JP2006113191A - 液晶ポリマーフィルムおよびこれを用いた遮光羽根およびその製造方法ならびに光路開閉装置 - Google Patents

液晶ポリマーフィルムおよびこれを用いた遮光羽根およびその製造方法ならびに光路開閉装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 製造が容易であって、高強度かつ高弾性を有する安定した品質のフィルム材料およびこのフィルム材料を用いた安価な遮光羽根がなかった。
【解決手段】 光路を開閉するための本発明の細長い遮光羽根は、50μm以下の大きさのホウ酸アルミニウムウィスカが8重量%から50重量%の範囲で添加された液晶ポリマーを連続押し出し成形した液晶ポリマーフィルムから作られ、その長手方向が液晶ポリマーフィルムの押し出し方向とほぼ平行に設定され、押し出し方向に沿った曲げ弾性率が6GPa以上であり、押し出し方向に沿った曲げ弾性率がこの押し出し方向と直交するフィルム面に沿った方向の曲げ弾性率に対して20倍以下である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、液晶ポリマーフィルムおよびこれを用い、カメラなどの光学機器などにおける光路を開閉するための遮光羽根およびその製造方法ならびにこの遮光羽根を用いた光路開閉装置に関する。
カメラなどの光学機器の光路を開閉するシャッタや絞りなどの光路開閉装置において、シャッタ羽根や絞り羽根を構成する遮光羽根は、極めて短時間の間に光路を横切るように移動およびその停止を行う必要があり、駆動源の負荷を軽減するために軽量かつ高剛性であることが望まれる。また、これらの遮光羽根はフィルムやCCDなどの感光体に対して光を遮る必要があることから、遮光性を有すると同時に表面の反射率が低く、しかもある程度の平面性が要求される。さらに、光路開閉装置においては複数枚の遮光羽根を重ね合わせて作動させる構成となっているものが多く、相互に重なり合う接触部分の潤滑性や帯電防止性が必要となる。上述した遮光羽根の表面の平面性は、その作動時において隣り合う遮光羽根との衝突による破損を防止する上でも重要となる。
ところで、大多数の一眼レフレックスカメラや一部のレンジファイダーカメラなどに採用されているフォーカルプレーンシャッタは、撮影レンズに関する設計の自由度が高く、しかも高いシャッタ速度を比較的容易に実現することができる点で有利である。しかしながら、フォーカルプレーンシャッタの高速度化を企図した場合、シャッタ膜の走行速度自体を高める必要があり、これに伴ってその走行停止の際の慣性による衝撃が大きくなり、カメラ振れを引き起こすことが知られている。この点に関し、いわゆる縦走りタイプのフォーカルプレーンシャッタの振動発生の過程を高速度ビデオカメラを用いて観察すると、シャッタ膜が走行して停止した直後に発生する振動波が、シャッタ膜を構成する遮光羽根の長手方向に沿って進行し、かつこの振動波がシャッタ羽根の表面に対して垂直な方向に振動する横波であることを確認することができる。このようなことから、長手方向に沿った曲げ弾性率の高いシャッタ羽根を採用することにより、この振動波を抑制してカメラ振れの原因を緩和できることが期待できる。従って、シャッタ膜を構成する遮光羽根には、軽量化および高剛性化に加え、より高い平面精度が要求されるようになってきている。
フォーカルプレーンシャッタのシャッタ膜を構成する遮光羽根に関し、軽量化および高剛性を企図して例えば特許文献1には、遮光羽根の表面に凸凹を形成することが開示され、特許文献2には遮光羽根の本体を構成する金属またはプラスチック製シートの表面にダイヤモンド状炭素薄膜またはダイヤモンド薄膜を形成することが開示され、特許文献3には炭素繊維で強化した遮光羽根が開示されている。さらに、遮光羽根の平面性の改善に関し、例えば特許文献4には熱処理によって平面度の経時変化を抑制するようにした構成が開示されている。
特開平05−134292号公報 特開平02−091624号公報 特開平06−95210号公報 特開平06−15756号公報
