JP2012047799A - 偏光子の製造方法 - Google Patents

偏光子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012047799A
JP2012047799A JP2010187145A JP2010187145A JP2012047799A JP 2012047799 A JP2012047799 A JP 2012047799A JP 2010187145 A JP2010187145 A JP 2010187145A JP 2010187145 A JP2010187145 A JP 2010187145A JP 2012047799 A JP2012047799 A JP 2012047799A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarizer
drying
polyvinyl alcohol
film
polarizing plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010187145A
Other languages
English (en)
Inventor
Akinori Isaki
章典 伊崎
Yoshimi Ochiai
良美 落合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2010187145A priority Critical patent/JP2012047799A/ja
Publication of JP2012047799A publication Critical patent/JP2012047799A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)

Abstract

【課題】高温環境下において優れた寸法安定性および外観を有する偏光子を提供すること。
【解決手段】本発明の偏光子の製造方法は、第1乾燥工程および第2乾燥工程によりポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させることを含み、該第1乾燥工程の加熱温度が、25℃以上65℃未満であり、該第2乾燥工程の加熱温度が、65℃以上115℃以下であり、該第2乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率が14%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光子の製造方法に関する。
液晶表示装置は、その表示メカニズムに起因して、偏光板を必須の構成要素として含む。偏光板は、代表的には、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムに二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子の両側に保護層が貼り合わせられている。ところで、液晶表示装置の用途が拡大するに伴って、液晶表示装置の薄型化および低コスト化の要望が高まっており、液晶表示装置の必須構成要素である偏光板についても薄型化および低コスト化が要望されている。
このような要望に対応するために、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板が提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、PVA系の偏光子は力学的性質および光学的耐久性に乏しいので、片側のみに保護層を設けた偏光板では、偏光子の寸法変化が起こりやすく、偏光板製造時の乾燥工程において保護層側に凸となるカールが発生しやすいという問題がある。
このような偏光板製造時に生じるカールを防止する方法としては、偏光子の保護層とは反対側に工程紙(樹脂フィルム)を貼り合わせて偏光板を製造する方法が提案されている(特許文献3)。しかし、このような方法は、工程紙使用による材料コストの増加、および工程紙剥離工程を要することによる製造工数の増加の問題がある。また、偏光板製造時の乾燥工程を低温で行う方法も提案されている(特許文献4)。しかし、このような方法は、乾燥に長時間を要し、生産性が低いという問題がある。さらに、これらの方法はいずれも、偏光子自体の寸法安定性を向上させることはできていない。
偏光子の寸法安定性を向上させる方法としては、偏光子製造時の乾燥工程を高温で行う方法が提案されている(特許文献5)。しかし、このような方法によれば、乾燥時にシワが生じて、外観上問題のある偏光子しか得ることができない。
特開平10−186133号公報 特開2007−193333号公報 特開2007−292872号公報 特開2009−181042号公報 特開2009−109860号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高温環境下において優れた寸法安定性および外観を有する偏光子を提供することにある。
本発明の偏光子の製造方法は、25℃以上65℃未満の加熱温度で、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる第1乾燥工程と、該第1乾燥工程で乾燥したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、65℃以上115℃以下の加熱温度乾燥させる第2乾燥工程とを含み、該第2乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率が14%以下である。
好ましい実施形態においては、上記第1乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率が、20%以下である。
好ましい実施形態においては、上記第1乾燥工程が、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の収縮を抑制しながら行われる。
好ましい実施形態においては、上記第1乾燥工程における乾燥方法が、熱ロールを用いる乾燥方法である。
本発明の別の局面によれば、偏光板が提供される。この偏光板は、上記の偏光子と、該偏光子の片側に配置された保護層とを有する。
本発明の別の偏光板は、上記の偏光子と、該偏光子の両側に配置された保護層とを有する。
本発明の偏光子の製造方法の一例における第1乾燥工程で用いられるロール搬送手段の概念図である。 本発明の1つの実施形態による偏光板の概略断面図である。 本発明の別の実施形態による偏光板の概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による偏光板の概略断面図である。
A.偏光子の製造方法
