JP6594915B2 - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、偏光フィルムの製造方法に関するものである。
液晶表示装置は、パソコン、TV、モニター、携帯電話およびPDA(Personal Digital Assistant)等に使用されている。近年では、液晶表示装置の高性能化、薄型化に伴い、液晶表示装置に使用される偏光フィルムに対しても、薄型化が求められている。例えば、熱可塑性樹脂基材の表面に、ポリビニルアルコール系樹脂層が設けられた積層体を、二色性物質による染色および延伸することにより、厚さ10μm以下の薄型偏光フィルムを得ることができる(特許文献1)。
特開2009−098653号公報
上述の二色性物質としては、例えば、ヨウ素が用いられる。偏光フィルム中のヨウ素は、ヨウ素錯体として存在し、ポリビニルアルコール系樹脂の配向に依存して、ヨウ素錯体自身も配向している。このヨウ素錯体が、可視領域の光を吸収することで、偏光フィルムは偏光特性(偏光度)を示すことが知られている。そのため、偏光フィルムの偏光度を向上させる方法としては、ポリビニルアルコール系樹脂の配向性を向上させる方法が考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、優れた偏光特性を有する偏光フィルムが得られる偏光フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、偏光フィルムの製造方法における洗浄工程において、ヨウ素錯体の配向が乱れ、結果的に得られる偏光フィルムの偏光度が低下することがわかった。特に、偏光フィルムの厚さが10μm以下の場合は、偏光フィルムの厚さが10μmを超える場合に比べて、偏光フィルムの表面に存在するヨウ素錯体が増えるので、偏光フィルムの偏光特性への影響を看過できないことが判明した。一方、偏光フィルムの厚さが10μm超える場合には、偏光フィルムが十分な厚さを有するので、洗浄工程における偏光特性の低下は、認識されていなかった。
以下に示す偏光フィルムの製造方法により、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様は、ポリビニルアルコール系樹脂を形成材料とする帯状の樹脂フィルムを長手方向に搬送しながら、樹脂フィルムが二色性物質で染色された偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造方法であって、二色性物質で染色された樹脂フィルムを、第1の架橋剤を含む架橋浴に浸漬し、二色性物質で染色された樹脂フィルムが第1の架橋剤で架橋された架橋フィルムを得る架橋工程と、架橋フィルムを、第2の架橋剤を含む水溶液で洗浄する洗浄工程と、を有し、洗浄工程において、水溶液に含まれる第1の架橋剤および第2の架橋剤の合計が水100質量部に対して0.003質量部以上0.1質量部未満の範囲となるように管理する偏光フィルムの製造方法を提供する。
本発明の一態様は、架橋工程に先立って、帯状の基材フィルムを長手方向に搬送しながら、基材フィルムの一方の面にポリビニルアルコール系樹脂溶液を塗布し、一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を形成材料とする樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、樹脂層形成工程で得られた積層体を長手方向に搬送しながら延伸し、基材フィルムが延伸された延伸基材フィルムと、延伸基材フィルムの一方の面に形成された樹脂フィルムとが積層した積層フィルムを得る積層工程と、を有してもよい。
本発明の一態様において、第2の架橋剤は、ホウ素化合物であることが好ましい。
本発明の一態様において、第1の架橋剤と第2の架橋剤とは同じ化合物であることが好ましい。
本発明の一態様において、二色性物質は、ヨウ素であることが好ましい。
本発明の一態様において、水溶液は、ヨウ化物が含まれることが好ましい。
本発明の一態様において、ヨウ化物は、ヨウ化カリウムであることが好ましい。
本発明の一態様によれば、優れた偏光特性を有する偏光フィルムが得られる偏光フィルムの製造方法が提供される。
本発明の第1実施形態に係る偏光フィルムの製造方法を示すフローチャートである。 本発明の偏光フィルムの製造方法に係る主要な装置の配置例を示す断面模式図である。 本発明の第2実施形態に係る偏光フィルムの製造方法を示すフローチャートである。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る偏光フィルムの製造方法について、図1および図2を参照しながら、適宜符号を用いて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜変更して図示している場合がある。
[偏光フィルムの製造方法]
図1は、本発明の第1実施形態に係る偏光フィルムの製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の偏光フィルムの製造方法は、後述するステップS11およびステップS12を含む架橋工程と、ステップS13を含む洗浄工程と、ステップ14を含む乾燥工程と、を備えている。
ステップS11では、ポリビニルアルコール系樹脂を形成材料とする帯状の樹脂フィルム(以下、樹脂フィルム)を二色性物質で染色する。
次に、ステップS12では、二色性物質で染色された樹脂フィルム(以下、染色フィルム)を、第1の架橋剤を含む架橋浴に浸漬する。このとき、架橋浴中で、樹脂フィルムを長手方向へ延伸する(図示略)。染色フィルムを架橋浴に浸漬することにより、染色フィルムが第1の架橋剤で架橋された架橋フィルムが得られる。
