JP2002241550A - 熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性液晶樹脂繊維を、微細にかつ射出成
形品全体に均一に分散させて、高剛性、高強度のポリプ
ロピレン系樹脂成形品を得る。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性液晶樹
脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリプロピレン系樹脂及
び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹脂が
液晶性を保持しうる温度で溶融、混練、押出成形して、
ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂を繊維状に
生成、分散させた射出成形用樹脂ペレットを得、前記樹
脂ペレット中に生成させた熱可塑性液晶樹脂繊維を消滅
させない170〜190℃のメルト温度で射出成形して
成形品中に微細な熱可塑性液晶樹脂繊維を均一に分散さ
せることで、高剛性、高強度の成形品が得られ、薄肉化
による製品の軽量化に貢献できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂の射
出成形品及びその成形方法に関するものであり、更に詳
しくは、剛性及び強度が高く、成形品の薄肉化による軽
量化が可能なポリプロピレン系樹脂成形品及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、単体ばかりでなく、例
えばガラス繊維や炭素繊維等の補強繊維で強化した複合
材料としても幅広く実用化されている。しかし、これら
の補強繊維で強化したものでは、その繊維径が概ね10
μm以上と比較的大きいことから、射出成形品の場合、
成形品内部での繊維配向による成形品の歪みが大きくな
り、また、射出成形時に溶融樹脂が合流する、いわゆる
ウエルド部の力学特性が極端に低くなる現象が生ずる。
更に、射出成形品の表面にガラス繊維や炭素繊維等が露
出して外観性を損ない、特に薄肉製品の場合にはその傾
向が顕著であり、無塗装で使用することはできない。ま
た、ガラス繊維や炭素繊維等の補強繊維の硬さに起因す
る混練押出機及び射出成形機の鋼材の摩耗という問題も
生ずる。更には、混練押出機及び射出成形工程における
スクリューによる複合材料の可塑化においては、その際
に生じる剪断力のために繊維が切断されて充分な補強効
果が得られないという問題もある。
【0003】上記のような補強繊維による熱可塑性樹脂
の強化の問題を解決する方法として、マトリックスとし
ての熱可塑性樹脂中に、全芳香族ポリエステル等の熱可
塑性液晶樹脂を混合し、成形加工に供することでマトリ
ックス樹脂中で熱可塑性液晶樹脂を繊維化させ、これを
補強繊維として利用した複合材料も開発されている。例
えば、特開平6−41444号公報や特開2000−2
39532号公報には、熱可塑性樹脂からなるマトリッ
クス樹脂と熱可塑性液晶樹脂を混合して溶融、混練、押
出成形することでマトリックス樹脂中に熱可塑性液晶樹
脂の繊維を生成させる方法が開示されている。さらに、
前記以外にも、熱可塑性液晶樹脂の繊維化挙動あるいは
界面状態を検討した学術論文等も数多く発表されてい
る。
【0004】上記のようにマトリックスとしての熱可塑
性樹脂中に補強繊維として熱可塑性液晶樹脂の繊維を生
成させる方法によれば、補強繊維としての熱可塑性液晶
樹脂をガラス繊維や炭素繊維等よりも細い繊維径とする
ことができ、また成形加工時には熱可塑性液晶樹脂及び
マトリックス樹脂を一旦溶融させるので、ガラス繊維や
炭素繊維よりも高充填することができ、更には熱可塑性
液晶樹脂は一旦破損しても再び溶融して繊維化工程を経
ると繊維として復元し、リサイクルが可能である等の利
点を有している。
【0005】しかし、従来の熱可塑性液晶樹脂を補強繊
維として利用した射出成形品では、熱可塑性液晶樹脂の
繊維化が充分でなく、また成形品中に生成した熱可塑性
液晶樹脂の繊維径が太く、しかも成形品の表面部と内部
とでは繊維の分散状態が異なり成形品中に繊維が均一分
散されておらず、成形品の強度及び剛性が充分でないこ
とから、例えば自動車外板あるいはOA機器の筐体とし
て求められる力学特性を満足させるためにはどうしても
成形品の肉厚を大きくせざるを得ず、その結果、近年の
製品に求められる軽量化の実現が極めて困難であった。
【0006】マトリックス樹脂、熱可塑性液晶樹脂及び
相溶化剤をドライブレンドし、溶融混練工程なしで射出
成形により熱可塑性液晶樹脂を金型内で直接繊維化させ
る方法も可能であるが、この場合は熱可塑性液晶樹脂そ
のものの分散性が充分でないうえに、成形品の表面部で
は熱可塑性液晶樹脂は繊維化するものの、内部において
は熱可塑性液晶樹脂は繊維化しない。従って、この分散
性の悪さに起因するマーブル模様等の外観不良を生じや
すく、また成形品の剛性、強度も向上できないという問
題を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
熱可塑性液晶樹脂の繊維化技術では、熱可塑性液晶樹脂
の繊維を、微細にかつ成形品全体に均一に分散させた高
剛性、高強度の成形品を射出成形により製造することは
困難であった。そこで本発明は、上記のような成形品中
に熱可塑性液晶樹脂を繊維状に分散させて補強繊維とし
て利用した熱可塑性樹脂成形品における問題点に鑑み、
