JP2001316823A - 真空処理方法及び真空処理装置 - Google Patents

真空処理方法及び真空処理装置

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JP2001316823A
JP2001316823A JP2000133532A JP2000133532A JP2001316823A JP 2001316823 A JP2001316823 A JP 2001316823A JP 2000133532 A JP2000133532 A JP 2000133532A JP 2000133532 A JP2000133532 A JP 2000133532A JP 2001316823 A JP2001316823 A JP 2001316823A
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gas
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vacuum processing
flow rate
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JP2000133532A
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English (en)
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Daisuke Tazawa
大介 田澤
Hitoshi Murayama
仁 村山
Takashi Otsuka
崇志 大塚
Kazuto Hosoi
一人 細井
Toshiyasu Shirasago
寿康 白砂
Kazuyoshi Akiyama
和敬 秋山
Tatsuyuki Aoike
達行 青池
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマ放電中において基体温度を高い精度
で簡易に制御し、堆積膜の膜剥がれを防止し、品質や生
産性を向上でき、特に電子写真感光体の堆積膜形成に有
用な真空処理方法及び真空処理装置を提供する。 【解決手段】 反応容器内に基体119を収納する手段
と、反応容器内にプラズマ生成用の電力供給手段と、排
気手段と、冷却用ガスにより基体を冷却する手段を備え
た真空処理装置を用いる際に、基体冷却用ガス導入口3
10から導入し、基体冷却用ガス排出口311から排出
する冷却用ガスの流量を、プラズマ生成用の電力の変化
に応じて変化させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマを利用し
た真空処理方法及び真空処理装置に関し、特に、プラズ
マCVD法による堆積膜形成に適した真空処理方法及び
真空処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、堆積膜形成法の一つとして、
放電エネルギーを利用するプラズマCVD法がよく知ら
れている。この方法により形成される非晶質薄膜(例え
ば水素または/及びハロゲンによって補償されたアモル
ファスシリコン)は、電子写真用感光体、半導体デバイ
ス、TFT等の半導体素子への応用が提案され、その中
のいくつかは実用に至っている。
【0003】例えば、電子写真感光体に使用する堆積膜
を形成する方法として、反応容器内に基体を設置し、こ
れを加熱し、原料ガスを供給してから、反応容器内の圧
力を所定の値に制御し、高周波電力を導入してグロー放
電により原料ガスを分解し、基体上に堆積膜を形成する
プラズマCVD法がある。
【0004】しかしながら、このように真空処理装置を
用いて電子写真用感光体等の堆積膜を形成する場合は、
ある程度の品質の堆積膜を得ることは可能だが、さらな
る膜質の向上に向けて改善の余地を残している。また、
堆積膜形成速度の面でも改善の余地を残し、生産性の面
でも十分とは言えない。これは、プラズマ放電中に、基
体がプラズマによって加熱され、基体温度を所定の値に
制御することが容易ではない場合が有るからである。
【0005】従来の装置では、基体加熱用ヒーターの温
度を下げることにより、基体温度の制御を行う。しか
し、プラズマによって基体に加えられる熱の放熱効率が
悪いので、基体加熱用ヒーターの温度を変化させてから
基体の温度が変化し所定の値で安定するまでに、ある程
度の時間が必要とされる。そのため、形成される堆積膜
の品質の面で好ましくない場合がある。このような点を
改善するものとして、例えば、以下のような技術が知ら
れている。
【0006】特開昭63―241177号公報には、マ
イクロ波を用いて堆積膜を形成するプラズマCVD装置
において、基体の表面を加熱する手段と基体の裏面を冷
却する手段を設置し、基体を任意の温度に、かつ、周方
向の温度分布を均一に保つ技術が開示されている。ま
た、特開平1―298173号公報には、マイクロ波を
用いて堆積膜を形成するプラズマCVD装置において、
冷却用ガスを用いて基体を所定の温度に制御する技術が
開示されている。
【0007】しかしながら、例えば電子写真装置におい
ては、近年、高画質化、高速化、高耐久化が急速に進ん
でおり、それに伴い電子写真用感光体においても画像特
性の大幅な向上が求められる様になって来ている。その
ため、さらなる堆積膜の品質の向上が必要である。さら
に電子写真用感光体の多機能化に伴い、電子写真用感光
体の積層構造化が進み、各層の機能をさらに向上させる
ことが必要となって来ている。そのためには、より高い
精度での堆積膜形成条件の制御が要求され、その一つと
して堆積膜形成中の電力を変化させた場合の基体温度制
御が非常に重要となってきているが、上記の手段では十
分な基体温度制御を実現できていないのが現状である。
また、上記の手段では、堆積膜形成条件を変化させた際
に、基体温度の急激な変化が生じてしまう場合があり、
膜剥がれ等の原因となり、生産性の面で改善の余地を残
している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プラ
ズマ放電中において基体温度を高い精度で簡易に制御す
ることが可能であり、特にプラズマCVD法による成膜
等に用いた場合、膜剥がれ等が発生することなく、極め