さらに、ステップS13では、第2の架橋剤が含まれる水溶液で、架橋フィルムを洗浄する。ステップS14では、洗浄後の架橋フィルムを乾燥する。
図2は、本実施形態の偏光フィルムの製造方法に係る主要な装置の配置例の一つを示す断面模式図である。図2に示すように、本実施形態は、樹脂フィルム11をニップロール101〜105および搬送ロール111〜119によって長手方向に搬送しながら、樹脂フィルム11が二色性物質で染色された偏光フィルム19を製造する。
樹脂フィルム11が繰出しロール21に巻かれた状態で一方の側から供給される。まず、樹脂フィルム11を、染色槽23に浸漬することにより、染色する(ステップS11)。次に、得られた染色フィルム13を、架橋槽25に浸漬および延伸することにより、架橋フィルム15が得られる(ステップS12)。さらに、架橋フィルム15を、洗浄槽27に浸漬することにより、洗浄する(ステップS13)。洗浄後の架橋フィルム15を、乾燥炉29を通すことにより、乾燥する(ステップS14)。上述の処理により、偏光フィルム19が得られる。
[樹脂フィルム]
図2において、本実施形態に係る樹脂フィルム11の形成材料としては、従来、偏光フィルムに用いられているポリビニルアルコール(以下、PVA)系樹脂であることが好ましい。PVA系樹脂としては、PVA樹脂またはPVA樹脂誘導体が用いられる。
PVA樹脂誘導体としては、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールまたはこれらの変性体が挙げられる。この変性体としては、例えば上述したPVA樹脂誘導体を、エチレン、プロピレン等のオレフィンや、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸のアルキルエステルや、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。
PVA系樹脂の重合度は、1000〜10000が好ましく、1500〜5000がより好ましい。また、PVA系樹脂のケン化度は、85モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましい。
上述した樹脂フィルム11は、可塑剤等の添加剤が含まれていてもよい。可塑剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリオールまたはポリオールの縮合物が挙げられる。樹脂フィルム11中の可塑剤の含有量は、特に制限されないが、20質量%以下が好ましい。
本実施形態において、未延伸の樹脂フィルム11の厚さは、5〜150μmが好ましく、5〜80μmがより好ましく、5〜40μmがさらに好ましい。
[架橋工程]
(染色)
図2において、本実施形態に係る樹脂フィルム11の染色は、樹脂フィルム11に二色性物質を吸着配向させる目的で行われる。具体的には、樹脂フィルム11を、二色性物質が含まれる溶液に浸漬させることで、樹脂フィルム11を二色性物質で染色する。
樹脂フィルム11の染色に用いる二色性物質としては、例えば、ヨウ素や偏光フィルム用色素として公知の二色性色素が挙げられ、ヨウ素が好ましい。
以下、二色性物質としてヨウ素を用いる場合に限定して説明する。本実施形態に係る樹脂フィルム11の染色にはヨウ素溶液が用いられ、ヨウ素水溶液が用いられるのが好ましい。ヨウ素水溶液としては、ヨウ素および溶解助剤としてヨウ化物を溶解させ、ヨウ素イオンを含有させた水溶液が用いられる。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫またはヨウ化チタンが好ましく、ヨウ化カリウムがより好ましい。
ヨウ素溶液中のヨウ素の濃度は、0.01質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.02質量%以上0.4質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上0.38質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以上0.35質量%以下が特に好ましい。一方、ヨウ素溶液中のヨウ化物の濃度は0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.02質量%以上8質量%以下がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂フィルム11の染色において、ヨウ素溶液の温度は、20〜50℃が好ましく、25〜40℃がより好ましい。また、ヨウ素溶液に浸漬する時間は、10〜300秒間が好ましく、20〜240秒間がより好ましい。
(架橋)
図2において、本実施形態に係る染色フィルム13の架橋は、染色フィルム13を耐水化させる目的で行われる。具体的には、第1の架橋剤を含むヨウ化物水溶液(以下、架橋浴)に、染色フィルム13を浸漬させる。
本実施形態において、架橋浴にヨウ化物が含まれることにより、得られる偏光フィルム19の偏光特性を面内で均一とすることができるうえに、偏光フィルム19の色相を調製できる。架橋浴中に含まれるヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫またはヨウ化チタンが好ましく、ヨウ化カリウムがより好ましい。
架橋浴中のヨウ化物の濃度は、4質量%以上が好ましく、4質量%以上12質量%以下がより好ましく、4.5質量%以上11質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
