JPH0994823A - 相容化剤およびその製造方法並びに該相容化剤を含有した樹脂複合材およびその製造方法 - Google Patents

相容化剤およびその製造方法並びに該相容化剤を含有した樹脂複合材およびその製造方法

Info

Publication number
JPH0994823A
JPH0994823A JP7254932A JP25493295A JPH0994823A JP H0994823 A JPH0994823 A JP H0994823A JP 7254932 A JP7254932 A JP 7254932A JP 25493295 A JP25493295 A JP 25493295A JP H0994823 A JPH0994823 A JP H0994823A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composite material
resin
compatibilizing
extruder
liquid crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7254932A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3648803B2 (ja
Inventor
Keita Sasaki
圭太 佐々木
Daizaburo Adachi
大三郎 安達
Mitsuharu Kaneko
満晴 金子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP25493295A priority Critical patent/JP3648803B2/ja
Publication of JPH0994823A publication Critical patent/JPH0994823A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3648803B2 publication Critical patent/JP3648803B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 市販の相容化剤に低融点の液晶ポリマーを組
み合わせて反応させることによって生成したものを新た
な相容化剤として用いて樹脂複合材の素材間の接着性を
高め、また、かかる新たな相容化剤を用いて樹脂複合材
を製造する際の工程短縮を図る。 【解決手段】 複合材の各素材にそれぞれ相容する相容
化剤を添加して樹脂複合材を調製する樹脂複合材の製造
方法であって、単一の押出機30の上流側で、上記複合
材の各素材にそれぞれ相容する複数素材からなる相容化
素材を互いに反応させて相容化剤を調製し、押出機の下
流側でこの調製された相容化剤と上記複合材の各素材と
を溶融混練せしめて樹脂複合材を調製することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、樹脂複合材を製
造する際に使用され得る相容化剤およびその製造方法並
びに該相容化剤を含有した樹脂複合材およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マトリックス樹脂に強化材を複合
させて樹脂複合材を製造する場合、両者に相容する相容
化剤を添加することにより、両者間の接着性が向上して
複合化効果が増し、より物性の向上した樹脂複合材が得
られることは、一般に良く知られている。例えば、特開
平6−41444号公報では、熱可塑性樹脂からなるマ
トリックス樹脂と、該マトリックス樹脂の最低成形可能
温度(結晶性のものにあっては融点)よりも高い液晶転
移温度を有する熱可塑性液晶樹脂とを複合化させるに際
して、両樹脂の双方に相容性を有する相容化剤を添加し
た上で、溶融させて押し出すようにしたものが開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な熱可塑性液晶樹脂(LCP)複合材を製造するに際し
て、そのマトリックス樹脂(連続相)として、比較的低
コストで汎用性のあるポリプロピレン(PP)樹脂を採
用した場合、このPPは反応性に乏しく、また、LCP
はLCP以外の樹脂との相容性に乏しいので、市販の相
容化剤のうちで適用し得るものはかなり限られてくる。
【0004】かかる材料系に適用可能なものとしては、
その分子内にPPと相容するPP鎖とLCPと反応し得
る官能基の両方が存在するものが有望であると考えられ
るが、本願発明者の研究によれば、市販の相容化剤で適
用し得ると思われるものは、いずれも熱的安定性が低
く、LCP複合材の調製温度域では熱分解を起こしてし
まうことが分かった。つまり、PPとLCPと市販相容
化剤とを同時に押出機内に投入して材料を調製しようと
すると、狙いとする市販相容化剤とLCPとの反応と、
市販相容化剤の熱分解とが同時に進行してしまうものと
考えられる。
【0005】かかる問題に関して、本願発明者は更に研
究を重ねた結果、上記タイプの市販相容化剤(例えば無
水マレイン酸変性PP)と低融点の液晶ポリマーとを組
み合わせ、両者を前以て反応させて得られたものを新た
な相容化剤とみなして、PP−LCP系に添加すること
により、PPとLCPとの接着性が向上することを見い
だした。
【0006】そこで、この発明は、市販の相容化剤に低
融点の液晶ポリマーを組み合わせて反応させることによ
り、この反応で生成したものを新たな相容化剤として樹
脂複合材の調製時に適用し得ることに着目してなされた
もので、樹脂複合材の素材間の接着性を高め、また、か
かる新たな相容化剤を用いて樹脂複合材を製造する際の
工程短縮を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、本願の請求項
1に係る発明(以下、第1の発明という)は、複合材の各
素材にそれぞれ相容する相容化剤を添加して樹脂複合材
を調製する樹脂複合材の製造方法であって、上記複合材
の各素材にそれぞれ相容する複数素材からなる相容化素
材を互いに反応させて相容化剤を調製し、この調製され
た相容化剤と上記複合材の各素材とを溶融混練せしめて
樹脂複合材を調製することを特徴としたものである。
【0008】また、本願の請求項2に係る発明(以下、
第2の発明という)は、上記第1の発明において、単一
の押出機の上流側で上記相容化素材を互いに反応させて
相容化剤を調製し、上記押出機の下流側でこの調製され
た相容化剤と上記複合材の各素材とを溶融混練せしめて
樹脂複合材を調製することを特徴としたものである。
【0009】更に、本願の請求項3に係る発明(以下、
第3の発明という)は、上記第2の発明において、上記
押出機の上流側と下流側とで調製温度が異なることを特
徴としたものである。
【0010】また、更に、本願の請求項4に係る発明
(以下、第4の発明という)は、上記第3の発明におい
て、上記相容化素材の熱分解温度が上記複合材の各素材
の溶融温度よりも低く、上記押出機の上流側での調製温
度は下流側での調製温度よりも低く設定されていること
を特徴としたものである。
【0011】また、更に、本願の請求項5に係る発明
(以下、第5の発明という)は、上記第2〜第4の発明の
いずれか一において、上流側へは、相容化剤素材ととも
に複合材素材の少なくとも一つが同時に供給されること
を特徴としたものである。
【0012】また、更に、本願の請求項6に係る発明
(以下、第6の発明という)は、上記第5の発明におい
て、上記押出機の上流側での調製温度は下流側での調製
温度よりも低く設定されており、上流側へ同時に供給さ
れる複合材素材は、上流側領域の温度で溶融されること
を特徴としたものである。
【0013】また、更に、本願の請求項7に係る発明
(以下、第7の発明という)は、上記第1〜第6の発明の
いずれか一において、上記相容化素材が無水マレイン酸
変性PPと低融点の液晶ポリマーとを含有してなり、上
記複合材素材がPP樹脂と、該PP樹脂中において繊維
化状態で配向され得る高融点の熱可塑性液晶樹脂とを含
有してなることを特徴としたものである。
【0014】また、本願の請求項8に係る発明(以下、
第8の発明という)は、複合材の各素材にそれぞれ相容
する相容化剤を含有してなる樹脂複合材であって、上記
複合材の各素材にそれぞれ相容する複数素材からなる相
容化素材を互いに反応させて調製した相容化剤を含有す
ることを特徴としたものである。
【0015】更に、本願の請求項9に係る発明(以下、
第9の発明という)は、上記第8の発明において、上記
相容化素材が無水マレイン酸変性PPと低融点の液晶ポ
リマーとを含有してなり、上記複合材素材がPP樹脂
と、該PP樹脂中において繊維化状態で配向され得る高
融点の熱可塑性液晶樹脂とを含有してなることを特徴と
したものである。
【0016】また、本願の請求項10に係る発明(以
下、第10の発明という)は、複合材の各素材にそれぞ
