JP2004353051A - 堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【目的】その結果、優れた品質の堆積膜を生産性良く形成することを可能とする堆積膜形成装置及び方法を提供すること。
【構成】反応容器内の接地された複数の基体に堆積膜を形成する堆積膜形成装置において、複数の基体各々の周囲には、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極が存在し、且つ、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極の内の少なくとも1つは前記複数の基体に囲まれるように配置され、且つ、当該基体と当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極の関係において、高周波電源から出力される高周波電力値を増加させた際に、高周波電力値と、当該基体の内の前記高周波電極に面する部分の堆積膜形成速度との比例関係が失われる高周波電力値が当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極間で同等となるように、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極間の表面積比を決定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】]
本発明は、反応容器内に設置された基体に堆積膜形成を施す堆積膜形成装置及び方法に関するもので、取り分けプラズマCVD法により、基体に堆積膜形成を施す際に有効な装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
堆積膜形成方法の1つとして放電エネルギーを利用するプラズマCVD法があり、この方法により形成される非晶質薄膜 (例えば水素又は/及びハロゲンによって補償されたアモルファスシリコン) は電子写真用感光体、半導体デバイス、TFT等の半導体素子への応用が提案され、その中の幾つかは実用に至っている。特に13.56MHzのRF帯の高周波電力を用いたプラズマCVD法は基板材料、堆積膜材料等が導電体、絶縁体に拘らず処理でき、又、その取り扱いが比較的容易であるため広く用いられている。
【0003】
又、近年においては、VHF帯の高周波電力を用いたプラズマCVD法が注目を浴びており、これを用いた各種堆積膜形成方法の開発も積極的に進められている。これは、VHF−PCVD法では膜堆積速度が速く、又、高品質な堆積膜が得られるため、製品の低コスト化、高品質化を同時に達成し得るものと期待されるためである(例えば、特許文献1参照)。又、複数の電子写真用感光体を同時に形成でき、生産性の極めて高い堆積膜形成装置の開発も進められている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図2及び図3に従来のVHF−PCVD法による電子写真用感光体の製造装置の代表例を示す模式的な構成図を示す。図2(a)及び図3(a)は製造装置を横から見た概略断面図であり、図2(b)及び図3(b)は図2(a)及び図3(b)のX−X’線断面図である。
【0005】
図2に示した装置は、反応容器101の中央に1本の高周波電極102が配置され、高周波電極102を中心軸とした円周上に複数の原料ガス導入手段103、回転機構104によって回転可能な複数の基体下部支持手段105が設置され、前記基体下部支持手段105及び基体キャップ106によって基体107が基体加熱ヒーター108を内包するように固定されている。
【0006】
図3に示した装置は、少なくとも一部を誘電体部材で形成された減圧可能な反応容器101内に、反応容器101と中心を同じくする円周上に複数の原料ガス導入手段103、回転機構104によって回転可能な複数の基体下部支持手段105が設置され、前記基体下部支持手段105及び基体キャップ106によって基体107が基体加熱ヒーター108を内包するように固定されている。又、反応容器101外部には、反応容器101と中心を同じくする円周上に高周波電極109が設置されている。
【0007】
上記の製造装置を使用することにより、VHF−PCVD法によって、複数の電子写真用感光体を同時に形成でき、高い生産性を実現することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開平06−287760(第17頁、第1図)
【特許文献2】
特開平09−310181(第14頁、第11図)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した製造装置は、形成される堆積膜の品質を向上する上で、或はより生産性の高い堆積膜形成を実現する上で更なる工夫の余地が存在する。その原因の1つとして、基体に形成される堆積膜の品質が周方向で不均一となることが挙げられる。