本実施形態において、架橋浴に第1の架橋剤が含まれることにより、PVA系樹脂が架橋される。架橋浴中に含まれる第1の架橋剤としては、ホウ素化合物、グリオキザールまたはグルタルアルデヒドが好ましく、ホウ素化合物がより好ましい。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。
架橋浴中の第1の架橋剤の濃度は、2質量%以上8質量%以下が好ましく、2.5質量%以上7質量%以下がより好ましく、3質量%以上6質量%以下がさらに好ましい。架橋浴中の第1の架橋剤の濃度が2質量%より低いと、得られる偏光フィルム19の耐水性や偏光度が低下するなる傾向がある。一方、架橋浴中の第1の架橋剤の濃度が8質量%より高いと、樹脂フィルム11が延伸されにくくなる傾向がある。
ここで、染色フィルム13が耐水化される機構について、染色フィルム13の形成材料としてPVAを、第1の架橋剤としてホウ酸を用いる場合を例示して説明する。染色フィルム13を架橋浴に浸漬させると、PVAのヒドロキシ基とホウ酸イオンB(OH) のヒドロキシ基とが反応し、水素結合または、無機酸エステル結合が生じる。これにより、これらの結合を含む安定な六員環構造が形成され、架橋される。PVAは、炭素原子1個おきにヒドロキシ基を有し、それぞれのヒドロキシ基が架橋されるため、複数のPVA鎖が結合され、網目状のネットワークが形成される。このように網目状のネットワークが形成されることにより、PVAは水に対して難溶化または不溶化し、染色フィルム13の耐水性が向上すると考えられる。また、網目状のネットワークにより、染色したヨウ素が流出するのを抑え、得られる偏光フィルム19の偏光特性の低下を抑制できる。
(延伸)
図2において、本実施形態に係る染色フィルム13の架橋とともに延伸を行ってもよい。染色フィルム13の架橋とともに延伸を行うことで、PVA系樹脂の配向性とともに二色性物質の配向性が向上するため、得られる偏光フィルム19の偏光特性を向上させることができる。さらに、延伸によりPVA系樹脂の配向性が向上すると、延伸を行わないときに比べて染色フィルム13がより不溶化し、耐水性がさらに向上すると考えられる。
本実施形態に係る染色フィルム13の延伸は、湿式の一軸延伸であることが好ましい。
延伸倍率は、未延伸の樹脂フィルム11を基準に、4〜7倍が好ましく、5〜6.8倍がより好ましく、5.5〜6.5倍がさらに好ましい。延伸倍率が7倍より高いと、染色フィルム13が破断しやすくなる傾向がある。また、延伸倍率が4倍より低いと、得られる偏光フィルム19の偏光特性が低下することがある。染色フィルム13を架橋するとともに延伸することで得られる樹脂フィルム11の厚さは、5〜80μmが好ましい。
本実施形態の架橋工程における延伸倍率が、上述の範囲内であれば、1つの架橋浴中で多段階的に行うこともできる。多段階的な延伸方法としては、例えば、架橋浴中に設けられた複数のピンチロール(ニップロール)対の周速差をつけて延伸を行うロール間延伸またはテンター延伸が挙げられる。
本実施形態に係る染色フィルム13の架橋において、架橋浴の温度は、例えば、30℃以上が好ましく、40〜85℃がより好ましい。また、架橋浴に浸漬する時間は10〜1200秒間が好ましく、30〜600秒間がより好ましい。
[洗浄工程]
図2において、本実施形態の洗浄工程は、上述の工程で使用し、樹脂フィルム11に残された薬剤、例えば、余剰の二色性物質や未反応の第1の架橋剤を低減させる目的で行われる。具体的には、第2の架橋剤を含む水溶液(以下、洗浄浴)に、架橋フィルム15を浸漬させる。
本実施形態の洗浄浴中に含まれる第2の架橋剤としては、架橋浴中に含まれる第1の架橋剤として使用できる化合物と同じ化合物を使用でき、例えば、ホウ素化合物、グリオキザールまたはグルタルアルデヒドが好ましく、ホウ素化合物がより好ましい。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。本実施形態において、第1の架橋剤と第2の架橋剤とは異なっていてもよく、同じであってもよい。
洗浄浴中に含まれる第1の架橋剤および第2の架橋剤の合計の濃度は、架橋浴中の第1の架橋剤の濃度よりも低くなっている。具体的には、洗浄浴中に含まれる第1の架橋剤および第2の架橋剤の合計の濃度は、水100質量部に対して0.003質量部以上が好ましく、0.003質量部以上0.1質量部未満がより好ましく、0.005質量部以上0.1質量部未満がさらに好ましい。洗浄浴中に含まれる第1の架橋剤および第2の架橋剤の合計の濃度が0.003質量部より少ないと、得られる偏光フィルム19の偏光特性が低下する傾向がある。また、洗浄浴中に含まれる第1の架橋剤および第2の架橋剤の合計の濃度が0.1質量部以上であると、架橋フィルム15に残された薬剤の洗浄が不十分になり、得られる偏光フィルム19の表面の汚染の原因となる。
従来の偏光フィルムの製造方法において、洗浄浴には、十分な洗浄効果を得る目的で、イオン交換水または蒸留水等の純水が使用される。しかし、架橋フィルム15を純水の洗浄浴中で洗浄すると、架橋フィルム15に含まれる第1の架橋剤由来の架橋構造から、加水分解により第1の架橋剤が脱離し、第1の架橋剤が溶出しやすくなる。第1の架橋剤が溶出することにより、架橋フィルム15の架橋構造が解消され、この架橋構造の中に取り込まれていた二色性物質が溶出することがある。
また、第1の架橋剤が脱離した後は、ヒドロキシ基が生成する。さらに、架橋フィルム15は、このヒドロキシ基以外にも、架橋工程で架橋されなかった未反応のヒドロキシ基を有するため、架橋フィルム15が純水の洗浄浴中で膨潤または一部溶解することがある。これにより、二色性物質が溶出することがある。