れ相容する相容化剤の製造方法であって、上記複合材の
各素材にそれぞれ相容する複数素材からなる相容化素材
を、押出機内で溶融混練しながら、これら素材間の反応
を生じさせて調製することを特徴としたものである。
【0017】更に、本願の請求項11に係る発明(以
下、第11の発明という)は、上記第10の発明におい
て、上記相容化素材が、無水マレイン酸変性PPと低融
点の液晶ポリマーとを含有してなることを特徴としたも
のである。
【0018】また、本願の請求項12に係る発明(以
下、第12の発明という)は、複合材の各素材にそれぞ
れ相容する相容化剤であって、上記複合材の各素材にそ
れぞれ相容する複数素材からなる相容化素材を含有した
ことを特徴としたものである。
【0019】更に、本願の請求項13に係る発明(以
下、第13の発明という)は、上記第12の発明におい
て、上記相容化素材が無水マレイン酸変性PPと低融点
の液晶ポリマーとを含有してなることを特徴としたもの
である。
【0020】
【発明の作用および効果】本願の第1の発明によれば、
上記複合材の各素材にそれぞれ相容する複数素材からな
る相容化素材を互いに反応させて相容化剤を調製するよ
うにしたので、相容化素材を適切に選ぶことにより、上
記複合材に適した相容化剤を調製することが可能にな
る。そして、この調製された相容化剤と上記複合材の各
素材とを溶融混練せしめて樹脂複合材を調製するように
したので、複合材の各素材間の接着性の向上を図ること
ができる。
【0021】また、本願の第2の発明によれば、基本的
には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができ
る。しかも、その上、単一の押出機の上流側で上記相容
化素材を互いに反応させて相容化剤を調製し、上記押出
機の下流側でこの調製された相容化剤と上記複合材の各
素材とを溶融混練せしめて樹脂複合材を調製するように
したので、相容化剤の調製と樹脂複合材の調製とを一つ
の押出機で(つまり一つの工程で)行うことができ、複
合材の製造工程を短縮することができる。
【0022】更に、本願の第3の発明によれば、基本的
には、上記第2の発明と同様の効果を奏することができ
る。しかも、その上、上記押出機の上流側と下流側とで
調製温度が異なるようにしたので、相容化剤の調製温度
と樹脂複合材の調製温度とが異なる場合にでも、有効に
適用することができる。
【0023】また、更に、本願の第4の発明によれば、
基本的には、上記第3の発明と同様の効果を奏すること
ができる。特に、上記相容化素材の熱分解温度が上記複
合材の各素材の溶融温度よりも低い場合にでも、有効に
適用することができる。
【0024】また、更に、本願の第5の発明によれば、
基本的には、上記第2〜第4の発明のいずれか一と同様
の効果を奏することができる。しかも、その上、上流側
へは、相容化剤素材とともに複合材素材の少なくとも一
つが同時に供給されるので、上流側への材料供給量を容
易に調節することができ、相容化剤の添加割合を少なく
した場合でも、上流側における材料の安定供給限界を簡
単に引き下げることができる。この結果、押出機の運転
条件の設定自由度を高めることができる。
【0025】また、更に、本願の第6の発明によれば、
基本的には、上記第5の発明と同様の効果を奏すること
ができる。しかも、その上、上記押出機の上流側での調
製温度は下流側での調製温度よりも低く設定されてお
り、上流側へ同時に供給される複合材素材は、上流側領
域の温度で溶融されるようにしたので、上流側における
スクリューの回転に伴う機械的抵抗を減少させることが
できる。
【0026】また、更に、本願の第7の発明によれば、
基本的には、上記第1〜第6の発明のいずれか一と同様
の効果を奏することができる。特に、上記相容化素材が
無水マレイン酸変性PPと低融点の液晶ポリマーとを含
有してなり、上記複合材素材がPP樹脂と、該PP樹脂
中において繊維化状態で配向され得る高融点の熱可塑性
液晶樹脂とを含有してなるので、PP樹脂をマトリック
ス樹脂とし、熱可塑性液晶樹脂を強化材とする樹脂複合
材の製造に、有効に適用することができる。
【0027】また、本願の第8の発明によれば、上記複
合材の各素材にそれぞれ相容する複数素材からなる相容
化素材を互いに反応させて調製した相容化剤を含有する
ようにしたので、相容化素材を適切に選ぶことにより、
上記複合材に適した相容化剤を調製することが可能にな
る。従って、この調製された相容化剤を添加することに
より、複合材の各素材間の接着性の向上を図ることがで
きる。
【0028】更に、本願の第9の発明によれば、基本的
には、上記第8の発明と同様の効果を奏することができ
る。特に、上記相容化素材が無水マレイン酸変性PPと
低融点の液晶ポリマーとを含有してなり、上記複合材素
材がPP樹脂と、該PP樹脂中において繊維化状態で配
向され得る高融点の熱可塑性液晶樹脂とを含有してなる
ので、PP樹脂をマトリックス樹脂とし、熱可塑性液晶
樹脂を強化材とする樹脂複合材の製造に、有効に適用す
ることができる。
【0029】また、本願の第10の発明によれば、上記
複合材の各素材にそれぞれ相容する複数素材からなる相
容化素材を、押出機内で溶融混練しながら、これら素材
間の反応を生じさせて調製するようにしたので、相容化
素材を適切に選ぶことにより、上記複合材に適した相容
化剤を調製することが可能になる。従って、この調製さ
れた相容化剤を添加することにより、複合材の各素材間
の接着性の向上を図ることができる。
【0030】更に、本願の第11の発明によれば、基本
的には、上記第10の発明と同様の効果を奏することが
できる。特に、上記相容化素材は、無水マレイン酸変性
PPと低融点の液晶ポリマーとを含有してなるので、P
P樹脂をマトリックス樹脂とし、熱可塑性液晶樹脂を強
化材とする樹脂複合材に対する相容化剤の製造に、有効
に適用することができる。
【0031】また、本願の第12の発明によれば、上記
複合材の各素材にそれぞれ相容する複数素材からなる相
容化素材を含有しているので、相容化素材を適切に選ぶ
ことにより、上記複合材に適した相容化剤を得ることが
可能になる。従って、この相容化剤を添加することによ
り、複合材の各素材間の接着性の向上を図ることができ
る。
【0032】更に、本願の第13の発明によれば、基本
的には、上記第12の発明と同様の効果を奏することが
できる。特に、上記相容化素材が無水マレイン酸変性P
Pと低融点の液晶ポリマーとを含有してなるので、PP
樹脂をマトリックス樹脂とし、熱可塑性液晶樹脂を強化
材とする樹脂複合材に対する相容化剤として有効に適用
することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、熱
可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂と該マトリックス
樹脂の最低成形可能温度(結晶性のものにあっては融
点)よりも高い液晶転移温度を有する熱可塑性液晶樹脂
(LCP)とを複合化させる樹脂複合材の製造に適用し
た場合について、添付図面を参照しながら詳細に説明す
る。まず、相容化剤の原料の選定について説明する。マ
トリックス樹脂として、汎用性が高く、かつ、比較的低
コストのポリプロピレン(PP)樹脂を採用した場合、
このPP樹脂は反応性が低く、また、LCP樹脂はLC
P以外の樹脂とは相容性が低いため、相容化剤として
は、PP樹脂と相容し、かつLCPと反応し得るタイプ
のものが最も有望であり、このためには、分子内に、P
P樹脂と相容するPP鎖とLCPと反応し得る官能基の
両者が存在することが求められる。
【0034】LCPと反応し得る官能基としては、エポ
キシ基,無水マレイン酸基,オキサゾニル基あるいは水
酸基等が挙げられるが、市販の相容化剤の中で、上記の
要求を満たすものとしては、以下のものが考えられる。 ・無水マレイン酸変性PP :日石NポリマーP4201(日本石油化学株式会社
製) ・オキサゾリン酸変性PP :オキサゾリン系反応性ポリマーRAS1005(日本
触媒株式会社製) ・水酸基変性PP :ユーメックス1201(三洋化成株式会社製)
【0035】これら市販の相容化剤は、通常、PP樹脂
に反応性を付与することを目的に添加されるものであ
り、反応活性である。換言すれば、熱的には不安定であ
るので、本実施の形態に係るLCP複合材を調製する際
に添加する相容化剤の原料として適切であるか否かを、
熱的安定性の面から確かめる必要がある。そこで、上記
3種の市販の相容化剤について、熱的安定性を調べる試
験を行った。試験は、各相容化剤を窒素雰囲気下で昇温
させていき、その重量の増減を測定することによって行
った。この熱重量測定に用いた装置および測定条件は、
以下の通りであった。 ・ 熱重量測定装置 : TG/DTA30(セイコー電子工業株式会社製) ・ 測定条件 − 昇温速度:5℃/min. − N2ガス供給条件:100ml/min.
