JP5257028B2 - 乗用車用空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

乗用車用空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、トレッド部におけるカーカス層の外周側にタイヤ周方向に周回する補強コードを含むベルト補強層を配置した乗用車用空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法に関し、更に詳しくは、耐疲労性を確保しながら、軽量性、経済性、高速耐久性を改善することを可能にした乗用車用空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法に関する。
従来より、高速耐久性が要求される乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて、トレッド部におけるカーカス層の外周側に、タイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含む少なくとも2層のベルト層に加えて、タイヤ周方向に周回する補強コードを含むベルト補強層を配置することが行われている。このようなベルト補強層の補強コードとしては、ポリアミド繊維コードが好んで使用されている。
通常、ベルト補強層に使用されるポリアミド繊維コードは、ポリアミド繊維束に撚りを加えた下撚り糸を複数本束ね、下撚り糸とは逆方向に上撚りを加えた所謂両撚り(双撚り)コードである。この両撚り(双撚り)コードは、形状安定性が良好で加工性に優れているが、コード径が大きくなる結果、ベルト補強層の厚みが増大し、タイヤ重量が増加したり、下撚り工程及び上撚り工程という2段階のプロセスが必要であるため経済性に劣るという欠点がある。これら不都合を解決する方法として、ベルト補強層の補強コードとして、特定の撚り係数を有する片撚りコードを用いることが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、片撚りコードはフィラメントの収束性が劣るため耐疲労性に劣るという問題がある。
特開2002−154304号公報 特許2005−239069号公報 特許2007−191832号公報
本発明の目的は、耐疲労性を確保しながら、軽量性、経済性、高速耐久性を改善することを可能にした乗用車用空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビード部間に少なくとも1層のカーカス層を装架し、トレッド部におけるカーカス層の外周側にタイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含む少なくとも2層のベルト層とタイヤ周方向に周回する補強コードを含むベルト補強層とを配置した乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ベルト補強層の補強コードとして、総繊度が900dtex〜5000dtexの範囲にあり、熱可塑性マルチフィラントを含む繊維束を一方向に撚り合わせた片撚りコードであって、その断面形状が扁平であり、かつその長径aと短径bとの比a/bが1.1〜3.5の範囲にある扁平片撚りコードを用いると共に、前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの撚り方向を該ベルト補強層に隣接するベルト層の補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜方向と同方向としたことを特徴とするものである。
一方、上記目的を達成するための本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法は、総繊度が900dtex〜5000dtexの範囲にあり、熱可塑性マルチフィラントを含む繊維束を一方向に撚り合わせた片撚りコードを加熱により断面形状が扁平となるように型付けして長径aと短径bとの比a/bが1.1〜3.5の範囲にある扁平片撚りコードを加工した後、該扁平片撚りコードを補強コードとしてゴム被覆したストリップ材を形成し、該ストリップ材を環状に周回させてベルト補強層を形成し、左右一対のビード部間に少なくとも1層のカーカス層を装架すると共にトレッド部におけるカーカス層の外周側にタイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含む少なくとも2層のベルト層と前記ベルト補強層とを配置したグリーンタイヤを成形し、該グリーンタイヤを加硫するようにした乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法であって、前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの撚り方向を該ベルト補強層に隣接するベルト層の補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜方向と同方向としたことを特徴とするものである。
