JP2006111921A - 物理蒸着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】超高真空環境でもアウトガスを発生させない非移行型のプラズマトーチを用いて生成させた微粒子を超音速のガス流により加速させ、基板に堆積させた微粒子により皮膜形成する物理蒸着装置を提供する。
【解決手段】内部にプラズマトーチ(16,26)と蒸発源(15,25)を有する蒸発チャンバー(10,20)と、超音速ノズル35と成膜対象基板33を有する成膜チャンバー30を有し、各プラズマトーチは、略円筒形の導電性のアノード40と、その内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管50と、絶縁管50の内側に挿入された棒状のカソード60を有する。アノード40とカソード60に電圧印加して得たプラズマで蒸発源(15,25)から微粒子を生成し、超音速ノズル35から噴出して超音速ガス流に乗せ、成膜対象基板33に物理蒸着させる。
【選択図】図1

Description

本発明は物理蒸着装置に関し、特に蒸発源から蒸発させた原子により生成させた微粒子を超音速ジェットに乗せて噴き出し、成膜対象基板に堆積させる物理蒸着装置に関する。
近年、コーティング技術の重要性が急速に高まってきており、種々のコーティング法が開発されている。
しかし、数10〜数100μm程度の膜厚の高密度なコーティング膜を低温で施工することが可能なコーティング法は知られていなかった。
非特許文献1および非特許文献2は、超音速フリージェット(Supersonic Free Jet:SFJ)物理蒸着(Physical Vapor Deposition:PVD)装置について開示している。
このSFJ−PVD装置は、蒸発チャンバーと成膜チャンバーを備える。
蒸発チャンバー内には、水冷されたハース上に設置した蒸発源材料と、高融点金属(具体的にはタングステン)製の電極が備えられており、一度蒸発チャンバー内を所定の圧力に減圧した後、所定のガス雰囲気に置換して、蒸発源をアノード(陽極)とし、アノードと一定間隔離れた位置にある高電導性金属製電極をカソード(陰極)とし、それぞれ負電圧と正電圧を印加して両極間にアーク放電を生起させる移行式アークプラズマによって、蒸発源材料が加熱されて蒸発する。所定のガス雰囲気とした蒸発チャンバー内では、蒸発源の加熱により蒸発した原子は互いに凝集しナノメートルオーダーの直径の微粒子(以下ナノ粒子と称する)が得られる。
得られたナノ粒子は蒸発チャンバーと成膜チャンバー間の差圧(真空度差)により生起するガス流に乗って移送管を通して成膜チャンバーへと移送される。成膜チャンバー内には、成膜対象基板が設置されている。
差圧によるガス流は、蒸発チャンバーから成膜チャンバーへと接続する移送管の先端に取り付けられた特別に設計された超音速ノズル(ラバールノズル)によりマッハ数3.6程度の超音速にまで加速され、ナノ粒子は超音速フリージェットの気流に乗って高速に加速されて成膜チャンバー中に噴出し、成膜対象基板上に堆積する。
上記のSFJ−PVD装置を用いることにより、数10〜数100μm程度の膜厚の高密度なコーティング膜を低温で施工することが可能となっている。
プラズマトーチは、大きく移行型と非移行型に分類できる。
図11(A)および(B)は、それぞれ従来例に係る移行型(transfer type)と非移行型(non-transfer type)のプラズマトーチの模式構成図である。
図11(A)に示すように、移行型のプラズマトーチは、略円筒形のプラズマチップ1の内側の中心部に、陰極となる棒状の内部電極3が挿入されて組み立てられている。被加熱物Sに正電圧、内部電極3に負電圧を印加することにより、被加熱物Sと内部電極3との間での放電により生起するアークプラズマにより被加熱物Sを加熱する。
一方、図11(B)に示すように、非移行型のプラズマトーチは、略円筒形のプラズマチップ1の内側の中心部に内部電極3が挿入されており、プラズマチップ1を陽極(アノード)、内部電極3を陰極(カソード)として両極間にアーク放電を生起させ、両極間にプラズマガスGを供給し、プラズマ化したガスを媒体として被加熱物Sを加熱する。
移行型のプラズマトーチは、被加熱物に電流が流れてジュール熱を発生させるので、エネルギー効率が高いという利点があるが、プラズマを発生させ、被加熱物が溶けて導電性を持つまでプラズマを保持するための電極が必要であり、絶縁物を加熱、溶解するのに適していない。また、アーク放電時におけるアーク電圧を一定に保つためには両極間の距離を一定に保つ必要がある。しかし、陽極側である被加熱物は溶融および蒸発によりその形状および体積が逐次変わるため、被加熱物からの蒸発量を精密に制御する事は容易では無い。
一方、非移行型のプラズマトーチは、被加熱物に電流は流れないので、被加熱物の材質に影響されずにプラズマを発生させることができ、プラズマの始動性および安定性が高く、移行型のプラズマトーチによる加熱に比べ加熱量の制御性が良いという利点がある。
ところで、非移行型のプラズマトーチはトーチ内に陽極(プラズマチップ)と陰極(内部電極)の2つの電極を有しており、これらは互いに絶縁される必要がある。このため、従来の非移行型プラズマトーチでは、上記の両電極間の絶縁を確保するためにベークライトなどの高分子系絶縁材料を用いている。
上記の高分子系絶縁材料およびその他のトーチ構成材料のために、従来の非移行型のプラズマトーチを超高真空環境で使用するとアウトガスが発生してしまう。
このため、SFJ−PVD装置において、プラズマトーチで生成したプラズマにより蒸発源からナノ粒子を生成するような場合、得られたナノ粒子をアウトガスで汚染してしまうことになる。
さらに、複数の蒸発チャンバーを有する場合、例えば第1微粒子と第2微粒子を均一に混合することが必要である。この場合、第1微粒子を含む第1流体と、第の微粒子を含む第2流体を混合することになる。
例えば、図12に示すY字型流体混合装置を用いて、上記の第1および第2の流体の混合を行うことができる。
Y字型流体混合装置は、第1流体100が流される第1流入口101と第2流体110が流される第2流入口111が合流部120で合流して混合し、第1流体100と第2流体110の混合物が取り出し口130からから取り出される構成である。
上記のY字型流体混合装置において、第1流体と第2流体をそれぞれ同時に流入させても、流体の粘性などの影響で、合流部において混合しないで実質的に分離したままで取り出し口から出てきてしまい、均一に混合させることが困難なことがある。
ここで、第1流体と第2流体をより均一に混合するために、外部からの電気エネルギーを用いて、第1流体と第2流体の取り出し口への流入を機械的に制御する。より具体的には、図12に示すように、第1流体と第2流体が交互に取り出し口に流入するようにする。この交互に流入させる流体の量をより少なくすることにより、第1流体と第2流体をより均一に混合することが可能となる。
ここで、上記のような第1流体および第2流体の混合を行うのに、従来のY字型混合装置のように外部からの電気などのエネルギーを必要とせず、機械的な可動部を持たないで流体を混合する方法が求められている。
A. Yumoto, F. Hiroki, I. Shiota, N. Niwa, Surface and Coatings Technology, 169-170, 2003, 499-503 湯本敦史、廣木富士男、塩田一路、丹羽直毅:超音速フリージェットPVDによるTiおよびAl膜の形成、日本金属学会誌、第65巻、第7号(2001)pp635−643 山本圭治郎、野本明、川島忠雄、中土宣明:同軸対向衝突噴流の発振現象、油圧と空気圧(1975)pp68−77
解決しようとする問題点は、従来の物理蒸着装置で用いられていたベークライトを使用している非移行型のプラズマトーチは、超高真空環境ではアウトガスを発生させるなどの問題を引き起こしてしまう点である。
さらに、従来の物理蒸着装置において複数の蒸発チャンバーを有する場合、2つの流体の混合を行うのに、外部からの電気などのエネルギーを用いず、機械的な可動部を用いないで混合することが困難である点である。
本発明の物理蒸着装置は、内部に蒸発源とプラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から微粒子を生成する蒸発チャンバーと、内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記蒸発チャンバーから移送された前記微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に前記微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーとを有し、前記プラズマト−チは、略円筒形の導電性のアノードと、前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードとを有し、前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成する。
上記の本発明の物理蒸着装置は、蒸発チャンバーと成膜チャンバーを有し、蒸発チャンバーは内部に蒸発源とプラズマトーチを備え、一方、成膜チャンバーは内部に超音速ノズルと成膜対象基板を備えている。
ここで、上記のプラズマトーチは、略円筒形の導電性のアノードと、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、アノードに接しないように、絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードとを有し、カソードに負電圧を、アノードおよび/または蒸発源に正電圧を印加して発生させたプラズマにより蒸発源から微粒子を生成し、得られた微粒子を超音速ノズルが生み出す超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)に乗せ、成膜対象基板に物理蒸着させる構成となっている。
以下、本明細書中において、略円筒形状とは円筒形状および略円筒形状を含むものとする。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記超音速ノズルは、ノズル内部径が変化している縮小―拡大管であり、前記蒸発チャンバーと前記成膜チャンバー間の差圧により生起するガス流を超音速まで高める。