【0036】試験結果は、図1に示す通りであった。
尚、図1において、(a),(b),(c)でそれぞれ
示される曲線は、各々以下のサンプルを示している。 (a):無水マレイン酸変性PP (b):オキサゾリン酸変性PP (c):水酸基変性PP この図1から分かるように、いずれの相容化剤について
も、LCP複合材調製温度(LCP溶融温度以上の温
度)よりも低い温度での重量減少が観察された。また、
3種類の中では、無水マレイン酸変性PPが、重量減少
の大きくなる温度が最も高く、熱的に最も安定であるこ
とが分かった。
【0037】従って、これら相容化剤をそのまま本実施
の形態に係るLCP複合材調製時の相容化剤として添加
すると、相容化剤とLCPとの反応と、相容化剤の熱に
よる分解とが同時に進行することが考えられる。そこ
で、かかる現象を回避するために、市販相容化剤の反応
を複合材調製温度以下の温度で前以て進行させておく方
法が考えられる。この事前の反応の相手材料は、上記市
販の相容化剤と反応可能な分子構造を有し、かつ、溶融
温度が市販相容化剤の分解温度よりも低く、かつ、LC
Pと相容する、という3つの条件を満たす必要がある。
【0038】本実施の形態では、LCP樹脂は他の種類
の樹脂とは相容しにくいので、このLCPとの相容性の
条件から、LCP樹脂を中心に検討し、かつ、溶融温度
の低いものとして、最も低融点の液晶ポリマーの一つで
あるLC3000(溶融温度:195℃/株式会社ユニ
チカ製)を取り上げた。このLC3000は、ポリエス
テル系化合物であるので、無水マレイン酸変性PPと反
応し得る官能基を持つと考えられる。尚、この低融点の
液晶ポリマーと市販の相容化剤が、本願請求項に記載し
た相容化素材に該当する。
【0039】従って、この無水マレイン酸変性PPとL
C3000とを前以て200℃程度で反応させ、これに
より生成したものを新たな相容化剤とみなしてLCP複
合材(PP−LCP系)の調製時に添加することによっ
て、この新たな相容化剤がPPとLCPの双方と相容
し、PPとLCP間の接着性を向上させることが考えら
れる。すなわち、図2および図3において模式的に示す
ように、生成した新たな相容化剤のうち、分子中のLC
3000がLCP相に、分子中のPP鎖がPP相に入り
込むことによって相容性が発現すると考えられる。そこ
で、市販の相容化剤(無水マレイン酸変性PP)と低融
点液晶ポリマー(LC3000)とを原料とし、この両
者を前以て反応させておき、これを相容化剤としてLC
P複合材を調製する実験を行った。
【0040】図4は、本実施の形態に係るLCP複合材
を製造するための製造装置を模式的に表した説明図であ
るが、この図に示すように、上記製造装置は、複合材調
製工程で用いる相容化剤を調製するための第1押出機1
0と、この第1押出機10で得られた相容化剤を添加し
てLCP複合材を調製する第2押出機20とを備えてい
る。これら両押出機10,20は共に2軸タイプのもの
で、基本的には同様の構造を有している。すなわち、中
空円筒状の本体11,21内に2本の回転スクリュー1
2,22を収納して成り、上記本体11,21には各々
二つのホッパ13,23が設けられている。また、具体
的には図示しなかったが、本体11,21には、その内
部を所望の温度に加熱する加熱手段が付設されている。
【0041】そして、この加熱手段によって本体11,
21(バレル)内を所定温度に保った状態で、上記ホッ
パ13,23から(本実施の形態の場合には上流側ホッ
パ13,23から)本体11,21内へ調製材料を投入
して回転スクリュー12,22を所定の回転数で回転さ
せることにより、投入された材料が、可塑化溶融して混
練されながら、本体11,21の下流側端末に設けられ
た押出ノズル14,24から、例えばフィルム状あるい
はストランド状に押し出される。そして、この押し出さ
れた押出物は、ローラ15,25の回転によって引き取
られ、複合材については、押出後に所定の延伸比で延伸
された上で、カッタ16,26により所定長さに切り揃
えられるようになっている。
【0042】本実施の形態では、上述のように、第1押
出機10で相容化剤が調製され、第2押出機20でこの
相容化剤を添加して液晶樹脂複合材が調製されるが、こ
うして得られた複合材の強度を評価する試験を行った。
以下、この強度評価試験について説明する。本試験に用
いた材料および調製条件を以下に示す。尚、本試験で
は、複合材を調製する際の材料配合比を種々(5種類)
変更して、得られたフィルム状の複合材の引張強さを測
定した。
【0043】 材料 ・ 補強相(熱可塑性液晶樹脂:LCP) :ベクトラA950(ポリプラスチックス株式会社製) ・ 連続相(熱可塑性マトリックス樹脂:PP) :住友ノーブレンH501(住友化学工業株式会社製) ・ 相容化剤原料 :無水マレイン酸変性PP(日石NポリマーP420
1:日本石油化学製) :低融点の液晶ポリマー(ロッドランLC3000:ユ
ニチカ製)
【0044】 相容化剤の調製条件 ・ 材料配合比 :無水マレイン酸変性PP/低融点の液晶ポリマー=1
/1 ・ 押出機 :同方向回転2軸混練機(BT-30-S2:プラスチッ
ク工業研究所製) − 径30mm,L/D=36 ・ 押出機運転条件 − バレル温度:200℃ − 剪断速度:700/sec. − スクリュー回転数:150rpm − ダイ径:2mm − 以上の条件で、押出機先端に取り付けたダイを用い
てストランド状の押出物を押し出し、ダイ出口から50
〜100mmに位置した水浴で冷却した。
【0045】 複合材(フィルム)の調製条件 ・ 材料配合比 ・ 押出機 :同方向回転2軸混練機(BT-30-S2:プラスチッ
ク工業研究所製) − 径30mm,L/D=36 ・ 押出機運転条件 − バレル温度:290℃ − 剪断速度:4000/sec. − スクリュー回転数:150rpm − 延伸比:10〜13 − ダイ:100mm×0.3mmのフィルムダイ − 以上の条件で、押出機先端に取り付けたダイを用い
てフィルム状の押出物を押し出し、ダイ出口から50〜
100mmに位置した水浴で冷却した。
【0046】以上のような試験条件で、複合材を調製す
る際の相容化剤の添加量を変えて、得られたフィルム状
複合材の引張強さを、その繊維方向と繊維直角方向とに
ついて測定した。測定装置および測定条件は、以下の通
りであった。また、その測定結果を図5に示す。 ・測定装置 万能試験機(オートグラフDSS−5000:株式会社
島津製作所製) ・測定条件 引張速度:5mm/min.
