JP2006117796A - リン酸エステル化ビニル系重合体及びその用途、並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも不飽和アルコール単位と脂肪酸ビニル単位及び/又はハロゲンビニル単位とを含む不飽和アルコール系共重合体、並びに部分アセタール化不飽和アルコール系重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種の水酸基含有ビニル系(共)重合体と、リン酸源化合物と、水とを反応させることにより、導電性、耐水性及び耐溶剤性のバランスに優れたリン酸エステル化ビニル系重合体が得られる。
【選択図】 なし
Description
(1) 不飽和アルコール系共重合体
不飽和アルコール系共重合体は少なくとも不飽和アルコール単位とハロゲンビニル単位及び/又は脂肪酸ビニル単位とを含む。不飽和アルコール単位としては、ビニルアルコール単位、アリルアルコール単位等が挙げられるが、製造コストの観点からビニルアルコール単位が好ましい。なおビニルアルコールは単量体としては存在しないが、水酸基含有ビニル系(共)重合体の構成単位としては存在する。ビニルアルコール単位を得るには、酢酸ビニル単位を含む水酸基含有ビニル系(共)重合体を調製し、鹸化すればよい。
部分アセタール化不飽和アルコール系重合体は、不飽和アルコール単位を主成分とする不飽和アルコール系重合体とアルデヒドを所定の割合で反応させ、部分的にアセタール化したものである。従って部分アセタール化不飽和アルコール系重合体は水酸基を有する。部分アセタール化する不飽和アルコール系重合体としてはポリビニルアルコールが好ましい。
水酸基含有ビニル系(共)重合体は、その他の不飽和単量体単位を含んでもよい。他の不飽和単量体は、(i) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合と酸性基とを有する不飽和単量体、及び(ii) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有するが酸性基を有しない不飽和単量体に大別される。酸性基を有する不飽和単量体は、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基及びアルコール性水酸基からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸性基を有するのが好ましい。酸性基を有しない不飽和単量体としては(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、アルキルアミノ基含有不飽和単量体、置換又は無置換のスチレン類、ビニル類、オレフィン類(例えばエチレン等)、ジエン類等が挙げられる。
本発明のリン酸エステル化ビニル系重合体は、上記水酸基含有ビニル系(共)重合体と、リン酸源化合物と、水とを反応させることにより調製することができる。リン酸源化合物としては無水リン酸(P2O5)が好ましい。水酸基含有ビニル系(共)重合体の水酸基1当量に対するP2O5の配合割合は、所望のリン酸エステル化度に応じて適宜設定すればよいが、全ての水酸基をリン酸エステル化するには水酸基1当量に対し0.5モル以上とするのが好ましい。この配合割合の上限は1モル以下とするのが好ましい。水の配合割合は、1モルのP2O5に対して1〜2モルとするのが好ましく、1.3〜1.8モルとするのがより好ましい。水の配合割合が1モルのP2O5に対して1モル未満だと、ゲル化物が生じやすい。
かくして得られるリン酸エステル化ビニル系重合体は、例えば上記式(1)により表される不飽和アルコール系共重合体を原料とし、その水酸基を全てリン酸エステル化した場合、下記一般式(4):
本発明の導電性樹脂組成物はリン酸エステル化ビニル系重合体及び他の樹脂を含む。
(1) 他の樹脂
他の樹脂としては、メラミン樹脂(例えばトリメトキシメチルメラミン樹脂等)、ビニル系親水性高分子(例えばポリビニルアルコール等)、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアセタール、水溶性ウレタン樹脂、セルロース及びその変性物、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、共役ジエン系液状オリゴマーの重合体又はその水素化物[市販品として、例えば「NISSO-PB TEA-1000」、「NISSO-PB TE-2000」、「NISSO-PB TEAI-1000」(以上日本曹達(株)製)等が挙げられる]、及びフッ素基含有不飽和単量体の重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種の非導電性樹脂を添加するのが好ましい。これらのような非導電性樹脂の添加により、導電性樹脂組成物の造膜性、耐水性、耐薬品性、可撓性、透明性、各種基材に対する密着性等が一層向上する。