【0009】
図2及び図3に示した製造装置においては、生産性を上げることを目的として複数の基体に同時に堆積膜形成を実施するために、反応容器と中心を同じくする円周上に複数の基体を等間隔に並べる構成となっている。それ故に、基体の中心軸から見た場合、反応容器内の装置構成は非対称となっている。その中でも特に、反応容器内に高周波電力を供給する高周波電極の配置が非対称となっていることは、反応容器内の電力分布の不均一を招き、その結果基体に形成される堆積膜の品質が周方向で不均一となることの一因となる場合がある。
【0010】
これまでの検討の結果、図2及び図3に示した製造装置を用いて堆積膜形成を行った場合、条件によっては高周波電極と基体に囲まれた空間には、それ以外の空間と比較して電力が導入され易い場合があり、その結果、高周波電極に面する基体部分に形成される堆積膜の品質がそれ以外の基体部分に形成される堆積膜の品質よりも高くなる場合があることが分かってきている。
【0011】
このような課題に対して、図2及び図3に示した製造装置においては、堆積膜形成時に基体を回転させることによって上記の問題に対応し、形成された堆積膜全体としては周方向に均一な品質を持たせることができる。
【0012】
しかしながら、そのようにして形成された堆積膜は不均一な品質の堆積膜を重ね合わせた構成となるため、品質の低い部分の堆積膜が悪影響を及ぼし、堆積膜全体の品質をより高くすることが容易ではない場合がある。
【0013】
この問題に対しては、導入する高周波電力値をより高くすることによって、電極に面しない基体部分に形成される堆積膜の品質を高くすることは可能であるが、そうした場合、電力が導入され易い空間には過剰な電力が導入されてしまう場合があり、逆に形成する堆積膜にダメージを与え、品質の低下や更には膜剥がれの原因となる場合がある。
【0014】
これらの問題に対して、特に高品質が求められるデバイスにおいては、図1に示すような製造装置が提案されている。図1(a)は製造装置を横から見た概略断面図であり、図1(b)は図1(a)の切断線X−X’に沿う真上から見た概略断面図である。
【0015】
図1に示した装置は、少なくとも一部を誘電体部材で形成された反応容器101中央に1本の内部高周波電極102が配置され、前記内部高周波電極102を中心軸とした円周上に、複数の原料ガス導入手段103、回転機構104によって回転可能な複数の基体下部支持手段105が設置され、前記基体下部支持手段105及び基体キャップ106によって基体107が基体加熱ヒーター108を内包するように固定されている。又、反応容器101外部には、反応容器101と中心を同じくする円周上に外部高周波電極109が設置されている。
【0016】
これらの装置を使用することによって、反応容器内における電力分布が不均一であることは改善され、形成される堆積膜の品質が周方向で不均一であることも改善される。
【0017】
しかしながら、未だ堆積膜の品質の周方向均一性の点で改善の余地が残されているのが現状である。
【0018】
従って、本発明の目的は、上述したような従来の問題点を克服し、反応容器内における電力分布の均一性を高め、形成される堆積膜の品質をより均一にし、その結果、優れた品質の堆積膜を生産性良く形成することを可能とする堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行なった結果、反応容器内の電力分布を均一にする目的で複数の高周波電極を設置する場合においては、各々の高周波電極間の表面積比を適切な値に設定することにより、反応容器内の電力分布均一性をより高めることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0020】
即ち、本発明の堆積膜形成装置は、複数の基体各々の周囲には、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極が存在し、且つ、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極の内の少なくとも1つは前記複数の基体に囲まれるように配置され、且つ、或る基体と当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極の関係において、高周波電源から出力される高周波電力値を増加させた際に、高周波電力値と当該基体の内の前記高周波電極に面する部分の堆積膜形成速度との比例関係が失われる高周波電力値が当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極間で同等となるように、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極間の表面積比が決定されていることを特徴とし、又、本発明の堆積膜形成方法は、前述した堆積膜形成装置を用いて、高周波電源から出力される高周波電力値を増加させた際に、高周波電力値と当該基体の高周波電極に面する部分の堆積膜形成速度との比例関係が失われる高周波電力値よりも高い値で堆積膜を形成することを特徴としている。