本発明の偏光子の製造方法は、25℃以上65℃未満の加熱温度で、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる第1乾燥工程と、第1乾燥工程で乾燥したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、65℃以上115℃以下の加熱温度乾燥させる第2乾燥工程とを含む。1つの実施形態においては、本発明の偏光子の製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色工程、架橋工程、延伸工程に供し、これらの工程の後に、第1乾燥工程および第2乾燥工程を行い、偏光子を得る。
染色工程においては、上記ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムにヨウ素または二色性染料を吸着・配向させる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルエステル系モノマーを重合して得られるビニルエステル系重合体をケン化することによって得ることができる。上記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、好ましくは95.0モル%〜99.9モル%である。上記ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。ケン化度が上記の範囲であるポリビニルアルコール系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光子が得られ得る。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切な値が選択され得る。上記平均重合度は、好ましくは1200〜3600である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
上記染色工程における染色は、通常、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色溶液(染色浴)に浸漬することにより行われる。染色溶液としてはヨウ素溶液が一般的である。ヨウ素溶液中のヨウ素濃度は、好ましくは0.01重量%〜1重量%、さらに好ましくは0.02重量%〜0.5重量%である。染色工程においては、ヨウ素溶液の温度は、通常20℃〜50℃程度、好ましくは25℃〜40℃である。ヨウ素溶液への浸漬時間は、通常10秒〜300秒、好ましくは20秒〜240秒である。
染色工程においては、必要に応じて延伸を行うことができる。染色工程において延伸を施すことにより、後述の延伸工程における延伸倍率を小さくすることができ、フィルムの破断を防止することができる。染色工程における延伸倍率は、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの元長に対して、通常6.5倍以下、好ましくは1.2倍〜6.5倍、さら好ましくは2倍〜4倍、特に好ましくは2倍〜3倍である。染色工程における延伸倍率が大きくなりすぎると、延伸工程での延伸倍率が小さくなり過ぎるので、特に架橋工程の後に延伸工程を施す場合には十分な光学特性が得られない場合がある。
架橋工程においては、通常、架橋剤としてホウ素化合物が用いられる。架橋工程の順序は特に制限されない。架橋工程は、延伸工程とともに行うことができる。架橋工程は複数回行うことができる。ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。ホウ素化合物は、通常、ホウ酸水溶液の形態で用いられる。ホウ酸水溶液のホウ酸濃度は、2重量%〜15重量%程度、好ましくは3重量%〜13重量%である。ホウ酸濃度がこのような範囲であれば、架橋処理により、得られる偏光子に効率的に耐熱性等を付与することができる。ホウ酸水溶液には、ヨウ化カリウム等のヨウ化化合物を含有させてもよい。架橋は、通常、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液(架橋浴)に浸漬することにより行われる。あるいは、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、ホウ素化合物を、塗布法、噴霧法等により適用してもよい。架橋工程における処理温度は、通常25℃以上、好ましくは30℃〜85℃、さらに好ましくは30℃〜60℃である。処理時間は、通常5秒〜800秒、好ましくは8秒〜500秒である。
延伸工程においては、通常、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが一軸延伸に供される。延伸工程は、染色工程および/または架橋工程とともに行うことができる。延伸方法としては、湿式延伸および乾式延伸のいずれも採用することができる。湿式延伸においては、一般的には、染色工程の後、延伸が行われる。あるいは、架橋工程とともに延伸を行うことができる。乾式延伸においては、延伸手段としては、例えば、ロール間延伸方法、加熱ロール延伸方法、圧縮延伸方法等が挙げられる。当該延伸手段においては、未延伸フィルムは、通常、加熱状態とされる。延伸工程は多段で行うこともできる。
上記湿式延伸においては、用いられる処理液(延伸浴)にヨウ化化合物を含有させることができる。この場合、ヨウ化化合物濃度は、好ましくは0.1重量%〜10重量%、さらに好ましくは0.2重量%〜5重量%である。湿式延伸における処理温度は、通常25℃以上、好ましくは30℃〜85℃、さらに好ましくは30℃〜60℃である。浸漬時間は、通常10秒〜800秒、好ましくは30秒〜500秒である。
延伸による総延伸倍率は、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの元長に対して、好ましくは3倍〜17倍、さらに好ましくは4倍〜10倍、特に好ましくは4倍〜8倍である。なお、「総延伸倍率」とは、延伸工程以外の工程(例えば、後述の膨潤工程)において延伸を伴う場合には、それらの工程における延伸を含めた累積の延伸倍率をいう。総延伸倍率が低すぎると、配向が不足して、高い光学特性(代表的には、偏光度)を有する偏光子が得られない場合が多い。総延伸倍率が高すぎると、延伸の際にフィルムの破断が起こりやすく、また、得られる偏光子が薄くなりすぎて、続く工程での加工性が低下するおそれがある。
本発明の偏光子の製造方法においては、代表的には、上記染色工程の前に、膨潤工程を施すことができる。膨潤は、通常、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理液(膨潤浴)に浸漬することにより行われる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させることにより、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるのみならず、染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。上記処理液としては、通常、水、蒸留水、純水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が含まれていてもよい。膨潤工程における処理温度は、通常20℃〜45℃、好ましくは25℃〜40℃である。浸漬時間は、通常10秒〜300秒、好ましくは20秒〜240秒である。膨潤工程においては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを均一に膨潤させることが好ましい。フィルムを均一に膨潤させることにより、染色ムラが防止され得る。