さらに好適には、前記超音速ノズルは、マッハ数1.2以上の超音速ガス流を生み出す。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記超音速ノズルは、1次元もしくは2次元の圧縮性流体力学理論を基にガスの種類と組成および前記成膜チャンバーの排気能力に応じて設計されており、前記移送管の先端に接続され、あるいは前記移送管の先端部分と一体に形成されている。
また好適には、前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の内部を通過する前記微粒子を含むガスを加熱するための加熱手段が前記超音速ノズルおよび/または前記移送管自体にあるいは前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の外周に設けられている。
また好適には、前記超音速ノズルおよび前記移送管の少なくとも一部が石英からなり、
前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の内部を通過する前記微粒子を含むガスをプラズマ化するためのRFコイルが前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の外周に設けられている。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記プラズマト−チにおいて、前記カソードの先端近傍で、前記アノードと前記カソードの間に、前記アノードと前記カソードの相対位置を位置決めし、前記カソードに対して供給されるプラズマガスを均等に行き渡らせるセラミクスのプラズマガスディストリビュータが設けられている。
また、好適には、前記絶縁管が、石英、マシナブルセラミクス、ボロンナイトライド、アルミナあるいはフッ素系樹脂からなる。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記プラズマト−チにおいて、前記カソードは、内部構造として、中心に配置された第1中空部と、前記第1中空部の外周に配置された第2中空部と、前記第2中空部の外周に配置された第3中空部とを有する3層構造となっている。
さらに好適には、前記プラズマト−チにおいて、前記カソードの前記第1中空部がプラズマガス供給管である。
さらに好適には、前記プラズマト−チにおいて、前記カソードの前記第2中空部が冷却媒の導入管であり、前記カソードの前記第3中空部が前記冷却媒の導出管である。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記プラズマト−チにおいて、前記アノードが冷却管を内蔵している。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記プラズマト−チにおいて、真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記プラズマト−チにおいて、前記アノードと前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式と、加熱対象である前記蒸発源と前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式とで切り替えまたは併用可能である。
また、本発明の物理蒸着装置は、内部に蒸発源とプラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から微粒子を生成する蒸発チャンバーと、内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記蒸発チャンバーから移送された前記微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に前記微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーとを有し、前記プラズマト−チは、略円筒形の導電性のアノードと、前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、前記アノードの外周部に配置された保持管とを有し、前記保持管は、前記カソードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第1保持部材と、前記アノードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第2保持部材と、前記第1保持部材および前記第2保持部材を介して前記アノードおよび前記カソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも前記第1保持部材と前記第2保持部材の間および前記第2保持部材と前記第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、前記第1保持部材、前記第2保持部材および前記第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されており、前記アノード、前記カソードおよび前記保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられており、前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成する。
上記の本発明の物理蒸着装置は、蒸発チャンバーと成膜チャンバーを有し、蒸発チャンバーは内部に蒸発源とプラズマトーチを備え、一方、成膜チャンバーは内部に超音速ノズルと成膜対象基板を備えている。
ここで、上記のプラズマトーチは、略円筒形の導電性のアノードと、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、アノードに接しないように、絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、アノードの外周部に配置された保持管とを有する。
上記の保持管は、カソードに電気的に接続してカソードを機械的に保持する第1保持部材と、アノードに電気的に接続してカソードを機械的に保持する第2保持部材と、第1保持部材および第2保持部材を介してアノードおよびカソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも第1保持部材と第2保持部材の間および第2保持部材と第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、第1保持部材、第2保持部材および第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されている。また、アノード、カソードおよび保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている。
カソードに負電圧を、アノードおよび/または蒸発源に正電圧を印加して発生させたプラズマにより蒸発源から微粒子を生成し、得られた微粒子を超音速ノズルが生み出す超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)に乗せ、成膜対象基板に物理蒸着させる構成となっている。
また、本発明の物理蒸着装置は、内部に第1蒸発源と第1プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第1プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第1蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第1微粒子を生成する第1蒸発チャンバーと、内部に第2蒸発源と第2プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第2プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第2蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第2微粒子を生成する第2蒸発チャンバーと、内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された流体混合部および超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と前記第2蒸発チャンバーから移送された前記第2微粒子を前記流体混合部で混合し、混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーとを有し、前記第1プラズマト−チおよび第2プラズマトーチは、それぞれ、略円筒形の導電性のアノードと、前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードとを有し、前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、前記流体混合部は、略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、前記第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、前記第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルとを有し、第1噴き出し口から前記第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、前記第2噴き出し口から前記第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、前記第1噴き出し口と前記第2噴き出し口の間の空間において前記第1流体と前記第2流体とを混合する。
上記の本発明の物理蒸着装置は、第1蒸発チャンバー第2蒸発チャンバーと成膜チャンバーを有し、第1蒸発チャンバーは内部に第1蒸発源と第1プラズマトーチを備え、第2蒸発チャンバーは内部に第2蒸発源と第2プラズマトーチを備え、また、成膜チャンバーは内部に流体混合部と超音速ノズルと成膜対象基板を備えている。
