm)
Xd:像露光部と現像器感光体対向位置の距離(mm)
の範囲に配置することにより、安定した電位を検出し、それに基づいて現像コントラスト設定のために帯電器グリッドバイアスや像露光光量を調整することが可能となる。
ここで、TF法の測定時の試料にかけられる電界や、使用する電荷輸送層の膜厚については補正をかけることで、実使用上のτの値に変換することが可能である。
次に、サーモパイルの配置について説明する。上記ドラム温度調節により、サーモパイル検知箇所の温度は一定の温度範囲に維持することができるが、ドラム周面においては、温度を変化させる要因は様々であり、また、サーモパイルによる検出温度が目標温度を超えた場合にOFFしてもドラムの持つ熱容量により温度上昇はすぐには停止せず、余剰の熱量によりオーバーシュートする傾向にある。そのため、ドラム表面は常に全面同一の温度に制御することは困難である。例えば、一次帯電器に給気するFANが動作している時は、その外気の吹きつけられるドラム表面の箇所は温度が低下してゆくが、外気のあたらない部分は温度を維持する。また、中間転写体に熱量を奪われる一次転写部通過後の温度は局所的に低くなる。したがって、温度を検出する箇所によっては、他の領域の温度は要求する温度制御が成り立たないこととなる。図5は、FANの影響で温度低下の大きい箇所Aと、安定した箇所Bそれぞれにセンサを配置した場合のそれぞれの箇所の温度推移の違いを示している。すなわち、Bに配置した場合はAは、FANの影響により温度は低下し、下限値を切ってしまう。逆にサーモパイルをAに配置した場合はAの温度が低下し始めるとすぐにヒータがONとなるため、Bは上昇し、上限を超えてしまうという事態が発生する。
ところで、ドラム表面の制御温度の上限は、機内昇温による装置の電子素子や駆動系の破損、故障や現像剤の変質等の許容範囲によって決定される。また、下限は、画像流れの発生が基準となる。即ち、ドラム表面が下がると周囲の相対湿度が上昇し、ドラム表面にNox等の導電物質に水分が吸着して潜像が形成された電荷が横流れしやすくなるものと考えられる。従って、ドラム表面温度上限を上回らないように厳密に管理しなければならない箇所は、おおよそドラムの周囲には何らかの機能部材や現像剤、機械部品、電子部品等の不可欠なものが存在するため特定しにくいが、下限については潜像を形成する箇所から現像により像形成がされるまでの範囲で且つ実際に画像を形成しない端部ではなく画像領域であること、つまり所望の潜像を横流れさせずに維持すべき領域、ということになる。
しかしながら、先述のごとく、露光後のドラム表面電位の推移の温度依存性から、サーモパイルによってドラム表面温度を制御するさらに有効な範囲があることを見出した。一般に、先に述べた電位センサによりドラム表面電位を検出し、必要な現像コントラストを得るために制御する機構は、作像とは無関係のタイミングで行うことが好ましい。即ち、作像域では、制御用に予め設定した帯電、露光条件で潜像を作り出すことは当然に不可能であり、また連続作像時のいわゆる紙間は、通常少しでもコピースピードを確保するため狭い範囲に制限される。したがって、ひとつには帯電バイアスを切り換えて高圧出力が安定するのに100ms程度見込まなければならず、時間的に不足する。また、露光部電位を測定するために露光条件を設定して紙間幅以内の潜像を作っても、電位センサの視野角が一定の幅を持つため、正確にその狭い範囲の潜像を読み取ることができない。したがって紙間においては、作像中に設定されている帯電条件において、露光されない帯電電位を検出して簡易的に帯電電位の変動を制御する程度しか行えない。したがって、電位制御は作像後の後回転や、本体電源投入時の調整モードの機会で行うため、装置の生産性を維持するためには少しでも回数が少ないことが好ましい。
そこで、一度電位制御によって潜像コントラストを調整した後、より長期間電位制御を行わずに安定した潜像形成を維持するためには、その露光後の電位の推移に大きく感度を有するドラム表面温度を一定に維持することが好ましい。そこで、ドラム表面温度検出センサの配置が問題となる。
