JP2006160890A - リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体を用いた固体高分子電解質膜及びその用途、並びにリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の製造方法 - Google Patents

リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体を用いた固体高分子電解質膜及びその用途、並びにリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 プロトン導電性、耐水性及び耐溶剤性のバランスに優れ、安価な固体高分子電解質膜を提供する。
【解決手段】 脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体をリン酸エステル化したビニル系重合体からなるか、係るリン酸エステル化ビニル系重合体と他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂とを含む固体高分子電解質膜は導電性、耐水性及び耐溶剤性のバランスに優れている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プロトン導電性、耐水性及び耐溶剤性のバランスに優れ、安価な固体高分子電解質膜及びその用途としての燃料電池、並びに色相に優れたリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体を製造する方法に関する。
固体高分子電解質材料として、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、パーフルオロスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマー[Polymer Preprints, Japan Vol. 42, No. 7, pp. 2490〜2492 (1993), Polymer Preprints, Japan Vol. 43, No. 3, pp. 735〜736 (1994), Polymer Preprints, Japan Vol. 42, No. 3, p. 730 (1993)]等が報告されている。
特に側鎖にスルホン酸基を有する固体高分子材料は、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過したりする性質を有しているので、粒子状、繊維状又は膜状に成形され、電気透析膜、拡散透析膜、電池隔膜等の各種用途に利用されている。中でもNafion(デュポン(株)製)の商標で知られるパーフルオロ骨格の側鎖にスルホン酸基を有するフッ素系高分子電解質膜は耐熱性及び耐薬品性に優れており、苛酷な条件下での使用に耐える電解質膜として実用化されている。しかし上記のようなフッ素系電解質膜は非常に高価であるという問題を抱えている。
ところで、常温作動型のプロトン伝導性固体電解質は、固体内に含有される水の作用によってプロトンが高速に運搬されるため、代替材にも十分な吸水性が要求される。特に多くは湿潤環境によって使用されるため、耐水性も兼ね備えなければならない。従来のパーフルオロスルホン酸系の電解質では親水性の高いスルホン酸基周辺に吸収された水がイオンを高速に運搬し、ポリフルオロエチレン骨格部分が耐水性、化学的安定性、高温耐久性などを維持する役割を果たしている。
親水性が高くて安価な炭化水素系高分子材料の一例としてポリビニルアルコール(PVA)があり、これにリン酸を混合してプロトン伝導性を持たせた材料がプロトン伝導性固体電解質として利用可能である。この固体電解質ではPVAの高い吸水性によって高速なプロトンの移動が可能であるが、PVAが水に溶解し易いため、湿潤環境での材料安定性が低いという難点がある。
そこで特開2003-7133号(特許文献1)は、珪酸のアルカリ金属塩とリン酸とPVAとを溶解した水溶液を中和し、溶媒としての水を除去し、不要塩を除去することにより得られ、水を内包した珪酸化合物とリン酸化合物とPVAとからなるイオン伝導性固体電解質を提案している。このイオン伝導性固体電解質は、珪酸化合物による耐水性と、PVAによる吸水性とを兼備し、低価格である。しかし特許文献1のイオン伝導性固体電解質は、珪酸化合物を含むため、薄膜加工が困難であるという問題点がある。PVAの耐水性改善のために、ポリ塩化ビニル等の耐水性樹脂を添加する方法があるが、PVAとポリ塩化ビニルは相溶性が悪い。
特開2004-185891号(特許文献2)は、ポリビニルフォスフェート(PVAの水酸基をリン酸基で置換した構造を有する重合体)と塩基性分子(イミダゾール等)を混合して得られる高分子電解質膜を提案している。この膜では、塩基性分子がプロトン伝導媒体となるので、無加湿下でもプロトン伝導性を示し、加湿装置を必要としない。しかし燃料電池作動時に、高分子電解質膜から生じた遊離酸がシステム障害をもたらす恐れがある。
不飽和アルコール系共重合体をリン酸エステル化する方法に関しては、本出願人は先に、不飽和アルコール系共重合体と、リン酸源化合物と、水とを、水酸基を有しない有機溶媒中で反応させる方法を提案した(特願2004-307196号)。しかしこの方法により得られるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体は色相が不十分な場合があり、塗料、紙・パルプ用改質剤等の用途に使用する場合に色相改善が望まれる。
特開2003-7133号 特開2004-185891号
従って、本発明の目的は、プロトン導電性、耐水性及び耐溶剤性のバランスに優れ、安価な固体高分子電解質膜を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、色相に優れたリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体を製造する方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体をリン酸エステル化したビニル系共重合体からなるか、係るリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体と他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂とを含む固体高分子電解質膜は導電性、耐水性及び耐溶剤性のバランスに優れていることを発見した。本発明者はまた、少なくとも不飽和アルコール単位及び脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体と、リン酸源化合物と、過酸化水素水とを反応させることにより、色相に優れたリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体が得られることを発見した。本発明はかかる発明に基づき完成したものである。
すなわち、本発明の第一の固体高分子電解質膜は、少なくとも不飽和アルコール単位及び脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体と、リン酸源化合物と、水又は過酸化水素水とを反応させてなるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体からなり、プロトン導電性を有することを特徴とする。
本発明の第二の固体高分子電解質膜は、(a) 少なくとも不飽和アルコール単位及び脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体と、リン酸源化合物と、水又は過酸化水素水とを反応させてなるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体と、(b) 他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂とを含む均一組成物からなり、プロトン導電性を有することを特徴とする。
前記リン酸源化合物は無水リン酸であるのが好ましい。前記不飽和アルコール単位はビニルアルコール単位であるのが好ましい。前記脂肪酸ビニル単位は酢酸ビニル単位であるのが好ましい。前記リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体は、アンモニウム塩、アミン塩又は金属塩を形成しているのが好ましい。金属塩としては、カリウム塩等のアルカリ金属塩、及び酸化第1銅塩(赤茶色)、酸化第2銅塩(青色)、酸化第1/第2銅塩の等モル混合物(灰色)、酸化第2鉄塩(茶色)等の重金属塩が好ましい。これらの重金属塩は少々着色しているが、特に導電性が高く、ゲル化することがなく、かつ膜化が可能であるので、プロトン導電性固体高分子電解質膜として有用である。
前記非導電性樹脂は、メラミン樹脂、ビニル系親水性高分子、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアセタール、水溶性ウレタン樹脂、セルロース及びその変性物、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、共役ジエン系液状オリゴマー又はその水素化物の重合体、アルキルアミノ基含有不飽和単量体の重合体、フッ素基含有不飽和単量体の重合体、及びビニル芳香族−共役ジエン系共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種であるのが好ましい。
前記導電性樹脂は、リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体、リン酸基含有不飽和単量体、スルホン酸基含有不飽和単量体、カルボン酸基含有不飽和単量体、並びにアルコール性水酸基含有不飽和単量体及びそのリン酸エステル化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸性基含有不飽和単量体を重合してなるのが好ましい。前記リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体としては、アクリルアミドホスホン酸、アクリルアミドジホスホン酸及びホスホン酸基含有ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。前記アルコール性水酸基含有不飽和単量体のリン酸エステル化物としては、リン酸エステル化グリセロールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
前記導電性樹脂は、(メタ)アクリロニトリル、共役ジエン系液状オリゴマー又はその水素化物、アルキルアミノ基含有不飽和単量体、(メタ)アクリレート酸エステル類、スチレン類、ビニル類、分子内に複数個のエチレン性不飽和結合を含有する単量体、フッ素基含有不飽和単量体、及びビニル芳香族−共役ジエン系共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種を共重合成分として含んでもよい。前記共役ジエン系液状オリゴマーとしては、分子内に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有するブタジエンオリゴマーが好ましい。前記アルキルアミノ基含有不飽和単量体としては、N,N-ジメチルアクリルアミドが好ましい。前記ビニル芳香族−共役ジエン系共重合体としては、スチレン−イソプレン共重合体が好ましい。