膨潤工程においては、必要に応じて延伸を行うことができる。膨潤工程において延伸を施すことにより、上記延伸工程における延伸倍率を小さくすることができ、フィルムの破断を防止することができる。膨潤工程における延伸倍率は、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの元長に対して、通常6.5倍以下、好ましくは1.2倍〜6.5倍、さら好ましくは2倍〜4倍、特に好ましくは2倍〜3倍である。膨潤工程における延伸倍率が大きくなりすぎると、延伸工程での延伸倍率が小さくなり過ぎるので、特に架橋工程の後に延伸工程を施す場合には十分な光学特性が得られない場合がある。
本発明の偏光子の製造方法においては、必要に応じて金属イオン処理を施すことができる。金属イオン処理は、金属塩を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することにより行われる。金属イオン処理により、種々の金属イオン(代表的には、コバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、鉄などの遷移金属の金属イオン)をポリビニルアルコール系樹脂フィルム中に含有させることができる。金属イオン処理を行う段階は特に制限されず、製造方法における任意の適切な時点で行うことができる。また、染色浴、架橋浴および/または延伸浴中に金属塩を共存させて、染色工程、架橋工程および/または延伸工程と同時に金属イオン処理を行ってもよい。
本発明の偏光子の製造方法においては、代表的には、乾燥工程前の任意の適切な時点で洗浄工程を施すことができる。代表的には、洗浄工程は、上記染色工程、架橋工程および延伸工程を施した後に行われる。洗浄工程においては、代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが、ヨウ化カリウム溶液に浸漬されて洗浄される。当該ヨウ化カリウム溶液におけるヨウ化カリウム濃度は、通常0.5重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜8重量%、さらに好ましくは1重量%〜6重量%である。ヨウ化カリウム溶液による洗浄工程における処理温度は、通常15℃〜60℃、好ましくは25℃〜40℃である。処理時間(浸漬時間)は、通常1秒〜120秒、好ましくは3秒〜90秒である。
あるいは、洗浄工程においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水(代表的には、イオン交換水、蒸留水などの純水)に浸漬して洗浄してもよい。水による洗浄工程における処理温度は、通常5℃〜50℃、好ましくは10℃〜45℃、さらに好ましくは15℃〜40℃である。処理時間(浸漬時間)は、通常10秒〜300秒、好ましくは20秒〜240秒である。水による洗浄工程は、上記ヨウ化カリウム溶液による洗浄工程と組み合わせてもよい。また、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを適宜水に加えて洗浄液としてもよい。
本発明の製造方法においては、上記染色工程、架橋工程および延伸工程、ならびに必要に応じて任意の処理工程を施したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥工程に供して、偏光子が得られる。代表的には、上記染色工程、架橋工程および延伸工程等が連続的に行われるので、乾燥工程(第1乾燥工程および第2乾燥工程)もまた、上記各工程から連続して行われ得る。
第1乾燥工程前のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率は、好ましくは25重量%〜55重量%、さらに好ましくは27重量%〜52重量%、特に好ましくは30重量%〜50重量%である。乾燥前の重量水分率がこのような範囲であれば、乾燥条件を適切に選択することにより、所望の重量水分率を有する偏光子が効率良く得られ得る。乾燥前の重量水分率は、上記各工程における処理浴へのフィルムの浸漬時間等を調整することにより制御することができる。重量水分率は、以下のようにして測定される:測定されるべきフィルムを100mm×100mmの大きさに切り出して試料フィルムとし、この試料フィルムの初期重量を測定する。続いて、この試料フィルムを120℃で2時間乾燥し、乾燥重量を測定して、下記式により水分率を決定する。なお、下記式において、初期重量および乾燥重量は、それぞれ3回測定を行った平均値である。
水分率(重量%)=〔(初期重量−乾燥重量)/初期重量〕×100
乾燥工程は、低温で乾燥する第1乾燥工程と、高温で乾燥する第2乾燥工程とを含む。
上記第1乾燥工程においては、好ましくは、第1乾燥工程は、フィルムの幅方向の収縮を抑制しながら行われる。第1乾燥工程においてフィルムの幅方向の収縮を抑制する手段としては、代表的には、ロール搬送が挙げられる。図1は、第1乾燥工程で用いられるロール搬送手段の概念図である。図示例では、搬送ロールR1〜R6が連続して設けられている。上流側の搬送ロールR1の前にはガイドロールG1が、下流側の搬送ロールR6の後にはガイドロールG2が、それぞれ設けられている。図1では、6つの搬送ロールが設けられているが、搬送ロールは複数個であれば特に制限はない。搬送ロールは、通常2個〜40個、好ましくは4個〜30個設けられる。ロール搬送手段は、通常の製造ライン(室温環境下)に設けてもよく、オーブン等の加熱炉内に設けてもよい。
上記搬送ロールの回転速度は、各搬送ロールが同じ回転速度でもよく、上流側搬送ロールの回転速度と下流側搬送ロールの回転速度とが異なる回転速度であってもよい。好ましくは、各搬送ロールが同じ回転速度である。このように設定すれば、フィルムの外観不良を防止することができる。
上流側搬送ロールの回転速度と下流側搬送ロールの回転速度とが異なる回転速度である場合、好ましくは、上流側の2つの搬送ロール(図示例では搬送ロールR1およびR2)の回転速度を異なるように設定する。通常、回転速度が異なるように設定される2つの搬送ロール以外の搬送ロールは、同じ回転速度に設定される。回転速度が異なる2つの搬送ロールについては、上流側の搬送ロールの回転速度が大きくてもよく、下流側の搬送ロールの回転速度が大きくてもよい。より具体的には、下記式で表される2つのロールの速度比は、好ましくは、95%以上100%未満、または、100%を超え130%以下である。
速度比=(下流側搬送ロールの回転速度/上流側搬送ロールの回転速度)×100(%)