て優れた品質の堆積膜を、生産性良く成膜することを可
能にする真空処理方法及び真空処理装置を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねたところ、冷却用ガスによ
り基体を冷却する手段を備えた真空処理装置において、
プラズマ生成の為の供給電力の変化に応じて冷却用ガス
の流量を変化させれば、様々な堆積膜形成条件において
プラズマ放電中における基体の温度を精度よく制御する
ことができ、この結果、膜剥がれ等が発生することなく
優れた品質の堆積膜を生産性よく製造可能になるという
知見に至り、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の真空処理方法は、反応
容器と、該反応容器内に基体を収納する手段と、該反応
容器内にプラズマを生成させるための電力を供給する手
段と、該反応容器内を排気する手段と、冷却用ガスによ
り該基体を冷却する手段を備えた真空処理装置を用いて
真空処理する方法において、該電力の変化に応じて該冷
却用ガスの流量を変化させることを特徴とする。
【0011】また、本発明の真空処理装置は、反応容器
と、該反応容器内に基体を収納する手段と、該反応容器
内にプラズマを生成させるための電力を供給する手段
と、該反応容器内を排気する手段と、冷却用ガスにより
該基体を冷却する手段を備えた真空処理装置において、
該電力の変化に応じて該冷却用ガスの流量を変化させる
手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0013】図1及び図2は、プラズマCVD法による
電子写真感光体の製造装置(本発明の真空処理装置)の
実施形態を示す図であり、各図における(A)は、内部
に設置された基体の上に堆積膜を形成する為の反応容器
を横から見た模式的断面図であり、(B)は真上から見
た模式的断面図である。これら製造装置は、大別する
と、原料ガス供給装置、基体が設置される反応容器、及
び、反応容器内を減圧するための排気装置から構成され
ている。図1及び図2は、基体119が設置される反応
容器110の部分を示すものである。
【0014】図1に示す装置においては、反応容器11
0内の中心部に、円筒状基体119が配置されている。
この基体119は、回転可能な基体支持体111に設置
されたものであり、その内部に基体加熱用ヒーター11
2が位置するように配置され、またこの基体119自体
が放電電極も兼ねる。この基体119を中心軸とした円
周上に、複数の放電電極118及び複数の原料ガス導入
管113が配置され、これら基体119、放電電極11
8及び原料ガス導入管113を内包するように、防着部
材117が配置されている。
【0015】図2に示す装置においては、反応容器11
0内の中心部に、一本の放電電極218Aが配置されて
いる。この放電電極218Aを中心軸とした円周上に複
数の原料ガス導入管213Aが配置され、さらに原料ガ
ス導入管213Aの外側の円周上に、複数の基体119
が配置されている。この基体119は、回転可能な基体
支持体111に設置されたものであり、その内部に基体
加熱用ヒーター112が位置するように配置されてい
る。さらに基体119の外側の円周上に、複数の放電電
極218B及び複数の原料ガス導入管213Bが配置さ
れ、これら放電電極218A、原料ガス導入管213
A、基体119、放電電極218B及び原料ガス導入管
213Bを内包するように防着部材117が配置されて
いる。
【0016】図3は、プラズマCVD法による電子写真
感光体の製造装置(本発明の真空処理装置)において、
円筒状基体119を基体支持体111に設置した状態を
例示する模式的断面図である。円筒状基体119を基体
支持体111に設置することにより、円筒状基体119
の内部に基体加熱用ヒーター112が位置することにな
るが、さらにその上側には基体冷却用ガス導入口310
が設けられ、その下側には基体冷却用ガス排出口311
となる隙間(空間)が開けられている。図3中の矢印
は、基体冷却用ガスの流れを表している。すなわち、基
体冷却用ガスは、基体冷却用ガス導入口310から基体
119の内側に導入され、基体119の内側の面と基体
加熱用ヒーター112の外側の面とに挟まれた空間を所
望の流量で流れ、そして基体冷却用ガス排出口311か
ら排出される。これにより、基体119の温度を所定の
値にコントロールできる。図1及び図2に示したような
真空処理装置において、図3に示したような基体冷却用
ガス導入口310及び基体冷却用ガス排出口311を備
えた基体支持体111を配置すれば、本発明の真空処理
装置を構成できる。
【0017】本発明においては、図3に示した例は好ま
しいものであるが、これに限定されるものではない。例
えば、基体加熱用ヒーター112の代わりに、基体11
9の外側から加熱する輻射加熱方式のヒーターを設けて
もよい。また、基体冷却用ガス排出口311の代わり
に、基体支持体と基体の間に設けられた隙間を通して冷
却用ガスを排出するというような構成の冷却ガスの流路
を採用してもよい。また、基体冷却用ガスは必ずしも直
接基体に接触する必要はなく、例えば基体支持体等を介
して間接的に基体を冷却する構成であってもよい。
【0018】次に、このような真空処理装置による堆積
膜形成法(本発明の真空処理方法)の実施形態について
説明する。
【0019】まず、反応容器110内の回転可能な基体
支持体111に、円筒状の基体119を設置する。この
基体119を、基体加熱用ヒーター112等の基体加熱
手段によって所定の温度にまで加熱する。ここで、基体
119の温度を所定の値に制御するために、基体冷却用
ガスを用いてもよい。次に、原料ガス供給装置内のガス
ボンベにおいて、SiH4、H2、CH4、B26、PH3
等の必要な原料ガスを、バルブ、圧力調整器及びマスフ
ローコントローラーを介することにより適切な流量に調
節する。この後、原料ガス配管115、原料ガス導入管
113(又は213A,B)を介して、原料ガスを反応
容器110内に送り込む。原料ガス導入後の反応容器1
10内圧力は、真空計116によってモニターし、スロ
ットルバルブ120の開度を調節することによって、所
定の値に制御する。所定の堆積膜形成環境が整ったとこ
ろで、高周波電源(不図示)よりマッチングボックス1
14及び放電電極118(又は218A、B)を通じ