本発明の固体高分子電解質膜は、燃料電池用途に好適である。
本発明のリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の製造方法は、少なくとも不飽和アルコール単位及び脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体と、リン酸源化合物と、過酸化水素水とを反応させることを特徴とする。
本発明の固体高分子電解質膜は、脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体をリン酸エステル化したビニル系共重合体からなるか、係るリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体と他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂とを含むので、プロトン導電性、耐水性及び耐溶剤性のバランスに優れている。本発明の固体高分子電解質膜は、(1) ビニル基が鎖状に結合した炭化水素骨格からなる疎水部と、(2) リン酸基及び未反応水酸基からなる親水部とを有するので、係る親水部が効率的なプロトン伝導経路となるものと推測される。また本発明の固体高分子電解質膜は、脂肪酸ビニル単位を有するので、これが耐水性及び耐溶剤性を発現しているものと考えられる。
このような特性を有する本発明の固体高分子電解質膜は、一次電池用電解質膜、二次電池用電解質膜、燃料電池用電解質膜、表示素子膜、各種センサー膜、信号伝達媒体膜、固体コンデンサー膜、イオン交換膜などに好適に利用できる。特に直接型メタノール固体高分子型燃料電池の電解質膜として用いた場合に、疎水部は優れたメタノールクロスオーバー防止性(メタノールが固体高分子電解質膜を透過してしまうのを防止できる性能)を発現するものと推測される。
本発明のリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の製造方法では、脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体に、リン酸源化合物及び過酸化水素水を反応させるので、色相に優れたリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体が得られる。このような特性を有するリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体は、導電性樹脂、帯電防止剤、防曇材料、紙・パルプ用改質剤、塗料、コーティング剤等の各種用途に有用である。
[1] リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の製造方法
本発明のリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の製造方法は、不飽和アルコール系共重合体と、リン酸源化合物と、過酸化水素水とを反応させるものである。
(1) 不飽和アルコール系共重合体
不飽和アルコール系共重合体は少なくとも不飽和アルコール単位及び脂肪酸ビニル単位を含む。不飽和アルコール単位としては、ビニルアルコール単位、アリルアルコール単位等が挙げられるが、製造コストの観点からビニルアルコール単位が好ましい。なおビニルアルコールは、単量体としては存在しないが、不飽和アルコール系共重合体の構成単位としては存在する。ビニルアルコール単位を得るには、酢酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体を調製し、鹸化すればよい。
ビニルアルコール単位を有する不飽和アルコール系共重合体は、下記一般式(1):
Figure 2006160890
(但しR1はアルキル基であり、n及びmは各々重合度である。)により表すことができる。
脂肪酸ビニル単位としては酢酸ビニル単位、プロピン酸ビニル単位、酪酸ビニル単位等が挙げられるが、酢酸ビニル単位が好ましい。不飽和アルコール単位及び脂肪酸ビニル単位は各々二種以上を含んでもよい。
不飽和アルコール系共重合体中の不飽和アルコール単位の割合は特に制限されないが、不飽和アルコール系共重合体を構成するビニル系単量体単位の合計を100モル%として、5〜60モル%であるのが好ましく、20〜50モル%がより好ましい。この割合が5モル%未満だと、リン酸エステル化に必要な水酸基量が少ない。
脂肪酸ビニル単位の割合は特に制限されないが、不飽和アルコール系共重合体を構成するビニル系単量体単位の合計を100モル%として、40〜95モル%が好ましく、50〜80モル%がより好ましい。不飽和アルコール系共重合体は脂肪酸ビニル単位のアルキル基により耐水性及び耐溶剤性に優れている。
不飽和アルコール系共重合体は、脂肪酸ビニル又はこれを含む単量体組成物の重合体を調製し、部分的に鹸化することにより調製することができる。不飽和アルコール系共重合体の平均重合度に特に制限はないが、100〜3,000が好ましい。
不飽和アルコール系共重合体として市販品を使用してもよく、酢酸ビニル単位を有するポリビニルアルコールとして、例えばクラレLMポリマー及びポバール(登録商標、株式会社クラレ製)、ゴーセノール(登録商標、日本合成化学工業株式会社製)等が挙げられる。酢酸ビニル単位を有するポリビニルアルコールの鹸化度は5〜60が好ましく、20〜50がより好ましい。
不飽和アルコール系共重合体は、その他の不飽和単量体単位を含んでもよい。他の不飽和単量体は、(i) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合と酸性基とを有する不飽和単量体、及び(ii) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有するが酸性基を有しない不飽和単量体に大別される。酸性基を有する不飽和単量体は、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基及びアルコール性水酸基からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸性基を有するのが好ましい。酸性基を有しない不飽和単量体としては(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、アルキルアミノ基含有不飽和単量体、置換又は無置換のスチレン類、ビニル類、オレフィン類(例えばエチレン等)、ジエン類等が挙げられる。
(2) リン酸エステル化方法
上記不飽和アルコール系共重合体に、リン酸源化合物及び過酸化水素水を反応させることにより、上記不飽和アルコール系共重合体をリン酸エステル化する。リン酸源化合物としては無水リン酸(P2O5)が好ましい。不飽和アルコール系共重合体の水酸基1当量に対するP2O5の配合割合は、所望のリン酸エステル化度に応じて適宜設定すればよいが、全ての水酸基をリン酸エステル化するには水酸基1当量に対し0.5モル以上とするのが好ましい。この配合割合の上限は1モル以下とするのが好ましい。
過酸化水素水の濃度に特に制限はないが、例えば1〜20質量%である。過酸化水素水の配合割合は、1モルのP2O5に対して、過酸化水素及び水の合計が1〜3モルであるのが好ましく、1.3〜1.8モルであるのがより好ましい。過酸化水素水を使用することにより、得られるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の色相が向上する。
反応手順について述べる。まず攪拌器、還流冷却器付き反応器に[不飽和アルコール系共重合体+溶媒]からなる溶液を投入し、30〜70℃に昇温する。この時ハイドロキノンモノメチルエーテル、パラメトキシハイドロキノン等の公知の重合禁止剤を一緒に投入してもよい。所定温度到達後に無水リン酸及び過酸化水素水を添加する。無水リン酸及び過酸化水素水は1〜7時間の間に2〜10回にわたり分割添加するのが好ましい。これによりリン酸エステル化反応が促進される。但し分割添加することに限定する趣旨ではなく、必要に応じて少量ずつ連続的に添加してもよい。その後も30〜70℃に保温し、1〜5時間反応を継続する。得られた反応溶液を室温まで冷却する。冷却により副生した無機ポリリン酸等が析出した場合は、自然濾過又は吸引濾過により析出した固体を濾別する。
溶媒としては水酸基を有しない有機溶媒が好ましい。そのような有機溶媒として、下記式(2):
Figure 2006160890
(但しR2は水素又はメチル基であり、R3及びR4はそれぞれ独立にアルキル基を表す。)により表されるN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系溶媒、及びテトラヒドロフラン(THF)等が好ましい。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
中でも溶媒としてはN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、DMF、及びTHFからなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドのR3及びR4が表すアルキル基の炭素数は2以下であるのが好ましい。中でもN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしてはN,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)及びN,N-ジメチルメタクリルアミドがより好ましい。N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドはエチレン性不飽和基を有し、リン酸エステル化反応後、重合開始剤を添加してラジカル重合させることにより、リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体との混合樹脂組成物とすることができる。そのためN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドを単独で溶媒に用いた場合、リン酸エステル化反応後に溶媒を除去する必要がない。
反応を促進し、かつ副生成物の生成を抑制するため、反応溶液は無水リン酸添加前の初期濃度(不飽和アルコール系共重合体原料の濃度)が20〜50質量%であるのが好ましく、25〜40質量%であるのがより好ましい。原料高分子と無水リン酸の反応により粘度が上昇するが、必要に応じて溶剤を添加することにより粘度を下げればよい。
未反応の無水リン酸や副生した無機ポリリン酸等を除去するために、反応後の溶液を金網等により濾過する。得られた粗樹脂は、これに対する貧溶媒により洗浄する。洗浄は、上記濾過後の溶液に貧溶媒を添加し、攪拌し、樹脂を析出させ、濾過することにより行う。必要に応じて、上記洗浄操作を繰り返してもよい。貧溶媒として、例えばクロロフォルム、トリクレン、キシレン、n-ヘキサン等が挙げられる。樹脂の析出が不能な場合、濾過後の溶液をセルロースチューブ等に入れて純水で透析するのが好ましい。洗浄後の析出樹脂を乾燥するか、透析後の反応溶液から溶媒を留去することにより、リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体を単離する。
(3) リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体
