JP2006111072A - 空気入りラジアルタイヤおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 タイヤの諸性能を損なうことなしに十分な軽量化を達成し得る空気入りラジアルタイヤおよび新規な成型加硫方法に基づく当該空気入りラジアルタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】 トレッド部1と、その両側からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内方端に位置する一対のビード部3とを備え、ビード部3に埋設された一対のビードコア7間にトロイダル状をなして跨るラジアルカーカス4と、ラジアルカーカス4とトレッド部1との間にベルト層に代えて配設されたスパイラル補強層5とを有する空気入りラジアルタイヤである。スパイラル補強層5が、有機および/または無機の繊維からなるコードをラジアルカーカス4外周上に単層または複数層でスパイラル状に巻き返して形成され、タイヤから取り出した前記コードの66N荷伸時伸度が1.5%以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】 トレッド部1と、その両側からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内方端に位置する一対のビード部3とを備え、ビード部3に埋設された一対のビードコア7間にトロイダル状をなして跨るラジアルカーカス4と、ラジアルカーカス4とトレッド部1との間にベルト層に代えて配設されたスパイラル補強層5とを有する空気入りラジアルタイヤである。スパイラル補強層5が、有機および/または無機の繊維からなるコードをラジアルカーカス4外周上に単層または複数層でスパイラル状に巻き返して形成され、タイヤから取り出した前記コードの66N荷伸時伸度が1.5%以下である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、空気入りラジアルタイヤ(以下単に「タイヤ」とも称する)の諸性能を損なうことなしに軽量化を達成しながら、高速走行時の操縦安定性、高速耐久性およびロードノイズ性能を向上し得る空気入りラジアルタイヤおよびその製造方法に関する。
石油天然資源の有効活用と環境への配慮から、自動車の燃費を向上させるためにタイヤの軽量化が叫ばれて久しい。この軽量化の有効な手段として、タイヤに補強用として適用される金属コードに関する改良技術が種々提案されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、タイヤ補強に用いられる金属コードを型付けして用いる技術が提案されている。また、特許文献3、特許文献4および特許文献5などには、タイヤ補強用金属コードとして単線コードを使用する技術やベルト補強層を改善する技術が提案されている。
特開平8−218283号公報(特許請求の範囲等)
特開平11−91311号公報(特許請求の範囲等)
特開平4−19201号公報(特許請求の範囲等)
特開平9−323503号公報(特許請求の範囲等)
特開平11−291710号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、これまでの軽量化に関する改良技術においては、タイヤの諸性能を損なわずに大幅に軽量化を達成することはできなかった。その理由は、比較的比重の重い金属コードをベルト補強層に使用し、なおかつ近年ではキャップレイヤー層が必要とされていることから、ある程度重い構造となることは避けられなかったからである。なお、キャップレイヤー層は、走行時の安定性確保のために、中でも高速時におけるベルト層の剥離を防止して耐久性を向上させるために、近年、一般に用いられようになってきたものである。
ところで、生タイヤは、一般に、加硫工程でブラダー側からの拡張圧力を受けてモールド面内側に押し当てられて加硫される。その際、ベルト補強層は、角度変化やコード−コード間距離の変化で容易に拡張し、また、キャップレイヤー層もコード自身の長さ変化で容易に拡張して内方からの圧力でモールド面内側に押し当てられ、所望のトレッドパターン形状に一体成型加硫される。