本発明では、ベルト補強層の補強コードとして、総繊度及び扁平比a/bを特定の範囲に規定した扁平片撚りコードを用いることにより、片撚りコードにおけるフィラメントの収束性を高めると共に、ベルト補強層に曲げ変形が生じる際のコード表面の歪みを低減するので、ベルト補強層の耐疲労性を改善することができる。しかも、扁平片撚りコードは、総繊度を大きくしてもベルト補強層の厚みの増大を抑えることができるので、軽量性の面でも有利である。また、扁平片撚りコードは双撚りコードよりも製造が容易であって経済性に優れ、ベルト補強層に用いることで高速耐久性の向上に寄与する。従って、上記扁平片撚りコードをベルト補強層に用いることにより、乗用車用空気入りラジアルタイヤの耐疲労性を確保しながら、軽量性、経済性、高速耐久性を改善することができる。
本発明において、ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの下式(1)で表される撚り係数Kは800〜1200の範囲にあることが好ましい。これにより、耐疲労性を確保しながら、軽量性、経済性、高速耐久性を改善する効果を十分に得ることができる。
K=T√D ・・・(1)
但し、T:コードの撚り数(回/10cm)
D:コードの総繊度(dtex)
また、ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの長径aと短径bとの比a/bは1.2〜3.0の範囲にあることが好ましい。これにより、耐疲労性と軽量性を効果的に改善することができる。
ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードはレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(RF)とゴムラテックス(L)との混合物からなる接着剤(RFL)で処理されており、ゴムラテックスはビニルピリジン・スチレン・ブタジエン・ターポリマーラテックスを75重量%以上含み、ゴムラテックスの固形分とレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物の固形分との重量比(L/RF)が100/20〜100/30の範囲にあることが好ましい。このようにゴムラテックスとして耐熱性や凝集力が高いビニルピリジン・スチレン・ブタジエン・ターポリマーラテックスを用い、かつRFL樹脂分を多くすることにより、耐久性に優れた扁平片撚りコードを得ることができる。
ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの撚り方向は該ベルト補強層に隣接するベルト層の補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜方向と同方向とする。このような配置を採用することにより、タイヤのプライステアを増強し、一般路面でのハンドル流れを効果的に抑制することが可能になる。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間にはタイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含む1層のカーカス層4が装架され、そのカーカス層4の端部がビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。ビードコア5の外周上には高硬度のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置され、該ビードフィラー6がカーカス層4により包み込まれている。ビードフィラー6のJIS−A硬度は65〜97の範囲であることが望ましい。
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7の外周側には、高速耐久性を高めるために、補強コードをタイヤ周方向に巻回してなるベルト補強層8が配置されている。このベルト補強層8は少なくとも1本の補強コードを引き揃えてゴム被覆してなるストリップ材をタイヤ周方向に対して実質的に0°で連続的に巻回したジョイントレス構造とすることが望ましい。
ベルト補強層8は、タイヤの速度レンジに応じて、その配置領域を適宜選択することができる。例えば、ベルト層7の全域にベルト補強層8を配置したり、ベルト層7の幅方向両端部に相当する両ショルダー領域だけにベルト補強層8を配置したり、ベルト層7の幅方向両端部に相当する両ショルダー領域ではベルト補強層8を2層とし、その間のセンター領域ではベルト補強層8を1層としても良い。また、センター領域ではベルト補強層8をカーカス層4とベルト層7との間に配置しても良い。
上記空気入りラジアルタイヤにおいて、ベルト補強層8の補強コードとして、総繊度が900dtex〜5000dtexの範囲にあり、熱可塑性マルチフィラントを含む繊維束を一方向に撚り合わせた片撚りコードであって、その断面形状が扁平であり、かつ長径aと短径bとの比a/bが1.1〜3.5の範囲にある扁平片撚りコードCが使用されている。扁平片撚りコードCはベルト補強層8を構成する全ての補強コードに適用することが好ましいが、一部の補強コードだけに適用することも可能である。
