JP2007248795A - 表示画面用保護フィルム及びそれを用いた偏光板並びに表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表示画面に干渉縞などの視認不良が起きず、表面硬度が硬く撓み性を有し、且つ耐擦傷性に優れた表示装置の表示画面を保護するためのフィルム、及びそれを用いた、表示画面の額縁付近での光漏れ、色むら、着色等による視認不良が無い偏光板並びに表示装置を提供する。
【解決手段】 熱可塑性アクリル樹脂に数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子を分散させて樹脂組成物を得、熱可塑性アクリル樹脂と該樹脂組成物とを共押出成形して、熱可塑性アクリル樹脂層−樹脂組成物層−熱可塑性アクリル樹脂層の構造を有し、弾性体粒子がフィルムの厚さ方向中央に偏在し、且つ平均厚さが100μm未満である表示画面用保護フィルムを得る。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、表示画面用保護フィルム及びそれを用いた偏光板並びに表示装置に関する。さらに詳細には、表示画面に干渉縞などの視認不良が起きず、表面硬度が硬く、且つ撓み性を有する表示装置の画面表面を保護するためのフィルム、及びそれを用いた、表示画面の額縁付近での光漏れ、色むら、着色等による視認不良が無い偏光板並びに表示装置に関する。
表示装置等の視認側表面(表示画面)は、人間が手を触れたりする機会などが多く、その表面が汚れたり、表面に傷が付いたりし、表示画像が見難くなることがある。そのために表示画面表面に保護フィルムが貼られている。
表示装置等の表示画面を保護するために用いられるフィルムとして、例えば、特許文献1には、メチルメタクリレート50〜70質量部、無水マレイン酸10〜20質量部及びスチレン20〜35質量部からなるアクリル系樹脂(A)と、耐衝撃性アクリルゴム−メチルメタクリレートグラフト共重合体やブチル変性アセチルセルロースなどからなる強靱性改良剤(B)とを、質量比60〜90/40〜10で含有する組成物からなる偏光膜保護用フィルムが提案されている。又特許文献2には、グルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂(A)を60〜90質量%、アクリル弾性体粒子(B)を7〜40質量%含有するアクリル樹脂フィルムであって、アクリル弾性体粒子(B)の平均粒径が70〜300nmであり、フィルムの破断伸度が15%以上、高張力下1%変形温度が100℃以上であるアクリル樹脂フィルムが提案されている。しかし、これらの保護フィルムは、表面の硬さが小さく、表面を擦ることによって傷が付いたり、汚れたりするという難点があった。
特開平5−119217号公報 特開2005−314534号公報
一方、特許文献3には、メタクリル酸メチルを主成分とする連続樹脂相中に常温でゴム状を示す弾性体を粒子径0.15〜4μmの粒子状で不連続的に5〜70質量%分散させた耐衝撃性アクリル樹脂を基材部とし、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレ−ト単位を有する一般アクリル樹脂を積層部として、基材部の片面又は両面に0.5μmから100μmの厚さで且つ、積層部の合計厚さがシ−ト全体の厚さの30%以内となる厚さで積層させたヘイズ値が1.0%以下、光沢度が130%以上の光学的特性を有する耐候性に優れた耐衝撃性アクリル樹脂積層シ−トが提案されている。このフィルムは、看板、照明カバー、自動車用サンバイザー等の耐衝撃性が要求される用途に用いられると特許文献3は開示している。
特許文献4及び5には、アクリル系ゴム粒子およびアクリル系樹脂を含有する層と、耐衝撃材料を含まないアクリル系樹脂の層と、からなるアクリル系樹脂積層フィルムが提案されている。このフィルムは、高い耐衝撃強度が要求される家電製品の外装、自動車の内装、建築用資材などに用いられることが開示されている。
特開平4−59246号公報 特開2002−292808号公報 特開2001−260288号公報
また、特許文献6には、携帯型情報端末の表示画面を保護するフィルムとして、メタクリル樹脂中にゴム粒子が分散したアクリル系樹脂層を含み、100μm以上1,800μm以下の厚さを有するアクリル系樹脂フィルムの表面に、硬化性塗料を硬化させた耐擦傷性皮膜が形成されてなる耐擦傷性アクリル系樹脂フィルムが提案されている。この保護フィルムは、携帯型情報端末などのような、狭い表示画面用としては適しているが、広い表示画面を持つ表示装置の保護フィルムとしては表面硬度が不十分であった。
特開2004−143365号公報
本発明の目的は、表示画面に干渉縞などの視認不良が起きず、表面硬度が硬く、撓み性を有し、且つ耐擦傷性に優れた、表示装置の表示画面を保護するためのフィルム、及びそれを用いた、表示画面の額縁付近での光漏れ、色むら、着色等による視認不良が無い偏光板並びに表示装置を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために検討した結果、アクリル樹脂を主成分として含んでなり、数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子をフィルム厚さ方向中央部に偏在させ、且つ平均厚さを100μm未満にしたフィルムは、表面硬度が硬く、撓み性を有し且つ耐擦傷性にも優れ、そのフィルムを表示画面の保護に用いると、表示画面に干渉縞などの視認不良が起きず、さらに表示画面の額縁付近での光漏れ、色むら、着色等による視認不良が無い表示装置を提供できることを見出した。本発明はこの知見に基づいてさらに検討した結果完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) 熱可塑性アクリル樹脂を主成分として含んでなり、数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子がフィルム厚さ方向中央部に偏在しており、且つ平均厚さが100μm未満である表示画面用保護フィルム。
(2) 熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる層と、その層を挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層が、積層されてなる平均厚さが100μm未満である表示画面用保護フィルム。
(3) 赤外線吸収剤を含む前記(1)又は(2)に記載の表示画面用保護フィルム。
(4) 紫外線吸収剤を含む前記(1)〜(3)のいずれかに記載の表示画面用保護フィルム。
(5) 透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の表示画面用保護フィルム。
(6) 共押出成形で得られた前記(1)〜(5)のいずれかに記載の表示画面用保護フィルム。
(7) 表面の線状凹部の深さ又は線状凸部の高さが50nm以下、幅が500nm以上である、前記(6)に記載の表示画面用保護フィルム。
(8) 前記(1)〜(7)のいずれかに記載の表示画面用保護フィルムを有する表示装置用の前面フィルタ。
(9) 前記(8)に記載の前面フィルタを有する表示装置用の前面板。
(10) 前記(9)に記載の前面板を備えるプラズマディスプレイパネル。
(11) 前記(1)〜(7)のいずれかに記載の表示画面用保護フィルムを有する表示装置。
(12) 前記(1)〜(7)のいずれかに記載の表示画面用保護フィルム、偏光子、及び保護膜からなる偏光板。
(13) 保護膜が複屈折性を示すフィルムである、前記(12)に記載の偏光板。
(14) 前記(12)又は(13)に記載の偏光板を出射側に備える液晶表示装置。
である。
本発明の表示画面用保護フィルムは、柔軟で撓み性に優れ、そのフィルムを表示画面の保護に用いると、表示画面に干渉縞などの視認不良が起きず、さらに表示画面の額縁付近での光漏れ、色むら、着色等による視認不良が無い表示装置を提供できる。さらに、表面硬度が高いので、耐擦傷性にも優れている。
本発明の表示画面用保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂を主成分として含んでなり、数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子がフィルムの厚さ方向中央部に偏在しており、且つ平均厚さが100μm未満のフィルムである。
また、本発明の別態様の表示画面用保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる層と、その層を挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層が、積層されてなる平均厚さが100μm未満のフィルムである。
<熱可塑性アクリル樹脂>
本発明の主成分である熱可塑性アクリル樹脂としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体;アルキル基の水素がOH基、COOH基もしくはNH基などの官能基によって置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体;または(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、スチレン、酢酸ビニル、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの不飽和結合を有するビニル系モノマーとの共重合体を挙げることができる。熱可塑性アクリル樹脂としては、これらのうち1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱可塑性アクリル樹脂はポリメタクリル酸メチルおよびポリメタクリル酸ブチルが単量体単位として含まれているものがより好ましい。また、熱可塑性アクリル樹脂は、ガラス転移温度Tgが80〜120℃の範囲のものが好ましい。
さらに、本発明に用いる熱可塑性アクリル樹脂は、フィルムに成形したときの表面の硬度が高いもの、具体的には、鉛筆硬度(試験荷重を500gとした以外は、JIS K5600−5−4に準拠)で2Hを超えるものが好ましい。
