JP2006100267A - 固体高分子電解質膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

固体高分子電解質膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法安定性及び機械的強度に優れ、発電時において高い耐久性を有する固体高分子電解質膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供する。
【解決手段】固体高分子電解質膜111と、該固体高分子電解質膜111の両面に配設される触媒を含む触媒層127、128と該触媒層127、128を周縁部の内側に支持するガス拡散層133、134とを備える電極137と、からなる燃料電池用の固体高分子電解質膜電極接合体において、前記固体高分子電解質膜111は膜の厚さ方向全体にプロトン導電性を有する領域1と、該領域1の外周部に位置し無孔のシートが配置されることにより膜の厚さ方向全体にはプロトン導電性を有しない領域2とを有し、前記触媒層127、128の外縁から前記ガス拡散層133、134の外縁までが前記領域2に位置するように配置されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は固体高分子電解質膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関わり、特に、寸法安定性及び機械的強度に優れ、発電時において高い耐久性を有する固体高分子電解質膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
燃料電池は発電効率が高く、環境への負荷も小さいことから今後の普及が見込まれている。中でも固体高分子型燃料電池は、出力密度が高く作動温度が低いために小型化が可能なことから、自動車等の移動体用や分散発電システム用、家庭用のコージェネレーションシステム用として広く普及することが期待されている。
従来の燃料電池用の単体セルの断面図を図13に示す。図13において、燃料電池用の単体セル1は、固体高分子電解質膜11を有している。この固体高分子電解質膜11は、その厚さが一般に20〜120μm程度であり、化学的に安定なスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる陽イオン交換膜が用いられている。
また、固体高分子電解質膜11の両外面11aには、それぞれ金属触媒を含む2つの触媒層27、28が接合されている。この触媒層27、28は、固体高分子電解質膜11の中心部分に形成されており、その周辺には触媒層27、28の接合されない部分が残されている。
そして、これら固体高分子電解質膜11及び触媒層27、28により、膜触媒層接合体31が構成されるようになっており、膜触媒層接合体31の触媒層27、28側の両外面31aには、それぞれガス拡散層33、34が配設されている。このガス拡散層33、34は、触媒層27、28から出入りする電子を導電するために固体高分子電解質膜11上に設けられた触媒層27、28より大きく形成されている。
即ち、ガス拡散層33、34は、この触媒層27、28の表面のみならず、側面をも被覆するように配設されており、ガス拡散層33、34は固体高分子電解質膜11と接触面33aで面接触されている。ガス拡散層33、34は、カーボンペーパーやカーボンクロス等で形成されている。
そして、これら膜触媒層接合体31及びガス拡散層33、34により、膜電極接合体37が構成されるようになっており、この膜電極接合体37のガス拡散層33、34側の両外面37aには、セパレータ41、42との間にガス流路47、48が形成されるようになっている。
このとき、セパレータ41、42は、固体高分子電解質膜11全面を覆う大きさを有しており、この内側部分には、それぞれ凹状の溝45、46が刻設されている。そして、この溝45、46が、セパレータ41、42及び膜電極接合体37が組み付けられたときに、ガス流路47、48を形成するようになっている。
更に、セパレータ41、42の端部と固体高分子電解質膜11との間には、燃料ガスならびに酸化剤ガスが外部に漏れないようにシールするためにガスケット53、54が配置されており、セパレータ41、42及び膜電極接合体37が締め付けられたときに、セパレータ41、42及び固体高分子電解質膜11間に介在され、ガス流路47、48を外部に対して密封するようになっている。
以上により、燃料電池の発電の最小単位となる単体セル1が構成されており、この単体セル1を燃料電池に用いる場合には、実用的な電圧を発生させるため、単体セル1が複数個積層されスタック化されて用いられるようになっている。
かかる構成において、単体セル1のアノード(触媒層28)側には、水素が供給される。一方、そのカソード(触媒層27)側には酸素又は空気が供給される。このとき、水素、酸素及び空気の供給はガス流路47、48を介して行われる。その結果、アノード側ではH2→2H++2e-の反応が起こる。アノード側で生成したH+(プロトン)は固体高分子電解質膜11を通りカソード側へ移動し、またe-(電子)は外部回路を経由してカソード側へと移動する。一方、カソード側では、アノード側から膜を通して移動してきたプロトンと外部回路を通ってきた電子と、供給される酸素が反応し、1/2O2+2H++2e-→H2Oの反応が起こる。
このことにより、単体セル1を有する燃料電池において、化学エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。プロトンが固体高分子電解質膜11を通過するためには固体高分子電解質膜11は水分を保有した状態である必要があり、この反応を効率的に行うためにはアノード及びカソードに供給するガスを加湿して供給する。
