JP2011137954A - 積層フィルム、円偏光板、積層フィルムの製造方法、円偏光板の製造方法、および液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光作用のある部材を通して表示画面を視認した場合でも、視認方向に起因して表示画面が見難くなる等の不具合を抑え、表面の耐擦傷性に優れ、紫外線による劣化を防止でき、十分な耐熱性を有すること。
【解決手段】直線偏光フィルム12側に位置し、入射光に対してλ/4の位相差を付与する基材層110と、基材層110の表面側の面に積層される、硬化性材料よりなるコート層120とを備え、基材層110は、コア層112と、コア層112の表裏面にそれぞれ設けられるスキン層114とを備える延伸フィルムであり、スキン層114は、ポリカーボネート樹脂により構成され、コア層112は、ポリカーボネート樹脂と紫外線吸収剤とを含む組成物により構成され、ポリカーボネート樹脂は、炭素環を連結するビスフェノール基を有する繰り返し単位を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルム、この積層フィルムを含む円偏光板、積層フィルムの製造方法、円偏光板の製造方法、および液晶表示装置に関する。
近年の液晶表示装置の進歩は著しく、携帯電話やパソコンモニター等の中小型の表示装置や、テレビ用の大型のものまでその用途が拡大している。このような液晶表示装置は、液晶セルと、この液晶セルの両側にそれぞれ配置された一対の偏光板(光源側の偏光板(第一の偏光板)/表面側の偏光板(第二の偏光板))とを備えて構成されている。各偏光板は、直線偏光フィルムの両側に、透明樹脂からなる保護フィルムが貼付された構成である。
このような液晶表示装置では、表面側の偏光板が、当該表示装置の最表面の位置に配置されることから、当該液晶表示装置から出射する光は、直線偏光フィルムを透過した光であるため直線偏光である。このため、たとえば偏光サングラス等の偏光作用のある光学部材を通して表示画面を視認した場合には、表示画面を視認する向き等によっては、たとえば光学部材を透過してきた偏光の偏光軸と直線偏光フィルムの吸収軸とが概ね一致する場合等には、表示画面が暗くなったり、見えなくなったりする不具合が生じ得る。そこで、このような不具合に対処すべく、特許文献1には、表面側の偏光板のさらに表面側にλ/4板を配置して、直線偏光を円偏光に変換する手法が開示されている。また、特許文献2には、特許文献1に示す構成の具体的な態様として、セルロース系ポリマーもしくはシクロオレフィン系ポリマーからなる透光性保護フィルムと、液晶層からなるλ/4板と、偏光素子と、前記と同じ透光性保護フィルムとを備える楕円偏光板が開示されている。
特開2005−352068号公報 特開2009−186659号公報
ところで、液晶表示装置では、前述したような、偏光作用のある光学部材を通して表示画面を視認した場合における不具合が無いことに加えて、表示装置の最表面であるが故に、表面の耐擦傷性に優れることや、外光中の紫外線による劣化を防止すること、より薄膜化することも求められている。
特許文献2に示すように、最表面となる透光性保護フィルムにセルロース系ポリマーやシクロオレフィン系ポリマーを用いた場合には、光学部材を通して表示画面を視認した場合における不具合を低減できるものの、表面硬度が必ずしも十分ではない。これに対して、例えば、透光性保護フィルムの上に、紫外線硬化型樹脂等からなるハードコート層を設けて透光性保護フィルムの表面硬度を高めることも考えられるが、この場合には、透光性保護フィルムそのものの表面硬度が低いことから、ハードコート層の厚みを十分に厚くする必要があり、円偏光板の薄型化を図ることができないという問題がある。なお、ハードコート層を設ける場合には、通常、基材層の表面に紫外線硬化樹脂等を含むハードコート材料を塗布した後に、加熱処理を行って塗布層を乾燥させる場合があるが、この際、基材層を構成する材料によっては耐熱性が十分ではなく、加熱処理時に基材層が劣化する可能性があるため、基材層には有る程度耐熱性の高い材料が必要である。
さらに、紫外線による劣化を防止すべく、最表面となる透光性保護フィルム中に紫外線吸収剤等を添加することも考えられるが、この場合には、当該保護フィルムの表面に紫外線吸収剤がブリードアウトして、外観不良や光学的不良等が生じるおそれがある。さらに、λ/4板を液晶層により構成するため、遅相軸の精度を十分に高めることができない可能性があり、かつ塗布/乾燥/硬化等の種々の手順を含むため製造工程が煩雑化するという懸念もある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、直線偏光フィルムの表面側に配置して用いた際に、偏光作用のある光学部材を通して表示画面を視認した場合でも、視認方向に起因して表示画面が見難くなる等の不具合を抑えることができ、薄膜でありながら表面の耐擦傷性に優れ、外観等に不良を生じることなく紫外線による劣化を防止でき、かつ基材層が十分な耐熱性を有する積層フィルム、および積層フィルムの製造方法を提供することである。また、本発明は、前記積層フィルムを含む円偏光板および円偏光板の製造方法を提供することである。さらに、本発明は、このような円偏光板を含む液晶表示装置を提供することである。
本発明は、直線偏光フィルムの表面側に配置して用いられる積層フィルムであって、前記直線偏光フィルム側に位置し、入射光に対してλ/4の位相差を付与する基材層と、この基材層の表面側の面に積層される、硬化性材料よりなるコート層と、を備え、前記基材層は、コア層と、このコア層の表裏面にそれぞれ設けられるスキン層と、を備える延伸フィルムであり、前記スキン層は、ポリカーボネート樹脂により構成され、前記コア層は、前記ポリカーボネート樹脂と紫外線吸収剤とを含むポリカーボネート樹脂組成物により構成され、前記ポリカーボネート樹脂は、化学式(1)に示す繰り返し単位を含む積層フィルム。
Figure 2011137954
ただし、化学式(1)において、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、各置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。R9は、水素原子、または炭素原子数1〜9のアルキル基もしくはアリール基である。Zは、それが結合している炭素原子と一緒になって、炭素数4〜11の飽和もしくは不飽和の炭素環を形成する残基であり、炭素数が6の飽和炭素環である。
前記積層フィルムにおいて、前記基材層の厚みは10〜60μmであり、前記コート層表面の鉛筆硬度がH以上であることが好ましい。また、前記積層フィルムにおいて、前記硬化性材料は、熱硬化性樹脂または電離放射線硬化性樹脂を含むことが好ましい。前記積層フィルムにおいて、当該積層フィルムは、長尺状に形成され、前記基材層は、その遅相軸が当該積層フィルムの幅方向に対して40〜50°の方向であることが好ましい。
本発明は、直線偏光フィルムと、この直線偏光フィルムの表面側に配置される前記積層フィルムとを備える円偏光板である。
本発明は、その長手方向に吸収軸を有する長尺状の直線偏光フィルムと、この直線偏光フィルムの表面側に配置される前記積層フィルムとを互いの長手方向を揃えて積層してなる長尺状の円偏光板である。
本発明は、長尺状の直線偏光フィルムの表面側に配置して用いられる長尺状の積層フィルムの製造方法であって、ポリカーボネート樹脂により構成されるコア層と、このコア層の表裏面にそれぞれ設けられ、前記ポリカーボネート樹脂および紫外線吸収剤を含むポリカーボネート樹脂組成物により構成される一対のスキン層とを共押出して得られる3層構成の長尺状フィルムを得る工程と、得られた長尺状フィルムを斜め延伸して、その遅相軸が当該長尺状フィルムの幅方向に対して40〜50°の方向であって、かつ入射光に対してλ/4の位相差を付与する、長尺状の基材層を得る工程と、この基材層の一方の面に、硬化性材料よりなるコート層を形成して長尺状の積層フィルムを得る工程と、を備え、前記ポリカーボネート樹脂は、化学式(1)に示す繰り返し単位を含む、長尺状の積層フィルムの製造方法である。