本発明の保護フィルムを構成する熱可塑性アクリル樹脂には、顔料や染料等の着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤が適宜配合されたものを用いることができる。なお、これら配合剤は、後述する弾性体粒子のように、保護フィルムの厚さ方向中央部に偏在していることが好ましい。例えば、赤外線吸収剤及び/又は紫外線吸収剤を含有する熱可塑性アクリル樹脂とからなる層と、この層を挟んで赤外線吸収剤及び/又は紫外線吸収剤を含有しないアクリル樹脂からなる層とが積層されてなる表示画面用保護フィルムが好適な態様として挙げられる。
紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させるために添加される。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤等公知のものが使用可能である。中でも、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が好適に用いられる。これらの中でも、特に2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)が好ましい。紫外線吸収剤の濃度は、波長370nm以下の透過率が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下となる範囲で選択することができる。紫外線吸収剤を含有させる方法としては、紫外線吸収剤を予め熱可塑性アクリル樹脂中に配合する方法;溶融押出成形時に直接供給する方法などが挙げられ、いずれの方法が採用されてもよい。
紫外線吸収剤は、フィルムの厚さ方向中央部に偏在していることが好ましい。保護フィルムが積層体で構成される場合には、弾性体粒子を含む熱可塑性アクリル樹脂層中に含まれる紫外線吸収剤濃度が、弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂層中に含まれる紫外線吸収剤濃度よりも高くなるようにする。具体的には、弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂層中の紫外線吸収剤の濃度が好ましくは0〜1.0重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%となるようにし、弾性体粒子を含む熱可塑性アクリル樹脂層中の紫外線吸収剤の濃度が好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1.0〜5.0重量%となるようにする。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であることにより、偏光板の色調を悪化させること無く紫外線を効率的に遮断することができ、長期使用時の偏光度の低下を防ぐことができる。弾性体粒子を含む熱可塑性アクリル樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると、波長370nm以下の光線透過率が大きくなり、偏光板保護フィルムとして使用した場合に偏光子の偏光度が低下傾向になる。逆に紫外線吸収剤の含有量が多すぎると、短波長側の光線透過率が小さくなり、積層体が黄色味を帯びる傾向になる。
赤外線吸収剤としては、ニトロソ化合物、その金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、カーボンブラック、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、周期表4A、5Aもしくは6A族に属する金属の酸化物、炭化物、ホウ化物等の赤外線吸収剤などを挙げることができる。これらの赤外線吸収剤は、赤外線(約800nm〜1100nm)全体を吸収できるように、選択することが好ましく、2種類以上を併用してもよい。赤外線吸収剤の量は、例えば、800nm以上の波長の透過率が10%以下となるように適宜調整することができる。
<弾性体粒子>
本発明に用いられる弾性体粒子は、ゴム状弾性体からなる粒子である。ゴム状弾性体としては、アクリル酸エステル系ゴム状重合体、ブタジエンを主成分とするゴム状重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。アクリル酸エステル系ゴム状重合体としてはブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト等を主成分とするものがある。これらの内ブチルアクリレ−トを主成分としたアクリル酸エステル系重合体及びブタジエンを主成分とするゴム状重合体が好ましい。弾性体粒子は、二種の重合体が層状になったものであってもよく、その代表例としては、ブチルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−トとスチレンのグラフト化ゴム弾性成分と、メチルメタクリレ−ト及び又はメチルメタクリレ−トとアルキルアクリレ−トの共重合体からなる硬質樹脂層とがコア−シェル構造で層を形成している弾性体粒子が挙げられる。
本発明に用いられる弾性体粒子は、熱可塑性アクリル樹脂中に分散した状態における数平均粒径が2.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。弾性体粒子の一次粒子径が小さくても、凝集などによって形成される二次粒子の数平均粒径が大きいと、保護フィルムはヘイズ(曇り度)が高くなり、光線透過率が低くなるので、表示画面用には適さなくなる。また、数平均粒径が小さくなりすぎると可撓性が低下する傾向にある。
本発明において、弾性体粒子の波長380nm〜780nmにおける屈折率na(λ)は、熱可塑性アクリル樹脂の波長380nm〜780nmにおける屈折率nb(λ)との間に、|na(λ)−nb(λ)| ≦ 0.05の関係を満たすことが好ましい。特に、|na(λ)−nb(λ)| ≦ 0.045であることがより好ましい。なお、na(λ)及びnb(λ)は、波長λにおける主屈折率の平均値である。|na(λ)−nb(λ)|の値が上記値を超える場合には、界面での屈折率差によって生じる界面反射により、透明性を損なうおそれがある。
弾性体粒子は、熱可塑性アクリル樹脂を主成分としてなるフィルムの厚さ方向中央部に偏在している。すなわち、フィルムの表面付近には弾性体粒子が少なく、フィルムの厚さ方向中央部に弾性体粒子が多く分布している。弾性体粒子のフィルム厚さ方向の分布は、表面から中央に向ってなだらかに増加するものであってもよいし、階段状に増加するものであってもよい。
階段状に増加する態様としては、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる層と、それを挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層とが、積層されてなる平均厚さが100μm未満のフィルムが挙げられる。この積層フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる組成物を成形して基材フィルムを得、その基材フィルムの両面に弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂を、塗布することによって;若しくは前記基材フィルムの両面に、弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂を成形してなるフィルムを貼りあわせることによって、又は熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる組成物と、弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂とを共押出成形することによって得ることができる。本発明においては共押出成形で得られるものが好ましい。
このように弾性体粒子が厚さ方向中央部に偏在することによって、保護フィルムの厚さ方向中央部分は柔軟な層となり、保護フィルムの両表面は硬質の層となる。このような構成とすることにより、当該保護フィルムの表面の硬度を十分に確保しつつ、当該保護フィルムの可撓性を向上でき、これにより偏光板等を製造する際の取扱性を向上できる。
一般に、フィルムを押出成形法で形成すると、いわゆるダイラインと呼ばれる不規則な線状の凸部及び凹部がフィルム表面に形成されることがある。本発明の保護フィルムは、この線状凹部や線状凸部が実質的に形成されず、その表面が平坦な面であることが好ましい。具体的には、表面の線状凹部の深さ又は線状凸部の高さが50nm以下、幅が500nm以上であることが好ましく、高さ若しくは深さが30nm以下、または、幅が700nm以上であることがより好ましい。このような表面状態とすることにより、線状凹部や線状凸部での光の屈折等に基づく、光の干渉や光漏れの発生を防止でき、光学性能を向上できる。
なお、上述した線状凹部の深さ、線状凸部の高さ、及びこれらの幅は、次に述べる方法で求めることができる。
保護フィルムに光を照射して、透過光をスクリーンに映し、スクリーン上に現れる光の明又は暗の縞の有る部分(この部分は凹部の深さ及び凸部の高さが大きい部分である。)を30mm角で切り出す。切り出したフィルム片の表面を三次元表面構造解析顕微鏡(視野領域5mm×7mm)を用いて観察し、これを3次元画像に変換し、この3次元画像からMD方向の断面プロファイルを求める。断面プロファイルは、視野領域で1mm間隔で求める。この断面プロファイルに、平均線を引き、この平均線から凹部の底までの長さが凹部深さ、または平均線から凸部の頂までの長さが凸部高さとなる。平均線とプロファイルとの交点間の距離が幅となる。これら凹部深さ及び凸部高さの測定値からそれぞれ最大値を求め、その最大値を示した凹部又は凸部の幅をそれぞれ求める。以上から求められた凹部深さ及び凸部高さの最大値、その最大値を示した凹部の幅及び凸部の幅を、そのフィルムの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅とする。
本発明の、熱可塑性アクリル樹脂及び弾性体粒子からなる層と、その層を挟んで両面に弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂からなる層が積層させた保護フィルムは、隣接する各層同士が、直接に接していてもよいし、接着剤(粘着剤を含む)からなる接着層を介して接していてもよい。接着層の平均厚さは、通常0.01μm〜30μm、好ましくは0.1μm〜15μmである。前記接着層は、JIS K7113による引張破壊強度が40MPa以下となる層である。この接着層を構成する接着剤としては、アクリル接着剤、ウレタン接着剤、ポリエステル接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリオレフィン接着剤、変性ポリオレフィン接着剤、ポリビニルアルキルエーテル接着剤、ゴム接着剤、塩化ビニル・酢酸ビニル接着剤、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS共重合体)接着剤、その水素添加物(SEBS共重合体)接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレン−スチレン共重合体などのエチレン接着剤、および、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、およびエチレン・アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル接着剤などを挙げることができる。
本発明の保護フィルムは、その厚さ(平均厚さ)が100μm未満、好ましくは80μm以下、より好ましくは40μm以上80μm以下である。本発明の保護フィルムの両面にある、一方の弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂からなる層の厚さと、他方の弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂からなる層の厚さとの差は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、0μmに近づけば近づくほどさらに好ましい。
本発明の保護フィルムは、その残留溶剤含有量が0.01質量%以下であることが好ましい。残留溶剤量が上記範囲であることにより、例えば、高温・高湿度環境下において保護フィルムが変形するのを防止できるとともに、光学性能が劣化するのを防止できる。残留溶剤量が上記範囲となる保護フィルムは、例えば、複数の樹脂を共押出成形することによって、又は単層の熱可塑性樹脂層をドライラミネーションや熱ラミネーションにより貼り合わせることによって得ることができる。生産性の点で共押出成形により得たものが好ましい。共押出成形の場合には、複雑な工程(例えば、乾燥工程や塗工工程)を経なくてもよいため、ゴミなどの外部異物の混入が少なく、優れた光学性能を発揮できる。
本発明の保護フィルムは、その透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下であることが好ましい。保護フィルムの透湿度を上記好適な範囲とすることにより、保護フィルムを構成する各層間の密着性を向上できる。透湿度は、40℃、92%RHの環境下で、24時間放置する試験条件で、JIS Z 0208に記載のカップ法により測定できる。
本発明の保護フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、当該保護フィルムは、ヘイズが2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
本発明の保護フィルムは、その光弾性係数の絶対値が30×10−13cm/dyn以下であることが好ましく、10×10−13cm/dyn以下であることがより好ましく、5×10−13cm/dyn以下であることがさらに好ましい。光弾性係数が上記数値よりも大きくなると、当該保護フィルムが外部からの応力によって位相差を発現しやすくなり、光学性能を低下させるおそれがある。
本発明の保護フィルムは、面内レターデーションRe(Re=d×(n−n)で定義される値;nは面内の遅相軸の屈折率、nは面内で遅相軸と直交する方向の屈折率;dはフィルムの平均厚さ)、及び厚さ方向のレターデーションRth(Rth=d×([n+n]/2−n)で定義される値;nは厚さ方向の屈折率)の絶対値が小さいものが好ましい。具体的には、当該保護フィルムの面内レターデーションReは、波長550nmにおいて10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、3nm以下であることがより好ましく、2nm以下であることが特に好ましい。当該保護フィルムの厚さ方向レターデーションRthは、波長550nmにおいて−10nm〜+10nmであることが好ましく、−5nm〜+5nmであることがより好ましい。
<機能層>
本発明の表示画面用保護フィルムは、その表面(視認側表面)に機能層が付け加わっていてもよい。この機能層としては、例えば、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層、防眩層、防汚層などを挙げることができる。これらの機能層は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、保護フィルムの表面硬度を高める機能を有する層であり、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板を用いる)で「H」以上の硬度を示すことが好ましい。このようなハードコート層が設けられた保護フィルムは、その鉛筆硬度が4H以上になることが好ましい。ハードコート層を形成する材料(ハードコート材料)としては、熱や光で硬化する材料であることが好ましく、例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;二酸化ケイ素などの無機系ハードコート材料;などを挙げることができる。これらの中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料が好ましい。
ハードコート層は、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、並びに耐熱性、帯電防止性、および防眩性などの向上を図る目的で、各種フィラーを含有できる。また、ハードコート層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、および消泡剤などの添加剤を含有できる。
ハードコート層の屈折率や帯電防止性を調整するためのフィラーとしては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、五酸化アンチモン、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、およびフッ素をドープした酸化錫(FTO)等を挙げることができる。フィラーとしては、透明性を維持できる点で、五酸化アンチモン、ITO、IZO、ATO、FTOが好ましい。これらフィラーの一次粒子径は、通常1nm〜100nm、好ましくは1nm〜30nmである。本発明において、ハードコート層にフィラーを用いる場合には、屈折率が1.6以上のフィラーを用いることが好ましい。屈折率が前記範囲にあるフィラーを用いることにより、ハードコート層が後述の高屈折率層の機能を兼ねることができ、プロセスを簡略化することができる。
防眩性を付与するためのフィラーとしては、平均粒径が0.5μm〜10μmのものが好ましく、1.0μm〜7.0μmのものがより好ましく、1.0μm〜4.0μmがさらに好ましい。防眩性を付与するフィラーの具体例としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ化ビニリデン樹脂およびその他のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの有機樹脂からなるフィラー;または酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化錫、酸化ジルコニウム、ITO、フッ化マグネシウム、酸化ケイ素などの無機化合物からなるフィラーを挙げることができる。
ハードコート層は、その屈折率nが、その上に積層される後述の反射防止層の屈折率nとの間に、n≧1.53、及びn 1/2−0.2<n<n 1/2+0.2、の関係を有することが、反射防止機能を発現させるために好ましい。
(反射防止層)
反射防止層は、外光の移りこみを防止するための層であり、保護フィルムの表面(外部に露出する面)に直接またはハードコート層等の他の層を介して積層される。反射防止層が設けられた保護フィルムは、入射角5°、波長430nm〜700nmにおける反射率が2.0%以下であることが好ましく、波長550nmにおける反射率が1.0%以下であることが好ましい。
反射防止層の厚さは、0.01μm〜1μmが好ましく、0.02μm〜0.5μmがより好ましい。反射防止層としては、当該反射防止層が積層される層(保護フィルムやハードコート層など)の屈折率よりも小さい屈折率、具体的には1.30〜1.45の屈折率を有する低屈折率層からなるもの;無機化合物からなる薄膜の低屈折率層と無機化合物からなる薄膜の高屈折率層とを交互に複数積層したもの、などを挙げることができる。
前記低屈折率層を形成する材料(低屈折率形成用材料)は、屈折率の低いものであれば特に制限されない。例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド材料、テトラエトキシシラン等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル材料等を挙げることができる。これらの低屈折率層を形成する材料は、重合済みのポリマーであってもよいし、前駆体となるモノマーやオリゴマーであってもよい。また、それぞれの材料は、防汚染性を付与するために、フッ素基を含有する化合物を含むことが好ましい。