上記の第1および第2プラズマトーチは、それぞれ、略円筒形の導電性のアノードと、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、アノードに接しないように、絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードとを有し、カソードに負電圧を、アノードおよび/または第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、得られたプラズマにより第1および第2蒸発源から第1および第2微粒子を生成する。
流体混合部は、第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と第2蒸発チャンバーから移送された第2微粒子を混合する。
混合された第1微粒子と第2微粒子を超音速ノズルが生み出す超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)に乗せ、成膜対象基板に混合された第1微粒子と第2微粒子を物理蒸着させる。
また、上記の流体混合部は、略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルとを有し、第1噴き出し口から第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、第2噴き出し口から第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、第1噴き出し口と第2噴き出し口の間の空間において第1流体と前記第2流体とを混合する構成となっている。
以下、本明細書中において、略矩形形状とは矩形形状および略矩形形状を含むものとする。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記流体混合部において、前記略矩形形状の短辺の長さaと長辺の長さbのアスペクト比(b/a)が4〜6である。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記流体混合部において、前記第1混合ノズルと前記第2混合ノズルのノズル間距離が、前記略矩形形状の短辺の長さの4〜35倍の距離である。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記流体混合部において、前記第1混合ノズルは、前記第1噴き出し口の近傍において、前記第1噴き出し口へと向かって前記第1流体が流れる空間の広さが、前記第1噴き出し口に近い下流側よりも前記第1噴き出し口から遠い上流側ほど広いテーパー形状となっている部分を有し、前記第2混合ノズルは、前記第2噴き出し口の近傍において、前記第2噴き出し口へと向かって前記第2流体が流れる空間の広さが、前記第2噴き出し口に近い下流側よりも前記第2噴き出し口から遠い上流側ほど広いテーパー形状となっている部分を有する。
上記の本発明の物理蒸着装置は、好適には、前記流体混合部において、前記第1噴き出し口と前記第2噴き出し口の間の空間を挟んで対向するように、前記略矩形形状の長辺方向に配置され、前記第1流体と前記第2流体が前記略矩形形状の長辺方向に拡散していくのを防止する一対の仕切り板を有する。
さらに好適には、前記流体混合部において、前記一対の仕切り板の間の距離が、前記略矩形形状の長辺の長さと略等しい。
また、本発明の物理蒸着装置は、内部に第1蒸発源と第1プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第1プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第1蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第1微粒子を生成する第1蒸発チャンバーと、内部に第2蒸発源と第2プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第2プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第2蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第2微粒子を生成する第2蒸発チャンバーと、内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された流体混合部および超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と前記第2蒸発チャンバーから移送された前記第2微粒子を前記流体混合部で混合し、混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーとを有し、前記第1プラズマト−チおよび前記第2プラズマトーチは、それぞれ、略円筒形の導電性のアノードと、前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、前記アノードの外周部に配置された保持管とを有し、前記保持管は、前記カソードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第1保持部材と、前記アノードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第2保持部材と、前記第1保持部材および前記第2保持部材を介して前記アノードおよび前記カソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも前記第1保持部材と前記第2保持部材の間および前記第2保持部材と前記第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、前記第1保持部材、前記第2保持部材および前記第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されており、前記アノード、前記カソードおよび前記保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられており、前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、前記流体混合部は、略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、前記第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、前記第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルとを有し、第1噴き出し口から前記第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、前記第2噴き出し口から前記第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、前記第1噴き出し口と前記第2噴き出し口の間の空間において前記第1流体と前記第2流体とを混合する。
上記の本発明の物理蒸着装置は、第1蒸発チャンバー第2蒸発チャンバーと成膜チャンバーを有し、第1蒸発チャンバーは内部に第1蒸発源と第1プラズマトーチを備え、第2蒸発チャンバーは内部に第2蒸発源と第2プラズマトーチを備え、また、成膜チャンバーは内部に流体混合部と超音速ノズルと成膜対象基板を備えている。
上記の第1および第2プラズマトーチは、それぞれ、略円筒形の導電性のアノードと、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、アノードに接しないように、絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、アノードの外周部に配置された保持管とを有する。
上記の保持管は、カソードに電気的に接続してカソードを機械的に保持する第1保持部材と、アノードに電気的に接続してカソードを機械的に保持する第2保持部材と、第1保持部材および第2保持部材を介してアノードおよびカソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも第1保持部材と第2保持部材の間および第2保持部材と第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、第1保持部材、第2保持部材および第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されている。また、アノード、カソードおよび保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている。
カソードに負電圧を、アノードおよび/または第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、得られたプラズマにより第1および第2蒸発源から第1および第2微粒子を生成する。
流体混合部は、第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と第2蒸発チャンバーから移送された第2微粒子を混合する。
混合された第1微粒子と第2微粒子を超音速ノズルが生み出す超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)に乗せ、成膜対象基板に混合された第1微粒子と第2微粒子を物理蒸着させる。
また、上記の流体混合部は、略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルとを有し、第1噴き出し口から第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、第2噴き出し口から第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、第1噴き出し口と第2噴き出し口の間の空間において第1流体と前記第2流体とを混合する構成となっている。
本発明の物理蒸着装置は、プラズマトーチとして、プラズマチップと電極とを絶縁するために、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管を用いており、ベークライトを用いていないので超高真空環境でもアウトガスをより発生させずに使用することができ、より汚染されていない活性な表面を有する微粒子を堆積させることで緻密な膜を成膜することができる。
さらに、第1微粒子と第2微粒子を混合する流体混合部として、同軸対向衝突噴流の発振現象を利用して、外部からの電気などのエネルギーを用いず、機械的な可動部を用いないで、均一に混合することができる。
以下に、本発明に係る物理蒸着装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
第1実施形態
図1は本実施形態に係る超音速フリージェット(Supersonic Free Jet:SFJ)物理蒸着(Physical Vapor Deposition:PVD)装置の模式構成図である。
本実施形態のSFJ−PVD装置は、第1蒸発チャンバー10、第2蒸発チャンバー20および成膜用の真空チャンバーである成膜チャンバー30を備える。
第1蒸発チャンバー10には真空ポンプVP1に接続した排気管11が設けられており、真空ポンプVP1の作動により第1蒸発チャンバー10内が排気され、例えば10-10Torr程度の超高真空雰囲気とされる。さらに、第1蒸発チャンバー10にマスフローコントローラ12を介して設けられたガス供給源13から、必要に応じて、HeあるいはN2などの雰囲気ガスが第1蒸発チャンバー10内に所定の流量で供給される。あるいは大気雰囲気としてもよい。
第1蒸発チャンバー10内には、水冷された銅製のるつぼ14が設けられ、この中に第1蒸発源材料15が入れられている。第1蒸発源材料15の近傍に第1プラズマトーチ16が設けられており、第1プラズマトーチ16を構成するプラズマチップと内部電極間での放電により発生するプラズマガスを媒体として、非移行式で第1蒸発源材料15が加熱されて蒸発し、第1蒸発源材料15から蒸発した原子からナノメートルオーダーの直径の第1微粒子(以下第1ナノ粒子とも称する)が得られる。
得られた第1ナノ粒子は、第1蒸発チャンバー10内の雰囲気ガスとともに移送管17を通して成膜チャンバー30へと移送される。
第2蒸発チャンバー20も第1蒸発チャンバー10と同様の構成を有する。
即ち、第2蒸発チャンバー20に接続した排気管21から真空ポンプVP2の作動により第2蒸発チャンバー20内が排気され、例えば10-10Torr程度の超高真空雰囲気とされ、さらに、第2蒸発チャンバー20にマスフローコントローラ12を介して設けられたガス供給源13から、必要に応じて、HeあるいはN2などの雰囲気ガスが第2蒸発チャンバー20内に所定の流量で供給される。あるいは大気雰囲気としてもよい。
また、第2蒸発チャンバー20内に設けられたるつぼ24の中に第2蒸発源材料25が入れられ、この近傍に設けられた第2プラズマトーチ26により発生するプラズマガスを媒体として、非移行式で第2蒸発源材料25が加熱されて蒸発し、第2蒸発源材料25から蒸発した原子からナノメートルオーダーの直径の第2微粒子(以下第2ナノ粒子とも称する)が得られる。
得られた第2ナノ粒子は、第2蒸発チャンバー20内の雰囲気ガスとともに移送管27を通して成膜チャンバー30へと移送される。
成膜チャンバー30には真空ポンプVP3に接続した排気管31が設けられており、真空ポンプVP3の作動により成膜チャンバー30内が排気され、例えば10-10Torr程度の超高真空雰囲気とされる。
成膜チャンバー30内には、X−Y方向に駆動するステージ32が設けられ、このステージ32に成膜対象基板33が固定される。
成膜対象基板としては、特に限定はないが、例えば、純チタン板(JISグレード1)、A1050アルミニウム合金板、SUS304ステンレススチール板などを用いることができる。成膜対象基板は、成膜チャンバーにセットする前にアセトン中で超音波洗浄してから用いることが好ましい。
第1蒸発チャンバー10からの移送管17の先端と、第2蒸発チャンバー20からの移送管27の先端との合流部に流体混合部34が設けられており、流体混合部34の中央部から延びるように超音速ノズル(ラバールノズル)35が設けられている。各移送管(17,27)の流体混合部34側の外周には、不図示のコイルヒーターが設けられて加熱可能となっていてもよい。
上記の第1蒸発チャンバー10において第1ナノ粒子が生成され、第2蒸発チャンバー20において第2ナノ粒子が生成されると、第1および第2蒸発チャンバー(10,20)と成膜チャンバー30の間の圧力差によりガスの流れが生じ、第1ナノ粒子および第2ナノ粒子は雰囲気ガスとともに移送管を通して成膜チャンバー30へと移送される。
第1ナノ粒子を含む第1流体と、第2ナノ粒子を含む第2流体とが、流体混合部34において混合し、流体混合部34の中央部に取り付けられた超音速ノズル(ラバールノズル)35から超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)として成膜チャンバー30中に、成膜対象基板33に向けて噴出する。即ち、第1ナノ粒子と第2ナノ粒子が流体混合部34において混合する。
超音速ノズル35は、1次元もしくは2次元の圧縮性流体力学理論を基にガスの種類と組成および成膜チャンバーの排気能力に応じて設計されており、移送管の先端に接続され、あるいは移送管の先端部分と一体に形成されている。具体的には、ノズル内部径が変化している縮小―拡大管であり、蒸発チャンバーと成膜チャンバー間の差圧により生起するガス流を、例えばマッハ数1.2以上の超音速まで高めることができる。
第1ナノ粒子と第2ナノ粒子は、例えば、超音速ノズル35によってマッハ数3.6程度の超音速にまで加速され、超音速ガス流に乗って成膜チャンバー30中に噴出し、成膜対象基板33上に堆積(物理蒸着)する。
次に、上記の第1プラズマトーチ16および第2プラズマトーチ26として用いられているプラズマトーチについて説明する。
図2は本実施形態に係る物理蒸着装置を構成するプラズマトーチの一部断面構造を示す模式構成図である。また、図3は図2中のA部の拡大図である。
本実施形態に係るプラズマトーチは、略円筒形の導電性のアノード40と、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管50と、アノード40に接しないように絶縁管50の内側に挿入された棒状のカソード60とを有する。
アノード40は、略円筒形状のアノード第1部材40aと、アノード第1部材40aの先端に設けられたアノード第2部材40bとが銅製のシール剤40cを介して接続されて組み立てられている。アノード第1部材40aおよびアノード第2部材10bは、例えば、ステンレス、銅、タングステンなどの金属材料から構成されている。
アノード第1部材40aは、肉厚の略円筒形状であって部分的に中空構造となっており、冷却水導入口41aと冷却水導出口41bに接続されている水冷系統41が内部に埋め込まれて、冷却水41fにより冷却されている。
冷却系統41により、プラズマ生成で加熱されてしまうアノード40を効率的に冷却することができる。
アノード第2部材40bは、略円筒形状のアノード第1部材40aの一端部に蓋をするように設けられており、その中心部に開口部40hを有する。アノード第2部材40bの内径は、例えば、アノード第1部材40aの内径から数段階で徐々に狭められている構造となっており、アノード第2部材40bの外径は、例えば、アノード第1部材40aの外径からなめらかに先端程狭められているテーパー状となっている。
このようにして、カソード60の先端近傍で、アノード40の径が狭められた形状となっている。
絶縁管50は、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の材料からなり、例えば、石英、マシナブルセラミクス、ボロンナイトライド(BN)、アルミナあるいはフッ素系樹脂などからなる。例えば、石英やマシナブルセラミクスは、アウトガスを実質的に出さない材料であり、本実施形態に用いるために管状の形状とするのに相対的に安価に用意することができる。特に石英管は様々なサイズのものが市販されており、容易に所望のサイズの絶縁管を容易することができる。
上記のマシナブルセラミクスとは、機械的加工が容易なセラミクスであり、内部にマイカなどの層状構造物を含有するものと、微細なクラックが多数構造的に含まれているものに大別される。前者としては、例えばKMg3AlSi3102のフッ素金雲母などのマイカ結晶化ガラスがあり、また、後者としては、チタン酸アルミニウムなどがある。
絶縁管50の外径は、アノード第1部材40aおよびアノード第2部材40bなどからなるアノード40の内径に適合するサイズとなっており、アノード第1部材40aを貫通して、アノード第2部材40bの内側の階段状の構造で係止されるようにアノード40の内側に挿入されている。
カソード60は、先端部に設けられたカソード第1部材60aとカソード第1部材60aを支持するカソード第2部材60bが接続されて組み立てられている。カソード第1部材60aおよびカソード第2部材60bは、例えば、ステンレス、銅、タングステンなどの金属材料から構成されている。
カソード第1部材60aは、根本をカソード第2部材60bに支持されるとともに、先端近傍をガストリビュータ51に係止するように保持されている。ガストリビュータ51は、アノード第2部材40bの内側の階段状の構造で係止されるように絶縁管50の先端に嵌め込まれて設けられている。
上記のガストリビュータ51は、例えばセラミックなどの非高分子系絶縁材料からなり、超高真空環境下においてもアウトガスを実質的に出さない材料からなり、カソードの先端近傍で、アノードとカソードの間に、アノードとカソードの相対位置を位置決めし、アノードとカソードが接しないようにして両者の短絡を防止するように設けられている。また、ガストリビュータ51には微細な開口部が設けられていて、カソードに対して供給されるプラズマガスを均等に行き渡らせることができる。
カソード第2部材60bは、内部構造として、中心に配置された第1中空部61と、第1中空部の外周に配置された第2中空部62aと、第2中空部62aの外周に配置された第3中空部62bとを有する3層構造となっている
ここで、カソード第2部材60b内の第1中空部61がプラズマガス供給管である。ここから、上記のガストリビュータ51を介してアノード40およびカソード60の先端部分にプラズマガス61fを供給することができる。
また、カソード第2部材60b内の第2中空部62aが冷却媒である冷却水62fの導入管であり、第3中空部62bが冷却水の導出管である。
第2中空部62aおよび第3中空部62bからなる冷却系統62というアノード40の冷却系統41と分離された冷却系統を有することで、熱伝導性の高くない絶縁管50に内側に挿入されたカソード60を効率的に冷却することができる。
また、本実施形態のプラズマトーチにおいては、アノード40の外周部に保持管65が配置されている。