フィルムはすでに延伸されているので、下流側の搬送ロールの回転速度が小さくても(速度比が100%未満であっても)、緩み等の不具合を生じることなく搬送できる。下流側の搬送ロールの回転速度が小さい場合の速度比は、さらに好ましくは96%〜99.9%、特に好ましくは98%〜99.8%である。下流側の搬送ロールの回転速度が大きい場合の速度比は、さらに好ましくは100.1%〜110%、特に好ましくは100.2%〜103%である。なお、速度比が95%未満である場合には搬送不良が生じる場合があり、速度比が130%を超えるとフィルムが破断する場合がある。
第1乾燥工程における加熱温度は、25℃以上65℃未満であり、好ましくは30℃〜60℃であり、さらに好ましくは40℃〜60℃であり、特に好ましくは50℃〜60℃である。このような範囲であれば、外観不良の発生を防ぎつつ、フィルムの重量水分率を所定量まで調整することができる。加熱は、例えば加熱炉を用いて加熱雰囲気下でフィルムを搬送して行ってもよく、ロールを加熱して(いわゆる熱ロールを用いて)行ってもよく、これらを併用してもよい。好ましくは、加熱は、熱ロールを用いて行われる。熱ロールを用いることにより、第1乾燥工程におけるフィルムの幅方向の収縮を良好に防止することができるので、寸法変化を抑制し、薄膜かつ外観に優れる偏光子を得ることができる。また、均一な加熱が可能なので、得られる偏光子の外観不良を防止することができる。さらに、加熱効率が高いので、短い加熱時間で乾燥処理を行うことができる。加熱時間は、搬送ロールの数、搬送ロールの回転速度を調整することにより制御され得る。例えば加熱炉を用いる場合には、加熱炉内を搬送される時間は、好ましくは30秒〜180秒、さらに好ましくは45秒〜150秒である。例えば熱ロールを用いる場合には、フィルムとロールとの接触時間は、好ましくは2秒〜60秒、さらに好ましくは5秒〜50秒である。
第1乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率は、好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは18%以下であり、特に好ましくは16%以下であり、最も好ましくは10%〜16%である。このような範囲であれば、次工程の第2乾燥工程におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の収縮を抑制することができる。また、第2乾燥工程において、ポリビニルアルコール系樹脂の高い結晶化または架橋が実現されると推定される。
上記第2乾燥工程における加熱温度は、65℃〜115℃であり、好ましくは70℃〜110℃である。このような範囲であれば、高温高湿環境下においても寸法安定性および光学的耐久性に優れる偏光子を得ることができる。第2乾燥工程における加熱方法は特に限定されず、任意の適切な加熱方法が採用され得る。上記第1乾燥工程と同様に、加熱は、例えば加熱炉を用いて加熱雰囲気下でフィルムを搬送して行ってもよく、ロールを加熱して(いわゆる熱ロールを用いて)行ってもよく、これらを併用してもよい。上記第1乾燥工程において熱ロールを用いる場合には、第2乾燥工程においても熱ロールを用いることにより、加熱炉等を別途設置することなく連続的な製造を行うことができる。さらに、フィルムの幅方向の収縮をさらに良好に抑制することができる。加熱時間は、好ましくは20秒〜120秒、さらに好ましくは30秒〜90秒である。
第2乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率(すなわち、得られる偏光子の重量水分率)は、14%以下であり、好ましくは13%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは3%〜8%である。このような範囲であれば、高温高湿環境下においても寸法安定性および光学的耐久性に優れる偏光子を得ることができる。その結果、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板(以下、片保護偏光板ともいう)に用いられる場合でも、当該片保護偏光板製造時の乾燥処理における水分蒸発に伴う幅方向の収縮が少なく、カールの生じ難い片保護偏光板を得ることができる。
このような特定の加熱温度により2段階乾燥を行い、偏光子の重量水分率を上記範囲に調整することにより、高温環境下においても優れた寸法安定性を有する偏光子を得ることができる。その結果、本発明の偏光子は、寸法変化が起こりにくく、カールの生じ難い片保護偏光板の製造に寄与し得る。理論的には明らかではないが、本発明の製造方法により得られる偏光子は、上記範囲の重量水分率に調整されて、偏光板製造時の乾燥処理における水分蒸発に伴う幅方向の収縮が抑制されることに加えて、第1乾燥工程でフィルムの重量水分率を所定量まで下げた後の第2乾燥工程における高温度での加熱が、低温では乾燥し難い水(例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム中の結晶水、ポリビニルアルコール系樹脂と架橋している水)の蒸発を促進させ得ること、およびポリビニルアルコール分子鎖の自由度を低下させて結晶化およびホウ酸架橋を促進させ得ることにより、優れた寸法安定性を有すると推定される。
また、本発明の製造方法により得られる偏光子は、高温環境下に供されても、外観の悪化および/または配向緩和による光学特性の劣化が生じ難い。さらに、当該偏光子は、耐水性に優れ、高湿環境下において優れた寸法安定性および光学的耐久性を有するのみならず、水系接着剤を用いて他の光学部材(例えば、保護層)と貼り合わせた際にも、長期にわたって寸法変化が生じ難い。これらの効果は、上記のように、2段階乾燥を行うことによって、ポリビニルアルコール分子鎖の自由度が低下し、結晶化およびホウ酸架橋が促進したことにより得られると推定される。
以上のようにして、本発明の偏光子が製造され得る。なお、本発明の偏光子の製造方法における具体的な操作や条件のうち本明細書に記載されていないものについては、特開2009−48179号公報および特開2009−163202号公報に記載の操作や条件が採用され得るか、あるいは、当業界における一般的な操作や条件が採用され得る。
B.偏光子
本発明の製造方法により得られる偏光子は、好ましくは、0.030≦Rpva≦0.040を満足する。ここで、Rpvaは、波長1000nmにおいて、偏光子の面内で屈折率が最大になる方向の屈折率をnx、当該屈折率が最大になる方向に直交する方向の屈折率をnyとしたとき、Rpva=nx−nyで表される。Rpvaは、さらに好ましくは0.030≦Rpva≦0.039であり、特に好ましくは0.030≦Rpva≦0.035である。偏光子中の配向に寄与しない(代表的には、配向性の低い)結晶量が増大することにより、このような特性が満足されると推定される。Rpvaがこのような範囲の偏光子であれば、高温高湿環境下において優れた寸法安定性および光学的耐久性を有し得る。その結果、当該偏光子は、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板に用いられる場合でも、寸法変化および光学特性の劣化が起こりにくく、実用上許容可能な寸法安定性および光学的耐久性を実現することができる。このような範囲のRpvaを有する偏光子は、上記のように乾燥工程として2段階乾燥を採用することにより得られ得る。