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記述する)を素材にした遮光羽根は、製造コストが低く、比重も軽いため、比較的低価格のカメラなどで広く使用されている。しかしながら、PETは引張弾性率などの機械的強度が弱いため、走行中または制動時に発生する振動や衝撃などで遮光羽根が撓んでしまい、遮光羽根相互の衝突やこれによる破損が発生しやすく、高速で走行するフォーカルプレーンシャッタなどで用いることができない。
また、アルミニウム合金などの金属を素材にした遮光羽根は、機械的強度も高く、高速のシャッタ装置に組み込むことが可能であるが、材料自体の比重が大きいことから遮光羽根自体の重量が嵩み、大きなチャージエネルギーを必要とする。さらに、シャッタ膜の走行中および制動時に発生する振動、いわゆる波打ちが非常に大きく、この波打ち状態がなかなか収まらないため、上述したPETと同様に遮光羽根相互の衝突ならびに破損の発生という問題がある。
一方、炭素繊維強化熱硬化性樹脂薄板(以下、CFRPと記述する)を素材とした遮光羽根は、軽量で弾性率も高く、シャッタ速度が高速であっても走行中および制動中の波打ちが非常に少なく、仮に波打ちが発生したとしても迅速に減衰してしまう特性を有する。従って、遮光羽根相互の衝突やこれによる破損の可能性がなく、非常に高い耐久性を実現することが可能である。しかしながら、CFRPはその材料自体が高価である上、その製造時の前駆体であるプリプレグシートを複数枚積層し、この積層物をプレスしたまま加熱するという非常に手間のかかる工程で製造する必要がある。また、これによって得られたシートも、炭素繊維のばらつきによる目開きなどの不良が発生しやすく、強度のばらつきや反りなどによる不良品の発生率が高い欠点を有するため、品質管理の手間が掛かることと相俟って製造コストも非常に高いものとなってしまう。
ところで、エンジニアリングプラスチックとして知られ、一般の高分子物質と同様な低密度を有する液晶ポリマー(以下、LCPと記述する場合がある)を押し出し成形によりフィルム状に成形した場合、各ドメイン(ポリマー鎖)毎にランダムな方向を向いていた各分子が押し出し方向(以下、MD方向と記述する場合がある)に沿って向きを揃え、配向性を示すこととなる。これにより、LCPは一般の高分子物質に見られない高強度および高弾性を示す。つまり、LCPにおける高弾性の発現機構は、ドメインの成形方向への配向に依存しているため、その弾性率は異方性を示し、成形方向に沿っては高弾性率を有するものの、これと直交する成形面に沿った方向(以下、これをTD方向と記述する場合がある)の弾性率が著しく低い場合がほとんどである。この結果、成形方向に沿って簡単に裂けるようなLCPフィルムができてしまうことが多かった。構造材料としてLCPの使用を考慮した場合、上述したような弾性率の著しい異方性は、信頼性の欠如をもたらすと共にその実用化を困難なものとしている。
本発明は、高強度かつ軽量であって安定した品質の液晶ポリマーフィルムおよびこの液晶ポリマーフィルムを用いた安価な遮光羽根およびその製造方法ならびにこの遮光羽根を用いた光路開閉装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の形態は、充填材が添加された液晶ポリマーを連続押し出し成形してなる液晶ポリマーフィルムであって、押し出し方向に沿った曲げ弾性率が6GPa以上であり、押し出し方向に沿った曲げ弾性率がこの押し出し方向と直交するフィルム面に沿った方向の曲げ弾性率に対して20倍以下であることを特徴とするものである。
本発明においては、LCPフィルム中に充填剤をほぼ均一に分散させたことにより、液晶ポリマーの分子配向が乱され、押し出し成形に伴うLCPフィルムの弾性率の異方性が緩和される。液晶ポリマーフィルムのMD方向に沿った曲げ弾性率がTD方向に沿った曲げ弾性率の20倍を越えると、TD方向の強度が弱くなりすぎてしまい、遮光羽根として使用する場合の強度が不足してしまう。また、この曲げ弾性率比(TD方向に沿った曲げ弾性率に対するMD方向に沿った曲げ弾性率の割合)が1、つまり液晶ポリマーフィルムが等方性を示す場合、液晶ポリマーフィルムの全体的な機械的強度が小さくなるものの、その曲げ弾性率が6GPa以上であればフォーカルプレーンシャッタなどの高速シャッタ装置の遮光羽根として使用可能である。
