JP2004168118A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ロードノイズ及び振動が低減されていることに加え、高速耐久性を大幅に向上させた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】一対のビード部と、一対のサイド部と、トレッド部と、前記各ビード部間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側でベルトの全体及び/又は両端部を覆うように配置され、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強素子のゴム引き層からなる少なくとも一層のベルト補強層とを備える空気入りタイヤにおいて、少なくとも一層の前記ベルト補強層を構成する補強素子が、総デシテックス数1000〜6000dtexのリヨセル繊維コードよりなることを特徴とする空気入りタイヤである。
【選択図】 図1
【解決手段】一対のビード部と、一対のサイド部と、トレッド部と、前記各ビード部間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側でベルトの全体及び/又は両端部を覆うように配置され、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強素子のゴム引き層からなる少なくとも一層のベルト補強層とを備える空気入りタイヤにおいて、少なくとも一層の前記ベルト補強層を構成する補強素子が、総デシテックス数1000〜6000dtexのリヨセル繊維コードよりなることを特徴とする空気入りタイヤである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも一層のベルト補強層を備える空気入りタイヤ、より詳しくは、少なくとも一層のベルト補強層の補強素子としてリヨセル繊維コードを用いた空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、乗用車用ラジアルタイヤのベルトには、主としてタイヤの赤道面に対し或るコード角度に傾斜配列されたスチールコードを含有する少なくとも二枚のベルト層が、これらベルト層中のスチールコードが互いに交差するようにして用いられ、またタイヤ走行時の安定性及び快適性を確保するため、特に高速走行時におけるベルト層の剥離を防止して耐久性を向上させ、更にはロードノイズを低減させるために、該ベルトのタイヤ径方向外側にナイロンコード等の補強素子をゴム引きしてなるベルト補強層が配置されており、該ベルト補強層の構造としては、所謂キャップ・レイヤー構造等がある。
【0003】
現在では、高速耐久性を向上させるために、ベルト補強層を採用することは一般的となっており、該ベルト補強層における補強素子の材質としては低発熱でコーティングゴムとの接着性が良好なナイロンが主として用いられている。しかし、車の性能向上と相まって、タイヤに対する市場の要求は益々高くなり、更なる高速耐久性の向上、並びにロードノイズ及び振動の低減が求められている。ここで、振動の原因としては、温度変化に伴う弾性率の変化に起因するフラットスポットが挙げられる。
【0004】
これに対する改善策として、ナイロンに比べ高弾性で、ロードノイズの低減及びフラットスポットが原因となる振動の低減に効果があるポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)や芳香族ポリアミド(アラミド)等の何れかの材質よりなるコードを補強素子としてベルト補強層に適用しているが、コーティングゴムとの接着性がナイロンに比べ劣るため、高速耐久性の大幅な向上には至っていない(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−66705号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、ロードノイズ及び振動が低減されていることに加え、高速耐久性を大幅に向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ベルト補強層を備えるタイヤにおいて、ナイロンコードに比べ高弾性で、コーティングゴムとの接着性が良好なリヨセル繊維コードを該ベルト補強層に適用することにより、タイヤのロードノイズ及びフラットスポットに起因する振動が低減し、更にはタイヤの高速耐久性が著しく向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部と、一対のサイド部と、トレッド部と、前記各ビード部間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側でベルトの全体及び/又は両端部を覆うように配置され、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強素子のゴム引き層からなる少なくとも一層のベルト補強層とを備える空気入りタイヤにおいて、少なくとも一層の前記ベルト補強層を構成する補強素子が、総デシテックス数1000〜6000dtexのリヨセル繊維コードよりなることを特徴とする。
【0009】
本発明の空気入りタイヤの好適例においては、前記リヨセル繊維コードは、撚り本数が1〜3本、より好ましくは1〜2本であり、且つ撚り係数が0.2〜0.9、より好ましくは0.4〜0.65である。