Figure 2011137954
ただし、化学式(1)において、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、各置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。R9は、水素原子、または炭素原子数1〜9のアルキル基もしくはアリール基である。Zは、それが結合している炭素原子と一緒になって、炭素数4〜11の飽和もしくは不飽和の炭素環を形成する残基であり、炭素数が6の飽和炭素環である。
本発明は、前記製造方法により得られる長尺状の積層フィルムと、その長手方向に吸収軸を有する長尺状の直線偏光フィルムとを、ロールトゥロール法により積層してなる長尺状の円偏光板の製造方法である。
本発明は、第一の偏光板と、液晶セルと、第二の偏光板とを備え、前記第二の偏光板が表面側に位置するように配置される液晶表示装置であって、前記第二の偏光板は、直線偏光フィルムと、この直線偏光フィルムの表面側に配置される前記積層フィルムと、を備え、前記積層フィルムは、前記コート層が表面側となるように配置されている液晶表示装置である。
本発明によれば、直線偏光フィルムの表面側に、入射光に対してλ/4の位相差を付与する基材層を含む積層フィルムを配置したので、偏光作用のある光学部材を通して表示画面を視認した場合でも、視認方向に起因して表示画面が見難くなる等の不具合を抑えることができる。また、所定のポリカーボネート樹脂を基材層に用いることにより、比較的薄膜なハードコート層であっても、表面の耐擦傷性を十分に奏することができるとともに、基材層の耐熱性も十分に高めることができるという効果がある。さらに、基材層をコア層と、一対のスキン層とを備える3層構成とし、コア層に紫外線吸収剤を含有する構成としたので、外観等に不良を生じることなく紫外線による劣化を防止できるという効果もある。さらに、本発明の積層フィルムを構成する基材層は、延伸処理によりλ/4の位相差を発現させるため、液晶層で位相差を発現させる場合に比べて、遅相軸の精度を十分に高めることができるとともに、製造工程を簡便にできるという効果がある。
また、本発明の製造方法によれば、所定のポリカーボネート樹脂を共押出してから所定の延伸処理をすることにより、λ/4の位相を付与する積層フィルムを製造できるため、液晶層を用いて構成する場合に比べて、製造工程の手間を抑えることができるろいう効果がある。
また、本発明の円偏光板の製造方法によれば、積層フィルムの遅相軸が幅方向に対して40〜50°の方向となる斜め延伸工程を用いることにより、斜め延伸後の積層フィルムと、その長手方向に吸収軸を有する長尺状の直線偏光フィルムとを、その長手方向を揃えてロールトゥロール法により積層することにより、長尺状の円偏光板を簡便に得ることができる。このため、円偏光板を表示装置の寸法に合わせて裁断する際に、その外形を当該フィルムの長手方向および幅方向に揃えることができるため、円偏光板の歩留まり向上と、円偏光板を連続的に生産でき、ひいては円偏光板の生産性を向上できるという効果がある。
本発明の実施形態に係る積層フィルムを備える液晶表示装置を示す断面図である。
<液晶表示装置>
本発明に係る積層フィルムを含む液晶表示装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る積層フィルムを備える液晶表示装置を模式的に示す断面図である。図1に示すように、液晶表示装置1は、陰極管(冷陰極管や熱陰極管等)やLED、EL素子等の光源を含むバックライト装置2と、バックライト装置2により、その裏面側(図中下側)から光照射される液晶パネル3とを備えている。
<液晶パネル>
液晶パネル3は、バックライト装置2側に配置される第一の偏光板10と、液晶セル20と、表面側(図中上側)に配置される第二の偏光板30とを備えている。第一の偏光板10を構成する偏光フィルムの吸収軸と、第二の偏光板30を構成する偏光フィルムの吸収軸とは、互いに直交するように配置されている。
<第一の偏光板(光源側の偏光板)>
第一の偏光板10は、直線偏光フィルム12と、直線偏光フィルム12の表裏面側にそれぞれ配置される保護フィルム14とを備えている。
<直線偏光フィルム>
直線偏光フィルム12は、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過するものである。例えば、ポリビニルアルコールフィルムやエチレン酢酸ビニル部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸させたもの、前記親水性高分子フィルムを一軸延伸して二色性物質を吸着させたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルムなどを挙げることができる。本発明に用いる直線偏光フィルムは長尺状とすることができる。本発明において、長尺とは、幅方向の寸法に対して長い(例えば10倍以上、といった長さの)長さ方向を有するフィルムであり、具体的にはロール状に巻回して保管または運搬できる程度の長さを有するものをいう。このように長尺状である場合、直線偏光フィルム12は、その吸収軸(一方の直線偏光を吸収する軸)は、該長尺フィルムの長手方向にあることが好ましい。直線偏光フィルム12の厚みは通常5〜80μmである。
<保護フィルム>
保護フィルム14は、直線偏光フィルム12を保護するためのフィルムである。保護フィルム14は、透明な材料からなる層を含むことが好ましい。なお、透明な材料とは、測定対象となるフィルムの全光線透過率が80%以上のものである。透明な材料としては、ノルボルネン樹脂、ポリエステル樹脂、トリアセチルセルロースなどのアセチルセルロース、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。
保護フィルム14は、長尺であることが好ましい。保護フィルム14は、平均厚みが、通常100μm以下、好ましくは1〜60μm、より好ましくは5〜40μm、特に好ましくは10〜35μmである。厚みを上記範囲とすることにより、偏光板や表示装置の薄型化を図ることができる。
直線偏光フィルムの表面に配置される保護フィルムと、直線偏光フィルムの裏面に配置される保護フィルムは、同一材料からなるフィルムを用いてもよいし、異なる材料からなるフィルムを用いてもよい。また、保護フィルム14は、光学的に等方なフィルムとすることもできるし、光学的に異方な位相差フィルムとすることもできる。
<液晶セル>
液晶セル20としては一般的なセルを採用できる。液晶セル20の方式としては、特に限定されないが、例えばTN方式、STN方式、ECB方式、IPS方式、VA方式、OCB方式、HAN方式、ASN方式等を挙げることができる。
<第二の偏光板(表面側の偏光板)>
第二の偏光板30は、直線偏光フィルム40と、直線偏光フィルム40の表面側に配置される積層フィルム100と、直線偏光フィルム40の裏面側に配置される保護フィルム50とを備えている。直線偏光フィルム40には、前述した直線偏光フィルム12と同じものを用いることができる。保護フィルム50には、前記保護フィルム14と同じものを用いることができる。つまり、第二の偏光板30は、第一の偏光板10とは、直線偏光フィルムの表面側に設けられるフィルムの構成が相違する。なお、本実施形態では、直線偏光フィルム40の表面に直接積層フィルム100を設けているが、前述した保護フィルム50と同様の保護フィルム等を介して間接的に積層フィルム100を設けてもよい。
<積層フィルム>
積層フィルム100は、入射光に対してλ/4の位相差を付与する基材層110と、基材層110の表面に積層されるコート層120とを備えている。積層フィルム100は、ロールトゥロール法により簡易に偏光板を製造できる観点から長尺状であることが好ましい。また、積層フィルム100は、その幅寸法が通常1000mm〜2300mmであり、その厚みが10〜80μmである。