得られる偏光フィルム19の偏光特性は二色性物質の濃度に依存するため、偏光フィルム19の偏光特性が低下すると考えられる。
上述の課題に対して、本実施形態の偏光フィルムの製造方法では、洗浄浴中に第1の架橋剤および第2の架橋剤が上述の濃度範囲で含まれることにより、第1の架橋剤の溶出や、架橋フィルム15の膨潤や溶解を抑え、得られる偏光フィルム19の偏光特性の低下を抑制すると考えられる。
本実施形態の洗浄工程においては、洗浄浴中に、架橋浴に含まれる第1の架橋剤が混入することとなるが、洗浄浴中に含まれる第1の架橋剤および第2の架橋剤の合計の濃度が0.1質量部以上にならないように管理する。例えば、図2に示すニップロール103のニップ圧を調節し、洗浄浴中への第1の架橋剤の混入量を増減させることができる。また、洗浄浴の点検や交換等で未使用の洗浄浴に取り換える際には、洗浄浴中に含まれる第1の架橋剤および第2の架橋剤の合計の濃度が0.003質量部を下回らないように管理する。例えば、未使用の洗浄浴中へ第2の架橋剤を添加し、洗浄浴中の第2の架橋剤の濃度を増加させることもできる。以上の方法により、洗浄浴中に含まれる第1の架橋剤および第2の架橋剤の合計の濃度を上述の範囲内に制御することができる。
また、本実施形態の洗浄工程において、洗浄浴中にはヨウ化物が含まれていることが好ましい。洗浄浴中にヨウ化物が含まれることにより、得られる偏光フィルム19の色相を調製することができる。
洗浄浴中に含まれるヨウ化物としては、架橋浴中に含まれるヨウ化物と同じものを使用でき、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫またはヨウ化チタンが好ましく、ヨウ化カリウムがより好ましい。
洗浄浴中のヨウ化物の濃度は、0.8質量%以上が好ましく、0.8質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.8質量%以上4.5質量%以下がさらに好ましく、0.8質量%以上4.0質量%以下が特に好ましい。
本実施形態の洗浄工程において、洗浄浴の温度は、例えば、15〜60℃がより好ましく、20〜45℃がより好ましい。また、洗浄浴に浸漬する時間は1〜120秒間が好ましく、3〜90秒間がより好ましい。
本実施形態に洗浄工程は、本発明の効果を損なわない範囲において、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを配合した溶液を用いることもできる。上述のような液体アルコールを用いることにより、後の乾燥工程において、架橋フィルム15の乾燥を早めることができる。
[乾燥工程]
図2において、本実施形態の乾燥工程は、洗浄工程後の架橋フィルム15を乾燥させ、所望の含液率の偏光フィルム19を得る目的で行われる。
本実施形態の乾燥工程において、乾燥温度は70℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましく、45℃以下で行うのがさらに好ましい。乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が長くなり、製造効率が低下する。一方、乾燥温度が高すぎると、得られる偏光フィルム19が劣化し、偏光特性および色相が悪化する。また、乾燥時間は10分間以下が好ましく、5分間以下がより好ましい。このようにして、偏光フィルム19が得られる。
本実施形態によれば、優れた偏光特性を有する偏光フィルム19が得られる偏光フィルムの製造方法が提供される。
<偏光板の製造方法>
上述の方法で製造された偏光フィルム19の少なくとも片面に、接着剤を用いて保護フィルムを貼り合わせることにより、偏光フィルム19および保護フィルムの積層された偏光板が形成される。
[保護フィルム]
本実施形態の偏光板の保護フィルムの材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる樹脂がよく、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の非環状オレフィン系樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。
上述の保護フィルムの厚さは、1〜500μmが好ましく、1〜300μmがより好ましく、5〜200μmがさらに好ましく、10〜100μmが特に好ましい。
なお、本実施形態において偏光フィルム19の両側に保護フィルムを設ける場合、その両面で同じ樹脂材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なる樹脂材料からなる保護フィルムを用いてもよい。
[接着剤]
本実施形態の偏光板の接着剤としては、例えば、水系接着剤、紫外硬化型接着剤または電子線硬化型接着剤が好ましく、水系接着剤がより好ましい。水系接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液およびポリビニルアルコール系樹脂の水溶液に一般的な架橋剤を配合した水溶液、ウレタン系エマルジョン接着剤が挙げられる。
また、本実施形態で用いられる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
[偏光板の製造方法]
以下、本実施形態の偏光板について説明する。なお、以下では水系接着剤を使用する場合に関して説明する。