保持管65は、カソード60に電気的に接続してカソードを機械的に保持する第1保持部材66と、アノード40に電気的に接続してカソードを機械的に保持する第2保持部材67と、第1保持部材66および第2保持部材67を介してアノード40およびカソード60を機械的に保持する第3保持部材68とを有し、少なくとも第1保持部材66と第2保持部材67の間および第2保持部材67と第3保持部材68の間がセラミクスの絶縁部材(69a,69b)に溶接によって接合され、第1保持部材66、第2保持部材67および第3保持部材68が互いに絶縁しながら一体化されている。
上記のように、本実施形態に係るプラズマトーチは、アノードおよびカソードはステンレスなどの金属材料からなり、それらを絶縁管によって絶縁している構造となっている。
さらに、本実施形態に係るプラズマトーチは、真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている。
アノード60およびカソード60の先端部分において、アノード第2部材40bの内壁とカソード第1部材60aの先端とが所定の距離で離間しており、この領域にプラズマガス61fを供給し、さらにアノードとカソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加することにより、アノードとカソード間の放電によってプラズマを発生させる。即ち、いわゆる非移行型のプラズマトーチとなっている。
得られたプラズマは、アノード先端の開口部40hからプラズマトーチの外部に供給することができる。
上記のように、本実施形態のSFJ−PVD装置のプラズマトーチは、プラズマチップと電極とを絶縁するために、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管を用いており、ベークライトを用いていないので超高真空環境でもアウトガスをより発生させずに使用することができる。
また、アノードの外周にプラズマトーチ全体を保持し、アノードおよびカソードに所定の電位を印加する保持管を有することで、アウトガスを発生させないようにして超高真空環境に対応することができる。
従って、本実施形態に係るSFJ−PVD装置において、プラズマトーチで生成したプラズマにより蒸発源からナノ粒子を生成する場合、上記のプラズマトーチを用いることにより、アウトガスで汚染しないでナノ粒子を生成することができる。このように、本実施形態にプラズマトーチを超高真空環境下あるいはガス置換雰囲気下で使用することで、加熱対象物に不純物が混入することを防止でき、より汚染されていない活性な表面を有する微粒子を堆積させることで緻密な膜を成膜することができる。
また、本実施形態に係るSFJ−PVD装置は、10-10torr程度の超高真空環境から大気圧下まで、幅広い雰囲気圧力で使用することができる。
本実施形態に係るSFJ−PVD装置は、例えば、アノードとカソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する非移行型と、加熱対象である第1あるいは第2蒸発源とカソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する移行型とで、切り替えを行い、あるいは、2つの型を併用して、動作させることができるようになっている。
これらを切り替え、あるいは併用することで、移行型のエネルギー効率が高いという長所と、非移行型の非加熱物の材質に係わらず使用でき、プラズマの始動性や安定性が高く、制御性がよいという長所を享受でき、より効率的に加熱対象を加熱することができる。移行型と非移行型のいずれにおいても、超高真空環境下の使用で実質的にアウトガスを発生させることがない。
次に、上記の流体混合部34について説明する。
図4(A)は本実施形態に係る物理蒸着装置の流体混合部の模式構成図である。
第1混合ノズル70の第1噴き出し口71と、第2混合ノズル80の第2噴き出し口81が同軸上に対向して配置されている。
第1噴き出し口71と第2噴き出し口81は同じ略矩形形状であり、第1噴き出し口71から第1微粒子を含む第1流体を第1噴流71として噴き出し、第2噴き出し口81から第2微粒子を含む第2流体を第2噴流82として噴き出して、第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の間の空間(混合領域MR)において、第1流体と第2流体とを混合する。
上記の流体混合部は、2つの流体を導入する矩形の吹き出し口が形成された混合ノズルを持ち、混合しようとする第1流体および第2流体の流路がそれぞれこの混合ノズルに接続される。混合ノズルの対向する噴き出し口から噴き出された流体は、噴流となって互いに衝突する。
図4(B)〜(D)は、第1流体と第2流体とが混合するメカニズムを説明する模式図である。このメカニズムは、非特許文献3に記載の同軸対向衝突噴流の発振現象を利用したものである。
これらの図面において、相対的に高圧である領域を実線で囲み、相対的に低圧である領域を破線で囲んで示している。
図4(B)に示すように、第1混合ノズル70の第1噴き出し口71から圧力P1で第1流体の第1噴流72を噴き出し、一方、第2混合ノズル80の第2噴き出し口81から圧力P2で第2流体の第2噴流82を噴き出す。
このとき、第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の間の空間において、第1噴流72と第2噴流82が噴流となって衝突する。
この第1噴流72と第2噴流82が衝突することにより、第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の間の空間の中心部に高圧PMの領域が生じ、この結果、第1噴流72と第2噴流82の流れが不安定となる。
上記のように流れが不安定となった第1噴流72および第2噴流82は、図4(C)に示すように、なんらかの外乱によって互いに逆方向に偏向する。第1噴流72および第2噴流82の偏向側は巻込みのために低圧となり、逆に非偏向側は噴流の干渉のために高圧となり、さらに衝突面は高圧であるので、第1噴流72および第2噴流82の偏向はますます増加する。
第1噴流72および第2噴流82の偏向が大きくなると、双方の噴流は互いにすれ違う。このすれ違い面は双方の噴流の巻き込みにより低圧となる。
上記の圧力低下は、各ノズルの噴き出し口(71,81)のノズル軸に垂直方向に圧力分布を逆転させ、第1噴流72および第2噴流82を再び引き寄せて衝突状態を形成する。圧力分布が各ノズルの噴き出し口(71,81)のノズル軸に垂直方向に逆転しているので、第1噴流72および第2噴流82の偏向も逆転し、図4(D)に示すような状態となる。
上記の各ノズルの噴き出し口(71,81)のノズル軸に垂直方向に圧力分布と噴流の偏向が逆転する過程が繰り返され、同軸対向して衝突する噴流の発振が生じる。この発振を持続させることで、第1噴流72と第2噴流82を混合することができる。
第1噴流72と第2噴流82の混合に適した第1混合ノズル70および第2混合ノズル80の形状やノズル間距離、ストロハル数などは、流体の種類やレイノルズ数によって決められ、本実施形態のように第1ナノ粒子を含む気相の第1流体と第2ナノ粒子を含む気相の第2流体を混合するには、第1混合ノズル70の第1噴き出し口71および第2混合ノズル80の第2噴き出し口81において、略矩形形状の短辺の長さaと長辺の長さbのアスペクト比(b/a)が4〜6であることが好ましい。
また、第1混合ノズルと第2混合ノズルのノズル間距離は、略矩形形状の短辺の長さの4〜35倍の距離であることが好ましい。
さらに、第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の間の空間を挟んで対向するように、略矩形形状の長辺方向に配置され、第1流体と第2流体が略矩形形状の長辺方向に拡散していくのを防止する一対の仕切り板(90,91)を有することが好ましい。
上記の仕切り板を設けることにより、衝突した噴流が発振しやすくなって、より均一に混合することができる。
またさらに、一対の仕切り板(90,91)の間の距離は、略矩形形状の長辺の長さと略等しいことがさらに好ましい。これにより第1流体の第1噴流72と第2流体の第2噴流82が、各噴き出し口の略矩形形状の長辺方向に拡散していくのを防止され、発振しやすくする効果を高めることができる。
上記の本実施形態に係るSFJ−PVD装置を構成する流体混合部によれば、同軸対向衝突噴流の発振現象を利用して、外部からの電気などのエネルギーを用いず、機械的な可動部を用いないで、気体の噴流中にナノ粒子を流した固気二相流同士を混合することができ、2つの噴流中の異種材料粉体を精密混合することができる。SFJ−PVD装置において、蒸発源から得た異種ナノ粒子を混合し、これを対象基板上に蒸着させることで異種材料を均一に物理蒸着することができる。
また、上記の流体混合部は、機械的可動部を必要としないため、加工・寸法の制約が少なくコンパクトな形状にすることができるため、狭い空間にも設置できる。
図5(A)は第1実施形態に係る物理蒸着装置の流体混合部の具体例の模式構成図であり、図5(B)は、図5(A)に示す流体混合部の構造を示すために部分毎に分解して示した模式図である。
また、図6(A)は図5(A)の流体混合部のA方向からの側面図であり、図6(B)はB方向からの正面図である。
また、図7(A)は図5(A)の流体混合部のC−C’における断面図であり、図7(B)は平面Dにおける断面図である。
略矩形形状の第1噴き出し口71が設けられた円盤状の第1混合ノズル70と、同じく略矩形形状の第2噴き出し口81が設けられた円盤状の第2混合ノズル80とが、一対の仕切り板(90,91)で架橋するように接続されている。
第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の間の空間が、第1流体の第1噴流と第2流体の第2噴流を混合させる混合領域MRとなる。
第1混合ノズル70、第2混合ノズル80および一対の仕切り板(90,91)は、例えば一体に形成されており、例えば真鍮やステンレスなどの材料から、NC付きワイヤーカット放電加工装置などを用いて形成されている。あるいは、例えば各部分毎に形成されたものが組み立てられていてもよい。
第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の形状は、例えば短辺の長さaが〜数mm程度であり、長辺の長さbが数〜十数mm程度であり、短辺の長さaと長辺の長さbのアスペクト比(b/a)が4〜6となっていることが好ましい。