て、高周波電力を反応容器110内に導入し、グロー放
電を生起する。このグロー放電のエネルギーによって原
料ガスが分解され、基体119上に堆積膜が形成され
る。この各膜の成膜の際に、高周波電力の変化に応じて
基体冷却用ガスの流量を変化させればよい。
【0020】本発明においては、高周波電力の変化に応
じて基体冷却用ガスの流量を変化させることにより、精
度よく基体の温度を所定の値に制御することが可能とな
るが、ここで、高周波電力の変化に応じて基体冷却用ガ
スの流量を変化させるとは、例えば、反応容器に印加さ
れる電力が増加した場合は基体冷却用ガスの流量を増加
させ、その電力が減少した場合は基体冷却用ガスの流量
を減少させることである。このようにして流量を変化さ
せるには、例えば、電力と流量をモニター可能であり、
基体冷却用ガスの流量を随時変更可能な機構を装置に設
けておけばよい。なお、具体的な流量や電力の変更値
は、他の各種条件に応じて適宜決定すればよく、本発明
において特に制限は無い。
【0021】本発明において基体に堆積膜を形成する場
合、基体冷却用ガスとしては、取り扱いが簡易な点及び
汚染による弊害のない点から、Heガス、N2ガス、A
rガス及びH2ガスから成る群より選ばれた少なくとも
一種のガスを使用することが好ましい。特に冷却効率の
点から、Heガス又はH2ガスを使用することがより好
ましい。
【0022】原料ガスを分解する(励起強化する)ため
に印加する高周波放電エネルギーの周波数(電源の発振
周波数)は、50MHz以上450MHz以下であるこ
とが好ましい。50MHz以上であれば、高真空放電が
比較的容易になり反応容器内にプラズマが広がり易く、
あるいは反応容器内のガスの分布が均一になり易く、こ
れにより基体の温度上昇が均一になる傾向にある。これ
は、本発明での温度制御による十分な効果を発現する上
で重要である。また、450MHz以下であれば、電界
のムラが少なく、軸方向に均一な堆積膜が得られる傾向
にある。
【0023】基体処理中の反応容器内の圧力は15Pa
以下であることが好ましい。このような低圧にすれば、
ガス種や圧力が変化したときでも基体温度の変化が小さ
く、温度制御を行う際に十分な効果を発揮できる。ま
た、ガス分布のムラに起因する基体温度のムラが生じや
すく、温度制御を行う際に十分な効果を発揮できる傾向
にある。
【0024】本発明に使用する基体は、導電性でも電気
絶縁性であってもよい。導電性基体としては、Al、C
r、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、
Pd、Fe等の金属、及びこれらの合金、例えばステン
レス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプ
ロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド
等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミ
ックス等の電気絶縁性基体の少なくとも光受容層を形成
する側の表面を導電処理した基体も使用することができ
る。
【0025】基体の形状は、平滑表面または凹凸表面の
円筒状であってもよい。その厚さは、例えば、所望の電
子写真感光体を形成し得るように適宜決定すればよい。
電子写真用感光体としての可撓性が要求される場合に
は、基体としての機能が十分発揮できる範囲内で可能な
限り薄くすることができる。ただし、基体の厚さは、製
造及び取り扱い上、あるいは機械的強度等の点から、通
常は10μm以上とされる。
【0026】防着部材は、導電性でも電気絶縁性でもよ
い。導電性防着部材としては、Al、Cr、Mo、A
u、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等
の金属及びこれらの合金、例えばステンレス等が挙げら
れる。電気絶縁性防着部材としては、Al23、Mg
O、ZrO3、SiO2、Si34等のセラミックス等が
挙げられる。
【0027】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4、Si26、Si
8、Si410等のガス状態の、またはガス化し得る水
素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙
げられ、さらに堆積膜形成時の取り扱い易さ、Si供給
効率のよさ等の点でSiH4、Si26が好ましいもの
として挙げられる。そして、形成される堆積膜中に水素
原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御を一
層容易になるようにはかり、本発明の目的を達成する膜
特性を得るために、これらのガスにさらにH2及び/ま
たはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所
望量混合して層形成を行ってもよい。また、各ガスは単
独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支
えないものである。
【0028】本発明において使用されるハロゲン原子供
給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲンガ
ス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、
ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたは
ガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。ま
た、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素
とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含
む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることがで
きる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物
としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、CI