熱可塑性液晶樹脂の微細な繊維を成形品全体に均一に分
散させた高剛性、高強度の射出成形品及びその製造方法
を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る熱可塑性樹脂成形品は、ポリプロピ
レン系樹脂、熱可塑性液晶樹脂、結晶核剤及び相溶化剤
を、ポリプロピレン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融
し、かつ熱可塑性液晶樹脂が液晶性を保持しうる温度で
溶融、混練、押出成形することで得られる、ポリプロピ
レン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂が繊維状に分散した射
出成形用樹脂ペレットを、該樹脂ペレット中の熱可塑性
液晶樹脂繊維を消滅させない170〜190℃のメルト
温度で射出成形してなることを特徴とするものである。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂成形品の製造方法は、
押出工程において、ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性液
晶樹脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリプロピレン系樹
脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹
脂が液晶性を保持しうる温度で溶融、混練、押出成形
し、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂を繊維
状に生成、分散させた射出成形用樹脂ペレットを得、射
出工程において前記樹脂ペレット中に生成させた熱可塑
性液晶樹脂繊維を消滅させない170〜190℃のメル
ト温度で前記樹脂ペレットを射出成形することで成形品
中に微細な熱可塑性液晶樹脂繊維を均一に分散させるこ
とを特徴とするものである。
【0009】なお、本発明で前記メルト温度とは、射出
成形機から射出されたメルトの温度のことであり、メル
ト温度は射出成形機のバレル温度と可塑化時のスクリュ
ー回転数の制御により前記の範囲に調整する。
【0010】上記のような本発明の熱可塑性樹脂成形品
及びその製造方法によれば、押出工程における剪断作用
によりマトリックス樹脂としてのポリプロピレン系樹脂
中に生成された熱可塑性液晶樹脂繊維が溶融しないメル
ト温度で射出成形することで、微細な熱可塑性液晶樹脂
繊維が成形品全体にほぼ均一に分散し、成形品内部での
繊維配向による成形品の歪みが小さく、またウエルド部
での力学特性の低下が少なく、高剛性、高強度の薄肉の
成形品を得ることができる。また、結晶核剤の添加によ
り、マトリックス樹脂であるポリプロピレン系樹脂の結
晶化度が高くなり、成形品中に均一な結晶粒子が生成す
ることで、成形品の力学特性を高めることができる。ま
た、薄肉成形品の場合にも、熱可塑性液晶樹脂繊維はガ
ラス繊維や炭素繊維のように成形品の表面に露出して外
観を損なうこともなく、成形品は無塗装で使用すること
ができる。更に、相溶化剤によりマトリックス樹脂であ
るポリプロピレン系樹脂と補強繊維としての熱可塑性液
晶樹脂繊維との間の接着性が向上することで成形品の力
学特性がより一層高くなる。この結果、本発明によれ
ば、直径0.5〜8μmの微細な熱可塑性液晶樹脂繊維
が成形品全体にほぼ均一に分散しており、曲げ弾性率が
6GPa以上、曲げ強度が90MPa以上という、高剛
性、高強度の成形品を得ることが可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明でマトリックス樹脂として
使用されるポリプロピレン系樹脂としては、熱可塑性液
晶樹脂を消滅させたりダメージを与えたりしない170
〜190℃のメルト温度で射出成形可能なものであれば
よく、プロピレンの単独重合体であるポリプロピレンの
他、プロピレンとエチレンとのブロックコポリマーなど
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前
記ポリプロピレンの単独重合体としては、汎用のポリプ
ロピレンよりも結晶化度の高い高結晶性ポリプロピレン
が好ましい。
【0012】一般に、繊維を用いて効率よくマトリック
ス樹脂を補強するするためには、用いる補強繊維の繊維
径が細く、かつその本数が多いことが必要である。ポリ
プロピレン系樹脂をマトリックスとする系中に、補強材
として有効に作用しうる程度の太さ及び数に繊維化し得
る熱可塑性液晶樹脂を分散させるためには、押出工程に
おける混練押出機内で熱可塑性液晶樹脂を繊維化させる
前に、系中に熱可塑性液晶樹脂を好ましくは平均粒径3
0μm以下、さらに15μm以下の粒子状に分散させる
ことが好ましい。通常、非相溶性ポリマー同士の混合で
は、混合するポリマー同士の溶融粘度を近づけると分散
粒子径が小さくなる。従って、マトリックスとしてのポ
リプロピレン系樹脂と補強材としての熱可塑性液晶樹脂
の溶融粘度を近づけることが好ましいが、本発明者らの
研究の結果、その理由は不明であるが、マトリックスと
してのポリプロピレン系樹脂が、メルトフローレート
(以下、MFRと略記する。)が2〜20g/10mi
n、より好ましくはMFRが6〜8g/10minの範
囲内の流動特性を有するものを用いた場合に、ポリプロ
ピレン系樹脂中での熱可塑性液晶樹脂の分散が最も微細
化することが判った。なお、本発明における前記ポリプ
ロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠
して測定した値である。
【0013】また、本発明でマトリックスであるポリプ
ロピレン系樹脂の補強材として使用される熱可塑性液晶
樹脂としては、前記マトリックスとしてのポリプロピレ
ン系樹脂の融点よりも30℃以上高い温度、好ましくは
ポリプロピレン系樹脂の融点よりも40℃以上高い温度
から、ポリプロピレン系樹脂の熱分解温度までの範囲、
好ましくはポリプロピレンの熱分解温度より40℃低い
温度までの範囲で剪断力が作用した場合に熱可塑性液晶
樹脂分子が剪断方向に配向する(液晶性の)ものであれ
ばよいが、パラヒドロキシ安息香酸を必須成分とし、こ
れにヒドロキシナフトエ酸、テレフタル酸及びエチレン
グリコールのうちの少なくとも1種のモノマーを加えた
ものを出発原料とする全芳香族ポリエステルが好まし
く、具体例としては、73mol%のパラヒドロキシ安
息香酸及び27mol%のヒドロキシナフトエ酸からな
る全芳香族ポリエステルが挙げられ、市販材料として
は、例えば、ポリプラスチックス製のベクトラA950
(商品名)がある。これらの全芳香族ポリエステルは、
融点が約260℃であり、約260〜290℃の範囲で
液晶性を保持することができる。この全芳香族ポリエス
テルを用い、その剛直な分子を成形用樹脂ペレットを作
製する押出工程における混練押出時の剪断力により配向
させマトリックス樹脂中に繊維状に分散させることで、
得られた樹脂ペレットから射出成形により強度及び弾性
率の高い成形品を得ることができる。
【0014】更に、熱可塑性液晶樹脂として、前記全芳
香族ポリエステルに、その1〜15重量%の半芳香族ポ
リエステルを添加することにより、生成する熱可塑性液
晶樹脂の繊維径が更に細くなり、この結果、熱可塑性液
晶樹脂の添加量における熱可塑性液晶樹脂繊維の生成数
が多くなり、その補強効果がより一層向上し、高剛性、
高強度の成形品を得ることができる。また、全芳香族ポ
リエステルに半芳香族ポリエステルを添加することで、
熱可塑性液晶樹脂繊維とマトリックスとしてのポリプロ
ピレン系樹脂との接着性が向上して成形品の力学特性を
向上させることができる。ただし、半芳香族ポリエステ
ルの添加量が多くなると熱可塑性液晶樹脂繊維自体の強
度が低下する結果、補強効果が低下する傾向にある。
【0015】この半芳香族ポリエステルとしては、パラ
ヒドロキシ安息香酸及びポリエチレンテレフタレートか
ら合成されたものが挙げられ、市販材料としては、例え
ば、80mol%のパラヒドロキシ安息香酸及び20m
ol%のポリエチレンテレフタレートからなるユニチカ
製のロッドランLC5000(商品名)や60mol%
のパラヒドロキシ安息香酸及び40mol%のポリエチ
レンテレフタレートからなるユニチカ製のロッドランL
C3000(商品名)等がある。これらの中でも、60
mol%のパラヒドロキシ安息香酸及び40mol%の
ポリエチレンテレフタレートからなるロッドランLC3
000を使用すると優れた補強効果を得ることができ
る。これらの半芳香族ポリエステルの融点は、ロッドラ
ンLC3000で約200℃、ロッドランLC5000
で約240℃であり、約240〜290℃の範囲の温度
で液晶性を保持しうる。
【0016】熱可塑性液晶樹脂として全芳香族ポリエス
テルに半芳香族ポリエステルを添加したものを使用する
場合は、先ず両ポリエステルを溶融、混練、押出成形し
て半芳香族ポリエステルを所定量含む熱可塑性液晶樹脂
ペレットを作製し、この熱可塑性液晶樹脂ペレットを成
形用樹脂ペレット作製時の押出工程においてポリプロピ
レン系樹脂と混合し、溶融、混練して押出成形すること
でマトリックス中に熱可塑性液晶樹脂を繊維化した状態
で分布させてもよいし、また、全芳香族ポリエステル、
半芳香族ポリエステル及びポリプロピレン系樹脂の所定
量を成形用樹脂ペレット作製時の押出工程において一度
に混合し、これを溶融、混練して押出成形することでマ
トリックス中に熱可塑性液晶樹脂を繊維化した状態で分
布させるようにしてもよい。
【0017】前記マトリックスとしてのポリプロピレン
系樹脂と熱可塑性液晶樹脂とは、任意の比率で配合可能
であるが、熱可塑性液晶樹脂はポリプロピレン系樹脂に
比べて極めて高価であることから、熱可塑性液晶樹脂の
使用量は少ない方が材料コスト面で有利である。従っ
て、材料の力学特性から、好ましくは体積比でポリプロ
ピレン系樹脂:熱可塑性液晶樹脂=60:40〜85:
15の範囲、より好ましくは70:30〜80:20の
範囲とし、マトリックスであるポリプロピレン系樹脂中
に熱可塑性液晶樹脂を高度に繊維化させることで、高剛
性、高強度の成形品を得ることができる。
【0018】次に、本発明で使用する結晶核剤は、マト
リックスとしてのポリプロピレン系樹脂の結晶化度を向
上させるとともに均一に微細化した結晶粒子を生成さ
せ、これによりマトリックスの力学的特性を高めるもの
である。結晶核剤としては、タルク、シリカ等の公知の
無機フィラーの他、リン酸金属塩、カルボン酸金属塩、
あるいはベンジリデンソルビトールといった有機化合物
からなる結晶核剤を使用することもできるが、これらに
限定はされない。これらの結晶核剤の添加量としては、
マトリックスとしてのポリプロピレン系樹脂に対して
0.1〜2重量部の範囲内とすることが好ましい。結晶
核剤の添加量が多すぎるとメルトの流動性を低下させる
だけでなく、成形品の力学特性も低下させる場合があ
る。
【0019】また、相溶化剤は、マトリックスであるポ