本実施形態の偏光板は、上述の接着剤を用いて、保護フィルムと偏光フィルム19とを貼り合わせることにより製造される。接着剤の塗布は、保護フィルム、偏光フィルム19のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。偏光フィルム19と保護フィルムとを貼り合わせ後、乾燥させることにより、偏光フィルム19と保護フィルムとの間に上述の接着剤からなる接着層が形成される。偏光フィルム19と保護フィルムとの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。接着層の厚さは、特に制限されないが、30〜1000nmが好ましい。なお、乾燥後は、例えば、20〜45℃の温度で養生してもよい。
本実施形態の偏光板は、接着剤との接着性を向上させる目的で、偏光フィルム19または保護フィルムもしくはその両方に、表面処理を行うことができる。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線処理、プライマー処理、ケン化処理、溶剤の塗布および乾燥による溶剤処理が挙げられる。
また、保護フィルムの偏光フィルム19を接着させない面には、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、拡散またはアンチグレアを目的とする処理等を行ってもよい。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係る偏光フィルムの製造方法について、図2および図3を参照して説明する。
[偏光フィルムの製造方法]
図3は、本発明の第2実施形態に係る偏光フィルムの製造方法を示すフローチャートである。図3に示す本発明の第2実施形態の偏光フィルムの製造方法は、図1に示す第1実施形態に係る偏光フィルムの製造方法を示すフローチャートと、ステップS11〜S14が共通している。第1実施形態と第2実施形態とで異なるのは、第1実施形態における架橋工程に先立って、後述するステップS21を含む樹脂層形成工程と、ステップS22を含む積層工程と、ステップS23を含む不溶化工程と、を有することである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
ステップS21では、帯状の基材フィルムを長手方向に搬送しながら、基材フィルムの少なくとも一方の面にPVA系樹脂溶液を塗布し、PVA系樹脂を形成材料とする樹脂層を形成する。
ステップS22では、ステップS21で得られた積層体を長手方向に搬送しながら延伸する。積層体を延伸することにより、延伸基材フィルムと、延伸基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された樹脂フィルム11とが積層した積層フィルム(以下、積層フィルム)が得られる。
ステップS23では、第3の架橋剤を含む不溶化浴に積層フィルムを浸漬する。積層フィルムを不溶化浴に浸漬することにより、延伸基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された樹脂フィルム11が不溶化した積層フィルムが得られる。
[樹脂層形成工程]
本実施形態の積層体は、基材フィルムの少なくとも一方の面に、PVA系樹脂層が形成され、基材フィルムとPVA系樹脂層とが一体化したものである。また、基材フィルムとPVA系樹脂層との間には、両者の密着性を向上させる目的で、プライマー層(下塗り層)等の薄層が形成されていてもよい。
(基材フィルム)
本実施形態の基材フィルムとしては、従来、偏光フィルムの保護フィルムとして用いられているものを用いることができ、基材フィルムの形成材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、シクロ系もしくはノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂またはこれらの混合物が挙げられる。
ここで、熱可塑性樹脂は、高分子が規則正しく配列する結晶状態にあるものと、高分子が規則正しい配列を持たない、もしくはごく一部しか持たない無定形または非晶状態にあるものとに大別できる。これに対応して、結晶状態をつくる性質の熱可塑性樹脂は結晶性樹脂と呼ばれ、そうした性質をもたない熱可塑性樹脂は非晶性樹脂と呼ばれる。一方、結晶性樹脂であるか非晶性樹脂であるかを問わず、結晶状態にない樹脂または結晶状態に至らない樹脂をアモルファスまたは非晶質の樹脂という。ここでは、アモルファスまたは非晶質の樹脂は、結晶状態をつくらない性質の非晶性樹脂と区別して用いられる。
結晶性樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)を含むオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むエステル系樹脂がある。結晶性樹脂の特徴の1つは、一般的に、加熱や延伸配向によって高分子が配列して結晶化が進む性質を有することである。樹脂の物性は、結晶化の程度に応じて様々に変化する。一方で、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような結晶性樹脂でも、加熱処理や延伸配向によって起こる高分子の配列を阻害することによって、結晶化の抑制が可能である。結晶化が抑制されたこれらのポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)を非晶性ポリプロピレン、非晶性ポリエチレンテレフタレートといい、これらをそれぞれ総称して非晶性オレフィン系樹脂、非晶性エステル系樹脂という。
