JP2008159388A - 固体高分子電解質膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶媒の非存在下、N-置換されていてもよい(メタ)アクリルアミド系単量体をビニルスルホン酸に溶解し、無水リン酸を反応させ、加水分解して得られたモノ又はジホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミドと、上記ビニルスルホン酸とを共重合させると、高いプロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜が得られる。
【選択図】なし
Description
(メタ)アクリルアミド系単量体は、下記式(1):
モノ又はジホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド(以下単に「ホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド」とよぶことがある)は、溶媒の非存在下、上記(メタ)アクリルアミド系単量体をビニルスルホン酸に溶解し、無水リン酸(五酸化リン=P2O5)を反応させ、得られた反応生成物を加水分解することにより得られる。
固体高分子電解質膜は、上記のようにして溶媒の非存在下で(メタ)アクリルアミド系単量体をビニルスルホン酸に溶解し、無水リン酸を反応させ、加水分解して得られたホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド及びビニルスルホン酸の混合物(以下単に「不飽和組成物」とよぶ)を、(1) 熱重合したのちキャスト法により膜化するか、(2) 紫外線透過性支持基板に挟んだ状態で放射線重合することにより膜化して得られる。
熱重合反応は、水中で、アンモニウムパーサルフェート(APS)、カリウムパーサルフェート(KPS)、アセチルパーオキサイド、イソプロピルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤、2, 2’-アゾビスイソブチロニトリル、2, 2 ’-アゾビス(2, 4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2, 2 ’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル2, 2 ’-アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始剤、あるいはラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシ・ピバレート等の過酸化物系開始剤、過酸化水素等の重合開始剤を用いて、ラジカル重合により行う。
放射線としては、光線、X線、電子線等が挙げられるが、光線が好ましい。光線としては、可視光線、紫外線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。以下紫外線重合により固体高分子電解質膜を製造する方法を説明する。紫外線重合による膜の製造方法は、不飽和組成物及び光重合開始剤(光増感剤)を含有する組成物を、これが付着しない材料(フッ素系重合体等)により被覆された板に流延し、紫外線透過性板で覆った後、紫外線を照射することにより重合させるものである。
(i) R-(CO)x -R’(R,R’=水素基又は炭化水素基、x = 2〜3)で表される隣接ポリケトン化合物(例えば、ジアセチル、ジベンジル等)、
(ii) R-CO-CHOH-R’(R,R’=水素基又は炭化水素基)で表されるα-カルボニルアルコール(例えば、ベンゾイン等)、
(iii) R-CH(OR”)-CO-R’(R,R’,R”=炭化水素基)で表されるアシロイン・エーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル等)、
(iv) Ar-CR(OH)-CO-Ar(Ar=アリール基、R=炭化水素基)で表されるα-置換アシロイン(例えば、α-アルキルベンゾイン等)、及び
(v) 多核キノン(例えば、9, 10-アンスラキノン等)がある。
これらの光重合開始剤は、単独で使用してもよいし、併用してもよい。
固体高分子電解質膜は、上記不飽和組成物(ホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド及びビニルスルホン酸の混合物)と共重合できるその他の不飽和化合物を含んでもよい。その他の不飽和化合物は以下の2群(1) 分子内にエチレン性不飽和結合と酸性基とを各々1個以上有する不飽和化合物、及び(2) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有するが酸性基を有しない不飽和化合物に大別できる。
固体高分子電解質膜は、導電性、造膜性、耐薬品性等の向上を目的として、酸性基を含有するその他の不飽和化合物を共重合成分として含んでもよい。酸性基としては、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基及びアルコール性水酸基が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する骨格としては、(メタ)アクリレート骨格、(メタ)アリルエステル骨格等を挙げることができる。
