JP2006106431A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストを安定した状態で堆積膜形成が可能な堆積膜形成を実現させ、高性能且つ低コストな電子写真感光体の製造方法を提供すること。
【解決手段】減圧可能な反応容器内で高周波電力を用い原料ガスを分解することにより、円筒状基体に少なくともシリコン原子を母体とする非単結晶材料から成る光導電層を形成する電子写真感光体の製造方法であって、前記光導電層の形成はドーピング用原料ガスの流量が異なる複数の層を形成し、前記ドーピング用原料ガスの流量を変化させるときに補充ガスの流量を変化させる工程を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、円筒状アルミニウム基体上に機能性膜を形成した電子写真感光体の製造方法に関する。
画像形成分野において、光受容部材の光受容層を形成する光導電材料は、次のような特性が要求される。高感度であること、SN比(光電流(Ip)/暗電流(Id))が高いこと、照射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクトルを有すること、光応答性が速いこと、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体に対して無害であること等である。特に、光受容部材が、事務機としてオフィスで使用される電子写真装置内に組み込まれる場合は、上記の使用時における無害性は重要である。
上記の特性が優れている光導電材料としては、水素化アモルファスシリコンが挙げられ、電子写真用光受容部材としての応用が開示されている(例えば、特許文献1)。
このような光受容部材の作製は、一般的には、導電性支持体を50〜350℃に加熱し、この支持体上に、真空蒸着法・スパッタリング法・イオンプレーティング法・熱CVD法・光CVD法・プラズマCVD法等の成膜法によってアモルファスシリコンから成る光導電層を形成する。中でもプラズマCVD法による製造方法が好適であり、実用されている。このプラズマCVD法は、原料ガスを高周波或はマイクロ波グロー放電によって分解し、導電性支持体上にアモルファスシリコンの堆積膜を形成するものである。
又、良好な電気特性・光学的特性を得ることを目的として、ハロゲン原子を含むアモルファスシリコンから成る光導電層を導電性支持体上に形成した電子写真用光受容部材が提案されている(例えば、特許文献2)。
この公報においては、アモルファスシリコンにハロゲン原子を1〜40原子%含有させることによって、耐熱性が高くなり、且つ、電子写真用光受容部材の光導電層として良好な電気的・光学的特性を得ることができるとされている。
又、暗抵抗値・光感度・光応答性等の電気的・光学的・光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特性、更には経時的安定性について改善を図るため、シリコン原子を母体とするアモルファス材料で構成された光導電層上に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性のアモルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が記載されている(例えば、特許文献3)。
更に、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のために、光導電層の支持体側に周期律表第III 族の原子を多く含有させ、光導電層を2層化する技術が開示されている(例えば、特許文献4)。
更なる画像品質向上にために、帯電能の向上と、温度特性の向上及び光メモリーの低減とが両立するために、光導電層を2層化し、基板側の第1の光導電層領域よりも表面側の第2の光導電層領域の周期律表第III 元素を少なくする技術が開示されている(例えば、特許文献5)。
又、VHFプラズマを用いた生産性に優れたアモルファスシリコン感光体の製造方法として、反応容器の一部を誘電体部材とし、カソード電極を反応容器の外側に複数配置することで、大面積で均質な高周波放電が容易に達成され、大面積基体へのプラズマ処理を均一且つ高速に行うことが可能になる装置が開示されている(例えば、特許文献6)。
これらの技術により、電子写真用光受容部材の電気的・光学的・光導電特性及び使用環境特性が向上し、それらに伴って画像品質も向上し、生産性も向上してきた。
特公昭60−35059号公報 特開昭56−83746号公報 特開昭57−115556号公報 特開昭58−88115号公報 特開昭平10−90929号公報 特開平9−310181号公報