例えば、ポリプロピレン(PP)の場合、立体規則性のないアタクチック構造にすることによって、結晶化を抑制した非晶性ポリプロピレン(PP)を作成できる。また、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)の結晶化を阻害する分子を共重合させることによって、結晶化を抑制した非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)を作成することができる。具体的には、重合モノマーとして、例えば、イソフタル酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合することによって、非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)を作成することができる。
本実施形態において、未延伸の基材フィルムの厚さは、10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましく、30〜200μmがさらに好ましく、50〜150μmが特に好ましい。未延伸の基材フィルムの厚さが上述の範囲内であることにより、基材フィルムの強度および作業性に優れている。
(PVA系樹脂溶液)
本実施形態のPVA系樹脂層は、PVA系樹脂溶液を基材フィルムの少なくとも一方の面に塗布し、乾燥することにより得られる。PVA系樹脂溶液を基材フィルムの両面に塗布し、乾燥させて、PVA系樹脂層を形成してもよい。PVA系樹脂溶液としては、PVA系樹脂水溶液が好ましい。PVA系樹脂水溶液は、PVA系樹脂の粉末、粉砕物または切断物等を水により膨潤させた後、膨潤したPVA系樹脂を加熱撹拌することにより調製できる。PVA系樹脂水溶液中のPVA系樹脂の濃度は2〜20質量%が好ましく、4〜10質量%がより好ましい。
(塗布)
本実施形態において、上述のPVA系樹脂溶液は、従来公知の手法で塗布することができる。PVA系樹脂溶液を塗布する方法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、コンマコート法、リップコート法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。なお、基材フィルムにプライマー層が設けられている場合には、上述の手法でプライマー層に直接PVA系樹脂溶液を塗布することができる。
(乾燥)
PVA系樹脂溶液を塗布後は、オーブンを用いて、積層体を乾燥させる。乾燥温度は、50〜200℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。また、乾燥時間は、5〜30分間が好ましい。
[積層工程]
(延伸)
本実施形態の積層工程で行われる延伸は、上述の積層体から積層フィルムを形成する目的で行われる。さらに、積層体の延伸により、PVA系樹脂の配向性を向上させることで、得られる樹脂フィルム11を不溶化させる目的で行われる。積層工程で行われる延伸は、乾式の一軸延伸であることが好ましい。延伸倍率は、未延伸の積層体を基準に、1.3〜2.2倍が好ましく、1.5〜2.0倍がより好ましく、1.8〜2.0倍がさらに好ましい。延伸倍率が2.2倍より高いと、延伸基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された樹脂フィルム11が破断しやすくなる傾向がある。また、延伸倍率が1.3倍より低いと、得られる偏光フィルム19の偏光特性が低下することがある。
本実施形態の積層工程における延伸倍率が、上述の範囲内であれば、多段階的に行うこともできる。多段階的な延伸方法としては、例えば、複数のピンチロール(ニップロール)対の周速差をつけて延伸を行うロール間延伸、特許第2731813号公報に記載されるような熱ロール延伸またはテンター延伸が挙げられる。
本実施形態の積層工程における延伸温度は、80〜160℃が好ましく、90〜150℃がより好ましく、100〜130℃がさらに好ましい。
[不溶化工程]
本実施形態の不溶化工程は、後の工程において、積層フィルム中の樹脂フィルム11を不溶化させる目的で行われる。不溶化工程は、積層フィルムを、第3の架橋剤を含む溶液(以下、不溶化浴)に浸漬させることにより行われる。不溶化浴に含まれる第3の架橋剤としては、ホウ素化合物、グリオキザールまたはグルタルアルデヒドが好ましく、ホウ素化合物がより好ましい。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸またはホウ砂が好ましく、ホウ酸がより好ましい。本実施形態の不溶化工程で使用される第3の架橋剤は、後の架橋工程で使用される第1の架橋剤と同じものを用いるとよい。不溶化浴の溶媒としては、水または水と有機溶媒との混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
不溶化浴中のホウ素化合物の濃度は、1質量%以上4質量%以下が好ましい。また、不溶化浴の温度は、25℃以上が好ましく、30〜85℃がより好ましく、30〜60℃がさらに好ましい。上述の不溶化浴に浸漬させる時間は、5〜800秒間が好ましく、8〜500秒間がより好ましい。
本実施形態によれば、優れた偏光特性を有する偏光フィルム19が得られる偏光フィルムの製造方法が提供される。また、本実施形態では、厚さ10μm以下の薄型偏光フィルムを製造することが可能である。従来、薄型偏光フィルムの製造方法においては、樹脂フィルム11は、PVA系樹脂溶液を塗布して形成されることから、浴中で溶解されやすいという課題があった。特に、洗浄工程においては、二色性物質の配向が乱れやすく、得られる薄型偏光フィルムの偏光特性が低下しやすかった。これに対し、本実施形態の偏光フィルムの製造方法は、薄型偏光フィルムの製造であっても、洗浄工程で二色性物質の配向が乱れることなく、得られる薄型偏光フィルムの偏光特性の低下をより抑制することができる。