しかしながら、この一体成型加硫ではタイヤ幅方向の拡張伸張率差からキャップレイヤーコード張力負担に違いが生じる結果となる。そのため、比較的拡張伸張率の低いショルダー部は、クラウン部に比較してボリュームを多くしてキャップレイヤーコードを充填する必要が生じる。また、ベルト層両端の遠心力によりせり上がりを抑え、高速耐久性を高めるためにも、ボリュームを多くしてショルダー部に充填しなくてはならないなど、拡張伸張率差も重量増大の要因となっていた。
また、一体成型加硫により製造される一般的なタイヤでは、タガ効果を引き出し、高速耐久性を高めるために、ゴム引きした金属コードがタイヤ重量の1割内外を占める割合でベルト補強層に用いられている。このベルト補強層部材は、加硫工程の拡張時に角度変化やコード−コード間距離の変化を容易とするために、比較的短い金属コードを引き揃えて部材としているが、加硫成型後もこの角度変化やコード−コード間距離の変化を容易に起こすという特質を保有してしまうことになる。その結果、高速走行時の発熱や回転時の遠心力でタイヤ周長が変化したり、タイヤ耐久性能はもとよりタイヤ諸性能に悪影響を与えたりする不具合が発生する。そこで、従来ではベルト補強層に比較的多くのボリュームの金属コードを用いたり、複数のキャップレイヤー層を組み合わせて用いることが行われており、このことも重量の軽減を阻む一因となっていた。
そこで、本発明の目的は、上述した従来技術の問題点を解消して、タイヤの諸性能を損なうことなしに十分な軽量化を達成し得る空気入りラジアルタイヤ、および、新規な成型加硫方法に基づく当該空気入りラジアルタイヤの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成とすることにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッド部と、その両側からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部と、各サイドウォール部の内方端に位置する一対のビード部とを備え、前記ビード部に埋設された一対のビードコア間にトロイダル状をなして跨るラジアルカーカスと、該ラジアルカーカスと前記トレッド部との間にベルト層に代えて配設されたスパイラル補強層とを有する空気入りラジアルタイヤであって、前記スパイラル補強層が、有機および/または無機の繊維からなるコードを前記ラジアルカーカス外周上に単層または複数層でスパイラル状に巻き返して形成され、タイヤから取り出した前記コードの66N荷伸時伸度が1.5%以下であることを特徴とするものである。
これにより、タイヤの諸性能を損なうことなく大幅な軽量化を達成することができ、しかもノイズ性能、高速走行時の操縦安定性、さらには高速耐久性の向上を図ることが可能となる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤの製造方法は、前記空気入りラジアルタイヤを製造するにあたり、二段階加硫方式を採用し、
スパイラル補強層とトレッドとを一体化した後、トレッドパターンを刻印する第1次加硫工程と、
前記第1次加硫工程で得られた1次加硫物を、ケース側部材のラジアルカーカスプライの外周に外嵌した後加硫成型する第2次加硫工程と、
を含むことを特徴とするものである。
スパイラル補強層とトレッドとを一体化した後、トレッドパターンを刻印する第1次加硫工程と、
前記第1次加硫工程で得られた1次加硫物を、ケース側部材のラジアルカーカスプライの外周に外嵌した後加硫成型する第2次加硫工程と、
を含むことを特徴とするものである。
本発明の製造方法では、スパイラル補強層の加硫時における拡張変化がなく、成型配置された状態でタイヤ形成されるため、本発明のタイヤのようにスパイラル補強層に高弾性の繊維を使用しても、実質的にスパイラル補強層のコード角度、打ち込み数はもとより、設計通りの理想的な部材配置となる。また、比較的厚ゲージ側のトレッドゴムが一次加硫を終了しており、ケース側部材への外嵌加硫は、比較的短時間で終了できる特長を有しており、効率良く生産することができる。さらに、カーカスプライ層は、従来の加硫方式と同様に内方からの拡張圧力で緊張を保持して加硫されるため、適正な弾性率を維持しての加硫が可能となる。
