JP2006111921A - 物理蒸着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部にプラズマトーチ(16,26)と蒸発源(15,25)を有する蒸発チャンバー(10,20)と、超音速ノズル35と成膜対象基板33を有する成膜チャンバー30を有し、各プラズマトーチは、略円筒形の導電性のアノード40と、その内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管50と、絶縁管50の内側に挿入された棒状のカソード60を有する。アノード40とカソード60に電圧印加して得たプラズマで蒸発源(15,25)から微粒子を生成し、超音速ノズル35から噴出して超音速ガス流に乗せ、成膜対象基板33に物理蒸着させる。
【選択図】図1
Description
しかし、数10〜数100μm程度の膜厚の高密度なコーティング膜を低温で施工することが可能なコーティング法は知られていなかった。
このSFJ−PVD装置は、蒸発チャンバーと成膜チャンバーを備える。
蒸発チャンバー内には、水冷されたハース上に設置した蒸発源材料と、高融点金属(具体的にはタングステン)製の電極が備えられており、一度蒸発チャンバー内を所定の圧力に減圧した後、所定のガス雰囲気に置換して、蒸発源をアノード(陽極)とし、アノードと一定間隔離れた位置にある高電導性金属製電極をカソード(陰極)とし、それぞれ負電圧と正電圧を印加して両極間にアーク放電を生起させる移行式アークプラズマによって、蒸発源材料が加熱されて蒸発する。所定のガス雰囲気とした蒸発チャンバー内では、蒸発源の加熱により蒸発した原子は互いに凝集しナノメートルオーダーの直径の微粒子(以下ナノ粒子と称する)が得られる。
差圧によるガス流は、蒸発チャンバーから成膜チャンバーへと接続する移送管の先端に取り付けられた特別に設計された超音速ノズル(ラバールノズル)によりマッハ数3.6程度の超音速にまで加速され、ナノ粒子は超音速フリージェットの気流に乗って高速に加速されて成膜チャンバー中に噴出し、成膜対象基板上に堆積する。
図11(A)および(B)は、それぞれ従来例に係る移行型(transfer type)と非移行型(non-transfer type)のプラズマトーチの模式構成図である。
図11(A)に示すように、移行型のプラズマトーチは、略円筒形のプラズマチップ1の内側の中心部に、陰極となる棒状の内部電極3が挿入されて組み立てられている。被加熱物Sに正電圧、内部電極3に負電圧を印加することにより、被加熱物Sと内部電極3との間での放電により生起するアークプラズマにより被加熱物Sを加熱する。
一方、非移行型のプラズマトーチは、被加熱物に電流は流れないので、被加熱物の材質に影響されずにプラズマを発生させることができ、プラズマの始動性および安定性が高く、移行型のプラズマトーチによる加熱に比べ加熱量の制御性が良いという利点がある。
上記の高分子系絶縁材料およびその他のトーチ構成材料のために、従来の非移行型のプラズマトーチを超高真空環境で使用するとアウトガスが発生してしまう。
このため、SFJ−PVD装置において、プラズマトーチで生成したプラズマにより蒸発源からナノ粒子を生成するような場合、得られたナノ粒子をアウトガスで汚染してしまうことになる。
例えば、図12に示すY字型流体混合装置を用いて、上記の第1および第2の流体の混合を行うことができる。
Y字型流体混合装置は、第1流体100が流される第1流入口101と第2流体110が流される第2流入口111が合流部120で合流して混合し、第1流体100と第2流体110の混合物が取り出し口130からから取り出される構成である。
ここで、第1流体と第2流体をより均一に混合するために、外部からの電気エネルギーを用いて、第1流体と第2流体の取り出し口への流入を機械的に制御する。より具体的には、図12に示すように、第1流体と第2流体が交互に取り出し口に流入するようにする。この交互に流入させる流体の量をより少なくすることにより、第1流体と第2流体をより均一に混合することが可能となる。
A. Yumoto, F. Hiroki, I. Shiota, N. Niwa, Surface and Coatings Technology, 169-170, 2003, 499-503 湯本敦史、廣木富士男、塩田一路、丹羽直毅:超音速フリージェットPVDによるTiおよびAl膜の形成、日本金属学会誌、第65巻、第7号(2001)pp635−643 山本圭治郎、野本明、川島忠雄、中土宣明:同軸対向衝突噴流の発振現象、油圧と空気圧(1975)pp68−77
さらに、従来の物理蒸着装置において複数の蒸発チャンバーを有する場合、2つの流体の混合を行うのに、外部からの電気などのエネルギーを用いず、機械的な可動部を用いないで混合することが困難である点である。
ここで、上記のプラズマトーチは、略円筒形の導電性のアノードと、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、アノードに接しないように、絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードとを有し、カソードに負電圧を、アノードおよび/または蒸発源に正電圧を印加して発生させたプラズマにより蒸発源から微粒子を生成し、得られた微粒子を超音速ノズルが生み出す超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)に乗せ、成膜対象基板に物理蒸着させる構成となっている。
以下、本明細書中において、略円筒形状とは円筒形状および略円筒形状を含むものとする。
さらに好適には、前記超音速ノズルは、マッハ数1.2以上の超音速ガス流を生み出す。