図2及び図3はそれぞれ扁平片撚りコードを例示する断面図である。扁平片撚りコードCは、図2に示すように断面形状が楕円形であっても良く、或いは、図3に示すような扁平形状であっても良い。これら扁平片撚りコードCは、長径方向がベルト補強層8の面方向となるように該ベルト補強層8中に埋め込まれている。つまり、ベルト補強層8の厚さは扁平片撚りコードCの短径bに基づいて決まる。
このようにベルト補強層8の補強コードとして、扁平片撚りコードCを用いることにより、片撚りコードにおけるフィラメントの収束性を高めることができる。また、ベルト補強層8に曲げ変形が生じた際には扁平であるが故にコード表面の歪みが少ないので、ベルト補強層8の耐疲労性を改善することができる。しかも、扁平片撚りコードCは、総繊度を大きくしてもベルト補強層8の厚みの増大を抑えることができるので、軽量性の面でも有利である。従って、上記扁平片撚りコードCをベルト補強層8に用いることにより、乗用車用空気入りラジアルタイヤの耐疲労性を確保しながら、軽量性、経済性、高速耐久性を改善することができる。
扁平片撚りコードCは、総繊度が900dtex〜5000dtexの範囲にある。この総繊度が900dtex未満であるとベルト補強層8におけるコード打ち込み本数が増大して生産性が悪化し、逆に5000dtexを超えるとコード打ち込み本数が低減して生産性は良好になるが、扁平片撚りコードCが太くなり、ベルト補強層8が厚くなるため、軽量性が低下する。生産性及び軽量性の点では、1400dtex〜4000dtexの範囲とすることが望ましい。
扁平片撚りコードCは、熱可塑性マルチフィラントを含む繊維束を一方向に撚り合わせたものである。勿論、繊維束に含まれる全ての繊維が熱可塑性マルチフィラントであっても良い。扁平片撚りコードCが熱可塑性マルチフィラントを含んでいないと、加熱による扁平型付けが困難である。熱可塑性を有しないマルチフィラメントとしては、アラミド繊維やレーヨン繊維等が挙げられる。熱可塑性マルチフィラントとしては、ナイロン66、ナイロン46、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の繊維を用いると良い。これら繊維の単糸太さは、扁平型付けを容易にするために、5dtex〜8dtexの範囲にあることが望ましい。単糸が細過ぎるとフィラメント強度が低下し、タイヤ使用時にフィラメント切れが発生し易くなり、逆に太過ぎると型付け時に損傷を受け易くなるため耐疲労性が低下する。特に、接着性の点でナイロン66又はナイロン46を用いることが好ましい。
扁平片撚りコードCは、長径aと短径bとの比a/bが1.1〜3.5の範囲にある。扁平比a/bが1.1未満であると軽量化の効果が小さくなると同時に、耐疲労性の改善効果が小さくなり、逆に3.5を超えると型付け時にフィラメントが局所的に損傷を受け易くなるため耐疲労性が低下する。特に、扁平比a/bは1.2〜3.0の範囲にあることが好ましい。なお、扁平片撚りコードCの長径aと短径bはベルト補強層8を含むベルト部をタイヤ子午線に沿ってダイヤモンドカッターにて切断したとき、そのタイヤ子午線断面において計測される寸法である。
扁平片撚りコードCは、下式(1)で表される撚り係数Kが800〜1200の範囲にあると良い。
K=T√D ・・・(1)
但し、T:コードの撚り数(回/10cm)
D:コードの総繊度(dtex)
このように撚り係数Kを規定することにより、耐疲労性を確保しながら、軽量性、経済性、高速耐久性を改善する効果を十分に得ることができる。ここで、撚り係数Kが800未満であると、片撚りコードにおけるフィラメントの収束性が低下するため、特に扁平化に際して、所定の扁平比に制御することが困難になると同時に、フィラメント間が開き易くなるため接着層の破壊を生じ易くなる。また、撚り係数が小さ過ぎると耐疲労性が悪化し、タイヤの耐久性が低下する。一方、撚り係数Kが1200を超えると、コードの解撚トルクが上昇し、コードが回転し易くなるため、ベルト補強層8内でコードの捩じれが発生し、捩じれ部でのコード破断を生じ易くなる。また、コードの回転はタイヤ製造時の作業性も悪化させる。更に、撚り係数が大き過ぎると、コードの弾性率が低下するため、高速耐久性の改善効果が低下したり、撚りによる収束性が高くなり過ぎて十分な扁平比が得られなくなる。その結果、コード厚みが増大し、軽量化効果も低下する。
扁平片撚りコードCは、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(RF)とゴムラテックス(L)との混合物からなる接着剤(RFL)で処理されたものであると良い。ここで、ゴムラテックスは、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン・ターポリマーラテックスを75重量%以上含み、ゴムラテックスの固形分とレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物の固形分との重量比(L/RF)が100/20〜100/30の範囲にあるものとする。このようにゴムラテックスとして天然ゴムやSBRに比べて耐熱性や凝集力が高いビニルピリジン・スチレン・ブタジエン・ターポリマーラテックスを用い、かつRFL樹脂分を多くすることにより、高温加圧処理によるフィラメント間の接着性の低下やフィラメント間のバラケを抑制することができる。その結果、耐久性に優れた扁平片撚りコードを得ることができる。