【0021】
ここで、本発明のポイントである複数の高周波電極間の表面積比を決定する際の指標として用いられている、“高周波電源から出力される高周波電力値を増加させた際に、高周波電力値と堆積膜形成速度との比例関係が失われる高周波電力値”について詳述する。
【0022】
プラズマCVD法で堆積膜形成を行う場合、高周波電力値と堆積膜形成速度の関係は図4に示すようになる(高周波電力値以外のパラメーターは一定としている)。図4における領域Aの部分は“パワーリミット”と呼ばれ、高周波電力値の増加分に比例して堆積膜形成速度も増加する領域である。
【0023】
次に、領域Bの部分は“フローリミット”と呼ばれ、高周波電力値と堆積膜形成速度の比例関係が失われている領域であり、高周波電力値を変化させても堆積膜形成速度は殆ど変化しないが、原料ガスの流量に比例して堆積膜形成速度が変化する領域である。
【0024】
そして、本発明で述べれらている、“高周波電源から出力される高周波電力値を増加させた際に、高周波電力値と堆積膜形成速度との比例関係が失われる高周波電力値”とは、領域A(パワーリミット領域)と領域B(フローリミット領域)の境目となる高周波電力値のことを示す。但し、実験結果から厳密に領域Aと領域Bの境目となる高周波電力値を決定することは難しい。よって、本発明においては、次のようにして領域Aと領域Bの境目となる高周波電力値を決定する。
【0025】
図5に示すように、領域Aにおいて近似直線aを引き、それから外れる高周波電力値αを決定する。次に、領域Bにおいて近似直線bを引き、それから外れる高周波電力値βを決定する。そしてγ=(α+β)/2として得られる値を領域Aと領域Bの境目となる高周波電力値γとして決定している。
【0026】
又、本発明においては、前述した高周波電力値γが同じ基体を最近接基体とする高周波電極間で同等となるように、複数の高周波電極間の表面積比を決定するが、γの0.9倍〜1.1倍の範囲内で一致していれば本発明の効果を十分に得ることができる。
【0027】
このようにして、“高周波電源から出力される高周波電力値を増加させた際に、高周波電力値と堆積膜形成速度との比例関係が失われる高周波電力値が同じ基体最近接基体とする高周波電極間で同等となるように、複数の高周波電極間の表面積比を決定する”ことにより、反応容器内の電力分布の均一性を高めることが可能となり、更には形成される堆積膜の均一性を高めることが可能となる。その結果、例えば図1に示した装置を用いる際に、より品質の高い堆積膜を形成するため、導入する高周波電力値をより高くした場合においても、反応容器内の局所的な部分で過剰な電力が導入されるといった不具合が生じないため、堆積膜にダメージを与えたり、膜剥がれのような弊害も発生することがなく、堆積膜全体の品質を容易に高めることが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、図1に示した装置を使用して実施される、本発明による堆積膜形成方法の一例を以下に詳述する。
【0029】
少なくとも一部が誘電体部材で構成された反応容器101内に基体107を設置した後、排気装置(例えば真空ポンプ)を用いて反応容器101内を真空引きする。反応容器101内を十分排気した後、ガス供給装置(図示せず)内のHe、N2
、Ar及びH2 等のガスボンベから供給される内の必要とされる加熱用ガスが圧力調整器及びマスフローコントローラー等を介することにより適切な流量に調節され、ガス配管110、原料ガス導入手段103を介して反応容器101内に送り込まれる。
【0030】
加熱用ガス導入後の反応容器101内圧力は圧力測定手段111によってモニターされ、スロットルバルブ112の開度を調節すること等によって所定の値に制御される。所定の基体加熱環境が整ったところで、基体107は基体加熱ヒーター108によって間接的に所定の温度にまで加熱される。
【0031】
所定の加熱終了後、ガス供給装置(図示せず)内のSiH4
、H2 、CH4 、B2 H6 、PH3 等のガスボンベから供給される内の必要とされる堆積膜形成用ガスが圧力調整器及びマスフローコントローラー等を介することにより適切な流量に調節され、ガス配管110、原料ガス導入手段103を介して反応容器101内に送り込まれる。
【0032】