【0047】一般に、長繊維で補強された複合材の場
合、繊維直角方向の強度は補強相と連続相との接着力に
のみ依存し、繊維方向の強度は、接着の効果も現れる
が、主として補強相の強度に依存することが知られてい
る。図から、相容化剤の添加量が増えるにつれて、繊維
直角方向の強度の向上、つまり接着力の向上が認めら
れ、相容化剤が補強相と連続相との接着力の向上に寄与
していることが確認された。
【0048】一方、繊維方向の強度についての試験結果
から、LCP複合材に相容化剤を添加した場合に特有の
現象が見られた。すなわち、LCP複合材の場合、相容
化剤が補強相の分散粒子化を促進することが知られてお
り、本試験においても、相容化剤の添加量が多くなる
と、分散粒子化によって補強相のアスペクト比が下が
り、複合材の繊維方向における強度は低下した。尚、こ
の補強相の分散粒子化現象が生じていることは、フィル
ム状複合材の目視観察からも確認できた。以上より、L
CP複合材の調製に相容化剤を添加する場合、接着性向
上と補強相の分散粒子化という2通りの作用があり、こ
の両作用がバランスされたポイントで複合材の強度が最
大になると言える。
【0049】上記のLCP複合材の調製において、新た
な相容化剤によるPPとLCPとの間の接着性向上のメ
カニズムは、それぞれの物質を、次の関係で連結すると
いうものである。PP<相容>無水マレイン酸変性PP<<
反応>>低融点液晶ポリマー<相容>LCPこの連結関係の
うち、以下の関係については、図6および図7に示すよ
うに、PPと無水マレイン酸変性PPおよび低融点液晶
ポリマーとLCPの分子骨格が、それぞれ類似している
ので、十分に相容性があると考えられる。 ・ PP<相容>無水マレイン酸変性PP ・ 低融点液晶ポリマー<相容>LCP しかしながら、残りの無水マレイン酸変性PP<<反応>>
低融点液晶ポリマーの関係については、その反応性を確
かめておく必要がある。
【0050】そこで、無水マレイン酸変性PP(日石N
ポリマーP4201)と低融点液晶ポリマー(上記ロッ
ドランLC3000)との反応性を確認する試験を行っ
た。次に、この試験について説明する。試験は、低融点
液晶ポリマーと無水マレイン酸変性PPとを混練したも
のをサンプルAとし、低融点液晶ポリマーと反応活性の
点を持たないPP樹脂(住友ノーブレンH501)を混
練したものをサンプルBとし、この2種類のフィルム材
料を調製し、それらの動的粘弾性を測定して比較した。
【0051】サンプルの調製条件は、以下の通りであっ
た。 ・ 材料配合比 −サンプルA:無水マレイン酸変性PP/低融点の液晶
ポリマー=1/1 −サンプルB:PP樹脂/低融点の液晶ポリマー=1/
1 ・ 押出機 :同方向回転2軸混練機(BT-30-S2:プラスチッ
ク工業研究所製) − 径30mm,L/D=36 ・ 押出機運転条件 − バレル温度:200℃ − 剪断速度:4000/sec. − スクリュー回転数:150rpm − 延伸比:7〜8
【0052】測定装置および測定条件は、以下の通りで
あった。 ・測定装置 :動的粘弾性測定装置(DMS2000テ
ンションモジュール・MASS700マテリアルアナリ
シスステーション:セイコー電子工業株式会社製) ・ 測定条件 − 昇温速度:5℃/min. − 印加周波数:2Hz
【0053】各サンプルについての動的粘弾性の測定結
果を図8および図9に示す。図8において、(a),
(b),(c)でそれぞれ示される曲線は、各々以下の
サンプルを示している。 (a):低融点の液晶ポリマー (b):サンプルA (c):無水マレイン酸変性PP また、図9において、(a),(b),(c)でそれぞ
れ示される曲線は、各々以下のサンプルを示している。 (a):低融点の液晶ポリマー (b):サンプルB (c):PP
【0054】図8から分かるように、サンプルAについ
て、tanδ(損失係数)のピーク位置の温度的なシフ
トが観察された。このシフトは、低融点の液晶ポリマー
と無水マレイン酸変性PPとの間の部分的な相容を意味
するものであるが、両者の分子骨格の違いからは、両者
が単純に相容するとは考え難い。低融点の液晶ポリマー
と無水マレイン酸変性PPとの間で反応が生じ、図10
に示すように、1つの分子内に両者の構造を有する化合
物が生成され、それが相容化剤として作用したと考える
のが妥当である。一方、サンプルBについては、上記の
ようなtanδのピーク位置のシフトは認められなかっ
た。
【0055】従って、サンプルA,B間のシフトの差
は、無水マレイン酸変性PPとPPの反応性の差に起因
すると考えられる。つまり、サンプルAで認められたピ
ーク位置のシフトは、低融点の液晶ポリマーと無水マレ
イン酸変性PPとの反応を示唆するものである。以上よ
り、PP,LCP間の接着性の向上は、前述のメカニズ
ムが作用した結果、発現したものであると考えることが
できる。
【0056】無水マレイン酸変性PPと低融点の液晶ポ
リマー(LC3000)とを反応させたものを相容化剤
として添加することによって、LCP複合材におけるL
CPとPPとの間の接着性が向上することが確認された
が、ここで、PP/LCP間の相容性は。相容化剤分子
の分子構造に左右されると考えられ、なかでも、相容化
剤分子中のLC3000/PP鎖の比率に最適値が存在
すると考えられる。LC3000/PP鎖の比率が異な
る相容化剤を得るために、市販の無水マレイン酸変性P
Pの中から、無水マレイン酸変性量の異なるものを、以
下の3種類選んだ。 ・QB540(アドマーQB540:三井石油化学株式
会社製) ・P4201(日石NポリマーP4201:日本石油化
学株式会社製) ・9000M(日石NポリマーP9000M:日本石油
化学株式会社製)
【0057】上記3種の無水マレイン酸変性PPのIR
スペクトルを図11に示す。尚、この図11において、
(a),(b),(c),(d)でそれぞれ示される線
図は、各々以下のサンプルを示している。 (a):9000M (b):P4201 (c):QB540 (d):H501
【0058】上記図11において、PP鎖に帰属される
シグナルと無水マレイン酸のカルボニル基に帰属される
シグナルの比から、変性量が推定できる。これを変性量
の少ないものから順に並べると、以下のようになる。 QB540<P4201<9000M 尚、この赤外線吸収スペクトルの測定は、BIO−RA
D社製の赤外吸光度測定装置(FTS−60)を用い、
顕微透過法によって行った。また、無水マレイン酸変性
PPは、一般に、変性量が増えると分子量が低下すると
いわれている。従って、上記3種類の無水マレイン酸変
性PPの構造を模式的に描くと図12のように示され
る。
【0059】上記3種類の無水マレイン酸変性PPをそ
れぞれ低融点の液晶ポリマー(LC3000)と反応さ
せることにより、分子中のLC3000/PP鎖の比率
の異なる3種類の相容化剤が得られる。これら相容化剤
の構造を模式的に描くと図13のように示される。これ
らの相容化剤のうち、PP鎖が短いものほどPPと相容
しにくくなり、また、分子中のLC3000の比率が高
くなるほどLCPとの相容性が良くなると考えられる。
従って、PPとの相容性に関しては、(LC3000/
QB540)>(LC3000/P4201)>(LC
3000/9000M)であり、また、LCPとの相容
性に関しては、(LC3000/QB540)<(LC
3000/P4201)<(LC3000/9000
M)であると考えられる。
【0060】上述のように、無水マレイン酸変性PPと
低融点の液晶ポリマー(LC3000)とを溶融混練し
て反応させることによって相容化剤が得られるのである
が、この溶融混練の際、無水マレイン酸変性PPの変性
量によって最適な材料混合比があると考えられる。すな
わち、LC3000が不足している場合では、未反応の
無水マレイン酸変性PPが残存し、LC3000が過剰
な場合には、相容化剤の濃度が薄められてしまうため、
相容化剤の効果が低下する。そして、無水マレイン酸変
性PPの変性量が増えるほど、より多量のLC3000
と反応できるため、最適な混合比は高くなると考えられ
る。
【0061】そこで、無水マレイン酸変性PPと低融点
の液晶ポリマー(LC3000)の最適混合比を求める
試験を行った。この試験は、無水マレイン酸変性PPと
して、QB540とP4201とを用いた場合の射出成
形品の強度と混合比との関係を調べて行った。試験条件
を以下に示す。 相容化剤の調製条件 ・ 材料配合比 :LC3000/QB540=1/9,3/7,5/
5,7/3 :LC3000/P4201=1/9,3/7,5/
5,7/3,9/1 ・ 押出機 :同方向回転2軸混練機(BT-30-S2:プラスチッ
ク工業研究所製) − 径30mm,L/D=36 ・ 押出機運転条件 − バレル温度:200℃ − 剪断速度:600/sec. − スクリュー回転数:150rpm
【0062】 複合材の調製条件 ・ 材料配合比 :H501/A950/相容化剤=70/30/10 ・ 押出機 :同方向回転2軸混練機(BT-30-S2:プラスチッ