かくして得られるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体は、例えば上記式(1)により表される不飽和アルコール系共重合体を原料とし、その水酸基を全てリン酸エステル化した場合、下記一般式(3):
Figure 2006160890
(但しR1はアルキル基であり、n及びmは各々重合度である。)により表すことができる。
本発明の製造方法により得られるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体は色相に優れている。具体的には、ガードナー法により測定した色相値が0.5〜1.5である。しかも本発明の製造方法により得られるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体は、導電性、耐水性及び耐溶剤性のバランスに優れ、安価である。このような特性を有するリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体は、導電性樹脂、帯電防止剤、防曇材料、紙・パルプ用改質剤、塗料、コーティング剤等の各種用途に有用である。
リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体は、必要に応じて錯塩にしてもよく、これにより導電性及び耐熱性が向上する。錯塩としてはアンモニウム塩、アミン塩又は金属塩が好ましい。アンモニウム塩又はアミン塩を形成する場合、電荷を中和させるため、例えば第1級、第2級、第3級又は第4級のアルキル基、アリル基、アラルキル基等を含有するアンモニウムイオンやモノ、ジ又はトリアルカノールアミン残基と錯塩を形成するのが好ましい。金属塩としては、カリウム塩等のアルカリ金属塩、及び酸化第1銅塩(赤茶色)、酸化第2銅塩(青色)、酸化第1/第2銅塩の等モル混合物(灰色)、酸化第2鉄塩(茶色)等の重金属塩が好ましい。これらの重金属塩は少々着色しているが、特に導電性が高く、ゲル化することがなく、かつ膜化が可能であるので、プロトン導電性固体高分子電解質膜として有用である。これらの錯塩は単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
[2] 固体高分子電解質膜
本発明の第一の固体高分子電解質膜は、上記不飽和アルコール系共重合体をリン酸エステル化したビニル系共重合体からなる。本発明の第二の固体高分子電解質膜は、(a) 第一の固体高分子電解質膜と同じリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体と、(b) 他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂とを含む均一組成物からなる。
原料である不飽和アルコール系共重合体については上記の通りであるので、説明を省略する。不飽和アルコール系共重合体のリン酸エステル化方法については、過酸化水素水により加水分解することに限定されず、水のみを用いて加水分解してもよい点以外、上記と同じである。加水分解に水のみを使用する場合、その配合割合は、1モルのP2O5に対して1〜3モルとするのが好ましく、1.3〜1.8モルとするのがより好ましい。この配合割合が1モルのP2O5に対して1モル未満だと、ゲル化物が生じやすい。
(1) 第一の固体高分子電解質膜
第一の固体高分子電解質膜は、リン酸エステル化した不飽和アルコール系共重合体及び溶媒を含むポリマー溶液を調製し、これを水平に設置した基材(ガラス板、ポリオレフィンフィルム等)上に流延し、溶媒を蒸発させた後、50〜140℃に加熱することにより得られる。溶媒としてはDMF、THF、低級アルコール類等が挙げられる。ポリマー溶液の樹脂固形分濃度は5〜30質量%になるようにするのが好ましい。キャスト膜の厚さは通常20〜500μm、好ましくは20〜200μm程度とする。製膜したキャスト膜に対してさらに延伸を施すことにより機械的強度を増すこともできる。延伸は加熱を伴うのが好ましい。
(2) 第二の固体高分子電解質膜
第二の固体高分子電解質膜は、(a) リン酸エステル化した不飽和アルコール系共重合体と、(b) 他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂とを含む均一組成物からなる。
(A) 他の導電性樹脂
他の導電性樹脂は、酸性基を含有する不飽和単量体を重合してなるものであるのが好ましい。更に他の導電性樹脂は、必要に応じて各々酸性基を含有しない不飽和単量体やオリゴマーを共重合成分として含んでもよい。以下酸性基を含有する不飽和単量体、酸性基を含有しない不飽和単量体及びオリゴマーについて説明する。
(A-1) 酸性基及びアルコール性水酸基を含有する不飽和単量体
酸性基を含有する不飽和単量体は、分子内に少なくとも1つの酸性基と、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物である。酸性基としてはリン系酸残基(例えばホスホン酸基、リン酸基等)、スルホン酸基、カルボン酸基、及びアルコール性水酸基からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する骨格としては、ビニル骨格、(メタ)アクリレート骨格、(メタ)アリルエステル骨格等を挙げることができる。
(i) リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体
リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体としては、下記式(4):
Figure 2006160890
(但しR5は水素又はメチル基であり、R6は水素又は他の置換基を有してもよい炭化水素基である。)により表される(メタ)アクリルアミド単量体と、リン酸源化合物とを反応させ、得られた反応生成物を加水分解してなる組成物が好ましい。
式(4)により表される(メタ)アクリルアミド単量体のR5は、重合性が良好となる観点から水素基が好ましい。R6は、重合体を調製した場合のリン系酸残基密度を向上させる観点から水素基が好ましい。R6が炭化水素基である場合、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基等を挙げることができる。これらの基は他の置換基を有していてもよく、他の置換基の例としては、錯塩を形成していてもよいスルホン酸基;N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基等のアミノ基等を挙げることができる。中でも炭化水素基としては、重合体を調製した場合の酸性基密度を向上させる観点から錯塩を形成していてもよいスルホン酸基を有するものが好ましい。
式(4)により表される(メタ)アクリルアミド単量体の具体的な化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド及び下記式(5):
Figure 2006160890
(ただしR5は式(4)と同じであり、R7及びR8は水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R9は炭素数1〜3のアルキレン基であり、Mは水素、金属又は3級アミン残基を表す。)により表されるアクリルアミドアルカンスルホン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。上記式(5)により表されるアクリルアミドアルカンスルホン酸塩としてはターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸が好ましい。
リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物は、上記のような(メタ)アクリルアミド単量体と、リン酸源化合物とを反応させ、得られた反応生成物を加水分解して得られる。リン酸源化合物としては、無水リン酸が好ましい。(メタ)アクリルアミド単量体と無水リン酸との配合割合は、式[(無水リン酸のモル数)/((メタ)アクリルアミド単量体のモル数)]により表される比が0.05〜1.2の範囲であるのが好ましく、0.4〜1.1であるのがより好ましい。
リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物は、リン酸源化合物として無水リン酸を用いる場合、例えば下記式(6):
Figure 2006160890
(但しR5は水素又はメチル基であり、R6は水素又は他の置換基を有してもよい炭化水素基である。)に示すように(メタ)アクリルアミド単量体に対する無水リン酸のモル比が0.5となるように反応させて、ジアクリルアミド系ピロホスホン酸を生成させ、これに対するモル比が無水リン酸と同じ0.5の水で加水分解することにより製造できる。このため(メタ)アクリルアミド単量体に対する無水リン酸のモル比は、0.4〜0.8の範囲であるのが好ましく、0.5〜0.6の範囲であるのがより好ましく、0.52〜0.58の範囲であるのが特に好ましい。また十分に加水分解させるために、水は上記化学量論に基づくモル比よりも10%程度過剰に添加するのが好ましい。
(メタ)アクリルアミド単量体としてアクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを用い、リン酸源化合物として無水リン酸を用いる場合、式(6)に従って得られる(メタ)アクリルアミド系ホスホン酸だけでなく、例えば下記式(7):
Figure 2006160890
(但しR5は水素又はメチル基である。)に示すような反応により、(メタ)アクリルアミドジホスホン酸が生成する。従って、(メタ)アクリルアミド単量体としてアクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを用いて(メタ)アクリルアミドホスホン酸を主に製造するには、(メタ)アクリルアミドに対する無水リン酸のモル比[(無水リン酸のモル数)/((メタ)アクリルアミドのモル数)]が0.4〜0.8の範囲であるのが好ましく、0.5〜0.6の範囲であるのがより好ましく、0.52〜0.58の範囲であるのが特に好ましい。また(メタ)アクリルアミド単量体としてアクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを用いて(メタ)アクリルアミドジホスホン酸を主に製造するには、(メタ)アクリルアミドに対する無水リン酸のモル比[(無水リン酸のモル数)/((メタ)アクリルアミドのモル数)]が1〜1.2の範囲であるのが好ましく、1〜1.15の範囲であるのがより好ましく、1.05〜1.1の範囲であるのが特に好ましい。さらに(メタ)アクリルアミドジホスホン酸を主に製造する場合は、加水分解に際し、(メタ)アクリルアミドと無水リン酸の付加体に対するモル比が1の水を添加することを基本とする。但し十分に加水分解させるために、水は上記化学量論に基づくモル比よりも10%程度過剰に添加するのが好ましい。
(メタ)アクリルアミド単量体に対する無水リン酸のモル比を0.5超とした場合、加水分解前の段階において、下記式(8):
Figure 2006160890
(但しR5は水素又はメチル基であり、R6は水素又は他の置換基を有してもよい炭化水素基であり、jは1又は2である。)により表されるジアクリルアミドポリリン酸ホスホン酸も生成すると推測される。リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物は、ジアクリルアミドポリリン酸ホスホン酸の加水分解により生成する下記式(9):
