JP2006078598A - 遮光羽根およびその製造方法ならびに光路開閉装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造が容易であって、高強度かつ高弾性を有する安定した品質の安価な遮光羽根がなかった。
【解決手段】 光路を開閉するための本発明による細長い遮光羽根13〜21は、粒度が50μm以下の黒鉛をほぼ均一に分散させた液晶ポリマーからなり、厚みが50μm以上かつ200μm以下の範囲にあり、その長手方向を液晶ポリマーの押し出し方向とほぼ平行となるように設定し、高強度かつ軽量であって安定した品質の遮光羽根13〜21を安価に提供することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 光路を開閉するための本発明による細長い遮光羽根13〜21は、粒度が50μm以下の黒鉛をほぼ均一に分散させた液晶ポリマーからなり、厚みが50μm以上かつ200μm以下の範囲にあり、その長手方向を液晶ポリマーの押し出し方向とほぼ平行となるように設定し、高強度かつ軽量であって安定した品質の遮光羽根13〜21を安価に提供することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、カメラなどの光学機器などにおける光路を開閉するための遮光羽根およびその製造方法ならびにこの遮光羽根を用いた光路開閉装置に関する。
カメラなどの光学機器の光路を開閉するシャッタや絞りなどの光路開閉装置において、シャッタ羽根や絞り羽根を構成する遮光羽根は、極めて短時間の間に光路を横切るように移動およびその停止を行う必要があり、駆動源の負荷を軽減するために軽量かつ高剛性であることが望まれる。また、これらの遮光羽根はフィルムやCCDなどの感光体に対して光を遮る必要があることから、遮光性を有すると同時に表面の反射率が低く、しかもある程度の平面性が要求される。さらに、光路開閉装置においては複数枚の遮光羽根を重ね合わせて作動させる構成となっているものが多く、相互に重なり合う接触部分の潤滑性や帯電防止性が必要となる。上述した遮光羽根の表面の平面性は、その作動時において隣り合う遮光羽根との衝突による破損を防止する上でも重要となる。
ところで、大多数の一眼レフレックスカメラや一部のレンジファイダーカメラなどに採用されているフォーカルプレーンシャッタは、撮影レンズに関する設計の自由度が高く、しかも高いシャッタ速度を比較的容易に実現することができる点で有利である。しかしながら、フォーカルプレーンシャッタの高速度化を企図した場合、シャッタ膜の走行速度自体を高める必要があり、これに伴ってその走行停止の際の慣性による衝撃が大きくなり、カメラ振れを引き起こすことが知られている。この点に関し、いわゆる縦走りタイプのフォーカルプレーンシャッタの振動発生の過程を高速度ビデオカメラを用いて観察すると、シャッタ膜が走行して停止した直後に発生する振動波が、シャッタ膜を構成する遮光羽根の長手方向に沿って進行し、かつこの振動波がシャッタ羽根の表面に対して垂直な方向に振動する横波であることを確認することができる。このようなことから、長手方向に沿った曲げ弾性率の高いシャッタ羽根を採用することにより、この振動波を抑制してカメラ振れの原因を緩和できることが期待できる。従って、シャッタ膜を構成する遮光羽根には、軽量化および高剛性化に加え、より高い平面精度が要求されるようになってきている。
フォーカルプレーンシャッタのシャッタ膜を構成する遮光羽根に関し、軽量化および高剛性を企図して例えば特許文献1には、遮光羽根の表面に凸凹を形成することが開示され、特許文献2には遮光羽根の本体を構成する金属またはプラスチック製シートの表面にダイヤモンド状炭素薄膜またはダイヤモンド薄膜を形成することが開示され、特許文献3には炭素繊維で強化した遮光羽根が開示されている。さらに、遮光羽根の平面性の改善に関し、例えば特許文献4には熱処理によって平面度の経時変化を抑制するようにした構成が開示されている。
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記述する)を素材にした遮光羽根は、製造コストが低く、比重も軽いため、比較的低価格のカメラなどで広く使用されている。しかしながら、PETは引張弾性率などの機械的強度が弱いため、走行中または制動時に発生する振動や衝撃などで遮光羽根が撓んでしまい、遮光羽根相互の衝突やこれによる破損が発生しやすく、高速で走行するフォーカルプレーンシャッタなどで用いることができない。
また、アルミニウム合金などの金属を素材にした遮光羽根は、機械的強度も高く、高速のシャッタ装置に組み込むことが可能であるが、材料自体の比重が大きいことから遮光羽根自体の重量が嵩み、大きなチャージエネルギーを必要とする。さらに、シャッタ膜の走行中および制動時に発生する振動、いわゆる波打ちが非常に大きく、この波打ち状態がなかなか収まらないため、上述したPETと同様に遮光羽根相互の衝突ならびに破損の発生という問題がある。