本発明の第1の形態による液晶ポリマーフィルムにおいて、充填材の大きさが50μm以下であり、その添加量が8重量%から50重量%、より好ましくは10重量%から40重量%の範囲にあることが好ましい。
ここで、充填材の割合と曲げ弾性率との関係を図1に示し、充填剤の割合と曲げ弾性率比(MD/TD)との関係を図2に示す。図1から明らかなように、MD方向に沿った液晶ポリマーフィルムの曲げ弾性率は、充填剤の割合の増大に伴って反比例的に減少することがわかる。これに対し、TD方向に沿った液晶ポリマーフィルムの曲げ弾性率は、充填材の割合の増大に伴って漸増する。従って、充填剤の割合を調整することにより、図2に示すようにTD方向に沿った曲げ弾性率に対するMD方向に沿った曲げ弾性率の割合、つまり曲げ弾性率比を選択することができる。
充填材は、その大きさが小さいほど、液晶ポリマーフィルム全体に亙ってより均一に分散し、液晶ポリマーフィルム全体を均一化させることができる上、液晶ポリマーフィルムを構成するポリマー鎖の配列を乱すことができるので好ましい。また、液晶ポリマーフィルムの厚みを均一化すると共に充填剤による空孔の形成を回避するためにも、液晶ポリマーフィルムの厚みよりも小さいことが好ましい。液晶ポリマーに対する充填材の充填割合を多くするほど液晶ポリマーフィルムの異方性を緩和する効果が大きくなるものの、あまり多量に入れすぎると成形性が悪化してしまう。逆に、充填量が少ないと本発明の効果を顕著に得ることが困難となり、従来と同じ裂けなどの不具合が発生する。
充填材としては、ガラス繊維,炭素繊維,セラミック繊維,ウィスカなどの繊維状のものや、マイカ,タルク,クレイなどの板状のもの、あるいは他の周知の粒状のものを適宜採用し得る。また、その形状としては、アスペクト比の大きいものの方が、液晶ポリマーに与える影響が大きいことが知られており、特にウィスカなどの繊維状の充填材、例えばホウ酸アルミニウムウィスカなどを用いることがより好ましいと言えよう。なお、上述したホウ酸アルミニウムウィスカの他に、チタン酸カリウムウィスカ,酸化亜鉛ウィスカ,アルミナウィスカ,窒化ケイ素ウィスカ,炭化ケイ素ウィスカ,ウォストナイト,ゾノナトナイト,石膏繊維,針状酸化マグネシウム,水酸化マグネシウムなどを採用することも可能である。
本発明の第2の形態は、光路を開閉するための細長い遮光羽根であって、その長手方向が本発明の第1の形態による液晶ポリマーフィルムの押し出し方向とほぼ平行となるように設定されていることを特徴とするものである。
本発明においては、遮光羽根の長手方向がLCPフィルムの押し出し方向、つまりMD方向とほぼ平行となっており、この遮光羽根の長手方向に沿った弾性率がその幅方向、つまりTD方向に沿った弾性率よりも高く維持される。
遮光羽根、つまり液晶ポリマーフィルムの厚みは、50〜200μm、より好ましくは70〜120μmの範囲となるように作製する。厚みが50μm未満の場合、遮光羽根としての機械的強度が不足する上に遮光性も不充分となる。また、厚みが200μmを超えると、機械的強度は増加するが、遮光羽根自体の重量が増加し、慣性モーメントが増加して高速度シャッタ装置に組み込む場合に不利となる。特に、フォーカルプレーンシャッタの場合、相互に重なり合う各遮光羽根の厚みが200μmを超えると、先膜と後膜との距離が離れてしまい、シャッタ効率が低下してしまう不具合を生ずる。
本発明の第2の形態による遮光羽根において、遮光性,低反射性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を有する機能層が表面に形成されているものであってよい。特に、厚みが50μm以下のようなごく薄いフィルムの場合、充分な遮光性能を得る目的でこのような機能層を形成することが好ましい。同様に、充填剤の一部としてカーボンブラックを1重量%以上、より好ましくは1.5重量%以上添加することも有効である。例えば、厚みが60μmの液晶ポリマーフィルムにカーボンブラックを2重量%添加することにより、光学濃度を5以上にすることが可能である。