【0010】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記リヨセル繊維コードは、(i)レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物ラテックス(RFL)液によるディップ処理、(ii)乾燥処理及び(iii)熱処理を順次施した後の1.4g/d荷重下の伸度が、常温(24℃)下で1.0〜2.0%で、50±5℃下で1.0〜2.0%で、170±5℃下で1.0〜2.0%である。
【0011】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ベルト補強層を構成する補強素子の打ち込み数が30〜70(本/50mm)である。
【0012】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、少なくとも一本の前記補強素子をゴム引きしてなり、前記ベルト補強層よりも幅が狭いリボン状シートをタイヤ周方向に螺旋巻回することによりベルト補強層を形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部と、一対のサイド部と、トレッド部と、前記各ビード部間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側でベルトの全体及び/又は両端部を覆うように配置され、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強素子のゴム引き層からなる少なくとも一層のベルト補強層とを備える。なお、本発明のタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の若しくは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性なガスが挙げられる。
【0014】
本発明のタイヤを構成するベルト補強層の少なくとも一層は、該ベルト補強層を構成する補強素子が、総デシテックス数1000〜6000dtexのリヨセル繊維コードよりなる。リヨセル繊維コードは、ナイロンコードに比べて高弾性なため、ロードノイズを低減することができる。また、リヨセル繊維は、260〜300℃付近で着色分解するものの、260℃以下では弾性率が大きく低下すような軟化点を持たないため、温度変化に伴う弾性率の変化に起因するフラットスポットを低減することができる。更に、リヨセル繊維コードは、コーティングゴムとの接着性が良好なため、タイヤの高速耐久性を向上させることもできる。ここで、リヨセル繊維コードの総デシテックス数が1000dtex未満では、ベルトを充分補強するためにはベルト補強層の層数を増やす必要があり、結果としてタイヤの製造コストアップに繋がる。一方、リヨセル繊維コードの総デシテックス数が6000dtexを超えると、ベルト補強層の一層当りの厚さが必要以上に増加してしまい、タイヤ重量の増加を招く。
【0015】
本発明の空気入りタイヤのベルト補強層を構成する補強素子に用いるリヨセル繊維は、原料のセルロースから溶剤紡糸法によって得られるセルロース繊維であり、同じくセルロース繊維であるレーヨンと同様に、コーティングゴムとの接着性、特に高温での接着性が良好である。また、リヨセル繊維は、レーヨンと製造及び紡糸法が異なるため、配向度が高く且つ結晶化度も高いため高弾性であるという特徴を持つ。
【0016】
同じセルロース繊維であるレーヨンは、高弾性でコーティングゴムとの接着性が良好であるが、配向度が低くミクロ的にセルロース分子鎖のパッキングが悪いため、或いは結晶化度が低いため、吸湿速度が速く、吸湿により強力が著しく低下する。そのため、レーヨンコードをベルト補強層に適用する場合、ベルト補強層が充分な設計強度を発揮できるようにするためには、製造時の湿度管理を厳格に行う必要があり、製造上の困難を伴う。これに対し、リヨセル繊維は、上述のようにレーヨンよりも配向度及び結晶化度が高いため、吸湿速度がレーヨンに比べて遅く、リヨセル繊維コードをベルト補強層に適用する場合、製造時の湿度管理が容易である。また、リヨセル繊維コードのモジュラスがレーヨンコードのモジュラスに比べて高いため、該リヨセル繊維コードを用いたベルト補強層は、レーヨンコードを用いたベルト補強層よりもベルトを補強する効果が高い。
【0017】
上記リヨセル繊維の製法は、例えば、特公昭60−28848号公報、特表平11−504995号公報に記載されているように、有機溶剤中に溶解されたセルロースと水等の非溶媒を含む溶液を、空気中又は非沈殿性媒体中に紡糸し、その際、紡糸口金から出た繊維形成溶液を送り出す速度より早い速度で引張って、3倍以上の延伸倍率で延伸した後に、非溶媒で処理することによって得ることができる。
【0018】
上記リヨセル繊維コードは、撚り本数が1〜3本であるのが好ましく、1〜2本であるのが更に好ましい。リヨセル繊維コードの撚り本数が4本を超えると、コードを構成するフィラメントの強力利用率が下がり、総デシテックス数の割に弾性率が低くなるため、高弾性が求められるベルト補強層用コードとしては不適切な撚り構造となる。
【0019】
また、上記リヨセル繊維コードは、撚り係数が0.2〜0.9であるのが好ましく、0.4〜0.65であるのが更に好ましい。ここで撚り係数Rは、下記の式(I)から計算することができる。