ク工業研究所製) − 径30mm,L/D=36 ・ 押出機運転条件 − バレル温度:300℃ − 剪断速度:2800/sec. − スクリュー回転数:150rpm − 延伸比:4〜6
【0063】 成形条件(射出成形) ・ 成形機 :射出成形機(IS−220EN−5Y:東芝機械株式
会社製) ・ 成形機運転条件 − バレル温度:180℃ − スクリュー形状:DBY − スクリュー回転数:10〜12rpm − 背圧:2kgf/cm2 − 射出圧:99% − 射出速度:30% − 型温:50℃
【0064】試験結果を図14に示す。このグラフにお
いて、黒丸(●)印および白丸(○)印は、それぞれ以
下のデータを示している。 ●:LC3000/(LC3000+QB540) ○:LC3000/(LC3000+P4201) 両データは共に、上に凸のなだらかなカーブを描き、そ
の頂点は、それぞれ、0.3(QB540),0.5(P
4201)のときであった。従って、最適混合比は、以
下のように定めた。 LC3000/QB540=3/7 LC3000/P4201=5/5 尚、9000Mについては、材料形状が粉状であり、混
合比の正確な制御が難しいので、上述の試験は行わなか
ったが、無水マレイン酸変性量から推定すると、混合比
の最適値はP4201の場合よりもやや高いと考えられ
る。以下においては、LC3000/9000M=3/
1に設定したものを、相容化剤として用いるようにし
た。
【0065】LCP複合材に相容化剤を添加すると、射
出成形品の強度は、添加量の増加に伴って一旦上昇し、
最大値を経た後は徐々に低下して行く。この現象は、上
述したように、相容化剤が複合材に及ぼす2通りの作用
(接着性の向上と分散粒子化)のバランスによるもので
ある。そして、相容化剤添加量と成形品強度との関係に
おいて、相容化剤の性能が優れているほど、最適添加量
は小さくなる(少なくて済む)と考えられる。また、相
容化剤の性能は、PPとの相容性とLCPとの相容性と
のバランスによって定まるため、各々との相容性が異な
る相容化剤を添加した場合、その度合いによって最適添
加量が異なると考えられる。
【0066】次に、相容化剤の最適添加量を調べる試験
について説明する。この試験は、以下の相容化剤を用
い、それぞれの添加量を変えた場合の射出成形品の引張
強度を測定して行った。 ・LC3000/QB540=3/7 ・LC3000/P4201=5/5 ・LC3000/9000M=3/1 試験条件を以下に示す。 材料 ・ 補強相(LCP):ベクトラA950 ・ 連続相(PP) :H501 ・ 相容化剤原料 :低融点の液晶ポリマー(LC3000) :無水マレイン酸変性PP(P4201)/(9000
M)/(QB540)
【0067】 相容化剤の調製条件 ・材料配合 :LC3000/QB540=3/7 LC3000/P4201=5/5 LC3000/9000M=3/1 ・ 押出機 :同方向回転2軸混練機(BT-30-S2:プラスチッ
ク工業研究所製) − 径30mm,L/D=36 ・ 押出機運転条件 − バレル温度:200℃ − 剪断速度:600/sec. − スクリュー回転数:150rpm − ダイ径:2mm − 以上の条件で、押出機先端に取り付けたダイを用い
てストランド状の押出物を押し出し、ダイ出口から50
〜100mmに位置した水浴で冷却した。
【0068】 複合材(ストランド)の調製条件 ・材料配合 :H501/A950/相容化剤=70/30/0 70/30/2.5 70/30/5 70/30/10 70/30/20 70/30/40 ・ 押出機 :同方向回転2軸混練機(BT-30-S2:プラスチック工業研究所製) − 径30mm,L/D=36 ・ 押出機運転条件 − バレル温度:290℃ − 剪断速度:2800/sec. − スクリュー回転数:150rpm − 延伸比:4〜6 − ダイ径:2mm − 以上の条件で、押出機先端に取り付けたダイを用いてストランド状の押 出物を押し出し、ダイ出口から50〜100mmに位置した水浴で冷却し た。
【0069】 成形条件(射出成形) ・ 成形機 :射出成形機(IS−220EN−5Y:東芝機械株式
会社製) ・ 成形機運転条件 − バレル温度:180℃ − スクリュー形状:DBY − スクリュー回転数:10〜12rpm − 背圧:2kgf/cm2 − 射出圧:99% − 射出速度:30% − 型温:50℃
【0070】以上のような試験条件で、複合材を調製す
る際の相容化剤の添加量を変えて、得られたストランド
状複合材の引張強さを測定した。測定装置および測定条
件は、以下の通りであった。また、その測定結果を図1
5に示す。 ・測定装置 万能試験機(オートグラフDSS−5000:株式会社
島津製作所製) ・測定条件 引張速度:5mm/min.(ストランド),20mm
/min.(成形品)
【0071】どの相容化剤を用いた場合でも、射出成形
品の強度は、添加量の増加に伴って一旦上昇し、最大値
を経た後は徐々に低下して行く現象を示しており、射出
成形品の強度に対して狙い通りに相容化剤としての機能
を果たしていると考えられる。表1に、各相容化剤の最
適添加量と、そのときの射出成形品の強度を示した。射
出成形品強度の最高値は、無水マレイン酸変性PPとし
てP4201を用い、低融点の液晶ポリマーと1/1の
割合で混合したものを、複合材に10[phr]添加し
たという条件の下で、76[MPa]であり、相容化剤
の添加によって成形品強度が約1.6倍に向上した。
【0072】
【表1】
【0073】また、表1において、LC3000−QB
540とLC3000−P4201とを比較すると、後
者の方が、より少ない量で、成形品強度がより高い複合
材が得られることが分かる。一方、このLC3000−
P4201とLC3000−9000Mとを比較する
と、後者の方が、最適添加量が少ないにもかかわらず、
成形品強度は低かった。これは、上述の混合比の最適化
が十分でなかったことに起因していると推察することが
できる。従って、相容化剤の性能としては、次の順であ
ると考えられる。LC3000-9000M>LC300
0-P4201>LC3000-QB540ここで、LC
3000−9000Mは、上記3種類の相容化剤のうち
で、最もPPとの相容性に劣る相容化剤である。上記の
試験結果と併せて考えると、3種類ともにPPとの相容
性は十分であり、この3種類の相容化剤の性能を最も大
きく左右するのは、LCPとの相容性(相容化剤分子中
のLC3000の量)であると考えられる。
【0074】尚、一般に、長繊維で補強された複合材を
射出成形すると、相間の接着力が十分な場合であって
も、繊維状補強相の配向の乱れや該補強相の短繊維化な
どの影響により、強度が低下することが知られている。
そして、相間の接着が十分であると仮定した場合、成形
品の強度は、次の式で表すことができるとされている。 射出成形品=(配向の影響)*(短繊維化による影響) *長繊維で補強された複合材 この(配向の影響)*(短繊維化による影響)の値は、
種々バラツキはあるが、一般に、0.3〜0.5の範囲で
ある。今回調査したLCP複合材の場合、成形品強度が
最大のときで74[MPa]、成形前のストランドの強
度は144[MPa]であった。従って、成形によって
強度は約半分(0.51)に低下したことになる。この
0.51という係数は、「相間が十分に接着している」
という仮定に基づく値の上限値と同等であるので、上記
相容化剤は、この材料系に対して、十分な接着力を与え
ていると考えることができる。
【0075】低融点の液晶ポリマーと無水マレイン酸変
性PPとを反応させ生成された相容化剤を用いて複合材
を製造する場合、相容化剤と複合材とで調製温度が異な
るため、通常であれば工程を分ける必要がある。ところ
が、押出機は一般に上流側と下流側とで設定温度を変え
ることができ、この機能を利用することにより、相容化
剤の調製と複合材の調製とを一つの工程で行うようにす
ることができる。以下、この相容化剤と複合材とを一工
程で調製するようにした、本発明の他の実施の形態に係
る製造方法について説明する。 図16に示すように、
この製造方法に適用される押出機30は、前述の製造方
法で用いられたものと同一の構造を備えている。
【0076】すなわち、上記押出機3は、中空円筒状の
本体31内に2本の回転スクリュー32を収納して成
り、上記本体31には各々二つのホッパ33A,33B
が設けられている。また、具体的には図示しなかった
が、本体31には、その内部を所望の温度に加熱する加
熱手段が付設されている。尚、この加熱手段は、上流側
と下流側とを別々に温度設定できるように構成されてい
る。そして、この加熱手段によって本体31(バレル)
内を所定温度に保った状態で、上記ホッパ33A,33
Bから本体31内へそれぞれ調製材料を投入して回転ス
クリュー32,32を所定の回転数で回転させることに
より、投入された材料が、可塑化溶融して混練されなが
ら、本体31の下流側端末に設けられた押出ノズル34
から、例えばフィルム状あるいはストランド状に押し出
される。そして、この押し出された押出物は、ローラ3
5の回転によって引き取られ、所定の延伸比で延伸され
た上で、カッタ36により所定長さに切り揃えられるよ
うになっている。