F、CIF3、BrF3、BrF5、IF2、IF7等のハ
ロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を
含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシ
ラン誘導体としては、具体的には例えばSiF4、Si2
6等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることがで
きる。
【0029】本発明においては、堆積膜には必要に応じ
て伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。
伝導性を制御する原子は、堆積膜中に満遍なく均一に分
布した状態で含有されてもよいし、あるいは層厚方向に
は不均一な分布状態で含有している部分があってもよ
い。
【0030】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原子
(以後「第IIIb族原子」と略記する)またはn型伝導
特性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後「第
Vb族原子」と略記する)を使用することができる。第
IIIb族原子としては、具体的には硼素(B)、アルミ
ニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(I
n)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Ga
が好適である。第Vb族原子としては具体的には燐
(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス
(Bi)等があり、特に、P、Asが好適である。堆積
膜に含有される伝導性を制御する原子の含有量は、好ま
しくは1×10 -2〜1×104[原子ppm]、より好
ましくは5×10-2〜5×103[原子ppm]、最適
には1×10-1〜1×103[原子ppm]である。
【0031】伝導性を制御する原子、例えば、第IIIb
族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、
層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あるい
は第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器
中に、堆積膜を形成するための他のガスとともに導入し
すればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは
第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとして
は、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件
下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望まし
い。
【0032】そのような第IIIb族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B
26、B410、B59、B511、B610、B612
614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3、Ga(CH23、InCl3、TICl3
も挙げることができる。第Vb族原子導入用の原料物質
として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、
PH3、P24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5
PCI3、PCI5、PBr3、PBr5、PI3等のハロ
ゲン化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、A
sCl3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、S
bF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3
BiBr3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効な
ものとして挙げることができる。また、これらの伝導性
を制御する原子導入用の原料物質を、必要に応じてH2
及び/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0033】本発明においては、形成される堆積膜の表
面には、耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧
性、使用環境特性、耐久性に優れたアモルファスシリコ
ン系の表面層を形成することが好ましい。表面層はアモ
ルファスシリコン系の材料であればいずれの材質でも可
能であるが、例えば、水素原子(H)及び/またはハロ
ゲン原子(X)を含有し、さらに炭素原子を含有するア
モルファスシリコン等の材料が好適に用いられる。Si
供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4、Si2
6、SiH8、Si410等のガス状態の、またはガス化
し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるもの
として挙げられ、さらに堆積膜形成時の取り扱い易さ、
Si供給効率のよさ等の点でSiH4、Si26が好ま
しいものとして挙げられる。また、これらのSi供給用
の原料ガスを必要に応じてH2及び/またはHe等のガ
スにより希釈して使用してもよい。
【0034】また、C供給用ガスとなり得る物質として
は、CH4、C22、C26、C3 8、C410等のガス
状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用され
るものとして挙げられ、さらに堆積膜形成時の取り扱い
易さ、C供給率のよさ等の点でCH4、C22、C26
が好ましいものとして挙げられる。また、これらのC供