堆積膜形成用ガス導入後の反応容器101内圧力は圧力測定手段111によってモニターされ、スロットルバルブ112の開度を調節すること等によって所定の値に制御される。所定の堆積膜形成環境が整ったところで、高周波電源113より出力された高周波電力が、整合回路114を介した後に、所定電位に維持された壁面から成る電力分割容器115内に導入される。その後、高周波電力は電力分割容器115内の電力分割部116において複数の導体線路117へと分割され、少なくとも一部が誘電体部材で構成された反応容器101とアースシールド118の間に設置された複数の外部高周波電極109及び反応容器101中央に設置された内部高周波電極102を介して、反応容器101内に導入されプラズマを生起する。該プラズマにより堆積膜形成用ガスが分解され、基体107上に堆積膜を形成する。
【0033】
ここで、各高周波電極102,109の表面積の比率は、次のように決められている。
【0034】
即ち、図1に示した装置においては、各基体107の周囲には、当該基体107を最近接基体とする高周波電極102,109は2本ずつある。基体A(107A)を考えた場合、内部高周波電極102と外部高周波電極A(109A)が、基体A(107A)を最近接基体とする高周波電極となる。そして、基体A(107A)を静止した条件で、基体A(107A)の内の内部高周波電極102に面する部分(斜線部A)と外部高周波電極A(109A)に面する部分(斜線部B)の堆積膜形成速度を比較し、基体A(107A)の斜線部Aと斜線部Bにおけるパワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値がほぼ同等となるように、内部高周波電極102と外部高周波電極A(109A)の表面積比は決定されている。
【0035】
又、本発明においては、反応容器の内の少なくとも高周波電極と平行に面する部分を誘電体部材で構成することによって、本件の効果を十分に得ることができより好ましい。その原因は定かではないが、概ね以下のような理由によるもと考えている。
【0036】
即ち、反応容器の高周波電極と平行に面する部分が導電性材料で構成されている場合、導電性材料で構成された部分は基本的に接地されるため、高周波電極は基体以外にも接地された部材と面することとなる。そのような場合においては、高周波電極と導電性材料で構成された部分に囲まれる空間もプラズマの広がり方に大きな影響を及ぼす場合があるため、パラメーターが増え、本件の条件を満たす構成にすることが容易ではない場合があるのではないかと考えている。
【0037】
又、反応容器の内の少なくとも高周波電極と平行に面する部分を誘電体部材で構成する場合においては、装置の取り扱い等を考慮すると、反応容器に面する高周波電極は反応容器外部に設置することが好ましい。
【0038】
又、本発明の堆積膜形成装置及び方法は、図1に示すように、円筒状の反応容器内に円筒状の基体を反応容器と中心を同じくする円周上に等間隔に設置した堆積膜形成装置を使用する場合においてその効果を顕著に得ることができる。
【0039】
又、本発明においては、使用する高周波電力の周波数が20MHz以上250MHz以下の範囲において特に効果的である。この理由は定かではないが、上記の周波数範囲では堆積膜形成速度が速く且つ高品質の堆積膜を形成することができるが、堆積膜の品質とプラズマ状態の依存性が高いために、高品質でより均一性を高めるためには本件が有効なのではないかと考えている。
【0040】
[実施例]
以下、本発明の堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法について、実施例及び比較例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0041】
[実施例1]
図1に示した堆積膜形成装置において、高周波電源113として発振周波数105MHzのものを使用し、表1に示す条件で、直径80[mm]、長さ358[mm]の円筒状アルミニウムシリンダ107上に、電荷注入阻止層、光導電層及び表面層を堆積し電子写真用感光体を作製した。
【0042】
尚、本実施例においては、各シリンダにおいて、当該シリンダ107を最近接シリンダとする高周波電極102,109間の表面積比を、当該シリンダ107の、前記高周波電極102,109に面する部分におけるパワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値が、前記高周波電極102,109間でほぼ同等となるように決定している。
【0043】
例えば、シリンダA(107A)の場合においては、内部高周波電極102と外部高周波電極A(109A)が、シリンダA(107A)を最近接シリンダとする高周波電極となる。そして、シリンダA(107A)の内の内部高周波電極102に面する部分(斜線部A)と外部高周波電極A(109A)に面する部分(斜線部B)においてパワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値がほぼ同等となるように、内部高周波電極102と外部高周波電極A(109A)の直径を4:1とすることで表面積比は調整されている。尚、表面積が大きくなるに従って、パワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値は小さくなる傾向にある。そして、斜線部Aと斜線部Bの基体部分において、パワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値の比は、1:1.05となっており、更には、光導電層で使用する高周波電力値は、パワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値よりも高い値に設定されている。