【0077】本実施の形態では、上流側(上流側ホッパ
33Aと下流側ホッパ33Bの間の領域:相容化剤調製
領域)のバレル温度を相容化剤の調製温度に設定する一
方、下流側(下流側ホッパ33Bと押出ノズル34の間
の領域:複合材調製領域)のバレル温度をLCP複合材
の調製温度に設定した上で、上流側ホッパ33A(メイ
ンフィーダ)から相容化剤の原料を投入し、下流側ホッ
パ33B(サイドフィーダ)からLCP複合材の原料お
よび相容化剤を投入するようにしている。
【0078】上記の製造方法を適用する場合、相容化剤
調製工程においては、相容化剤原料間の反応を良好に進
行させるためには、相容化剤調製領域の長さを一定とし
た場合、材料供給速度Vaをある上限値以下に抑制する
必要がある。また、複合材調製工程においては、複合材
の強度を高めるためには、一定量以上の剪断および延伸
を加える必要がある。この剪断および延伸は、押出機3
0のダイ出口径d,ペレタイザー(ローラ35)の引き
取り速度k,材料供給速度Va,Vbを用いて、以下の
式で表される。 剪断=(32/π)・(1/d3)・(Va+Vb) …<式1> 延伸=(π/4)・d2・k・1/(Va+Vb) …<式2> ここで、押出機30のダイ出口径dおよびペレタイザー
の引き取り速度kが、装置30によって定まると、複合
材に必要な剪断から(Va+Vb)の下限値が、また、
複合材に必要な延伸から(Va+Vb)の上限値が、そ
れぞれ決まることになる。
【0079】更に、相容化剤調製工程および複合材調製
工程の両方に関係する制約として、複合材に対する相容
化剤の添加割合があり、それに応じて、Va/Vbの値
が定まる。なお、一般には、Va/Vbは0.1以下の
値が用いられる。また、更に、上述の材料特性による制
約とは別に、装置10に起因する制約として、ブローア
ップ及びフィーダの供給能力がある。ブローアップと
は、フィーダから落下した材料がスクリューに噛み込ま
ず、材料供給孔に堆積する現象を言い、スクリュー形状
と材料供給速度Va,Vbによって回避することが可能
である。フィーダの供給能力のうち、材料供給速度V
a,Vbの上限を規制するものに、モータ回転数による
供給能力の限界があり、一方、下限を規制するものに、
モータ低回転域に見られる材料の安定供給限界がある。
【0080】材料供給速度Va,Vbに対する以上の制
約条件をまとめると、下記のようになる。 上流側(相容化剤調製工程)での材料供給速度Va ・上限:延伸/ブローアップ/フィーダ供給能力 ・下限:剪断/フィーダ安定供給限界 下流側(複合材調製工程)での材料供給速度Vb ・上限:反応時間/ブローアップ/フィーダ供給能力 ・下限:フィーダ安定供給限界 従って、本実施の形態に係る製造方法を適用する場合に
は、この材料供給速度Va,Vbを適正に定めて行う必
要がある。
【0081】以上の検討結果を、実機(押出機30)を
用いて次のようにして検証した。この検証の条件は以下
のように設定した。 材料 ・ 補強相(LCP):ベクトラA950 ・ 連続相(PP) :住友ノーブレンH501 ・ 相容化剤原料 :無水マレイン酸変性PP(日石NポリマーP4201) :低融点の液晶ポリマー(ロッドランLC3000) 配合比 上記材料の配合比は、射出成形品の強度が最大値を示す
配合比(図15参照)に設定した。 ・ 相容化剤:低融点の液晶ポリマー/無水マレイン酸
変性PP=1/1 ・ 複合材:PP/LCP/相容化剤=70/30/1
【0082】上記の配合比で調製を行う場合、複合材調
製工程での材料供給速度Vbは、相容化剤調製工程での
材料供給速度Vaに対して10倍必要であるので、Vb
の値は高い方が好ましい。従って、まず、Vbの上限値
を求めた。Vbの上限値の制約条件のうち、材料特性に
起因する制約である「延伸」は、引き取り速度(Dra
w ratio)kを装置の最大値に設定した場合、上
記<式1>及び<式2>に基づいて、剪断およびダイ径
dと図18に示すような関係にある。また、Vbは、ダ
イ径dが大きいほど、高く設定できる。そして、複合材
が強度を発現できる条件として、剪断>1800/s,
延伸>12を仮定して設定し、複合材の調製条件を、ダ
イ径=2mm,剪断=1800/s,延伸=12に仮設
定した。
【0083】続いて、この仮設定条件が残りの条件を満
たすか否かを検証した。複合材調製工程における装置に
起因する制約は、実際に材料を投入し、その条件で材料
投入が可能であることを確認した。相容化剤調製工程に
おける下限である「フィーダ安定供給限界」は、押出機
に、着色粒状の所謂カラーマスタと無色のPPペレット
とを混ぜ合わせたものを投入し、仮設定条件から導いた
材料供給速度Vaで流すという手法で確認した。相容化
剤調製工程後の材料の色が均一であったことから、設定
したVaで材料が安定して供給されていることが分かっ
た。
【0084】また、相容化剤調製工程における上限であ
る「相容化剤反応時間」については、材料が相容化剤調
製領域を通過する時間を、カラーマスタを用いて測定す
ることによって確認した。その結果、上記仮設定から導
いた材料供給速度Vaでの通過時間は、射出成形品の強
度が最大値を示す試験条件における場合よりも長いこと
が分かった。従って、仮設定の条件で、相容化剤の反応
は十分に進行すると言える。以上より、上記の仮設定条
件は、Va,Vbの制約条件を全て満たしていると考え
られる。従って、押出機の上流側で相容化剤を調製し、
下流側で複合材を調製するプロセスの検証条件として
は、上記仮設定条件を用いる。
【0085】次に、上記プロセスにより製造した複合材
の強度を評価する試験を行った。試験条件を以下に示
す。 ・ 押出機 :同方向回転2軸混練機(BT-30-S2:プラスチッ
ク工業研究所製) − 径30mm,L/D=36 ・ 押出機運転条件 − バレル温度:200℃(相容化剤調製領域) :290℃(複合材調製領域) − 剪断速度:1800/sec. − スクリュー回転数:150rpm − ダイ径:2mm − 延伸比:12 − 以上の条件で、押出機先端に取り付けたダイを用い
てストランド状の押出物を押し出し、ダイ出口から50
〜100mmに位置した水浴で冷却した。
【0086】また、上記プロセスと比較する試験を併せ
て行った。この場合の比較試験としては、図17に示す
ように、2台の押出機40,50を用意し、一方の押出
機40で相容化剤を調製し、他方の押出機50で複合材
を調製した。この場合、相容化剤調製工程では材料をメ
インフィーダ43Aから投入し、複合材調製工程では材
料をサイドフィーダ53Bから投入するようにした。試
験条件を以下に示す。 相容化剤の調製条件 ・材料配合 :低融点の液晶ポリマー/無水マレイン酸変性PP=1
/1 ・ 押出機 :同方向回転2軸混練機(BT-30-S2:プラスチッ
ク工業研究所製) − 径30mm,L/D=36 ・ 押出機運転条件 − バレル温度:200℃ − 剪断速度:700/sec. - スクリュー回転数:150rpm − ダイ径:2mm − 以上の条件で、押出機先端に取り付けたダイを用い
てストランド状の押出物を押し出し、ダイ出口から50
〜100mmに位置した水浴で冷却した。 複合材の調製条件 ・材料配合:PP/LCP/相容化剤=70/30/1
0 尚、押出機およびその運転条件は、上述の試験と同様と
した。
【0087】そして、得られた複合材を用いて射出成形
を行い、成形品の強度を比較した。射出成形の条件およ
び強度測定条件は、以下の通りであった。 成形条件(射出成形) ・ 成形機 :射出成形機(IS−220EN−5Y:東芝機械株式
会社製) ・ 成形機運転条件 − バレル温度:180℃ − スクリュー形状:DBY − スクリュー回転数:10〜12rpm − 背圧:2kgf/cm2 − 射出圧:99% − 射出速度:30% − 型温:50℃ 強度測定条件 ・測定装置 万能試験機(オートグラフDSS−5000:株式会社
島津製作所製) ・測定条件 引張速度:20mm/min.(ストランド)
【0088】その結果、本実施の形態に係るプロセスで
製造した成形品の強度は68[MPa]、比較例に係る
プロセスで製造した成形品の強度は69[MPa]であ
り、ほとんど同等の結果が得られた。従って、押出機の
上流側で相容化剤を調製し、下流側で複合材を調製する
という、本実施の形態に係るプロセスが、工程短縮の手
段として、有効であることが確認された。
【0089】尚、押出条件の選定を迅速に行えるよう
に、各Vbにおける、制約条件に対応する値を表計算ソ
フトを用いて計算し、それぞれの上限値/下限値と比べ
る手法を試みた。各制約の上限値/下限値を明確にする
ために、相容化剤調製工程における制約条件である「フ
ィーダ安定供給限界」および「相容化剤反応時間」を、
上述の方法と同様にして数値化した。また、材料供給速
度Vbは、より運転時間に近いパラメータである「サイ
ドフィーダ回転数」に置き換えた。図19および図20
は、上記試験で使用した押出機のウィンドウを制限して
いる条件とサイドフィーダ回転数との関係を示したもの
で、これらの図で斜線を施した領域が、制約条件を満足
しない領域である。尚、上記図19は相容化剤の添加割