本発明の偏光子は、二色比DRが好ましくは160以上であり、さらに好ましくは160〜220であり、特に好ましくは170〜210であり、最も好ましくは175〜185である。二色比DRがこのような範囲であれば、正面コントラストの高い液晶パネルおよび液晶表示装置を得ることができる。このような液晶パネルおよび液晶表示装置は、例えば、テレビ用途に適する。このような範囲の二色比を有する偏光子は、上記のように乾燥工程として2段階乾燥を採用することにより得られ得る。なお、二色比DRは下記の式から求めることができる。
二色比DR=log(0.919/k)/log(0.919/k
ここで、kは偏光子の透過軸方向の透過率であり、kは偏光子の吸収軸方向の透過率であり、定数0.919は界面反射率である。
本発明の偏光子は、透過率(単体透過率)Tsが好ましくは42%以上であり、さらに好ましくは42.2%〜44.0%であり、特に好ましくは42.5%〜43.0%である。透過率Tsがこのような範囲であれば、輝度の高い液晶パネルまたは液晶表示装置を得ることができる。このような液晶パネルおよび液晶表示装置は、例えば、テレビ用途に適する。なお、偏光板の透過率は、以下の式から求めることができる。
透過率=(k+k)/2
ここで、kは偏光子の透過軸方向の透過率であり、kは偏光子の吸収軸方向の透過率である。
本発明の偏光子は、上記のとおり、ヨウ素または二色性染料等の二色性物質を含有するポリビニルアルコール(PVA)系樹脂を主成分とする。
本発明の製造方法により得られる偏光子のヨウ素含有量は、好ましくは1.8重量%〜5.0重量%であり、さらに好ましくは2.0重量%〜4.0重量%である。ヨウ素含有量を上記の範囲とすることによって、好ましい範囲の透過率の偏光板が得られ、正面方向のコントラスト比が高い液晶表示装置を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる偏光子のホウ酸含有量は、ホウ素換算で、好ましくは0.5重量%〜3.0重量%であり、さらに好ましくは1.0重量%〜2.8重量%であり、特に好ましくは1.5重量%〜2.6重量%である。上記のように、本発明によれば、ホウ酸量を増量することなく、加湿環境下において優れた寸法安定性および光学的耐久性を有する偏光子を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる偏光子は、好ましくは、カリウムをさらに含有し得る。上記カリウム含有量は、好ましくは0.2重量%〜1.0重量%であり、さらに好ましくは0.3重量%〜0.9重量%であり、特に好ましくは0.4重量%〜0.8重量%である。カリウム含有量を上記範囲とすることによって、好ましい範囲の透過率を有し、かつ、偏光度が高い偏光板を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる偏光子の厚みは特に制限されず、目的に応じて適切な厚みが採用され得る。当該厚みは、代表的には、1μm〜80μm程度である。
C.偏光板
図2は、本発明の1つの実施形態による偏光板の概略断面図である。この偏光板100は、偏光子10と、偏光子10の片側に配置された保護層20とを有する。偏光子10は、上記A項およびB項で説明した本発明の偏光子である。上記A項およびB項で説明したように、本発明の偏光子は、加湿環境下において優れた寸法安定性および光学的耐久性を有するので、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板に用いられる場合に、その効果が顕著である。すなわち、図示例のように、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板においても、本発明の偏光子は、寸法変化および光学特性の劣化が起こりにくく、実用上許容可能な寸法安定性および光学的耐久性を実現することができる。もちろん、本発明の偏光子は、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板のみならず、図3に示すような偏光子10の両側に保護層20および30を設けた偏光板にも好適に用いられ得る。さらに、図4に示すような、偏光子10の片側に保護層20を設け、もう一方の側に位相差層40を設けた偏光板にも好適に用いられ得る。
上記保護層20および30としては、偏光板の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
上記保護層(外側保護層)20は、その表面に任意の適切な表面処理が施されてもよい。例えば、上記保護層として、表面処理が施された市販の高分子フィルムをそのまま用いることができる。あるいは、市販の高分子フィルムに任意の表面処理を施して用いることもできる。表面処理としては、拡散処理(アンチグレア処理)、反射防止処理(アンチリフレクション処理)、ハードコート処理、帯電防止処理等が挙げられる。さらに/あるいは、保護層20の外側(偏光子10とは反対側)に、表面処理層を設けてもよい。上記表面処理層は、目的に応じて、任意の適切なものを採用し得る。例えば、拡散処理(アンチグレア処理)層、反射防止処理(アンチリフレクション処理)層、ハードコート処理層、帯電防止処理層等が挙げられる。これらの表面処理層は、画面の汚れや傷つきを防止したり、室内の蛍光灯や太陽光線が画面に写り込むことによって、表示画像が見え難くなることを防止したりする目的で使用される。表面処理層は、一般的には、ベースフィルムの表面に上記の処理層を形成する処理剤を固着させたものが用いられる。上記ベースフィルムは、上記保護層を兼ねていてもよい。さらに、表面処理層は、例えば、帯電防止処理層の上にハードコート処理層を積層したような多層構造を有してもよい。
上記保護層(内側保護層)30は、光学的に等方性を有することが好ましい。具体的には、内側保護層の厚み方向の位相差Rth(550)は、好ましくは−20nm〜+20nm、さらに好ましくは−10nm〜+10nm、特に好ましくは−6nm〜+6nm、最も好ましくは−3nm〜+3nmである。内側保護層の面内位相差Re(550)は、好ましくは0nm以上10nm以下、さらに好ましくは0nm以上6nm以下、特に好ましくは0nm以上3nm以下である。このような光学的に等方性を有する保護層を形成し得るフィルムの詳細は、特開2008−180961号公報に記載されており、その記載は本明細書に参考として援用される。
上記偏光子と上記保護層とは、例えば、偏光子または保護層に接着剤を塗布してこれらを貼り合わせた後、加熱して、貼着することができる。接着剤の具体例としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。本発明の製造方法により得られる偏光子は、耐水性に優れるので、水系接着剤を用いて保護層と貼り合わせた際にも、寸法変化が生じ難い。