積層フィルム100は、その全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。全光線透過率が上記好適な範囲であることが光学部材として好適である。上記全光線透過率は、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH−2000」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値である。
積層フィルム100のヘイズは好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。ヘイズを低い値とすることにより、積層フィルムを組み込んだ表示装置の表示画像の鮮明性を高めることができる。ここで、ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH−300A」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値である。
積層フィルム100のコート層120表面における鉛筆硬度はHまたはそれ以上である。ここで、鉛筆硬度は、荷重を500gにした以外は、JIS K 5600−5−4に基づいて、各種硬度の鉛筆を45°傾けてフィルム表面の数カ所を数mm程度引っ掻き、傷が付きはじめる鉛筆の硬さである。
<基材層>
基材層110は、その遅相軸が当該基材層の幅方向に対して40〜50°であり、好ましくは42〜48°であり、より好ましくは44〜46°の方向である。例えば、長尺状の延伸前フィルムを後述する斜め延伸法により得ることができる。この際、面内の遅相軸は、その方向のばらつきが、当該基材層の幅方向の全幅に亘って、±1°以内であることが好ましく、±0.5°以内であることがより好ましく、±0.2°以内であることがさらに好ましい。なお、遅相軸の方向のばらつきは、基材層の幅方向に亘って遅相軸を任意に数点測定したときの、その遅相軸と基材層の幅方向とのなす角度の最大値と最小値との差である。
また、基材層110は、入射光に対してλ/4の位相差を付与する延伸フィルムであり、波長550nmにおける面内レターデーションReは、110〜150nmであり、120〜140nmであることがより好ましい。基材層110のReは、市販の位相差計(例えば、王子計測社製、「KOBRA21−ADH」等)を用いて測定できる。
基材層110は、長尺状であって、その遅相軸が当該基材層の幅方向に対して40〜50°であり、かつλ/4の位相差を付与し得るため、その長手方向に吸収軸を有する長尺状の直線偏光フィルム40とは、その長手方向を揃えてロールトゥロール法により積層することにより、長尺状の円偏光板を製造できる。このため、長尺状の円偏光板の長手方向および幅方向に沿って矩形状に裁断する(切り出す)ことができるため、円偏光板の歩留まりを高めることができる利点がある。これに対して、例えば、一軸延伸や二軸延伸法(同時、逐次)等により積層フィルムを得、この積層フィルムと直線偏光フィルムとを積層して円偏光板を得る場合には、前記積層フィルムの遅相軸が基材層の幅方向や長手方向となることから、直線偏光フィルムの吸収軸の向きに合わせて積層フィルムを適宜カットする必要があり、歩留まりの点が必ずしも十分ではない。
基材層110は、前記Reのばらつきが通常10nm以内、好ましくは5nm以内、さらに好ましくは2nm以内である。Reのムラを上記範囲にすることにより、表示装置用に用いた場合に表示品質を良好なものにすることが可能になる。ここで、Reのばらつきは、光入射角0 °(入射光線と本発明の位相差板表面が直交する状態)の時のReを基材層100の幅方向に亘って任意に数点測定したときの、そのReの最大値と最小値との差である。
基材層110は、コア層112と、コア層112の表裏面にそれぞれ設けられるスキン層114とを備えている。基材層110の厚みは、フィルムの薄型化と機械的強度とのバランスの観点から通常100μm以下であり、好ましくは10〜60μmである。コア層112の厚みは、2〜40μmである。各スキン層114の厚みは、2〜40μmである。コア層112の厚みと各スキン層114の厚みの関係は、安定して共押出して製膜できる観点から、厚みの比(コア層厚み/各スキン層厚み)=1/16〜2/1であることが好ましい。さらに好ましくは、1/16〜1/1である。一方のスキン層と他方のスキン層とは、その厚みが同じであることが好ましいが、それには限定されない。例えば、コート層が設けられる側のスキン層を他のスキン層よりも薄く構成することができる。
なお、基材層110を構成するスキン層114およびコア層112の厚みは、市販の接触式厚さ計を用いて基材層110の総厚を測定し、次いで厚み測定部分を切断し断面を蛍光顕微鏡(オリンパス社製、「実体顕微鏡 SZX―12」)で観察して、各層の厚さ比を求めて、その比率よりスキン層およびコア層の厚さを計算する。以上の操作をフィルムのMD方向及びTD方向において一定間隔毎に行い、厚さの平均値およびばらつきを求めることができる。
<スキン層>
スキン層112は、積層フィルム100の表面硬度を高める観点から、分子内に、ビスフェノールZを由来とする下記化学式(1)に示す繰り返し単位Aを含むポリカーボネート樹脂により構成されている。このようなポリカーボネート樹脂としては、具体的には、例えば、SABIC社製のレキサン等を用いることができる。
Figure 2011137954
化学式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、各置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。Rは、水素原子、または炭素原子数1〜9のアルキル基もしくはアリール基である。Zは、それが結合している炭素原子と一緒になって、炭素数4〜11の飽和もしくは不飽和の炭素環を形成する残基であり、炭素数が6の飽和炭素環であることが好ましい。また、R(もしくはR)は、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。また、R(もしくはR)は、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。下記化学式(1)に示す繰り返し単位Aは、化学式(2)に示す繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2011137954
前記ポリカーボネート樹脂としては、前記繰り返し単位Aに加えて、ビスフェノールAを由来とする下記化学式(3)に示す繰り返し単位Bもさらに含むことが好ましく、特に、この繰り返し単位Bが化学式(4)に示す繰り返し単位であることが好ましい。繰り返し単位Aと繰り返し単位Bの組み合わせにおいて、化学式(1)に示す繰り返し単位Aの1モルに対して、化学式(3)に示す繰り返し単位Bの量が0.6モル以上1.5モル以下であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の組成を上記好適な範囲とすることにより、表面硬度や耐熱性等の物性を良好にできた上で、かつ溶融押し出し成形法により光学フィルムを製造することができる。
Figure 2011137954
化学式(3)において、R10〜R17はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、各置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。
Figure 2011137954
<コア層>
コア層112は、スキン層114を構成するポリカーボネート樹脂と、紫外線吸収剤とを含む樹脂組成物により構成されている。前記紫外線吸収剤としては、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられる。
また、スキン層114およびまたはコア層112を構成するポリカーボネート樹脂には、それぞれ必要に応じて、前述した紫外線吸収剤以外の各種配合剤を添加することができる。添加する配合剤は特に限定されず、例えば、滑剤;層状結晶化合物;無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;可塑剤:染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤;などを挙げることができる。配合剤の量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜定めることができ、例えば、得られる積層フィルムの全光線透過率85%以上を維持できる範囲とすることができる。
滑剤としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウムなどの無機粒子;ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどの有機粒子が挙げることができ、有機粒子が好ましい。
前記ポリカーネート樹脂のガラス転移温度Tgは通常110〜180℃である。
基材層110は、液晶表示装置の外側の層に配置されるため、外部からの紫外線を吸収する必要がある。基材層110は、コア層112内に紫外線吸収剤により、波長380nmの光線透過率が85%以上であり、好ましくは90%以上である。紫外線透過率は、JIS K 0115(吸光光度分析通則)に準拠して、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、V−570)等を用いて測定できる。
スキン層114を構成するポリカーボネート樹脂の屈折率は、スキン層114の表面に設けられる層の屈折率との関係にもよるが、通常1.5〜1.6であり、1.58〜1.59であることが好ましい。
<コート層>
コート層120は、基材層110の表面に硬化性材料を塗布し、加熱して、乾燥・硬化させてなる層であって、各種機能を奏することができる層である。硬化性材料としては、熱硬化性樹脂または電離放射線硬化性樹脂(好ましくは紫外線硬化性樹脂)を用いることができ、例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機系コート材料;二酸化ケイ素などの無機系コート材料;などを挙げることができる。コート層120の機能としては、例えば、積層フィルム表面の硬度をさらに向上できるハードコート層や、表示画面に外光による写り込みを防止できる反射防止層等とすることができる。コート層は、単層としてもよいし、多層としてもよい。コート層120の厚さは、通常0.8〜20μmであり、薄型化の観点から、0.8〜6μmであることが好ましい。
なお、本実施形態に係るコート層120は、基材層110の表面に設けられるハードコート層と、このハードコート層の表面に設けられ、当該ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層とを備え、表面硬度の向上と反射防止機能を発揮できる。このような構成により、積層フィルムは、例えば、入射角5°、波長430〜700nmにおける反射率が2%以下、波長550nmにおける反射率が1%以下のような反射防止機能を奏することができる。
<ハードコート層>
本実施形態に係るハードコート層は、硬化性材料からなるハードコート材料により構成できる。このようなハードコート材料としては、熱硬化性樹脂または電離放射線硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)を用いることが好ましく、前述した有機系コート材料や無機系コート材料等を用いることができる。これらの中でも、ハードコート材料としては、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系の材料が好ましい。
ハードコート層としては、基材層の屈折率よりも高い屈折率を有する層であることが好ましく、この際、ハードコート層の屈折率は1.60〜1.70であることが好ましい。ハードコート層の屈折率が上記範囲となる場合には、ハードコート層の上に、当該ハードコート層の屈折率よりも屈折率の低い低屈折率層を設けた場合に、外光の反射を抑制し、映り込みをさらに防止できる。ハードコート層の屈折率調整には、例えば、金属酸化物微粒子を添加して行うことができる。添加する金属酸化物微粒子の材質としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化タングステン等を挙げることができる。これらの金属酸化物微粒子は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。 屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメータを用いて測定して求めることができる。ハードコート層の厚さは、好ましくは0.8〜10μmであり、より好ましくは、薄型化の観点から、0.8〜6μmである。
ハードコート層は、その数平均粒径が200nm以下、好ましくは15〜50nmの導電性微粒子を含むことが好ましい。導電性微粒子を含むことにより、ハードコート層としての機能だけでなく、帯電防止層としての機能を付与できる。なお、数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視やイメージ写真を画像処理することにより、又は動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により計測することができる。ここで、導電性微粒子とは、粉体の比抵抗値が10^9 Ω・cm以下であるものをいう。比抵抗値は、導電性微粒子を含む粉末を100kg/cmで圧縮成形後、LCRメーター(例えば、横河ヒューレットパッカード社製)を用いて、電気抵抗値を測定し、それを以下の式により比抵抗値に換算することにより求められる。
比抵抗値(Ω・cm)= 電気抵抗値(Ω)×{ 試料の断面積(cm)/試料の厚さ(cm)}
導電性微粒子は、導電性を有する微粒子であれば特に制約はないが、透明性に優れることから、金属酸化物の微粒子が好ましい。金属酸化物としては、例えば、五酸化アンチモン、酸化スズ、リンがドープされた酸化スズ(PTO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(ATO)、スズがドープされた酸化インジウム(ITO)、亜鉛がドープされた酸化インジウム(IZO)、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(AZO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛/酸化アルミニウム、アンチモン酸亜鉛等が挙げることができる。これらの金属酸化物微粒子は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性に優れること等から、五酸化アンチモン微粒子及びリンがドープされた酸化スズ微粒子から選ばれる少なくとも一種が好ましい。さらに、これらの導電性微粒子は、その表面をシランカップリング剤により処理してもよく、このような処理により、後述する低屈折率層との密着性を向上できる利点がある。
また、導電性の金属酸化物の微粒子としては、導電性を持たない金属酸化物微粒子に、導電性金属酸化物を被覆することによって、導電性が付与された微粒子も使用することもできる。例えば、屈折率は高いが導電性を有しない酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の微粒子の表面に、前記導電性金属酸化物を被覆して導電性を付与して用いることができる。
ハードコート層における導電性微粒子の含有量は、30体積%以上であることが好ましく、40〜60体積%であることがより好ましい。本発明において、ハードコート層は、前述のハードコート材料を必要に応じて溶媒で希釈し、基材層の表面に直接又は他の層を介して塗布し、得られた塗膜に必要に応じて熱及び/又は電離放射線を照射することで形成できる。