リン酸基を含有する不飽和単量体の例示化合物としては、下記一般式(10):
スルホン酸基を含有する不飽和単量体としては、例えば上記ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸ブチル-4-スルホン酸、(メタ)アクリロオキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
カルボン酸基を含有する不飽和単量体の例示化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
アルコール性水酸基を含有する不飽和単量体としては、グリセロールジメタクリレート[例えば商品名「ブレンマーGMR」、「同GMR-R」、「同GMR-H」(以上日本油脂株式会社製)等]、グリセロールメタクリレートアクリレート[例えば商品名「ブレンマーGAM」、「同GAM-R」(以上日本油脂株式会社製)等]等のグリセロールジ(メタ)アクリレート;1, 6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-5521」(新中村化学工業株式会社製)等];1, 4-ブタンジオールジグリシジルエーテルアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-5520」(新中村化学工業株式会社製)等];ビスフェノールA型エポキシアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-1020」(新中村化学工業株式会社製)等];ヘキサメチレンジオールジ(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の2-ヒドロキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
固体高分子電解質膜の耐溶剤性(例えば耐メタノール性等)を向上させるために、酸性基を含有する不飽和化合物として、複数個のエチレン性不飽和結合を含有するものを使用し、固体高分子電解質膜を架橋するのが好ましい。そのような架橋剤として、各々上記の式(11)により表されるリン酸基含有ジエステル不飽和単量体、並びにグリセロールジ(メタ)アクリレート、1, 6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、1, 4-ブタンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ヘキサメチレンジオールジアクリレート及びこれらのリン酸エステル化物が好ましい。
固体高分子電解質膜は、造膜性、耐水性、耐薬品性等の向上を目的として、酸性基を含有しない不飽和化合物(酸性基非含有不飽和化合物)を共重合成分として含んでもよい。酸性基非含有不飽和化合物としては、(1)に記載した以外の、常温で気体でない、分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する不飽和化合物がすべて対象になるが、中でも(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル、アルキルアミノ基含有不飽和単量体、共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体、ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体、置換又は無置換のスチレン、ハロゲンビニル(例えば塩化ビニル等)、脂肪酸ビニルエステル(例えば酢酸ビニル等)、及びフッ素基含有不飽和単量体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ジイソシアネートとグリセロールジ(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタンアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ U-4HA」(新中村化学工業株式会社製)等];エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキルアミノ基を含有する不飽和単量体としてはN, N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
共役ジエン系液状オリゴマーとしては、分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有するブタジエンオリゴマー、イソプレンオリゴマー及びこれらの誘導体が好ましい。共役ジエン系液状オリゴマーとしては、下記一般式(15):
ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーは、少なくともビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有し、かつ分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する共重合体からなる。ビニル芳香族成分としてはスチレンが好ましい。共役ジエン成分としてはイソプレン及び1, 3-ブタジエンが好ましい。ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー中のビニル芳香族成分及び共役ジエン成分の割合は特に制限されず、要求される靭性、可撓性、機械的強度等の物性に応じて適宜設定すればよい。