一方、炭素繊維強化熱硬化性樹脂薄板(以下、CFRPと記述する)を素材とした遮光羽根は、軽量で弾性率も高く、シャッタ速度が高速であっても走行中および制動中の波打ちが非常に少なく、仮に波打ちが発生したとしても迅速に減衰してしまう特性を有する。従って、遮光羽根相互の衝突やこれによる破損の可能性がなく、非常に高い耐久性を実現することが可能である。しかしながら、CFRPはその材料自体が高価である上、その製造時の前駆体であるプリプレグシートを複数枚積層し、この積層物をプレスしたまま加熱するという非常に手間のかかる工程で製造する必要がある。また、これによって得られたシートも、炭素繊維のばらつきによる目開きなどの不良が発生しやすく、強度のばらつきや反りなどによる不良品の発生率が高い欠点を有するため、品質管理の手間が掛かることと相俟って製造コストも非常に高いものとなってしまう。
ところで、エンジニアリングプラスチックとして知られ、一般の高分子物質と同様な低密度を有する液晶ポリマー(以下、LCPと記述する場合がある)を押し出し成形によりフィルム状に成形した場合、各ドメイン(ポリマー鎖)毎にランダムな方向を向いていた各分子が押し出し方向(以下、MD方向と記述する場合がある)に沿って向きを揃え、配向性を示すこととなる。これにより、LCPは一般の高分子物質に見られない高強度および高弾性を示す。つまり、LCPにおける高弾性の発現機構は、ドメインの成形方向への配向に依存しているため、その弾性率は異方性を示し、成形方向に沿っては高弾性率を有するものの、これと直交する成形面に沿った方向(以下、これをTD方向と記述する場合がある)の弾性率が著しく低い場合がほとんどである。この結果、成形方向に沿って簡単に裂けるようなLCPフィルムができてしまうことが多かった。構造材料としてLCPの使用を考慮した場合、上述したような弾性率の著しい異方性は、信頼性の欠如をもたらすと共にその実用化を困難なものとしている。
本発明は、高強度かつ軽量であって安定した品質の安価な遮光羽根およびその製造方法ならびにこの遮光羽根を用いた光路開閉装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の形態は、光路を開閉するための細長い遮光羽根であって、粒度が50μm以下の黒鉛をほぼ均一に分散させた液晶ポリマーからなり、厚みが50μm以上かつ200μm以下の範囲にあり、その長手方向が液晶ポリマーの押し出し方向とほぼ平行となるように設定されていることを特徴とするものである。
本発明においては、LCP中にほぼ均一に分散する黒鉛の粒度を50μm以下に設定することにより、遮光羽根の表面の凹凸が最小限に抑えられる。また、黒鉛の介在によって液晶ポリマーの分子配向が乱され、押し出し成形に伴うLCPの弾性率の異方性が緩和され、同時に遮光性の向上および表面の摩擦抵抗も減少することとなる。遮光羽根の厚みが50μm未満の場合には遮光羽根としての機械的強度が不足する上にその遮光性も不十分となる。逆に、遮光羽根の厚みが200μmを超えると、遮光羽根の重量が不必要に嵩み、慣性質量の増大による悪影響が顕著となる上、これをフォーカルプレーンシャッタに利用した場合、先膜と後膜との間隔が離れてしまい、シャッタ効率の低下を招来する。さらに、遮光羽根の長手方向がLCPの押し出し方向、つまりMD方向とほぼ平行となっており、この遮光羽根の長手方向に沿った弾性率がその幅方向、つまりTD方向に沿った弾性率よりも高く維持される。
本発明の第1の形態による遮光羽根において、液晶ポリマーに対する黒鉛の含有量が2重量%以上かつ30重量%以下の範囲、より好ましくは5重量%以上かつ20重量%以下の範囲にあることが好ましい。黒鉛の含有量が2重量%未満では本願発明の効果を顕著に得ることが困難であり、逆に30重量%を越えるとTダイ法によるシートの成形が困難となる。
液晶ポリマーの表面に、遮光性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を有する機能層を形成することが好ましい。特に、遮光羽根の膜厚が50μmのようなごく薄いシート状の場合、充分な遮光性が得られない場合があるので、遮光羽根の膜厚に応じた適切な膜厚の機能層を形成することが有効である。
本発明の第2の形態は、粒度が50μm以下の黒鉛をほぼ均一に分散させた液晶ポリマーをシート状に押し出して厚みを50μm以上かつ200μm以下の範囲に成形するステップと、これをプレスにより押し出し方向に沿って細長い短冊状に打ち抜くステップとを具えたことを特徴とする遮光羽根の製造方法にある。
本発明においては、シート状に押し出されたLCPをMD方向に沿って細長い短冊状にプレスにより打ち抜いて遮光羽根を形成しており、遮光羽根の長手方向に沿った弾性率がその幅方向に沿った弾性率よりも高く設定された状態となる。
本発明の第3の形態は、本発明の第1の形態による遮光羽根を用いた光路開閉装置であって、液晶ポリマーの押し出し方向が遮光羽根の移動方向に対してほぼ直交していることを特徴とするものである。