上記接着剤塗布後の加熱温度は、好ましくは30℃〜80℃であり、さらに好ましくは35℃〜70℃であり、特に好ましくは40℃〜60℃であり、最も好ましくは50℃〜60℃である。加熱時間は、好ましくは0.5分〜5分であり、さらに好ましくは0.5分〜4分であり、特に好ましくは0.5分〜3分である。本発明の製造方法により得られた偏光子は、高温環境下においても優れた寸法安定性および光学的耐久性を有するので、当該偏光子を用いた偏光板は、製造時に高温で加熱し得、生産性に優れる。
上記位相差層40としては、任意の適切な位相差フィルムが用いられ得る。位相差フィルムの光学特性(例えば、屈折率楕円体)、数、複数用いられる場合の配置順序等は、目的、用途、偏光板が用いられる液晶表示装置の構成等に応じて適切に選択され得る。
本発明の偏光板の透過率は、好ましくは38.3%〜44.3%であり、さらに好ましくは39.2%〜44.2%であり、特に好ましくは41.1%〜44.2%であり、最も好ましくは41.7%〜44.2%である。透過率がこのような範囲であれば、正面方向のコントラスト比が高い液晶表示装置を得ることができる。
本発明の偏光板の偏光度は、好ましくは99%以上であり、さらに好ましくは99.5%以上であり、特に好ましくは99.7%以上であり、最も好ましくは99.8%以上である。偏光度がこのような範囲であれば、正面方向のコントラスト比が高い液晶表示装置を得ることができる。
上記透過率および偏光度は、分光光度計V7100を用いて測定することができる。上記偏光度の具体的な測定方法としては、上記偏光板の平行透過率(T)および直交透過率(T90)を測定し、式:偏光度(%)={(T−T90)/(T+T90)}1/2×100より求めることができる。ここで、平行透過率Tは、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が平行となるように重ね合わせた平行型積層偏光子の透過率の値であり、直交透過率T90は、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が直交するように重ね合わせた直交型積層偏光子の透過率の値である。さらに、これらの透過率は、JlS Z 8701−1982の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における評価方法は下記の通りである。また、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
(1)重量水分率
実施例および比較例における第1乾燥工程後のフィルム、および第2乾燥工程後のフィルム(すなわち、偏光子)を100mm×100mmの大きさに切り出して試料フィルムとし、この試料フィルムの初期重量を測定した。続いて、この試料フィルムを120℃で2時間乾燥し、乾燥重量を測定して、下記式により水分率を決定した。なお、下記式において、初期重量および乾燥重量は、それぞれ3回測定を行い、その平均値を採用した。
水分率(重量%)={(初期重量−乾燥重量)/初期重量}×100
(2)偏光子の外観
実施例および比較例で得られた偏光子の外観を目視にて確認した。また、実施例および比較例で得られた偏光子を2枚準備し、これらの吸収軸が直交となるように重ね合わせた際の光抜けを確認した。外観上にシワ等の不良、および光抜けが生じた場合を良好、外観上の不良または光抜けが生じない場合を不良とした。
(3)偏光板のカールの有無
実施例および比較例で得られた偏光板のカールの有無を目視にて確認した。
<実施例1>
重合度2400、ケン化度99.7モル%、厚さ75μmのPVA系樹脂フィルムを用意した。当該フィルムを、30℃のヨウ素水溶液中で染色しながらフィルム搬送方向に3倍に延伸し、次いで、60℃の4重量%ホウ酸、5重量%のヨウ化カリウム水溶液中で、総延伸倍率が元長の6倍となるように延伸した。さらに、延伸したフィルムを30℃の2重量%のヨウ化カリウム水溶液中に数秒浸漬することで洗浄した。得られた延伸フィルム(重量水分率:35%(上記(1)の方法で測定))を、第1乾燥工程として40℃の熱風を送風したオーブン内で1分間加熱し、次いで、第2乾燥工程として70℃の熱風を送風したオーブン内で1分間加熱して偏光子を得た。第1乾燥工程後のフィルムを(1)の評価に、得られた偏光子を上記(1)〜(2)の評価に供した。結果を表1に示す。
次いで、PVA系接着剤を用いて、得られた偏光子の片側に保護フィルム(富士フィルム社製、商品名「TD80UL」)を貼り合わせて積層体を得た。この積層体を40℃で2分間乾燥して偏光板を得た。得られた偏光板を上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
<実施例2>
第1乾燥工程を40℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を70℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
<実施例3>
第1乾燥工程を50℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を80℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
<実施例4>
第1乾燥工程を60℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を110℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
<比較例1>
第1乾燥工程を70℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を70℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
<比較例2>
第1乾燥工程を70℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を110℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
<比較例3>
第1乾燥工程の熱風温度を70℃とし、第2乾燥工程の熱風温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
<比較例4>
第2乾燥工程の熱風温度を40℃、加熱時間を2分間とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
<比較例5>
第1乾燥工程を40℃の熱ロールでの1分間の加熱とし、第2乾燥工程を40℃の熱ロールでの3分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
Figure 2012047799
表1から明らかなように、本願発明の製造方法により得られた偏光子は、特定の加熱温度により2段階乾燥を行い、特定の重量水分率に調整されることにより、外観に優れていた。また、このようにして得られた偏光子は寸法安定性に優れ、カールの生じない片保護偏光板の製造に寄与し得た。一方、第1乾燥工程の温度が高すぎる場合は、偏光子の外観不良が生じ(比較例1〜3)、第2乾燥工程の温度が低すぎる場合は、片保護偏光板にカールが生じた(比較例4および5)。また、第2乾燥工程後のフィルム(偏光子)の重量水分率が高すぎる場合は、片保護偏光板にカールが生じた(比較例4)。