R=N×(0.139×D/ρ×10/9)1/2×10−3 ・・・ (I)
(式中、Nはコードの撚り数(回/10cm)で;Dはコードの総表示デシテックス数で;ρはコードの比重を表す。)
【0020】
リヨセル繊維コードの撚り係数が0.2未満では、リヨセル繊維コードとコーティングゴムとの接着性が低下し、0.9を超えると、伸びが増大して初期モジュラスが低下するため、ベルト補強層のタガ効果が低下する。一般に、低撚りになると、強力が大きくなり、伸度が小さくなり、疲労性が悪化する傾向がある。一方、高撚りになると、強力が小さくなり、伸度が大きくなり、疲労性が良好になる傾向がある。そのため、リヨセル原糸の強伸度特性の場合、ベルト補強層に求められる性能を最大限に引き出すには、撚り係数は上記の範囲がよい。
【0021】
上記リヨセル繊維コードは、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物ラテックス(RFL)液によるディップ処理、乾燥処理及び熱処理を順次施した後、ゴム引きされてベルト補強層となる。該リヨセル繊維コードは、(i)RFL液によるディップ処理、(ii)150℃で60秒間の乾燥処理及び(iii)150℃で120秒間の熱処理を順次施した後の1.4g/d荷重下の伸度が、常温(24℃)下で1.0〜2.0%で、50±5℃下で1.0〜2.0%で、170±5℃下で1.0〜2.0%であるのが好ましい。常温における1.4g/d荷重下での伸度が1.0%未満では、ゴムとの接着性が悪くなり耐久性が低下し、2.0%を超えるとベルトの振動に起因するロードノイズ低減効率が下がる。また、タイヤ走行時のベルト補強層の温度である50±5℃における1.4g/d荷重下での伸度が1.0%未満では、ゴムとの接着性が悪くなり耐久性が低下し、2.0%を超えると、ロードノイズ及び振動を充分に低減できず、また、走行後、車を停止した時、接地部が変形し(フラットスポット)、再走行後、振動の原因となる。更に、生タイヤの加硫時のベルト補強層の温度である170±5℃における1.4g/d荷重下での伸度が1.0%未満では、加硫時にベルト補強層が充分に伸びず加硫成形が不良となり、タイヤ接地性が不均一でロードノイズ及び振動を充分に低減できず、2.0%を超えると高速耐久性が低下する。
【0022】
本発明の空気入りタイヤのベルト補強層を構成する補強素子の打ち込み数は、30〜70(本/50mm)であるのが好ましい。打ち込み数が30(本/50mm)未満では、ベルト補強層のベルト補強能が小さく、70(本/50mm)を超えると、タイヤの重量が増加する。
【0023】
本発明のタイヤのベルト補強層は、少なくとも一本の補強素子をゴム引きしてなり、ベルト補強層よりも幅が狭いリボン状シートをタイヤ周方向に螺旋巻回することにより形成されるのが好ましい。高弾性なリヨセル繊維コードよりなる補強素子のゴム引きリボン状シートをタイヤ周方向に連続して螺旋状に巻回することにより、ベルト補強層のタイヤ周方向の張力剛性が向上し、ベルトのタガ効果が高まるため、タイヤ走行時に路面の凹凸による振動をトレッド面でひろいにくく、タイヤサイド部−リム−ホイールへと伝達されて車内に伝わる振動が減少し、ロードノイズも減少する。また、リボン状シートをタイヤ周方向に連続して螺旋巻回してベルト補強層を形成することにより、タイヤ周方向にジョイント部が生じず、均一にベルトを補強することができる。
【0024】
本発明のタイヤは、ベルト補強層の総ての層を構成する補強素子が上述したリヨセル繊維コードよりなるのが好ましいが、ベルト補強層の少なくとも一層を構成する補強素子がリヨセル繊維コードであればよく、リヨセル繊維コードを用いないベルト補強層には、補強素子としてナイロンコード、アラミドコード、PENコード等を用いることができる。
【0025】
次に本発明のタイヤの実施態様を図面に基づき説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様を示す断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1と、一対のサイド部2と、トレッド部3と、該ビード部1に埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたカーカス5と、該カーカス5のクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルト6と、該ベルト6のタイヤ径方向外側でベルト6の全体を覆うように配置したベルト補強層7Aと、該ベルト補強層7Aのタイヤ径方向外側でベルト6の両端部を覆うように配置した一対のベルト補強層7Bとからなる。ここで、ベルト補強層7A,7Bは、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強素子のゴム引き層からなり、該補強素子が上述のリヨセル繊維コードからなる。図示例のベルト補強層7A,7Bは、夫々一層であるが、二層以上であってもよい。
【0026】