給用の原料ガスを必要に応じてH2及び/またはHe等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0035】
【実施例】以下、本発明の真空処理方法及び装置につい
て、実験例、実施例によりさらに詳しく説明するが、本
発明はこれらにより限定されるものではない。
【0036】[実験例1]長さ360mm、外径φ80
mmの鏡面加工を施したアルミニウム製シリンダー(基
体)を載置したアルミニウム製ホルダーであって図3に
示した構成のものを使用し、図1に示した反応容器を備
えた真空処理装置において、発振周波数105MHzの
高周波電源を使用して、予め所定の温度(T0)に加熱
してある基体上に、表1に示す作製条件により堆積膜を
形成し、反応容器に印加する電力を時間と共に変化させ
たときの基体の温度(T)の様子を観測した。
【0037】
【表1】
【0038】本実験例では、電力を500W〜1kWま
で60分おきに100Wずつ変化させ、(イ)基体加熱
用ヒーターはOFFにし、基体冷却用ガスを使用しない
場合、(ロ)基体の温度が加熱終了時の温度を維持する
ように、基体加熱用ヒーターの温度を変化させた場合、
(ハ)基体の温度が加熱終了時の温度を維持するよう
に、基体加熱用ヒーターの温度を変化させ、基体冷却用
ガスの流量は一定にした場合、(ニ)基体温度が加熱終
了時の温度を維持するように、電力の変化に応じて基体
冷却用ガスの流量を変化させた場合、の各条件(イ)〜
(ニ)において、それぞれの基体の温度変化を観測し
た。なお本実験例では、基体冷却ガスとしてH2を用
い、(ハ)では流量を100mL/min(normal)一定として
おり、(ニ)では電力の変化に応じて流量を300mL/m
in(normal)、360mL/min(normal)、430mL/min(nor
mal)、580mL/min(normal)、680mL/min(normal)、
700mL/min(normal)と変化させた。
【0039】その結果を(イ)=図4、(ロ)=図5、
(ハ)=図6、(ニ)=図7にそれぞれ示す。各図の横
軸は時間を示し、縦軸は加熱終了時の基体温度に対する
相対値(T/T0)を示す。図4〜図7に示す結果から
分かるように、電力の変化に応じて基体冷却用ガスの流
量を変化させた場合[ニ、図7]は、基体温度を精度よ
く制御することが可能となる。
【0040】[実験例2]長さ360mm、外径φ80
mmの鏡面加工を施したアルミニウム製シリンダー(基
体)を載置したアルミニウム製ホルダーであって図3に
示した構成のものを使用し、図1に示した反応容器を備
えた真空処理装置において、発振周波数105MHzの
高周波電源を使用して、予め所定の温度に加熱してある
基体上に、実験例1と同じ各条件(イ)〜(ニ)におい
て、それぞれ30μm以上の堆積膜を形成した。その
際、堆積膜形成開始から厚さ15μmまで(第一領域)
は、実験例1と同一(但し電力500W)の条件で堆積
膜を形成し、その後の厚さ15μm以上(第二領域)
は、堆積膜形成条件(主に電力)を変化させることによ
り堆積膜形成速度を速めて堆積膜形成を行ない、堆積膜
形成速度と膜剥がれの関係を評価した。
【0041】なお本実験例では、基体冷却ガスとしてH
2を用い、(ハ)では流量を100mL/min(normal)一定
としており、(ニ)では電力が500Wの条件では流量
を400mL/min(normal)とし、その後電力の変化に応じ
て、それぞれ適切な値へと変化させた。その結果を表2
に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2に示す第二領域の堆積膜形成速度は相
対値であり、第一領域の堆積膜形成速度を1としてい
る。また、膜剥がれの評価のランクは以下の通りであ
る。 「A」 膜剥がれ無し。 「B」 膜剥がれの面積が基体表面積の50%未満。 「C」 膜剥がれの面積が基体表面積の50%以上。
【0044】表2に示す結果から分かるように、電力の
変化に応じて基体冷却用ガスの流量を変化させた場合
(ニ)は、たとえ堆積膜形成中に堆積膜形成条件(主に
電力)を変化させて堆積膜形成速度を速めても、膜剥が
れ無く堆積膜を形成することが可能になる。
【0045】[実施例1]長さ360mm、外径φ80
mmの鏡面加工を施したアルミニウム製シリンダー(基
体)を載置したアルミニウム製ホルダーであって、図3
に示した構成のものを使用し、図1に示した反応容器を
備えた真空処理装置において、発振周波数105MHz
の高周波電源を使用して、表3に示す作製条件で、基体
上に電荷注入阻止層、光導電層及び表面層からなる電子
写真用感光体を形成した。
【0046】
【表3】
【0047】 * シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有
量。 ** 本文中に記載した方法で温度制御。
【0048】本実施例では、各層の形成における基体温
度の制御は、(イ)基体加熱用ヒーターの温度を変化さ
せて基体温度を制御し、基体冷却用ガスを使用しない場
合、(ロ)基体加熱用ヒーターの温度を変化させて基体
温度を制御し、基体冷却用ガスとしてHeを用い、流量
100mL/min(normal)一定とした場合、(ハ)基体冷却
用ガスとしてHeを用い、電力の変化に応じて、流量
を、200mL/min(normal)、300mL/min(normal)、1
00mL/min(normal)と変化させた場合、の各条件(イ)
〜(ハ)で、それぞれ基体温度を調整した。このように
して得た各感光体を、電子写真装置(キャノン製NP6
550を実験用に改造)にセットして、電子写真特性
(帯電能、感度、メモリー)をそれぞれ評価した。その
結果を表4に示す。具体的な評価方法は、以下の通りで
ある。
【0049】(1)帯電能 プロセススピード380mm/sec、前露光(565n
mLED)4 luxsec、帯電器の電流値1000μAの
条件にて、電子写真用感光体の現像器位置での暗部表面
電位を表面電位計により測定し、それぞれについて
(イ)の場合と比較することによって、以下のランクに
区分した。 「A」(イ)の場合と比較して10%以上の向上。 「B」(イ)の場合と比較して5%以上10%未満の向
上。 「C」(イ)の場合と比較して同等以上5%未満の向
上。 「D」(イ)の場合と比較して低下。
【0050】(2)感度 電子写真感光体の現像位置での暗部表面電位を400