リン酸エステル化ビニル系重合体と他の樹脂(他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂)の配合割合は特に制限されず、所望の物性に応じて適宜設定すればよいが、固形分重量ベースの比率[(リン酸エステル化ビニル系重合体)/(他の樹脂)]が99/1〜1/99の範囲が好ましく、95/5〜40/60がより好ましい。また他の樹脂の中で、導電性樹脂と非導電性樹脂の質量比は、導電性にプラス効果をもたらす導電性樹脂が支配的になるように、導電性樹脂/非導電性樹脂= 100/0〜50/50の範囲とするのが好ましい。
導電性樹脂組成物は、(i) リン酸エステル化ビニル系重合体、上記他の樹脂及び溶媒を含むポリマー溶液を調製し、これを加熱処理して溶媒を揮発させる混合法か、(ii) リン酸エステル化ビニル系重合体と、上記他の樹脂を構成させる単量体とを含む混合物を、光、放射線又は熱により処理する重合法により製造できる。
混合法の場合、他の樹脂として市販品を用いることができる。また必要に応じて他の樹脂を構成できる上記のような不飽和単量体を溶液重合等の公知の方法で重合することにより他の樹脂を調製してもよい。溶媒はリン酸エステル化ビニル系重合体及び他の樹脂に応じて適宜選択すればよいが、DMF、THF、低級アルコール類等が挙げられる。導電性樹脂組成物を調製する際のポリマー溶液の樹脂固形分濃度は5〜30質量%になるようにするのが好ましい。これにより均一かつ透明度の高いポリマー溶液が得られる。
以下光重合により本発明の導電性樹脂組成物からなる膜を製造する方法を説明する。光重合による膜の製造方法は、リン酸エステル化ビニル系重合体と、上記他の樹脂を構成させる不飽和単量体とを含む混合物及び光増感剤を含有する組成物(以下特段の断りがない限り「不飽和組成物」と呼ぶ)を、これが付着しない材料(フッ素系重合体等)により被覆された板に流延し、紫外線透過性板で覆った後、紫外線を照射するものである。不飽和組成物を、補強材に含浸させるか塗布した後、補強材を紫外線透過性の支持基板に挟み、紫外線を照射して不飽和組成物を光重合させることにより、複合膜化してもよい。使用できる光増感剤及びその使用量、支持基板の材質、紫外線照射強度、補強材等は、例えば特開2003-86021号に記載されているものと同じでよい。
かくして得られる本発明の導電性樹脂組成物は可撓性及び半透明性を有する均一な組成物である。本発明の導電性樹脂組成物は、表面固有抵抗が室温/相対湿度50〜75%の条件下で1×106Ω以下であり、優れた導電性を有し、耐水性、耐薬品性及び各種基材に対する密着性にも優れている。このような特性を有する本発明の導電性樹脂組成物は、生体電極の装着時に皮膚と電極素子の間に介在させる生体電極用導電性樹脂組成物として有用である。なお本発明の導電性樹脂組成物はリン原子を含有しているので、難燃性や無機フィラー分散性に関しても優れている。
本発明の塗料は、上記導電性樹脂(組成物)を溶質として含むものである。溶媒としてはリン酸エステル化ビニル系重合体及び他の樹脂に応じて適宜選択すればよいが、DMF、THF、メタノール等が挙げられる。本発明の塗料には、通常の塗料に使用される以下の添加物、例えば粘度調整剤(例えばシックナー)、美装目的の各種着色顔料、隠蔽力を増す目的の充填材、塗面の平滑性を良くする目的で添加されるレベリング剤、基材との密着性を改良する目的で添加されるカップリング剤、従来公知の酸化防止剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、老化防止剤、難燃剤、導電剤、消泡剤等を任意に選択し、添加することができる。
還流冷却管、粉末投入口及び温度計を接続した自動合成反応装置(内容積1L、ユニケミカル(株)製)に、375 gのTHFを入れ、173 gの酢酸ビニル単位を有するポリビニルアルコール(商品名「クラレLMポリマーLM-20」、鹸化率:38〜42モル%、水酸基当量:約173、株式会社クラレ製)を加え、溶解した。攪拌回転数を2,120 rpmに保持し、反応温度を30〜58℃の範囲に保持しながら、13.5 g(0.75モル)の水及び71 gのP2O5(0.5モル)を、各々ほぼ6分の1ずつ6回に分けて、ほぼ等間隔で6時間かけて投入した。水及びP2O5を全て投入後、30℃の温度条件及び2,120 rpmの攪拌条件で4時間熟成反応を行った。