本発明においては、長手方向に沿って高い曲げ弾性率を持つ遮光羽根により、光路開閉装置を構成する遮光羽根の長手方向に沿って進行し、その表面に対して垂直な方向に振動する横波が効率良く抑制される。
本発明の遮光羽根によると、粒度が50μm以下の黒鉛をほぼ均一に分散させた液晶ポリマーに50μm以上かつ200μm以下の範囲の厚みを持たせ、その長手方向が液晶ポリマーの押し出し方向とほぼ平行となるように設定したので、表面の凹凸を最小限に抑えた軽量な遮光羽根を得ることができる。また、LCPの弾性率の異方性が緩和され、遮光羽根の長手方向に沿った裂けを抑えることができると共に切断面の毛羽立ちを抑えることも可能となる。さらに、遮光性を向上させることができると共に表面の摩擦抵抗をより減少させることができる。しかも、遮光羽根の長手方向に沿った弾性率がその幅方向に沿った弾性率よりも高くなっているため、この遮光羽根の長手方向に沿って進行し、その表面に対して垂直な方向に振動する横波を効率良く抑制することが可能となる。
液晶ポリマーに対する黒鉛の含有量を2重量%以上かつ30重量%以下の範囲に設定した場合、本発明の効果を顕著に得ることができ、特に異方性の改善および遮光性の向上ならびに摩擦抵抗の低減を企図することができ、遮光羽根の仕様によってはその表面に機能層を形成する必要がなくなる場合もある。
液晶ポリマーの表面に、遮光性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を有する機能層を形成した場合、例えば遮光羽根を薄くしたことによって充分な遮光性が得られない可能性がある場合、遮光性を持った機能層を形成することにより、所望の遮光性を得ることができる。また、表面反射を極力少なくする必要がある場合には、低反射率の機能層を形成すれば良い。あるいは、フォーカルプレーンシャッタのように遮光羽根が相互に摺接するような場合には、潤滑性および帯電防止性の機能を持った機能層を形成することにより、遮光羽根の円滑な移動および帯電によるゴミの付着を防止することができる。
本発明の遮光羽根の製造方法によると、粒度が50μm以下の黒鉛をほぼ均一に分散させた液晶ポリマーをシート状に押し出して厚みを50μm以上かつ200μm以下の範囲に成形するステップと、これをプレスにより押し出し方向に沿って細長い短冊状に打ち抜くステップとを具えているので、安定した品質で軽量かつ高剛性の遮光羽根を容易かつ安価に製造することができる。特に、プレスによる打ち抜きの際の切断面の毛羽立ちを抑えることが可能となり、歩留まりの改善によって生産性を向上をさせることができる。
本発明の遮光羽根を用いた光路開閉装置によると、液晶ポリマーの押し出し方向が遮光羽根の移動方向に対してほぼ直交しているので、遮光羽根の長手方向に沿った弾性率がその幅方向に沿った弾性率よりも高くなり、この遮光羽根の長手方向に沿って進行し、その表面に対して垂直な方向に振動する横波を効率良く抑制できる軽量な遮光羽根を用いた光路開閉装置を実現可能である。
本発明による遮光羽根をフォーカルプレーンシャッタに応用した一実施形態について、図1および図2を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこのような実施形態のみに限らず、特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能であり、従って本発明の精神に帰属する他の技術にも当然応用することができる。
本実施形態によるフォーカルプレーンシャッタユニットの正面形状を図1に示し、そのII−II矢視断面構造を図2に示す。すなわち、このフォーカルプレーンシャッタユニット10は、いわゆる縦走りタイプと呼称されているものであり、先膜11および後膜12として、相互に重なり合う複数枚(図示例ではそれぞれ5枚および4枚)の遮光羽根13,14,15,16,17,18,19,20,21を用いている。このようなフォーカルプレーンシャッタユニット10自体の具体的構成は、特開平10−186448号公報,特開2002−229097号公報,特開2003−280065号公報などで周知の通りである。
本実施形態における遮光羽根13〜21の表裏両面には、その遮光性を改善するための黒色塗料が5μmの膜厚にて塗布され、本発明における機能層を構成している。図1中、上下方向に走行する本実施形態における遮光羽根13〜21は、それぞれ細長い矩形のシート状をなし、これら遮光羽根13〜21はカーボンブラックを均一に分散混入させたLCPシートを所定形状に打ち抜いたものである。この場合、遮光羽根13〜21の長手方向(図1中、左右方向)がLCPシートの押し出し方向、つまりMD方向と合致するように設定されている。