リプロピレン系樹脂と補強材である熱可塑性液晶樹脂繊
維との間の接着性を向上させて成形品の力学特性をより
一層高めるものである。この相溶化剤としては、汎用の
ポリプロピレンよりも結晶化度の高い高結晶性ポリプロ
ピレンを主鎖としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ
基等の官能基を導入した変性高結晶性ポリプロピレン、
あるいはポリアミド樹脂と熱可塑性液晶樹脂を酸触媒下
でコポリマー化したものを用いることが好ましい。
【0020】前記のような官能基を有する変性高結晶性
ポリプロピレンからなる相溶化剤は、二軸混練押出機を
使用した反応押出法により製造することができる。即
ち、高結晶性ポリプロピレンに対して、官能性モノマー
を0.1〜10重量%及び反応助剤として電子供与性モ
ノマーを0.1〜30重量%添加し、有機過酸化物を反
応開始剤として溶融混練することで、官能性モノマーに
由来する官能基をグラフトした変性高結晶性ポリプロピ
レンが得られる。前記官能性モノマーとしては、例え
ば、無水マレイン酸、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸グリシジル、オキサゾリンのほか、2官能以上の種々
のアクリル酸モノマーを使用することができるが、これ
らに限定はされない。前記電子供与性モノマーとしては
スチレンモノマーを用いることが好ましいが、これに限
定はされない。更に、前記有機過酸化物としては、例え
ばパーオキシエステル、ジクミルパーオキサイド、ジア
ルキルパーオキサイド、アルキルハイドロパーオキサイ
ド等を使用することができるが、これらに限定はされな
い。
【0021】また、前記ポリアミド樹脂と熱可塑性液晶
樹脂を酸触媒下でコポリマー化した相溶化剤は、ポリア
ミド樹脂としてポリアミド6を用いて熱可塑性液晶樹脂
に対して5〜40重量%加え、これに触媒として酸性物
質であるパラトルエンスルホン酸を0.05〜0.5重
量部添加し、二軸混練押出機で溶融混練して製造するこ
とができる。熱可塑性液晶樹脂としては、前記補強繊維
として使用するものと同じ全芳香族ポリエステルを用い
ることができる。
【0022】上記のような相溶化剤は、ポリプロピレン
系樹脂に対して1〜30重量%の範囲で添加すること
で、マトリックスであるポリプロピレン系樹脂と補強材
である熱可塑性液晶樹脂繊維との間の接着性が向上し、
成形品の力学特性がより一層高まる。
【0023】本発明に係る熱可塑性樹脂成形品は、押出
工程において、上記のようなポリプロピレン系樹脂、熱
可塑性液晶樹脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリプロピ
レン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑
性液晶樹脂が液晶性を保持しうる温度で溶融、混練、押
出成形し、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶樹脂
を繊維状に生成、分散させた射出成形用樹脂ペレットを
得、射出工程において前記樹脂ペレット中に生成させた
熱可塑性液晶樹脂繊維を消滅させない170〜190℃
のメルト温度で射出成形することで得ることができる。
【0024】前記押出工程におけるポリプロピレン系樹
脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹
脂が液晶性を保持しうる温度としては、通常、260〜
290℃の範囲が適当である。また、この押出工程でマ
トリックスであるポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液
晶樹脂を微細な繊維の形で高度に分散させるためには、
混練押出機のスクリューデザイン及びダイ構造も重要で
ある。スクリューデザインとして、スクリュー中央部に
比較的高い混練作用を生じさせるニーディングディスク
を設置すると、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶
樹脂を微細な粒子状で分散させることができる。また、
ダイ構造としてテーパー形状のものを用いると、押出成
形時の樹脂の流動抵抗が低減され、マトリックス中に分
散した熱可塑性液晶樹脂粒子がポリマーメルトに効率よ
く作用した伸長流動により引き延ばされて高度に繊維化
する。更に、ダイの出口の口径寸法Dに対するストレー
ト部の長さLの比率をL/D=10〜30、好ましくは
L/D=15〜20とすることで、熱可塑性液晶樹脂繊
維の分子配向構造を強固に保持でき、射出成形における
再溶融工程においても熱可塑性液晶樹脂繊維が消滅しに
くくなり、成形品の力学特性を向上させることができ
る。
【0025】また、マトリックス中の熱可塑性液晶樹脂
をダイ部からストランド状に押し出して繊維化させた
後、メルトをダイ外部に導いて冷却固化するまでの間に
更に延伸することにより熱可塑性液晶樹脂の繊維化レベ
ルが向上する。これは、ダイから出たストランドを高速
で引き取ることで実現する。高速で引き取る際には、通
常のストランド冷却装置を使用することができる。有効
に繊維化レベルを向上させる延伸倍率は、押出機からの
吐出線速度に対する引取速度の比(ドロー比;λ)をλ
=10〜20の範囲とすることが有効で、成形品中の熱
可塑性液晶樹脂の繊維化を一層向上させることができ
る。このような延伸をする場合の引取速度は、混練押出
機の仕様及び吐出量によっても異なるが、おおよそ10
0〜300m/minの範囲であり、高速タイプのペレ
タイザーを使用することもできるが、冷却固化したスト
ランドを一旦巻き取った後に汎用タイプのペレタイザー
でペレタイズしてもよい。
【0026】また、上記のような混練押出工程で得られ
た、マトリックス中に均一に微細化した熱可塑性液晶樹
脂繊維を含む樹脂ペレットを、熱可塑性液晶樹脂繊維を
消滅させたりダメージを与えたりすることなく射出成形
するには、射出成形時のメルト温度を厳密にコントロー
ルする必要がある。つまり、マトリックスは溶融するが
熱可塑性液晶樹脂繊維は溶融せず、かつ熱による応力緩
和を生じないメルト温度に設定する必要がある。ポリプ
ロピレン系樹脂をマトリックスとする本発明において
は、ポリプロピレン系樹脂の融点よりも高いが熱可塑性
液晶樹脂を消滅させないためになるべく低い温度である
170〜190℃にメルト温度をコントロールして射出
成形することで、熱可塑性液晶樹脂繊維を消滅させた
り、ダメージを与えたりすることなく成形することがで
きる。射出成形時のメルト温度は、射出成形機のバレル
温度と可塑化時のスクリュー回転数の制御により170
〜190℃にコントロールする。
【0027】上記のように、混練押出工程においてポリ
プロピレン系樹脂中に繊維径が0.5〜8μm程度の熱
可塑性液晶樹脂繊維が均一に生成した樹脂ペレットを
得、これを射出成形工程において、メルト温度を170
〜190℃にコントロールすることで、熱可塑性液晶樹
脂繊維が表面部及び内部を問わず均一に分布しており、
曲げ弾性率が6GPa以上、曲げ強度が90MPa以上
の高剛性、高強度の成形品が得られる。前記の範囲より
高い温度で成形した場合には、マトリックス中の熱可塑
性液晶樹脂繊維が粒子状になる傾向が強くなり、成形品
の強度及び剛性が損なわれることになる。射出成形に使
用する金型温度は、一般的には20〜80℃でよいが、
金型温度を20〜60℃とすることで、高温のメルトを
金型内で急速に冷却させることができ、熱可塑性液晶樹
脂繊維の配向構造の熱緩和を抑制して成形品の力学特性
を高くすることができる。
【0028】なお、本発明の熱可塑性樹脂成形品には、
通常の無機フィラーや無機のウィスカー等を添加しても
よいが、その添加量はポリプロピレン系樹脂及び熱可塑
性液晶樹脂の合計量に対して2〜20重量%程度の範囲
とすることが好ましい。
【0029】
【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げるが、本発明
はこれらの実施例になんら限定されるものではない。な
お、実施例の記載に先立ち、使用した混練押出機、射出
成形機、相溶化剤及び熱可塑性液晶樹脂並びに成形品の
評価方法を以下に記載する。
【0030】[混練押出機]混練押出機は、日本製鋼所
製の同方向回転二軸混練押出機(TEX−30HSST
−42BW−4V、スクリュー径;φ30、L/D=4
2)を使用した。
【0031】[射出成形機]射出成形機は、日精樹脂工
業製の射出成形機(FN1000TM12H)を使用し
た。
【0032】[相溶化剤]相溶化剤は、高結晶性ポリプ
ロピレン(商品名J136P;融点165℃、グランド
ポリマー製)にスチレンモノマー(試薬一級、キシダ化
学製)を5重量%及びジクミルパーオキサイド(商品名
パークミルD、日本油脂製)を0.1重量%配合したも
のに、無水マレイン酸(試薬一級、キシダ化学製)、メ
タクリル酸グリシジル(試薬一級、キシダ化学製)又は
メタアクリル酸(試薬一級、キシダ化学製)をそれぞれ
5重量%添加し、ヘンシェルミキサーで3分間混合した
後、上記二軸混練押出機を用いて溶融混練してペレット
状にしたもの(このようにして作成した相溶化剤を、P
P−MAH、PP−GMA、PP−MAと略記す
る。)、並びに全芳香族ポリエステル(商品名ベクトラ
A950;融点260℃、ポリプラスチックス製)にポ
リアミド6(商品名1011FB;分子量11,00
0、融点220℃、宇部興産製)10重量%を加え、こ
れにパラトルエンスルホン酸(試薬一級、キシダ化学
製)を0.1重量部添加した後、上記二軸混練押出機を
用いて溶融混練してペレット状にしたもの(このように
して作成した相溶化剤を、PA6−LCPと略記す
る。)を使用した。
【0033】[熱可塑性液晶樹脂]熱可塑性液晶樹脂
は、全芳香族ポリエステル(商品名ベクトラA950;
融点260℃、ポリプラスチックス製)、ならびに、こ
のベクトラA950に対し、半芳香族ポリエステル(商
品名ロッドランLC3000;融点200℃、又はロッ
ドランLC5000;融点240℃、いずれもユニチカ
製)を10重量%あるいは20重量%添加し、上記二軸
混練押出機を用いてバレル温度270℃、吐出量10k
g/hにて予め溶融混練してペレット状にしたものを用
いた。
【0034】[成形品の力学特性の測定]前記射出成形
機により厚さ3mmの平板状成形品を成形し、曲げ強度
及び曲げ弾性率を、島津製の試験機(島津オートグラフ
AGS1000)により、JISK7203に準拠して
測定し、熱可塑性液晶樹脂の繊維化状態の指針とした。
【0035】[成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶
樹脂繊維の繊維径の測定]熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維
径は、成形品の表面部及び内部から切片を採取し、23
0℃の熱板で厚さ20μmのフィルムとし、光学顕微鏡
を用いて250倍で観察し、成形品の表面部及び内部の
ぞれぞれの熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0036】(実施例1)流動特性が、MFR=8g/
10minの高結晶性ポリプロピレン(商品名CJ70
0;融点165℃、グランドポリマー製)に、ベンジリ
デンソルビトール系結晶核剤(商品名ゲオールMD、新
日本理化製)を0.2重量部、相溶化剤として、PP−
MAH、PP−GMA又はPP−MAをそれぞれ前記ポ
リプロピレンに対して25重量%添加したものをマトリ
ックスとし、これに全芳香族ポリエステル(ベクトラA
950)に半芳香族ポリエステル(ロッドランLC30
00)を10重量%添加した熱可塑性液晶樹脂を、体積
比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=60:40、
70:30、80:20としてヘンシェルミキサーで3
分間混合した後、上記二軸混練押出機に正回転方向及び
逆回転方向のニーディングティスクを中央に設置したス
クリュー及び4穴ダイを取り付け、下記の条件で溶融混
練してストランド状に押出成形し、高速ペレタイザー
(HSC−100、いすず化工機製)にて射出成形用の
樹脂ペレットを作成した。
【0037】[溶融混練条件] バレル温度/ダイ温度;280℃ 吐出量;20kg/h ドロー比;10(ストランド引取速度80m/min)
【0038】また、この樹脂ペレットを、ホットステー
ジ付き光学顕微鏡を用いて冷却速度5℃/minで溶融
状態からのポリプロピレンマトリックスの結晶化温度を
測定すると145℃であり、固化後の平均球晶径は約
0.8μmであった。この射出成形用樹脂ペレットを用
いて上記射出成形機にてメルト温度180℃、金型温度
60℃で平板状成形品(80×10×3t)を成形し、
曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部
の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0039】(実施例2)流動特性がMFR=2g/1
0minの高結晶性ポリプロピレン(商品名HT600
4;融点165℃、チッソ製)又は流動特性がMFR=
20g/10minの高結晶性ポリプロピレン(商品名
J136;融点165℃、グランドポリマー製)に、実
施例1と同じ結晶核剤をそれぞれ0.2重量部、及び相
溶化剤としてPP−MAHを25重量%添加し、実施例
1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体積比でポリプロピレン:
熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサ
ーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して
射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレット
を用いてメルト温度180℃、金型温度60℃で射出成
形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ
弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹
脂繊維の繊維径を測定した。
【0040】(実施例3)実施例1と同じ高結晶性ポリ
プロピレンに、実施例1と同じ結晶核剤、並びに相溶化
剤としてPP−MAH及びPA6−LPCを重量比で5
0:50でブレンドしたものを25重量%加え、実施例
1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体積比でポリプロピレン:
熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミキサ
ーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練して
射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレット
を用いてメルト温度180℃、金型温度60℃で射出成
形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ
弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹
脂繊維の繊維径を測定した。
【0041】(実施例4)マトリックスとして、実施例
1のうち、相溶化剤としてPP−MAHを高結晶性ポリ
プロピレンに25重量%添加したものを用い、熱可塑性
液晶樹脂として、全芳香族ポリエステル(ベクトラA9
50)のみを体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹
脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混合
し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂
ペレットを作製した。この樹脂ペレットを用いてメルト
温度180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状
成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成
形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径