Figure 2006160890
(但しR5は水素又はメチル基であり、R6は水素又は他の置換基を有してもよい炭化水素基であり、kは1又は2である。)により表される2リン酸残基又は3リン酸残基を有する単量体を含んでもよい。
リン酸源化合物として無水リン酸を用いる場合の反応手順について述べる。まず攪拌器、還流冷却器付き反応器に[(メタ)アクリルアミド単量体+溶媒]からなる溶液を投入し、50〜75℃に昇温する。この時ハイドロキノンモノメチルエーテル、パラメトキシハイドロキノン等の公知の重合禁止剤を一緒に投入するのが好ましい。所定温度到達後に無水リン酸を添加する。無水リン酸は1〜7時間の間に2〜10回にわたり分割添加するのが好ましい。これによりホスホン酸基含有アクリルアミド単量体の生成反応が促進され、収率が向上する。但し分割添加することに限定する趣旨ではなく、必要に応じて少量ずつ連続的に添加してもよい。無水リン酸の添加により発熱があり、通常70〜90℃程度まで反応温度が上昇する。その後50〜110℃に保ち、1〜3時間反応を継続する。得られた反応溶液を室温まで冷却する。冷却により未反応の無水リン酸や副生した無機ポリリン酸等が析出した場合は、吸引濾過により析出した固体を濾別する。
次いで反応溶液に水を添加すると発熱があるが、15分〜1時間、60〜100℃の温度に保持することにより加水分解する。
溶媒としては活性水素を含まない溶媒及び/又は酸性溶媒が好ましい。活性水素を含まない溶媒としては、上記N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド系溶媒が挙げられる。酸性溶媒としては、アルキルカルボン酸、アルキルリン酸等の有機酸系溶媒が挙げられる。これらの溶媒として、単独物を用いてもよいし、二種以上の混合物を用いてもよい。
中でも溶媒としてはN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルホルムアミド、N, N-ジメチルアセトアミド及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。中でもN,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)は、(メタ)アクリルアミド単量体、リン酸源化合物及びリン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物に対する溶解性に優れており、沸点が171〜172℃であるので反応温度の選択範囲が広く、重合防止剤を併用すれば副反応を十分防止できる等の利点を有する。
反応を促進し、かつ副生成物の生成を抑制するため、反応溶液は無水リン酸添加前の初期濃度[(メタ)アクリルアミド単量体原料の濃度]が20〜70質量%であるのが好ましく、25〜60質量%であるのがより好ましい。
反応後、リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物を単離する場合は、反応溶液を貧溶媒中に少量ずつ投入することにより粘性もち状液体を析出させ、濾別する。貧溶媒としては非極性溶媒が好ましく、例えばアセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エーテル等が挙げられる。非極性溶媒は比重が小さく、かつ比較的低沸点のものが好ましい。貧溶媒は反応生成物の有姿の5倍容積〜15倍容積と大過剰量使用する。貧溶媒による粘性液体の洗浄操作は必要に応じて繰り返せばよい。単離したリン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物を乾燥させる。乾燥方法は常温以上〜100℃以下で真空処理する方法、熱風オーブン等を用いて60〜100℃で1〜4時間加熱処理する方法等が好ましい。
かくして得られるリン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物は、下記式(10):
Figure 2006160890
(但しR5は水素又はメチル基であり、R6は水素又は置換もしくは無置換のアルキル基であり、xは0〜2の整数を表す。)により表されるホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体を含むのが好ましい。
リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物は、下記式(11):
Figure 2006160890
(但しR5は水素又はメチル基であり、R6は水素又は置換もしくは無置換のアルキル基である。)により表されるホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体、及び/又は下記式(12):
Figure 2006160890
(但しR5は水素又はメチル基である。)により表されるジホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体を含むのがより好ましい。重合体を調製した時のホスホン酸基密度を高くする観点から、式(11)により表されるホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体、及び式(12)により表されるジホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体の合計含有率は、リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物全体を100質量%として、5質量%以上であるのが好ましく、30質量%以上であるのがより好ましく、50質量%以上であるのが特に好ましい。
リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体組成物は、未反応の(メタ)アクリルアミド単量体及び/又は副生した(メタ)アクリロニトリルを含んでもよい。
(ii) リン酸基含有不飽和単量体
リン酸基を含有する不飽和単量体の例示化合物としては、下記一般式(13):
Figure 2006160890
(ただしR10は水素又はアルキル基であり、R11は水素又は置換もしくは無置換のアルキル基であり、pは1〜6の整数である。)により表されるリン酸基含有不飽和単量体(以下「単量体(I)」と呼ぶ)が特に好ましい。R10はH又はCH3であり、R11はH、CH3又はCH2Clであるのが好ましい。
単量体(I)のうち代表的なものの構造式及び物性をそれぞれ表1及び表2に示す。これらの単量体はユニケミカル(株)から商品名Phosmer(登録商標)として販売されている。ただし本発明に使用できるリン酸基含有不飽和単量体はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006160890
Figure 2006160890
単量体(I)のリン酸残基は解離していてもよいし、錯塩を形成していても良い。錯塩を形成する場合、電荷を中和させるため、例えば第1級、第2級、第3級又は第4級のアルキル基、アリル基、アラルキル基等を含有するアンモニウムイオンやモノ、ジ又はトリアルカノールアミン残基と錯塩を形成するのが好ましく、特にN+R12 4−f(OH)f(但しR12は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基及び炭素数6〜12の脂環族基からなる群から選ばれた少なくとも一種を表し、fは1〜3の正の整数を表す。)が好ましい。
リン酸基含有不飽和単量体としては、下記一般式(14):
Figure 2006160890
(ただしR10及びR10'はそれぞれ独立に水素基又はメチル基であり、R11及びR11'はそれぞれ独立に水素基又は置換もしくは無置換のアルキル基であり、p'及びp''はそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるリン酸基含有ジエステル不飽和単量体(以下「単量体(II)」と呼ぶ)、及び/又は下記一般式(15):
Figure 2006160890
(ただしR10及びR10'はそれぞれ独立に水素基又はメチル基であり、R11及びR11'はそれぞれ独立に水素基又は置換もしくは無置換のアルキル基であり、p'及びp''はそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるピロリン酸基含有不飽和単量体(以下「単量体(III)」と呼ぶ)を用いてもよい。
単量体(II)としては、下記式(16);
Figure 2006160890
(ただしR10及びR10'はそれぞれ独立に水素基又はメチル基である。)により表されるジ[(メタ)クリロイルオキシエチル]ホスフェートが好ましい。
単量体(III)としては、下記式(17);
Figure 2006160890
により表されるジ(メタクリロイルオキシエチル)アシッド・ピロホスフェートが好ましい。
単量体(II)及び(III)はそれぞれ単独で用いてもよいし、単量体(I)と単量体(II)及び/又は単量体(III)とを併用してもよい。
(iii) スルホン酸基含有不飽和単量体
スルホン酸基を含有する不飽和単量体としては、上記ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸、アリルスルホン酸(allyl sulfonic acid)、メタアリルスルホン酸(methallyl sulfonic acid)、ビニルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸ブチル-4-スルホン酸、(メタ)アクリロオキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
(iv) カルボン酸基含有不飽和単量体
カルボン酸基を含有する不飽和単量体の例示化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物等が挙げられる。
(v) アルコール性水酸基含有不飽和単量体
アルコール性水酸基を含有する不飽和単量体としては、グリセロールジメタクリレート[例えば商品名「ブレンマーGMR」、「同GMR-R」、「同GMR-H」(日本油脂(株)製)等]、グリセロールメタクリレートアクリレート[例えば商品名「ブレンマーGAM」、「同GAM-R」(日本油脂(株)製)等]等のグリセロールジ(メタ)アクリレート;1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-5521」(新中村化学工業(株)製)等];1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-5520」(新中村化学工業(株)製)等];ビスフェノールA型エポキシアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-1020」(新中村化学工業(株)製)等];ヘキサメチレンジオールジ(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の2-ヒドロキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
中でも、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート及びヘキサメチレンジオールジアクリレートは、エチレン性不飽和基を分子中に2個有することから、光重合又は放射線重合により固体高分子電解質膜を調製する際に用いるのが好ましい。