[V]に帯電させ、像露光光源にフィルターを使用して
550[nm]付近に強度ピークをもつハロゲンランプ
光を照射し、電子写真用感光体の現像位置での明部表面
電位が所定の値になるように光量を調整し、このときの
光量を測定し、それぞれについて(イ)の場合と比較す
ることによって、以下のランクに区分した。 「A」(イ)の場合と比較して10%以上の向上。 「B」(イ)の場合と比較して5%以上10%未満の向
上。 「C」(イ)の場合と比較して同等以上5%未満の向
上。 「D」(イ)の場合と比較して低下。
【0051】(3)光メモリー 感度測定方法と同様に550[nm]付近に強度ピーク
をもつハロゲンランプ光を像露光として用い、現像位置
での非露光状態での表面電位と一旦露光した後に再度帯
電したときの電位差を測定し、それぞれについて(イ)
の場合と比較することによって、以下のランクに区分し
た。した。 「A」(イ)の場合と比較して50%以上の向上。 「B」(イ)の場合と比較して20%以上50%未満の
向上。 「C」(イ)の場合と比較して同等以上20%未満の向
上。 「D」(イ)の場合と比較して低下。
【0052】
【表4】
【0053】表4に示す結果から明らかなように、電力
の変化に応じて基体冷却用ガスの流量を変化させて基体
温度を制御した場合(ハ)は、良好な電子写真特性を有
する感光体を製造することが可能になる。
【0054】[実施例2]長さ360mm、外径φ80
mmの鏡面加工を施したアルミニウム製シリンダー(基
体)を載置したアルミニウム製ホルダー(基体支持体)
を使用し、図1に示した反応容器と、図3に示した基体
支持体を備えた真空処理装置において、電力の変化に応
じて基体冷却用ガスの流量を変化させ、基体上に電荷注
入阻止層、光導電層及び表面層からなる電子写真用感光
体を表3(実施例1)に示した条件により形成した。な
お本実施例では、基体冷却用ガスとしてはH2を用い、
表3に示した条件において、各層の基板温度が230℃
となるように、電力の変化に応じて流量を変化させた。
【0055】本実施例では、各層の形成における高周波
電源は、 (イ)発振周波数30MHzの高周波電源 (ロ)発振周波数50MHzの高周波電源 (ハ)発振周波数105MHzの高周波電源 (ニ)発振周波数150MHzの高周波電源 (ホ)発振周波数600MHzの高周波電源 をそれぞれを使用した。このようにして得た各感光体の
軸方向膜厚ムラ、電子写真特性ムラ(軸方向帯電能ム
ラ、軸方向感度ムラ)をそれぞれ評価した。その結果を
表5に示す。具体的な評価方法は、以下の通りである。
【0056】(1)軸方向膜厚ムラ 膜厚の測定には渦電流式膜厚測定器を用い、作製した各
々の感光体の軸方向に上端から下端まで3cm刻みで計
11点の膜厚を測定し、最大値(Max)と最小値(M
in)の差及び11点の平均値(Ave)から、最大値
と最小値の差と平均値の比(Max−Min)/Ave
を求め、それぞれについて(イ)の場合と比較すること
によって、以下のランクに区分した。 「A」(イ)の場合と比較して20%以上の低減 「B」(イ)の場合と比較して10%以上20%未満の
低減 「C」(イ)の場合と比較して同等以上10%未満の低
減 「D」(イ)の場合と比較して増加 (2)電子写真特性ムラ(軸方向帯電能ムラ、軸方向感
度ムラ) 作製した各感光体の軸方向に上端から下端まで3cm刻
みで計11点の帯電能と感度を測定し、最大値(Ma
x)と最小値(Min)の差及び11点の平均値(Av
e)から、最大値と最小値の差と平均値の比(Max−
Min)/Aveを求め、それぞれについて(イ)の場
合と比較することによって、以下のランクに区分した。 (軸方向帯電能ムラ) 「A」(イ)の場合と比較して40%以上の低減 「B」(イ)の場合と比較して20%以上40%未満の
低減 「C」(イ)の場合と比較して同等以上20%未満の低
減 「D」(イ)の場合と比較して増加 (軸方向感度ムラ) 「A」(イ)と比較して40%以上の低減 「B」(イ)と比較して20%以上40%未満の低減 「C」(イ)と比較して同等以上20%未満の低減 「D」(イ)と比較して増加
【0057】
【表5】
【0058】表5に示す結果から明らかなように、発振
周波数を50MHz以上450MHzのとした場合
(ロ)〜(ニ)に、特に、ムラの無い良好な電子写真用
感光体を得ることができる。
【0059】[実施例3]長さ360mm、外径φ80
mmの鏡面加工を施したアルミニウム製シリンダー(基
体)を載置したアルミニウム製ホルダー(基体支持体)
を使用し、図1に示した反応容器と、図3に示した基体
支持体を備えた真空処理装置において、電力の変化に応
じて基体冷却用ガスの流量を変化させ、基体上に電荷注
入阻止層、光導電層及び表面層からなる電子写真用感光
体を表3(実施例1)に示した条件により形成した。な
お本実施例では、基体冷却用ガスとしてはH2を用い、
表3に示した条件において、各層の基板温度が230℃
となるように、電力の変化に応じて流量を変化させた。
【0060】本実施例では、各層の形成における反応容
器内の圧力については、(イ)反応容器内の圧力を30
Paとした場合、(ロ)反応容器内の圧力を20Paと
した場合、(ハ)反応容器内の圧力を15Paとした場
合、(ニ)反応容器内の圧力を7Paとした場合、
(ホ)反応容器内の圧力を1Paとした場合このように
して得た各感光体の軸方向膜厚ムラ、電子写真特性ムラ
(軸方向帯電能ムラ、軸方向感度ムラ)をそれぞれ評価
した。その結果を表6に示す。具体的な評価方法は、実
施例2と同様であるが、ランクの区分は以下の通りであ
る。 (軸方向膜厚ムラ) 「A」(ロ)の場合と比較して20%以上の低減 「B」(ロ)の場合と比較して10%以上20%未満の
低減 「C」(ロ)の場合と比較して5%以上10%未満の低
減 「D」(ロ)の場合と比較して同等 (軸方向帯電能ムラ) 「A」(ロ)の場合と比較して40%以上の低減 「B」(ロ)の場合と比較して20%以上40%未満の
低減 「C」(ロ)の場合と比較して5%以上20%未満の低
減 「D」(ロ)の場合と比較して同等 (軸方向感度ムラ) 「A」(ロ)の場合と比較して40%以上の低減 「B」(ロ)の場合と比較して20%以上40%未満の
低減 「C」(ロ)の場合と比較して5%以上20%未満の低
減 「D」(ロ)の場合と比較して同等
【0061】