前記のゾル−ゲル材料としては、フッ素基を含有するゾル−ゲル材料が好適に用いられる。フッ素基を含有するゾル−ゲル材料としては、パーフルオロアルキルアルコキシシランを例示できる。パーフルオロアルキルアルコキシシランは、たとえば、CF(CFCHCHSi(OR)(式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数を示す)で表される化合物である。具体的には、パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、およびヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。この中でも、前記nが2〜6の化合物が好ましい。
また、低屈折率層は、熱硬化性含フッ素化合物または電離放射線硬化型含フッ素化合物の硬化物からなるものとすることができる。前記硬化物は、その動摩擦係数が0.03〜0.15であることが好ましく、水に対する接触角が90〜120度であることが好ましい。硬化性含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、架橋性官能基を有する含フッ素重合体を挙げることができる。
架橋性官能基を有する含フッ素重合体はフッ素含有モノマーと架橋性官能基を有するモノマーとを共重合することによって、又はフッ素含有モノマーと官能基を有するモノマーとを共重合し次いで重合体中の官能基に架橋性官能基を有する化合物を付加させることによって得ることができる。
含フッ素モノマーとしては、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等のフルオロオレフィン類;ビスコート6FM(大阪有機化学製)、M−2020(ダイキン製)等の(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。
架橋性官能基を有するモノマー又は架橋性官能基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有するモノマー;アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、メチロールアクリレート、メチロールメタクリレートなどのヒドロキシル基を有するモノマー;アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどのビニル基を有するモノマー;アミノ基を有するモノマー;スルホン酸基を有するモノマー;などの;、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等を挙げることができる。
低屈折率層を形成するための材料としては、耐傷性を向上できる点で、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等の微粒子をアルコール溶媒に分散したゾルが含まれたものを用いることができる。前記微粒子は、反射防止性の観点から、屈折率が低いものほど好ましい。このような微粒子は、空隙を有するものであってもよく、特にシリカ中空微粒子が好ましい。中空微粒子の平均粒径は、5nm〜2,000nmが好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求められる数平均粒径である。
なお、含フッ素化合物の硬化物からなる低屈折率層では、その硬化物の屈折率を下げていくと低屈折率層の耐傷性が低下する傾向にあるため、硬化物のみの屈折率と微粒子の添加量とを最適化することにより、耐傷性と低屈折率を両立できる。
低屈折率層の形成法は、特に制限されないが、湿式塗工法が、真空蒸着法等に比べて簡易な方法であるため好ましい。湿式塗工法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、およびグラビアコート法等を挙げることができる。低屈折率層の厚さは、0.05μm〜0.3μm程度、特に0.1μm〜0.3μmが好ましい。
(防汚層)
防汚層は、撥水性、撥油性、耐汗性、および防汚性などを付与できる層である。防汚層を形成するために用いる材料としては、フッ素含有有機化合物が好適である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、又はこれらの高分子化合物などを挙げることができる。また、防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法、化学的気相成長法、湿式コーティング法等を用いることができる。防汚層の平均厚さは、好ましくは1nm〜50nm、より好ましくは3nm〜35nmである。
以上のような機能層を形成する場合には、形成させる面に化学的処理を施すことが好ましい。化学的処理の手段としては、例えば、コロナ放電処理、スパッタ処理、低圧UV照射処理、プラズマ処理などが挙げられる。また、本発明の表示画面用保護フィルムは、前記化学的処理に加えて、機能層との密着性強化や防眩性付与を目的として、エッチング、サンドブラスト、エンボスロール等による機械的処理が施されていても良い。
本発明の表示画面用保護フィルムは、表示装置用の前面フィルタに用いることができ、さらにそのフィルタを表示装置用の前面板に用いることができる。
本発明の表示画面用保護フィルムは、プラズマディスプレイ、有機若しくは無機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、電界放出ディスプレイ若しくはその一種である表面電界ディスプレイなどの、薄型表示装置の表示画面の正面を保護するために用いることができる。特に本発明の表示画面用保護フィルムは、液晶表示装置の視認側偏光板の保護フィルムとして好適である。
<偏光板>
本発明の偏光板は、前述の表示画面用保護フィルム、偏光子、及び保護膜からなり、そして、該偏光子の両面に表示画面用保護フィルム及び保護膜がそれぞれ積層されているものである。
(偏光子)
本発明に用いる偏光子としては、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素若しくは二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるものや、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるものなど、を挙げることができる。また、偏光子として、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子を用いることもできる。この中でも、ポリビニルアルコールを含んでなる偏光子が好ましい。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の厚さ(平均厚さ)は、好ましくは5μm〜80μmである。
本発明に用いる保護膜は、前述の表示画面用保護フィルムであってもよいし、従来から偏光板に用いられている保護膜であってもよい。保護膜は、1mm厚における、400〜700nmの可視領域の光線透過率が80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の材料で形成したものが好適である。この従来の保護膜を構成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロースエステル、脂環式オレフィンポリマーなどを挙げることができる。脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報又は米国特許第5179171号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報又は米国特許第5202388号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報(国際公開99/20676号公報)に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン開環重合体及びその水素添加物等を挙げることができる。
本発明の好適な偏光板として、保護膜に複屈折性を示すフィルムを用いた態様のものが挙げられる。複屈折性を示すフィルムを保護膜に用いると、色補償、視野角補償等の光学補償の機能を備え、液晶表示装置の視認性が向上する。
複屈折性を示すフィルムは幅方向及び長手方向で複屈折性が制御されたフィルムであり、一軸性を有するフィルム、二軸性を有するフィルム、及びこれらの積層体が挙げられる。所望の複屈折性を示すフィルムが、使用する液晶セルのモードに応じて適宜選択される。一軸性を有するとはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率n、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率n、厚さ方向の屈折率nのうちのいずれか一つの屈折率が他の二つの屈折率と異なることを言い、具体的には、n>n=n(このような関係を示すフィルムをポジティブAプレートと呼ぶことがある。)、n=n>n(このような関係を示すフィルムをネガティブCプレートと呼ぶことがある。)n<n=n(このような関係を示すフィルムをネガティブAプレートと呼ぶことがある。)、n=n<n(このような関係を示すフィルムをポジティブCプレートと呼ぶことがある。)などの関係を示すことを言う。二軸性を有するとは、前記3方向の屈折率が全て異なる事を言い、例えば、n>n>n、や、n<n<nなる関係を示すことを言う。このような屈折率n、n、及びnの相互関係を数値として表す、フィルム面内方向のレターデーションRe及び厚さ方向のレターデーションRthは、使用する液晶セルのモード、及びセルを挟んで対向するもう一方の偏光板のセル側に配置される保護膜が有するRe及びRthに応じて適宜調整される。例えば、液晶モードがバーティカルアライメント(VA)モードの場合には、厚さ方向のレターデーションRthが70〜400nmである複屈折性を示すフィルム1枚、又はRthが50nm〜250nmである複屈折性を示すフィルム2枚を用いることが好ましい。