上記の開示技術によって、画像品質及び生産性に優れた電子写真感光体を製造することが可能となった。しかしながら、画質や性能に対する市場の要求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、帯電特性に優れた感光体の層設計技術も日々進歩している。一方、コストに対する要求も当然高まっている。
電子写真感光体の製造コストを押し上げる要因の1つとして、製造時間の長さが挙げられる。
例えば、周波数13.56MHzの高周波を用いるRF方式の成膜方法においては、電子写真感光体の性能を満足させるアモルファスシリコン(以下、a−Siとも表記)膜を得るための堆積速度は、例えば1時間当たり0.5〜6μm程度であり、それ以上に堆積速度を上げると、感光体が十分な特性を得ることができない場合がある。
又、原料ガスの分解効率に限界があり、現状ではこれ以上飛躍的な堆積速度の向上が見込めない。一般に電子写真感光体としてa−Si膜を利用する場合、その誘電率の大きさの関係で、充分な帯電能を得るために少なくとも20〜30μmの膜厚が必要である。従って、通常製造に掛かる時間は数時間〜数十時間を要することとなる。
このため、感光体としての特性を落とすことなく製造時間を短縮する技術が切望されていた。上記開示技術であるVHF帯の周波数を用いた方式により、RF方式に比べ堆積速度の向上が実現され、コスト面でも可成りの改善を成し得たが、こうした要求には終わりが無いのが実情である。
こうした課題を解決する手段としては、原料ガスの流量及び投入電力を多くすることが有効である反面、様々な弊害が生じる場合がある。
投入電力の増加は装置自体に掛かる負荷ばかりでなく、堆積膜形成自体にも過酷な条件である。
例えば、高い投入電力によりプラズマ状態が不安定になり、少しの要因でスパーク等の異常放電が起こり易くなってしまう。又、スパークが発生しなくとも、プラズマのちらつき等も見られる場合がある。
このようなプラズマ状態の乱れのトリガーとしては、成膜中の内圧の変動や原料ガスの切り替えのための流量の変動等が挙げられる。特に、上記開示技術である光導電層の2層化においては、光導電層形成中にドーピングガスの流量変化を行う必要がある。通常、ドーピングガスは、水素ガスやヘリウムガス等において希釈された状態のガスを用いることが一般的であり、数ppmのドーピング量の変化においても、実際のガス流量の変動はガスの濃度によっては数十ml/min(normal)から数百ml/min(normal)になる場合もある。
光導電層形成時には、投入電力が最も高い場合が多く、こうしたガス流量に変化においてはプラズマ状態の乱れが発生してしまう場合がある。
このようなプラズマの不安定な状況が引き起こす問題点として以下の項目が挙げられる。
堆積膜形成中にスパークが発生すると局所的な電力が堆積膜に与えられ、部分的に機能を損失してしまう場合がある。電子写真感光体の場合、均一な画像形成ができなくなってしまう。又、プラズマが不安定な状況化で形成された堆積膜は均一性に劣り、特性ムラや膜剥がれが生じ易いといった問題かある。特に、堆積膜の剥がれに関しては電子写真感光体の製造過程において非常にデリケートな問題である。例えば、画像形成領域から外れた円筒状基体の端部は非常に剥がれが生じ易い。こうした端部からの微小な膜剥がれが引き金となり、その破片が堆積膜形成の異常成長の核となり、突起と呼ばれる堆積膜の欠陥の原因となってしまう。
a−Si膜は基体表面に数μmオーダーのダストが付着していた場合、成膜中にそのダストを核として異常成長してしまい突起を生じてしまうという性質を持っている。この突起はダストを起点とした円錐形を逆転させた形をしており、正常堆積部分と突起部分の界面では局在準位が非常に多いために低抵抗化し、帯電電荷が界面を通って基体側に抜けてしまうという性質を持っている。このため、突起のある部分は、画像上ではべた黒画像で白い点となって現れる(反転現像の場合はべた白画像に黒い点となって現れる)。この所謂「ポチ」と呼ばれる画像欠陥は年々規格が厳しくなっており、大きさによってはA3用紙に数個存在していても不良として扱われることがある。更には、カラー複写機に搭載される場合には更に規格は厳しくなり、A3用紙に1個存在していても不良となる場合がある。
このような状況を見据えて、上で述べた従来の堆積膜形成方法を再考すると、感光体の製造コストを抑えるとともに感光体の特性向上を両立させる技術に関しては、まだまだ改善の余地が残されているのが現状である。
例えば、形成される堆積膜特性の均一性・再現性という点においては、更なる改善の余地が残されている。具体的には、堆積膜特性の均一性・再現性が十分に高くないと、複数の堆積膜を積層する構成において、各工程毎の堆積膜特性にばらつきが起こり、そのばらつきが積算される結果、最終的には、製品品質の不足、良品率の低下にも繋がる。又、複数の堆積膜が積層される構成においては、単にばらつきが積算されるだけでなく、複数層の機能が互いに深く関連しているため、或る層の膜特性が設計値から偏移すると、他の層の膜特性が設計値の通りであっても、期待される性能が全く発揮できない、或は、相乗的な性能低下が生じる等、部材全体として大きな影響を受けることも多い。
