JP2012047799A - 偏光子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の偏光子の製造方法は、第1乾燥工程および第2乾燥工程によりポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させることを含み、該第1乾燥工程の加熱温度が、25℃以上65℃未満であり、該第2乾燥工程の加熱温度が、65℃以上115℃以下であり、該第2乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率が14%以下である。
【選択図】図1
Description
好ましい実施形態においては、上記第1乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率が、20%以下である。
好ましい実施形態においては、上記第1乾燥工程が、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の収縮を抑制しながら行われる。
好ましい実施形態においては、上記第1乾燥工程における乾燥方法が、熱ロールを用いる乾燥方法である。
本発明の別の局面によれば、偏光板が提供される。この偏光板は、上記の偏光子と、該偏光子の片側に配置された保護層とを有する。
本発明の別の偏光板は、上記の偏光子と、該偏光子の両側に配置された保護層とを有する。
本発明の偏光子の製造方法は、25℃以上65℃未満の加熱温度で、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる第1乾燥工程と、第1乾燥工程で乾燥したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、65℃以上115℃以下の加熱温度乾燥させる第2乾燥工程とを含む。1つの実施形態においては、本発明の偏光子の製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色工程、架橋工程、延伸工程に供し、これらの工程の後に、第1乾燥工程および第2乾燥工程を行い、偏光子を得る。
水分率(重量%)=〔(初期重量−乾燥重量)/初期重量〕×100
速度比=(下流側搬送ロールの回転速度/上流側搬送ロールの回転速度)×100(%)
フィルムはすでに延伸されているので、下流側の搬送ロールの回転速度が小さくても(速度比が100%未満であっても)、緩み等の不具合を生じることなく搬送できる。下流側の搬送ロールの回転速度が小さい場合の速度比は、さらに好ましくは96%〜99.9%、特に好ましくは98%〜99.8%である。下流側の搬送ロールの回転速度が大きい場合の速度比は、さらに好ましくは100.1%〜110%、特に好ましくは100.2%〜103%である。なお、速度比が95%未満である場合には搬送不良が生じる場合があり、速度比が130%を超えるとフィルムが破断する場合がある。
本発明の製造方法により得られる偏光子は、好ましくは、0.030≦Rpva≦0.040を満足する。ここで、Rpvaは、波長1000nmにおいて、偏光子の面内で屈折率が最大になる方向の屈折率をnx、当該屈折率が最大になる方向に直交する方向の屈折率をnyとしたとき、Rpva=nx−nyで表される。Rpvaは、さらに好ましくは0.030≦Rpva≦0.039であり、特に好ましくは0.030≦Rpva≦0.035である。偏光子中の配向に寄与しない(代表的には、配向性の低い)結晶量が増大することにより、このような特性が満足されると推定される。Rpvaがこのような範囲の偏光子であれば、高温高湿環境下において優れた寸法安定性および光学的耐久性を有し得る。その結果、当該偏光子は、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板に用いられる場合でも、寸法変化および光学特性の劣化が起こりにくく、実用上許容可能な寸法安定性および光学的耐久性を実現することができる。このような範囲のRpvaを有する偏光子は、上記のように乾燥工程として2段階乾燥を採用することにより得られ得る。
二色比DR=log(0.919/k2)/log(0.919/k1)
ここで、k1は偏光子の透過軸方向の透過率であり、k2は偏光子の吸収軸方向の透過率であり、定数0.919は界面反射率である。
透過率=(k1+k2)/2
ここで、k1は偏光子の透過軸方向の透過率であり、k2は偏光子の吸収軸方向の透過率である。
図2は、本発明の1つの実施形態による偏光板の概略断面図である。この偏光板100は、偏光子10と、偏光子10の片側に配置された保護層20とを有する。偏光子10は、上記A項およびB項で説明した本発明の偏光子である。上記A項およびB項で説明したように、本発明の偏光子は、加湿環境下において優れた寸法安定性および光学的耐久性を有するので、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板に用いられる場合に、その効果が顕著である。すなわち、図示例のように、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板においても、本発明の偏光子は、寸法変化および光学特性の劣化が起こりにくく、実用上許容可能な寸法安定性および光学的耐久性を実現することができる。もちろん、本発明の偏光子は、偏光子の片側のみに保護層を設けた偏光板のみならず、図3に示すような偏光子10の両側に保護層20および30を設けた偏光板にも好適に用いられ得る。さらに、図4に示すような、偏光子10の片側に保護層20を設け、もう一方の側に位相差層40を設けた偏光板にも好適に用いられ得る。