なお、面内方向のレターデーションRe、厚さ方向のレターデーションRthは、フィルムの厚さをd(nm)とした際に、Re=(n−n)×d、Rth=((n+n)/2−n)×dで示される値である。
複屈折性を示すフィルムとしては、熱可塑性樹脂を含有するフィルムを延伸したもの、無延伸の熱可塑性樹脂フィルム上に光学異方性層を形成したもの、熱可塑性樹脂を含有するフィルム上に光学異方性層を形成した後、さらに延伸したもの等を挙げることができる。複屈折性を示すフィルムは、単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよい。
<熱可塑性樹脂を含有するフィルムを延伸したもの>
複屈折性を示すフィルムを得るために用いる熱可塑性樹脂は、前記保護膜を構成する樹脂として例示したものの中から選択することができる。この中でも、透明性、低複屈折性、寸法安定性等に優れること等から、脂環式オレフィンポリマー、セルロースエステルが好ましい。
セルロースエステルとしては、ASTM D−817−96に準じて求めた、アシル基の置換度が2.5〜2.9であるものを好ましく用いることができる。アシル基には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が挙げられる。本発明においてはセルロースアセテートプロピオネートのような置換基の異なるセルロースエステルを混合したものも好ましく用いることができ、中でもアセチル基とプロピオニル基を、アセチル基の置換度をAとしプロピオニル基の置換度をBとした時に、下記式を満足するように含むセルロースエステルが好ましい。
(1)2.5<(A+B)<2.9
(2)1.5<A<2.9
複屈折性を示すフィルムを構成する樹脂には、必要に応じてレターデーション上昇剤を添加することができる。レターデーション上昇剤を樹脂に添加すると延伸によって得られるレターデーションが無添加の状態に比べ高くなる。セルロースエステルにレターデーション上昇剤を添加する場合には、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.2〜5質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.5〜2質量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレターデーション上昇剤を併用してもよい。レターデーション上昇剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましい。レターデーション上昇剤は、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
レターデーション上昇剤としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることが好ましい。なお、本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は、一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は、一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましい。
レターデーション上昇剤が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
前記熱可塑性樹脂を含むフィルムを延伸する方法としては、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔が開かれて縦方向の延伸と同時にガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後にその両端部をクリップ把持してテンターを用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機や、横又は縦方向に左右等速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにして、移動する距離が同じで延伸角度θを固定できるようにした若しくは移動する距離が異なるようにしたテンター延伸機を用いて斜め延伸する方法:が挙げられる
延伸は、保護膜を形成する材料、特に樹脂の中で、ガラス転移温度が最も低い樹脂のガラス転移温度をTgとしたときに、通常Tg〜Tg+20℃の範囲で行うことができる。また、延伸倍率は、通常1.1〜3.0倍の範囲にて、所望の光学特性を得るために調整すればよい。
<無延伸の熱可塑性樹脂フィルム上に光学異方性層を形成したもの>
前記光学異方性層の形成には、高分子化合物や液晶性化合物を用いることができる。これらは、単独で使用してもよいし併用してもよい。
前記高分子化合物としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン等を使用できる。具体的には、特表平8−511812号公報(国際公開番号WO94/24191号公報)、特表2000−511296号公報(国際公開番号WO97/44704号公報)等記載の化合物が挙げられる。
また、前記液晶性化合物としては、棒状液晶でも、ディスコティック液晶でも良く、またそれらが高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。棒状液晶の好ましい例としては、特開2000−304932号公報に記載のものが挙げられる。ディスコティック液晶の好ましい例としては、特開平8−50206号公報に記載のものが挙げられる。
前記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、ポリマー等)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後、配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得ることができる。あるいは、前記光学異方性層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのちUV光の照射等により重合させ、さらに冷却することにより得ることができる。配向状態は使用する液晶のモードに合わせて適宜調整する事ができる。例えば、液晶セルが水平配向モード(IPS)の場合には基材上に実質的に垂直配向している状態が好ましく、液晶セルがベンド配向モード(OCB)、捻れ配向モード(TN)の場合には、厚さ方向で光軸がハイブリッド配向している状態が好ましい。
前記光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、0.7〜5μmであることが最も好ましい。ただし、液晶セルのモードによっては、高い光学的異方性を得るために、厚く(3〜10μm)する場合もある。光学異方性層を形成する方法は、特に限定されず、例えば、前記高分子化合物および/または液晶性化合物を熱可塑性樹脂を含むフィルム等に塗工して塗工膜を製造し、その塗工膜をさらに延伸や収縮させることにより製造できる。
本発明の偏光板は、前述の表示画面用保護フィルム、偏光子、及び保護膜以外に、別途前記複屈折性を示すフィルムを保護膜側に積層したものであってもよい。この場合には、保護膜は光学的に等方であることが好ましく、具体的にはReは10nm以下が好ましく、より好ましくは5nm以下である。Rthはその絶対値が10nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以下である。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、前記偏光板を出射側(視認側)および/または入射側(バックライト側)に備えるものである。液晶表示装置は、通常、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とがこの順に、配置されてなるものである。本発明の液晶表示装置では、出射側の偏光板に、本発明の偏光板を用いる。光源としては、発光ダイオード、冷陰極管、熱陰極管、EL、などが挙げられる。液晶セルは、液晶表示装置に用いられているものならば特に制限されない。例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶セル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶セル、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶セル、IPS(In Plane Switching)型液晶セル、VA(Vertical Alignment)型液晶セル、MVA(Multiple Vertical Alignment型液晶セル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶セルなどを挙げることができる。なお、本発明の液晶表示装置には、さらに、位相差板、輝度向上フィルム、導光板、光拡散板、光拡散シート、集光シート、反射板などを備えていてもよい。
本発明について、実施例および比較例により、より詳細に説明する。なお、部及び%は特に断りが無い限り質量基準である。
実施例および比較例で得た保護フィルムを下記の方法により評価した。
<ハードコート層および低屈折率層の屈折率>
高速分光エリプソメトリ(J.A.Woollam社製、M−2000U)を用い,温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、入射角度55度、60度、及び65度で、波長領域400〜1000nmのスペクトルを測定し、これらの測定結果から算出した。
<各樹脂層の屈折率>
熱可塑性樹脂を単層にて成形し、プリズムカプラ−(Metricon社製、model2010)を用い、温度20±2℃、湿度60±5%の条件下で、波長633nm、407nm、532nmにおける屈折率の値から、Caucyの分散式により、380nm〜780nmの屈折率を算出した。
<引張弾性率>