本発明の第3の形態は、本発明の第2の形態による遮光羽根の製造方法であって、充填剤が添加された液晶ポリマーを押し出して所定の厚みを持つフィルム状に成形するステップと、これをプレスにより押し出し方向に沿って細長い短冊状に打ち抜くステップとを具えたことを特徴とするものである。
本発明においては、シート状に押し出されたLCPをMD方向に沿って細長い短冊状にプレスにより打ち抜いて遮光羽根を形成しており、遮光羽根の長手方向に沿った弾性率がその幅方向に沿った弾性率よりも高く設定された状態となる。
本発明の第4の形態は、本発明の第2の形態による遮光羽根を用いた光路開閉装置であって、液晶ポリマーの押し出し方向が遮光羽根の移動方向に対してほぼ直交していることを特徴とするものである。
本発明においては、長手方向に沿って高い曲げ弾性率を持つ遮光羽根により、光路開閉装置を構成する遮光羽根の長手方向に沿って進行し、その表面に対して垂直な方向に振動する横波が効率良く抑制される。
本発明の液晶ポリマーフィルムによると、充填材が添加された液晶ポリマーを連続押し出し成形してなる液晶ポリマーフィルムであって、押し出し方向に沿った曲げ弾性率が6GPa以上であり、押し出し方向に沿った曲げ弾性率がこの押し出し方向と直交するフィルム面に沿った方向の曲げ弾性率に対して20倍以下であるので、液晶ポリマーに特有な異方性を緩和して分子のほつれによる毛羽立ちや、フィルムの裂けを抑えることができる。
本発明の液晶ポリマーフィルムにおいて、充填材の大きさを50μm以下とし、その添加量を8重量%から50重量%の範囲内にした場合、本発明の効果をより顕著に得ることができる。
充填剤がホウ酸アルミニウムウィスカの場合、液晶ポリマーの分子配向を効率よく乱すことができ、押し出し成形に伴うLCPフィルムの弾性率の異方性をより緩和することが可能となる。
本発明の光路を開閉するための細長い遮光羽根によると、その長手方向が本発明による液晶ポリマーフィルムの押し出し方向とほぼ平行となるように設定されているので、LCPの弾性率の異方性が緩和され、遮光羽根の長手方向に沿った裂けを抑えることができると共に切断面の毛羽立ちを抑えることも可能となる。軽量で高剛性かつ低コストの遮光羽根を安定した品質で提供することができる。
遮光性,低反射性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を有する機能層を表面に形成した場合、例えば遮光羽根を薄くしたことによって充分な遮光性が得られない可能性がある場合、遮光性を持った機能層を形成することにより、所望の遮光性を得ることができる。また、表面反射を極力少なくする必要がある場合には、低反射率の機能層を形成すれば良い。あるいは、フォーカルプレーンシャッタのように遮光羽根が相互に摺接するような場合には、潤滑性および帯電防止性の機能を持った機能層を形成することにより、遮光羽根の円滑な移動および帯電によるゴミの付着を防止することができる。
本発明の遮光羽根の製造方法によると、充填剤が添加された液晶ポリマーを押し出して所定の厚みを持つフィルム状に成形するステップと、これをプレスにより押し出し方向に沿って細長い短冊状に打ち抜くステップとを具えているので、安定した品質で軽量かつ高剛性の遮光羽根を容易かつ安価に製造することができる。特に、プレスによる打ち抜きの際の切断面の毛羽立ちを抑えることが可能となり、歩留まりの改善によって生産性を向上をさせることができる。
本発明による遮光羽根を用いた本発明の光路開閉装置によると、液晶ポリマーの押し出し方向が遮光羽根の移動方向に対してほぼ直交しているので、遮光羽根の長手方向に沿った弾性率がその幅方向に沿った弾性率よりも高くなり、この遮光羽根の長手方向に沿って進行し、その表面に対して垂直な方向に振動する横波を効率良く抑制できる軽量な遮光羽根を用いた光路開閉装置を実現可能である。
本発明による遮光羽根をフォーカルプレーンシャッタに応用した一実施形態について、図3および図4を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこのような実施形態のみに限らず、特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能であり、従って本発明の精神に帰属する他の技術にも当然応用することができる。
本実施形態によるフォーカルプレーンシャッタユニットの正面形状を図3に示し、そのIV−IV矢視断面構造を図4に示す。すなわち、このフォーカルプレーンシャッタユニット10は、いわゆる縦走りタイプと呼称されているものであり、先膜11および後膜12として、相互に重なり合う複数枚(図示例ではそれぞれ5枚および4枚)の遮光羽根13,14,15,16,17,18,19,20,21を用いている。このようなフォーカルプレーンシャッタユニット10自体の具体的構成は、特開平10−186448号公報,特開2002−229097号公報,特開2003−280065号公報などで周知の通りである。
本実施形態における遮光羽根13〜21の表裏両面には、その遮光性を改善するための黒色塗料が5μmの膜厚にて塗布され、本発明における機能層を構成している。図3中、上下方向に走行する本実施形態における遮光羽根13〜21は、それぞれ細長い矩形のシート状をなし、これら遮光羽根13〜21は充填剤を均一に分散混入させたLCPシートを所定形状に打ち抜いたものである。この場合、遮光羽根13〜21の長手方向(図1中、左右方向)がLCPシートの押し出し方向、つまりMD方向と合致するように設定されている。
このような構成の遮光羽根13〜21を製造する場合、液晶ポリマーをフィルム化する方法としては、周知の方法を使うことができる。例えば、Tダイなどのギャップから押し出す方法や、インフレーション成形などの2軸延伸可能な方法、さらに押し出し後に2軸延伸する方法など、特に限定されない。本発明においては、液晶ポリマーに充填材を添加して、その充填材の添加割合を調整することで、比較的簡単な構造の装置である1軸または2軸の押し出し機を用いたTダイから溶融状態の液晶ポリマーを押し出し、冷却して巻き取ることにより、曲げ弾性率比を制御する。
充填材を液晶ポリマー樹脂に分散させる方法として、周知の方法を用いることができる。工業的見地からすると溶融状態で各成分を混練分散する方法が好ましい。溶融混練方法には一般的に利用されている2軸押し出し機を利用することができる。各成分は予めタンブラーまたはヘンシエルミキサーの如き装置を用いて混合しても良いし、混練装置にそれぞれ個別に定量供給する方法を用いることも可能である。
液晶ポリマーおよび充填材を2軸押し出し機により、混練して押し出し、液晶ポリマーに充填材が分散した状態にする。次に、充填材がコンパウンドされた状態の材料を用いてフィルム状に加工する。例えば押し出し機を用い、一般的にTダイ法と呼称される方法またはインフレーション法などによってフィルム形状に加工する。
そして、フィルム状に成形された材料の片面または両面に、ディップ法やスプレー法などにより遮光性,低反射性,潤滑性および帯電防止性のうち少なくとも1種類以上の機能を有する機能層を形成してロール状に巻き取った後、これを短冊状の遮光羽根13〜21として必要な形状にプレス打ち抜きを連続的に行う。
このように、Tダイ法で作られたフィルムを供給する工程と、遮光性や潤滑性などの機能を持たせるための塗装などの処理を行う工程と、遮光羽根を作製するためのプレス加工工程と、切り抜かれた遮光羽根をシャッタユニット10として組み立てる工程とにより、従来のものよりも製造コストを抑えることができる。
次に、本発明による遮光羽根の曲げ弾性率および密度を実施例1,2として比較参考のための比較例1〜4と共に以下の表1に示すが、実施例1,2は何れも上野製薬株式会社製の液晶ポリマー(商品名:LCP8000)と四国化成工業株式会社製のホウ酸アルミニウムウィスカ(長さが約20μm,径が約1μm)と遮光性向上のために日本黒鉛工業株式会社製のカーボンブラックとを用い、これらをテクノベル社製の押出機および引き取り・巻き取り機を用い、Tダイ法によって肉厚が約100μmのシート状に延伸させ、このシートの表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートしてロール状に成形したものから、プレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜き、これを試料としたものである。なお、曲げ弾性率は、テンシロン万能試験機を用いて各試料の両端部を30mm隔てて支持し、その中央部に4mmの変位を加えた時の荷重から求めている。