実施例および比較例における第1乾燥工程後のフィルム、および第2乾燥工程後のフィルム(すなわち、偏光子)を100mm×100mmの大きさに切り出して試料フィルムとし、この試料フィルムの初期重量を測定した。続いて、この試料フィルムを120℃で2時間乾燥し、乾燥重量を測定して、下記式により水分率を決定した。なお、下記式において、初期重量および乾燥重量は、それぞれ3回測定を行い、その平均値を採用した。
水分率(重量%)={(初期重量−乾燥重量)/初期重量}×100
(2)偏光子の外観
実施例および比較例で得られた偏光子の外観を目視にて確認した。また、実施例および比較例で得られた偏光子を2枚準備し、これらの吸収軸が直交となるように重ね合わせた際の光抜けを確認した。外観上にシワ等の不良、および光抜けが生じた場合を良好、外観上の不良または光抜けが生じない場合を不良とした。
(3)偏光板のカールの有無
実施例および比較例で得られた偏光板のカールの有無を目視にて確認した。
重合度2400、ケン化度99.7モル%、厚さ75μmのPVA系樹脂フィルムを用意した。当該フィルムを、30℃のヨウ素水溶液中で染色しながらフィルム搬送方向に3倍に延伸し、次いで、60℃の4重量%ホウ酸、5重量%のヨウ化カリウム水溶液中で、総延伸倍率が元長の6倍となるように延伸した。さらに、延伸したフィルムを30℃の2重量%のヨウ化カリウム水溶液中に数秒浸漬することで洗浄した。得られた延伸フィルム(重量水分率:35%(上記(1)の方法で測定))を、第1乾燥工程として40℃の熱風を送風したオーブン内で1分間加熱し、次いで、第2乾燥工程として70℃の熱風を送風したオーブン内で1分間加熱して偏光子を得た。第1乾燥工程後のフィルムを(1)の評価に、得られた偏光子を上記(1)〜(2)の評価に供した。結果を表1に示す。
次いで、PVA系接着剤を用いて、得られた偏光子の片側に保護フィルム(富士フィルム社製、商品名「TD80UL」)を貼り合わせて積層体を得た。この積層体を40℃で2分間乾燥して偏光板を得た。得られた偏光板を上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
第1乾燥工程を40℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を70℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
第1乾燥工程を50℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を80℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
第1乾燥工程を60℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を110℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
第1乾燥工程を70℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を70℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
第1乾燥工程を70℃の熱ロールでの45秒間の加熱とし、第2乾燥工程を110℃の熱ロールでの1分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
第1乾燥工程の熱風温度を70℃とし、第2乾燥工程の熱風温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
第2乾燥工程の熱風温度を40℃、加熱時間を2分間とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
第1乾燥工程を40℃の熱ロールでの1分間の加熱とし、第2乾燥工程を40℃の熱ロールでの3分間の加熱とした以外は、実施例1と同様にして偏光子および偏光板を得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
20 保護層
30 保護層
40 位相差層
100、101、102 偏光板
Claims (6)
- 25℃以上65℃未満の加熱温度で、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる第1乾燥工程と、
該第1乾燥工程で乾燥したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、65℃以上115℃以下の加熱温度乾燥させる第2乾燥工程とを含み、
該第2乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率が14%以下である、
偏光子の製造方法。 - 前記第1乾燥工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重量水分率が、20%以下である、請求項1に記載の偏光子の製造方法。
- 前記第1乾燥工程が、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の収縮を抑制しながら行われる、請求項1または2に記載の偏光子の製造方法。
- 前記第1乾燥工程における乾燥方法が、熱ロールを用いる乾燥方法である、請求項1から3のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の製造法により得られた偏光子の片面に、保護層が設けられた偏光板。
- 請求項1から4のいずれかに記載の製造法により得られた偏光子の両面に、保護層が設けられた偏光板。
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