図2及び3は、本発明の空気入りタイヤの他の実施態様を示す断面図である。図2のタイヤには、ベルト6のタイヤ径方向外側でベルト6の全体を覆うようにベルト補強層7Aのみが配置されている。一方、図3のタイヤには、ベルト6のタイヤ径方向外側でベルト6の両端部のみを覆うように一対のベルト補強層7Bが配置されている。図2のベルト補強層7Aは一層で、図3のベルト補強層7Bは二層であるが、ベルト補強層7A,7Bの層数はこれに限られるものではない。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
サイズ195/65R14のタイヤを、加硫条件:167℃で12分、ポストキュアインフレーション条件:内圧250kPaで23分の下で試作した。カーカスコードはポリエチレンテレフタレート(PET)で、ベルトは二枚のスチールベルト層からなり、タイヤ径方向内側のベルト層は幅150mmで、タイヤ径方向外側のベルト層は幅140mmである。これらスチールベルト層に用いたスチールコードは1×5×0.23構造で、打ち込み数34.0本/5cmである。なお、タイヤ径方向内側のベルト層のコード角度はタイヤ周方向に対し左上がり22°とし、タイヤ径方向外側のベルト層のコード角度はタイヤ周方向に対し右上がり22°とした。
【0029】
ベルト補強層は、図1に示す構造で、表1に示す材質の補強素子をゴム引きしてなるリボン状シートを、ベルトのタイヤ径方向外側に周方向に対し実質的に平行(0〜5°)になるように螺旋状(スパイラル状)に巻きつけて製造した。ベルトに隣接しベルトの全体を覆うベルト補強層7Aを、ベルト端から夫々1cm外側に出る(即ち、ベルト補強層7Aの幅はベルトの幅より2cm広い)ように配置し、更に該ベルト補強層7Aのタイヤ径方向外側でベルトの両端部のみを覆うベルト補強層7Bを、ベルト補強層7Aの端部からタイヤ幅方向内側に3cmの幅で夫々配置した。なお、補強素子は、所定のデシテックス数の原糸を下撚りし、これを2本合わせ更に上撚りして作製した。このようにして試作したタイヤの夫々について、下記の方法で高速耐久性、ロードノイズ及びフラットスポットを測定した。結果を表1に示す。
【0030】
(1)高速耐久性
試作タイヤをサイズ6J−14のリムに組み付け、200kPaの内圧充填下、150km/hの速度で30分間走行させ、故障が無ければ速度を6km/hづつ上げていき、故障発生時の速度を測定し、比較例1の故障発生速度を100として指数表示する。指数値が大きくなるほど、耐久限界速度が高く高速耐久性に優れることを示す。
【0031】
(2)ロードノイズ
試作タイヤを6J−14のリムサイズのリムに組み付け200kPaの内圧を充填し、2000ccの排気量を有するセダンタイプの乗用車の4輪すべてに装着し、2名乗車してロードノイズ評価路のテストコースを60km/hの速度で走行させながら、運転席の背もたれの中央部分に取り付けた集音マイクを介して周波数:100〜500Hz及び300〜500Hzの全音圧(デシベル)を測定し、該測定値からロードノイズを評価し、比較例1のロードノイズを100として指数表示する。指数値が大きくなるほど、ロードノイズが小さく良好であることを示す。
【0032】
(3)フラットスポット
試作タイヤを実車に装着し、一定時間走行させて十分高温となったタイヤに負荷をかけて完全に冷えるまで放置した後のタイヤの変形を、真円度の変化として測定することにより評価する。すなわち、負荷の前後における真円度をそれぞれ測定して、その差をフラットスポット量として求め、比較例1のフラットスポット量を100として指数表示する。指数値が大きくなるほど、フラットスポット量が小さく良好であることを示す。
【0033】
【表1】
【0034】
高弾性なアラミドコードやPENコードをベルト補強層に用いた比較例2や3のタイヤは、比較例1に比べロードノイズ及びフラットスポットが低減しているものの、コーティングゴムとの接着性が劣るため、高速耐久性の改善効果が不充分であった。また、比較例4のタイヤは、接着性の高いレーヨンコードをベルト補強層に用いているため比較例2及び3よりも高速耐久性が優れるものの、フラットスポットの低減が不充分であった。
【0035】
これに対し、ベルト補強層にリヨセル繊維コードを用いた実施例1のタイヤは、リヨセル繊維コードのコーティングゴムとの接着性が高いため高速耐久性が著しく向上し、更にリヨセル繊維コードが高弾性で且つ温度上昇による弾性率の低下が少ないためロードノイズ及びフラットスポットが低減し、タイヤの高速耐久性、ロードノイズ、フラットスポット性がバランス良く向上していた。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、一層以上のベルト補強層の補強素子に特定のリヨセル繊維コードを適用することにより、高速耐久性、ロードノイズ、フラットスポット性をバランス良く向上させた空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一実施態様を示す断面図である。
【図2】本発明の空気入りタイヤの他の実施態様を示す断面図である。
【図3】本発明の空気入りタイヤの他の実施態様を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ビード部
2 サイド部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
7A,7B ベルト補強層
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも一層のベルト補強層を備える空気入りタイヤ、より詳しくは、少なくとも一層のベルト補強層の補強素子としてリヨセル繊維コードを用いた空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、乗用車用ラジアルタイヤのベルトには、主としてタイヤの赤道面に対し或るコード角度に傾斜配列されたスチールコードを含有する少なくとも二枚のベルト層が、これらベルト層中のスチールコードが互いに交差するようにして用いられ、またタイヤ走行時の安定性及び快適性を確保するため、特に高速走行時におけるベルト層の剥離を防止して耐久性を向上させ、更にはロードノイズを低減させるために、該ベルトのタイヤ径方向外側にナイロンコード等の補強素子をゴム引きしてなるベルト補強層が配置されており、該ベルト補強層の構造としては、所謂キャップ・レイヤー構造等がある。
【0003】
現在では、高速耐久性を向上させるために、ベルト補強層を採用することは一般的となっており、該ベルト補強層における補強素子の材質としては低発熱でコーティングゴムとの接着性が良好なナイロンが主として用いられている。しかし、車の性能向上と相まって、タイヤに対する市場の要求は益々高くなり、更なる高速耐久性の向上、並びにロードノイズ及び振動の低減が求められている。ここで、振動の原因としては、温度変化に伴う弾性率の変化に起因するフラットスポットが挙げられる。
【0004】
これに対する改善策として、ナイロンに比べ高弾性で、ロードノイズの低減及びフラットスポットが原因となる振動の低減に効果があるポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)や芳香族ポリアミド(アラミド)等の何れかの材質よりなるコードを補強素子としてベルト補強層に適用しているが、コーティングゴムとの接着性がナイロンに比べ劣るため、高速耐久性の大幅な向上には至っていない(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−66705号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、ロードノイズ及び振動が低減されていることに加え、高速耐久性を大幅に向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ベルト補強層を備えるタイヤにおいて、ナイロンコードに比べ高弾性で、コーティングゴムとの接着性が良好なリヨセル繊維コードを該ベルト補強層に適用することにより、タイヤのロードノイズ及びフラットスポットに起因する振動が低減し、更にはタイヤの高速耐久性が著しく向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部と、一対のサイド部と、トレッド部と、前記各ビード部間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側でベルトの全体及び/又は両端部を覆うように配置され、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強素子のゴム引き層からなる少なくとも一層のベルト補強層とを備える空気入りタイヤにおいて、少なくとも一層の前記ベルト補強層を構成する補強素子が、総デシテックス数1000〜6000dtexのリヨセル繊維コードよりなることを特徴とする。
【0009】
本発明の空気入りタイヤの好適例においては、前記リヨセル繊維コードは、撚り本数が1〜3本、より好ましくは1〜2本であり、且つ撚り係数が0.2〜0.9、より好ましくは0.4〜0.65である。
【0010】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記リヨセル繊維コードは、(i)レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物ラテックス(RFL)液によるディップ処理、(ii)乾燥処理及び(iii)熱処理を順次施した後の1.4g/d荷重下の伸度が、常温(24℃)下で1.0〜2.0%で、50±5℃下で1.0〜2.0%で、170±5℃下で1.0〜2.0%である。
【0011】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ベルト補強層を構成する補強素子の打ち込み数が30〜70(本/50mm)である。
【0012】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、少なくとも一本の前記補強素子をゴム引きしてなり、前記ベルト補強層よりも幅が狭いリボン状シートをタイヤ周方向に螺旋巻回することによりベルト補強層を形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部と、一対のサイド部と、トレッド部と、前記各ビード部間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側でベルトの全体及び/又は両端部を覆うように配置され、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強素子のゴム引き層からなる少なくとも一層のベルト補強層とを備える。なお、本発明のタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の若しくは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性なガスが挙げられる。