このような構成の遮光羽根13〜21を製造する場合、まず黒鉛を液晶ポリマーに分散させる必要があるが、これは周知の方法を利用することができる。工業的見地からすると、溶融状態で黒鉛と液晶ポリマーとを混練分散する方法が好ましい。この溶融混練作業には一般的に利用されている2軸押出機を利用することができる。各成分をあらかじめタンブラまたはヘンシエルミキサのような装置を用いて混合しても良いし、混練装置にそれぞれ個別に定量供給する方法を用いることも可能である。つまり、一定比率で秤量した樹脂材料と黒鉛とを2軸押出機に装入し、加熱溶融してスクリュにより混練する。このようにして、目的に合った配合比の黒鉛を樹脂に分散させることができる。
より具体的には、液晶ポリマーおよび黒鉛を2軸押出機により混練して押し出し、液晶ポリマー中に黒鉛が分散した状態にする。次に、これをシート状に加工する。例えば押出機を用い、Tダイ法またはインフレーション法などの一般的な方法により、シート状に加工することが可能である。また、すでに所定の割合で黒鉛を分散した液晶ポリマーのペレットを使用する場合、2軸押出機による材料混練のプロセスが不必要となるので、単軸押出機を用いたプラスチックフィルムの製造と同じプロセスでシート状の液晶ポリマーを得ることができる。
さらに、シート形状に成形された材料の片面(表面)または両面に、ディップ法やスプレー法などを用いて遮光性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を有する機能層を必要に応じて形成する。さらに、所定形状にプレス打ち抜きをすることで、遮光羽根を得ることができる。この場合、打ち抜かれるシートがロール状になっていることが好ましく、これによって連続処理が可能となる。シート材からのレーザー加工による切り抜きや、射出成形によって遮光羽根を直接成形することも可能であるが、製造コストや加工精度などを考慮すると、プレスによる打ち抜きがコストや生産効率の点で最も好ましいと言える。
次に、本発明による遮光羽根の曲げ弾性率および密度を実施例1〜3として比較参考のための比較例1〜3と共に以下の表1に示すが、実施例1〜3は何れも上野製薬株式会社製の液晶ポリマー(商品名:LCP8000)と日本黒鉛工業株式会社製の人造黒鉛とを用い、これらをテクノベル社製の押出機および引取り機・巻き取り機を用い、Tダイ法によって肉厚が約100μmのシート状に延伸させ、このシートの表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートしてロール状に成形したものから、プレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜き、これを試料としたものである。なお、曲げ弾性率は、テンシロン万能試験機を用いて各試料の両端部を30mm隔てて支持し、その中央部に4mmの変位を加えた時の荷重から求めている。
(実施例1)
黒鉛を10重量%含む液晶ポリマーである。
(実施例2)
黒鉛を20重量%含む液晶ポリマーである。
(実施例3)
黒鉛を30重量%含む液晶ポリマーである。
黒鉛を10重量%含む液晶ポリマーである。
(実施例2)
黒鉛を20重量%含む液晶ポリマーである。
(実施例3)
黒鉛を30重量%含む液晶ポリマーである。
(比較例1)
CFRPの前駆体であるプリプレグシートを3枚用意し、外側のプレプレグシートの繊維方向を基準(0°)として順に0°/90°/0°という具合に、繊維方向が互いに直交するように積層し、ホットプレスを用いて加熱硬化させた後、その表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートして形成したものから、プレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜くことにより、試料を作製した。
CFRPの前駆体であるプリプレグシートを3枚用意し、外側のプレプレグシートの繊維方向を基準(0°)として順に0°/90°/0°という具合に、繊維方向が互いに直交するように積層し、ホットプレスを用いて加熱硬化させた後、その表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートして形成したものから、プレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜くことにより、試料を作製した。
なお、ここでいうプリプレグシートとは、炭素繊維を一方向に揃えて薄くシート状に並べ、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を含浸させて固化したものである。この状態は固化しているものの、加熱をすれば最終的な硬化が可能となる状態である。
(比較例2)
Tダイ法によりMD方向に延伸されたPETシートを再加熱し、加熱された状態でTD方向に張力をかけることにより得られる二軸延伸PETシートの表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートして形成し、これをプレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜くことにより、試料を作製した。