150 gの部分ブチラール化ポリビニルアルコール(商品名「エスレックB BL-1」、水酸基当量:171、積水化学工業株式会社製)を300 gのTHFに溶解し、11.9 gの水(0.66モル)及び62.5 gのP2O5(0.44モル)を添加した以外実施例1と同様にして、リン酸エステル化した。得られた反応液に更に100 gのTHFを追加し、30分間攪拌した。
150 gの塩化ビニル単位含有ポリビニルアルコール(商品名「SOLBIN TA5R」、塩化ビニル単位87質量%−酢酸ビニル単位1質量%−ビニルアルコール単位12質量%、水酸基当量:367、日信化学工業株式会社製)を305 gのTHFに溶解し、10.8 gの水(0.6モル)及び58 gのP2O5(0.41モル)を添加した以外実施例1と同様にして、リン酸エステル化した。得られた反応液に更に400 gのTHFを追加した。得られた反応生成液を多量の攪拌水に少量ずつ入れ、固体樹脂を析出させた。多量の水によりTHF、副生した正リン酸、ピロリン酸等の水可溶物を透析除去した。水洗後の析出樹脂を常温乾燥した後、粉砕して更に真空乾燥した。得られた粉末樹脂(以下特段の断りがない限り「ポリマーC」と呼ぶ)。この粉末樹脂を水10 vol%/THF90 vol%混合液に溶解し、酸価を測定したところ230 mg/gであった(リン酸エステル化されたSOLBIN TA5Rの理論酸価:250.6 mg/g)。
THFの代わりに、溶媒として375 gのN,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)を用いた以外実施例1と同様にして、リン酸エステル化ビニル系重合体(ポリマーA)を調製した。得られた反応生成液から少量を抜き出し、ポリマーAを、実施例1と同様にしてモノエタノールアミン塩化した。得られたモノエタノールアミン塩を含むTHF分散液を、濾紙を用いて濾過し、濾紙上でTHFにより洗浄し、乾燥した。得られたモノエタノールアミン塩の固形分重量から、実施例1と同様にしてポリマーAの反応生成液における固形分を計算したところ38.5質量%であった。実施例1と同様にして、ポリマーAの酸価を測定した結果、380 mg/gであった(理論酸価:442.7 mg/g)。
実施例1で調製したポリマーAの42.6質量%THF溶液と、トリメトキシメチルメラミン樹脂(商品名「スミテックスレジンM-3」、住友化学工業(株)製、以下同じ)の10質量%メタノール溶液を、固形分質量比でポリマーA/トリメトキシメチルメラミン=71.4/28.6となるように混合し、ポリマー溶液を調製した。得られたポリマー溶液を、ポリプロピレンフィルム製容器(底面;10 cm×10 cm)に流延し、これを空気流通式乾燥器に入れ、常温から70℃まで昇温して24時間乾燥した。生成した皮膜をスパチュラで剥離し、厚さ102μmの導電性樹脂フィルムを作製した。
実施例1で調製したポリマーAの42.6質量%THF溶液15 gと、4.08 gのトリエタノールアミンと、5.0 gの水と、30 gのメタノールとを混合し、室温で30分間攪拌してポリマーAをトリエタノールアミン塩化した。得られた溶液のpHは5.4であり、固形分は21.5質量%(自動天秤により120℃の温度で測定。以下同じ。)であった。得られたポリマーAのトリエタノールアミン塩(以下特段の断りがない限り「ポリマーAA」と呼ぶ)の溶液に、6.45 gのトリメトキシメチルメラミン樹脂を添加し、ポリマー溶液を調製した。得られたポリマー溶液を、ポリプロピレンフィルム製容器(底面;10 cm×10 cm)に流延し、これを空気流通式乾燥器に入れ、常温から50℃まで昇温して24時間乾燥した。生成した皮膜をスパチュラで剥離し、これを高温空気流通式乾燥器により130℃で10分間熱処理することにより厚さ100μmの導電性樹脂フィルムを作製した。
(2) 耐メタノール性:縦1cm×横4cmの帯状サンプルを切り出し、縦×横の面積を測定し、これを基準とした。これを室温のメタノールに浸漬し、30分後に取り出し、縦横の長さをそれぞれ測定し、かかる縦×横の面積を算出し、膨潤率を求めた。
(3) 耐熱水性:縦1cm×横4cmの帯状サンプルを切り出し、縦×横の面積を測定し、これを基準とした。これを80℃の熱水に浸漬し、2時間後に取り出し、縦横の長さをそれぞれ測定し、かかる縦×横の面積を算出し、膨潤率を求めた。
(4) 表面固有抵抗:表面固有抵抗測定器(東亜電波工業(株)製 SME-8310)により、23℃/RH 67%の条件で測定した。
(2) リン酸エステル化した酢酸ビニル単位含有ポリビニルアルコールのトリエタノールアミン塩。