熱可塑性樹脂をフィルム成形して、1cm×25cmの試験片を切り出し、ASTM882に基づき、引張試験機(東洋ボールドウィン社製、テンシロンUTM−10T−PL)を用いて引張速度25mm/minの条件で測定した。同様の測定を5回行い、その算術平均値を引張弾性率の代表値とした。
<各樹脂層の膜厚>
保護フィルムをエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム(大和工業社製、RUB−2100)を用いてスライスし、走査電子顕微鏡を用いて断面を観察し測定した。
<保護フィルムのヘイズ>
JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計NDH−300A」を用いて測定する。なお、同様の測定を5回行い、その算術平均値をヘイズの代表値とする。
<保護フィルムの透湿度>
40℃、92%RHの環境下に24時間放置する試験条件で、JIS Z 0208に記載のカップ法に準じた方法で測定した。透湿度の単位はg・m−2・day−1である。
<保護フィルムの残留溶剤含有量>
保護フィルムの残留溶剤含有量は、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブの試料容器に保護フィルム50mgを入れた後、その容器を温度200℃で30分間加熱し、容器から出てきた気体を連続的に捕集した。そして、捕集した気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計(TDS−GC−MS)で分析した。
<線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅の測定方法>
前述した方法により、線状凹部の深さ、線状凸部の高さ、およびこれらの幅を測定した。得られた凹部深さ及び凸部高さの最大値、その最大値を示した凹部の幅及び凸部の幅を、そのフィルムの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅とし、以下の基準で評価した。
◎:線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で,且つ幅が800nm以上
○:線状凹部の深さ、または凸部の高さが50nm以下で、且つ幅が800nm未満、又は線状凹部の深さ又は凸部の高さが20nm以上で、且つ幅が500nm以上
×:線状凹部の深さ、または凸部の高さが50nmを超え、且つ幅が500nm未満
<カール性の評価>
保護フィルムを10cm×10cmの大きさに切り出し、水平盤上に置き、試験片のカール状態を観察して次の基準にてカール性を評価した。
◎:全くカールが認められず、良好。
○:殆ど目立たないが、わずかにカールが認められる。
×:明らかにカールが認められ、実用上問題のあるレベル。
<打ち抜き性>
保護フィルムを、直径35mmの円形刃を用いて、裁断機((株)トーコー製、TCM−500A)にて打ち抜きを行ない、下記の基準で打ち抜き性を評価した。
○:端面に割れが生じない。
×:端面に割れが観察される。
<表面硬度>
JIS K5600−5−4を参考にして、JIS S 6006に規定する4Hの試験用鉛筆を45度の角度に傾けた状態で、500gの荷重を掛け、偏光板を構成する保護フィルムの表面(偏光子側とは反対側の面)を5mm程度引っかく試験を行った。この試験を5回実施し、以下の基準で傷の付き具合を判定した。
◎:5回すべてに傷が付かなかった。
○:5回のうち1回分に傷が付いた。
×:5回のうち2回分以上に傷が付いた。
<可撓性試験>
保護フィルムを1cm×5cmに打ち抜いて試験フィルムを得た。得られた試験フィルム3mmφのスチール製の棒に巻きつけ、巻きつけたフィルムが棒のところで割れるか否かをテストした。合計10枚テストを行い、折れなかった回数によって下記指標で可撓性を表した。
○:割れたフィルムが1枚以下
×:割れたフィルムが2枚以上
<干渉縞観察>
暗幕のような光を通さない黒布の上に保護フィルムを置き、三波長蛍光灯(松下電器社製、ナショナル蛍光灯:FL20SS・ENW/18)で照らして、偏光板の表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:干渉縞が見えない。
△:干渉縞がうっすらと見える。
×:干渉縞が目立つ
(高屈折率層(ハードコート層)形成用組成物の調製)
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー30部、ブチルアクリレート40部、イソボロニルメタクリレート30部及び2,2−ジフェニルエタン−1−オン10部をホモジナイザーで混合し、五酸化アンチモン微粒子(平均粒径20nm、水酸基がパイロクロア構造の表面に現れているアンチモン原子に1つの割合で結合している。)の40%メチルイソブチルケトン溶液を、五酸化アンチモン微粒子の質量が高屈折率層形成用組成物全固形分の50質量%を占める割合で混合して、高屈折率層形成用組成物Hを調製した。
(低屈折率層形成用組成物の調製)
テトラメトキシシランのオリゴマー21部、メタノール36部、水2部、及び0.01Nの塩酸水溶液2部を混合し、25℃の高温槽中で2時間撹拌して、重量平均分子量850のシリコーンレジンを得た。次に、中空シリカ微粒子のイソプロパノール分散ゾル(固形分20%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚さ約8nm)を前記シリコーンレジンに加えて、中空シリカ微粒子/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準の質量比で8:2となるようにした。最後に全固形分が1%になるようにメタノールで希釈して低屈折率層形成用組成物Lを調製した。
実施例1
(保護フィルム1の作製)
弾性体粒子を含まないポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率3.3GPa;以下、「PMMA」と記すことがある。)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型一軸押出機に投入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの一方に供給した。
一方、数平均粒径0.4μmの弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率2.8GPa)と、紫外線吸収剤(LA31;旭電化工業製)とを、前記紫外線吸収剤の濃度が3重量%となるように混合して混合物(以下、「R−PMMA1」と記すことがある。)を得た。これを目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型の一軸押出機に導入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの他方に供給した。
そして、溶融状態の弾性体粒子を含まないポリメチルメタクリレート樹脂、紫外線吸収剤と弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂をそれぞれマルチマニホールドダイから260℃で吐出させ、130℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、その後、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、PMMA層(20μm)/R−PMMA1層(40μm)/PMMA層(20μm)の3層構成からなる、幅600mm、厚さ80μmの保護フィルム1を共押出成形により得た。保護フィルム1の透湿度、線状凹凸形状、及びヘイズの評価結果を表1に示した。
(保護フィルム1Aの作成〈反射防止層の付加〉)
保護フィルム1の両面に、高周波発信機(出力0.8KW)を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力を0.055N/mに調整した。
次に、高屈折率層形成用組成物Hを保護フィルム1の片面に、ダイコーターを用いて塗工し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて被膜を得た。この被膜に紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm)して、厚さ6μmの高屈折率層を形成した。高屈折率層の屈折率は1.62、鉛筆硬度は4Hであった。
形成された高屈折率層の上に、低屈折率層形成用組成物Lを、ワイヤーバーコーターを用いて塗工し、1時間放置して乾燥させ、得られた被膜を120Cで10分間、酸素雰囲気下で熱処理し、厚さ100nmの低屈折率層(屈折率1.36)を形成し、反射防止層付きの保護フィルム1Aを得た。
保護フィルム1Aの鉛筆硬度、打ち抜き性、並びにカール性の評価結果を表1に示した。
実施例2
(保護フィルム2及び2Aの作製) 数平均粒径0.4μmの弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率2.8GPa)と、紫外線吸収剤(LA31;旭電化工業製)とを、前記紫外線吸収剤の濃度が5重量%となるように混合して混合物(以下、「R−PMMA1’」と記すことがある。)を得た。
前記R−PMMA1をR−PMMA1’に変更し、各層の厚さをPMMA層(10μm)/R−PMMA1’層(20μm)/PMMA層(10μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、3層構成からなる、幅600mm、厚さ40μmの保護フィルム2を共押出成形により得た。保護フィルム2の透湿度、線状凹凸形状、及びヘイズの評価結果を表1に示した。
この保護フィルム2を用いて実施例1と同様にして反射防止層を付加し、反射防止層付きの保護フィルム2Aを得た。保護フィルム2Aの鉛筆硬度、打ち抜き性、並びにカール性の評価結果を表1に示した。
実施例3
(保護フィルム3及び3Aの作製)
数平均粒径0.2μmの弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率を2.5GPa)と、紫外線吸収剤(LA31;旭電化工業製)とを、前記紫外線吸収剤の濃度が3重量%となるように混合して混合物(以下、「R−PMMA2」と記すことがある。)を得た。