【表6】
【0062】表6に示す結果から明らかなように、反応
容器内の圧力を15Pa以下とした場合(ハ)〜(ホ)
に、特に、ムラの無い良好な電子写真用感光体を得るこ
とができる。
【0063】[実施例4]実施例1と同様に、ただし表
7に示す作製条件(光導電層から表面層への変化領域に
おいて原料ガス流量とパワーを連続的に変化させて非晶
質半導体膜を形成する条件)で、基体上に電荷注入阻止
層、光導電層及び表面層からなる電子写真用感光体を形
成した。本実施例においては、電力の変化に応じ基体冷
却用ガス(N2)の流量を変化させ、基体温度の制御を
行った。
【0064】
【表7】
【0065】* シリコン原子に対する第III族元素
(B)の含有量。
【0066】このようにして得た感光体を、電子写真装
置(キャノン製NP6550を実験用に改造)にセット
して、実施例1〜3と同様にして電子写真特性(帯電
能、感度、メモリー)、膜厚ムラ、電子写真特性ムラ
(軸方向帯電能ムラ、軸方向感度ムラ)をそれぞれ評価
したところ、実施例1〜3において電力の変化に応じ基
体冷却用ガスの流量を変化させ基体温度の制御を行った
場合と同様の良好な結果が得られた。さらに、この電子
写真装置で実際に画像を出したところ、ハーフトーン画
像にムラは無く、均一な画像が得られた。また、文字原
稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得ら
れ、写真原稿の複写においても原稿に忠実で鮮明な画像
を得ることができた。
【0067】[比較例1]基体冷却用ガスを使用しない
こと以外は実施例4と同様にして、基体上に電荷注入阻
止層、光導電層及び表面層からなる電子写真用感光体を
形成した。これを同様に評価したところ、膜剥がれが発
生していた。
【0068】[実施例5]図1に示した反応容器を備え
た装置の代わりに、図2に示した反応容器を備えた装置
を用い、表8に示す作製条件に従ったこと以外は実施例
4と同様にして、基体上に電荷注入阻止層、光導電層及
び表面層からなる電子写真用感光体を形成した。本実施
例においても、電力の変化に応じ基体冷却用ガス
(H2)の流量を変化させ、基体温度の制御を行った。
【0069】
【表8】
【0070】* シリコン原子に対する第IIIb族元素
(B)の含有量。
【0071】この電子写真用感光体について実施例4と
同様にして評価したところ、同様の良好な結果が得ら
れ、画像出し、文字原稿及び写真原稿の複写も同様に良
好であった。
【0072】[実施例6]アルミニウム製基体の直径を
80mmから直径30mmに変更したこと以外は実施例
5(条件:表8)と同様にして、基体上に電荷注入阻止
層、光導電層及び表面層からなる電子写真用感光体を形
成した。本実施例においては、電力の変化に応じ基体冷
却用ガス(H2)の流量を変化させ、基体温度の制御を
行った。
【0073】このようにして得た感光体を、電子写真装
置(キャノン製NP6030を実験用に改造)にセット
して実施例4と同様にして評価したところ、同様の良好
な結果が得られ、画像出し、文字原稿及び写真原稿の複
写も同様に良好であった。
【0074】[実施例7]実施例5と同様に、ただし表
9に示す作製条件(光導電層を第一層領域と第二層領域
に分けさらに両領域の間に連続変化領域を設ける条件)
で、基体上に電荷注入阻止層、光導電層及び表面層から
なる電子写真用感光体を形成した。本実施例において
は、電力の変化に応じ基体冷却用ガス(H2)の流量を
変化させ、基体温度の制御を行った。
【0075】
【表9】
【0076】* シリコン原子に対する第IIIb族元素
(B)の含有量。
【0077】この電子写真用感光体について実施例4と
同様にして評価したところ、同様の良好な結果が得ら
れ、画像出し、文字原稿及び写真原稿の複写も同様に良
好であった。
【0078】[実施例8]本実施例では、図8に示す反
応容器を備えた真空処理装置を用いた。図1に示した反
応容器と比較すると、図8に示す反応容器では、原料ガ
ス導入管113がより内側(中心側)に配置され、この
原料ガス導入管113を内包するが複数の放電電極11
8は内包しないかたちでアルミナセラミックス製の防着
部材117を配置することにより、防着部材117と反
応容器110の間に放電電極118を配置し、防着部材
117の内部を真空封止できる構成になっている。これ
以外の構成については、図1に示した反応容器と同様で
ある。
【0079】このような真空処理装置を用いたこと以外
は実施例4(条件:表7)と同様にして、基体上に電荷
注入阻止層、光導電層及び表面層からなる電子写真用感
光体を形成した。本実施例においては、電力の変化に応
じ基体冷却用ガス(H2)の流量を変化させ、基体温度
の制御を行った。この電子写真用感光体について実施例
4と同様にして評価したところ、同様の良好な結果が得
られ、画像出し、文字原稿及び写真原稿の複写も同様に
良好であった。
【0080】[実施例9]本実施例では、図9に示す反
応容器を備えた真空処理装置を用いた。図9に示す反応
容器においては、反応容器110内の中心部に、一本の
原料ガス導入管313Aが配置されている。この原料ガ
ス導入管313Aを中心軸とした円周上に複数の基体支
持体111が配置され、さらに複数の基体支持体111
の外側の円周上に複数の原料ガス導入管313Bが配置
され、これら原料ガス導入管313A、基体支持体11
1、原料ガス導入管313Bを内包するようにアルミナ
セラミックス製の防着部材117が配置され、さらに防
着部材117の外側の円周上に複数の放電電極318が
配置されている。すなわち、防着部材117と反応容器
110の間に放電電極318を配置し、防着部材117
の内部を真空封止できる構成になっている。これ以外の
構成については、図2に示した反応容器と同様である。
【0081】このような真空処理装置を用いたこと以外
は実施例5(条件:表8)と同様にして、基体上に電荷
注入阻止層、光導電層及び表面層からなる電子写真用感
光体を形成した。本実施例においては、電力の変化に応
じ基体冷却用ガス(Ar)の流量を変化させ、基体温度
の制御を行った。この電子写真用感光体について実施例
4と同様にして評価したところ、同様の良好な結果が得
られ、画像を出し、文字原稿及び写真原稿の複写も同様
に良好であった。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の真空処理