又、電子写真感光体のように大面積の部材においては、局所的な膜質低下や点状の膜欠陥であっても、その1箇所の不良のみで、部材全体としては、全く使用できないものともなる。
本発明は、上記の課題を解決するもので、本発明の目的は、製造コストを安定した状態で堆積膜形成が可能な堆積膜形成を実現させ、高性能且つ低コストな電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、過酷な成膜条件下においてもプラズマ状況を安定させ、良質な堆積膜形成が可能となる手段を見出した。
即ち、減圧可能な反応容器内で高周波電力を用い原料ガスを分解することにより、円筒状基体に少なくともシリコン原子を母体とする非単結晶材料から成る光導電層を形成する電子写真感光体の製造方法であって、前記光導電層の形成はドーピング用原料ガスの流量が異なる複数の層を形成し、前記ドーピング用原料ガスの流量を変化させるときに補充ガスの流量を変化させる工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
又、本発明によれば、補充ガスがドーピング用原料ガスの希釈に用いられているガスと同種のガスである場合、特に効果的である。
又、本発明によれば、光導電層形成時においては、希釈ガスを含むドーピング用原料ガス流量と補充ガス流量の和が一定となるように補充ガスを導入する場合、特に効果的である。
又、本発明によれば、補充ガスは全ての光導電層形成において導入する場合、特に効果的である。
又、本発明によれば、補充ガスの流量を変化させる工程において投入される高周波電力を変化させる場合、特に効果的である。
又、本発明によれば、高周波電力の周波数が50〜450MHzの範囲である場合、特に効果的である。
本発明者等は、上述の課題を解決すべく検討を行った結果、過酷な成膜条件下においてもプラズマ状況を安定させ、良質な堆積膜形成が可能となる手段を見出した。
本発明者等は、前述の不安定なプラズマ状態を引き起こす要因は、層と層の界面において、原料ガスが入れ替わる変化領域において、反応容器内の圧力変動や活性種の変化であることを見出し、この変化領域において、補充ガスを導入する工程を設け、補充ガスを導入することにより各層への移行工程でのプラズマの不安定状態を軽減可能になることを見出した。
このことにより、各層界面で発生する応力のずれによる膜剥がれが起因となる堆積膜の汚染の低減効果、スパーク等の異常放電発生の低減効果、堆積膜の部分的な特性悪化防止効果が得られる。
特に、光導電層は感光体特性に大きく寄与し、又、膜厚も厚く設計されるため、コストに与える影響が最も大きい。このため、コスト低下を実現するためには光導電層形成時の堆積速度の向上が効果的であるが、実施のためには原料ガス及び投入パワーの増加が必要となり成膜条件が最も過酷になる。
本発明は、高性能な光導電層を作成するために、光導電層を2層化した場合でも安定して低コストで形成するために最も効果的な方法である。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
以下、図面に従って本発明の電用電子写真感光体について説明する。
図1は本発明の電子写真感光体用光受容部材の好適な層構成の一例を示した模式的構成図である。
図1に示す電子写真感光体は、円筒状基体101の上に光受容層102が設けられており、光受容層102は、基体側から順に、下部阻止層103、第1の光導電層104、第2の光導電層105、表面層106から構成されている。
次に、水素化アモルファスシリコン(以下、a−Si:Hとも表記)系感光体を形成する装置について説明する。
図2は複数のa−Si:H系感光体を形成可能な、プラズマCVD堆積膜形成装置の一例の模式図を示している。図2の装置は、減圧可能で少なくとも一部が誘電体で形成された円筒状の反応容器201と、反応容器201内に原料ガスを供給するガス供給システム202と、高周波電源203と、真空ポンプ204とを有する。
被処理体である複数の円筒状基体205は反応容器201内で、同一同心円上に等間隔に設置されたホルダ206に積載され、ホルダ206は回転軸シャフト207を介して駆動装置214によって自転する構成となっている。ガス供給システム202は、処理に用いる原料ガス、例えばSiH4
、GeH4 、H2 、B2