ハードコート材料には、前記導電性微粒子の他に、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、並びに耐熱性、および防眩性などの向上を図る目的で、各種フィラーを含有できる。また、ハードコート材料には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、および消泡剤などの添加剤を含有できる。
ハードコート層は、ハードコート材料を塗布して塗膜を形成した後、その塗膜を乾燥・硬化させて得ることができる。塗膜の乾燥条件としては、具体的には、例えば、得られた塗膜を乾燥炉内にて熱風により100〜150℃程度で1〜5分間程度乾燥・硬化させるものである。その後、当該塗膜に例えば熱や紫外線を照射することにより、ハードコート層を形成できる。
<低屈折率層>
本実施形態に係る低屈折率層の厚さは、0.01〜1μmが好ましく、0.02〜0.5μmがより好ましい。低屈折率層としては、当該低屈折率層の下地となる層(例えばハードコート層)の屈折率よりも小さい屈折率、具体的には1.30〜1.45の屈折率を有する層からなるものとすることができる。
低屈折率層を形成する材料としては、屈折率の低いものであれば特に制限されず、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド材料、テトラエトキシシラン等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル材料等を挙げることができる。これらの低屈折率層を形成する材料は、重合済みのポリマーであってもよいし、前駆体となるモノマーやオリゴマーであってもよい。また、それぞれの材料は、防汚染性を付与するために、フッ素基を含有する化合物またはジメチルシリコーンを含むことが好ましい。
前記のゾル−ゲル材料としては、フッ素基を含有するゾル−ゲル材料が好適に用いることができる。フッ素基を含有するゾル−ゲル材料としては、フルオロアルキルアルコキシシランを例示できる。フルオロアルキルアルコキシシランは、たとえば、CF(CFCHCHSi(OR)(式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数を示す)で表される化合物である。具体的には、フルオロアルキルアルコキシシランとしては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、およびヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。この中でも、前記nが2〜6の化合物が好ましい。
低屈折率層は、熱硬化性含フッ素化合物または電離放射線硬化型含フッ素化合物またはジメチルシリコーンの硬化物からなるものとすることができる。前記硬化物は、その動摩擦係数が0.03〜0.15であることが好ましく、水に対する接触角が90〜120度であることが好ましい。硬化性含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、架橋性官能基を有する含フッ素重合体を挙げることができる。
架橋性官能基を有する含フッ素重合体はフッ素含有モノマーと架橋性官能基を有するモノマーとを共重合することによって、又はフッ素含有モノマーと架橋性官能基を有するモノマーとを共重合し次いで重合体中の官能基に架橋性官能基を有する化合物を付加させることによって得ることができる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等のフルオロオレフィン類;「ビスコート6FM」(大阪有機化学社製)、「M−2020」(ダイキン社製)等の(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。
架橋性官能基を有するモノマー又は架橋性官能基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有するモノマー;アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレートなどのヒドロキシル基を有するモノマー;メチロールアクリレート、メチロールメタクリレート;アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどのビニル基を有するモノマー;アミノ基を有するモノマー;スルホン酸基を有するモノマー;等を挙げることができる。
低屈折率層を形成するための材料としては、耐擦傷性を向上できる点で、ニ酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、フッ化マグネシウム等の微粒子をアルコール溶媒に分散したゾルを含むものを用いることができる。前記微粒子は、反射防止性の観点から、屈折率が低いものほど好ましい。このような微粒子は、空隙を有するものであってもよく、特にシリカ中空微粒子が好ましい。中空微粒子の平均粒径は、5〜200nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求められる数平均粒径である。
本発明において、低屈折率層の表面には、上述した以外に、防眩層、ガスバリア層、透明帯電防止層、プライマー層、電磁波遮蔽層、下塗り層、防汚層等の各種機能層を設けることもできる。
<積層フィルムの製造方法>
本発明の積層フィルムは、以下に示す製造方法により製造することが好ましい。
すなわち、積層フィルムの製造方法は、後述する工程1と工程2と工程3とを備えている。工程1は、スキン層を構成するポリカーボネート樹脂と、コア層を構成する、紫外線吸収剤およびポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物と、他のスキン層を構成する前記ポリカーボネート樹脂とを溶融共押出成形して、スキン層/コア層/スキン層の3層構成を有する長尺の延伸前フィルムを得る工程である。工程2は、前記延伸前フィルムを斜め延伸して基材層を得る工程である。工程3は、前記基材層の上にコート層を設けて積層フィルムを得る工程である。
(工程1:延伸前フィルムの作製)
工程1で得る延伸前フィルムは、前述した3層のみから構成してもよいが、例えば、コア層を多層とすることにより、延伸前フィルムとして4層以上の構成の多層フィルムとすることもできる。
延伸前フィルムの総厚は、好ましくは10〜800μmであり、より好ましくは50〜600μmである。10μm以上とすることにより、十分な位相差及び機械的強度を得ることができ、800μm以下とすることにより、柔軟性及びハンドリング性を良好なものとすることができる。
工程1における溶融押出成形は、Tダイ法などの方法により共押出し法により製造できる。共押出Tダイ法にはフィードブロック方式及びマルチマニホールド方式があるが、各層の厚さのばらつきを少なくできる点でマルチマニホールド方式が特に好ましい。基材層を得る方法として共押出Tダイ法を採用する場合、Tダイを有する押出機における樹脂材料の溶融温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度Tgよりも80〜180℃高い温度にすることが好ましく、該ガラス転移温度よりも100〜150℃高い温度にすることがより好ましい。押出機での溶融温度が過度に低いと、樹脂材料の流動性が不足するおそれがあり、逆に溶融温度が過度に高いと、樹脂が劣化する可能性がある。
押出成形法ではダイスの開口部から押出されたシート状溶融樹脂材料を冷却ドラムに密着させる。溶融樹脂材料を冷却ドラムに密着させる方法は、特に制限されず、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げることができる。冷却ドラムの数は特に制限されないが、通常は2本以上である。また、冷却ドラムの配置方法としては、例えば、直線型、Z型、L型などが挙げられるが特に制限されない。またダイスの開口部から押出された溶融樹脂の冷却ドラムへの通し方も特に制限されない。