方法及び真空処理装置によれば、プラズマ放電中におい
て基体温度を高い精度で簡易に制御することが可能であ
り、特にプラズマCVD法による成膜等に用いた場合、
膜剥がれ等が発生することなく、極めて優れた品質の堆
積膜を、生産性良く成膜することが可能になる。本発明
は、特に、プラズマCVD法による電子写真感光体の堆
積膜の形成に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマCVD法による電子写真感光体の製造
装置(本発明の真空処理装置)の実施形態を示す図であ
り、(A)は反応容器を横から見た模式的断面図、
(B)は真上から見た模式的断面図である。
【図2】プラズマCVD法による電子写真感光体の製造
装置(本発明の真空処理装置)の実施形態を示す図であ
り、(A)は反応容器を横から見た模式的断面図、
(B)は真上から見た模式的断面図である。
【図3】プラズマCVD法による電子写真感光体の製造
装置(本発明の真空処理装置)において、円筒状基体を
基体支持体に設置した状態を例示する模式的断面図であ
る。
【図4】実験例1で測定した基体の温度変化を示しすグ
ラフである。
【図5】実験例1で測定した基体の温度変化を示しすグ
ラフである。
【図6】実験例1で測定した基体の温度変化を示しすグ
ラフである。
【図7】実験例1で測定した基体の温度変化を示しすグ
ラフである。
【図8】プラズマCVD法による電子写真感光体の製造
装置(本発明の真空処理装置)の実施形態を示す図であ
り、(A)は反応容器を横から見た模式的断面図、
(B)は真上から見た模式的断面図である。
【図9】プラズマCVD法による電子写真感光体の製造
装置(本発明の真空処理装置)の実施形態を示す図であ
り、(A)は反応容器を横から見た模式的断面図、
(B)は真上から見た模式的断面図である。
【符号の説明】
110 反応容器 111 基体支持体 112 基体加熱用ヒーター 113 原料ガス導入管 114 マッチングボックス 115 原料ガス配管 116 真空計 117 防着部材 118 放電電極 119 基体 120 スロットバルブ 213A 原料ガス導入管 213B 原料ガス導入管 218A 放電電極 218B 放電電極 310 基体冷却用ガス導入口 311 基体冷却用ガス排出口 313A 原料ガス導入管 313B 原料ガス導入管 318 放電電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 崇志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 細井 一人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 白砂 寿康 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 秋山 和敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 青池 達行 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA00 EA24 4K030 AA06 AA07 AA09 BA30 CA02 CA16 FA03 KA23 KA41 LA17

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器と、該反応容器内に基体を収納
    する手段と、該反応容器内にプラズマを生成させるため
    の電力を供給する手段と、該反応容器内を排気する手段
    と、冷却用ガスにより該基体を冷却する手段を備えた真
    空処理装置を用いて真空処理する方法において、該電力
    の変化に応じて該冷却用ガスの流量を変化させることを
    特徴とする真空処理方法。
  2. 【請求項2】 電力の変化に応じて冷却用ガスの流量を
    変化させる為に、該電力が増加した場合は該冷却用ガス
    の流量を増加させ、該電力が減少した場合は該冷却用ガ
    スの流量を減少させる請求項1記載の真空処理方法。
  3. 【請求項3】 冷却用ガスが、Heガス、N2ガス、A
    rガス及びH2ガスから成る群より選ばれた少なくとも
    一種のガスである請求項1又は2記載の真空処理方法。
  4. 【請求項4】 電力供給手段の発振周波数が、50MH
    z以上、450MHz以下である請求項1〜3の何れか
    一項記載の真空処理方法。
  5. 【請求項5】 基体処理中の反応容器内の圧力が15P
    a以下である請求項1〜4の何れか一項記載の真空処理
    方法。
  6. 【請求項6】 反応容器と、該反応容器内に基体を収納
    する手段と、該反応容器内にプラズマを生成させるため
    の電力を供給する手段と、該反応容器内を排気する手段
    と、冷却用ガスにより該基体を冷却する手段を備えた真
    空処理装置において、該電力の変化に応じて該冷却用ガ
    スの流量を変化させる手段を備えていることを特徴とす
    る真空処理装置。
  7. 【請求項7】 電力の変化に応じて冷却用ガスの流量を
    変化させる手段は、電力が増加した場合は該冷却用ガス
    の流量を増加させ、該電力が減少した場合は該冷却用ガ
    スの流量を減少させることのできる手段である請求項6
    記載の真空処理装置。
  8. 【請求項8】 冷却用ガスが、Heガス、N2ガス、A
    rガス及びH2ガスから成る群より選ばれた少なくとも
    一種のガスである請求項6又は7記載の真空処理装置。
  9. 【請求項9】 電力供給手段の発振周波数が、50MH
    z以上、450MHz以下である請求項6〜8の何れか
    一項記載の真空処理装置。
  10. 【請求項10】 基体処理中の反応容器内の圧力を15
    Pa以下にできる請求項6〜9の何れか一項記載の真空
    処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012521536A (ja) * 2009-03-25 2012-09-13 ペルノ リカール 高速飲料冷却装置

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