(3) N,N-ジメチルアクリルアミド。
(4) NISSO-PB TE-2000、日本曹達(株)製。
(5) ブレンマーGMR-H、日本油脂(株)製。
(6) スミテックスレジンM-3、住友化学工業(株)製。
実施例2で調製したポリマーBの37質量%THF溶液と、トリメトキシメチルメラミン樹脂の10質量%メタノール溶液を、固形分質量比でポリマーB/トリメトキシメチルメラミン=90.9/9.1となるように混合し、ポリマー溶液を調製した。得られたポリマー溶液を、ポリプロピレンフィルム製容器(底面;10 cm×10 cm)に流延し、これを空気流通式乾燥器に入れ、常温から70℃まで昇温して24時間乾燥した。生成した皮膜をスパチュラで剥離し、これを高温空気流通式乾燥器により130℃で5分間熱処理することにより厚さ101μmの導電性樹脂フィルムを作製した。
ポリマーBとトリメトキシメチルメラミン樹脂の配合割合を、固形分質量比でポリマーB/トリメトキシメチルメラミン=87.0/13.0とした以外実施例7と同様にして、厚さ98μmの導電性樹脂フィルムを作製した。
実施例2で調製したポリマーBの37質量%THF溶液15 gと、25.4 gの水と、30.5 gのメタノールと、3.41 gの56質量%KOH水溶液とを混合し、室温で30分間攪拌してポリマーBをカリウム塩化した。得られた溶液のpHは5.6であり、固形分は8.9質量%であった。得られたポリマーBのカリウム塩(以下特段の断りがない限り「ポリマーBK」と呼ぶ)の溶液を、ポリプロピレンフィルム製容器(底面;10 cm×10 cm)に流延し、これを空気流通式乾燥器に入れ、常温から50℃まで昇温して24時間乾燥した。生成した皮膜をスパチュラで剥離し、これを高温空気流通式乾燥器により130℃で10分間熱処理することにより厚さ98μmの導電性樹脂フィルムを作製した。
水の添加量を2.0 gとし、メタノールの添加量を20 gとし、56質量%KOH水溶液の添加量を3gとした以外実施例9と同様にして、ポリマーBKを含む溶液を調製した(pH:4.2、固形分:11.5質量%)。得られた溶液に、3.45 gのトリメトキシメチルメラミン樹脂を添加したポリマー溶液を用いた以外実施例9と同様にして、厚さ103μmの導電性樹脂フィルムを作製した。
(2) リン酸エステル化した部分ブチラール化ポリビニルアルコールのカリウム塩。
(3) スミテックスレジンM-3、住友化学工業(株)製。
実施例3で調製したポリマーCのTHF溶液(29質量%)と、トリメトキシメチルメラミン樹脂の20質量%メタノール溶液を、固形分質量比でポリマーC/トリメトキシメチルメラミン=43.4/56.6となるように混合し、ポリマー溶液を調製した(pH:2.7、固形分:18.9質量%)。得られたポリマー溶液を、ポリプロピレンフィルム製容器(底面;10 cm×10 cm)に流延し、これを空気流通式乾燥器に入れ、常温から70℃まで昇温して24時間乾燥した。生成した皮膜をスパチュラで剥離し、これを高温空気流通式乾燥器により130℃で10分間熱処理することにより厚さ100μmの導電性樹脂フィルムを作製した。
実施例3で調製したポリマーCのTHF溶液15 gと、2.5 gの水と、2.364 gの56質量%KOH水溶液と、28 gのTHFとを混合し、室温で30分間攪拌してポリマーCをカリウム塩化した。得られた溶液のpHは5.5であり、固形分は10.7質量%であった。得られたポリマーCのカリウム塩(以下特段の断りがない限り「ポリマーCK」と呼ぶ)の溶液を用いた以外実施例11と同様にして、厚さ96μmの導電性樹脂フィルムを作製した。
実施例3で調製したポリマーCのTHF溶液15 gと、3gのトリエタノールアミンと、7.5 gの水と、32 gのTHFとを混合し、室温で30分間攪拌してポリマーCをトリエタノールアミン塩化した。得られた溶液のpHは5.5であり、固形分は11質量%であった。得られたポリマーCのトリエタノールアミン塩(以下特段の断りがない限り「ポリマーCA」と呼ぶ)を含むポリマー溶液を用いた以外実施例11と同様にして、厚さ97μmの導電性樹脂フィルムを作製した。
実施例3で調製した樹脂の原料として用いた塩化ビニル単位含有ポリビニルアルコール(商品名「SOLBIN TA5R」、以下特段の断りがない限り「ポリマーTA5R」と呼ぶ)の10質量%THF溶液を調製し、実施例5と同様にして厚さ105μmのフィルムを作製した。