H6 、PH3 、CH4 、NO、Ar、He、N2 等をマスフローコントローラ等により所定流量でガス供給ポート209を通じて反応容器201内へ供給可能な構成である。高周波電源203は整合回路211、電力分岐板210を介して反応容器201外に複数設置された棒状の高周波電極212に供給する構成である。
そして、電力分岐板210、高周波電極212並びに反応容器201はシールド容器208内に収納された構成である。反応容器201内は真空ポンプ204によって所望の圧力まで真空引きと、ガス供給システム202より所望のガスを所定流量で供給し、コンダクタンスバルブ213によって、真空ポンプ204の排気速度を調整することによって所望の圧力に調整することが可能な構成になっている。
次に、図2の装置を用い、図1に示すa−Si:H系感光体を形成する形成方法について具体的に説明する。
先ず、被処理体である導電性の円筒状基体205を反応容器201内のホルダ206に設置し、真空ポンプ204により反応容器201内を所望の圧力まで排気する。次に、ガス供給システム202よりガス供給ポート209を通じて不活性ガス、例えばArガスを所定流量で反応容器201内に導入する。コンダクタンスバルブ213の開度を調整して反応容器201内を所定圧力に維持し、ヒータ215により円筒状基体205を所定温度に加熱・制御する。
円筒状基体205が所望温度に加熱・制御できると、Arガスの供給を停止し、真空ポンプ204によって、反応容器201内のArガスを十分排気し、ガス供給システム202よりガス供給ポート209を通じて下部阻止層を形成する条件のガス種を所定流量で反応容器201内に供給し、コンダクタンスバルブ213の開度を調整して反応容器201内の圧力を所定圧力に設定する。
反応容器201内の圧力が安定すると、高周波電源203より整合回路211、電力分岐板210を介して複数の高周波電極212に高周波電力を印加して反応容器201内に原料ガスのプラズマを生成し、円筒状基体205上に下部阻止層を形成する。
下部阻止層が所望の膜厚に到達すると、各ガス種や流量、印加電力変化させながら光導電層1 条件へと変化させる。
反応容器201内が光導電層1の形成条件に設定できると光導電層の形成を続けて行い、光導電層1が所望の膜厚に到達すると、光導電層2の形成条件にガス流量の変化を行い光導電層2の形成へ移行する。
例えば、光導電層1及び光導電層2のガス条件がSiH4 ガス300ml/min(ormal)、光導電層1のドーピング量をB2 H6 ガス3ppm、光導電層2のドーピング量を0.1ppmとする場合、ドーピング用のガスボンベにB2 H6 濃度10ppmのH2 希釈ガス(H2 ガス100ml中、B2 H6 ガス0.001ml)を用いると、光導電層1から光導電層2のドーピングガス流量は90ml/min(normal)から3ml/min(normal)へと変化する。このとき、ドーピングガスの変化領域において、H2
ガスを補充ガスとして0から87ml/min(normal)変化させながら導入する。
通常、B2 6 等のドーピングガスは、他のガスにより希釈されたガスボンベが使用されるため、希釈されているガスと同じ種類の補充ガスを用いることにより実質上のガス流量の変化を抑えることができ、層と層の条件変化においても安定したプラズマ状態が得ることが可能となる。
このとき、ドーピングガスの流量と補充ガスの流量の和が光導電層1及び2において一定となるため、実質上の流量変動はなくなることとなる。
又、予め光導電層1形成時において、補充ガスを例えば3ml/min(normal)流しておき、変化領域において90ml/min(normal)に増加させ光導電層2では90ml/min(normal)の流量を流すことにより、補充ガスがバルブの開閉による一瞬の変動を回避でき、更に安定したプラズマ状態が得られることが可能となる。
光導電層2が所望の膜厚に到達したら高周波電力の供給を停止し、光導電層の形成を終了する。
その後、反応容器201内を、表面層形成条件にして、高周波電源203より整合回路211を介して高周波電極212に高周波電力を印加して原料ガスのプラズマを生成し、光導電層上に表面層を形成する。表面層が所望の膜厚に到達したら、高周波電力の供給を停止し、原料ガスの供給も停止してa―Si:H系感光体の形成を終了する。
a−Si:H系感光体形成終了後、ガス供給システム202よりガス供給ポート210を通じてパージガス導入と真空ポンプ204による真空引きによって、反応容器201内を複数回パージし、冷却ガス用の不活性ガス例えばHeガスを反応容器201内に所定圧力で詰めて冷却を行う。円筒状基体205の温度が十分冷えると冷却ガスを真空ポンプ204で排気した後、ガス供給ポート210よりベントガスを導入して反応容器201内を大気圧にして、反応容器201から円筒状基体205を取り出す。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