冷却ドラム温度は、ダイスから押し出す樹脂のうちドラムに接触する層の樹脂のガラス転移温度をTgとすると、冷却ドラム温度は、好ましくは、(Tg+30)℃以下、さらに好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg−45)℃の範囲である。冷却ドラムの温度を上げると密着はよくなるが、温度を上げすぎるとシート状樹脂材料が冷却ドラムから剥がれずに、ドラムに巻きつく不具合が発生するおそれがある。このため、上記好適な温度範囲とすることにより、得られる延伸前フィルムに対して、キズ等の不具合が生じることを防止できる。
ここで、工程1により得られる延伸前フィルムには、当該延伸前フィルム中の残留溶剤の含有量を少なくすることが好ましい。そのための手段としては、(1)原料となるポリカーボネート樹脂の残留溶剤を少なくする;(2)基材層を成形する前に材料を予備乾燥する;などの手段が挙げることができる。予備乾燥は、例えば材料をペレットなどの形態にして熱風乾燥機などで行うことができる。予備乾燥は、乾燥温度が100℃以上であることが好ましく、乾燥時間が2時間以上であることが好ましい。このような予備乾燥を行うことにより、積層体中の残留溶剤を低減させることができ、これにより押し出されたシート状材料の発泡を防ぐことができる。
(工程2:斜め延伸による基材層の作製)
工程1で得られた長尺の延伸前フィルムを工程2に供することにより、延伸前フィルムの層にλ/4の位相差を付与し得、かつ遅相軸が幅方向に対して40〜50°(好ましくは42〜48°、より好ましくは44〜46°)の方向である位相差フィルムとしての基材層を得ることができる。具体的には、工程2は、前記延伸前フィルムを、幅方向に対して40〜50°の方向に斜め延伸する工程とすることができる。この際、延伸温度は、前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度をTgとして、Tg〜Tg+30℃、好ましくはTg〜Tg+20℃とすることができ、また、延伸倍率を1.1〜3倍とすることができる。
前記斜め延伸の具体的な方法の例としては、テンター延伸機を用いた延伸方法を挙げることができる。かかるテンター延伸機としては、フィルムの左右(すなわち水平に搬送されるフィルムをMD方向から観察した際のフィルム幅方向両端の左右)において、異なる速度の送り力、引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機、又はTD方向又はMD方向に左右等速度の送り力、引張り力又は引取り力を付加し左右移動する距離が同じで軌道を非直線とすることにより斜め方向の延伸を達成しうるテンター延伸機、又は移動する距離を左右で異なる距離とすることにより斜め方向の延伸を達成しうるテンター延伸機を挙げることができる。斜め延伸の手段としては、例えば、国際公開公報WO2007/111313号パンフレットに記載された方法を適用できる。
ここで、具体的なテンター延伸機Aとしては、例えば、予熱ゾーンA、延伸ゾーンBおよび固定ゾーンCからなる恒温室と、延伸前フィルムの幅方向の両端部をそれぞれ把持する複数の把持クリップと、これらの把持クリップが走行する左右で一対のレールとを少なくとも備えた構成とすることができる。把持クリップは、延伸前フィルム巻回体から繰り出され、テンター延伸機の入口部に順次供給されるフィルムの幅方向の両端部を把持し、恒温室内にフィルムを導き、テンター延伸機の出口部でフィルムを開放する。把持クリップから開放されたフィルムは、フィルム巻取装置によって巻き取られる。一対のレールは、それぞれ無端状の連続軌道を有する。テンター延伸機の出口部でフィルムの把持を開放した把持クリップは、延伸に寄与しない前記連続軌道の外側を走行して、順次入口部に戻されるようになっている。フィルムは、予熱ゾーンA、延伸ゾーンBおよび固定ゾーンCからなる恒温室内を通過している間に、把持クリップからの張力によって延伸される。予熱ゾーンA、延伸ゾーンBおよび固定ゾーンCは、それぞれ独立に温度を設定でき、それぞれのゾーンでは温度が、通常、一定に保たれている。予熱ゾーンA、延伸ゾーンBおよび固定ゾーンCの長さは適宜選択でき、延伸ゾーンBの長さに対して、予熱ゾーンAの長さが通常100〜150%、固定ゾーンCの長さが通常50〜100%とすることができる。
また、斜め延伸後の積層フィルムにおける延伸ムラや厚みムラ(厚みばらつき)を小さくするために、延伸ゾーンBにおいてフィルム幅方向に温度差がつくようにすることができる。延伸ゾーンにおいてフィルム幅方向に温度差をつけるには、温風ノズルの開度を幅方向で調整したり、IRヒーターを幅方向に並べて加熱制御したりするなど公知の手法を用いることができる。
ここで、本発明の製造方法において、前記工程2の前後に他工程を含んでもよい。
例えば、前記工程2の後に、延伸したフィルムを固定処理してもよい。固定処理における温度は、通常、室温〜延伸温度+30℃、好ましくは延伸温度−40℃〜延伸温度+20℃である。また、前記工程1を行う前に、延伸前フィルムを加熱する工程(予熱工程)を設けてもよい。延伸前フィルムを加熱する手段としては、オーブン型加熱装置、ラジエーション加熱装置、または液体中に浸すことなどを挙げることができる。これらの中でもオーブン型加熱装置が好ましい。当該工程での加熱温度は、通常、延伸温度−40℃〜延伸温度+20℃、好ましくは延伸温度−30℃〜延伸温度+15℃である。延伸温度は、加熱装置の設定温度を意味する。また、前記工程2に供する前に、延伸前フィルムに対して一軸もしくは二軸延伸等の延伸処理を実施してもよい。また、前記工程2の後に、コート層との密着性を高める等の観点から、コロナ処理等の表面処理を行ってもよい。
(工程3:コート層の形成)
工程2で得られた基材層の表面に、硬化性樹脂よりなるコート層を設けることにより、基材層に所定の機能を付与した長尺状の積層フィルムを得ることができる。コート層は、前述したように、コート層を構成する硬化性樹脂材料を基材層の表面に塗布して塗膜を形成した後、その塗膜を乾燥・硬化させて得ることができる。なお、本実施形態では、前述の通り基材層の表面にハードコート層を形成した後、低屈折率層形成用材料を塗布・乾燥・硬化させて低屈折率層を得ることができる。ハードコート層を形成する際の乾燥・硬化時の温度は60〜120℃である。また、低屈折率層を形成する際の乾燥・硬化時の温度は60〜120℃である。
なお、本発明に係る積層フィルムの製造方法において、前述の工程2では斜め延伸方法を採用したが、これには限定されない。すなわち、工程1で得られた延伸前フィルムを一軸延伸もしくは二軸延伸(同時、逐次)して、入射光に対してλ/4の位相差を付与する位相差フィルムとしての積層フィルムを作製してもよい。この場合には、工程3を実施した後に、得られた積層フィルムを所定の向きとなるように裁断し、この裁断した積層フィルムを直線偏光フィルムに貼り合わせることで、枚葉状の円偏光板を得ることができる。しかしながら、円偏光板を連続的に生産できて生産性を向上できる観点から、前記工程2としては斜め延伸法が好ましい。また、裁断の回数を少なくできるため、裁断時に生じ得るクラックにより生じたフィルム粉が異物としてフィルムに付着することを抑えることができる。
<円偏光板の製造方法>
円偏光板は、直線偏光フィルムと、λ/4波長の位相差を付与する積層フィルムとを積層することにより得ることができる。前述したように、遅相軸が積層フィルムの幅方向に対して40〜50°にある斜め延伸法により前記積層フィルムを得た場合には、当該斜め延伸後の積層フィルムと、その長手方向に吸収軸を有する長尺状の直線偏光フィルムとを、その長手方向を揃えてロールトゥロール法により積層することにより、長尺状の円偏光板を簡便に得ることができる。このような工程によれば、円偏光板を表示装置の寸法に合わせて裁断する際に、その外形を当該フィルムの長手方向および幅方向に揃えることができるため、円偏光板の歩留まり向上と、円偏光板を連続的に生産できることによる円偏光板の生産性向上とを図ることができる。