ポリビニルアルコール(商品名「ポバールR-1130」、株式会社クラレ製)を用いて、特開平6-112010号の実施例に記載の方法に従って、リン酸エステル化ポリビニルアルコール(以下特段の断りがない限りは「ポリマーVAP」と呼ぶ)を調製した。実施例1と同様にして、ポリマーVAPの酸価を測定したところ530 mg/gであった(リン酸エステル化されたポバールR-1130の理論酸価:903)。ポリマーVAPを水に溶解して10質量%(固形分濃度)のポリマー水溶液を調製した。得られたポリマー水溶液を用いて、実施例5と同様にしてフィルムを作製した。しかし得られたフィルムは吸湿性が強く、常温/常湿で膜の状態を保持するのが困難であった。従って物性測定は不能であった。
(2) リン酸エステル化した塩化ビニル単位含有ポリビニルアルコールのカリウム塩。
(3) リン酸エステル化した塩化ビニル単位含有ポリビニルアルコールのトリエタノールアミン塩。
(4) 商品名「SOLBIN TA5R」、日信化学工業株式会社製。
(5) スミテックスレジンM-3、住友化学工業(株)製。
Claims (11)
- 少なくとも不飽和アルコール単位と脂肪酸ビニル単位及び/又はハロゲンビニル単位とを含む不飽和アルコール系共重合体、並びに部分アセタール化不飽和アルコール系重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種の水酸基含有ビニル系(共)重合体と、リン酸源化合物と、水とを反応させてなることを特徴とするリン酸エステル化ビニル系重合体。
- 請求項1に記載のリン酸エステル化ビニル系重合体において、前記リン酸源化合物は無水リン酸であることを特徴とするリン酸エステル化ビニル系重合体。
- 請求項1又は2に記載のリン酸エステル化ビニル系重合体において、前記不飽和アルコール系共重合体の前記不飽和アルコール単位はビニルアルコール単位であり、前記脂肪酸ビニル単位は酢酸ビニル単位であり、前記ハロゲンビニル単位は塩化ビニル単位であり、前記部分アセタール化不飽和アルコール系重合体は部分ブチラール化ポリビニルアルコールであることを特徴とするリン酸エステル化ビニル系重合体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリン酸エステル化ビニル系重合体において、アンモニウム塩、アミン塩又は金属塩を形成していることを特徴とするリン酸エステル化ビニル系重合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のリン酸エステル化ビニル系重合体からなることを特徴とする導電性樹脂。
- (a) 請求項1〜4のいずれかに記載のリン酸エステル化ビニル系重合体と、(b) メラミン樹脂、ビニル系親水性高分子、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアセタール、水溶性ウレタン、並びにセルロース及びその変性物からなる群から選ばれた少なくとも一種の他の樹脂とを含むことを特徴とする導電性樹脂組成物。
- 請求項6に記載の導電性樹脂組成物において、前記導電性樹脂組成物は、前記リン酸エステル化ビニル系重合体及び前記他の樹脂を含むポリマー溶液を加熱処理することにより得られたものであることを特徴とする導電性樹脂組成物。
- 少なくとも不飽和アルコール単位と脂肪酸ビニル単位及び/又はハロゲンビニル単位とを含む不飽和アルコール系共重合体、並びに部分アセタール化不飽和アルコール系重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種の水酸基含有ビニル系(共)重合体と、リン酸源化合物と、水とを、水酸基を有しない有機溶媒中で反応させることを特徴とするリン酸エステル化ビニル系重合体の製造方法。
- 請求項8に記載のリン酸エステル化ビニル系重合体の製造方法において、前記有機溶媒は、テトラヒドロフラン、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルホルムアミド及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする方法。
- 請求項8又は9に記載のリン酸エステル化ビニル系重合体の製造方法において、前記リン酸源化合物は無水リン酸であることを特徴とする方法。
- 請求項8〜10のいずれかに記載のリン酸エステル化ビニル系重合体の製造方法において、前記不飽和アルコール系共重合体の前記不飽和アルコール単位はビニルアルコール単位であり、前記脂肪酸ビニル単位は酢酸ビニル単位であり、前記ハロゲンビニル単位は塩化ビニル単位であり、前記部分アセタール化不飽和アルコール系重合体は部分ブチラール化ポリビニルアルコールであることを特徴とする方法。
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