ホウ酸アルミニウムウィスカを10重量%、カーボンブラックを2重量%それぞれ含む液晶ポリマーフィルムであり、その表裏両面に機能層を形成したものである。
ホウ酸アルミニウムウィスカを20重量%、カーボンブラックを2重量%それぞれ含む液晶ポリマーフィルムであり、その表裏両面に機能層を形成したものである。
(比較例1)
CFRPの前駆体であるプリプレグシートを3枚用意し、外側のプレプレグシートの繊維方向を基準(0°)として順に0°/90°/0°という具合に、繊維方向が互いに直交するように積層し、ホットプレスを用いて加熱硬化させた後、その表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートして形成したものから、プレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜くことにより、試料を作製した。
なお、ここでいうプリプレグシートとは、炭素繊維を一方向に揃えて薄くシート状に並べ、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を含浸させて固化したものである。この状態は固化しているものの、加熱をすれば最終的な硬化が可能となる状態である。
(比較例2)
Tダイ法によりMD方向に延伸されたPETシートを再加熱し、加熱された状態でTD方向に張力をかけることにより得られる二軸延伸PETシートの表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートして形成し、これをプレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜くことにより、試料を作製した。
(比較例3)
比較例2で作製された二軸延伸PETシートの表裏両面に無電解ニッケルめっきを用いて3〜5μmの膜厚のNi薄膜層を形成し、さらにこの表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートして形成し、これをプレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜くことにより、試料を作製した。
(比較例4)
充填剤であるホウ酸アルミニウムウィスカを全く含まず、遮光性向上のためのカーボンブラックを2重量%添加した液晶ポリマーフィルムを実施例1,2と同じ方法にて作製し、その表裏両面に機能層を形成したものである。
また、実施例1,2および比較例1〜4にて得られる遮光羽根を図3,図4に示すフォーカルプレーンシャッターユニット10の先膜11および後膜12として組み込み、光源から2万ルクスの明るさの光を照射した場合の光線漏れの評価を行った。さらに、常温常湿にて1/8000秒のシャッター速度にて15万回の開閉試験を行い、その耐久性を調べ、コストに関しても考察した。これらの結果を併せて表1に示す。
Figure 2006113191
表1に示す結果から明らかなように、充填剤であるホウ酸アルミニウムウィスカの添加に伴い、液晶ポリマーのMD方向の曲げ弾性率が低下し、逆にTD方向では曲げ弾性率が上昇する傾向を有し、異方性が緩和されることを確認できる。また、本発明の遮光羽根が充分な遮光性を有していることも確認できた。
比較例1の試料は、高剛性という点では優れているものの、プリプレグシートを作成する工程やプリプレグシートを0°/90°/0°と重ね合わせ、ホットプレスで固化するといった複雑な製造工程が必要であり、得られるCFRPシートも、炭素繊維のばらつきが発生しやすく、強度のばらつきや反りあるいは目開きなどの不良により良品率が低く、品質管理の手間が掛かるため、コストが非常に高いものとなってしまう。