<変形例>
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲において、種々の変更を加えることができる。
例えば図1において、偏光フィルムの製造方法の各ステップには1つの槽がそれぞれ設けられているが、複数の槽が設けられていてもよい。
さらに例えば、上述の実施形態において、樹脂フィルム11の架橋とともに延伸を行うが、樹脂フィルム11の架橋より前に延伸を行ってもよい。樹脂フィルム11の架橋より前に延伸を行う場合には、樹脂フィルム11の染色前または染色とともに延伸を行ってもよいが、樹脂フィルム11の染色とともに延伸を行うことが好ましい。樹脂フィルム11の架橋より前に延伸を行う場合においては、延伸倍率は、4倍以下が好ましく、2.8〜3.8倍がより好ましい。
さらに例えば、上述の実施形態において、各ステップで使用される溶液中(以下、浴中)に金属塩が含まれてもよい。浴中に金属塩が含まれることで、樹脂フィルム11を浴中に浸漬させるときに、樹脂フィルム11中に金属イオンを含有させることができる。樹脂フィルム11中に金属イオンが含まれることで、樹脂フィルム11の色相調製や耐久性向上等の利点があると考えられる。上述の金属塩としては、例えば、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウムまたは亜硫酸カリウムが好ましく、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛がより好ましい。
さらに例えば、第2実施形態において、積層フィルムの不溶化を積層フィルムの染色前に行っているが、これとは独立に、積層フィルムの架橋前にも行ってもよい。積層フィルムの架橋前にも積層フィルムの不溶化を行うことで、積層フィルムに含まれる染色フィルム13の形成材料であるPVA系樹脂が架橋浴中に溶解するのを抑制できる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
基材フィルムとして、厚さ200μmの非晶質ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学株式会社製、「ノバクリアー(登録商標)」)を用意し、90W・min/mの条件で、片面をコロナ処理した。コロナ処理した基材フィルムの表面に、重合度4000、ケン化度99.0モル%以上のPVA樹脂水溶液を塗布した後、65℃で乾燥して、厚さ8.3μmのPVA樹脂層を形成した。
得られた積層体を、オーブンに設けられた延伸装置を用いて、90℃で未延伸の積層体を基準に1.8倍に一軸延伸した。次に、水100質量部に対して、ホウ酸を3質量部配合した水溶液(不溶化浴)を調製した。液温30℃に調節された不溶化浴に、得られた積層フィルムを30秒間浸漬させることにより、不溶化させた。
さらに、水100質量部に対して、ヨウ素を0.18質量部、ヨウ化カリウムを1.26質量部配合したヨウ素水溶液を調製した。液温30℃に調節されたヨウ素水溶液に、不溶化された積層フィルムを13秒間浸漬させることによりヨウ素で染色し、透過率が約42.0%の偏光フィルムを作製した。
さらに、水100質量部に対して、ヨウ化カリウムを3質量部、ホウ酸を3質量部配合した水溶液(架橋浴)を調製した。液温40℃に調節された架橋浴に、ヨウ素で染色された積層フィルムを30秒間浸漬させることにより、架橋させた。
さらに、水100質量部に対して、ホウ酸を4質量部、ヨウ化カリウムを5質量部配合した水溶液を調製した。液温75℃に調節された水溶液に、架橋させた積層フィルムを浸漬させながら、縦方向(長手方向)に一軸延伸することにより、水中延伸した。得られた積層フィルムの最大延伸倍率は未延伸の積層体を基準に5.94倍であった。
さらに、水100質量部に対して、ヨウ化カリウムを4質量部、ホウ酸を0.005質量部配合した水溶液(洗浄浴)を調製した。液温30℃に調節された洗浄浴に、水中延伸させた積層フィルムを5秒浸漬させることにより、洗浄した。洗浄された積層フィルムを、60℃の温風で乾燥させることで、基材フィルムの表面に偏光フィルムを作製した。基材フィルムと一体に延伸された偏光フィルムの厚さは4.5μmであった。
<実施例2〜4、比較例1〜3>
実施例1において、洗浄浴に含まれるホウ酸の濃度を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同条件で偏光フィルムを作製した。
<偏光板の作製>
まず、PVA粉末(株式会社クラレ製、「KL−318」、平均重合度1800)を、95℃の熱水に溶解させ、3質量%PVA樹脂水溶液を調製した。得られたPVA樹脂水溶液に、架橋剤(田岡化学工業株式会社製、「スミレーズレジン(登録商標)650」)を、PVA粉末2質量部に対して1質量部の割合で混合し、接着剤とした。
得られた接着剤を、上述の実施例および比較例で作製した積層フィルム中の偏光フィルムが積層された表面に塗布した。次に、保護フィルムとして、接着面がケン化処理された厚さ40μmのトリアセチルセルロース(TAC)(コニカミノルタ株式会社製、「KC4UY」)を、接着剤が塗布された面に貼り合わせ、ロールラミネーターを用いて圧着した。
圧着後、偏光フィルム、接着剤およびTACと一体になった基材フィルムを剥離することにより、偏光板を作製した。
<評価方法>