R−PMMA1を、R−PMMA2に変えた以外は、実施例1と同様にして、PMMA層(20μm)/R−PMMA2層(40μm)/PMMA層(20μm)の3層構成からなる、幅600mm、厚さ80μmの保護フィルム3を共押出成形により得た。保護フィルム3の透湿度、線状凹凸形状、及びヘイズの評価結果を表1に示した。
この保護フィルム3を用いて実施例1と同様にして反射防止層を付加し、反射防止層付きの保護フィルム3Aを得た。保護フィルム3Aの鉛筆硬度、打ち抜き性、並びにカール性の評価結果を表1に示した。
比較例1
(保護フィルム4及び4Aの作製)
数平均粒径0.2μmの弾性体粒子を含有するポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率2.3GPa;以下、「R―PMMA3」と記すことがある。)を押出成形し、厚さ80μmの単層フィルム(保護フィルム4)を得た。保護フィルム4の透湿度、線状凹凸形状、及びヘイズの評価結果を表1に示した。この保護フィルム4を用いて実施例1と同様にして反射防止層を付加し、反射防止層付きの保護フィルム4Aを得た。保護フィルム4Aの鉛筆硬度、打ち抜き性、並びにカール性の評価結果を表1に示した。
比較例2
(保護フィルム5及び5Aの作製)
弾性体粒子を含有しないポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率3.3GPa;以下、「PMMA」と記すことがある。)を押出成形し、厚さ80μmの単層フィルム(保護フィルム5)を得た。保護フィルム5の透湿度は41g・m−2・day−1であった。この保護フィルム5を用いて実施例1と同様にして反射防止層を付加し、反射防止層付きの保護フィルム5Aを得た。保護フィルム5Aの鉛筆硬度、打ち抜き性、並びにカール性の評価結果を表1に示した。
比較例3
(保護フィルム6及び6Aの作製)
トリアセチルセルロース(引張弾性率3.8GPa;TAC)を溶液キャスト成形し、厚さ80μmの単層フィルム(保護フィルム6)を得た。保護フィルム6の透湿度、線状凹凸形状、及びヘイズの評価結果を表1に示した。この保護フィルム6を用いて実施例1と同様にして厚さ15μmの高屈折率層と厚さ100nmの低屈折率層からなる反射防止層を付加し、反射防止層付きの保護フィルム6Aを得た。保護フィルム6Aの鉛筆硬度、打ち抜き性、並びにカール性の評価結果を表1に示した。
比較例4
(保護フィルム7及び7Aの作製)
ポリエチエンテレフタレート樹脂(引張弾性率3.0GPa;PET)を押出成形し、厚さ80μmの単層フィルム(保護フィルム7)を得た。保護フィルム7の透湿度、線状凹凸形状、及びヘイズの評価結果を表1に示した。この保護フィルム7を用いて実施例1と同様にして厚さ15μmの高屈折率層と厚さ100nmの低屈折率層からなる反射防止層を付加し、反射防止層付きの保護フィルム7Aを得た。保護フィルム7Aの鉛筆硬度、打ち抜き性、並びにカール性の評価結果を表1に示した。
Figure 2007248795
実施例及び比較例で得た偏光板を下記の方法で評価した。
<可撓性試験>
偏光板を1cm×5cmに打ち抜いて試験フィルムを得た。得られた試験フィルム3mmφのスチール製の棒に巻きつけ、巻きつけたフィルムが棒のところで折れるか否かをテストした。合計10回テストを行い、折れなかった回数によって下記指標で可撓性を表した。
○:割れたフィルム片が1枚以下
×:割れたフィルム片が2枚以上
<光漏れ度>
2枚の試験用偏光板を保護フィルム同士が向かい合うようにしてクロスニコル配置し、図1で示した9箇所の光線透過率を測定し、それら測定値を下記式に代入し、光漏れ度を算出した。
光漏れ度=((T2+T4+T6+T8)/4)/((T1+T3+T5+T7+T9)/5) なお、Txは、測定点(x)における光透過率を表し、(1),(2),(3),(4),(6),(7),(8),及び(9)は端部から10mmの位置を測定点とした。(5)は試験用偏光板の対角線交点を測定点とした。
○:光漏れ度が2以下
×:光漏れ度が2より大きい
<偏光度変化>
偏光板を10インチ四方の大きさに切り出し、ガラス板の片面に、感圧性接着剤を介して、偏光板を構成する一方の保護フィルム(反射防止層が設けられていない保護フィルム)の面がガラス板側になるように貼り合わせ、試験用偏光板を作製した。この試験用偏光板を温度60℃、湿度90%の恒温槽に500時間放置し、試験用偏光板の対角線交点(図1中、(5)の位置)における高温高湿下の放置前後での偏光度の変動幅を測定した。
○:偏光度の変動幅が0.5以下
×:偏光度の変動幅が0.5より大きい
<密着性>
作製した偏光板を温度60℃、湿度90%で300時間放置し、放置後の偏光板端面の界面剥離を目視観察した。
○:剥離なし。
×:端面に剥離が見られる。
(セル側保護膜0の作製)
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの一方の面に、水酸化カリウムの1.5モル/Lイソプロピルアルコール溶液を25mL/m塗布し、25℃で5秒間乾燥した。次いで、流水で10秒間洗浄し、最後に25℃の空気を吹き付けることによりフィルムの表面を乾燥して、トリアセチルセルロースフィルムの一方の表面のみをケン化処理したセル側保護膜0を得た。
(偏光子の作製)
波長380nmにおける屈折率が1.545、波長780nmにおける屈折率が1.521で、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、2.5倍に一軸延伸し、ヨウ素0.2g/L及びヨウ化カリウム60g/Lを含む30℃の水溶液中に240秒間浸漬し、次いでホウ酸70g/L及びヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液に浸漬すると同時に6.0倍に一軸延伸して5分間保持した。最後に、室温で24時間乾燥し、平均厚さ30μmで、偏光度.99.95%の偏光子Pを得た。
(偏光板の作製)
実施例4
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、保護フィルム1の一面および保護フィルム1Aの反射防止層が形成されていない面を偏光子Pに向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板1を得た。
実施例5
保護フィルム1の代わりに保護フィルム2を用い、保護フィルム1Aの代わりに保護フィルム2Aを用いた以外は実施例4と同様にして、偏光板2を作製した。
実施例6
保護フィルム1の代わりに保護フィルム3を用い、保護フィルム1Aの代わりに保護フィルム3Aを用いた以外は実施例4と同様にして、偏光板3を作製した。
実施例7
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、セル側保護膜0のケン化処理が施された面および保護フィルム1Aの反射防止層が形成されていない面を偏光子Pに向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板4を得た。
実施例8
保護フィルム1の代わりに保護フィルム4を用いた以外は実施例4と同様にして、偏光板5を作製した。
比較例5
保護フィルム4を用いて実施例1と同様にして厚さ15μmの高屈折率層と厚さ100nmの低屈折率層からなる反射防止層を付加し、反射防止層付きの保護フィルム4Bを得た。保護フィルム4Bは保護フィルム4Aに比べ表面硬度が高くなったが可撓性が低くなった。保護フィルム1の代わりに保護フィルム4を用い、保護フィルム1Aの代わりに保護フィルム4Bを用いた以外は実施例4と同様にして、偏光板6を作製した。
比較例6
保護フィルム1Aの代わりに保護フィルム5Aを用いた以外は実施例7と同様にして、偏光板7を作製した。
比較例7
保護フィルム1Aの代わりに保護フィルム6Aを用いた以外は実施例7と同様にして、偏光板8を作製した。
Figure 2007248795
実施例及び比較例で得られた液晶表示装置を下記の方法で評価した。
<額縁故障>
組み立てた液晶表示装置を温度60℃、湿度90%の恒温槽に500時間放置し、黒表示における観察者偏光板の放置後の状態を目視にて観察した。
○:偏光板全面にわたり光漏れは見られない
×:偏光板端部に光漏れが見られる
<色むら評価>
作製した液晶表示装置を暗室内で黒表示した表示画面全体を真正面から観察し、以下の指標で評価した。
○:全体的に均一な黒表示になっており、色ムラがない。
×:画面上に色ムラが見られる。
(セル側保護膜1の作製)
脂環式オレフィン系樹脂[日本ゼオン社製、ZEONOR1420R]を押出成形して厚さ100μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸のフィルムを、ロール間でのフロート方式を用いた縦延伸機にて、温度138℃、倍率1.41倍で縦方向に一軸延伸した。次にテンター延伸機にて、温度138℃、倍率1.41倍で横一軸延伸し、セル側保護膜を得た。そして、セル側保護膜の両面に、高周波発信機[春日電機(株)、高周波電源AGI−024、出力0.8KW]を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力が0.055N/mのセル側保護膜1を得た。得られたセル側保護膜1は、波長550nmで測定したReが50nm、Rthが130nmであった。なお、Reは、フィルム面内のレターデーションである。
(セル側保護膜2の作製)
セルロースエステル(アセチル基置換度2.88)30質量部、セルロースエステル(アセチル基置換度2.52)70質量部、トリフェニルフォスフェート 3質量部、メチルフタリルエチルグリコレート 4質量部、チヌビン109(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 3質量部、メチレンクロライド 455質量部、エタノール 36質量部、及び化1に示す構造のレターデーション上昇剤 5質量部を混合し、その混合物を密閉容器に入れ、ゆっくり撹拌しながら60分かけて45℃まで徐々に昇温し溶解させた。容器内を1.2気圧に調整した。この溶液を安積濾紙社製の安積濾紙No.244で濾過した。その濾過液を一晩そのまま放置しドープを得た。