また、第1混合ノズル70の第1噴き出し口71と第2混合ノズル80の第2噴き出し口81の間のノズル間距離cは、例えば第1噴き出し口71および第2噴き出し口81の略矩形形状の短辺aの長さの4〜35倍の距離であることが好ましい。
例えば、第1噴き出し口71および第2噴き出し口81の略矩形形状の短辺の長さaが1mm程度、長辺の長さbが4mm程度、アスペクト比(b/a)が4、ノズル間距離が16mmである。
また、一対の仕切り板(90,91)の間の距離dは、第1噴き出し口71および第2噴き出し口81の略矩形形状の長辺の長さbと略等しく設けられている。
図8は図5(A)に示す流体混合部を用いて流体を混合する様子を示す模式図である。
例えば、第1混合ノズル70の混合領域MRと反対側に面に、第1流体供給管T1を接続し、一方、第2混合ノズル80の混合領域MRと反対側に面に、第2流体供給管T2を接続する。
ここで、第1流体供給管T1から第1ナノ粒子を含む第1流体を供給し、第2流体供給管T2から第2ナノ粒子を含む第2流体を供給する。第1流体は第1噴流72となって第1噴き出し口71から混合領域MRへと噴き出し、また、第2流体は第2噴流82となって第2噴き出し口81から混合領域MRへと噴き出し、同軸対向衝突噴流の発振現象により、第1流体と第2流体が混合領域MRで混合する。
混合領域MRに臨む開口部(92,93)から混合領域MRの外部へと、混合した流体(94,95)が流れだし、さらに例えば合流した流体96として、超音速ノズルへと流れていく。
ここで、第1流体供給管T1および第2流体供給管T2で供給する流体の圧力と、各流体を噴き出す前の混合領域の圧力としては、例えば、第1流体供給管T1および第2流体供給管T2で供給する流体の圧力を60〜90kPa、各流体を噴き出す前の混合領域の圧力を0.5〜2kPaとし、噴き出し口の上流と下流における圧力比を例えば45程度に設定する。
上記の第1流体と第2流体の混合の状況は、例えば、流体混合部の混合領域における圧力の振動を観測することで、確認することが可能である。
また、本実施形態に係るSFJ−PVD装置において蒸発源から得た異種ナノ粒子を混合して蒸着して、成膜された蒸着膜の均一性を測定することで、第1流体と第2流体の混合の状況を確認することができる。
上記の本実施形態に係るSFJ−PVD装置においては、蒸発チャンバーのプラズマトーチとして、プラズマチップと電極とを絶縁するために、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管を用いており、ベークライトを用いていないので超高真空環境でもアウトガスをより発生させずに使用することができ、より汚染されていない活性な表面を有する微粒子を堆積させることで緻密な膜を成膜することができる。
さらに、第1微粒子と第2微粒子を混合する流体混合部として、同軸対向衝突噴流の発振現象を利用して、外部からの電気などのエネルギーを用いず、機械的な可動部を用いないで、均一に混合することができ、これによって膜質の均一な膜を成膜できる。
例えば、第1蒸発チャンバーに第1蒸発源としてTiをセットし、第2蒸発チャンバーに第2蒸発源としてAlをセットすることで、成膜チャンバーの成膜対象基板にTiAlを成膜することができる。
また、例えば上記と同様に蒸発源をセットし、さらに第1および第2蒸発チャンバーのそれぞれに雰囲気ガスとして窒素を流すことで、Ti−Al−Nを成膜することができる。
この他、金属とセラミックスなど、通常の方法では組成を混合して成膜することが困難な膜なども、組成を自由に制御して、緻密に成膜することができる。
第2実施形態
図9(A)は本実施形態に係る物理蒸着装置の流体混合部の模式構成図であり、図9(B)は模式断面図である。
第1混合ノズル70および第2混合ノズル80が、第1噴き出し口71および第2噴き出し口81の近傍において、第1噴き出し口71および第2噴き出し口81へと向かって第1流体および第2流体が流れる空間の広さが、それぞれ、第1噴き出し口71および第2噴き出し口81に近い下流側よりも第1噴き出し口71および第2噴き出し口81から遠い上流側ほど広いテーパー形状となっている部分を有しており、これ以外の構成については、第1実施形態に係る物理蒸着装置と同様である。
本実施形態に係る流体混合部を有する物理蒸着装置では、第1混合ノズル10および第2混合ノズル20から噴き出す第1噴流12と第2噴流22の噴流速度を高め、第1流体と第2流体をより均一に混合させることができ、さらに膜質の均一な膜を成膜できる。
第3実施形態
図10は本実施形態に係るSFJ−PVD装置の模式構成図である。
実質的に第1実施形態に係るSFJ−PVD装置と同様であるが、蒸発チャンバーとして1つ蒸発チャンバーのみが設けられている。即ち、蒸発チャンバー10および成膜用の真空チャンバーである成膜チャンバー30を備える。
蒸発チャンバー10には真空ポンプVP1に接続した排気管11が設けられており、真空ポンプVP1の作動により蒸発チャンバー10内が排気され、例えば10-10Torr程度の超高真空雰囲気とされる。さらに、蒸発チャンバー10にマスフローコントローラ12を介して設けられたガス供給源13から、必要に応じて、HeあるいはN2などの雰囲気ガスが蒸発チャンバー10内に所定の流量で供給される。
蒸発チャンバー10内には、水冷された銅製のるつぼ14が設けられ、この中に蒸発源材料15が入れられている。蒸発源材料15の近傍にプラズマトーチ16が設けられており、プラズマトーチ16を構成するプラズマチップと内部電極間での放電により発生するプラズマガスを媒体として、非移行式で蒸発源材料15が加熱されて蒸発し、蒸発源材料15から蒸発した原子からナノメートルオーダーの直径の微粒子(ナノ粒子)が得られる。
得られたナノ粒子は、蒸発チャンバー10内の雰囲気ガスとともに移送管17を通して成膜チャンバー30へと移送される。
成膜チャンバー30には真空ポンプVP3に接続した排気管31が設けられており、真空ポンプVP3の作動により成膜チャンバー30内が排気され、例えば10-10Torr程度の超高真空雰囲気とされる。
成膜チャンバー30内には、X−Y方向に駆動するステージ32が設けられ、このステージ32に成膜対象基板33が固定される。
蒸発チャンバー10からの移送管17の先端に超音速ノズル(ラバールノズル)35が設けられている。移送管17の超音速ノズル35側の外周には、不図示のコイルヒーターが設けられて加熱可能となっていてもよい。
上記の蒸発チャンバー10においてナノ粒子が生成されると、蒸発チャンバー10と成膜チャンバー30の間の圧力差によりガスの流れが生じ、ナノ粒子は雰囲気ガスとともに移送管を通して成膜チャンバー30へと移送される。
ナノ粒子を含む流体が超音速ノズル(ラバールノズル)35から超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)Jとして成膜チャンバー30中に、成膜対象基板33に向けて噴出する。
超音速ノズル35は、ノズル内部径が変化している縮小―拡大管であり、蒸発チャンバーと成膜チャンバー間の差圧により生起するガス流を、例えばマッハ数1.2以上の超音速まで高めることができる。
ナノ粒子は、超音速ノズル35によってマッハ3.6程度の超音速にまで加速され、超音速ガス流に乗って成膜チャンバー30中に噴出し、成膜対象基板33上に堆積(物理蒸着)する。
本実施形態に係るSFJ−PVD装置においては、第1実施形態と同様に、蒸発チャンバーのプラズマトーチとして、プラズマチップと電極とを絶縁するために、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管を用いており、ベークライトを用いていないので超高真空環境でもアウトガスをより発生させずに使用することができ、より汚染されていない活性な表面を有する微粒子を堆積させることで緻密な膜を成膜することができる。
上記の各実施形態に係るSFJ−PVD装置において、超音速ノズルおよび/または移送管の内部を通過する微粒子を含むガスを加熱するための加熱手段が、超音速ノズルおよび/または移送管自体に、あるいは、超音速ノズルおよび/または移送管の外周に設けられている構成としてもよい。
また、超音速ノズルおよび前記移送管の少なくとも一部が石英からなり、超音速ノズルおよび/または移送管の内部を通過する微粒子を含むガスをプラズマ化するためのRFコイルが超音速ノズルおよび/または移送管の外周に設けられている構成としてもよい。
上記の各構成とすると、成膜の制御をより精密に行うことができる。
本発明は上記の説明に限定されない。
例えば、上記の実施形態のプラズマトーチにおいては、アノードの外周に配置される保持管として第1〜第3保持部材が絶縁部材を介して互いに絶縁しながら一体化された構成しているが、これに限らず、アノードおよびカソードに所定の電位を印加可能とし、冷却系統やガス供給系統を実現しながら、ベークライトを用いることなく、アノードおよびカソードを超高真空環境下に対応可能とする構成となっていればよい。
また、例えば、流体混合部において、第1流体と第2流体が混合領域から各噴き出し口の略矩形形状の長辺方向に拡散していくのを防止する一対の仕切り板は、設けられている方が好ましいが、必ずしもなくてもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
本発明の物理蒸着装置は、例えば数10〜数100μm程度の膜厚の高密度なコーティング膜を低温で施工する方法として適用できる。
図1は本発明の第1実施形態に係る物理蒸着装置の模式構成図である。 図2は本発明の第1実施形態に係る物理蒸着装置を構成するプラズマトーチの一部断面構造を示す模式構成図である。 図3は図2中のA部の拡大図である。 図4(A)は第1実施形態に係る物理蒸着装置の流体混合部の模式構成図であり、図4(B)〜(D)は、第1流体と第2流体とが混合するメカニズムを説明する模式図である。 図5(A)は第1実施形態に係る物理蒸着装置の流体混合部の具体例の模式構成図であり、図5(B)は、図5(A)に示す流体混合部の構造を示すために部分毎に分解して示した模式図である。 図6(A)は図5(A)の流体混合部のA方向からの側面図であり、図6(B)はB方向からの正面図である。 図7(A)は図5(A)の流体混合部のC−C’における断面図であり、図7(B)は平面Dにおける断面図である。 図8は図5(A)に示す流体混合部を用いて流体を混合する様子を示す模式図である。 図9(A)は第2実施形態に係る物理蒸着装置の流体混合部の模式構成図であり、図9(B)は模式断面図である。 図10は本発明の第3実施形態に係る物理蒸着装置の模式構成図である。 図11(A)および(B)は、それぞれ従来例に係る移行型と非移行型のプラズマトーチの模式構成図である。 図12は従来例に係るY字型流体混合装置の模式図である。