フッ素基含有不飽和単量体を共重合成分として含むことにより、固体高分子電解質膜の耐熱性及び耐水性が一層向上する。フッ素基含有不飽和単量体として、例えばパーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のハイドロフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;α-(トリフルオロメチル)アクリル酸等のハイドロフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸;パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル基含有ビニル;ハイドロフルオロアルキル基含有ビニル等が挙げられる。
固体高分子電解質膜の耐溶剤性を向上させるために、酸性基を有さない不飽和化合物として、複数個のエチレン性不飽和結合を含有するものを使用し、固体高分子電解質膜を架橋するのが好ましい。そのような架橋剤として、各々上記のジイソシアネートとグリセロールジ(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタンアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体及びビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体が挙げられる。その他にジビニルベンゼン等も挙げられる。
不飽和組成物(A)と、その他の不飽和化合物(B)との質量比(A)/(B)は特に制限されず、所望の物性に応じて適宜選択すればよい。質量比(A)/(B)は100/0〜5/95の範囲であるのが好ましい。この比の下限は10/90以上であるのがより好ましく、20/80以上であるのがさらに好ましい。またその他の不飽和化合物(B)の中で、上記(a) 酸性基を含有する不飽和化合物と(b) 酸性基非含有不飽和化合物の質量比(a)/(b)は特に制限されないが、(a)/(b) = 100/0〜5/95の範囲とするのが好ましく、(a)/(b) = 95/5〜20/80の範囲とするのがより好ましい。上記架橋剤の添加量は、不飽和組成物及びその他の不飽和化合物の全体を100質量%として、0.5質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上であるのがより好ましい。
その他の不飽和化合物を用いる場合、固体高分子電解質膜は、上記不飽和組成物とその他の不飽和化合物との混合物を調製し、この混合物を、上記と同様にして、(1) 熱重合したのちキャスト法により膜化するか、(2) 紫外線透過性支持基板に挟んだ状態で放射線重合すれば製造できる。
固体高分子電解質膜は、上記不飽和組成物の重合体[ビニルスルホン酸及びホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合体。以下「共重合体(I)」とよぶことがある。]、又は不飽和組成物及び上記その他の不飽和化合物の共重合体(以下「共重合体(II)」とよぶことがある。)とともに、その他の樹脂を含んでもよい。その他の樹脂を混合した固体高分子電解質膜は、その他の樹脂が元来有する造膜性、耐薬品性、可撓性、透明性、各種基材に対する密着性等の優れた物性と、上記不飽和組成物の重合体の優れた導電性とを兼備している。
その他の樹脂としては、不飽和アルコール単位とハロゲンビニル単位及び脂肪酸ビニル単位の一方又は両方とを含む不飽和アルコール系共重合体(以下単に「不飽和アルコール系共重合体」と呼ぶ)、部分アセタール化不飽和アルコール系重合体、メラミン樹脂(例えばトリメトキシメチルメラミン樹脂等)、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアセタール、ウレタン樹脂、セルロース又はその変性物、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル並びにポリ酢酸ビニルが好ましい。中でもその他の樹脂としては、不飽和アルコール系共重合体、部分アセタール化不飽和アルコール系重合体、及びメラミン樹脂が好ましい。
不飽和アルコール系共重合体は少なくとも不飽和アルコール単位とハロゲンビニル単位及び脂肪酸ビニル単位のいずれかとを含む。不飽和アルコール単位としては、ビニルアルコール単位、アリルアルコール単位等が挙げられるが、コストの点からビニルアルコール単位が好ましい。ビニルアルコールは、単量体としては存在しないが、ビニル系(共)重合体の構成単位としては存在する。ビニルアルコール単位を得るには、酢酸ビニル単位を含む水酸基含有ビニル系(共)重合体を調製し、鹸化すればよい。
部分アセタール化不飽和アルコール系重合体は、不飽和アルコール単位を主成分とする不飽和アルコール系重合体とアルデヒドを所定の割合で反応させ、部分的にアセタール化したものである。部分アセタール化する不飽和アルコール系重合体としてはポリビニルアルコールが好ましい。
上記共重合体(I)又は(II)と、その他の樹脂との配合割合[(共重合体(I)又は(II))/(その他の樹脂)]は、固形分質量ベースで0.05以上であるのが好ましく、0.1以上であるのがより好ましい。この比率を0.05未満とすると導電性が不十分となる。この比率の上限は特に制限されず、所望の物性に応じて適宜設定すればよい。