【0014】
本発明のタイヤを構成するベルト補強層の少なくとも一層は、該ベルト補強層を構成する補強素子が、総デシテックス数1000〜6000dtexのリヨセル繊維コードよりなる。リヨセル繊維コードは、ナイロンコードに比べて高弾性なため、ロードノイズを低減することができる。また、リヨセル繊維は、260〜300℃付近で着色分解するものの、260℃以下では弾性率が大きく低下すような軟化点を持たないため、温度変化に伴う弾性率の変化に起因するフラットスポットを低減することができる。更に、リヨセル繊維コードは、コーティングゴムとの接着性が良好なため、タイヤの高速耐久性を向上させることもできる。ここで、リヨセル繊維コードの総デシテックス数が1000dtex未満では、ベルトを充分補強するためにはベルト補強層の層数を増やす必要があり、結果としてタイヤの製造コストアップに繋がる。一方、リヨセル繊維コードの総デシテックス数が6000dtexを超えると、ベルト補強層の一層当りの厚さが必要以上に増加してしまい、タイヤ重量の増加を招く。
【0015】
本発明の空気入りタイヤのベルト補強層を構成する補強素子に用いるリヨセル繊維は、原料のセルロースから溶剤紡糸法によって得られるセルロース繊維であり、同じくセルロース繊維であるレーヨンと同様に、コーティングゴムとの接着性、特に高温での接着性が良好である。また、リヨセル繊維は、レーヨンと製造及び紡糸法が異なるため、配向度が高く且つ結晶化度も高いため高弾性であるという特徴を持つ。
【0016】
同じセルロース繊維であるレーヨンは、高弾性でコーティングゴムとの接着性が良好であるが、配向度が低くミクロ的にセルロース分子鎖のパッキングが悪いため、或いは結晶化度が低いため、吸湿速度が速く、吸湿により強力が著しく低下する。そのため、レーヨンコードをベルト補強層に適用する場合、ベルト補強層が充分な設計強度を発揮できるようにするためには、製造時の湿度管理を厳格に行う必要があり、製造上の困難を伴う。これに対し、リヨセル繊維は、上述のようにレーヨンよりも配向度及び結晶化度が高いため、吸湿速度がレーヨンに比べて遅く、リヨセル繊維コードをベルト補強層に適用する場合、製造時の湿度管理が容易である。また、リヨセル繊維コードのモジュラスがレーヨンコードのモジュラスに比べて高いため、該リヨセル繊維コードを用いたベルト補強層は、レーヨンコードを用いたベルト補強層よりもベルトを補強する効果が高い。
【0017】
上記リヨセル繊維の製法は、例えば、特公昭60−28848号公報、特表平11−504995号公報に記載されているように、有機溶剤中に溶解されたセルロースと水等の非溶媒を含む溶液を、空気中又は非沈殿性媒体中に紡糸し、その際、紡糸口金から出た繊維形成溶液を送り出す速度より早い速度で引張って、3倍以上の延伸倍率で延伸した後に、非溶媒で処理することによって得ることができる。
【0018】
上記リヨセル繊維コードは、撚り本数が1〜3本であるのが好ましく、1〜2本であるのが更に好ましい。リヨセル繊維コードの撚り本数が4本を超えると、コードを構成するフィラメントの強力利用率が下がり、総デシテックス数の割に弾性率が低くなるため、高弾性が求められるベルト補強層用コードとしては不適切な撚り構造となる。
【0019】
また、上記リヨセル繊維コードは、撚り係数が0.2〜0.9であるのが好ましく、0.4〜0.65であるのが更に好ましい。ここで撚り係数Rは、下記の式(I)から計算することができる。
R=N×(0.139×D/ρ×10/9)1/2×10−3 ・・・ (I)
(式中、Nはコードの撚り数(回/10cm)で;Dはコードの総表示デシテックス数で;ρはコードの比重を表す。)
【0020】
リヨセル繊維コードの撚り係数が0.2未満では、リヨセル繊維コードとコーティングゴムとの接着性が低下し、0.9を超えると、伸びが増大して初期モジュラスが低下するため、ベルト補強層のタガ効果が低下する。一般に、低撚りになると、強力が大きくなり、伸度が小さくなり、疲労性が悪化する傾向がある。一方、高撚りになると、強力が小さくなり、伸度が大きくなり、疲労性が良好になる傾向がある。そのため、リヨセル原糸の強伸度特性の場合、ベルト補強層に求められる性能を最大限に引き出すには、撚り係数は上記の範囲がよい。
【0021】
上記リヨセル繊維コードは、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物ラテックス(RFL)液によるディップ処理、乾燥処理及び熱処理を順次施した後、ゴム引きされてベルト補強層となる。該リヨセル繊維コードは、(i)RFL液によるディップ処理、(ii)150℃で60秒間の乾燥処理及び(iii)150℃で120秒間の熱処理を順次施した後の1.4g/d荷重下の伸度が、常温(24℃)下で1.0〜2.0%で、50±5℃下で1.0〜2.0%で、170±5℃下で1.0〜2.0%であるのが好ましい。常温における1.4g/d荷重下での伸度が1.0%未満では、ゴムとの接着性が悪くなり耐久性が低下し、2.0%を超えるとベルトの振動に起因するロードノイズ低減効率が下がる。また、タイヤ走行時のベルト補強層の温度である50±5℃における1.4g/d荷重下での伸度が1.0%未満では、ゴムとの接着性が悪くなり耐久性が低下し、2.0%を超えると、ロードノイズ及び振動を充分に低減できず、また、走行後、車を停止した時、接地部が変形し(フラットスポット)、再走行後、振動の原因となる。更に、生タイヤの加硫時のベルト補強層の温度である170±5℃における1.4g/d荷重下での伸度が1.0%未満では、加硫時にベルト補強層が充分に伸びず加硫成形が不良となり、タイヤ接地性が不均一でロードノイズ及び振動を充分に低減できず、2.0%を超えると高速耐久性が低下する。