また好適には、前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の内部を通過する前記微粒子を含むガスを加熱するための加熱手段が前記超音速ノズルおよび/または前記移送管自体にあるいは前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の外周に設けられている。
また好適には、前記超音速ノズルおよび前記移送管の少なくとも一部が石英からなり、
前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の内部を通過する前記微粒子を含むガスをプラズマ化するためのRFコイルが前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の外周に設けられている。
また、好適には、前記絶縁管が、石英、マシナブルセラミクス、ボロンナイトライド、アルミナあるいはフッ素系樹脂からなる。
さらに好適には、前記プラズマト−チにおいて、前記カソードの前記第1中空部がプラズマガス供給管である。
さらに好適には、前記プラズマト−チにおいて、前記カソードの前記第2中空部が冷却媒の導入管であり、前記カソードの前記第3中空部が前記冷却媒の導出管である。
ここで、上記のプラズマトーチは、略円筒形の導電性のアノードと、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、アノードに接しないように、絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、アノードの外周部に配置された保持管とを有する。
上記の保持管は、カソードに電気的に接続してカソードを機械的に保持する第1保持部材と、アノードに電気的に接続してカソードを機械的に保持する第2保持部材と、第1保持部材および第2保持部材を介してアノードおよびカソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも第1保持部材と第2保持部材の間および第2保持部材と第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、第1保持部材、第2保持部材および第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されている。また、アノード、カソードおよび保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている。
カソードに負電圧を、アノードおよび/または蒸発源に正電圧を印加して発生させたプラズマにより蒸発源から微粒子を生成し、得られた微粒子を超音速ノズルが生み出す超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)に乗せ、成膜対象基板に物理蒸着させる構成となっている。
上記の第1および第2プラズマトーチは、それぞれ、略円筒形の導電性のアノードと、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、アノードに接しないように、絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードとを有し、カソードに負電圧を、アノードおよび/または第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、得られたプラズマにより第1および第2蒸発源から第1および第2微粒子を生成する。
流体混合部は、第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と第2蒸発チャンバーから移送された第2微粒子を混合する。
混合された第1微粒子と第2微粒子を超音速ノズルが生み出す超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)に乗せ、成膜対象基板に混合された第1微粒子と第2微粒子を物理蒸着させる。
また、上記の流体混合部は、略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルとを有し、第1噴き出し口から第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、第2噴き出し口から第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、第1噴き出し口と第2噴き出し口の間の空間において第1流体と前記第2流体とを混合する構成となっている。
以下、本明細書中において、略矩形形状とは矩形形状および略矩形形状を含むものとする。
さらに好適には、前記流体混合部において、前記一対の仕切り板の間の距離が、前記略矩形形状の長辺の長さと略等しい。
上記の第1および第2プラズマトーチは、それぞれ、略円筒形の導電性のアノードと、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、アノードに接しないように、絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、アノードの外周部に配置された保持管とを有する。
上記の保持管は、カソードに電気的に接続してカソードを機械的に保持する第1保持部材と、アノードに電気的に接続してカソードを機械的に保持する第2保持部材と、第1保持部材および第2保持部材を介してアノードおよびカソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも第1保持部材と第2保持部材の間および第2保持部材と第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、第1保持部材、第2保持部材および第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されている。また、アノード、カソードおよび保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている。