合を10[phr](複合材100に対して相容化剤1
0)に設定し、また、図20は相容化剤の添加割合を5
[phr]に設定して、それぞれ試算を行ったものであ
る。この図20の場合には、メインフィーダに関して、
制約条件を満たす領域がなく、押出機の運転が不可能で
あることが分かる。
【0090】押出機のウィンドウを広げる手段として
は、装置自体の仕様を変更することが考えられるが、こ
こでは、材料供給手順に工夫を加えることにより、その
改善を図った。例えば、メインフィーダの安定供給限界
条件を満たすためには、Vb/Vaを小さくすれば良い
のであるが、相容化剤の添加量を一定にしたままで、こ
のVb/Vaを下げる方法の一つとしては、サイドフィ
ーダから供給していた複合材原料の一部をメインフィー
ダから供給することが考えられる。この場合、LCPは
溶融温度が高い(280℃)ので、メインフィーダから
供給することはできないが、連続相が、200℃で溶融
する樹脂(例えば、PP:180℃)であれば、その一
部をメインフィーダに振り分けて供給することは可能で
ある。図21に、PPをメインフィーダ/サイドフィー
ダ=0.15/0.85の割合で供給した場合の試算結果
を示す。図20と図21とを比較して分かるように、メ
インフィーダの運転条件に関して、制約条件を満たす領
域を確保することができ、押出機の運転が可能となるこ
とが分かる。
【0091】以上、説明したように、本発明によれば、
基本的には、LCP複合材の各素材(PP,LCP)に
それぞれ相容する相容化素材である低融点の液晶ポリマ
ーと無水マレイン酸変性PPを互いに反応させて相容化
剤を調製するようにしたので、上記LCP複合材に適し
た相容化剤を調製することが可能になる。そして、この
調製された相容化剤と上記複合材の各素材とを溶融混練
せしめて樹脂複合材を調製するようにしたので、複合材
の各素材(PP,LCP)間の接着性の向上を図ること
ができる。
【0092】また、単一の押出機30の上流側で相容化
剤を調製し、上記押出機30の下流側でこの調製された
相容化剤と上記LCP複合材の各素材とを溶融混練せし
めて樹脂複合材を調製するようにしたので、相容化剤の
調製と樹脂複合材の調製とを一つの押出機30で(つま
り一つの工程で)行うことができ、複合材の製造工程を
短縮することができるのである。尚、本発明は、以上の
実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱し
ない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が
可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 市販の相容化剤の熱的安定性の確認試験の試
験結果を示すグラフである。
【図2】 低融点の液晶ポリマーと無水マレイン酸変性
PPの相容化剤生成反応を示す説明図である。
【図3】 低融点の液晶ポリマーと無水マレイン酸変性
PPの反応で生成した相容化剤の作用を模式的に示す説
明図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係るLCP複合材の強
度評価試験のための押出機を示す説明図である。
【図5】 上記LCP複合材の強度評価試験の結果を示
すグラフである。
【図6】 無水マレイン酸変性PPとPP樹脂の分子骨
格の類似性を示す説明図である。
【図7】 低融点の液晶ポリマーとLCPの分子骨格の
類似性を示す説明図である。
【図8】 低融点液晶ポリマーと無水マレイン酸変性P
Pとを混練したサンプルの動的粘弾性の測定結果を示す
グラフである。
【図9】 低融点液晶ポリマーとPP樹脂とを混練した
サンプルの動的粘弾性の測定結果を示すグラフである。
【図10】 低融点液晶ポリマーと無水マレイン酸変性
PPの反応を示す説明図である。
【図11】 変性量の異なる3種類の無水マレイン酸変
性PPのIRスペクトルを示す説明図である。
【図12】 変性量の異なる3種類の無水マレイン酸変
性PPの構造を模式的に示す説明図である。
【図13】 分子中のLC3000/PP鎖の比率の異
なる3種類の相容化剤の構造を模式的に示す説明図であ
る。
【図14】 低融点液晶ポリマーと無水マレイン酸変性
PPの最適混合比を求める試験の試験結果を示すグラフ
である。
【図15】 相容化剤の最適添加量を決定する試験の試
験結果を示すグラフである。
【図16】 相容化剤の調製と複合材の調製を一工程で
行う製造方法に用いる押出機の断面説明図である。
【図17】 上記製造方法に対する比較試験に用いた押
出機を示す説明図である。
【図18】 引き取り速度と剪断およびダイ径との関係
を示すグラフである。
【図19】 押出機の運転条件設定の試算結果を示すグ
ラフである。
【図20】 押出機の運転条件設定の他の試算結果を示
すグラフである。
【図21】 押出機の運転条件設定の更に他の試算結果
を示すグラフである。
【符号の説明】
10,20,30,40,50…押出機 33A…上流側ホッパ 33B…下流側ホッパ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複合材の各素材にそれぞれ相容する相容
    化剤を添加して樹脂複合材を調製する樹脂複合材の製造
    方法であって、 上記複合材の各素材にそれぞれ相容する複数素材からな
    る相容化素材を互いに反応させて相容化剤を調製し、こ
    の調製された相容化剤と上記複合材の各素材とを溶融混
    練せしめて樹脂複合材を調製することを特徴とする樹脂
    複合材の製造方法。
  2. 【請求項2】 単一の押出機の上流側で上記相容化素材
    を互いに反応させて相容化剤を調製し、上記押出機の下
    流側でこの調製された相容化剤と上記複合材の各素材と
    を溶融混練せしめて樹脂複合材を調製することを特徴と
    する請求項1記載の樹脂複合材の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記押出機の上流側と下流側とで調製温
    度が異なることを特徴とする請求項2記載の樹脂複合材
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記相容化素材の熱分解温度が上記複合
    材の各素材の溶融温度よりも低く、上記押出機の上流側
    での調製温度は下流側での調製温度よりも低く設定され
    ていることを特徴とする請求項3記載の樹脂複合材の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 上流側へは、相容化剤素材とともに複合
    材素材の少なくとも一つが同時に供給されることを特徴
    とする請求項2〜請求項4のいずれか一に記載の樹脂複
    合材の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記押出機の上流側での調製温度は下流
    側での調製温度よりも低く設定されており、上流側へ同
    時に供給される複合材素材は、上流側領域の温度で溶融
    されることを特徴とする請求項5記載の樹脂複合材の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 上記相容化素材が無水マレイン酸変性P
    Pと低融点の液晶ポリマーとを含有してなり、上記複合
    材素材がPP樹脂と、該PP樹脂中において繊維化状態
    で配向され得る高融点の熱可塑性液晶樹脂とを含有して
    なることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一
    に記載の樹脂複合材の製造方法。
  8. 【請求項8】 複合材の各素材にそれぞれ相容する相容
    化剤を含有してなる樹脂複合材であって、 上記複合材の各素材にそれぞれ相容する複数素材からな
    る相容化素材を互いに反応させて調製した相容化剤を含
    有することを特徴とする樹脂複合材。
  9. 【請求項9】 上記相容化素材が無水マレイン酸変性P
    Pと低融点の液晶ポリマーとを含有してなり、上記複合
    材素材がPP樹脂と、該PP樹脂中において繊維化状態
    で配向され得る高融点の熱可塑性液晶樹脂とを含有して
    なることを特徴とする請求項8記載の樹脂複合材。
  10. 【請求項10】 複合材の各素材にそれぞれ相容する相
    容化剤の製造方法であって、上記複合材の各素材にそれ
    ぞれ相容する複数素材からなる相容化素材を、押出機内
    で溶融混練しながら、これら素材間の反応を生じさせて
    調製することを特徴とする相容化剤の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記相容化素材が、無水マレイン酸変
    性PPと低融点の液晶ポリマーとを含有してなることを
    特徴とする請求項10記載の相容化剤の製造方法。
  12. 【請求項12】 複合材の各素材にそれぞれ相容する相
    容化剤であって、上記複合材の各素材にそれぞれ相容す