実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、部及び%は特に断りが無い限り質量基準である。
<厚み>
スナップゲージ(「ID547−301」、ミツトヨ社製)を用いて、フィルムの幅方向に5cm間隔で厚みを測定し、その平均を求めた。
<ガラス転移温度>
示差走査熱量分析(DSC)によりエスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製EXSTAR6000を用いて測定した。
<面内レターデーションRe>
積層フィルムの面内レターデーションReは、位相差計(「KOBRA21−ADH」、王子計測社製)を用いて、波長550nmにて測定した。
<鉛筆硬度>
荷重を500gにした以外はJIS K 5600−5−4に準拠して、表面の箇所について5mm程度ひっかき、傷の付き具合を確認した。
<紫外線透過率>
JIS K 0115(吸光光度分析通則)に準拠して、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、V−570)を用いて測定した。
<平均配向角θ>
偏光顕微鏡(オリンパス社製、BX51)を用いて、フィルムの幅方向50mm間隔で測定し、面内の遅相軸を測定し、遅相軸の方向とフィルムの幅方向との成す角度(配向角)の平均値を求め、これを平均配向角θとした。
<製造例1:ハードコート層形成用の材料>
五酸化アンチモンのメチルイソブチルケトンゾル(固形分濃度40%、触媒化成社製)100部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8部、トリメチロールプロパントリアクリレート2部、光重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.4部を混合して、紫外線硬化性樹脂組成物としてのハードコート材料1を得た。
<製造例2:低屈折率層形成用の材料>
中空シリカ微粒子のイソプロピルアルコールゾル(固形分濃度20%、触媒化成社製)100部に、テトラメトキシシランのオリゴマー(商品名「メチルシリケート51」、コルコート社製)20部、アンモニア水(アンモニア28重量%)34部、メタノール600部を混合して、熱硬化性樹脂組成物としての低屈折率層形成用材料2を得た。
<製造例3:コア層形成用のポリカーボネート樹脂組成物>
化学式(1)に示す繰り返し単位を含むポリカーボネート樹脂(商品名「レキサン」、SABIC社製、ガラス転移温度:135℃、屈折率1.58〜1.59)100部に、紫外線吸収剤(トリアジン系、商品名「T−712」、ADEKA社製、融点:144℃)5部添加し、この組成物を二軸押出混練機(東芝機械社製)で混練してストランド状に押し出し、これを冷却してペレタイザーで切断しペレット化した。
<実施例1>
二種三層の共押出成形用のフィルム成形装置を準備し、化学式(1)に示す繰り返し単位を含む前記ポリカーボネート樹脂のペレットを熱風乾燥機で120℃、4時間乾燥して、ダブルフライト型のスクリューを備えた第1,第2の一軸押出機にそれぞれ投入して溶融させた。また、製造例3で得られたポリカーボネート樹脂組成物をダブルフライト型のスクリューを備えた第3の一軸押出機に投入して溶融させた。
溶融した280℃のポリカーボネート樹脂および樹脂組成物をそれぞれ目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを通して各マルチマニホールドダイのマニホールドにそれぞれ供給した。ポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂組成物を該マルチマニホールドダイから260℃で同時に押し出しフィルム状にした。該フィルム状溶融樹脂を表面温度120℃に調整した冷却ロールにキャストし、次いで表面温度120℃に調整した2本の冷却ロール間に通して、ポリカーボネート樹脂層(スキン層:12μm)と、ポリカーボネート樹脂組成物層(コア層:23μm)と、ポリカーボネート樹脂層(スキン層:12μm)とからなる、厚さ47μmかつ幅1500mmの延伸前フィルムを得た。
次に、得られた延伸前フィルムを、前述したテンター延伸機Aに供給し、延伸温度140℃で、前記延伸前フィルムの幅方向に対して39°の方向に、前記延伸前フィルムの幅の1.8倍になるように斜め延伸を行って基材層を得た。得られた基材層は、その遅相軸(平均配向角θ)が幅方向に対して45°の方向であり、厚みが35μmであり、波長550nmにおける面内レターデーションReが140nmであった。また、波長380nmにおける紫外線透過率は4%であった。外観について目視により観察したところ、皺やクラック等がなく、良好であった。
次に、得られた積層フィルムの表面をコロナ処理し、その処理面に、ワイヤバーを用いて製造例1に示すハードコート材料を塗布し、100℃で2分間乾燥させた後、紫外線照射機を用いて波長300〜390nmの範囲において積算光量1000mW/cm2で紫外線を照射して硬化させ、厚み5μmのハードコート層を形成した。ハードコート層の屈折率は1.65であった。次に、得られたハードコート層の上に、製造例2で得られた低屈折率層形成用の材料をワイヤバーで塗布して塗膜を形成し、130℃で5分間加熱して硬化させて、厚み100nmの低屈折率層を形成した。このようにして、基材層と、ハードコート層および低屈折率層からなるコート層とを備える長尺状の積層フィルムを得た。積層フィルムにおけるコート層表面の鉛筆硬度はHであった。
得られた長尺状の積層フィルムと、偏光吸収軸がフィルム長手方向である長尺状の直線偏光フィルム( サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚み180μm)とを、基材層と直線偏光フィルムとが面する向きで、ウレタン系接着剤を介してロールトゥロール法により、その長手方向を揃えて積層することにより、長尺状の円偏光板P1を得た。また、市販の液晶表示装置における表面側の偏光板を取り外し、その代わりに、前記長尺状の円偏光板P1を所定の寸法に裁断したものを配置して、液晶表示装置を得た。円偏光板P1の外観を目視により観察したところ、表面に異物等の付着がほとんどなく良好であった。
次に、得られた液晶表示装置の表示面を偏光用サングラス(アックス社製、「SC1003P」)をかけた状態で見て、視認性を評価した。評価は、表示が良好な場合は○、不良な場合は×とした。該液晶表示装置での評価結果は○であった。
<実施例2>
実施例1で得られた長尺状の延伸前フィルムを、前記延伸前フィルムの幅方向に対して89°の方向に、延伸温度140℃の自由収縮の一軸延伸によって、1.7倍に延伸して基材層を得た。得られた基材層は、その遅相軸(平均配向角θ)が幅方向に対して90°の方向であり、厚みが35μmであり、波長550nmにおける面内レターデーションReが140nmであった。また、波長380nmにおける紫外線透過率は4%であった。外観について目視により観察したところ、皺やクラック等がなく良好であった。
実施例1のコート処理と同様にして、基材層と、ハードコート層および低屈折率層からなるコート層とを備える長尺状の積層フィルムを得た。積層フィルムにおけるコート層表面の鉛筆硬度はHであった。
得られた長尺状の積層フィルムを、その長手方向に対して45°または135°の方向に沿って矩形状に裁断することで枚葉の積層フィルムを得た。それを偏光吸収軸がフィルム長手方向である長尺状の直線偏光フィルム( サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚み180μm)に、基材層と直線偏光フィルムとが面する向きで、ウレタン系接着剤を介して貼り合せ、その長手方向を揃えて積層させ、さらに、幅方向に対して略垂直または略平行に裁断して、枚葉の円偏光板P2を得た。円偏光板P2の外観を目視により観察したところ、実施例1の場合に比べて、表面に裁断に起因する異物等の付着がわずかにあり、光学特性に大きな影響はなかったが、異物の除去作業等が生じ工程がやや煩雑であった。