比較例2の試料は、遮光羽根の長手方向に沿った曲げ弾性率の値が小さく、高速シャッタへの適用は困難である。
比較例3の試料は、剛性が比較的高いものの密度が高くなってしまう欠点があり、無電解ニッケルめっきによるNi薄膜層を形成するための工程が加わる上にめっき液の廃棄といった環境負荷に関する対策も必要となる。
比較例4の試料は、MD方向に液晶ポリマーの主鎖が配向しており、MD方向の曲げ弾性率が高いもののTD方向の曲げ弾性率が低く、MD方向に沿って液晶ポリマーフィルムが裂けやすい傾向を有する。
光線漏れにおいて、「なし」というのは光線漏れがほとんど起こらなかったことを示す。
また、耐久性において、比較例2の場合の×は制動時に遮光羽根が波打ち、遮光羽根同士の衝突によって破損したことを示しており、比較例4の場合の×は制動時の衝撃により、羽根と駆動アームの接続部分が破損したことを示している。この耐久性に関しては、比較例2,4以外の試料は15万回の開閉試験に対して問題なく、本発明の遮光羽根は、従来品と同等以上の性能を有することが確認された。
比較例1においては、弾性率については優れているが、コストが高いというのが現状である。比較例2については、コストについては問題がないが、曲げ弾性率が小さいといった欠点を持ち、高速走行するシャッタの耐久試験では問題となる。比較例3に於いてはコスト、比重ともに本発明の実施例よりも劣っている。このような結果をもとに総合的にコストを判断すると、実施例1,2の遮光羽根は、従来技術に関する比較例1〜4に対して同等以上であると評価することができた。比較例4においては、液晶ポリマーフィルムを使用しているにもかかわらず、ポリマー鎖の解れや、フィルムの裂けによる不具合がたびたび起こるため、遮光羽根として使用することはできない。
充填剤の割合と曲げ弾性率との関係を表すグラフである。 充填剤の割合と曲げ弾性率比との関係を表すグラフである。 本発明による光路開閉装置をフォーカルプレーンシャッタに応用した一実施形態の外観を表す正面図である。 図3中のIV−IV矢視断面図である。
符号の説明
10 フォーカルプレーンシャッタユニット
11 先膜
12 後膜
13〜21 遮光羽根

Claims (7)

  1. 充填材が添加された液晶ポリマーを連続押し出し成形してなる液晶ポリマーフィルムであって、押し出し方向に沿った曲げ弾性率がこの押し出し方向と直交するフィルム面に沿った方向の曲げ弾性率に対して20倍以下であることを特徴とする液晶ポリマーフィルム。
  2. 前記充填材の大きさが50μm以下であり、その添加量が8重量%から50重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の液晶ポリマーフィルム。
  3. 前記充填剤がホウ酸アルミニウムウィスカであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶ポリマーフィルム。
  4. 光路を開閉するための細長い遮光羽根であって、その長手方向が請求項1から請求項3の何れかに記載の液晶ポリマーフィルムの押し出し方向とほぼ平行となるように設定されていることを特徴とする遮光羽根。
  5. 遮光性,低反射性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を有する機能層が表面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の遮光羽根。
  6. 請求項4または請求項5に記載の遮光羽根の製造方法であって、
    充填剤が添加された液晶ポリマーを押し出して所定の厚みを持つフィルム状に成形するステップと、
    これをプレスにより押し出し方向に沿って細長い短冊状に打ち抜くステップと
    を具えたことを特徴とする遮光羽根の製造方法。
  7. 請求項4または請求項5に記載の遮光羽根を用いた光路開閉装置であって、液晶ポリマーの押し出し方向が遮光羽根の移動方向に対してほぼ直交していることを特徴とする光路開閉装置。
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