【0022】
本発明の空気入りタイヤのベルト補強層を構成する補強素子の打ち込み数は、30〜70(本/50mm)であるのが好ましい。打ち込み数が30(本/50mm)未満では、ベルト補強層のベルト補強能が小さく、70(本/50mm)を超えると、タイヤの重量が増加する。
【0023】
本発明のタイヤのベルト補強層は、少なくとも一本の補強素子をゴム引きしてなり、ベルト補強層よりも幅が狭いリボン状シートをタイヤ周方向に螺旋巻回することにより形成されるのが好ましい。高弾性なリヨセル繊維コードよりなる補強素子のゴム引きリボン状シートをタイヤ周方向に連続して螺旋状に巻回することにより、ベルト補強層のタイヤ周方向の張力剛性が向上し、ベルトのタガ効果が高まるため、タイヤ走行時に路面の凹凸による振動をトレッド面でひろいにくく、タイヤサイド部−リム−ホイールへと伝達されて車内に伝わる振動が減少し、ロードノイズも減少する。また、リボン状シートをタイヤ周方向に連続して螺旋巻回してベルト補強層を形成することにより、タイヤ周方向にジョイント部が生じず、均一にベルトを補強することができる。
【0024】
本発明のタイヤは、ベルト補強層の総ての層を構成する補強素子が上述したリヨセル繊維コードよりなるのが好ましいが、ベルト補強層の少なくとも一層を構成する補強素子がリヨセル繊維コードであればよく、リヨセル繊維コードを用いないベルト補強層には、補強素子としてナイロンコード、アラミドコード、PENコード等を用いることができる。
【0025】
次に本発明のタイヤの実施態様を図面に基づき説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様を示す断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1と、一対のサイド部2と、トレッド部3と、該ビード部1に埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたカーカス5と、該カーカス5のクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルト6と、該ベルト6のタイヤ径方向外側でベルト6の全体を覆うように配置したベルト補強層7Aと、該ベルト補強層7Aのタイヤ径方向外側でベルト6の両端部を覆うように配置した一対のベルト補強層7Bとからなる。ここで、ベルト補強層7A,7Bは、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強素子のゴム引き層からなり、該補強素子が上述のリヨセル繊維コードからなる。図示例のベルト補強層7A,7Bは、夫々一層であるが、二層以上であってもよい。
【0026】
図2及び3は、本発明の空気入りタイヤの他の実施態様を示す断面図である。図2のタイヤには、ベルト6のタイヤ径方向外側でベルト6の全体を覆うようにベルト補強層7Aのみが配置されている。一方、図3のタイヤには、ベルト6のタイヤ径方向外側でベルト6の両端部のみを覆うように一対のベルト補強層7Bが配置されている。図2のベルト補強層7Aは一層で、図3のベルト補強層7Bは二層であるが、ベルト補強層7A,7Bの層数はこれに限られるものではない。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
サイズ195/65R14のタイヤを、加硫条件:167℃で12分、ポストキュアインフレーション条件:内圧250kPaで23分の下で試作した。カーカスコードはポリエチレンテレフタレート(PET)で、ベルトは二枚のスチールベルト層からなり、タイヤ径方向内側のベルト層は幅150mmで、タイヤ径方向外側のベルト層は幅140mmである。これらスチールベルト層に用いたスチールコードは1×5×0.23構造で、打ち込み数34.0本/5cmである。なお、タイヤ径方向内側のベルト層のコード角度はタイヤ周方向に対し左上がり22°とし、タイヤ径方向外側のベルト層のコード角度はタイヤ周方向に対し右上がり22°とした。
【0029】
ベルト補強層は、図1に示す構造で、表1に示す材質の補強素子をゴム引きしてなるリボン状シートを、ベルトのタイヤ径方向外側に周方向に対し実質的に平行(0〜5°)になるように螺旋状(スパイラル状)に巻きつけて製造した。ベルトに隣接しベルトの全体を覆うベルト補強層7Aを、ベルト端から夫々1cm外側に出る(即ち、ベルト補強層7Aの幅はベルトの幅より2cm広い)ように配置し、更に該ベルト補強層7Aのタイヤ径方向外側でベルトの両端部のみを覆うベルト補強層7Bを、ベルト補強層7Aの端部からタイヤ幅方向内側に3cmの幅で夫々配置した。なお、補強素子は、所定のデシテックス数の原糸を下撚りし、これを2本合わせ更に上撚りして作製した。このようにして試作したタイヤの夫々について、下記の方法で高速耐久性、ロードノイズ及びフラットスポットを測定した。結果を表1に示す。
【0030】
(1)高速耐久性