を測定した。
【0042】(実施例5)マトリックスとして、実施例
1のうち、相溶化剤としてPP−MAHを高結晶性ポリ
プロピレンに対して25重量%添加したものを用い、熱
可塑性液晶樹脂として、全芳香族ポリエステル(ベクト
ラA950)に半芳香族ポリエステル(ロッドランLC
5000)を10重量%添加したものを、体積比でポリ
プロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘン
シェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で
溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この
樹脂ペレットを用いてメルト温度180℃、金型温度6
0℃で射出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ
強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱
可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0043】(比較例1)マトリックスとして、実施例
1のうち、相溶化剤としてPP−MAHを高結晶性ポリ
プロピレンに対して25重量%添加したものを用い、実
施例1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体積比でポリプロピレ
ン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシェルミ
キサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶融混練
して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹脂ペレ
ットを用いてメルト温度230℃、金型温度60℃で射
出成形を行い平板状成形品を成形し、その曲げ強度及び
曲げ弾性率並びに成形品の表面部及び内部の熱可塑性液
晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0044】(比較例2)実施例1と同じ高結晶性ポリ
プロピレンに実施例1と同じ結晶核剤を添加し、相溶化
剤は添加せずに、実施例1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体
積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30
としてヘンシェルミキサーで3分間混合し、実施例1と
同一条件で溶融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製
した。この樹脂ペレットを用いてメルト温度180℃、
金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形品を成形
し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品の表面部
及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測定した。
【0045】(比較例3)実施例1と同じ高結晶性ポリ
プロピレンに結晶核剤を添加せず、相溶化剤としてPP
−MAHをポリプロピレンに対して25重量%を添加
し、実施例1と同じ熱可塑性液晶樹脂を体積比でポリプ
ロピレン:熱可塑性液晶樹脂=70:30としてヘンシ
ェルミキサーで3分間混合し、実施例1と同一条件で溶
融混練して射出成形用樹脂ペレットを作製した。この樹
脂ペレットをホットステージ付き光学顕微鏡を用いて溶
融状態からのマトリックスの結晶化温度を測定すると1
33℃であった。この樹脂ペレットを用いてメルト温度
180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平板状成形
品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品
の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径を測
定した。
【0046】(比較例4)マトリックスとして実施例1
と同じ高結晶性ポリプロピレンに結晶核剤及び相溶化剤
としてPP−MAHをポリプロピレンに対して25重量
%添加したものを用い、熱可塑性液晶樹脂として全芳香
族ポリエステル(ベクトラA950)に半芳香族ポリエ
ステル(ロッドランLC3000)を20重量%配合し
て上記二軸混練押出機を用いてメルト温度270℃、吐
出量10kg/hにて予め溶融混練してペレット状にし
たものを用い、体積比でポリプロピレン:熱可塑性液晶
樹脂=70:30としてヘンシェルミキサーで3分間混
合し、実施例1と同一条件で溶融混練して射出成形用樹
脂ペレットを作製した。この樹脂ペレットを用いて、メ
ルト温度180℃、金型温度60℃で射出成形を行い平
板状成形品を成形し、その曲げ強度及び曲げ弾性率並び
に成形品の表面部及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊
維径を測定した。
【0047】以上の実施例1〜5及び比較例1〜4の射
出成形品の曲げ強度及び曲げ弾性率並びに成形品表面部