【0044】
【表1】
Figure 2004353051
<比較例1>
本例では、実施例1と同様に図1に示した堆積膜形成装置を使用する。但し、内部高周波電極(102)と外部高周波電極A(109A)の表面積を調整することによって、図1における斜線部Aと斜線部Bの基体部分において、パワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値の斜線部Aと斜線部Bの比を、(イ)1:0.6、(ロ)1:0.8、(ハ)1:1.2とした。そして、(イ)〜(ハ)の装置を使用し、実施例1と同様にして、表1に示す条件で、直径80[mm]、長さ358[mm]の円筒状アルミニウムシリンダ107上に電子写真用感光体を作製した。
【0045】
[実施例1及び比較例1の評価]
実施例1及び比較例1(イ)〜(ハ)において作製した、各6本の電子写真用感光体の電子写真特性を以下に記載した方法で評価し、実施例1で作製した電子写真用感光体と比較例1(イ)〜(ハ)で作製した電子写真用感光体との比較を行った。
【0046】
『電子写真特性評価方法』
作成した各々の電子写真用感光体を本テスト用に改造されたキヤノン製の複写機iR−5000に設置し、評価項目は、『帯電能』、『感度』とし、以下の具体的評価法により各項目の評価を行った。
『帯電能』
複写機の主帯電器に一定の電流を流したときの現像器位置での暗部電位を測定する(但し、周方向一周の平均値とする)。各実施例及び比較例で作製したそれぞれ6本の電子写真用感光体の軸方向中位置において、前記の測定を実施し、6本間の平均値を求め、その値を『帯電能』とする。従って、数値が大きいほど良好である。
【0047】
実施例1及び比較例1(イ)〜(ハ)毎に『帯電能』を測定し、それぞれについて比較例1(ロ)と比較し、比較例1(ロ)の値を100%として以下のランクに区分した。
【0048】
A:比較例1(ロ)と比較して110%以上
B:比較例1(ロ)と比較して100%以上110%未満
C:比較例1(ロ)と比較して80%以上100%未満
D:比較例1(ロ)と比較して80%未満
『感度』
現像器位置における暗部電位が所定の値となるように、主帯電器の電流値を調整した後、像露光を照射する。次いで、像露光光源の光量を調整して、現像器位置における表面電位(明電位)が所定の値となるようにし、そのときの露光量を測定する。各実施例及び比較例で作製したそれぞれ6本の電子写真用感光体の軸方向中位置における前記露光量を測定し、6本間の平均値を求め、その値を『感度』とする。従って、数値が小さいほど良好である。
【0049】
実施例1及び比較例1(イ)〜(ハ)毎に『感度』を測定し、それぞれについて比較例1(ロ)と比較し、比較例1(ロ)の値を100%として以下のランクに区分した。
【0050】
A:比較例1(ロ)と比較して90%未満
B:比較例1(ロ)と比較して90%以上100%未満
C:比較例1(ロ)と比較して100%以上110%未満
D:比較例1(ロ)と比較して110%以上
その結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
Figure 2004353051
表2より明らかなように、本発明の堆積膜形成装置及び方法を実施することにより、優れた品質の電子写真用感光体を作製することができることが分かる。
【0052】
<比較例2>
本例では、比較例1(イ)〜(ハ)で使用した堆積膜形成装置を使用し、表1に示す条件のうち光導電層の高周波電力値のみを(A)2100W、(B)2400Wとした以外は比較例1と同様にして、直径80[mm]、長さ358[mm]の円筒状アルミニウムシリンダ107上に、電子写真用感光体を作製した。その結果(イ)に関しては(A)、(B)両方の条件で膜剥れが観測され、(ロ)及び(ハ)に関しては(B)の条件で膜剥がれが観測された。
【0053】
[比較例2の評価]
比較例2において作製した、電子写真用感光体のうち膜剥れが発生しなかった比較例2の(ロ)−(A)及び(ハ)−(A)で作製した電子写真用感光体の電子写真特性を前記した方法で評価し、比較例1(ロ)で作製した電子写真用感光体との比較を行った。その結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
Figure 2004353051