これらアルコール性水酸基含有不飽和単量体は、これらの水酸基をリン酸モノエステル化することにより、リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体との相溶性が一層向上する。特にエチレン性不飽和基を分子中に2個有するアルコール性水酸基含有不飽和単量体のリン酸モノエステル化単量体は、光重合を行った時、架橋効率が良い。そのようなリン酸エステル化物の中でもグリセロールジ(メタ)アクリレートをリン酸エステル化した化合物、すなわち下記式(18):
Figure 2006160890
(ただしR13及びR13'はそれぞれ独立に水素基又はメチル基である。)により表される化合物が好ましい。
アルコール性水酸基含有不飽和単量体をリン酸エステル化する方法は、不飽和アルコール系共重合体のリン酸エステル化方法と同じでよい。但し加水分解には、過酸化水素水のみならず、水のみを用いてもよい。また水は必ずしもP2O5と同時に添加する必要はなく、P2O5を全量添加した後、加水分解してもよい。
上記(i)〜(v)の不飽和単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。中でも重合物の酸性基密度が高い上記(i)のリン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体を用いるのが好ましい。
(A-2) 酸性基を含有しない不飽和単量体及びオリゴマー
各々酸性基を含有しない不飽和単量体及びオリゴマーとしては、(A-1)に記載した以外の、常温で気体でない、分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する不飽和単量体及びオリゴマーはすべて対象になるが、中でも(メタ)アクリロニトリル、共役ジエン系液状オリゴマー又はその水素化物、アルキルアミノ基含有不飽和単量体、(メタ)アクリレート酸エステル類、スチレン類(例えば置換及び無置換のスチレン類等)、ビニル類(例えば塩化ビニル、酢酸ビニル等)、分子内に複数個のエチレン性不飽和結合を含有する単量体、フッ素基含有不飽和単量体、及びビニル芳香族−共役ジエン系共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
(i) 共役ジエン系液状オリゴマー及びその水素化物
共役ジエン系液状オリゴマーとしては、分子内に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有するものが好ましく、ブタジエンオリゴマー、イソプレンオリゴマー及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種がより好ましい。共役ジエン系液状オリゴマーは、下記一般式(19):
Figure 2006160890
(但しR14及びR15はそれぞれ独立に(a) エチレン性不飽和結合を1個以上有し、かつ他の原子団を有してもよい炭化水素基、(b) エチレン性不飽和結合を有さず、かつ他の原子団を有してもよい炭化水素基又は(c) 水素基であり、かつR14及びR15の少なくとも一方は前記(a) エチレン性不飽和結合を有する炭化水素基であり、R16及びR17はそれぞれ独立に水素基又はメチル基であり、かつR16及びR17の少なくとも一方は水素基であり、tは重合度を表す。)により表されるものがさらに好ましい。ただし共役ジエン系液状オリゴマーとして、式(19)に示すような重合体鎖中の共役ジエン単位が1, 2−結合であるものに限定する趣旨ではなく、共役ジエン単位が1, 4−結合であるものであってもよい。
R14及びR15はそれぞれ独立に(a) エチレン性不飽和結合を1個以上有し、かつ他の原子団を有してもよい炭化水素基、(b) エチレン性不飽和結合を有さず、かつ他の原子団を有してもよい炭化水素基又は(c) 水素基であり、かつR14及びR15の少なくとも一方は前記(a) エチレン性不飽和結合を有する炭化水素基である限り特に制限はない。R14及びR15が有してもよい他の原子団としては、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれた少なくとも一種が挙げられる。R14及びR15の具体例として(メタ)アクリル基が挙げられる。
共役ジエン系液状オリゴマーの分子量に特に制限はないが、数平均分子量が500〜50,000のものが好ましい。式(19)により表される共役ジエン系液状オリゴマーのうちR16及びR17がともに水素基であるものの市販品として、例えば「NISSO-PB TEA-1000」、「NISSO-PB TE-2000」(以上日本曹達(株)製)等がある。
共役ジエン系液状オリゴマーは、必要に応じて他の共役ジエンを重合成分として含有してもよい。共役ジエン系液状オリゴマーがブタジエンオリゴマー又はその誘導体である場合、イソプレンを共重合成分として含んでもよい。共役ジエン系液状オリゴマーがイソプレンオリゴマー又はその誘導体である場合、ブタジエンを共重合成分として含んでもよい。他の共役ジエンとしては、その他に2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
共役ジエン系液状オリゴマーはオレフィンとの共重合体であってもよい。共役ジエン系液状オリゴマーが共役ジエンとオレフィンとの共重合体である場合、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーのいずれでもよい。
上記共役ジエン系液状オリゴマーは水素化したものであってもよい。水素化共役ジエン系液状オリゴマーは、下記一般式(20):
Figure 2006160890
(但しR14〜R17及びtは式(19)と同じである。)により表されるものが好ましい。式(20)により表される水素化共役ジエン系液状オリゴマーの市販品として、例えば「NISSO-PB TEAI-1000」(日本曹達(株)製)等がある。
(ii) アルキルアミノ基含有不飽和単量体
アルキルアミノ基を含有する不飽和単量体としては上記N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
(iii) (メタ)アクリル酸エステル類
(メタ)アクリル酸エステル類としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(iv) 分子内に複数個のエチレン性不飽和結合を含有する単量体
分子内に複数個のエチレン性不飽和結合を含有する単量体として、例えばジイソシアネートとグリセロールジ(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタンアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ U-4HA」(新中村化学工業(株)製)等]、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
(v) フッ素基含有不飽和単量体
フッ素基含有不飽和単量体として、例えばパーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のハイドロフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル基含有ビニル類;ハイドロフルオロアルキル基含有ビニル類等が挙げられる。
(vi) ビニル芳香族−共役ジエン系共重合体
ビニル芳香族−共役ジエン系共重合体は、少なくともビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有する共重合体からなる。ビニル芳香族成分としてはスチレンが好ましい。共役ジエン成分としてはイソプレンが好ましい。ビニル芳香族−共役ジエン系共重合体中のビニル芳香族成分及び共役ジエン成分の割合は特に制限されず、固体高分子電解質膜に要求される靭性、可撓性、機械的強度等の物性に応じて適宜設定すればよい。
ビニル芳香族−共役ジエン系共重合体は官能基や他の原子団の導入、水素添加等の処理により変性された誘導体であってもよい。官能基としては、(メタ)アクリル基、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、スルホン酸基、エポキシ基、炭化水素基等が挙げられる。他の原子団としては、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合等が挙げられる。ビニル芳香族−共役ジエン系共重合体の市販品として、例えば「クラプレン LIR-310」(株式会社クラレ製)等がある。
上記(i)のオリゴマー及び上記(ii)〜(vi)の不飽和単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。中でも上記(i)の共役ジエン系液状オリゴマーが好ましい。なお他の導電性樹脂が、上記酸性基含有不飽和単量体成分とともに上記共役ジエン系液状オリゴマー成分を含む場合、リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体は分散剤としても作用する。
酸性基を含有する不飽和単量体(A-1)と、酸性基を含有しない不飽和単量体又はオリゴマー(A-2)との質量比は、プロトン伝導性にプラス効果をもたらす酸性基含有不飽和単量体(A-1)が支配的になるように、[酸性基含有不飽和単量体(A-1)]/[酸性基を含有しない不飽和単量体又はオリゴマー(A-2)]=100/0〜50/50の範囲とするのが好ましい。
(B) 非導電性樹脂
非導電性樹脂としては、メラミン樹脂(例えばトリメトキシメチルメラミン樹脂等)、ビニル系親水性高分子(例えばポリビニルアルコール等)、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアセタール、水溶性ウレタン樹脂、セルロース及びその変性物、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、上記共役ジエン系液状オリゴマー又はその水素化物の重合体、上記アルキルアミノ基含有不飽和単量体の重合体、上記フッ素基含有不飽和単量体の重合体、及び上記ビニル芳香族−共役ジエン系共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種を添加するのが好ましい。これらのような非導電性樹脂を添加することにより、固体高分子電解質膜の造膜性、耐水性、耐薬品性、可撓性等が一層向上する。上記の他の導電性樹脂及び非導電性樹脂を併用してもよい。
(C) 配合割合
リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体と他の樹脂(他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂)の配合割合は特に制限されず、所望の物性に応じて適宜設定すればよいが、固形分重量ベースの比率[(リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体)/(他の樹脂)]が99/1〜1/99の範囲であるのが好ましく、一般的に95/5〜40/60の範囲であるのがより好ましく、リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体が主成分となる95/5〜60/40の範囲であるのが特に好ましい。また他の樹脂の中で、導電性樹脂と非導電性樹脂の質量比は、導電性にプラス効果をもたらす導電性樹脂が支配的になるように、導電性樹脂/非導電性樹脂=100/0〜50/50の範囲とするのが好ましい。なおリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体を、上記酸性基含有不飽和単量体成分及び上記共役ジエン系液状オリゴマー成分を含む固体高分子電解質膜の分散剤として用いる場合、固形分重量ベースの比率[(リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体)/(他の樹脂)]は1/99以上であれば十分な効果が得られる。