Tダイ法によりMD方向に延伸されたPETシートを再加熱し、加熱された状態でTD方向に張力をかけることにより得られる二軸延伸PETシートの表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートして形成し、これをプレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜くことにより、試料を作製した。
(比較例3)
比較例2で作製された二軸延伸PETシートの表裏両面に無電解ニッケルめっきを用いて3〜5μmの膜厚のNi薄膜層を形成し、さらにこの表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートして形成し、これをプレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜くことにより、試料を作製した。
比較例2で作製された二軸延伸PETシートの表裏両面に無電解ニッケルめっきを用いて3〜5μmの膜厚のNi薄膜層を形成し、さらにこの表裏両面に5μmの膜厚の遮光性を持つ機能層をディップコートして形成し、これをプレス機を用いて50mm×9mmの短冊状に打ち抜くことにより、試料を作製した。
また、実施例1〜3および比較例1〜3にて得られる遮光羽根を図1,図2に示すフォーカルプレーンシャッターユニット10の先膜11および後膜12として組み込み、光源から2万ルクスの明るさの光を照射した場合の光線漏れの評価を行った。さらに、常温常湿にて1/8000秒のシャッター速度にて15万回の開閉試験を行い、その耐久性を調べ、コストに関しても考察した。これらの結果を併せて表1に示す。
表1に示す結果から明らかなように、黒鉛の添加量の増大に伴い、液晶ポリマーのMD方向の曲げ弾性率が低下し、逆にTD方向では曲げ弾性率が上昇する傾向を有し、異方性が緩和されることを確認できる。また、本発明の遮光羽根が充分な遮光性を有していることを確認できた。
比較例1の試料は、高剛性という点では優れているものの、プリプレグシートを作成する工程やプリプレグシートを0°/90°/0°と重ね合わせ、ホットプレスで固化するといった複雑な製造工程が必要であり、得られるCFRPシートも、炭素繊維のばらつきが発生しやすく、強度のばらつきや反りあるいは目開きなどの不良により良品率が低く、品質管理の手間が掛かるため、コストが非常に高いものとなってしまう。
比較例2の試料は、遮光羽根の長手方向に沿った曲げ弾性率の値が小さく、高速シャッタへの適用は困難である。
比較例3の試料は、剛性が比較的高いものの密度が高くなってしまう欠点があり、無電解ニッケルめっきによるNi薄膜層を形成するための工程が加わる上にめっき液の廃棄といった環境負荷に関する対策も必要となる。
光線漏れにおいて、「なし」というのは光線漏れがほとんど起こらなかったことを示す。
また、耐久性において、比較例2の場合の「破損」というのは制動時に遮光羽根が波打ち、遮光羽根同志の衝突によって破損したことを示している。この耐久性に関しては、比較例2以外の試料は15万回の開閉試験に対して問題なく、本発明の遮光羽根は、従来品と同等以上の性能を有することが確認された。
このような結果をもとに総合的にコストを判断すると、実施例1〜3の遮光羽根は、従来技術に関する比較例1〜3に対して同等以上であると評価することができた。
10 フォーカルプレーンシャッタユニット
11 先膜
12 後膜
13〜21 遮光羽根
11 先膜
12 後膜
13〜21 遮光羽根
Claims (5)
- 光路を開閉するための細長い遮光羽根であって、粒度が50μm以下の黒鉛をほぼ均一に分散させた液晶ポリマーからなり、厚みが50μm以上かつ200μm以下の範囲にあり、その長手方向が液晶ポリマーの押し出し方向とほぼ平行となるように設定されていることを特徴とする遮光羽根。
- 液晶ポリマーに対する黒鉛の含有量が2重量%以上かつ30重量%以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の遮光羽根。
- 液晶ポリマーの表面には、遮光性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を有する機能層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮光羽根。
- 粒度が50μm以下の黒鉛をほぼ均一に分散させた液晶ポリマーをシート状に押し出して厚みを50μm以上かつ200μm以下の範囲に成形するステップと、
これをプレスにより押し出し方向に沿って細長い短冊状に打ち抜くステップと
を具えたことを特徴とする遮光羽根の製造方法。 - 請求項1から請求項3の何れかに記載の遮光羽根を用いた光路開閉装置であって、液晶ポリマーの押し出し方向が遮光羽根の移動方向に対してほぼ直交していることを特徴とする光路開閉装置。
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