実施例および比較例で作製した偏光フィルムの表面に付着した汚れの有無を目視で観察した。また、得られた偏光フィルムの偏光特性として視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度を求めた。なお、視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度は以下の方法で求めた。
[視感度補正単体透過率の測定]
得られた偏光フィルムの視感度補正単体透過率は、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製、V7100)にて測定した。波長380nm〜780nmの範囲においてMD透過率とTD透過率を求め、式(1)に基づいて各波長における単体透過率を算出した。
さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率を求めた。ここで、「MD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルの透過軸を平行にしたときの透過率を示す。また、「TD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルの透過軸を直交にしたときの透過率を示す。
Figure 0006594915
[視感度補正偏光度の測定]
上述のMD透過率とTD透過率から、式(2)に基づいて各波長における偏光度を算出した。さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率を求めた。
Figure 0006594915
表1に実施例および比較例で使用した洗浄浴中の水100質量部に対するホウ酸の濃度を示した。また、表2に実施例および比較例で作製した偏光フィルムの汚れの有無と、偏光特性(視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度)を示した。
Figure 0006594915
本実施例において、洗浄浴中のホウ酸の濃度が本発明で規定した範囲内である場合、汚れ等の欠陥の発生がなく、偏光特性(視感度補正単体透過率および視感度補正偏光度)に優れた偏光フィルムが得られた。具体的には、実施例1〜4の偏光フィルムは、比較例1〜3の偏光フィルムよりも視感度補正単体透過率が同等で、視感度補正偏光度に優れていた。
以上の結果より、本発明が有用であることが確かめられた。
11…ポリビニルアルコール系樹脂を形成材料とする帯状の樹脂フィルム、13…染色
フィルム、15…架橋フィルム、19…偏光フィルム、21…繰出しロール、23…染色
槽、25…架橋槽、27…洗浄槽、29…乾燥炉、101〜105…ニップロール、11
1〜119…搬送ロール

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂を形成材料とする帯状の樹脂フィルムを長手方向に搬送しながら、前記樹脂フィルムが二色性物質で染色された偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造方法であって、
    前記二色性物質で染色された前記樹脂フィルムを、第1の架橋剤を含む架橋浴に浸漬し、前記二色性物質で染色された前記樹脂フィルムが前記第1の架橋剤で架橋された架橋フィルムを得る架橋工程と、
    前記架橋フィルムを、第2の架橋剤を含む水溶液で洗浄する洗浄工程と、を有し、
    前記洗浄工程において、前記水溶液に含まれる前記第1の架橋剤および前記第2の架橋剤の合計が水100質量部に対して0.003質量部以上0.1質量部未満の範囲となるように管理し、
    前記洗浄工程は、前記水溶液に前記架橋フィルムを1〜120秒浸漬させて行う偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記架橋工程に先立って、帯状の基材フィルムを長手方向に搬送しながら、前記基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂溶液を塗布し、前記少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を形成材料とする樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
    前記樹脂層形成工程で得られた積層体を長手方向に搬送しながら延伸し、前記基材フィルムが延伸された延伸基材フィルムと、前記延伸基材フィルムの一方の面に形成された前記樹脂フィルムとが積層した積層フィルムを得る積層工程と、を有する請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記第2の架橋剤は、ホウ素化合物である請求項1または2に記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 前記第1の架橋剤と前記第2の架橋剤とは同じ化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  5. 前記二色性物質は、ヨウ素である請求項1から4のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  6. 前記水溶液は、ヨウ化物が含まれる請求項5に記載の偏光フィルムの製造方法。
  7. 前記ヨウ化物は、ヨウ化カリウムである請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
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