Figure 2007248795
前記ドープをダイからステンレスベルト(流延用支持体)上にドープ温度30℃で流延しウェブを形成した。ステンレスベルトの裏面から25℃の温度の温水を接触させて温度制御されたステンレスベルト上でウェブを1分間乾燥した。次いでステンレスベルトの裏面に15℃の冷水を接触させて15秒間保持した。ウェブをステンレスベルトから剥離した。剥離時のウェブ中の残留溶媒量は50質量%であった。次いでテンター延伸機を用いて剥離したウェブの両端をクリップで掴み、クリップ間隔を巾方向に変化させることで、延伸倍率1.15にウェブを延伸した。その際のウェブ温度は140℃になるように調整して、膜厚60μmのセル側保護膜2を得た。セル側保護膜2の波長550nmで測定したReは50nm、Rthは145nmであった。
(セル側保護膜3の作製)
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの一方の面に、水酸化カリウムの1.5モル/Lイソプロピルアルコール溶液を25mL/m塗布し、25℃で5秒間乾燥した。次いで、流水で10秒間洗浄し、最後に25℃の空気を吹き付けることによりフィルムの表面を乾燥して、トリアセチルセルロースフィルムの一方の表面のみをケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムTを得た。
化2に示す構造の変性ポリビニルアルコール 10質量部、水 371質量部、メタノール 119質量部、及びグルタルアルデヒド 0.5質量部を混合し配向膜塗布液を得た。
トリアセチルセルロースフィルムT(Re=3nm、Rth=45nm)のケン化処理が施された面に、このフィルム上に前記配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m塗布した。60℃の温風で60秒間、さらに100℃の温風で120秒間乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にフィルムの遅相軸方向に平行な方向にラビング処理を施して、配向膜を得た。
Figure 2007248795
次に、化3に示す構造のディスコティック液晶性化合物1.8部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.2部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02部、空気界面側垂直配向剤(含フッ素化合物、I−48)0.0036部、及び配向膜界面側垂直配向剤(オニウム塩、II−23)0.009部をメチルエチルケトン3.9部に溶解して溶液を得、この溶液を#3のワイヤーバーで前記配向膜上に塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、125℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。
Figure 2007248795
次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射しディスコティック液晶化合物を架橋し、光学異方性層を形成した。その後、室温まで放冷した。このようにして、セル側保護膜3を作製した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、セル側保護膜3のReの光入射角度依存性を測定し、予め測定したセルロースアセテートフィルムの寄与分を差し引くことによって、ディスコティック光学異方性層のみの光学特性を算出したところ、Reが130nm、Rthが−65nm、液晶の平均傾斜角は89.9°であり、ディスコティック液晶がフィルム面に対して垂直に配向していることが確認できた。なお遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であった。
(光学補償機能付偏光板の作製)
実施例9
(観察者側偏光板の作製)
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、偏光子Pの一面に、セル側保護膜1の一面をセル側保護膜1の遅相軸と偏光子の吸収軸が垂直になるように貼り合わせ、偏光子Pのもう一方の面に保護フィルム1Aの反射防止層が形成されていない面を向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ観察者側偏光板FP1を得た。
(バックライト側偏光板の作製)
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、偏光子Pの一面に、セル側保護膜1の一面をセル側保護膜1の遅相軸と偏光子の吸収軸が垂直になるように貼り合わせ、偏光子Pのもう一方の面に保護フィルム1の一面を向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせバックライト側偏光板BP1を得た。
(液晶表示装置の作製)
厚さ2.74μm、誘電異方性が正、波長550nmの複屈折率Δn=0.09884、プレチルト角90°のバーチカルアラインメントモードの液晶セルの一面に観察者側偏光板FP1を、セル側保護膜1が液晶パネル側になるように貼り合わせ、もう一方の面にはバックライト側偏光板BP1を、セル側保護膜1が液晶パネル側になるように貼り合わせ液晶表示装置1を得た。
実施例10
セル側保護膜1に代えて、セル側保護膜2を用いた以外は実施例9と同様にして観察者側偏光板FP2を得た。セル側保護膜1に代えて、セル側保護膜2を用いた以外は実施例9と同様にしてバックライト側偏光板BP2を得た。そして、観察者側偏光板FP1に代えて観察者側偏光板FP2を用い、バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP2を用いて実施例9と同様にして液晶表示装置2を得た。
実施例11
セル側保護膜1に代えてセル側保護膜3を用いた以外は実施例9と同様にして観察者側偏光板FP3を得た。セル側保護膜1に代えてセル側保護膜3を用いた以外は実施例9と同様にしてバックライト側偏光板BP3を得た。
そして、バーチカルアラインメントモードの液晶セルを、厚さ2.74μm、誘電異方性が正、波長550nmの複屈折率Δn=0.09884、プレチルト角0°のインプレーンスイッチングモードの液晶セルに変え;観察者側偏光板FP1に代えて観察者側偏光板FP3を用い、観察者側偏光板FP3のセル側保護膜3の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように、且つディスコティック液晶塗布面側が液晶セル側になるように貼り付け;バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP3を用い、液晶セルのもう一方の側にバックライト側偏光板BP3をクロスニコルの配置で貼り付けた以外は実施例9と同様にして液晶表示装置3を得た。
比較例8
保護フィルム1に代えて保護フィルム6を用いた以外は実施例10と同様にして観察者側偏光板FP4を得た。保護フィルム1Aに代えて保護フィルム6Aを用いた以外は実施例10と同様にして観察者側偏光板BP4を得た。そして、観察者側偏光板FP1に代えて観察者側偏光板FP3を用い、バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP4を用いて液晶表示装置4を得た。
Figure 2007248795
偏光度変化及び光漏れの測定点を示す図。
符号の説明
(1)〜(9):測定点

Claims (14)

  1. 熱可塑性アクリル樹脂を主成分として含んでなり、数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子がフィルム厚さ方向中央部に偏在しており、且つ平均厚さが100μm未満である表示画面用保護フィルム。
  2. 熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる層と、その層を挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層が、積層されてなる平均厚さが100μm未満である表示画面用保護フィルム。
  3. 赤外線吸収剤を含む請求項1又は2に記載の表示画面用保護フィルム。
  4. 紫外線吸収剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載の表示画面用保護フィルム。
  5. 透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下である請求項1〜4のいずれかに記載の表示画面用保護フィルム。
  6. 共押出成形で得られた請求項1〜5のいずれかに記載の表示画面用保護フィルム。
  7. 表面の線状凹部の深さ又は線状凸部の高さが50nm以下、幅が500nm以上である、請求項6に記載の表示画面用保護フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の表示画面用保護フィルムを有する表示装置用の前面フィルタ。
  9. 請求項8に記載の前面フィルタを有する表示装置用の前面板。
  10. 請求項9に記載の前面板を備えるプラズマディスプレイパネル。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の表示画面用保護フィルムを有する表示装置。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載の表示画面用保護フィルム、偏光子、及び保護膜からなる偏光板。
  13. 保護膜が複屈折性を示すフィルムである、請求項12に記載の偏光板。
  14. 請求項12又は13に記載の偏光板を出射側に備える液晶表示装置。
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