図4は本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤにおけるベルト部の要部を抽出して示すものである。なお、図4では理解を容易にするために扁平片撚りコードCが相対的に太くなるように描写されている。図4に示すように、ベルト補強層8を構成する扁平片撚りコードCの撚り方向は該ベルト補強層8に隣接するベルト層7の補強コードC’のタイヤ周方向に対する傾斜方向と同方向とされている。つまり、ベルト層7の補強コードC’が図示のように右下がりであるときベルト補強層8の扁平片撚りコードCはS撚りになっている。また、ベルト層7の補強コードC’が左下がりであるときベルト補強層8の扁平片撚りコードCはZ撚りになっている。
扁平片撚りコードCは双撚りに比べてコード自体の回転性が強い。そのため、ベルト補強層8に隣接するベルト層7の補強コードC’の配向方向に扁平片撚りコードCの撚り方向を合わせることでプライステアを増強することが可能になり、一般路面でのハンドル流れを効果的に抑制することが可能になる。例えば、左側通行が想定される場合、路面は中央から左側に向かって下るように傾斜し、左側へのハンドル流れを生じ易いため、最外側のベルト層は右下がりとなるように配置されるが、この場合、ベルト補強層8の扁平片撚りコードCはS撚りとする。右側通行が想定される場合は、上記とは逆の構成とする。また、上記のように扁平片撚りコードCの繊維フィラメントとベルトコードの配向方向を同じにした場合、ベルト層7とベルト補強層8との層間剪断を軽減し、耐久性を向上するという効果も期待できる。
次に、上述した空気入りラジアルタイヤの製造方法について説明する。先ず、タイヤ成形工程に先駆けて、ベルト補強層8に用いる扁平片撚りコードCを用意する。即ち、総繊度が所定の範囲にあり、熱可塑性マルチフィラントを含む繊維束を一方向に撚り合わせた片撚りコードを加熱加圧ロールで断面形状が扁平となるように型付けし、更に冷却ロールで固定化して、長径aと短径bとの比a/bが所定の範囲にある扁平片撚りコードCを加工する。ここで、加熱温度は180℃以上とし、加熱加圧ロールで型付けした後、直ちに繊維のガラス転移温度以下に冷却することが形状保持の点で好ましい。扁平形状は、加圧時のコード張力と加圧条件に基づいて適宜設定可能である。
次いで、1本又は複数本の扁平片撚りコードCを引き揃えてゴム被覆することによりストリップ材を形成する。タイヤ成形工程においては、扁平片撚りコードCを補強コードとして含むストリップ材を環状に周回させてベルト補強層を形成し、左右一対のビード部間に少なくとも1層のカーカス層を装架すると共にトレッド部におけるカーカス層の外周側にタイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含む少なくとも2層のベルト層と上記ベルト補強層とを配置したグリーンタイヤを成形する。このようにしてグリーンタイヤを成形した後、金型内でグリーンタイヤを加硫する。
扁平片撚りコードCをレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスとの混合物からなる接着剤で処理する場合、片撚り工程後、その片撚りコードに対して接着処理を施す。ここで、ゴムラテックスにおけるビニルピリジン・スチレン・ブタジエン・ターポリマーラテックスの含有量を75重量%とし、ゴムラテックスの固形分とレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物の固形分との重量比を100/20〜100/30の範囲とすることにより、次工程において片撚りコードに対して加熱による型付けを施しても、フィラメント間の接着性の低下やフィラメント間のバラケを抑制することができる。
タイヤサイズ205/55R16で、左右一対のビード部間に1層のカーカス層を装架し、トレッド部におけるカーカス層の外周側にタイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含む2層のベルト層とタイヤ周方向に周回する補強コードを含むベルト補強層とを配置した空気入りラジアルタイヤにおいて、ベルト補強層の補強コードとして片撚りコードを用い、その片撚りコードの素材、コード構造、総繊度、打ち込み密度(本/50mm)、長径a、短径b、扁平比、撚り数(回/10cm)、撚り係数K、接着剤の配合、及び、ベルト補強層に隣接する外側のベルト層の補強コードの傾斜方向を表1及び表2のように設定した比較例1〜4及び試験例1〜10の空気入りラジアルタイヤを製作した。