本発明のタイヤによれば、タイヤの諸性能を損なうことなく大幅な軽量化を達成することができ、しかもノイズ性能、高速走行時の操縦安定性、さらには高速耐久性の向上を図ることができる。また、本発明の製造方法によれは、効率良く本発明のタイヤを製造することができる。よって、本発明は、乗用車用タイヤのみならず、トラックおよびバスなどの大型タイヤやモーターサイクルやスクーターなど小型タイヤにも応用できるものであり、その適用範囲は乗用車用タイヤに限定されるものではない。
以下、本発明の一好適実施形態を具体的に説明する。
図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤが乗用車用タイヤとして形成された場合の右半分の断面を示している。
図1において、タイヤ10は、トレッド部1と、その両側からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内方端に位置するビード部3とを備える。また、タイヤ10は、ビード部3に埋設された一対のビードコア7間にトロイダル状をなして跨るラジアルカーカス4と、このラジアルカーカス4とトレッド部1との間に配設されたスパイラル補強層5と、このスパイラル補強層5の外側に配設された緩衝層6とを有し、従来のラジアルタイヤに配設されていたベルト層は存在しない。本発明においては、ベルト層を設けずに、スパイラル補強層5が、有機および/または無機の繊維からなるコードをラジアルカーカス4の外周上に単層または複数層でスパイラル状に巻き返すことにより形成され、タイヤから取り出した当該コードの66N荷伸時伸度が1.5%以下、好ましくは実質的に0%であることが肝要である。
図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤが乗用車用タイヤとして形成された場合の右半分の断面を示している。
図1において、タイヤ10は、トレッド部1と、その両側からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内方端に位置するビード部3とを備える。また、タイヤ10は、ビード部3に埋設された一対のビードコア7間にトロイダル状をなして跨るラジアルカーカス4と、このラジアルカーカス4とトレッド部1との間に配設されたスパイラル補強層5と、このスパイラル補強層5の外側に配設された緩衝層6とを有し、従来のラジアルタイヤに配設されていたベルト層は存在しない。本発明においては、ベルト層を設けずに、スパイラル補強層5が、有機および/または無機の繊維からなるコードをラジアルカーカス4の外周上に単層または複数層でスパイラル状に巻き返すことにより形成され、タイヤから取り出した当該コードの66N荷伸時伸度が1.5%以下、好ましくは実質的に0%であることが肝要である。
本発明ではスパイラル補強層5を形成するコードとして前記伸度が要求される結果、かかるコードは線径が太いか、あるいは弾性率が高く、この点から先ず、製造面および性能面で好適であるといえる。また、かかるコードは、高弾性であることが要求されるために加硫時のゴム流動に対し十分耐えることができ、所定配置箇所に加硫後も止まることができる。これに対し、当該伸度が1.5%を超えるコードでは加硫時のゴム流れに押し流されるおそれが出てきて、加硫後に所定の配置場所に止まることが困難となる。さらに、スパイラル補強層5の形成に巻き返し方法を採用することにより、コード端部数を最小限に抑えることができることから、タイヤ耐久性能上、有利となる。
本発明においては、スパイラル補強層5を形成するコードの巻き返しピッチがタイヤ周方向に対し、好ましくは10度以下、より好ましくは5度以下である。これにより、高速回転時のタイヤ周方向拡張力に対し十分耐え得るようになり、性能上有利となる。これに対し、10度を超えると、所望の破壊強度を得るためには重ね合わせ層数を増やさなければならなくなり、スパイラル補強層5のボリュームが増大し、結果として目的とする軽量化を達成することができなくなる。
また、スパイラル補強層5を形成するコードのタイヤ中残留張力は、好ましくは4.9N/本以下である。このタイヤ中残留張力が4.9N/本以下にあることがタイヤのユニフォミティーに対し有利である。また、本発明の製造方法において、二段階加硫方式で成型するためには2.9N/本以下、さらには限りなくゼロに近いことが特に好ましい。このタイヤ中残留張力が4.9N/本を超えると本発明の製造方法である第2次加硫工程における成型時に成型できなくなるという問題が生じる。