また、第1乾燥工程および第2乾燥工程に熱ロールを用いた場合(実施例2〜4)は、熱風乾燥による場合(実施例1)よりも、乾燥工程を短時間で行うことができた。
本発明の製造方法により得られる偏光子および偏光板は、液晶表示装置に好適に用いられ得る。
10 偏光子
20 保護層
30 保護層
40 位相差層
100、101、102 偏光板

Claims (6)

  1. 25℃以上65℃未満の加熱温度で、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる第1乾燥工程と、
    該第1乾燥工程で乾燥したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、65℃以上115℃以下の加熱温度乾燥させる第2乾燥工程とを含み、
    該第2乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率が14%以下である、
    偏光子の製造方法。
  2. 前記第1乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率が、20%以下である、請求項1に記載の偏光子の製造方法。
  3. 前記第1乾燥工程が、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の収縮を抑制しながら行われる、請求項1または2に記載の偏光子の製造方法。
  4. 前記第1乾燥工程における乾燥方法が、熱ロールを用いる乾燥方法である、請求項1から3のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の製造法により得られた偏光子の片面に、保護層が設けられた偏光板。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の製造法により得られた偏光子の両面に、保護層が設けられた偏光板。
JP2010187145A 2010-08-24 2010-08-24 偏光子の製造方法 Pending JP2012047799A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010187145A JP2012047799A (ja) 2010-08-24 2010-08-24 偏光子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010187145A JP2012047799A (ja) 2010-08-24 2010-08-24 偏光子の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014163297A Division JP2015028634A (ja) 2014-08-11 2014-08-11 偏光子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012047799A true JP2012047799A (ja) 2012-03-08

Family

ID=45902794

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010187145A Pending JP2012047799A (ja) 2010-08-24 2010-08-24 偏光子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012047799A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015011151A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 住友化学株式会社 偏光板の製造方法
JP2015092214A (ja) * 2013-11-08 2015-05-14 住友化学株式会社 偏光フィルムの製造方法
JP5871408B1 (ja) * 2014-09-19 2016-03-01 日東電工株式会社 偏光板および光学積層体
KR20170058205A (ko) * 2015-11-18 2017-05-26 주식회사 엘지화학 편광자 제조장치, 편광자의 제조방법, 상기 방법으로 제조된 편광자, 상기 편광자를 포함하는 편광판 및 상기 편광판을 포함하는 디스플레이 장치 또는 액정 표시 장치
KR20170058209A (ko) * 2015-11-18 2017-05-26 주식회사 엘지화학 편광자 제조장치, 편광자의 제조방법, 상기 방법으로 제조된 편광자, 상기 편광자를 포함하는 편광판 및 상기 편광판을 포함하는 디스플레이 장치 또는 액정 표시 장치
KR101748010B1 (ko) * 2014-10-28 2017-06-15 주식회사 엘지화학 편광자의 제조방법, 이를 이용하여 제조된 편광자 및 이를 포함하는 편광판
JP2018025798A (ja) * 2016-08-08 2018-02-15 東友ファインケム株式会社Dongwoo Fine−Chem Co., Ltd. 偏光板及びその製造方法
KR20210130626A (ko) 2019-02-26 2021-11-01 닛토덴코 가부시키가이샤 편광자의 제조 방법, 편광 필름의 제조 방법, 적층 편광 필름의 제조 방법, 화상 표시 패널의 제조 방법, 및 화상 표시 장치의 제조 방법

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002028938A (ja) * 2000-05-02 2002-01-29 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコール系重合体フィルムとその製造法および偏光フィルム
JP2009015314A (ja) * 2007-06-05 2009-01-22 Japan Steel Works Ltd:The 偏光フィルムの製造方法および製造装置
WO2009075225A1 (ja) * 2007-12-13 2009-06-18 Nitto Denko Corporation 偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2009181042A (ja) * 2008-01-31 2009-08-13 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板の製造方法