なお、片撚りコードの長径a及び短径bは、ベルト補強層を含むベルト部をタイヤ子午線に沿ってダイヤモンドカッターにて切断し、そのタイヤ子午線断面においてコード断面の寸法を10箇所で測定し、その平均値を求めたものである。
また、接着剤の配合は表3の通りである。表3に示すように、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン・ターポリマーラテックス(Vp)と天然ゴムラテックス(NR)との重量比、及び、ゴムラテックス(L)の固形分とレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(RF)の固形分との重量比が異なる2種類の接着剤A,Bを用意した。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、軽量性、高速耐久性、耐疲労性、ハンドル流れを評価し、その結果を表1及び表2に併せて示した。
軽量性:
各試験タイヤのベルト補強層の重量を測定した。評価結果は、比較例1〜3を100とする指数にて示した。比較例1は試験例1の基準であり、比較例2は試験例2の基準であり、比較例3は試験例3〜10及び比較例4の基準である。これら指数値が小さいほど軽量であることを意味する。
高速耐久性:
各試験タイヤについて、JIS D4230に準拠して高速耐久性試験を実施した後、走行試験を継続し、30分毎に速度を8km/hずつ増加させ、タイヤに故障が発生するまでの走行距離を計測した。評価結果は、比較例1〜3を100とする指数にて示した。比較例1は試験例1の基準であり、比較例2は試験例2の基準であり、比較例3は試験例3〜10及び比較例4の基準である。これら指数値が大きいほど高速耐久性が優れていることを意味する。
耐疲労性:
各試験タイヤをリムサイズ16×6・1/2 Jホイールに組付けて試験車両に装着し、空気圧240kPaとして、アスファルト舗装路において、旋回時の半径が7.5mmで旋回時の横加速度が0.8±0.1Gとなるように右旋回と左旋回を交互に繰り返し走行した後、各試験タイヤのトレッドゴムを全周にわたって剥離し、ベルト補強層におけるコードの破断数を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、比較例1〜3を100とする指数にて示した。比較例1は試験例1の基準であり、比較例2は試験例2の基準であり、比較例3は試験例3〜10及び比較例4の基準である。これら指数値が大きいほど耐疲労性が優れていることを意味する。
ハンドル流れ:
各試験タイヤをリムサイズ16×6・1/2 Jのホイールに組付けて試験車両に装着し、空気圧240kPaとして、車両左側に向かって1°の勾配で下るように傾斜した路面を時速50km/hで100mの区間にわたって手放し走行したときの車両の横方向の流れ量を測定した。評価結果は、比較例1〜3を100とする指数にて示した。比較例1は試験例1の基準であり、比較例2は試験例2の基準であり、比較例3は試験例3〜10及び比較例4の基準である。これら指数値が小さいほどハンドル流れが少ないことを意味する。
Figure 0005257028
Figure 0005257028
Figure 0005257028
*1:スミカノール700(75%)、住友化学(株)製
*2:Nipol2518FS(40%)、日本ゼオン(株)製
*3:天然ゴムラテックス(60%)
表1から明らかなように、試験例1のタイヤは、比較例1との対比において、軽量性、耐疲労性及び高速耐久性が優れていた。試験例2のタイヤは、比較例2との対比において、軽量性、耐疲労性及び高速耐久性が優れていた。試験例3〜5のタイヤは、比較例3との対比において、軽量性、耐疲労性及び高速耐久性が優れていた。比較例4のタイヤは、扁平比a/bが大き過ぎるため、耐疲労性や高速耐久性が低下していた。
また、表2から明らかなように、試験例6〜10のタイヤは、比較例3との対比において、軽量性、耐疲労性及び高速耐久性が優れており、その作用効果が顕著であった。特に、試験例10はハンドル流れが少ないものであった。
本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示す子午線半断面図である。 扁平片撚りコードの一例を示す断面図である。 扁平片撚りコードの他の例を示す断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤにおけるベルト部の要部を抽出して示す平面図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
C 扁平片撚りコード

Claims (8)