    る複数素材からなる相容化素材を含有したことを特徴と
    する相容化剤。
  13. 【請求項13】 上記相容化素材が無水マレイン酸変性
    PPと低融点の液晶ポリマーとを含有してなることを特
    徴とする請求項12記載の相容化剤。
JP25493295A 1995-10-02 1995-10-02 樹脂複合材の製造方法 Expired - Fee Related JP3648803B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25493295A JP3648803B2 (ja) 1995-10-02 1995-10-02 樹脂複合材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25493295A JP3648803B2 (ja) 1995-10-02 1995-10-02 樹脂複合材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0994823A true JPH0994823A (ja) 1997-04-08
JP3648803B2 JP3648803B2 (ja) 2005-05-18

Family

ID=17271868

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25493295A Expired - Fee Related JP3648803B2 (ja) 1995-10-02 1995-10-02 樹脂複合材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3648803B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006113191A (ja) * 2004-10-13 2006-04-27 Canon Electronics Inc 液晶ポリマーフィルムおよびこれを用いた遮光羽根およびその製造方法ならびに光路開閉装置
CN112405931A (zh) * 2020-10-26 2021-02-26 苏州和塑美科技有限公司 一种纳米蒙脱土增强淀粉基生物降解吹膜材料的制备方法及其产品和应用
JP2021134314A (ja) * 2020-02-28 2021-09-13 上野製薬株式会社 液晶ポリマー組成物
JP2021134312A (ja) * 2020-02-28 2021-09-13 上野製薬株式会社 液晶ポリマー組成物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006113191A (ja) * 2004-10-13 2006-04-27 Canon Electronics Inc 液晶ポリマーフィルムおよびこれを用いた遮光羽根およびその製造方法ならびに光路開閉装置
JP2021134314A (ja) * 2020-02-28 2021-09-13 上野製薬株式会社 液晶ポリマー組成物
JP2021134312A (ja) * 2020-02-28 2021-09-13 上野製薬株式会社 液晶ポリマー組成物
CN112405931A (zh) * 2020-10-26 2021-02-26 苏州和塑美科技有限公司 一种纳米蒙脱土增强淀粉基生物降解吹膜材料的制备方法及其产品和应用
CN112405931B (zh) * 2020-10-26 2022-09-20 苏州和塑美科技有限公司 一种纳米蒙脱土增强淀粉基生物降解吹膜材料的制备方法及其产品和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP3648803B2 (ja) 2005-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4728698A (en) Liquid crystal fiber-reinforced polymer composite and process for preparing same
JP5463353B2 (ja) 動的加硫されたアロイの製造方法
US8079747B2 (en) Counter-rotating twin screw extruder
US5225488A (en) Mixing process for generating in-situ reinforced thermoplastics
JP2003518521A (ja) 改良された衝撃特性を有するポリオレフィン組成物
EP1896531A2 (en) Cloth-like fiber reinforced polypropylene compositions and method of making thereof
US20080237914A1 (en) Methods for making fiber reinforced polypropylene composites using pre-cut fiber
WO2006125035A2 (en) Method for making fiber reinforced polypropylene composites
CN107892772A (zh) 一种轻质抗翘曲连续玻纤增强聚丙烯复合材料及制备方法
EP1888670A2 (en) Fiber reinforced polypropylene composite body panels
CN101379129A (zh) 用于制造多孔材料的挤出聚烯烃
US5621041A (en) Compatible liquid crystal polymer/polyolefin blends
US20080300355A1 (en) Process For Forming Improved Fiber Reinforced Composites and Composites Therefrom
US6649103B1 (en) Process for making multiphase polymeric film having a lamellar structure with controlled permeability and/or controlled mechanical properties
EP2631060A1 (en) A low-pressure process for preparing a polymer film by extrusion-blowing
JP3584890B2 (ja) 熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法
CN109337198B (zh) 一种高刚性的玻璃纤维增强聚丙烯材料及其制备设备和制备方法
JPH0994823A (ja) 相容化剤およびその製造方法並びに該相容化剤を含有した樹脂複合材およびその製造方法
US20050159548A1 (en) Miscible blends of normally immiscible polymers
US7026377B1 (en) High performance fiber reinforced thermoplastic resin, method and apparatus for making the same
JPH09309140A (ja) 管状体の製造方法
US20080214703A1 (en) Pellet and fiber length for polyester fiber reinforced polypropylene composites
EP0510520A1 (en) Process for the in-situ formation of reinforcing members in an elastomer and elastomer made thereby
JPS62116666A (ja) 自己強化重合体複合物及びその製法
WO2008112173A1 (en) Pellet and fiber length for polyester fiber reinforced polypropylene composites

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041019

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041102

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050125

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080225

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090225

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100225

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees