JP3584890B2 - 熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂の射出成形品及びその成形方法に関するものであり、更に詳しくは、剛性及び強度が高く、成形品の薄肉化による軽量化が可能なポリプロピレン系樹脂成形品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂は、単体ばかりでなく、例えばガラス繊維や炭素繊維等の補強繊維で強化した複合材料としても幅広く実用化されている。しかし、これらの補強繊維で強化したものでは、その繊維径が概ね10μm以上と比較的大きいことから、射出成形品の場合、成形品内部での繊維配向による成形品の歪みが大きくなり、また、射出成形時に溶融樹脂が合流する、いわゆるウエルド部の力学特性が極端に低くなる現象が生ずる。更に、射出成形品の表面にガラス繊維や炭素繊維等が露出して外観性を損ない、特に薄肉製品の場合にはその傾向が顕著であり、無塗装で使用することはできない。また、ガラス繊維や炭素繊維等の補強繊維の硬さに起因する混練押出機及び射出成形機の鋼材の摩耗という問題も生ずる。更には、混練押出機及び射出成形工程におけるスクリューによる複合材料の可塑化においては、その際に生じる剪断力のために繊維が切断されて充分な補強効果が得られないという問題もある。
【0003】
上記のような補強繊維による熱可塑性樹脂の強化の問題を解決する方法として、マトリックスとしての熱可塑性樹脂中に、全芳香族ポリエステル等の熱可塑性液晶樹脂を混合し、成形加工に供することでマトリックス樹脂中で熱可塑性液晶樹脂を繊維化させ、これを補強繊維として利用した複合材料も開発されている。例えば、特開平6−41444号公報や特開2000−239532号公報には、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂と熱可塑性液晶樹脂を混合して溶融、混練、押出成形することでマトリックス樹脂中に熱可塑性液晶樹脂の繊維を生成させる方法が開示されている。さらに、前記以外にも、熱可塑性液晶樹脂の繊維化挙動あるいは界面状態を検討した学術論文等も数多く発表されている。
【0004】
上記のようにマトリックスとしての熱可塑性樹脂中に補強繊維として熱可塑性液晶樹脂の繊維を生成させる方法によれば、補強繊維としての熱可塑性液晶樹脂をガラス繊維や炭素繊維等よりも細い繊維径とすることができ、また成形加工時には熱可塑性液晶樹脂及びマトリックス樹脂を一旦溶融させるので、ガラス繊維や炭素繊維よりも高充填することができ、更には熱可塑性液晶樹脂は一旦破損しても再び溶融して繊維化工程を経ると繊維として復元し、リサイクルが可能である等の利点を有している。
【0005】
しかし、従来の熱可塑性液晶樹脂を補強繊維として利用した射出成形品では、熱可塑性液晶樹脂の繊維化が充分でなく、また成形品中に生成した熱可塑性液晶樹脂の繊維径が太く、しかも成形品の表面部と内部とでは繊維の分散状態が異なり成形品中に繊維が均一分散されておらず、成形品の強度及び剛性が充分でないことから、例えば自動車外板あるいはOA機器の筐体として求められる力学特性を満足させるためにはどうしても成形品の肉厚を大きくせざるを得ず、その結果、近年の製品に求められる軽量化の実現が極めて困難であった。
【0006】
マトリックス樹脂、熱可塑性液晶樹脂及び相溶化剤をドライブレンドし、溶融混練工程なしで射出成形により熱可塑性液晶樹脂を金型内で直接繊維化させる方法も可能であるが、この場合は熱可塑性液晶樹脂そのものの分散性が充分でないうえに、成形品の表面部では熱可塑性液晶樹脂は繊維化するものの、内部においては熱可塑性液晶樹脂は繊維化しない。従って、この分散性の悪さに起因するマーブル模様等の外観不良を生じやすく、また成形品の剛性、強度も向上できないという問題を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の熱可塑性液晶樹脂の繊維化技術では、熱可塑性液晶樹脂の繊維を、微細にかつ成形品全体に均一に分散させた高剛性、高強度の成形品を射出成形により製造することは困難であった。そこで本発明は、上記のような成形品中に熱可塑性液晶樹脂を繊維状に分散させて補強繊維として利用した熱可塑性樹脂成形品における問題点に鑑み、熱可塑性液晶樹脂の微細な繊維を成形品全体に均一に分散させた高剛性、高強度の射出成形品及びその製造方法を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る熱可塑性樹脂成形品は、メルトフローレート(MFR)が2〜20g/10minの範囲内のポリプロピレン系樹脂、熱可塑性液晶樹脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリプロピレン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹脂が液晶性を保持しうる温度で溶融、混練、押出成形することで得られる、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂が繊維状に分散した射出成形用樹脂ペレットを、該樹脂ペレット中の熱可塑性液晶樹脂繊維を消滅させない170〜190℃のメルト温度で射出成形してなることを特徴とするものである。また、本発明に係る熱可塑性樹脂成形品の製造方法は、押出工程において、メルトフローレート(MFR)が2〜20g/10minの範囲内のポリプロピレン系樹脂、熱可塑性液晶樹脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリプロピレン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹脂が液晶性を保持しうる温度で溶融、混練、押出成形し、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂を繊維状に生成、分散させた射出成形用樹脂ペレットを得、射出工程において前記樹脂ペレット中に生成させた熱可塑性液晶樹脂繊維を消滅させない170〜190℃のメルト温度で前記樹脂ペレットを射出成形することで成形品中に微細な熱可塑性液晶樹脂繊維を均一に分散させることを特徴とするものである。
【0009】
なお、本発明で前記メルト温度とは、射出成形機から射出されたメルトの温度のことであり、メルト温度は射出成形機のバレル温度と可塑化時のスクリュー回転数の制御により前記の範囲に調整する。
【0010】
上記のような本発明の熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法によれば、押出工程における剪断作用によりマトリックス樹脂としてのポリプロピレン系樹脂中に生成された熱可塑性液晶樹脂繊維が溶融しないメルト温度で射出成形することで、微細な熱可塑性液晶樹脂繊維が成形品全体にほぼ均一に分散し、成形品内部での繊維配向による成形品の歪みが小さく、またウエルド部での力学特性の低下が少なく、高剛性、高強度の薄肉の成形品を得ることができる。また、結晶核剤の添加により、マトリックス樹脂であるポリプロピレン系樹脂の結晶化度が高くなり、成形品中に均一な結晶粒子が生成することで、成形品の力学特性を高めることができる。また、薄肉成形品の場合にも、熱可塑性液晶樹脂繊維はガラス繊維や炭素繊維のように成形品の表面に露出して外観を損なうこともなく、成形品は無塗装で使用することができる。更に、相溶化剤によりマトリックス樹脂であるポリプロピレン系樹脂と補強繊維としての熱可塑性液晶樹脂繊維との間の接着性が向上することで成形品の力学特性がより一層高くなる。この結果、本発明によれば、直径0.5〜8μmの微細な熱可塑性液晶樹脂繊維が成形品全体にほぼ均一に分散しており、曲げ弾性率が6GPa以上、曲げ強度が90MPa以上という、高剛性、高強度の成形品を得ることが可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明でマトリックス樹脂として使用されるポリプロピレン系樹脂としては、熱可塑性液晶樹脂を消滅させたりダメージを与えたりしない170〜190℃のメルト温度で射出成形可能なものであればよく、プロピレンの単独重合体であるポリプロピレンの他、プロピレンとエチレンとのブロックコポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記ポリプロピレンの単独重合体としては、汎用のポリプロピレンよりも結晶化度の高い高結晶性ポリプロピレンが好ましい。
【0012】
一般に、繊維を用いて効率よくマトリックス樹脂を補強するするためには、用いる補強繊維の繊維径が細く、かつその本数が多いことが必要である。ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとする系中に、補強材として有効に作用しうる程度の太さ及び数に繊維化し得る熱可塑性液晶樹脂を分散させるためには、押出工程における混練押出機内で熱可塑性液晶樹脂を繊維化させる前に、系中に熱可塑性液晶樹脂を好ましくは平均粒径30μm以下、さらに15μm以下の粒子状に分散させることが好ましい。通常、非相溶性ポリマー同士の混合では、混合するポリマー同士の溶融粘度を近づけると分散粒子径が小さくなる。従って、マトリックスとしてのポリプロピレン系樹脂と補強材としての熱可塑性液晶樹脂の溶融粘度を近づけることが好ましいが、本発明者らの研究の結果、その理由は不明であるが、マトリックスとしてのポリプロピレン系樹脂が、メルトフローレート(以下、MFRと略記する。)が2〜20g/10min、より好ましくはMFRが6〜8g/10minの範囲内の流動特性を有するものを用いた場合に、ポリプロピレン系樹脂中での熱可塑性液晶樹脂の分散が最も微細化することが判った。なお、本発明における前記ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠して測定した値である。
【0013】
また、本発明でマトリックスであるポリプロピレン系樹脂の補強材として使用される熱可塑性液晶樹脂としては、前記マトリックスとしてのポリプロピレン系樹脂の融点よりも30℃以上高い温度、好ましくはポリプロピレン系樹脂の融点よりも40℃以上高い温度から、ポリプロピレン系樹脂の熱分解温度までの範囲、好ましくはポリプロピレンの熱分解温度より40℃低い温度までの範囲で剪断力が作用した場合に熱可塑性液晶樹脂分子が剪断方向に配向する(液晶性の)ものであればよいが、パラヒドロキシ安息香酸を必須成分とし、これにヒドロキシナフトエ酸、テレフタル酸及びエチレングリコールのうちの少なくとも1種のモノマーを加えたものを出発原料とする全芳香族ポリエステルが好ましく、具体例としては、73mol%のパラヒドロキシ安息香酸及び27mol%のヒドロキシナフトエ酸からなる全芳香族ポリエステルが挙げられ、市販材料としては、例えば、ポリプラスチックス製のベクトラA950(商品名)がある。これらの全芳香族ポリエステルは、融点が約260℃であり、約260〜290℃の範囲で液晶性を保持することができる。この全芳香族ポリエステルを用い、その剛直な分子を成形用樹脂ペレットを作製する押出工程における混練押出時の剪断力により配向させマトリックス樹脂中に繊維状に分散させることで、得られた樹脂ペレットから射出成形により強度及び弾性率の高い成形品を得ることができる。
【0014】
更に、熱可塑性液晶樹脂として、前記全芳香族ポリエステルに、その1〜15重量%の半芳香族ポリエステルを添加することにより、生成する熱可塑性液晶樹脂の繊維径が更に細くなり、この結果、熱可塑性液晶樹脂の添加量における熱可塑性液晶樹脂繊維の生成数が多くなり、その補強効果がより一層向上し、高剛性、高強度の成形品を得ることができる。また、全芳香族ポリエステルに半芳香族ポリエステルを添加することで、熱可塑性液晶樹脂繊維とマトリックスとしてのポリプロピレン系樹脂との接着性が向上して成形品の力学特性を向上させることができる。ただし、半芳香族ポリエステルの添加量が多くなると熱可塑性液晶樹脂繊維自体の強度が低下する結果、補強効果が低下する傾向にある。
【0015】
この半芳香族ポリエステルとしては、パラヒドロキシ安息香酸及びポリエチレンテレフタレートから合成されたものが挙げられ、市販材料としては、例えば、80mol%のパラヒドロキシ安息香酸及び20mol%のポリエチレンテレフタレートからなるユニチカ製のロッドランLC5000(商品名)や60mol%のパラヒドロキシ安息香酸及び40mol%のポリエチレンテレフタレートからなるユニチカ製のロッドランLC3000(商品名)等がある。これらの中でも、60mol%のパラヒドロキシ安息香酸及び40mol%のポリエチレンテレフタレートからなるロッドランLC3000を使用すると優れた補強効果を得ることができる。これらの半芳香族ポリエステルの融点は、ロッドランLC3000で約200℃、ロッドランLC5000で約240℃であり、約240〜290℃の範囲の温度で液晶性を保持しうる。
【0016】
熱可塑性液晶樹脂として全芳香族ポリエステルに半芳香族ポリエステルを添加したものを使用する場合は、先ず両ポリエステルを溶融、混練、押出成形して半芳香族ポリエステルを所定量含む熱可塑性液晶樹脂ペレットを作製し、この熱可塑性液晶樹脂ペレットを成形用樹脂ペレット作製時の押出工程においてポリプロピレン系樹脂と混合し、溶融、混練して押出成形することでマトリックス中に熱可塑性液晶樹脂を繊維化した状態で分布させてもよいし、また、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル及びポリプロピレン系樹脂の所定量を成形用樹脂ペレット作製時の押出工程において一度に混合し、これを溶融、混練して押出成形することでマトリックス中に熱可塑性液晶樹脂を繊維化した状態で分布させるようにしてもよい。
【0017】
前記マトリックスとしてのポリプロピレン系樹脂と熱可塑性液晶樹脂とは、任意の比率で配合可能であるが、熱可塑性液晶樹脂はポリプロピレン系樹脂に比べて極めて高価であることから、熱可塑性液晶樹脂の使用量は少ない方が材料コスト面で有利である。従って、材料の力学特性から、好ましくは体積比でポリプロピレン系樹脂:熱可塑性液晶樹脂=60:40〜85:15の範囲、より好ましくは70:30〜80:20の範囲とし、マトリックスであるポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂を高度に繊維化させることで、高剛性、高強度の成形品を得ることができる。
【0018】
次に、本発明で使用する結晶核剤は、マトリックスとしてのポリプロピレン系樹脂の結晶化度を向上させるとともに均一に微細化した結晶粒子を生成させ、これによりマトリックスの力学的特性を高めるものである。結晶核剤としては、タルク、シリカ等の公知の無機フィラーの他、リン酸金属塩、カルボン酸金属塩、あるいはベンジリデンソルビトールといった有機化合物からなる結晶核剤を使用することもできるが、これらに限定はされない。これらの結晶核剤の添加量としては、マトリックスとしてのポリプロピレン系樹脂に対して0.1〜2重量部の範囲内とすることが好ましい。結晶核剤の添加量が多すぎるとメルトの流動性を低下させるだけでなく、成形品の力学特性も低下させる場合がある。
【0019】
また、相溶化剤は、マトリックスであるポリプロピレン系樹脂と補強材である熱可塑性液晶樹脂繊維との間の接着性を向上させて成形品の力学特性をより一層高めるものである。この相溶化剤としては、汎用のポリプロピレンよりも結晶化度の高い高結晶性ポリプロピレンを主鎖としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ基等の官能基を導入した変性高結晶性ポリプロピレン、あるいはポリアミド樹脂と熱可塑性液晶樹脂を酸触媒下でコポリマー化したものを用いることが好ましい。
【0020】
前記のような官能基を有する変性高結晶性ポリプロピレンからなる相溶化剤は、二軸混練押出機を使用した反応押出法により製造することができる。即ち、高結晶性ポリプロピレンに対して、官能性モノマーを0.1〜10重量%及び反応助剤として電子供与性モノマーを0.1〜30重量%添加し、有機過酸化物を反応開始剤として溶融混練することで、官能性モノマーに由来する官能基をグラフトした変性高結晶性ポリプロピレンが得られる。前記官能性モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、オキサゾリンのほか、2官能以上の種々のアクリル酸モノマーを使用することができるが、これらに限定はされない。前記電子供与性モノマーとしてはスチレンモノマーを用いることが好ましいが、これに限定はされない。更に、前記有機過酸化物としては、例えばパーオキシエステル、ジクミルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、アルキルハイドロパーオキサイド等を使用することができるが、これらに限定はされない。
【0021】
また、前記ポリアミド樹脂と熱可塑性液晶樹脂を酸触媒下でコポリマー化した相溶化剤は、ポリアミド樹脂としてポリアミド6を用いて熱可塑性液晶樹脂に対して5〜40重量%加え、これに触媒として酸性物質であるパラトルエンスルホン酸を0.05〜0.5重量部添加し、二軸混練押出機で溶融混練して製造することができる。熱可塑性液晶樹脂としては、前記補強繊維として使用するものと同じ全芳香族ポリエステルを用いることができる。
【0022】
上記のような相溶化剤は、ポリプロピレン系樹脂に対して1〜30重量%の範囲で添加することで、マトリックスであるポリプロピレン系樹脂と補強材である熱可塑性液晶樹脂繊維との間の接着性が向上し、成形品の力学特性がより一層高まる。
【0023】
本発明に係る熱可塑性樹脂成形品は、押出工程において、上記のようなポリプロピレン系樹脂、熱可塑性液晶樹脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリプロピレン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹脂が液晶性を保持しうる温度で溶融、混練、押出成形し、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂を繊維状に生成、分散させた射出成形用樹脂ペレットを得、射出工程において前記樹脂ペレット中に生成させた熱可塑性液晶樹脂繊維を消滅させない170〜190℃のメルト温度で射出成形することで得ることができる。
【0024】
前記押出工程におけるポリプロピレン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹脂が液晶性を保持しうる温度としては、通常、260〜290℃の範囲が適当である。また、この押出工程でマトリックスであるポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂を微細な繊維の形で高度に分散させるためには、混練押出機のスクリューデザイン及びダイ構造も重要である。スクリューデザインとして、スクリュー中央部に比較的高い混練作用を生じさせるニーディングディスクを設置すると、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂を微細な粒子状で分散させることができる。また、ダイ構造としてテーパー形状のものを用いると、押出成形時の樹脂の流動抵抗が低減され、マトリックス中に分散した熱可塑性液晶樹脂粒子がポリマーメルトに効率よく作用した伸長流動により引き延ばされて高度に繊維化する。更に、ダイの出口の口径寸法Dに対するストレート部の長さLの比率をL/D=10〜30、好ましくはL/D=15〜20とすることで、熱可塑性液晶樹脂繊維の分子配向構造を強固に保持でき、射出成形における再溶融工程においても熱可塑性液晶樹脂繊維が消滅しにくくなり、成形品の力学特性を向上させることができる。
【0025】
また、マトリックス中の熱可塑性液晶樹脂をダイ部からストランド状に押し出して繊維化させた後、メルトをダイ外部に導いて冷却固化するまでの間に更に延伸することにより熱可塑性液晶樹脂の繊維化レベルが向上する。これは、ダイから出たストランドを高速で引き取ることで実現する。高速で引き取る際には、通常のストランド冷却装置を使用することができる。有効に繊維化レベルを向上させる延伸倍率は、押出機からの吐出線速度に対する引取速度の比(ドロー比;λ)をλ=10〜20の範囲とすることが有効で、成形品中の熱可塑性液晶樹脂の繊維化を一層向上させることができる。このような延伸をする場合の引取速度は、混練押出機の仕様及び吐出量によっても異なるが、おおよそ100〜300m/minの範囲であり、高速タイプのペレタイザーを使用することもできるが、冷却固化したストランドを一旦巻き取った後に汎用タイプのペレタイザーでペレタイズしてもよい。
【0026】
また、上記のような混練押出工程で得られた、マトリックス中に均一に微細化した熱可塑性液晶樹脂繊維を含む樹脂ペレットを、熱可塑性液晶樹脂繊維を消滅させたりダメージを与えたりすることなく射出成形するには、射出成形時のメルト温度を厳密にコントロールする必要がある。つまり、マトリックスは溶融するが熱可塑性液晶樹脂繊維は溶融せず、かつ熱による応力緩和を生じないメルト温度に設定する必要がある。ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとする本発明においては、ポリプロピレン系樹脂の融点よりも高いが熱可塑性液晶樹脂を消滅させないためになるべく低い温度である170〜190℃にメルト温度をコントロールして射出成形することで、熱可塑性液晶樹脂繊維を消滅させたり、ダメージを与えたりすることなく成形することができる。射出成形時のメルト温度は、射出成形機のバレル温度と可塑化時のスクリュー回転数の制御により170〜190℃にコントロールする。
【0027】
上記のように、混練押出工程においてポリプロピレン系樹脂中に繊維径が0.5〜8μm程度の熱可塑性液晶樹脂繊維が均一に生成した樹脂ペレットを得、これを射出成形工程において、メルト温度を170〜190℃にコントロールすることで、熱可塑性液晶樹脂繊維が表面部及び内部を問わず均一に分布しており、曲げ弾性率が6GPa以上、曲げ強度が90MPa以上の高剛性、高強度の成形品が得られる。前記の範囲より高い温度で成形した場合には、マトリックス中の熱可塑性液晶樹脂繊維が粒子状になる傾向が強くなり、成形品の強度及び剛性が損なわれることになる。射出成形に使用する金型温度は、一般的には20〜80℃でよいが、金型温度を20〜60℃とすることで、高温のメルトを金型内で急速に冷却させることができ、熱可塑性液晶樹脂繊維の配向構造の熱緩和を抑制して成形品の力学特性を高くすることができる。
【0028】
なお、本発明の熱可塑性樹脂成形品には、通常の無機フィラーや無機のウィスカー等を添加してもよいが、その添加量はポリプロピレン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂の合計量に対して2〜20重量%程度の範囲とすることが好ましい。
【0029】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例の記載に先立ち、使用した混練押出機、射出成形機、相溶化剤及び熱可塑性液晶樹脂並びに成形品の評価方法を以下に記載する。
【0030】
[混練押出機]
混練押出機は、日本製鋼所製の同方向回転二軸混練押出機(TEX−30HSST−42BW−4V、スクリュー径;φ30、L/D=42)を使用した。
【0031】
[射出成形機]
射出成形機は、日精樹脂工業製の射出成形機(FN1000TM12H)を使用した。
【0032】
[相溶化剤]
相溶化剤は、高結晶性ポリプロピレン(商品名J136P;融点165℃、グランドポリマー製)にスチレンモノマー(試薬一級、キシダ化学製)を5重量%及びジクミルパーオキサイド(商品名パークミルD、日本油脂製)を0.1重量%配合したものに、無水マレイン酸(試薬一級、キシダ化学製)、メタクリル酸グリシジル(試薬一級、キシダ化学製)又はメタアクリル酸(試薬一級、キシダ化学製)をそれぞれ5重量%添加し、ヘンシェルミキサーで3分間混合した後、上記二軸混練押出機を用いて溶融混練してペレット状にしたもの(このようにして作成した相溶化剤を、PP−MAH、PP−GMA、PP−MAと略記する。)、並びに全芳香族ポリエステル(商品名ベクトラA950;融点260℃、ポリプラスチックス製)にポリアミド6(商品名1011FB;分子量11,000、融点220℃、宇部興産製)10重量%を加え、これにパラトルエンスルホン酸(試薬一級、キシダ化学製)を0.1重量部添加した後、上記二軸混練押出機を用いて溶融混練してペレット状にしたもの(このようにして作成した相溶化剤を、PA6−LCPと略記する。)を使用した。
【0033】
[熱可塑性液晶樹脂]
熱可塑性液晶樹脂は、全芳香族ポリエステル(商品名ベクトラA950;融点260℃、ポリプラスチックス製)、ならびに、このベクトラA950に対し、半芳香族ポリエステル(商品名ロッドランLC3000;融点200℃、又はロッドランLC5000;融点240℃、いずれもユニチカ製)を10重量%あるいは20重量%添加し、上記二軸混練押出機を用いてバレル温度270℃、吐出量10kg/hにて予め溶融混練してペレット状にしたものを用いた。
【0034】
[成形品の力学特性の測定]
前記射出成形機により厚さ3mmの平板状成形品を成形し、曲げ強度及び曲げ弾性率を、島津製の試験機(島津オートグラフAGS1000)により、JISK7203に準拠して測定し、熱可塑性液晶樹脂の繊維化状態の指針とした。
【0035】
[成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径の測定]
熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径は、成形品の表面部及び内部から切片を採取し、230℃の熱板で厚さ20μmのフィルムとし、光学顕微鏡を用いて250倍で観察し、成形品の表面部及び内部のぞれぞれの熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0036】
(実施例1)
流動特性が、MFR=8g/10minの高結晶性ポリプロピレン(商品名CJ700;融点165℃、グランドポリマー製)に、ベンジリデンソルビトール系結晶核剤(商品名ゲオールMD、新日本理化製)を0.2重量部、相溶化剤として、PP−MAH、PP−GMA又はPP−MAをそれぞれ前記ポリプロピレンに対して25重量%添加したものをマトリックスとし、これに全芳香族ポリエステル(ベクトラA950)に半芳香族ポリエステル(ロッドランLC3000)を10重量%添加した熱可塑性液晶樹脂を、体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=60:40、70:30、80:20としてヘンシェルミキサーで3分間混合した後、上記二軸混練押出機に正回転方向及び逆回転方向のニーディングティスクを中央に設置したスクリュー及び4穴ダイを取り付け、下記の条件で溶融混練してストランド状に押出成形し、高速ペレタイザー(HSC−100、いすず化工機製)にて射出成形用の樹脂ペレットを作成した。
【0037】
[溶融混練条件]
バレル温度/ダイ温度;280℃
吐出量;20kg/h
ドロー比;10(ストランド引取速度80m/min)
【0038】
また、この樹脂ペレットを、ホットステージ付き光学顕微鏡を用いて冷却速度5℃/minで溶融状態からのポリプロピレンマトリックスの結晶化温度を測定すると145℃であり、固化後の平均球晶径は約0.8μmであった。この射出成形用樹脂ペレットを用いて上記射出成形機にてメルト温度180℃、金型温度60℃で平板状成形品(80×10×3t)を成形し、曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0039】
(実施例2)
流動特性がMFR=2g/10minの高結晶性ポリプロピレン(商品名HT6004;融点165℃、チッソ製)又は流動特性がMFR=20g/10minの高結晶性ポリプロピレン(商品名J136;融点165℃、グランドポリマー製)に、実施例1と同じ結晶核剤をそれぞれ0.2重量部、及び相溶化剤としてPP−MAHを25重量%添加し、実施例1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレットを用いてメルト温度180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0040】
(実施例3)
実施例1と同じ高結晶性ポリプロピレンに、実施例1と同じ結晶核剤、並びに相溶化剤としてPP−MAH及びPA6−LPCを重量比で50:50でブレンドしたものを25重量%加え、実施例1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレットを用いてメルト温度180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0041】
(実施例4)
マトリックスとして、実施例1のうち、相溶化剤としてPP−MAHを高結晶性ポリプロピレンに25重量%添加したものを用い、熱可塑性液晶樹脂として、全芳香族ポリエステル(ベクトラA950)のみを体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレットを用いてメルト温度180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0042】
(実施例5)
マトリックスとして、実施例1のうち、相溶化剤としてPP−MAHを高結晶性ポリプロピレンに対して25重量%添加したものを用い、熱可塑性液晶樹脂として、全芳香族ポリエステル(ベクトラA950)に半芳香族ポリエステル(ロッドランLC5000)を10重量%添加したものを、体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレットを用いてメルト温度180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0043】
(比較例1)
マトリックスとして、実施例1のうち、相溶化剤としてPP−MAHを高結晶性ポリプロピレンに対して25重量%添加したものを用い、実施例1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレットを用いてメルト温度230℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0044】
(比較例2)
実施例1と同じ高結晶性ポリプロピレンに実施例1と同じ結晶核剤を添加し、相溶化剤は添加せずに、実施例1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレットを用いてメルト温度180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0045】
(比較例3)
実施例1と同じ高結晶性ポリプロピレンに結晶核剤を添加せず、相溶化剤としてPP−MAHをポリプロピレンに対して25重量%を添加し、実施例1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレットをホットステージ付き光学顕微鏡を用いて溶融状態からのマトリックスの結晶化温度を測定すると133℃であった。この樹脂ペレットを用いてメルト温度180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0046】
(比較例4)
マトリックスとして実施例1と同じ高結晶性ポリプロピレンに結晶核剤及び相溶化剤としてPP−MAHをポリプロピレンに対して25重量%添加したものを用い、熱可塑性液晶樹脂として全芳香族ポリエステル(ベクトラA950)に半芳香族ポリエステル(ロッドランLC3000)を20重量%配合して上記二軸混練押出機を用いてメルト温度270℃、吐出量10kg/hにて予め溶融混練してペレット状にしたものを用い、体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレットを用いて、メルト温度180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0047】
以上の実施例1〜5及び比較例1〜4の射出成形品の曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径の測定結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003584890
【0049】
表1から明らかなように、本発明の各実施例の熱可塑性樹脂成形品は、いずれも成形品中の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径が8μm以下であり、曲げ弾性率が6GPa以上、曲げ強度が90MPa以上を示し、比較例の成形品との力学特性の差は歴然としている。このように熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径が小さい各実施例の成形品の曲げ強度、曲げ弾性率に代表される力学特性値が高くなっていることから、成形品の力学特性が、補強繊維とする熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径と関係することは明らかである。従って、本発明によれば、成形品中に熱可塑性液晶樹脂繊維を微細に分散させて、高剛性、高強度の成形品を得ることができ、製品に求められる力学特性レベルに対して薄肉化が可能となり、製品の軽量化に貢献することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、成形品の強度及び剛性が高く、薄肉化が可能であるため、製品の軽量化が可能となり、かつリサイクルを行っても、本発明により溶融混練及び射出成形することで、マトリックス樹脂中で熱可塑性液晶樹脂を再び微細な繊維状に分散させることができ、力学特性の高度に保持された熱可塑性樹脂成形品を得ることができる。

Claims (7)

  1. メルトフローレート(MFR)が2〜20g/10minの範囲内のポリプロピレン系樹脂、熱可塑性液晶樹脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリプロピレン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹脂が液晶性を保持しうる温度で溶融、混練、押出成形することで得られる、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂が繊維状に分散し射出成形用樹脂ペレットを、170〜190℃のメルト温度で射出成形してなる熱可塑性樹脂成形品。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂が高結晶性ポリプロピレンである請求項1に記載の熱可塑性樹脂成形品。
  3. 熱可塑性液晶樹脂が、全芳香族ポリエステルである請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂成形品。
  4. 熱可塑性液晶樹脂が、全芳香族ポリエステルに1〜15重量%の半芳香族ポリエステルを添加したものである請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂成形品。
  5. 相溶化剤が、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基等の官能基で変性した高結晶性ポリプロピレン、又はポリアミド樹脂と熱可塑性液晶樹脂を酸触媒によりコポリマー化したものである請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形品。
  6. 直径0.5〜8μmの熱可塑性液晶樹脂繊維が成形品全体にほぼ均一に分散しており、曲げ弾性率が6GPa以上、曲げ強度が90MPa以上である請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形品。
  7. 押出工程において、メルトフローレート(MFR)が2〜20g/10minの範囲内のポリプロピレン系樹脂、熱可塑性液晶樹脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリプロピレン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹脂が液晶性を保持しうる温度で溶融、混練、押出成形して、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂を繊維状に生成、分散させた射出成形用樹脂ペレットを得、射出工程において、170〜190℃のメルト温度で前記樹脂ペレットを射出成形することで、成形品中に微細な熱可塑性液晶樹脂繊維を均一に分散させる熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
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