比較例2の結果から分かるように、従来装置においては、高周波電力値を増加させることによって、電子写真特性を向上させることが可能ではあるが、本発明の効果と同等のレベルまで電子写真特性を向上させる前に膜剥れが発生することもあることが分かる。
【0055】
[実施例2]
本例では、実施例1で使用した堆積膜形成装置に代えて、図6に示した堆積膜形成装置を使用した。図6に示す装置は、図1に示す装置と比較して、外部高周波電極109Aの位置が異なり、基体107A間に配置されている。そして、表4に示した条件で、直径80[mm]、長さ358[mm]の円筒状アルミニウムシリンダ107上に、電子写真用感光体を作製した。尚、本例では、図6におけるシリンダA(107A)の内の内部高周波電極102に面する部分(斜線部A)と外部高周波電極A(109A)に面する部分(斜線部C)においてパワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値がほぼ同等となるように、内部高周波電極102と外部高周波電極A(109A)の直径を3:1とすることで表面積比は調整されている。そして、斜線部Aと斜線部Bの基体部分において、パワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値の比は、1:1となっており、更には、光導電層で使用する高周波電力値は、パワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値よりも高い値に設定されている。
【0056】
【表4】
Figure 2004353051
作成した電子写真用感光体を、実施例1と同様にキヤノン製の複写機iR−5000に設置し、『電子写真特性』の評価を行なったところ、実施例1と同様に良好な結果を得ることができた。
【0057】
[実施例3]
本例では、実施例2で使用した堆積膜形成装置に代えて、図7に示した堆積膜形成装置を使用した。図7に示す装置は、図1に示す装置と比較して、外部高周波電極109Aの位置が異なり、外部高周波電極109Aも反応容器内部に設置されている。そして、表1に示した条件で、直径80[mm]、長さ358[mm]の円筒状アルミニウムシリンダ107上に電子写真用感光体を作製した。
【0058】
尚、本例では、図7におけるシリンダA(107A)の内の内部高周波電極102に面する部分(斜線部A)と外部高周波電極A(109A)に面する部分(斜線部B)においてパワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値がほぼ同等となるように、内部高周波電極102と外部高周波電極A(109A)の直径を3. 5:1とすることで表面積比は調整されている。そして、斜線部Aと斜線部Bの基体部分において、パワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値の比は、1:0.95となっており、更には、光導電層で使用する高周波電力値は、パワーリミットとフローリミットの境目となる高周波電力値よりも高い値に設定されている。
【0059】
作製した電子写真用感光体を、実施例1と同様にキヤノン製の複写機iR−5000に設置し、『電子写真特性』の評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な結果を得ることができた。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、複数の高周波電極間の表面積比を最適化することによって、反応容器内における電力分布の均一性を高め、形成される堆積膜の品質をより均一にし、その結果、優れた品質の堆積膜を生産性良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における堆積膜形成装置の一例で、プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【図2】従来の堆積膜形成装置の一例で、プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【図3】従来の堆積膜形成装置の一例で、プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【図4】高周波電力値と堆積膜形成速度の関係の一例を示したグラフである。
【図5】高周波電力値と堆積膜形成速度の関係の一例を示したグラフである。
【図6】本発明における堆積膜形成装置の一例で、プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【図7】本発明における堆積膜形成装置の一例で、プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【符号の説明】
101 反応容器
102 内部高周波電極
103 原料ガス導入手段