カソードに負電圧を、アノードおよび/または第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、得られたプラズマにより第1および第2蒸発源から第1および第2微粒子を生成する。
流体混合部は、第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と第2蒸発チャンバーから移送された第2微粒子を混合する。
混合された第1微粒子と第2微粒子を超音速ノズルが生み出す超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)に乗せ、成膜対象基板に混合された第1微粒子と第2微粒子を物理蒸着させる。
また、上記の流体混合部は、略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルとを有し、第1噴き出し口から第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、第2噴き出し口から第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、第1噴き出し口と第2噴き出し口の間の空間において第1流体と前記第2流体とを混合する構成となっている。
図1は本実施形態に係る超音速フリージェット(Supersonic Free Jet:SFJ)物理蒸着(Physical Vapor Deposition:PVD)装置の模式構成図である。
本実施形態のSFJ−PVD装置は、第1蒸発チャンバー10、第2蒸発チャンバー20および成膜用の真空チャンバーである成膜チャンバー30を備える。
得られた第1ナノ粒子は、第1蒸発チャンバー10内の雰囲気ガスとともに移送管17を通して成膜チャンバー30へと移送される。
即ち、第2蒸発チャンバー20に接続した排気管21から真空ポンプVP2の作動により第2蒸発チャンバー20内が排気され、例えば10-10Torr程度の超高真空雰囲気とされ、さらに、第2蒸発チャンバー20にマスフローコントローラ12を介して設けられたガス供給源13から、必要に応じて、HeあるいはN2などの雰囲気ガスが第2蒸発チャンバー20内に所定の流量で供給される。あるいは大気雰囲気としてもよい。
また、第2蒸発チャンバー20内に設けられたるつぼ24の中に第2蒸発源材料25が入れられ、この近傍に設けられた第2プラズマトーチ26により発生するプラズマガスを媒体として、非移行式で第2蒸発源材料25が加熱されて蒸発し、第2蒸発源材料25から蒸発した原子からナノメートルオーダーの直径の第2微粒子(以下第2ナノ粒子とも称する)が得られる。
得られた第2ナノ粒子は、第2蒸発チャンバー20内の雰囲気ガスとともに移送管27を通して成膜チャンバー30へと移送される。
成膜チャンバー30内には、X−Y方向に駆動するステージ32が設けられ、このステージ32に成膜対象基板33が固定される。
成膜対象基板としては、特に限定はないが、例えば、純チタン板(JISグレード1)、A1050アルミニウム合金板、SUS304ステンレススチール板などを用いることができる。成膜対象基板は、成膜チャンバーにセットする前にアセトン中で超音波洗浄してから用いることが好ましい。
第1ナノ粒子を含む第1流体と、第2ナノ粒子を含む第2流体とが、流体混合部34において混合し、流体混合部34の中央部に取り付けられた超音速ノズル(ラバールノズル)35から超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)として成膜チャンバー30中に、成膜対象基板33に向けて噴出する。即ち、第1ナノ粒子と第2ナノ粒子が流体混合部34において混合する。
超音速ノズル35は、1次元もしくは2次元の圧縮性流体力学理論を基にガスの種類と組成および成膜チャンバーの排気能力に応じて設計されており、移送管の先端に接続され、あるいは移送管の先端部分と一体に形成されている。具体的には、ノズル内部径が変化している縮小―拡大管であり、蒸発チャンバーと成膜チャンバー間の差圧により生起するガス流を、例えばマッハ数1.2以上の超音速まで高めることができる。
第1ナノ粒子と第2ナノ粒子は、例えば、超音速ノズル35によってマッハ数3.6程度の超音速にまで加速され、超音速ガス流に乗って成膜チャンバー30中に噴出し、成膜対象基板33上に堆積(物理蒸着)する。
図2は本実施形態に係る物理蒸着装置を構成するプラズマトーチの一部断面構造を示す模式構成図である。また、図3は図2中のA部の拡大図である。
本実施形態に係るプラズマトーチは、略円筒形の導電性のアノード40と、アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管50と、アノード40に接しないように絶縁管50の内側に挿入された棒状のカソード60とを有する。
冷却系統41により、プラズマ生成で加熱されてしまうアノード40を効率的に冷却することができる。
このようにして、カソード60の先端近傍で、アノード40の径が狭められた形状となっている。
上記のガストリビュータ51は、例えばセラミックなどの非高分子系絶縁材料からなり、超高真空環境下においてもアウトガスを実質的に出さない材料からなり、カソードの先端近傍で、アノードとカソードの間に、アノードとカソードの相対位置を位置決めし、アノードとカソードが接しないようにして両者の短絡を防止するように設けられている。また、ガストリビュータ51には微細な開口部が設けられていて、カソードに対して供給されるプラズマガスを均等に行き渡らせることができる。
ここで、カソード第2部材60b内の第1中空部61がプラズマガス供給管である。ここから、上記のガストリビュータ51を介してアノード40およびカソード60の先端部分にプラズマガス61fを供給することができる。
第2中空部62aおよび第3中空部62bからなる冷却系統62というアノード40の冷却系統41と分離された冷却系統を有することで、熱伝導性の高くない絶縁管50に内側に挿入されたカソード60を効率的に冷却することができる。
保持管65は、カソード60に電気的に接続してカソードを機械的に保持する第1保持部材66と、アノード40に電気的に接続してカソードを機械的に保持する第2保持部材67と、第1保持部材66および第2保持部材67を介してアノード40およびカソード60を機械的に保持する第3保持部材68とを有し、少なくとも第1保持部材66と第2保持部材67の間および第2保持部材67と第3保持部材68の間がセラミクスの絶縁部材(69a,69b)に溶接によって接合され、第1保持部材66、第2保持部材67および第3保持部材68が互いに絶縁しながら一体化されている。
さらに、本実施形態に係るプラズマトーチは、真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている。
得られたプラズマは、アノード先端の開口部40hからプラズマトーチの外部に供給することができる。
また、アノードの外周にプラズマトーチ全体を保持し、アノードおよびカソードに所定の電位を印加する保持管を有することで、アウトガスを発生させないようにして超高真空環境に対応することができる。
従って、本実施形態に係るSFJ−PVD装置において、プラズマトーチで生成したプラズマにより蒸発源からナノ粒子を生成する場合、上記のプラズマトーチを用いることにより、アウトガスで汚染しないでナノ粒子を生成することができる。このように、本実施形態にプラズマトーチを超高真空環境下あるいはガス置換雰囲気下で使用することで、加熱対象物に不純物が混入することを防止でき、より汚染されていない活性な表面を有する微粒子を堆積させることで緻密な膜を成膜することができる。
また、本実施形態に係るSFJ−PVD装置は、10-10torr程度の超高真空環境から大気圧下まで、幅広い雰囲気圧力で使用することができる。
これらを切り替え、あるいは併用することで、移行型のエネルギー効率が高いという長所と、非移行型の非加熱物の材質に係わらず使用でき、プラズマの始動性や安定性が高く、制御性がよいという長所を享受でき、より効率的に加熱対象を加熱することができる。移行型と非移行型のいずれにおいても、超高真空環境下の使用で実質的にアウトガスを発生させることがない。
図4(A)は本実施形態に係る物理蒸着装置の流体混合部の模式構成図である。
第1混合ノズル70の第1噴き出し口71と、第2混合ノズル80の第2噴き出し口81が同軸上に対向して配置されている。
第1噴き出し口71と第2噴き出し口81は同じ略矩形形状であり、第1噴き出し口71から第1微粒子を含む第1流体を第1噴流71として噴き出し、第2噴き出し口81から第2微粒子を含む第2流体を第2噴流82として噴き出して、第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の間の空間(混合領域MR)において、第1流体と第2流体とを混合する。
これらの図面において、相対的に高圧である領域を実線で囲み、相対的に低圧である領域を破線で囲んで示している。
このとき、第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の間の空間において、第1噴流72と第2噴流82が噴流となって衝突する。
この第1噴流72と第2噴流82が衝突することにより、第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の間の空間の中心部に高圧PMの領域が生じ、この結果、第1噴流72と第2噴流82の流れが不安定となる。
第1噴流72および第2噴流82の偏向が大きくなると、双方の噴流は互いにすれ違う。このすれ違い面は双方の噴流の巻き込みにより低圧となる。
また、第1混合ノズルと第2混合ノズルのノズル間距離は、略矩形形状の短辺の長さの4〜35倍の距離であることが好ましい。
上記の仕切り板を設けることにより、衝突した噴流が発振しやすくなって、より均一に混合することができる。
またさらに、一対の仕切り板(90,91)の間の距離は、略矩形形状の長辺の長さと略等しいことがさらに好ましい。これにより第1流体の第1噴流72と第2流体の第2噴流82が、各噴き出し口の略矩形形状の長辺方向に拡散していくのを防止され、発振しやすくする効果を高めることができる。
また、図6(A)は図5(A)の流体混合部のA方向からの側面図であり、図6(B)はB方向からの正面図である。
また、図7(A)は図5(A)の流体混合部のC−C’における断面図であり、図7(B)は平面Dにおける断面図である。
第1噴き出し口71と第2噴き出し口81の間の空間が、第1流体の第1噴流と第2流体の第2噴流を混合させる混合領域MRとなる。
また、第1混合ノズル70の第1噴き出し口71と第2混合ノズル80の第2噴き出し口81の間のノズル間距離cは、例えば第1噴き出し口71および第2噴き出し口81の略矩形形状の短辺aの長さの4〜35倍の距離であることが好ましい。
例えば、第1噴き出し口71および第2噴き出し口81の略矩形形状の短辺の長さaが1mm程度、長辺の長さbが4mm程度、アスペクト比(b/a)が4、ノズル間距離が16mmである。
例えば、第1混合ノズル70の混合領域MRと反対側に面に、第1流体供給管T1を接続し、一方、第2混合ノズル80の混合領域MRと反対側に面に、第2流体供給管T2を接続する。
ここで、第1流体供給管T1から第1ナノ粒子を含む第1流体を供給し、第2流体供給管T2から第2ナノ粒子を含む第2流体を供給する。第1流体は第1噴流72となって第1噴き出し口71から混合領域MRへと噴き出し、また、第2流体は第2噴流82となって第2噴き出し口81から混合領域MRへと噴き出し、同軸対向衝突噴流の発振現象により、第1流体と第2流体が混合領域MRで混合する。
混合領域MRに臨む開口部(92,93)から混合領域MRの外部へと、混合した流体(94,95)が流れだし、さらに例えば合流した流体96として、超音速ノズルへと流れていく。
また、本実施形態に係るSFJ−PVD装置において蒸発源から得た異種ナノ粒子を混合して蒸着して、成膜された蒸着膜の均一性を測定することで、第1流体と第2流体の混合の状況を確認することができる。
さらに、第1微粒子と第2微粒子を混合する流体混合部として、同軸対向衝突噴流の発振現象を利用して、外部からの電気などのエネルギーを用いず、機械的な可動部を用いないで、均一に混合することができ、これによって膜質の均一な膜を成膜できる。
また、例えば上記と同様に蒸発源をセットし、さらに第1および第2蒸発チャンバーのそれぞれに雰囲気ガスとして窒素を流すことで、Ti−Al−Nを成膜することができる。
この他、金属とセラミックスなど、通常の方法では組成を混合して成膜することが困難な膜なども、組成を自由に制御して、緻密に成膜することができる。
図9(A)は本実施形態に係る物理蒸着装置の流体混合部の模式構成図であり、図9(B)は模式断面図である。
第1混合ノズル70および第2混合ノズル80が、第1噴き出し口71および第2噴き出し口81の近傍において、第1噴き出し口71および第2噴き出し口81へと向かって第1流体および第2流体が流れる空間の広さが、それぞれ、第1噴き出し口71および第2噴き出し口81に近い下流側よりも第1噴き出し口71および第2噴き出し口81から遠い上流側ほど広いテーパー形状となっている部分を有しており、これ以外の構成については、第1実施形態に係る物理蒸着装置と同様である。
図10は本実施形態に係るSFJ−PVD装置の模式構成図である。
実質的に第1実施形態に係るSFJ−PVD装置と同様であるが、蒸発チャンバーとして1つ蒸発チャンバーのみが設けられている。即ち、蒸発チャンバー10および成膜用の真空チャンバーである成膜チャンバー30を備える。
得られたナノ粒子は、蒸発チャンバー10内の雰囲気ガスとともに移送管17を通して成膜チャンバー30へと移送される。
成膜チャンバー30内には、X−Y方向に駆動するステージ32が設けられ、このステージ32に成膜対象基板33が固定される。
蒸発チャンバー10からの移送管17の先端に超音速ノズル(ラバールノズル)35が設けられている。移送管17の超音速ノズル35側の外周には、不図示のコイルヒーターが設けられて加熱可能となっていてもよい。
ナノ粒子を含む流体が超音速ノズル(ラバールノズル)35から超音速ガス流(超音速フリージェットの気流)Jとして成膜チャンバー30中に、成膜対象基板33に向けて噴出する。
超音速ノズル35は、ノズル内部径が変化している縮小―拡大管であり、蒸発チャンバーと成膜チャンバー間の差圧により生起するガス流を、例えばマッハ数1.2以上の超音速まで高めることができる。
ナノ粒子は、超音速ノズル35によってマッハ3.6程度の超音速にまで加速され、超音速ガス流に乗って成膜チャンバー30中に噴出し、成膜対象基板33上に堆積(物理蒸着)する。
また、超音速ノズルおよび前記移送管の少なくとも一部が石英からなり、超音速ノズルおよび/または移送管の内部を通過する微粒子を含むガスをプラズマ化するためのRFコイルが超音速ノズルおよび/または移送管の外周に設けられている構成としてもよい。
上記の各構成とすると、成膜の制御をより精密に行うことができる。
例えば、上記の実施形態のプラズマトーチにおいては、アノードの外周に配置される保持管として第1〜第3保持部材が絶縁部材を介して互いに絶縁しながら一体化された構成しているが、これに限らず、アノードおよびカソードに所定の電位を印加可能とし、冷却系統やガス供給系統を実現しながら、ベークライトを用いることなく、アノードおよびカソードを超高真空環境下に対応可能とする構成となっていればよい。
また、例えば、流体混合部において、第1流体と第2流体が混合領域から各噴き出し口の略矩形形状の長辺方向に拡散していくのを防止する一対の仕切り板は、設けられている方が好ましいが、必ずしもなくてもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
3…内部電極
10…(第1)蒸発チャンバー
11,21…排気管
12…マスフローコントロール
13…ガス供給源
14,24…るつぼ
15…(第1)蒸発源材料
16…(第1)プラズマトーチ
17,27…移送管
20…第2蒸発チャンバー
25…第2蒸発源材料
26…第2プラズマトーチ
30…成膜チャンバー
31…排気管
32…ステージ
33…成膜対象基板
34…流体混合部
35…超音速ノズル
40…アノード
40a…アノード第1部材
40b…アノード第2部材
40c…シール剤
40h…開口部
41…冷却系統
41a…冷却水導入口
41b…冷却水導出口
41f…冷却水
50…絶縁管
51…ガストリビュータ
60…カソード
61…第1中空部
61f…プラズマガス
62…冷却系統
62a…第2中空部
62b…第3中空部
62f…冷却水
65…保持管
66…第1保持部材
67…第2保持部材
68…第3保持部材
69a,69b…絶縁部材
70…第1混合ノズル
71…第1噴き出し口
72…第1噴流
80…第2混合ノズル
81…第2噴き出し口
82…第2噴流
90,91…仕切り板
92,93…開口部
T1…第1流体供給管
T2…第2流体供給管
94,95…混合した流体
96…合流した流体
100…第1流体
101…第1流入口
110…第2流体
111…第2流入口
120…合流部
130…取り出し口
S…被加熱物
G…プラズマガス
VP1,VP2,VP3…真空ポンプ
MR…混合領域
Claims (29)
- 内部に蒸発源とプラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から微粒子を生成する蒸発チャンバーと、
内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記蒸発チャンバーから移送された前記微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に前記微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーと
を有し、
前記プラズマト−チは、
略円筒形の導電性のアノードと、
前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、
前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと
を有し、
前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成する
物理蒸着装置。 - 前記超音速ノズルは、ノズル内部径が変化している縮小―拡大管であり、前記蒸発チャンバーと前記成膜チャンバー間の差圧により生起するガス流を超音速まで高める
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 前記超音速ノズルは、マッハ数1.2以上の超音速ガス流を生み出す
請求項2に記載の物理蒸着装置。 - 前記超音速ノズルは、1次元もしくは2次元の圧縮性流体力学理論を基にガスの種類と組成および前記成膜チャンバーの排気能力に応じて設計されており、前記移送管の先端に接続され、あるいは前記移送管の先端部分と一体に形成されている
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の内部を通過する前記微粒子を含むガスを加熱するための加熱手段が前記超音速ノズルおよび/または前記移送管自体にあるいは前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の外周に設けられている
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 前記超音速ノズルおよび前記移送管の少なくとも一部が石英からなり、
前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の内部を通過する前記微粒子を含むガスをプラズマ化するためのRFコイルが前記超音速ノズルおよび/または前記移送管の外周に設けられている
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 前記プラズマト−チにおいて、前記カソードの先端近傍で、前記アノードと前記カソードの間に、前記アノードと前記カソードの相対位置を位置決めし、前記カソードに対して供給されるプラズマガスを均等に行き渡らせるセラミクスのプラズマガスディストリビュータが設けられている
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 前記絶縁管が、石英、マシナブルセラミクス、ボロンナイトライド、アルミナあるいはフッ素系樹脂からなる
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 前記プラズマト−チにおいて、前記カソードは、内部構造として、中心に配置された第1中空部と、前記第1中空部の外周に配置された第2中空部と、前記第2中空部の外周に配置された第3中空部とを有する3層構造となっている
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 前記プラズマト−チにおいて、前記カソードの前記第1中空部がプラズマガス供給管である
請求項9に記載の物理蒸着装置。 - 前記プラズマト−チにおいて、
前記カソードの前記第2中空部が冷却媒の導入管であり、
前記カソードの前記第3中空部が前記冷却媒の導出管である
請求項9に記載の物理蒸着装置。 - 前記プラズマト−チにおいて、前記アノードが冷却管を内蔵している
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 前記プラズマト−チにおいて、真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 前記プラズマト−チにおいて、前記アノードと前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式と、加熱対象である前記蒸発源と前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式とで切り替えまたは併用可能である
請求項1に記載の物理蒸着装置。 - 内部に蒸発源とプラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から微粒子を生成する蒸発チャンバーと、
内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記蒸発チャンバーから移送された前記微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に前記微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーと
を有し、
前記プラズマト−チは、
略円筒形の導電性のアノードと、
前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、
前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、
前記アノードの外周部に配置された保持管と
を有し、
前記保持管は、前記カソードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第1保持部材と、前記アノードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第2保持部材と、前記第1保持部材および前記第2保持部材を介して前記アノードおよび前記カソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも前記第1保持部材と前記第2保持部材の間および前記第2保持部材と前記第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、前記第1保持部材、前記第2保持部材および前記第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されており、
前記アノード、前記カソードおよび前記保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられており、
前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成する
物理蒸着装置。 - 内部に第1蒸発源と第1プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第1プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第1蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第1微粒子を生成する第1蒸発チャンバーと、
内部に第2蒸発源と第2プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第2プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第2蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第2微粒子を生成する第2蒸発チャンバーと、
内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された流体混合部および超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と前記第2蒸発チャンバーから移送された前記第2微粒子を前記流体混合部で混合し、混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーと
を有し、
前記第1プラズマト−チおよび第2プラズマトーチは、それぞれ、
略円筒形の導電性のアノードと、
前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、
前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと
を有し、
前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、
前記流体混合部は、
略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、
前記第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、前記第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルと
を有し、
第1噴き出し口から前記第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、前記第2噴き出し口から前記第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、前記第1噴き出し口と前記第2噴き出し口の間の空間において前記第1流体と前記第2流体とを混合する
物理蒸着装置。 - 前記流体混合部において、前記略矩形形状の短辺の長さaと長辺の長さbのアスペクト比(b/a)が4〜6である
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 前記流体混合部において、前記第1混合ノズルと前記第2混合ノズルのノズル間距離が、前記略矩形形状の短辺の長さの4〜35倍の距離である
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 前記流体混合部において、前記第1混合ノズルは、前記第1噴き出し口の近傍において、前記第1噴き出し口へと向かって前記第1流体が流れる空間の広さが、前記第1噴き出し口に近い下流側よりも前記第1噴き出し口から遠い上流側ほど広いテーパー形状となっている部分を有し、前記第2混合ノズルは、前記第2噴き出し口の近傍において、前記第2噴き出し口へと向かって前記第2流体が流れる空間の広さが、前記第2噴き出し口に近い下流側よりも前記第2噴き出し口から遠い上流側ほど広いテーパー形状となっている部分を有する
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 前記流体混合部において、前記第1噴き出し口と前記第2噴き出し口の間の空間を挟んで対向するように、前記略矩形形状の長辺方向に配置され、前記第1流体と前記第2流体が前記略矩形形状の長辺方向に拡散していくのを防止する一対の仕切り板を有する
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 前記流体混合部において、前記一対の仕切り板の間の距離が、前記略矩形形状の長辺の長さと略等しい
請求項20に記載の物理蒸着装置。 - 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記カソードの先端近傍で、前記アノードと前記カソードの間に、前記アノードと前記カソードの相対位置を位置決めし、前記カソードに対して供給されるプラズマガスを均等に行き渡らせるセラミクスのプラズマガスディストリビュータが設けられている
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記カソードは、内部構造として、中心に配置された第1中空部と、前記第1中空部の外周に配置された第2中空部と、前記第2中空部の外周に配置された第3中空部とを有する3層構造となっている
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記カソードの前記第1中空部がプラズマガス供給管である
請求項23に記載の物理蒸着装置。 - 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記カソードの前記第2中空部が冷却媒の導入管であり、前記カソードの前記第3中空部が前記冷却媒の導出管である
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記アノードが冷却管を内蔵している
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられている
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 前記第1プラズマトーチおよび/または前記第2プラズマトーチにおいて、前記アノードと前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式と、加熱対象である前記第1あるいは第2蒸発源と前記カソードにそれぞれ正電圧と負電圧を印加してプラズマを形成する方式とで切り替えまたは併用可能である
請求項16に記載の物理蒸着装置。 - 内部に第1蒸発源と第1プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第1プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第1蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第1微粒子を生成する第1蒸発チャンバーと、
内部に第2蒸発源と第2プラズマトーチを備え、所定のガス雰囲気下あるいは大気下において前記第2プラズマトーチで発生させたプラズマにより前記第2蒸発源を加熱して蒸発させ、蒸発した原子から第2微粒子を生成する第2蒸発チャンバーと、
内部に前記蒸発チャンバーから前記微粒子を含むガスの搬送する経路となる移送管に接続された流体混合部および超音速ノズルと成膜対象基板を備え、前記第1蒸発チャンバーから移送された前記第1微粒子と前記第2蒸発チャンバーから移送された前記第2微粒子を前記流体混合部で混合し、混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を前記超音速ノズルが生み出す超音速ガス流に乗せ、前記成膜対象基板に混合された前記第1微粒子と前記第2微粒子を物理蒸着させる成膜チャンバーと
を有し、
前記第1プラズマト−チおよび前記第2プラズマトーチは、それぞれ、
略円筒形の導電性のアノードと、
前記アノードの内側に挿入された、ベークライトよりもアウトガスの少ない高分子系または非高分子系の絶縁管と、
前記アノードに接しないように、前記絶縁管の内側に挿入された棒状のカソードと、
前記アノードの外周部に配置された保持管と
を有し、
前記保持管は、前記カソードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第1保持部材と、前記アノードに電気的に接続して前記カソードを機械的に保持する第2保持部材と、前記第1保持部材および前記第2保持部材を介して前記アノードおよび前記カソードを機械的に保持する第3保持部材とを有し、少なくとも前記第1保持部材と前記第2保持部材の間および前記第2保持部材と前記第3保持部材の間がセラミクスの絶縁部材に溶接によって接合され、前記第1保持部材、前記第2保持部材および前記第3保持部材が互いに絶縁しながら一体化されており、
前記アノード、前記カソードおよび前記保持管の真空シールとしてVCR継ぎ手および/またはICFフランジが用いられており、
前記カソードに負電圧を、前記アノードおよび/または前記第1あるいは第2蒸発源に正電圧を印加してプラズマを形成し、
前記流体混合部は、
略矩形形状の第1噴き出し口を有する第1混合ノズルと、
前記第1噴き出し口と同じ形状の第2噴き出し口を有し、前記第1混合ノズルと同軸上に対向して設けられた第2混合ノズルと
を有し、
第1噴き出し口から前記第1微粒子を含む第1流体を噴き出し、前記第2噴き出し口から前記第2微粒子を含む第2流体を噴き出し、前記第1噴き出し口と前記第2噴き出し口の間の空間において前記第1流体と前記第2流体とを混合する
物理蒸着装置。
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