[実施例1−1]
本実施例では、図2の装置を用い、表1に示す形成条件で、図1に示す層構成のa−Si:H系感光体を作製した。
先ず、投入工程において、脱脂洗浄した直径80mm、長さ358mmのアルミニュウムを主原料とする円筒状基体205をホルダ206に積載し真空ポンプ204によって0.5Pa以下まで真空引きを行った。
加熱工程では、駆動装置214により回転軸シャフト207を介してホルダ206及びホルダ206に積載された円筒状基体205を1rpmで自転させ、ガス供給システム202よりArガスをガス供給ポート209から500ml/min.(nomal)で供給し、コンダクタンスバルブ213の開度調整によって65Paに設定し、Arガスの流量および反応容器201の内圧が安定したところで、ヒータ215によって90分で円筒状基体205を220℃に加熱・制御した。尚、円筒状基体205の温度制御は堆積膜形成終了まで行った。
成膜工程では、Arガスの供給を停止し、反応容器201内を1Pa以下まで真空引きを行った後、ガス供給ポート209より供給して表1の下部阻止層条件で堆積した。下部阻止層を成膜した後、光導電層、表面層の順に堆積膜を形成し、a−Si:H系感光体を作製した。尚、光導電層1と光導電層2との間の変化領域のB2 6ガス、補充ガスの流量変化を図3−1に示す。
パージ工程では、反応容器201内を1Pa以下まで一旦真空引きした後、ガス供給ポート209よりArガスを供給して複数回パージを行った。
冷却工程では、ガス供給ポート209より冷却ガスとしてHeガスを反応容器201内に供給し反応容器201の内圧を1×103 Paとして円筒状基体205を自然冷却した。
ベント工程では、冷却用のHeガスを一旦排気した後、ガス供給ポート209よりN2 ガスを供給し、反応容器201を大気圧に戻し反応容器201より円筒状基体205を取り出した。
尚、a−Si:H系感光体を作製中、排気管218側面に設置したビューポート219に輝度計(EG&G社製 PHOTIMETER MODEL5501 )を設置し、プラズマの光度測定を行った。
本実施例において、使用する投入電力の周波数は13. 56MHzのRF電源を用い、光導電層1及び2において使用するB2 6ガス(注1)には濃度10ppmの水素希釈ガスボンベを用い、補充ガスとして水素ガスを用いた。下部阻止層おいて使用するB2 6ガス(注2)には濃度1000ppmの水素希釈ガスボンベを用いた。
尚、本実施例の光導電層1と光導電層2との間の変化領域のB2 6ガス、補充ガスの流量変化を図3−1 に示す。
(注1)100ml中、B2 6は0.001ml、H2 は99.999ml
(注2)100ml中、B2 6は0.1ml、H2 は99.9ml
Figure 2006106431
[実施例1−2]
本実施例においては、表2の条件にて実施例1−1
と同様の手順により電子写真感光体の作製を行った。
本実施例において、使用する投入電力の周波数は105MHzのVHF電源を用い、光導電層1及び2において使用するB2
H6 ガス及び変化領域のB2 H6 ガス、補充ガスの流量変化は実施例1−1と同様とした。
Figure 2006106431
<比較例1−1>
本比較例では、図2の装置を用いて、表3に示した条件で実施例1−1と同様の図1に示す層構成のa−Si:H系感光体を作製した。本比較例においても、実施例1−1と同様に使用する投入電力の周波数は13. 56MHzのRF電源を用いた。
本比較例では、光導電層1から光導電層2への変化領域及び光導電層2において補充ガスを用いないで形成した点が実施例1−1と異なる。
Figure 2006106431
<比較例1−2>
本比較例では、図2の装置を用いて、表4に示した条件で実施例1−2と同様の図1に示す層構成のa−Si:H系感光体を作製した。本比較例においても、実施例1−2と同様に使用する投入電力の周波数105MHzのVHF電源を用いた。
本比較例では、光導電層1から光導電層2への変化領域及び光導電層2において補充ガスを用いないで形成した点が実施例1−2と異なる。
Figure 2006106431
それぞれの条件にて作製した電子写真感光体について、「突起」、「画像欠陥」、「画像濃度むら」、「
成膜時間(コスト)」 の各評価項目を以下の具体的方法により行い、表5に評価結果を示す。
「突起」
電子写真感光体の表面を顕微鏡で観察し、直径10μm以上の突起数を数える。
従って、数値が小さいほど良好である。
こうして求められた突起を、比較例1−1 で作製した電子写真感光体の突起数を基準として、120%以上の場合を×、90%以上120%未満の場合を△、50%以上90%未満の場合を○、50%未満の場合を◎として評価を行った。