104 回転機構
105 基体下部支持手段
106 基体キャップ
107 基体
108 基体加熱ヒーター
109 外部高周波電極
110 ガス配管
111 圧力測定手段
112 スロットルバルブ
113 高周波電源
114 整合回路
115 電力分割容器
116 電力分割部
117 導体線路
118 アースシールド

Claims (10)

  1. 高周波電源、前記高周波電源から出力された高周波電力を複数の導体線路へと分割する電力分割部、前記複数の導体線路各々と接続される複数の高周波電極を備え、反応容器内の接地された複数の基体に堆積膜を形成する堆積膜形成装置において、
    前記複数の基体各々の周囲には、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極が存在し、且つ、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極の内の少なくとも1つは前記複数の基体に囲まれるように配置され、且つ、当該基体と当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極の関係において、前記高周波電源から出力される高周波電力値を増加させた際に、前記高周波電力値と、当該基体の内の前記高周波電極に面する部分の堆積膜形成速度との比例関係が失われる高周波電力値が当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極間で同等となるように、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極間の表面積比を決定することを特徴とする堆積膜形成装置。
  2. 前記反応容器の内の少なくとも前記高周波電極と平行に面する部分は誘電体部材で構成されることを特徴とする請求項1記載の堆積膜形成装置。
  3. 前記反応容器に面する前記高周波電極は、前記反応容器外に設置することを特徴とする請求項2記載の堆積膜形成装置。
  4. 前記反応容器が円筒状であること、前記反応容器内に設置される前記高周波電極が、前記反応容器の中心に、或は前記反応容器と中心を同じくする円周上に等間隔に設置されること、前記反応容器外に設置される前記高周波電極が、前記反応容器と中心を同じくする円周上に等間隔に設置されること、前記基体が円筒状であり、且つ、前記反応容器内に設置される前記高周波電極と前記反応容器外に設置される前記高周波電極の間に位置する円周上に等間隔に設置されることを特徴とする請求項3記載の堆積膜形成装置。
  5. 高周波電源より出力された高周波電力を、電力分割部で複数の導体線路へと分割した後に、複数の高周波電極へと供給し、前記高周波電力を前記反応容器内へと導入することによって、前記反応容器内の接地された複数の基体に堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、
    前記複数の基体各々の周囲には、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極が存在し、且つ、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極の内の少なくとも1つは前記複数の基体に囲まれるように配置され、且つ、当該基体と当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極の関係において、前記高周波電源から出力される高周波電力値を増加させた際に、前記高周波電力値と、当該基体の内の前記高周波電極に面する部分の堆積膜形成速度との比例関係が失われる高周波電力値が、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極間で同等となるように、当該基体を最近接基体とする複数の高周波電極間の表面積比を決定し、且つ、前記高周波電力値よりも高い値で堆積膜を形成することを特徴とする堆積膜形成方法。
  6. 前記高周波電極と平行に面する部分が誘電体部材で構成された反応容器を使用することを特徴とする請求項5記載の堆積膜形成方法。
  7. 前記反応容器に面する前記高周波電極を前記反応容器外に設置することを特徴とする請求項6記載の堆積膜形成方法。
  8. 周波数が20MHz以上250MHz以下の高周波電力を使用することを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の堆積膜形成方法。
  9. シリコンを主体とした非晶質膜を形成することを特徴とする請求項5〜8の何れかに記載の堆積膜形成方法。
  10. 前記堆積膜を用いて、電子写真用感光体を作製することを特徴とする請求項5〜9の何れかに記載の堆積膜形成方法。
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