また、市販の液晶表示装置における表面側の偏光板を取り外し、その代わりに円偏光板P2を配置して、液晶表示装置L2を得た。得られた液晶表示装置L2の表示面を偏光用サングラスをかけた状態で見て、視認性を評価した。評価結果は○であった。
<比較例1>
ポリカーボネート樹脂(商品名「レキサン」、SABIC社製、ガラス転移温度:143℃)に代えてポリカーボネート樹脂(商品名「ワンダーライト」、旭化成社製、ガラス転移温度:143℃)を用いるとともに、延伸温度を140℃とした以外は実施例1と同様にして、長尺状の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの基材層は、その遅相軸(平均配向角θ)が幅方向に対して45°の方向であり、厚みが40μmであり、波長550nmにおける面内レターデーションReが1100nmであった。また、波長380nmにおける紫外線透過率は90%であった。積層フィルムにおけるコート層表面の鉛筆硬度はBであり、硬度が不十分であった。また、得られた積層フィルムには、ハードコート層および低屈折率層を形成した際に、その表面に皺やクラックが生じ、十分な光学特性が得られなかった。実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、液晶表示装置の表示面を偏光用サングラスをかけた状態で見て、視認性を評価した。評価結果は×であった。
<比較例2>
ポリカーボネート樹脂(商品名「レキサン」、SABIC社製、ガラス転移温度:135℃)に代えて、ノルボルネン系樹脂(商品名「ゼオノア1430」、日本ゼオン社製、ガラス転移温度:140℃)を用い、押出温度を250℃とした以外は実施例1と同様にして、長尺状の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの基材層は、その遅相軸(平均配向角θ)が幅方向に対して45°の方向であり、厚みが35μmであり、波長550nmにおける面内レターデーションReが70nmであった。また、波長380nmにおける紫外線透過率は90%であった。積層フィルムにおけるコート層表面の鉛筆硬度は6Bであり、硬度が不十分であった。また、得られた積層フィルムには、ハードコート層および低屈折率層を形成した際に、その表面に皺やクラックが生じ、十分な光学特性が得られなかった。実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、液晶表示装置の表示面を偏光用サングラスをかけた状態で見て、視認性を評価した。評価結果は×であった。
1 液晶表示装置
2 バックライト装置
3 液晶パネル
10 第一の偏光板
12,40 直線偏光フィルム
14,50 保護フィルム
20 液晶セル
30 第二の偏光板
100 積層フィルム
110 基材層
112 コア層
114 スキン層
120 コート層

Claims (9)

  1. 直線偏光フィルムの表面側に配置して用いられる積層フィルムであって、
    前記直線偏光フィルム側に位置し、入射光に対してλ/4の位相差を付与する基材層と、この基材層の表面側の面に積層される、硬化性材料よりなるコート層と、を備え、
    前記基材層は、コア層と、このコア層の表裏面にそれぞれ設けられるスキン層と、を備える延伸フィルムであり、
    前記スキン層は、ポリカーボネート樹脂により構成され、
    前記コア層は、前記ポリカーボネート樹脂と紫外線吸収剤とを含むポリカーボネート樹脂組成物により構成され、
    前記ポリカーボネート樹脂は、化学式(1)に示す繰り返し単位を含む積層フィルム。
    Figure 2011137954
    ただし、化学式(1)において、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、各置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。R9は、水素原子、または炭素原子数1〜9のアルキル基もしくはアリール基である。Zは、それが結合している炭素原子と一緒になって、炭素数4〜11の飽和もしくは不飽和の炭素環を形成する残基であり、炭素数が6の飽和炭素環である。
  2. 請求項1に記載の積層フィルムにおいて、
    前記基材層の厚みは10〜60μmであり、前記コート層表面の鉛筆硬度がH以上である積層フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の積層フィルムにおいて、
    前記硬化性材料は、熱硬化性樹脂または電離放射線硬化性樹脂を含む積層フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムにおいて、
    当該積層フィルムは、長尺状に形成され、
    前記基材層は、その遅相軸が当該積層フィルムの幅方向に対して40〜50°の方向である積層フィルム。
  5. 直線偏光フィルムと、この直線偏光フィルムの表面側に配置される請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムと、を備える円偏光板。
  6. その長手方向に吸収軸を有する長尺状の直線偏光フィルムと、
    この直線偏光フィルムの表面側に配置される請求項5に記載の積層フィルムとを互いの長手方向を揃えて積層してなる長尺状の円偏光板。
  7. 長尺状の直線偏光フィルムの表面側に配置して用いられる長尺状の積層フィルムの製造方法であって、
    ポリカーボネート樹脂により構成されるコア層と、このコア層の表裏面にそれぞれ設けられ、前記ポリカーボネート樹脂および紫外線吸収剤を含むポリカーボネート樹脂組成物により構成される一対のスキン層とを共押出して得られる3層構成の長尺状フィルムを得る工程と、
    得られた長尺状フィルムを斜め延伸して、その遅相軸が当該長尺状フィルムの幅方向に対して40〜50°の方向であって、かつ入射光に対してλ/4の位相差を付与する、長尺状の基材層を得る工程と、
    この基材層の一方の面に、硬化性材料よりなるコート層を形成して長尺状の積層フィルムを得る工程と、を備え、
    前記ポリカーボネート樹脂は、化学式(1)に示す繰り返し単位を含む、長尺状の積層フィルムの製造方法。
    Figure 2011137954
    ただし、化学式(1)において、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、各置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。R9は、水素原子、または炭素原子数1〜9のアルキル基もしくはアリール基である。Zは、それが結合している炭素原子と一緒になって、炭素数4〜11の飽和もしくは不飽和の炭素環を形成する残基であり、炭素数が6の飽和炭素環である。
  8. 請求項7に記載の製造方法により得られる長尺状の積層フィルムと、その長手方向に吸収軸を有する長尺状の直線偏光フィルムとを、ロールトゥロール法により積層してなる長尺状の円偏光板の製造方法。
  9. 第一の偏光板と、液晶セルと、第二の偏光板とを備え、前記第二の偏光板が表面側に位置するように配置される液晶表示装置であって、
    前記第二の偏光板は、直線偏光フィルムと、この直線偏光フィルムの表面側に配置される請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルムと、を備え、
    前記積層フィルムは、前記コート層が表面側となるように配置されている液晶表示装置。
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