(D) 製造方法
第二の固体高分子電解質膜は、(i) リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体、上記他の樹脂(他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂)及び溶媒を含むポリマー溶液を調製し、これを流延し、加熱処理して溶媒を揮発させるキャスト法か、(ii) リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体と、上記他の樹脂(他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂)を構成させる不飽和単量体とを含む混合物を、光、放射線又は熱により処理する重合法により製造できる。
(i) キャスト法
キャスト法の場合、他の樹脂として市販品を用いることができる。また必要に応じて他の樹脂を構成できる上記のような不飽和単量体を溶液重合等の公知の方法で重合することにより他の樹脂を調製してもよい。溶媒はリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体及び他の樹脂に応じて適宜選択すればよいが、DMF、THF、低級アルコール類等が挙げられる。ポリマー溶液の樹脂固形分濃度、加熱温度及び膜厚は、第一の固体高分子電解質膜の場合と同じでよい。また第一の固体高分子電解質膜の場合と同様に、製膜したキャスト膜に対してさらに延伸を施すことにより機械的強度を増すこともできる。延伸は加熱を伴うのが好ましい。
(ii) 重合法
以下光重合により第二の固体高分子電解質膜を製造する方法を説明する。光重合による膜の製造方法は、リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体と、上記他の樹脂を構成させる不飽和単量体とを含む混合物及び光増感剤を含有する組成物(以下特段の断りがない限り「不飽和組成物」と呼ぶ)を、これが付着しない材料(フッ素系重合体等)により被覆された板に流延し、紫外線透過性板で覆った後、紫外線を照射するものである。不飽和組成物を、補強材に含浸させるか塗布した後、補強材を紫外線透過性の支持基板に挟み、紫外線を照射して不飽和組成物を光重合させることにより、複合膜化してもよい。使用できる重合開始剤及びその使用量、支持基板の材質、紫外線照射強度、補強材等は、例えば特開2003-86021号に記載されているものと同じでよい。
紫外線重合により得られる重合体の支持基板からの剥離性を付与するために、予め不飽和組成物に剥離剤を混合しておいてもよい。剥離剤としては、不飽和組成物との相溶性が比較的良いものが好ましい。剥離剤としてはフッ素系界面活性剤が好ましく、中でもフッ素系アルコールがより好ましい。剥離剤の具体例としてパーフロロオクチルエタノール、パーフロロオクチルスルホアミドエタノール及びこれらのエチレンオキサイド付加物;炭化水素系界面活性剤;高分子ポリオキシエチレングリコール(例えばカーボワックス等)等が挙げられる。フッ素系剥離剤の添加量は、不飽和組成物の合計質量に対して、0.1〜5質量%の範囲、好ましくは0.2〜1質量%の範囲である。この添加量が0.1質量%未満だと剥離性が不十分である。一方この添加量が5質量%を越えても剥離効果が飽和する。
光重合膜の厚さも通常20〜500μm、好ましくは20〜200μm程度とする。光重合した膜に対してさらに加熱することにより機械的強度を増すこともできる。かくして得られる本発明の第二の固体高分子電解質膜は均一な組成物である。
[3] 燃料電池
本発明の固体高分子電解質膜は10-4〜10-2S・cm-1の優れたプロトン伝導性を有し、係るプロトン伝導性は温度依存性が小さいので、燃料電池用電解質膜として好適である。
燃料電池の構造は公知のものでよい。通常燃料電池は複数個の単位燃料電池(膜・電極接合体)をセパレータを介して積層することにより形成することができる。単位燃料電池は、アノード及びカソード電極と電解質膜から構成される。電極は、ガス拡散層(多孔性の炭素系材料等)と触媒層(白金粒子等)とからなり、ガス拡散層上には、触媒粒子が塗布され、触媒層が形成される。電解質膜の両側に触媒層を対向するようにアノード電極とカソード電極を接合して単位燃料電池を構成する。
セパレータは、燃料ガス(水素、メタン等)と酸化剤ガス(酸素又は空気)とを分離すると共に、燃料ガス及び酸化剤ガスの流路の流路を確保し、さらに燃料電池セルで発電した電気を外部へ伝達する役割を担う。従ってセパレータは、炭素材料、炭素複合材料(カーボンと熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂との複合材料等)、金属材料、金属複合材料(金属とカーボンとの複合材料等)等の導電性材料から形成される。またセパレータの表面には電極との接触部分に燃料ガス及び酸化剤ガスの流路をなす溝(反応ガス流路)が形成されている。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
還流冷却管、粉末投入口及び温度計を接続した自動合成反応装置(内容積1L、ユニケミカル(株)製)に、375 gのTHFを入れ、173 gの酢酸ビニル単位含有ポリビニルアルコール(商品名「クラレLMポリマーLM-20」、鹸化率:38〜42モル%、水酸基当量:約173、株式会社クラレ製)を加え、溶解した。攪拌回転数を2,120 rpmに保持し、反応温度を30〜58℃の範囲に保持しながら、18 gの7質量%過酸化水素水(過酸化水素及び水の合計:0.94モル)及び78 gのP2O5(0.55モル)を、各々ほぼ6分の1ずつ6回に分けて、ほぼ等間隔で6時間かけて投入した。水及びP2O5を全て投入後、30℃の温度条件及び2,120 rpmの攪拌条件で4時間熟成反応を行った。
得られたリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体(以下特段の断りがない限り「ポリマーA」と呼ぶ)を含む溶液(反応生成液)を金網(100メッシュ)で濾過して、微量のゲル化物等の不純物を除去した。濾過後の反応生成液に等容積のn-ヘキサンを加え、攪拌し、析出した粘性樹脂を濾過した。濾液は未反応の無水リン酸が変化した正リン酸を含むTHFが溶解し、白濁していた。同量のn-ヘキサンを用いて、ポリマーAをさらに2回洗浄した。3回目に洗浄した時の濾液は、ほぼ透明であった。精製後のポリマーAをTHFに溶解させて534 gの溶液を調製した。得られた精製ポリマーA含有THF溶液から少量を抜き出し、熱風乾燥器中で100℃で30分間乾燥し、質量を測定した結果、この溶液における固形分は42.6質量%であった。この濃度から算出した精製後のポリマーAの乾燥質量は、534(g)×0.426=227.5 gであり、理論収量(253 g)に対する収率は90%であった。
精製ポリマーA含有THF溶液から少量を抜き出し、これを水30 vol%/メタノール70 vol%混合溶液に添加し、樹脂酸価(1NのKOH水溶液を使用。以下同様。)を測定したところ395 mg/gであった(リン酸エステル化されたクラレLMポリマーLM-20の理論酸価:442.7 mg/g)。精製ポリマーA含有THF溶液のガードナー法により測定した色相値は1であった。
精製ポリマーA含有THF溶液と、トリメトキシメチルメラミン樹脂(商品名「スミテックスレジンM-3」、住友化学工業(株)製、以下同じ)の10質量%メタノール溶液を、固形分質量比でポリマーA/トリメトキシメチルメラミン=71.4/28.6となるように混合し、ポリマー溶液を調製した。得られたポリマー溶液を、ポリプロピレンフィルム製容器(底面;10 cm×10 cm)に流延し、これを空気流通式乾燥器に入れ、常温から70℃まで昇温して24時間乾燥した。生成した皮膜をスパチュラで剥離し、厚さ102μmの固体高分子電解質膜を作製した。
参考例1
過酸化水素水の代わりに水を用いた以外実施例1と同様にして、ポリマーAを調製した。得られた粗ポリマーAを実施例1と同様にして精製した後、42.6質量%の濃度のTHF溶液を調製したところ、ガードナー法により測定した色相値は3であった。
以上のことから、不飽和アルコール系共重合体のリン酸エステル化に過酸化水素水を用いることにより、得られるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の色相が向上することは明らかである。
実施例2
実施例1で調製した精製ポリマーA含有THF溶液(42.6質量%)15 gと、4.08 gのトリエタノールアミンと、5.0 gの水と、30 gのメタノールとを混合し、室温で30分間攪拌してポリマーAをトリエタノールアミン塩化した。得られた溶液のpHは5.4であり、固形分は21.5質量%(自動天秤により120℃の温度で測定。以下同じ。)であった。得られたポリマーAのトリエタノールアミン塩(以下特段の断りがない限り「ポリマーAA」と呼ぶ)の溶液に、6.45 gのトリメトキシメチルメラミン樹脂を添加し、ポリマー溶液を調製した。得られたポリマー溶液を、ポリプロピレンフィルム製容器(底面;10 cm×10 cm)に流延し、これを空気流通式乾燥器に入れ、常温から50℃まで昇温して24時間乾燥した。生成した皮膜をスパチュラで剥離し、これを高温空気流通式乾燥器により130℃で10分間熱処理することにより厚さ100μmの固体高分子電解質膜を作製した。
実施例1及び2で作製した固体高分子電解質膜の物性を以下の方法で測定した。結果を表3に示す。
(1) 耐水性:縦1cm×横4cmの帯状サンプルを切り出し、縦× 横の面積を測定し、これを基準とした。これを室温の水に浸漬し、30分後に取り出し、縦横の長さをそれぞれ測定し、かかる縦 × 横の面積を算出し、膨潤率を求めた。
(2) 耐メタノール性:縦1cm×横4cmの帯状サンプルを切り出し、縦× 横の面積を測定し、これを基準とした。これを室温のメタノールに浸漬し、30分後に取り出し、縦横の長さをそれぞれ測定し、かかる縦×横の面積を算出し、膨潤率を求めた。
(3) 耐熱水性:縦1cm×横4cmの帯状サンプルを切り出し、縦×横の面積を測定し、これを基準とした。これを80℃の熱水に浸漬し、2時間後に取り出し、縦横の長さをそれぞれ測定し、かかる縦×横の面積を算出し、膨潤率を求めた。
(4) 表面固有抵抗:表面固有抵抗測定器(東亜電波工業(株)製 SME-8310)により、23℃/RH 67%の条件で測定した。
(5) プロトン導電率:複素インピーダンス法を用いて測定した。3cm×1cmの矩形状サンプルを切り出し、開放系インピーダンスセルに設置した。このセルを恒温恒湿器内に設置し、相対湿度:90%、測定温度範囲:35〜80℃でのインピーダンス測定を行った。得られたデータを平面複素インピーダンス解析し、その結果をcole-cole プロット図形処理をして得られたサンプルの抵抗値から導電率を求めた。