試作タイヤをサイズ6J−14のリムに組み付け、200kPaの内圧充填下、150km/hの速度で30分間走行させ、故障が無ければ速度を6km/hづつ上げていき、故障発生時の速度を測定し、比較例1の故障発生速度を100として指数表示する。指数値が大きくなるほど、耐久限界速度が高く高速耐久性に優れることを示す。
【0031】
(2)ロードノイズ
試作タイヤを6J−14のリムサイズのリムに組み付け200kPaの内圧を充填し、2000ccの排気量を有するセダンタイプの乗用車の4輪すべてに装着し、2名乗車してロードノイズ評価路のテストコースを60km/hの速度で走行させながら、運転席の背もたれの中央部分に取り付けた集音マイクを介して周波数:100〜500Hz及び300〜500Hzの全音圧(デシベル)を測定し、該測定値からロードノイズを評価し、比較例1のロードノイズを100として指数表示する。指数値が大きくなるほど、ロードノイズが小さく良好であることを示す。
【0032】
(3)フラットスポット
試作タイヤを実車に装着し、一定時間走行させて十分高温となったタイヤに負荷をかけて完全に冷えるまで放置した後のタイヤの変形を、真円度の変化として測定することにより評価する。すなわち、負荷の前後における真円度をそれぞれ測定して、その差をフラットスポット量として求め、比較例1のフラットスポット量を100として指数表示する。指数値が大きくなるほど、フラットスポット量が小さく良好であることを示す。
【0033】
【表1】
【0034】
高弾性なアラミドコードやPENコードをベルト補強層に用いた比較例2や3のタイヤは、比較例1に比べロードノイズ及びフラットスポットが低減しているものの、コーティングゴムとの接着性が劣るため、高速耐久性の改善効果が不充分であった。また、比較例4のタイヤは、接着性の高いレーヨンコードをベルト補強層に用いているため比較例2及び3よりも高速耐久性が優れるものの、フラットスポットの低減が不充分であった。
【0035】
これに対し、ベルト補強層にリヨセル繊維コードを用いた実施例1のタイヤは、リヨセル繊維コードのコーティングゴムとの接着性が高いため高速耐久性が著しく向上し、更にリヨセル繊維コードが高弾性で且つ温度上昇による弾性率の低下が少ないためロードノイズ及びフラットスポットが低減し、タイヤの高速耐久性、ロードノイズ、フラットスポット性がバランス良く向上していた。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、一層以上のベルト補強層の補強素子に特定のリヨセル繊維コードを適用することにより、高速耐久性、ロードノイズ、フラットスポット性をバランス良く向上させた空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一実施態様を示す断面図である。
【図2】本発明の空気入りタイヤの他の実施態様を示す断面図である。
【図3】本発明の空気入りタイヤの他の実施態様を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ビード部
2 サイド部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
7A,7B ベルト補強層
Claims (5)
- 一対のビード部と、一対のサイド部と、トレッド部と、前記各ビード部間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルトと、該ベルトのタイヤ径方向外側でベルトの全体及び/又は両端部を覆うように配置され、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強素子のゴム引き層からなる少なくとも一層のベルト補強層とを備える空気入りタイヤにおいて、
少なくとも一層の前記ベルト補強層を構成する補強素子が、総デシテックス数1000〜6000dtexのリヨセル繊維コードよりなることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記リヨセル繊維コードは、撚り本数が1〜3本であり、且つ撚り係数が0.2〜0.9であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記リヨセル繊維コードは、(i)レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物ラテックス(RFL)液によるディップ処理、(ii)乾燥処理及び(iii)熱処理を順次施した後の1.4g/d荷重下の伸度が、常温(24℃)下で1.0〜2.0%で、50±5℃下で1.0〜2.0%で、170±5℃下で1.0〜2.0%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ベルト補強層を構成する補強素子の打ち込み数が30〜70(本/50mm)であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 少なくとも一本の前記補強素子をゴム引きしてなり、前記ベルト補強層よりも幅が狭いリボン状シートをタイヤ周方向に螺旋巻回することによりベルト補強層を形成したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
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