符号の説明
1…プラズマチップ
3…内部電極
10…(第1)蒸発チャンバー
11,21…排気管
12…マスフローコントロール
13…ガス供給源
14,24…るつぼ
15…(第1)蒸発源材料
16…(第1)プラズマトーチ
17,27…移送管
20…第2蒸発チャンバー
25…第2蒸発源材料
26…第2プラズマトーチ
30…成膜チャンバー
31…排気管
32…ステージ
33…成膜対象基板
34…流体混合部
35…超音速ノズル
40…アノード
40a…アノード第1部材
40b…アノード第2部材
40c…シール剤
40h…開口部
41…冷却系統
41a…冷却水導入口
41b…冷却水導出口
41f…冷却水
50…絶縁管
51…ガストリビュータ
60…カソード
61…第1中空部
61f…プラズマガス
62…冷却系統
62a…第2中空部
62b…第3中空部
62f…冷却水
65…保持管
66…第1保持部材
67…第2保持部材
68…第3保持部材
69a,69b…絶縁部材
70…第1混合ノズル
71…第1噴き出し口
72…第1噴流
80…第2混合ノズル
81…第2噴き出し口
82…第2噴流
90,91…仕切り板
92,93…開口部
T1…第1流体供給管
T2…第2流体供給管
94,95…混合した流体
96…合流した流体
100…第1流体
101…第1流入口
110…第2流体
111…第2流入口
120…合流部
130…取り出し口
S…被加熱物
G…プラズマガス
VP1,VP2,VP3…真空ポンプ
MR…混合領域

Claims (29)

  1. 内部に蒸発源とプラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から微粒子を生成する蒸発チャンバーと、
    内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記蒸発チャンバーから移送された前記微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に前記微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーと
    を有し、
    前記プラズマト−チは、
    略円筒形の導電性のアノードと、
    前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、
    前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと
    を有し、
    前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成する
    物理蒸着装置。
  2. 前記超音速ノズルは、ノズル内部径が変化している縮小―拡大管であり、前記蒸発チャンバーと前記成膜チャンバー間の差圧により生起するガス流を超音速まで高める
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  3. 前記超音速ノズルは、マッハ数1.2以上の超音速ガス流を生み出す
    請求項2に記載の物理蒸着装置。
  4. 前記超音速ノズルは、1次元もしくは2次元の圧縮性流体力学理論を基にガスの種類と組成および前記成膜チャンバーの排気能力に応じて設計されており、前記移送管の先端に接続され、あるいは前記移送管の先端部分と一体に形成されている
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  5. 前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の内部を通過する前記微粒子を含むガスを加熱するための加熱手段が前記超音速ノズルおよび/または前記移送管自体にあるいは前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の外周に設けられている
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  6. 前記超音速ノズルおよび前記移送管の少なくとも一部が石英からなり、
    前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の内部を通過する前記微粒子を含むガスをプラズマ化するためのRFコイルが前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の外周に設けられている
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  7. 前記プラズマト−チにおいて、前記カソードの先端近傍で、前記アノードと前記カソードの間に、前記アノードと前記カソードの相対位置を位置決めし、前記カソードに対して供給されるプラズマガスを均等に行き渡らせるセラミクスのプラズマガスディストリビュータが設けられている
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  8. 前記絶縁管が、石英、マシナブルセラミクス、ボロンナイトライド、アルミナあるいはフッ素系樹脂からなる
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  9. 前記プラズマト−チにおいて、前記カソードは、内部構造として、中心に配置された第1中空部と、前記第1中空部の外周に配置された第2中空部と、前記第2中空部の外周に配置された第3中空部とを有する3層構造となっている
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  10. 前記プラズマト−チにおいて、前記カソードの前記第1中空部がプラズマガス供給管である
    請求項9に記載の物理蒸着装置。
  11. 前記プラズマト−チにおいて、
    前記カソードの前記第2中空部が冷却媒の導入管であり、
    前記カソードの前記第3中空部が前記冷却媒の導出管である
    請求項9に記載の物理蒸着装置。
  12. 前記プラズマト−チにおいて、前記アノードが冷却管を内蔵している
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  13. 前記プラズマト−チにおいて、真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  14. 前記プラズマト−チにおいて、前記アノードと前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式と、加熱対象である前記蒸発源と前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式とで切り替えまたは併用可能である
    請求項1に記載の物理蒸着装置。
  15. 内部に蒸発源とプラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から微粒子を生成する蒸発チャンバーと、
    内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記蒸発チャンバーから移送された前記微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に前記微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーと
    を有し、
    前記プラズマト−チは、
    略円筒形の導電性のアノードと、
    前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、
    前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、
    前記アノードの外周部に配置された保持管と
    を有し、
    前記保持管は、前記カソードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第1保持部材と、前記アノードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第2保持部材と、前記第1保持部材および前記第2保持部材を介して前記アノードおよび前記カソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも前記第1保持部材と前記第2保持部材の間および前記第2保持部材と前記第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、前記第1保持部材、前記第2保持部材および前記第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されており、
    前記アノード、前記カソードおよび前記保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられており、
    前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成する
    物理蒸着装置。
  16. 内部に第1蒸発源と第1プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第1プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第1蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第1微粒子を生成する第1蒸発チャンバーと、
    内部に第2蒸発源と第2プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第2プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第2蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第2微粒子を生成する第2蒸発チャンバーと、