Figure 2006160890
注:(1) リン酸エステル化した酢酸ビニル単位含有ポリビニルアルコール。
(2) リン酸エステル化した酢酸ビニル単位含有ポリビニルアルコールのトリエタノールアミン塩。
(3) スミテックスレジンM-3、住友化学工業(株)製。
比較例1
ポリビニルアルコール(商品名「ポバールR-1130」、株式会社クラレ製)を用いて、特開平6-112010号の実施例に記載の方法に従って、リン酸エステル化ポリビニルアルコール(以下特段の断りがない限りは「ポリマーVAP」と呼ぶ)を調製した。実施例1と同様にして、ポリマーVAPの酸価を測定したところ530 mg/gであった(リン酸エステル化されたポバールR-1130の理論酸価:903)。ポリマーVAPを水に溶解して10質量%(固形分濃度)のポリマー水溶液を調製した。得られたポリマー水溶液を用いて、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。しかし得られたフィルムは吸湿性が強く、常温/常湿で膜の状態を保持するのが困難であった。従って物性測定は不能であった。
実施例3
(1) 酢酸ビニル単位含有ポリビニルアルコールのリン酸エステル化
THFの代わりに、溶媒として375 gのN,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)を用いた以外実施例1と同様にして、ポリマーAを調製した。得られた反応生成液を金網(100メッシュ)で濾過して、微量のゲル化物等の不純物を除去した。濾過後の溶液から少量を抜き出し、実施例1と同様にして固形分を測定した結果、38.5質量%であった。実施例1と同様にして、ポリマーAの酸価を測定した結果、380 mg/gであった(理論酸価:442.7 mg/g)。
(2) アクリルアミドホスホン酸の調製
還流冷却管、粉末投入口及び温度計を接続した自動合成反応装置(内容積500 mL、ユニケミカル(株)製)中で、120.6 gのDMFに、122.3 g(1.72モル)のアクリルアミド、及び1.0 gのハイドロキノンモノメチルエーテルを溶解させ、60℃まで昇温した。内温が60℃に到達したことを確認後、粉末投入口から、134.0 g(0.94モル)の無水リン酸を3時間30分の間に5回に分けて投入した。無水リン酸を添加する間、300〜400 rpmで攪拌しながら内温を60〜95℃の範囲で保持した。無水リン酸を全て投入後、80℃で2時間熟成反応を行った。
得られた反応溶液から0.5 gを抜き出し、メタノール5gで希釈し、100℃で1時間熱風乾燥して固形分含有量を測定した結果、63質量%であった。反応溶液1gをジメチルスルホキシド(DMSO)100gに溶解し、測定した酸価(1NのKOH水溶液を使用。滴定終点:pH=10.3。)は444 mg/gであった(固形分換算。ジアクリルアミドピロホスホン酸の理論酸価:394 mg/g。ジアクリルアミドジピロホスホン酸の理論酸価:526 mg/g。)。また反応溶液の一部を抜き出し、水と混合したところ白濁した。これは水不溶性のアクリロニトリルが副生したためと考えられる。
反応溶液は冷却後、微量の固体が析出したので、吸引濾過により析出した固体を濾別した。得られた透明液体330 gに、14.76 g(0.82モル)の水を添加し、攪拌下70〜80℃で30分間加熱することにより加水分解した。得られた反応溶液から0.5 gを抜き出し、メタノール5gで希釈し、100℃で1時間熱風乾燥して固形分含有量を測定した結果、64質量%であった。得られた加水分解後の反応溶液を用いて測定した酸価(1NのKOH水溶液を使用。滴定終点:pH=10.3)は795.3 mg/gであった(固形分換算。アクリルアミドホスホン酸の理論酸価:741.7 mg/g。アクリルアミドジホスホン酸の理論酸価:969.7 mg/g。)。実測酸価が理論酸価(741.7 mg/g)より高いのは、過剰の無水リン酸を添加したため、アクリルアミドジホスホン酸並びに上記式(9)により表される2リン酸残基及び3リン酸残基を有する単量体が生成したためであると考えられる。
得られた加水分解後の反応溶液50 gを、500 gのTHF中に攪拌しながら少量ずつ投入することにより、上層の不純物含有THFと下層の精製された粘性液体とに分離させた。これを分液濾斗により分別し、下層の精製粘性液体のみを取り出し、真空乾燥時の重合を防止する目的でハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を0.003 g添加した後、常温真空乾燥してアクリルアミドホスホン酸を主成分とする単量体組成物(以下特段の断りがない限り「モノマーNP」と呼ぶ)を得た。
モノマーNPを液体クロマトグラフィーにより分析した結果、アクリルアミドホスホン酸、アクリルアミドジホスホン酸、並びに上記式(9)により表される2リン酸残基及び3リン酸残基を有する単量体の合計含有量が70質量%以上であり、その他に副生アクリロニトリルを5質量%以下含むことを確認した[液体クロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。測定機器:(株)島津製作所製SPD-10A(UV検出器使用)、カラム温度:室温、溶媒:メタノール/水=7/3(質量比)、濃度:0.01 質量%(インジェクション量:2.5μl)、カラム:HAMILTON社製PRP-1、溶媒流速:0.3 ml/分。]。
(3) ホスホン酸基含有ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸の調製
上記(2)と同じ反応容器に207 g(1モル)のターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS:三菱レイヨン(株)製)及び1.0 gのハイドロキノンモノメチルエーテルを入れ、200 gのDMFに溶解し、70℃まで昇温した。内温が70℃に到達したことを確認後、粉末投入口から、78 g(0.55モル)の無水リン酸を2時間の間に2回に分けて投入した。無水リン酸を添加する間、300〜400 rpmで攪拌しながら内温を70〜95℃の範囲で保持した。無水リン酸を全て投入後、70〜95℃で1時間熟成反応を行った。
反応溶液1gをDMSO100gに溶解し、測定した酸価(1NのKOH水溶液を使用。滴定終点:pH = 10.3。)は404.0 mg/gであった[固形分換算(但し固形分は理論計算値)。ジ(ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸)ピロホスホン酸の理論酸価:402.9 mg/g]。
得られた70℃の反応溶液486 gに、9.9 g(0.55モル)の水を添加すると、90℃まで温度が上昇した。その後、攪拌下70〜90℃で30分間加熱することにより加水分解した。得られた加水分解後の反応溶液を用いて測定した酸価(1NのKOH水溶液を使用。滴定終点:pH = 10.3)は594.6 mg/gであった(固形分換算。ホスホン酸基含有ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸の理論酸価:585.4 mg/g)。これによりホスホン酸基含有ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸が合成されたと判断した。
得られた加水分解後の反応溶液50 gを、500 gのTHF中に攪拌しながら少量ずつ投入することにより、上層の不純物含有THFと下層の精製された粘性液体とに分離させた。これを分液濾斗により分別し、下層の精製粘性液体のみを取り出し、真空乾燥時の重合を防止する目的でハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を0.003 g添加した後、常温真空乾燥してホスホン酸基含有ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸(以下特段の断りがない限り「モノマーSNP」と呼ぶ)を得た。
(4) リン酸エステル化グリセロールジメタクリレートの調製
上記(2)と同じ反応容器に342 g(1.5モル)のグリセロールジメタクリレート[商品名「ブレンマーGMR-H、水酸基当量:239(分析値)、日本油脂(株)製」を入れ、60℃まで昇温した。内温が60℃に到達したことを確認後、117 g(0.825モル)の無水リン酸を、粉末投入口からほぼ6分の1ずつ6回に分けて、ほぼ等間隔で6時間かけて投入した。無水リン酸を添加する間、420 rpmで攪拌しながら内温を70〜90℃の範囲で保持した。無水リン酸を全て投入後、80℃で2時間熟成反応させた。
得られた溶液を金網(100メッシュ)で濾過して、微量のポリリン酸等の不純物を除去した。濾過後の溶液を反応容器に戻し、420 rpmで攪拌するとともに液温が80〜85℃となるように加熱しながら、22 gの水(1.22モル)を滴下ロートから1時間かけて添加した後、同温度で2時間熟成反応させた。得られた加水分解後の反応溶液[色数:3、屈折率(20℃):1.4745]を用いて測定した酸価は351 mg/gであった(リン酸エステル化グリセロールジメタクリレートの理論酸価:363.6 mg/g)。これによりリン酸エステル化グリセロールジメタクリレート(以下特段の断りがない限り「モノマーGDM」と呼ぶ)が合成されたと判断した。
(5) 固体高分子電解質膜の作製
各々上記のようにして調製したポリマーAのDMAA溶液、モノマーNP、モノマーSNP及びモノマーGDM、並びにアクリロニトリル(AN)及び末端アクリル変性液状ブタジエンオリゴマー(NISSO-PB TE-2000、日本曹達(株)製)を混合し、表4に示す配合割合の組成物を調製した。得られた組成物に、重合開始剤として[イルガキュア651(2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、チバ・スペシャリティーケミカルズ社製) +イルガキュア500(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン) +過酸化ベンゾイル(BPO)= 4.6 wt% + 2.4 wt% + 0.3 wt%](対組成物)を添加した。
一辺20cmの正方形状ガラス板上にポリエチレンフィルムを貼り、各端部に厚さ100μmのスペーサー用テープをつけ、対角中心に上記重合開始剤を添加した組成物を滴下し、その上からポリエチレンフィルムを貼り付けたガラス板を置き、組成物を2枚のガラス平板間に挟んだ状態とした。この状態で、高圧水銀灯(400 W)により紫外線を裏表に対して各5分間照射することにより(照射距離:20 cm)、光重合させた。更に電子レンジを用いて500Wで5分間加熱処理して厚さ100μmの固体高分子電解質膜を作製した。得られた膜は透明であり、均一性に優れていた。
実施例4
(1) アクリルアミドジホスホン酸の調製
還流冷却管、粉末投入口及び温度計を接続した自動合成反応装置(内容積500 mL、ユニケミカル(株)製)に、71 g(1モル)のアクリルアミド、及び1.0 gのハイドロキノンモノメチルエーテルを入れ、198 gのジメチルアセトアミドに溶解し、60℃まで昇温した。内温が60℃に到達したことを確認後、粉末投入口から、156 g(1.1モル)の無水リン酸を3時間30分の間に5回に分けて投入した。無水リン酸を添加する間、300〜400 rpmで攪拌しながら内温を60〜95℃の範囲で保持した。無水リン酸を全て投入後、80℃で2時間熟成反応を行った。
得られた反応溶液から0.5 gを抜き出し、メタノール5gで希釈し、100℃で1時間熱風乾燥して固形分含有量を測定した結果、53質量%であった。反応溶液0.65 gをジメチルスルホオキサイド(DMSO)100 gに溶解して測定した酸価(1NのKOH水溶液を使用。滴定終点:pH = 10.3。)は550 mg/gであった(固形分換算。アクリルアミドピロホスホン酸及びジアクリルアミドジピロホスホン酸の理論酸価:525.8 mg/g)。また反応溶液の一部を抜き出し、水と混合したところ白濁した。これは水不溶性のアクリロニトリルが副生したためと考えられる。
引き続き反応溶液に、20 g(1.1モル)の水を添加し、攪拌下70〜80℃で30分間加熱することにより加水分解した。得られた反応溶液から0.5 gを抜き出し、メタノール5gで希釈し、100℃で1時間熱風乾燥して固形分含有量を測定した結果、55質量%であった。得られた加水分解後の反応溶液を用いて測定した酸価(1NのKOH水溶液を使用。滴定終点:pH =10.3)は959.1 mg/gであった(固形分換算。アクリルアミドホスホン酸の理論酸価:741.7 mg/g。アクリルアミドジホスホン酸の理論酸価:969.7 mg/g)。
得られた加水分解後の反応溶液50 gを、500 gのTHF中に攪拌しながら少量ずつ投入することにより、上層の不純物含有THFと下層の精製された粘性液体とに分離させた。これを分液濾斗により分別し、下層の精製粘性液体のみを取り出し、真空乾燥時の重合を防止する目的でハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を0.003g添加した後、常温真空乾燥してアクリルアミドジホスホン酸を主成分とする単量体組成物(以下特段の断りがない限り「モノマーN2P」と呼ぶ)を得た。
得られたモノマーN2Pを、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィーにより分析した結果、アクリルアミドホスホン酸、アクリルアミドジホスホン酸、並びに上記式(11)により表される2リン酸残基及び3リン酸残基を有する単量体の合計含有量が90質量%以上であり、その他に副生アクリロニトリルを5質量%以下含むことを確認した。
(2) 固体高分子電解質膜の作製
各々実施例3と同様にして調製したポリマーAのDMAA溶液、モノマーNP、モノマーSNP及びモノマーGDM、並びに上記(1)で調製したモノマーN2P、AN及び末端アクリル変性液状ブタジエンオリゴマーを混合し、表4に示す配合割合の組成物を調製した。得られた組成物に、重合開始剤として[イルガキュア651 +イルガキュア500 +BPO = 4.6 wt% + 2.4 wt% + 0.3 wt%](対組成物)を添加した。重合開始剤を添加した組成物を用いて、実施例3と同様にして、厚さ97μmの固体高分子電解質膜を作製した。得られた膜は透明であり、均一性に優れていた。
実施例5
各々実施例3と同様にして調製したポリマーAのDMAA溶液、モノマーNP、モノマーSNP及びモノマーGDM、並びにAN及び末端アクリル変性液状ブタジエンオリゴマーを混合し、表4に示す配合割合の組成物を調製した。得られた組成物に、重合開始剤として[イルガキュア651 +イルガキュア500 +BPO = 6.2 wt% + 3.0 wt% + 049 wt%](対組成物)を添加した。重合開始剤を添加した組成物を用いて、実施例3と同様にして、厚さ104μmの固体高分子電解質膜を作製した。得られた膜は透明度であり、均一性に優れていた。
実施例3〜5で作製した固体高分子電解質膜の物性を、実施例1と同じ方法で測定した。結果を表4に示す。
Figure 2006160890
注:(1) リン酸エステル化した酢酸ビニル単位含有ポリビニルアルコール。
(2) 主成分:アクリルアミドホスホン酸。
(3) 主成分:アクリルアミドジホスホン酸。
(4) ホスホン酸基含有ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸。
(5) リン酸エステル化グリセロールジメタクリレート。
(6) N,N-ジメチルアクリルアミド。
(7) アクリロニトリル。
(8) NISSO-PB TE-2000、日本曹達(株)製。
比較例2
ポリマーAを添加しなかった以外実施例3と同様にして、固体高分子電解質膜を作製した。しかし得られた膜は白濁しており、実施例3に比べて均一性に劣っていた。
表3及び4に示すように、実施例1〜5の固体高分子電解質膜は、水、熱水及びメタノールへの浸漬によって僅かな膨潤が起こるものの、溶解はせず、実用上問題ないレベルである。表面固有抵抗値に関して、実施例1〜5の固体高分子電解質膜は、室温/RH=50〜75%の条件下で1×106Ω以下であり、標準的な導電性樹脂組成物の表面固有抵抗値より優れていた。また表4に示す結果から、実施例2〜5の固体高分子電解質膜のプロトン導電率は、35〜80℃の温度及び90%の相対湿度の測定条件において、10-4〜10-2 S・cm-1のオーダーにあり、リン酸基を酸性基とする高分子電解質として良好な水準であった。
実施例1〜5の固体高分子電解質膜は、(1) ビニル基が鎖状に結合した炭化水素骨格からなる疎水部と、(2) リン酸基からなる親水部とを有するので、係る親水部が効率的なプロトン伝導経路となるものと推測される。また実施例1〜5の固体高分子電解質膜は、脂肪酸ビニル単位を有するので、耐水性及び耐溶剤性に優れているものと考えられる。
特に実施例3〜5の固体高分子電解質膜は、ホスホン酸基密度の高いホスホン酸基含有アクリルアミド重合体を主成分とし、共役ジエン系液状オリゴマーの重合体も含む。そのため係るホスホン酸基が上記親水部の密度を一層高め、共役ジエン系液状オリゴマーの重合体が上記疎水部の作用を高めているものと考えられる。

Claims (13)

  1. 少なくとも不飽和アルコール単位及び脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体と、リン酸源化合物と、水又は過酸化水素水とを反応させてなるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体からなり、プロトン導電性を有することを特徴とする固体高分子電解質膜。
  2. (a) 少なくとも不飽和アルコール単位及び脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体と、リン酸源化合物と、水又は過酸化水素水とを反応させてなるリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体と、(b) 他の導電性樹脂及び/又は非導電性樹脂とを含む均一組成物からなり、プロトン導電性を有することを特徴とする固体高分子電解質膜。
  3. 請求項1又は2に記載の固体高分子電解質膜において、前記リン酸源化合物は無水リン酸であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、前記不飽和アルコール単位はビニルアルコール単位であり、前記脂肪酸ビニル単位は酢酸ビニル単位であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、前記リン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体はアンモニウム塩、アミン塩又は金属塩を形成していることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  6. 請求項2〜5のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、前記非導電性樹脂は、メラミン樹脂、ビニル系親水性高分子、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアセタール、水溶性ウレタン樹脂、セルロース及びその変性物、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、共役ジエン系液状オリゴマー又はその水素化物の重合体、アルキルアミノ基含有不飽和単量体の重合体、フッ素基含有不飽和単量体の重合体、及びビニル芳香族−共役ジエン系共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  7. 請求項2〜6のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、前記導電性樹脂は、リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体、リン酸基含有不飽和単量体、スルホン酸基含有不飽和単量体、カルボン酸基含有不飽和単量体、並びにアルコール性水酸基含有不飽和単量体及びそのリン酸エステル化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸性基含有不飽和単量体を重合してなることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  8. 請求項7に記載の固体高分子電解質膜において、前記リン系酸残基含有(メタ)アクリルアミド誘導体はアクリルアミドホスホン酸、アクリルアミドジホスホン酸及びホスホン酸基含有ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、前記アルコール性水酸基含有不飽和単量体のリン酸エステル化物はリン酸エステル化グリセロールジ(メタ)アクリレートであることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  9. 請求項7又は8に記載の固体高分子電解質膜において、前記導電性樹脂は、(メタ)アクリロニトリル、共役ジエン系液状オリゴマー又はその水素化物、アルキルアミノ基含有不飽和単量体、(メタ)アクリレート酸エステル類、スチレン類、ビニル類、分子内に複数個のエチレン性不飽和結合を含有する単量体、フッ素基含有不飽和単量体、及びビニル芳香族−共役ジエン系共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種を共重合成分として含むことを特徴とする固体高分子電解質膜。
  10. 請求項9に記載の固体高分子電解質膜において、前記共役ジエン系液状オリゴマーは分子内に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有するブタジエンオリゴマーであり、前記アルキルアミノ基含有不飽和単量体はN,N-ジメチルアクリルアミドであることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の固体高分子電解質膜を用いたことを特徴とする燃料電池。
  12. 少なくとも不飽和アルコール単位及び脂肪酸ビニル単位を含む不飽和アルコール系共重合体と、リン酸源化合物と、過酸化水素水とを反応させることを特徴とするリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の製造方法。
  13. 請求項12に記載のリン酸エステル化不飽和アルコール系共重合体の製造方法において、前記リン酸源化合物として無水リン酸を用いることを特徴とする方法。
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