図8は、露光後の電位の推移を模式的に示す図である。先にも述べたように、2τ以降は、発生した電荷のほとんどがドラム表面に到達した後であり、その後の電位低下は極わずかである。しかしながら、現在のフルカラー高画質機に要求される画像の色味の安定性は、L*a*b*表色系においてその変動範囲を△E<2〜5程度に抑える必要があるといわれるほどであり、その変動を現像特性も考慮して電位に置き換えるとわずか10V程度の変動も許容されないことになる。そうすると、2τ以降においても、温度の変化により数V程度、電位推移の差が発生してしまうため、安定させる必要がある。図中a,b,cは、2τの地点以前は35℃で一定だった場合に、その後の温度が30℃、35℃、40℃と変化した場合の電位の推移を示している。最終的に現像の位置ではaとcでは8Vの差となって現れた。このように、2τ以降のドラム表面温度によってもその後の電位の推移に影響を与える理由は明確ではないが、以下のように考えられる。
図10は、露光後のキャリアの発生と移動を模式的に表した説明図である。(1)は、露光によりキャリアが発生した状態、(2)は、先頭到達地点、(3)は重心到達地点、(4)、(5)はそれ以降である。本来、最終的な電位の飽和地点は、(1)で発生したキャリアが全てドラム表面に到達した時点であるから、その発生時点での温度に依存すると考えられる。しかしながら、2τ以降の、図中Qが示すキャリアの移動速度はその後の温度に依存すると考えられるため、まず図8中のa,b,cの傾きが変化する。それでも最終的な電位は変化することはないが、露光後もわずかながらに発生し続けるキャリアRの量及び暗減衰に温度依存性があるために、最終到達電位に差異が生じてくるものと考えられる。そしてその温度依存性のある範囲は、ドラム表面上の各所温度をモニターしながら局所的に送風や過熱により測定した結果、2τ以前のドラム表面温度における、50τの領域までであり、その範囲で温度を一定に維持することで、十分電位安定性が確保できることを見出した。また、表1より10τまでであれば、より効果の高い結果を得られることが分かる。
以上より、感光体表面温度検知手段の、像露光位置からの距離Xtが
0<Xt<50×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ
τ:TF法による正孔移動度測定における時定数(sec)
PS:プロセススピード(mm/sec)
Vc:作像における必要な潜像コントラスト(V)
Mc:感光体電荷輸送層膜厚(cm)
Vμ:TF法正孔移動度測定において試料に印加するバイアス(V)
Mμ:TF法正孔移動度測定で用いる試料の膜厚(cm)
Xd:像露光部と現像器感光体対向位置の距離(mm)
を満たすこと、より好ましくは、
0<Xt<10×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ
を満たすことで、温度に感度のあるキャリア発生量及び移動速度を安定に保ち、結果、現像位置におけるドラム表面電位を安定に維持することができる。表1は、本実施例においてサーモパイルの位置をそれぞれA〜Eの位置に配置し、ドラム表面設定温度を25℃、35℃、45℃に設定し、20回の間欠画出しをしたときの現像位置の電位のばらつきを示している。図9は、そのときのセンサの配置例を図示したものである。それぞれ、FT法測定で25℃、35℃、45℃の場合の、Aは、2τのポイント、A´は10τ、BとCは、50τの前後が測定されるように配置した。このとき、τは、Vμ=150V、Mμ=25μmで、25℃で2.9msec、35℃で2.5msec、45℃で2.0msec、また、プロセススピードは300ms、作像時の帯電電位は−600V、露光部電位が−200Vになるように像露光量を決定している。
使用するドラムのMcは、25μmである。現像位置は、露光部より120mmの位置に配置してある。50τより露光部よりに設定したA、A´Bは場合、より安定した電位が得られていることがわかる。
Figure 2006119273
図11は、本実施例の1つにおいて用いた画像形成装置の感光体周囲の配置を示している。露光部の下流には、エアーダクトが設けられており、一次帯電器内のオゾン等放電生成物を含む空気を吸引して浄化するためのものである。サーモパイル及び電位センサは、このダクトと同位置に取り付けられている。図12は、エアーダクト部をドラムの法線方向から見た図である。非接触温度センサは被検出物からの赤外線を検出することによりその温度を測定するものであるが、そのためセンサの受光部の汚れは誤検知の要因となる。そこで、本実施例では、図13の如くにセンサの周囲に筒状の防塵カバーを取り付け、先端開口の円状の面をドラム表面に近接させている。ダクトの吸引開口の近傍にあるため、エアーの流れがその防塵カバー107の先端開口の円状の面を横切るため、筒の内部との圧力差が生じて筒の内部が正圧化する。従って、図中の矢印のような流れができるため、センサ受光面106が汚れることはなく、長期にわたり安定した画像形成が可能となる。