(a) 混合重合法
その他の樹脂を含む固体高分子電解質膜は、上記不飽和組成物又は上記不飽和組成物及びその他の不飽和化合物の混合物を、その他の樹脂の共存下で、上記と同様にして、(a) 熱重合したのちキャスト法により膜化するか、(b) 紫外線透過性支持基板に挟んだ状態で放射線重合すれば製造できる。
その他の樹脂を含む固体高分子電解質膜はまた、共重合体(I)又は(II)の水溶液に、その他の樹脂を添加したポリマー溶液を調製し、これをキャスト法により膜化することにより得られる。特にメラミン樹脂を添加した場合、水を蒸発させた後のフィルムを100〜140℃に加熱すると、ホスホン酸基が触媒となりメラミン樹脂の架橋反応が促進され、固体高分子電解質膜の機械的強度及び耐溶剤性が一層向上する。メラミン樹脂の添加にあたり、メチロールメラミン又はメチル化もしくはブチル化したメチロールメラミンを、共重合体(I)又は(II)とともに加熱することにより重合させてもよい。
本発明の固体高分子電解質膜は、高密度のホスホン酸基及びスルホン酸基を有し、プロトン伝導性に優れている。固体高分子電解質膜は、共重合体(I)又は(II)が架橋化されているのが好ましい。架橋化した固体高分子電解質膜は耐溶剤性、特に耐メタノール性に優れている。
(1) ビニルスルホン酸中でのN, N-ジホスホン酸アクリルアミド(N2P)の調製
還流冷却管、粉末投入口及び温度計を接続した自動合成反応装置(内容積500 mL、ユニケミカル株式会社製)に、250 gのビニルスルホン酸、及び0.05 gのハイドロキノンモノメチルエーテルを入れ、液温を室温以下に保持しながら、71 gのアクリルアミドを少量ずつ添加し、溶解させた。得られた室温の溶液に、142 gの無水リン酸を、2時間の間に4回に分けて入れた。無水リン酸を添加する間、1,250 rpmで攪拌しながら内温を40〜60℃の範囲で保持した。無水リン酸を全て投入後、80℃で4時間熟成反応を行った。
(a) 共重合体の調製
得られた反応溶液27 g(N2P濃度:48質量%)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)1.5 g及びアクリル酸(AA)1.5 gを水250 gに溶解した。N2ガスをバブリングさせ、かつ100 rpmで攪拌しながら、液温を65〜67℃に上げ、アンモニウムパーサルフェート(APS)の3.3質量%水溶液(触媒水溶液)を3g添加した。液温を65〜70℃に保持しながら、攪拌を2時間継続した。その後、液を同温に保持しながら、1時間毎に3gの上記触媒水溶液を計3回添加した(合計12 g)。液を同温に保持しながら1時間同温度で熟成反応後、室温まで冷却した。得られた共重合体の水溶液(固形分濃度:11.8質量%)の粘度(22℃)を測定した結果、2.5 mPa・sであった。また共重合体の水溶液から1gを抜き出し、測定した生成物の酸価(1gの水溶液を100gのジメチルスルホキシドに溶解し、1NのKOH水溶液により測定。滴定終点:pH=10.5。以下同じ)は722.6 mg/gであった。理論酸価は700.57 mg/gであるので、生成物はN, N-ジホスホン酸アクリルアミド、ビニルスルホン酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアクリル酸が、ほぼ理論通りに共重合したもの(N2P-VS-HEMA-AA共重合体)といえる。
得られたN2P-VS-HEMA-AA共重合体の11.8質量%水溶液と、ポリビニルアルコール(商品名「エクセバールHR-3010」、株式会社クラレ製)の11.8質量%水溶液と、トリメトキシメチルメラミン(商品名「スミテックスレジンM-3」、住友化学工業株式会社製)の11.8質量%水溶液とを、表3に示す固形分の配合割合に従って混合し、ポリマー溶液を調製した。得られたポリマー溶液を、ポリプロピレン製フィルム製容器(底面;10 cm × 10 cm)に流延し、50℃で24時間乾燥し、厚さ150μmの固体高分子電解質膜を作製した。
(1)で得られた反応溶液(N2P濃度:48質量%)、トリフロロエチルメタクリレート、ジ(1,3-ジアクリレートプロピル-2-オキシ)ヘキサメチレンビスウレタン、ブチラール化ポリビニルアルコール(商品名「エスレックB BL-1」、積水化学工業株式会社製)、アクリル酸、及び光重合開始剤[イルガキュア651(2, 2-ジメトキシ-1, 2-ジフェニルエタン-1-オン;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)及びイルガキュア500(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)の等質量混合物]を表4に示す固形分の配合割合に従って混合した。得られた組成物を、各々フッ素系樹脂フィルムを付着した2枚のガラス平板間に挟んだ状態とした(図1及び図2参照)。高圧水銀灯(東芝電材株式会社製トスキュア400,HC-0411型)を用いて、400 mW/cm2の強度で裏表からそれぞれ60秒間ずつ紫外線を組成物に照射し(照射距離:10 cm)、光重合させることにより固体高分子電解質膜を作製した。
(2) 商品名「スミテックスレジンM-3」、住友化学工業株式会社製。
(3) RH 90%/60℃。