JP2010091811A (ja) * 2008-10-08 2010-04-22 Sumitomo Chemical Co Ltd 高コントラスト偏光板および液晶表示装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002028938A (ja) * 2000-05-02 2002-01-29 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコール系重合体フィルムとその製造法および偏光フィルム
JP2009015314A (ja) * 2007-06-05 2009-01-22 Japan Steel Works Ltd:The 偏光フィルムの製造方法および製造装置
WO2009075225A1 (ja) * 2007-12-13 2009-06-18 Nitto Denko Corporation 偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2009181042A (ja) * 2008-01-31 2009-08-13 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板の製造方法
JP2010091811A (ja) * 2008-10-08 2010-04-22 Sumitomo Chemical Co Ltd 高コントラスト偏光板および液晶表示装置

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015011151A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 住友化学株式会社 偏光板の製造方法
JP2015092214A (ja) * 2013-11-08 2015-05-14 住友化学株式会社 偏光フィルムの製造方法
JP5871408B1 (ja) * 2014-09-19 2016-03-01 日東電工株式会社 偏光板および光学積層体
JP2016062033A (ja) * 2014-09-19 2016-04-25 日東電工株式会社 偏光板および光学積層体
US9921342B2 (en) 2014-09-19 2018-03-20 Nitto Denko Corporation Polarizing plate and optical laminate
KR101748010B1 (ko) * 2014-10-28 2017-06-15 주식회사 엘지화학 편광자의 제조방법, 이를 이용하여 제조된 편광자 및 이를 포함하는 편광판
KR20170058205A (ko) * 2015-11-18 2017-05-26 주식회사 엘지화학 편광자 제조장치, 편광자의 제조방법, 상기 방법으로 제조된 편광자, 상기 편광자를 포함하는 편광판 및 상기 편광판을 포함하는 디스플레이 장치 또는 액정 표시 장치
KR20170058209A (ko) * 2015-11-18 2017-05-26 주식회사 엘지화학 편광자 제조장치, 편광자의 제조방법, 상기 방법으로 제조된 편광자, 상기 편광자를 포함하는 편광판 및 상기 편광판을 포함하는 디스플레이 장치 또는 액정 표시 장치
KR101997662B1 (ko) * 2015-11-18 2019-07-08 주식회사 엘지화학 편광자 제조장치, 편광자의 제조방법, 상기 방법으로 제조된 편광자, 상기 편광자를 포함하는 편광판 및 상기 편광판을 포함하는 디스플레이 장치 또는 액정 표시 장치
KR101998094B1 (ko) * 2015-11-18 2019-07-09 주식회사 엘지화학 편광자 제조장치, 편광자의 제조방법, 상기 방법으로 제조된 편광자, 상기 편광자를 포함하는 편광판 및 상기 편광판을 포함하는 디스플레이 장치 또는 액정 표시 장치
JP2018025798A (ja) * 2016-08-08 2018-02-15 東友ファインケム株式会社Dongwoo Fine−Chem Co., Ltd. 偏光板及びその製造方法
KR20210130626A (ko) 2019-02-26 2021-11-01 닛토덴코 가부시키가이샤 편광자의 제조 방법, 편광 필름의 제조 방법, 적층 편광 필름의 제조 방법, 화상 표시 패널의 제조 방법, 및 화상 표시 장치의 제조 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2012047799A (ja) 偏光子の製造方法
WO2019054276A1 (ja) 偏光膜、偏光板、および偏光膜の製造方法
WO2019054268A1 (ja) 偏光板、偏光板ロール、および偏光膜の製造方法
JP2022173190A (ja) 位相差層付き偏光板
WO2019054275A1 (ja) 偏光膜、偏光板、および偏光膜の製造方法
JP5903207B2 (ja) 偏光子および偏光板
WO2019054272A1 (ja) 偏光板、偏光板ロール、および偏光膜の製造方法
WO2020262213A1 (ja) 偏光板の製造方法
WO2019054274A1 (ja) 偏光膜、偏光板、および偏光膜の製造方法
WO2019054271A1 (ja) 偏光板、偏光板ロール、および偏光膜の製造方法
JP2023130424A (ja) 偏光膜
JP7096700B2 (ja) 偏光膜、偏光板、偏光板ロール、および偏光膜の製造方法
JP6496862B2 (ja) 偏光膜の製造方法
JP2015028634A (ja) 偏光子の製造方法
JP7280349B2 (ja) 偏光膜、偏光板、および該偏光膜の製造方法
TW202222546A (zh) 偏光膜及偏光膜之製造方法
JP7219017B2 (ja) 偏光膜の製造方法
WO2019054269A1 (ja) 偏光板、偏光板ロール、および偏光膜の製造方法
WO2020261776A1 (ja) 偏光膜、偏光板、および該偏光膜の製造方法
WO2019054270A1 (ja) 偏光板、偏光板ロール、および偏光膜の製造方法
JP2019194660A (ja) 偏光膜、偏光板、偏光板ロール、および偏光膜の製造方法
WO2020261778A1 (ja) 偏光膜、偏光板、および該偏光膜の製造方法
JP7300325B2 (ja) 偏光板および該偏光板の製造方法
JP7300326B2 (ja) 偏光板および該偏光板の製造方法
WO2020184083A1 (ja) 偏光膜、偏光板、および該偏光膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130904

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131101

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140611

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20141029