さらに、スパイラル補強層5を形成するコードの撚り数は、好ましくは10cm当たり1回から30回の範囲内である。この撚り数が0回では収束性が劣り、バラケが生じて問題となる。一方、30回を超えると撚り縮み率が増加し、本発明に係る66N荷伸時伸度1.5%以下の範囲を逸脱するおそれが出てきて、好ましくない。本発明の所期の目的を達成する上で、より好ましくは10cm当たり1〜15回とする。撚り数が少ないほどコード断面の長径と短径の比が1以下になり、スパイラル補強層5の厚さを薄くでき、軽量化に有利となる。
さらにまた、スパイラル補強層5は、ラジアルカーカス4の外周面をトレッド幅以上タイヤ最大幅以下の範囲で覆うことが好ましい。これにより、高速回転による踏面の遠心力せり上がり変形を極小にすることができ、更には、タイヤショルダー部変形を極小にしてより騒音を小さくすることができる。また、このように覆うことはラジアルタイヤの特長であるサイド剛性を十分に発揮させる上からも重要である。なお、スパイラル補強層5をタイヤ最大幅を超えて幅を広く配置することは、タイヤ変形が著しく抑えられて、乗り心地性が大幅に劣り、実用上不適となり、好ましくない。なお、スパイラル補強層5のコードは、接地形状を制御する目的で予め計算された接地形状となるように設計された長さで適宜配置される。
スパイラル補強層5を形成するコード材質や繊度は特に制限されるべきものではなく、タイヤ補強用として一般に使用されている有機または無機の繊維材質とすることできる。好ましくはナイロン繊維やアラミド繊維等のポリアミド繊維、カーボン繊維、PBO繊維、POK繊維、スチール繊維などが挙げられる。また、撚り方も特に制限されず、撚りは片撚り構造、またはもろ撚り構造でもよく、さらにコード打ち込み数は、必ずしも等間隔とする必要もない。スチール繊維を用いる場合には、撚りは2〜5本程度を掛けてもよく、特開2001−322404号公報に記載されているように束ねてもよい。さらに、前記繊維を組み合わせて同一スパイラル補強層内で異種材質や異種繊度(線径)コードで配置配分を変えてスパイラル補強層5を形成してもよい。
スパイラル補強層5を形成するコードとしては、ゴムと強固に接着させる目的でディップ処理等の通常の方法によって予め接着剤処理されたものを用いる。接着剤処理に使用する接着剤は、溶液系或いはエマルジョン系の熱硬化型接着剤であることが好ましいが、本発明は特にこのような形態に限定されるものではなく、フェノール系−アルデヒド縮合系樹脂とラテックスを混合したラテックス接着剤、例えば、苛性ソーダを触媒として、レゾルシン系−ホルムアルデヒド系を縮合したもの、具体的にはレゾルシン−ホルマリン縮合系接着剤であってスチレンブタジエンラテックス、ビニルピリジンラテックスを混合したラテックス接着剤(RFL)などを挙げることができる。
本発明においては、スパイラル補強層5とトレッド部1との間に、図1に示すように緩衝層6を設けることが好ましい。タイヤ周方向に単層または複数層で巻き返したスパイラル補強層5の、走行中のトレッド踏面部からの衝撃や切創を緩和し、防御する目的で緩衝層6を備えることは品質上より有利となる。
かかる緩衝層6は、無機または有機の短繊維や無機または有機の長繊維から構成することができ、好ましくはタイヤ中残留張力が4.9N/本以下、特に好ましくは実質的にゼロとする。緩衝層6の構成材料として無機または有機の短繊維を使用する場合、これら短繊維をゴム100重量部に対し5〜30重量部の割合で練り込んで形成するのが一般的である。あるいはトッピングした不織布を用いてもよい。緩衝層6の構成材料として無機または有機の長繊維を使用する場合、比較的線径が小さく打ち込み数の少ない無機または有機のトッピングファブリックが軽量化の観点から有利である。緩衝層6を形成するコード材質や繊度は特に制限されるべきものではなく、スパイラル補強層5と同様とすることもできる。
次に、本発明の空気入りラジアルタイヤの製造方法につき具体的に説明する。本発明の製造方法では、二段階加硫方式を採用する。先ず、第1次加硫工程において、スパイラル補強層5用コードを、予め計算された接地形状となるように設計されたコード長さでリング状ドラム上に単層または複数層で巻き返して配置し、次いでこれをトレッドゴムと一体化した後、トレッドゴム外側よりパターン刻印モールドを圧着し、トレッドパターンを刻印して、1次加硫を終了する。次いで、第1次加硫工程で得られた1次加硫物を、第2次加硫工程において、別工程で作製したケース側部材のラジアルカーカスプライの外周に外嵌した後、加硫成型する。
具体的には、スパイラル補強コードは、金属リング上に巻き付けられたゴムシートの上面に、金属リングの自動回転により巻き重ね層状とした後、金属リングの自動回転により上面にゴムシートを貼ることにより所望の打ち込み数、角度を備えた単層または複数層のスパイラル補強層を形成することができる。次いで、金属リングの自動回転によりトレッドゴムを巻き付けた後、金属リング面に対し金型でプレスしながら所望のトレッド形状になるように熱と圧力をかけて加硫し、1次加硫を終了する。スパイラル補強コードは、予めインシュレーション方式等でゴムをコード上に被覆したトッピングコードを使用して実施することも可能である。
このとき、使用する金属リングの横断面上面部形状はタイヤのカーカスラインを形成する形状とする。また、金属リングの材質は、熱伝導性が高く熱膨張の大きいアルミニウムもしくはアルミニウム合金がふさわしいが、これに限られることはない。また、1次加硫成型後は離型し易く、更には後工程でのケース部材との強固な接合を得るために、金属リング上面に金属フィルムないし合成樹脂系のフィルムを好適に用いることができる。さらに、ケース部材との強固な接合を得るために、かかるフィルム表面に特殊な表面加工を加えることも、あるいは特殊な接着処理を施すことも可能である。
このようにして作製されたトレッドパターンを備えるスパイラル補強層の1次加硫物は、一対のビードコア間にトロイダル状をなして跨るラジアルカーカスプライに外嵌した後、従来のプラダー方式で加硫し、製品タイヤとなる。このときスパイラル補強層を有する1次加硫物は一次加硫を終了しており、よって、ケース側部材のカーカスプライの加硫は、短時間で終了させることができる。
なお、ラジアルカーカスプライは、カーカスコードをタイヤ周方向に対して75°〜90°の角度で配列した1枚以上のカーカスプライからなり、図示する好適例では1枚のカーカスプライから形成されている。カーカスコードとして、乗用車用タイヤでは、通常ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コード、特にポリエステル繊維コードが好適に採用されるが、タイヤのサイズやカテゴリー、或いは要求品質等に応じて適宜選定され、ケースによってはスチールコードも採用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づき説明する。
実施例1〜7、比較例1,2
タイヤサイズ175/70R14のタイヤを、下記の表1〜3の仕様により試作した。スパイラル補強層の形成においては、コードの巻き返しピッチがタイヤ周方向に対し2度とした。また、製造条件は、比較例1は常法による1段加硫方式として、それ以外は2段加硫方式を採用した。2段加硫方式の加硫条件は下記の通りである。
1段目:温度170℃×10分 圧力2.45×106Pa(25kg/cm2)
2段目:温度170℃×10分 圧力2.45×106Pa(25kg/cm2)
尚、試作タイヤのカーカスはいずれも下記の条件のものとした。
実施例1〜7、比較例1,2
タイヤサイズ175/70R14のタイヤを、下記の表1〜3の仕様により試作した。スパイラル補強層の形成においては、コードの巻き返しピッチがタイヤ周方向に対し2度とした。また、製造条件は、比較例1は常法による1段加硫方式として、それ以外は2段加硫方式を採用した。2段加硫方式の加硫条件は下記の通りである。
1段目:温度170℃×10分 圧力2.45×106Pa(25kg/cm2)
2段目:温度170℃×10分 圧力2.45×106Pa(25kg/cm2)
尚、試作タイヤのカーカスはいずれも下記の条件のものとした。
プライ枚数:1枚
プライコード:ポリエチレンテレフタレート(1670dtex/2 40×40回/ 10cm)
プライコード角度:タイヤ周方向に対し90°±2°
プライコード:ポリエチレンテレフタレート(1670dtex/2 40×40回/ 10cm)
プライコード角度:タイヤ周方向に対し90°±2°
実施例および比較例で用いたスパイラル補強層および緩衝層のコード材質および繊度等を以下に示す。
(スパイラル補強層)
アラミド繊維:東レデュポン(株)製、KEVLAR29 3300dtex/950f
カーボン繊維:東レ(株)製、トレカ 6000−40A T−500
スチールコード:素線径0.25mm、撚り構造1×3
(緩衝層)
ナイロン不織布:目付け量90g/m2
ナイロン繊維:汎用ナイロン940dtex/2(47×47回)、打ち込み数35本/5cm
(スパイラル補強層)
アラミド繊維:東レデュポン(株)製、KEVLAR29 3300dtex/950f
カーボン繊維:東レ(株)製、トレカ 6000−40A T−500
スチールコード:素線径0.25mm、撚り構造1×3
(緩衝層)
ナイロン不織布:目付け量90g/m2
ナイロン繊維:汎用ナイロン940dtex/2(47×47回)、打ち込み数35本/5cm
アラミド繊維は3300dtexの原糸を2本合糸し(6600dtex)6回/10cmの片撚りを掛けたコードにレゾルシン・フォルマリン初期縮合物とラテックスとの混合液(特公昭63−12503号公報の実施例1と同様)を用いて、接着処理を施して用いた。
カーボン繊維は、屈曲疲労性、接着力とも良好にするためにレゾルシン・フォルマリン初期縮合物とラテックスとの混合液を10から50%の範囲内で付着含浸させたのちに収束する程度の撚りを掛けて用いた。
スチールコードは、接着力を得るためにブラスメッキ処理した素線径0.25mmの素線を用いた。
次いで、各供試タイヤのタイヤ重量、騒音性、操縦安定性、および高速耐久性を測定し、互いに比較した。
(1)補強層の残留張力(締め付け張力)
コードをタイヤから一定長さ切り出し、切り出し前後の長さ変化量から割り出した値を残留張力値とした。
(2)タイヤ重量
タイヤ1本当たりの重量を測定し、比較例1との重量差を示す。マイナス(−)表示は比較例1より軽量である。
(3)騒音性
サイズ175/70R14の供試タイヤをJATMAで規定する正規リムに組み、排気量2000ccの乗用車に4輪とも装着して、2名が乗車してロードノイズ評価用テストコースを時速60km/hの速度で走行して、運転席の耳元に設置したマイクロフォンにて200Hzでの騒音レベルを測定した。
(4)高速操縦安定性
前記(3)騒音性評価と同一条件の車両を用い、ドライアスファルト路面のテストコースを高速走行し、その時のハンドル応答性、剛性感、グリップ等に関する特性をドライバーの官能評価により比較例1を100とする指数で表示した。指数の大きい方が良好である。
(5)高速耐久性
室内ドラム試験機を用い、周辺温度25±5℃に制御し、供試タイヤをリム(7J×17)、内圧(280kPa)、荷重(JATMAで規定する空気内圧条件に対応する荷重(4.82×103N)の80%)のもとで、走行速度を170km/hから、10分毎に10km/hずつ(200km/hからは20分毎)段階的に上昇させ、故障が発生するまで走行させた。そして故障が発生するまでの走行距離を、比較例1を100とする指数で表示した。指数が大きいほど高速耐久性に優れている。
(6)補強層配置外観
供試タイヤのトレッドを引き剥がし、補強層コードの配置を加硫前後で比較して、コードが乱れないものを○、乱れたものを×として表した。
得られた結果を下記の表1〜3に示す。
(1)補強層の残留張力(締め付け張力)
コードをタイヤから一定長さ切り出し、切り出し前後の長さ変化量から割り出した値を残留張力値とした。
(2)タイヤ重量
タイヤ1本当たりの重量を測定し、比較例1との重量差を示す。マイナス(−)表示は比較例1より軽量である。
(3)騒音性
サイズ175/70R14の供試タイヤをJATMAで規定する正規リムに組み、排気量2000ccの乗用車に4輪とも装着して、2名が乗車してロードノイズ評価用テストコースを時速60km/hの速度で走行して、運転席の耳元に設置したマイクロフォンにて200Hzでの騒音レベルを測定した。
(4)高速操縦安定性
前記(3)騒音性評価と同一条件の車両を用い、ドライアスファルト路面のテストコースを高速走行し、その時のハンドル応答性、剛性感、グリップ等に関する特性をドライバーの官能評価により比較例1を100とする指数で表示した。指数の大きい方が良好である。
(5)高速耐久性
室内ドラム試験機を用い、周辺温度25±5℃に制御し、供試タイヤをリム(7J×17)、内圧(280kPa)、荷重(JATMAで規定する空気内圧条件に対応する荷重(4.82×103N)の80%)のもとで、走行速度を170km/hから、10分毎に10km/hずつ(200km/hからは20分毎)段階的に上昇させ、故障が発生するまで走行させた。そして故障が発生するまでの走行距離を、比較例1を100とする指数で表示した。指数が大きいほど高速耐久性に優れている。
(6)補強層配置外観
供試タイヤのトレッドを引き剥がし、補強層コードの配置を加硫前後で比較して、コードが乱れないものを○、乱れたものを×として表した。
得られた結果を下記の表1〜3に示す。
タイヤの断面方向の補強層コードの伸度を図2に示す。実施例1〜7においてはいずれも66N荷伸時の伸度が補強層端からの距離に関係なくタイヤ断面方向に一定で1.0%以下であるのに対し、比較例1〜2では補強層端での伸度が6%程度となり、その他の部分も5%近くありタイヤ断面方向で一定でないことが分かる。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ラジアルカーカス
5 スパイラル補強層
6 緩衝層
7 ビードコア
10 タイヤ
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ラジアルカーカス
5 スパイラル補強層
6 緩衝層
7 ビードコア
10 タイヤ
Claims (8)
- トレッド部と、その両側からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部と、各サイドウォール部の内方端に位置する一対のビード部とを備え、前記ビード部に埋設された一対のビードコア間にトロイダル状をなして跨るラジアルカーカスと、該ラジアルカーカスと前記トレッド部との間にベルト層に代えて配設されたスパイラル補強層とを有する空気入りラジアルタイヤであって、前記スパイラル補強層が、有機および/または無機の繊維からなるコードを前記ラジアルカーカス外周上に単層または複数層でスパイラル状に巻き返して形成され、タイヤから取り出した前記コードの66N荷伸時伸度が1.5%以下であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- 前記スパイラル補強層を形成するコードの巻き返しピッチがタイヤ周方向に対し10度以下である請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記スパイラル補強層を形成するコードのタイヤ中残留張力が4.9N/本以下である請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記スパイラル補強層を形成するコードの撚り数が10cm当たり1〜30回の範囲にある請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記スパイラル補強層が前記ラジアルカーカスの外周面をトレッド幅以上タイヤ最大幅以下の範囲で覆う請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記スパイラル補強層と前記トレッド部の間に緩衝層が配設されている請求項1〜5のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記緩衝層が、タイヤ中残留張力が4.9N/本以下である無機または有機の短繊維層、あるいは無機または有機の長繊維層からなる請求項6記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項1〜7のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤを製造するにあたり、二段階加硫方式を採用し、
スパイラル補強層とトレッドとを一体化した後、トレッドパターンを刻印する第1次加硫工程と、
前記第1次加硫工程で得られた1次加硫物を、ケース側部材のラジアルカーカスプライの外周に外嵌した後加硫成型する第2次加硫工程と、
を含むことを特徴とする空気入りラジアルタイヤの製造方法。
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