「画像欠陥」
電子写真感光体をキヤノン製の複写機Image Runner 5000に設置し、全面黒チャートを原稿台に置き、コピーした時に得られたコピー画像の同一面積内のある直径0.1mm以上の白点の数を数える。従って、数値が小さいほど良好である。
こうして求められた画像欠陥を、比較例1−1 で作製した電子写真感光体の画像欠陥の数を基準として、120%以上の場合を×、90%以上120%未満の場合を△、50%以上90%未満の場合を○、50%未満の場合を◎として評価を行った。
「画像濃度むら」
電子写真感光体をキヤノン製の複写機Image Runner 5000に設置し、先ず、現像器位置での暗部電位が一定値となるよう主帯電器電流を調整した後、原稿に反射濃度0.01以下の所定の白紙を用い、現像器位置での明部電位が所定の値となるよう像露光光量を調整した。
次いで、ハーフトーンチャートを原稿台に置き、コピーしたときに得られたコピー画像を軸方向に2cm間隔で反射画像濃度計(MacbethRD914)を用い、画像濃度を測定した。
こうして測定した画像濃度の最大値−最小値を求め、比較例1−1 で作製した電子写真感光体を用いて同様に画像形成し求めた値を基準として、120%以上の場合を×、90%以上120%未満の場合を△、50%以上90%未満の場合を○、50%未満の場合を◎として評価を行った。
「成膜時間(コスト)」
電子写真感光体の作製に掛かる時間を比較例1 −1 の条件と比較を行った。
120%以上の場合を×、90%以上120%未満の場合を△、50%以上90%未満の場合を○、50%未満の場合を◎として評価を行った。
Figure 2006106431
表5に示されるように、本実施例1−1 、1−2においては、「突起」、「画像欠陥」、「画像濃度むら」、の各評価項目について比較例1−1、1−2に比べて改善が見られる。
実施例1−2においては更に「成膜時間」の短縮が認められている。
図4及び図5は光導電層1から2における変化領域でのプラズマ輝度を1秒毎に測定した結果を示したグラフである。図4−1が実施例1−1、図4−2が実施例1−2、図5−1 が比較例1−1、図5−2が比較例1−2の測定結果を示す。
実施例は、比較例に比べ輝度の振れが小さいことが分かる。輝度の振れが小さいということはプラズマが安定しているということである。
[実施例2−1]
本実施例においては、表6の条件にて実施例1−2と同様の手順により電子写真感光体の作製を行った。
本実施例では光導電層2の条件において、投入電力を1.5倍に増加させたことが実施例1−2と異なる点である。
Figure 2006106431
[実施例2−2]
本実施例においては、表7の条件にて実施例1−2と同様の手順により電子写真感光体の作製を行った。
本実施例では光導電層2の条件において、投入電力を1.5倍に増加させたこと及び補充ガスの条件を変更している。
尚、本実施例の光導電層1と光導電層2との間の変化領域の投入電力及びB2 H6 ガス、補充ガスの流量変化を図3−2に示す。
Figure 2006106431
<比較例2>
本比較例では、図2の装置を用いて、表8に示した条件で実施例2−1及び2−2と同様の手順により電子写真感光体の作製を行った。
本比較例においても、光導電層2の条件において、投入電力を1.5倍に増加させた。但し、光導電層1から光導電層2への変化領域及び光導電層2において補充ガスを用いないで形成した点が実施例2−1及び2−2と異なる。
Figure 2006106431
本実施例及び比較例にて作成した電子写真感光体は、実施例1の「突起」、「画像欠陥」、「画像濃度むら」評価に加え、「
帯電能」 の評価を以下の方法で行った。
「帯電能」
電子写真感光体の特性は帯電能により評価を行った。帯電能は、電子写真感光体を本テスト用に改造されたキヤノン製の複写機Image Runner 5000に設置し、上記複写機の主帯電器に一定電流を流した時の現像器位置での感光体表面の暗部電位を測定する。従って、暗部電位が高いほど帯電能は良好である。
こうして求められた帯電能を、比較例1−2で作製した電子写真感光体の帯電能を基準として、90%未満の場合を×、90%以上120%未満の場合を△、120%以上150%未満の場合を○、150%以上の場合を◎として評価を行った。
評価結果を併せて表9示す。
Figure 2006106431
表9に示したように、本実施例においては光導電層2の投入電力を増加させたことにより帯電能が向上している。更に、光導電層1 においてあらかじめ補充ガスを導入しておくことによって「突起」、「画像欠陥」の改善が見られた。
比較例2においては、帯電能は向上しているが、「突起」及び「画像欠陥」に悪化が見られた。