及び内部の熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径の測定結果を
表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1から明らかなように、本発明の各実施
例の熱可塑性樹脂成形品は、いずれも成形品中の熱可塑
性液晶樹脂繊維の繊維径が8μm以下であり、曲げ弾性
率が6GPa以上、曲げ強度が90MPa以上を示し、
比較例の成形品との力学特性の差は歴然としている。こ
のように熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径が小さい各実施
例の成形品の曲げ強度、曲げ弾性率に代表される力学特
性値が高くなっていることから、成形品の力学特性が、
補強繊維とする熱可塑性液晶樹脂繊維の繊維径と関係す
ることは明らかである。従って、本発明によれば、成形
品中に熱可塑性液晶樹脂繊維を微細に分散させて、高剛
性、高強度の成形品を得ることができ、製品に求められ
る力学特性レベルに対して薄肉化が可能となり、製品の
軽量化に貢献することができる。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、成形品
の強度及び剛性が高く、薄肉化が可能であるため、製品
の軽量化が可能となり、かつリサイクルを行っても、本
発明により溶融混練及び射出成形することで、マトリッ
クス樹脂中で熱可塑性液晶樹脂を再び微細な繊維状に分
散させることができ、力学特性の高度に保持された熱可
塑性樹脂成形品を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/03 C08L 67/03 101/00 101/00 // B29K 23:00 B29K 23:00 67:00 67:00 105:16 105:16 (72)発明者 老子 真人 京都府京都市右京区常盤古御所町6−24 Fターム(参考) 4F071 AA20 AA48 AA78 AB26 BB05 BC17 4F206 AA11 AA24 AB07 AB08 AC01 AR062 AR12 AR17 AR18 AR20 JA07 JL02 JM04 JN11 JN43 4J002 BB12W BB20Z BP02W CE00Z CF06Y CF16X CF18Y DJ016 DJ046 EL086 FD206

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性液晶樹
    脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリプロピレン系樹脂及
    び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ熱可塑性液晶樹脂が
    液晶性を保持しうる温度で溶融、混練、押出成形するこ
    とで得られる、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性液晶
    樹脂が繊維状に分散し射出成形用樹脂ペレットを、17
    0〜190℃のメルト温度で射出成形してなる熱可塑性
    樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレ
    ート(MFR)が2〜20g/10minの範囲内の流
    動特性を有する請求項1に記載の熱可塑性樹脂成形品。
  3. 【請求項3】 熱可塑性液晶樹脂が、全芳香族ポリエス
    テルである請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂成形
    品。
  4. 【請求項4】 熱可塑性液晶樹脂が、全芳香族ポリエス
    テルに1〜15重量%の半芳香族ポリエステルを添加し
    たものである請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂成形
    品。
  5. 【請求項5】 相溶化剤が、カルボキシル基、水酸基、
    エポキシ基等の官能基で変性した高結晶性ポリプロピレ
    ン、又はポリアミド樹脂と熱可塑性液晶樹脂を酸触媒に
    よりコポリマー化したものである請求項1〜4のいずれ
    かに記載の熱可塑性樹脂成形品。
  6. 【請求項6】 直径0.5〜8μmの熱可塑性液晶樹脂
    繊維が成形品全体にほぼ均一に分散しており、曲げ弾性
    率が6GPa以上、曲げ強度が90MPa以上である請
    求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形品。
  7. 【請求項7】 押出工程において、ポリプロピレン系樹
    脂、熱可塑性液晶樹脂、結晶核剤及び相溶化剤を、ポリ
    プロピレン系樹脂及び熱可塑性液晶樹脂が溶融し、かつ
    熱可塑性液晶樹脂が液晶性を保持しうる温度で溶融、混
    練、押出成形して、ポリプロピレン系樹脂中に熱可塑性
    液晶樹脂を繊維状に生成、分散させた射出成形用樹脂ペ
    レットを得、射出工程において、170〜190℃のメ
    ルト温度で前記樹脂ペレットを射出成形することで、成
    形品中に微細な熱可塑性液晶樹脂繊維を均一に分散させ
    る熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
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