(4) RH 70%/18℃。
(5) 流延及び乾燥時に表側であった面。
(6) 流延及び乾燥時に裏側であった面。
(2) イルガキュア651/イルガキュア500=1/1(質量比、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)。
(3) RH 90%/60℃。
(4) RH 70%/18℃。
(1) 共重合体の作製
ビニルスルホン酸、アクリルアミド及び無水リン酸を各々1モル用いた以外実施例1と同様にして、N, N-ジホスホン酸アクリルアミド(N2P)及びビニルスルホン酸(VS)を等モル比で含む溶液を調製した。この溶液に、ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS:三菱レイヨン株式会社製)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(4BHA)を加えて、N2P:VS:TBAS:4BHA=41.0:19.2:36.8:3の質量比の組成物を調製した。得られた組成物を用いた以外実施例1と同様にして、水中で共重合体(N2P-VS-TBAS-4BHA共重合体)を調製した。得られた共重合体の水溶液(固形分濃度:13.3質量%)の粘度(15℃)を測定した結果、85.2 mPa・sであった。
得られた共重合体の水溶液(固形分濃度:13.3質量%)と、ポリビニルアルコールの水溶液と、トリメトキシメチルメラミンの水溶液とを、表5に示す固形分の配合割合に従って混合し、ポリマー溶液を調製した。得られたポリマー溶液を、上記ポリプロピレン製フィルム製容器に流延し、50℃で24時間乾燥し、厚さ150μmの固体高分子電解質膜を作製した。
ビニルスルホン酸のみを用いた以外実施例1と同様にして、水中で重合体を調製した。得られたビニルスルホン酸重合体の水溶液と、ポリビニルアルコールの水溶液と、トリメトキシメチルメラミンの水溶液とを、表5に示す固形分の配合割合に従って混合し、ポリマー溶液を調製した。得られたポリマー溶液を、上記ポリプロピレン製フィルム製容器に流延し、50℃で24時間乾燥し、厚さ150μmの固体高分子電解質膜を作製した。
(2) 商品名「スミテックスレジンM-3」、住友化学工業株式会社製。
2・・・ガラス平板
3・・・クリップ
Claims (6)
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子電解質膜の製造方法において、前記ホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド及び前記ビニルスルホン酸とともに、(a) 分子内にエチレン性不飽和結合と酸性基とを各々1個以上有する不飽和化合物であって、前記酸性基としてリン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基及びアルコール性水酸基のいずれかの酸性基を有する不飽和化合物、並びに/又は(b) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有するが酸性基を有しない不飽和化合物であって、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル、アルキルアミノ基含有不飽和単量体、共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体、ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体、置換又は無置換のスチレン、ハロゲンビニル、脂肪酸ビニルエステル、及びフッ素基含有不飽和単量体のいずれかの不飽和化合物を共重合させることを特徴とする方法。
- 請求項4に記載の固体高分子電解質膜の製造方法において、前記酸性基を有する不飽和化合物は(メタ)アクリル酸及びターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸のいずれかであり、前記酸性基を有しない不飽和化合物は分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上含む架橋剤及びハイドロフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルのいずれかであることを特徴とする方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の固体高分子電解質膜の製造方法において、少なくとも前記ビニルスルホン酸単位及び前記ホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単位を含む共重合体に、不飽和アルコール単位とハロゲンビニル単位及び脂肪酸ビニル単位の一方又は両方とを含む不飽和アルコール系共重合体、部分アセタール化不飽和アルコール系重合体、メラミン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアセタール、ウレタン樹脂、セルロース又はその変性物、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル並びにポリ酢酸ビニルのいずれかを添加することを特徴とする方法。
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