図6は本実施例及び比較例での光導電層1から2における変化領域でのプラズマ輝度を1秒毎に測定した結果を示したグラフである。図6−1 が実施例2−1、図6−2が実施例2−2、図6−3が比較例2の測定結果を示す。
実施例2−1は、比較例2に比べ輝度の振れが小さく、プラズマが安定していることが分かる。又、実施例2−2は更に輝度の振れが小さく、プラズマが更に安定していることが分かる。
[実施例3]
本実施例においては、表10に示すように、実施例1−2の光導電層条件に比べ原料ガス流量を2倍、投入パワー2.5倍にした条件にて電子写真感光体を作製した。
Figure 2006106431
[実施例4]
本実施例において、光導電層1及び2において使用するB2 6ガスには濃度10ppmのヘリウム希釈ガスボンベを用い、補充ガスとしてヘリウムガスを用いた以外は実施例3と同様の条件にて電子写真感光体を作製した。作製条件は表11に示す。
Figure 2006106431
実施例3及び4にて作製した電子写真感光体は、同様に「突起」、「画像欠陥」、「画像濃度むら」、「
帯電能」 の評価を行い、結果を表12に示した。
Figure 2006106431
[実施例5]
本実施例では、使用する高周波の周波数に30〜600MHzを用い、それぞれの周波数において実施定3と同様の条件で電子写真感光体を作製した。
本実施例で作製した電子写真感光体について、「突起」、「画像欠陥」、「画像濃度むら」について評価を行い。結果を表13に示した。
Figure 2006106431
表13に示すように、本実施例において周波数50〜450MHzの範囲で作製した電子写真感光体が特に良好な評価結果が得られた。
a−Si:H系感光体の層構成を示す模式断面図である。 a−Si:H系感光体を形成可能な、本発明の一実施形態で用いられるプラズマCVD堆積膜形成装置の模式図である。 本発明の実施例における変化領域のパターンを示すグラフである。 本発明の実施例及び比較例における変化領域のプラズマ輝度の測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例及び比較例における変化領域のプラズマ輝度の測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例及び比較例における変化領域のプラズマ輝度の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
101 円筒状基体
102 光受容層
103 下部阻止層
104 光導電層1
105 光導電層2
106 表面層
201 反応容器
202 ガス供給システム
203 高周波電源
204 真空ポンプ
205 円筒状基体
206 ホルダ
207 回転軸シャフト
208 シールド容器
209 ガス供給ポート
210 電力分岐板
211 整合回路
212 高周波電極
213 コンダクタンスバルブ
214 回転駆動装置
215 ヒータ
216 減速ギヤ
217 同軸ケーブル
218 排気配管

Claims (6)

  1. 減圧可能な反応容器内で高周波電力を用い原料ガスを分解することにより、円筒状基体に少なくともシリコン原子を母体とする非単結晶材料から成る光導電層を形成する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記光導電層の形成はドーピング用原料ガスの流量が異なる複数の層を形成し、前記ドーピング用原料ガスの流量を変化させるときに補充ガスの流量を変化させる工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記補充ガスは、前記ドーピング用原料ガスの希釈に用いられているガスと同種のガスであることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記光導電層形成時においては、希釈ガスを含む前記ドーピング用原料ガス流量と前記補充ガス流量の和が一定となるように補充ガスを導入することを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記補充ガスは全ての前記光導電層形成において導入することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記補充ガスの流量を変化させる工程において投入する高周波電力を変化させることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記高周波電力の周波数が50〜450MHzの範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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