  1. 左右一対のビード部間に少なくとも1層のカーカス層を装架し、トレッド部におけるカーカス層の外周側にタイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含む少なくとも2層のベルト層とタイヤ周方向に周回する補強コードを含むベルト補強層とを配置した乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ベルト補強層の補強コードとして、総繊度が900dtex〜5000dtexの範囲にあり、熱可塑性マルチフィラントを含む繊維束を一方向に撚り合わせた片撚りコードであって、その断面形状が扁平であり、かつその長径aと短径bとの比a/bが1.1〜3.5の範囲にある扁平片撚りコードを用いると共に、前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの撚り方向を該ベルト補強層に隣接するベルト層の補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜方向と同方向としたことを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの下式(1)で表される撚り係数Kが800〜1200の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
    K=T√D ・・・(1)
    但し、T:コードの撚り数(回/10cm)
    D:コードの総繊度(dtex)
  3. 前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの長径aと短径bとの比a/bが1.2〜3.0の範囲にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードがレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスとの混合物からなる接着剤で処理されており、前記ゴムラテックスがビニルピリジン・スチレン・ブタジエン・ターポリマーラテックスを75重量%以上含み、前記ゴムラテックスの固形分と前記レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物の固形分との重量比が100/20〜100/30の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  5. 総繊度が900dtex〜5000dtexの範囲にあり、熱可塑性マルチフィラントを含む繊維束を一方向に撚り合わせた片撚りコードを加熱により断面形状が扁平となるように型付けして長径aと短径bとの比a/bが1.1〜3.5の範囲にある扁平片撚りコードを加工した後、該扁平片撚りコードを補強コードとしてゴム被覆したストリップ材を形成し、該ストリップ材を環状に周回させてベルト補強層を形成し、左右一対のビード部間に少なくとも1層のカーカス層を装架すると共にトレッド部におけるカーカス層の外周側にタイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含む少なくとも2層のベルト層と前記ベルト補強層とを配置したグリーンタイヤを成形し、該グリーンタイヤを加硫するようにした乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法であって、前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの撚り方向を該ベルト補強層に隣接するベルト層の補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜方向と同方向としたことを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法。
  6. 前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの下式(1)で表される撚り係数Kが800〜1200の範囲にあることを特徴とする請求項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法。
    K=T√D ・・・(1)
    但し、T:コードの撚り数(回/10cm)
    D:コードの総繊度(dtex)
  7. 前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードの長径aと短径bとの比a/bが1.2〜3.0の範囲にあることを特徴とする請求項又は請求項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法。
  8. 前記ベルト補強層を構成する扁平片撚りコードがレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスとの混合物からなる接着剤で処理されており、前記ゴムラテックスがビニルピリジン・スチレン・ブタジエン・ターポリマーラテックスを75重量%以上含み、前記ゴムラテックスの固形分と前記レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物の固形分との重量比が100/20〜100/30の範囲にあることを特徴とする請求項のいずれかに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法。
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