〔その他の実施例〕
本発明における他の実施例としては、感光ドラム内部の過熱ヒータを設けず、したがって感光体の温度調節ができない場合が考えられる。この場合も同様の範囲に電位センサ及びサーモパイルを配置し、電位センサで検知した電位と、その時の表面温度を記憶する。その後は一定期間電位を検出しなくても、検出された温度及び予め記憶された温度1℃あたりの電位の変動に基づいて、現時点での電位を換算し、潜像コントラスト調整にフィードバックをかけることで安定した濃度を維持することができる。あるいはまた、検出された温度及び予め記憶された温度と電位の対応テーブルを元に電位を換算することも可能である。
より具体的に電位制御を説明する。本体の動作機構には、通常の作像動作とは別に電位制御モードが設けられており、所定のタイミング、例えば電源投入時や作像動作終了後に行うように制御されている。この電位制御モードは、まず、帯電器のグリッドバイアスをー400Vに設定し、その帯電電位及び所定のレーザ光量での露光部電位を測定する。次に、―700Vのグリッドバイアスで同様に測定する。このとき、同時にサーモパイルの検知温度も記憶しておく。このとき、必要な現像コントラストは、予め記憶手段に格納された温湿度に対応したテーブルに基づいて決められる。その後、測定されたグリッドバイアスー400Vとー700Vのときの潜像コントラストに基づき、グリッドがー400Vからー700Vの間において、帯電電位と露光部電位が直線的に変化するものと仮定して、先の必要コントラストが得られるグリッドバイアスを算出する。
こうして得られたグリッド出力設定で作像動作を行うが、サーモパイルの検出温度が先に記憶した値とズレが生じた場合には、その差分に1℃あたりの電位変化量を乗じた値で、先のグリッドバイアスー400Vとー700Vのときの露光部電位を補正して、再度必要コントラストから最適グリッド設定値を算出すればよい。
このように電位を補正する制御を行う構成の場合には、電位センサとサーモパイルは近い箇所で測定するほど直接的にその温度変化に追従した形で電位の補正をかけられるため、同一の箇所に配置する構成が最も好ましい。
感光ドラムの帯電手段であるワイヤとシールドとグリッドを備えるコロナ帯電器2の概略図 本発明に用いた画像形成装置としてのフルカラー複写機の概略図 感光体にパルス光を照射した後に感光層内に流れた電流値の時間変化、を表示した図 感光体にパルス光を照射した後に感光層内に流れた電流値の時間変化、を表示した図 実施例においてFANの影響で温度低下の大きい箇所Aと、安定した箇所Bそれぞれにセンサを配置した場合のそれぞれの箇所の温度推移の違いを示す説明図 実施例においてドラム表面が帯電されてから現像されるまでの間の電位の推移を模式的に示す説明図 実施例において、温度違いによる電位の推移を表す説明図 実施例において、露光後の電位の推移を模式的に示す説明図 実施例において、ドラム表面温度測定ポイントを示す説明図。 実施例において、露光後のキャリアの発生と移動を模式的に表した説明図 実施例において用いた画像形成装置の感光体周囲の配置を模式的に示す図 実施例において用いたエアーダクト部をドラムの法線方向から見た配置説明図 実施例において用いられる非接触温度検知
符号の説明
1 感光ドラム
2 帯電器
4 現像器
5 中間転写体
6 クリーナ
11 送風ファン
100 排気ダクト
101 電位センサ
102 温度センサ
103 排気ダクトの排気口
105 温度センサ基板
106 温度センサ受光面
107 防塵カバー

Claims (12)

  1. 少なくとも、電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段、該電子写真感光体表面温度検出手段、該電子写真感光体表面電位検出手段をもつ電子写真画像形成装置において、前記感光体表面温度検出手段と感光体表面電位検出手段の、前記感光体回転方向における位置が、前記像露光手段の感光体照射位置から現像手段の感光体対向位置までの範囲で、作像領域内に配置され、
    前記感光体表面温度検出手段の、前記像露光位置からの距離Xeが、