    内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された流体混合部および超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と前記第2蒸発チャンバーから移送された前記第2微粒子を前記流体混合部で混合し、混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーと
    を有し、
    前記第1プラズマト−チおよび第2プラズマトーチは、それぞれ、
    略円筒形の導電性のアノードと、
    前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、
    前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと
    を有し、
    前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、
    前記流体混合部は、
    略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、
    前記第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、前記第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルと
    を有し、
    第1噴き出し口から前記第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、前記第2噴き出し口から前記第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、前記第1噴き出し口と前記第2噴き出し口の間の空間において前記第1流体と前記第2流体とを混合する
    物理蒸着装置。
  17. 前記流体混合部において、前記略矩形形状の短辺の長さaと長辺の長さbのアスペクト比(b/a)が4〜6である
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  18. 前記流体混合部において、前記第1混合ノズルと前記第2混合ノズルのノズル間距離が、前記略矩形形状の短辺の長さの4〜35倍の距離である
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  19. 前記流体混合部において、前記第1混合ノズルは、前記第1噴き出し口の近傍において、前記第1噴き出し口へと向かって前記第1流体が流れる空間の広さが、前記第1噴き出し口に近い下流側よりも前記第1噴き出し口から遠い上流側ほど広いテーパー形状となっている部分を有し、前記第2混合ノズルは、前記第2噴き出し口の近傍において、前記第2噴き出し口へと向かって前記第2流体が流れる空間の広さが、前記第2噴き出し口に近い下流側よりも前記第2噴き出し口から遠い上流側ほど広いテーパー形状となっている部分を有する
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  20. 前記流体混合部において、前記第1噴き出し口と前記第2噴き出し口の間の空間を挟んで対向するように、前記略矩形形状の長辺方向に配置され、前記第1流体と前記第2流体が前記略矩形形状の長辺方向に拡散していくのを防止する一対の仕切り板を有する
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  21. 前記流体混合部において、前記一対の仕切り板の間の距離が、前記略矩形形状の長辺の長さと略等しい
    請求項20に記載の物理蒸着装置。
  22. 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記カソードの先端近傍で、前記アノードと前記カソードの間に、前記アノードと前記カソードの相対位置を位置決めし、前記カソードに対して供給されるプラズマガスを均等に行き渡らせるセラミクスのプラズマガスディストリビュータが設けられている
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  23. 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記カソードは、内部構造として、中心に配置された第1中空部と、前記第1中空部の外周に配置された第2中空部と、前記第2中空部の外周に配置された第3中空部とを有する3層構造となっている
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  24. 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記カソードの前記第1中空部がプラズマガス供給管である
    請求項23に記載の物理蒸着装置。
  25. 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記カソードの前記第2中空部が冷却媒の導入管であり、前記カソードの前記第3中空部が前記冷却媒の導出管である
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  26. 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記アノードが冷却管を内蔵している
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  27. 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  28. 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記アノードと前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式と、加熱対象である前記第1あるいは第2蒸発源と前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式とで切り替えまたは併用可能である
    請求項16に記載の物理蒸着装置。
  29. 内部に第1蒸発源と第1プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第1プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第1蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第1微粒子を生成する第1蒸発チャンバーと、
    内部に第2蒸発源と第2プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第2プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第2蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第2微粒子を生成する第2蒸発チャンバーと、
    内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された流体混合部および超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と前記第2蒸発チャンバーから移送された前記第2微粒子を前記流体混合部で混合し、混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーと
    を有し、
    前記第1プラズマト−チおよび前記第2プラズマトーチは、それぞれ、
    略円筒形の導電性のアノードと、
    前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、
    前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、
    前記アノードの外周部に配置された保持管と
    を有し、
    前記保持管は、前記カソードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第1保持部材と、前記アノードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第2保持部材と、前記第1保持部材および前記第2保持部材を介して前記アノードおよび前記カソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも前記第1保持部材と前記第2保持部材の間および前記第2保持部材と前記第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、前記第1保持部材、前記第2保持部材および前記第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されており、
    前記アノード、前記カソードおよび前記保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられており、
    前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、
    前記流体混合部は、
    略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、
    前記第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、前記第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルと
    を有し、
    第1噴き出し口から前記第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、前記第2噴き出し口から前記第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、前記第1噴き出し口と前記第2噴き出し口の間の空間において前記第1流体と前記第2流体とを混合する
    物理蒸着装置。
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