    Xd>Xe>2×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ
    を満たし、且つ、前記感光体表面温度検知手段の、前記像露光位置からの距離Xtが
    0<Xt<50×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ
    τ:TF法による正孔移動度測定における時定数(sec)
    PS:プロセススピード(mm/sec)
    Vc:作像における必要な潜像コントラスト(V)
    Mc:感光体電荷輸送層膜厚(cm)
    Vμ:TF法正孔移動度測定において試料に印加するバイアス(V)
    Mμ:TF法正孔移動度測定で用いる試料の膜厚(cm)
    Xd:像露光部と現像器感光体対向位置の距離(mm)
    を満たすことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記感光体表面温度検出手段の、前記像露光位置からの距離Xeが、
    Xd>Xe>2×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ

    を満たし、且つ、前記感光体表面温度検知手段の、前記像露光位置からの距離Xtが
    0<Xt<10×τ×PS×Vc/Vμ×Mc/Mμ
    τ:TF法による正孔移動度測定における時定数(sec)
    PS:プロセススピード(mm/sec)
    Vc:作像における必要な潜像コントラスト(V)
    Mc:感光体電荷輸送層膜厚(cm)
    Vμ:TF法正孔移動度測定において試料に印加するバイアス(V)
    Mμ:TF法正孔移動度測定で用いる試料の膜厚(cm)
    Xd:像露光部と現像器感光体対向位置の距離(mm)
    を満たすことを特徴とする請求項1の画像形成装置。
  3. 前記電子写真感光体表面温度検出手段の検出結果に応じて、感光体の表面温度を制御する感光体表面温度制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至2の電子写真画像形成装置。
  4. 前記感光体内部に感光体を過熱するヒータを有することを特徴とする請求項3の電子写真画像形成装置。
  5. 前記電子写真感光体表面温度検出手段の検出値が、所定の温度よりも高温であれば前記ヒータを稼動し、所定の低温であれば前記ヒータを停止することを特徴とする請求項4の電子写真画像形成装置。
  6. 前記帯電装置がコロナ帯電装置であり、該帯電器内に外気を供給する給気ファンを有することを特徴とする請求項1乃至5の電子写真画像形成装置。
  7. 前記帯電器の、感光体回転方向下流側に、該帯電器内の空気を排気する排気ダクトを有することを特徴とする請求項1乃至6の電子写真画像形成装置。
  8. 前記電子写真感光体表面温度検出手段及び電子写真感光体表面電位検出手段の感光体回転方向の位置が、前記排気ダクトと同一で、且つ長手方向の位置が画像形成領域内であることを特徴とする請求項1乃至7の電子写真画像形成装置。
  9. 前記感光体表面温度検出手段の検出結果及び、前記感光体表面電位検出手段の測定結果に応じて所望の潜像条件が得られる帯電手段の印加バイアス乃至露光手段の露光光量を制御することを特徴とする請求項1乃至8の電子写真画像形成装置。
  10. 前記制御手段は、予め温度に対応した感光体感度を記憶する記憶手段に格納されたデータと、温度検出手段の検出値とを対比することにより、適正な帯電電位乃至露光量を決定することを特徴とする請求項9の電子写真画像形成装置。
  11. 前記制御手段は、所定のタイミングで温度検出手段と電位検出手段により同時に検出した値に基づき、次回の電位制御のタイミング以前に、温度検出手段による検出値と前回の温度検出手段による検出値の差分を算出し,その算出値に予め記憶された係数を乗じた値だけ潜像コントラストを変化するように帯電乃至露光条件を変えることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記感光体表面温度検出手段は、非接触式温度センサであることを特徴とする請求項1乃至11の画像形成装置。
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