しかしながら、このようにして構成した燃料電池の触媒層27、28端部からガス拡散層33、34端部までの接触面33aにおいて、理由は明確ではないが固体高分子電解質膜11に穴があいたり電極の短絡がおきたりするという問題があった。
原因としては、ガス拡散層33、34接合時の圧力が端部に強くかかり固体高分子電解質膜11が損傷しやすいことや、運転中にも膜電極接合体37に対し押し付け圧力がかかっているため比較的表面の起伏が大きいガス拡散層33、34が直接固体高分子電解質膜11に接触する部分で押し付けられて膜厚が減少すること、触媒層27、28の外縁より外側では供給ガスの消費が起こらずしかもガスが滞留しやすいためガス濃度が高くなることなどのため、ガス透過性が高くなることが推定される。この結果、局部的に燃焼反応が起こり膜の分解や短絡が発生すると考えられ、接触面33aの部分を補強した構造の高分子電解質膜が好ましいと考えられる。
上記問題を解決する方法として、ガス拡散層の周縁にテトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体シール材を塗布乾燥して幅2〜10mm、厚さ60μmの補助ガスケットを作製し、その内側に触媒層を形成した後、イオン交換膜と接合する膜電極接合体が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この膜電極接合体の場合、補助ガスケットを作製し、その中に触媒層を精度良く形成することが難しく、補助ガスケット上に触媒層が重なり欠陥を発生させるという問題がある。
また、ガス拡散層上の中心部に、より面積が小さい触媒層を塗布乾燥し、触媒層と同じ大きさの開口部を持つフッ素樹脂シートを貼り付けたイオン交換膜と接合した膜電極接合体が提案されている(特許文献2参照)。しかし、上記ガス拡散層をイオン交換膜と接合する際にずれが発生し、触媒層とフッ素樹脂シートが重なり欠陥を発生させることがある。
更に、ある大きさの開口部を持つフッ素樹脂シートを両面に貼り付けたイオン交換膜の開口部に、開口部と同じ大きさで触媒層を塗布、乾燥した後、開口部より大きなガス拡散層を接合した膜電極接合体が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この開口部に同じ大きさで触媒層を塗布することが難しく、触媒層とフッ素樹脂シートが重なり欠陥を発生させることがある。
特開平 7−220742号公報(実施例1) 特開平10−154521号公報(実施例1) 特開平10−308228号公報(実施例3)
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、耐久性に優れ高い発電特性を維持可能な固体高分子電解質膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
このため本発明(請求項1)は、固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜の両面に配設される触媒を含む触媒層と該触媒層を周縁部の内側に支持するガス拡散層とを備える電極と、からなる燃料電池用の固体高分子電解質膜電極接合体において、前記固体高分子電解質膜は膜の厚さ方向全体にプロトン導電性を有する第1の領域と、該第1の領域の外周部に位置し無孔のシートが配置されることにより膜の厚さ方向全体にはプロトン導電性を有しない第2の領域とを有し、前記触媒層の外縁から前記ガス拡散層の外縁までが前記第2の領域に位置するように配置されていることを特徴とする。
無孔のシートの材質としては、実質的にイオン交換基を有さないものを用いる。触媒層の外縁からガス拡散層の外縁までが、無孔のシートが配置された第2の領域に位置するように配置したので、ガス拡散層接合時にガス拡散層端に圧力が強くかかったり、運転中のクリープによって固体高分子電解質膜が一部損傷を受けてもガスリークの増大が抑制され、局部的な燃焼反応などによる固体高分子電解質膜の劣化や電極の短絡を防ぐことが可能となる。このことにより、長寿命の燃料電池用の固体高分子電解質膜電極接合体を提供することができる。
また、本発明(請求項2)は、前記固体高分子電解質膜は、前記第2の領域の更に外周部にプロトン導電性を有する第3の領域を有することを特徴とする。
このように、プロトン導電性を有する第3の領域を設けることにより、第2の領域において無孔のシートの存在により厚さ方向に連続しなくなっているイオン交換樹脂を、膜周辺部において再びつなぐことができる。そのため、第2の領域のシートとイオン交換樹脂との界面の剥がれを予防することができる。
更に、本発明(請求項3)は、前記固体高分子電解質膜は、繊維状補強体、フィブリル状補強体、多孔質膜、織布、不織布及び複数の貫通孔が形成された多孔シートからなる群から選ばれる1種以上の補強材と、該補強材の空隙部に充填されるイオン交換樹脂とからなる充填層を有し、前記第1の領域においては前記補強材が空隙部を有し、該空隙部を介してプロトン導電性を有しており、前記第2の領域においては前記補強材が空隙部を有さないことを特徴とする。
第1の領域では空隙部にイオン交換樹脂を充填したことで、膜電極接合体を構成する固体高分子電解質膜は補強材により補強される。また、空隙部に充填されたイオン交換樹脂によりプロトン導電性は確保される。第1の領域の補強により、固体高分子電解質膜の強度を向上させ、損傷し難くすることができる。第1の領域の補強体と第2の領域の補強体の材質は異なっていても良いが、同一であるものが好ましく、更には構造的に一体となっている方が好ましい。
ここで、第2の領域には無孔のシートが配置されているので、上記補強材が貫通孔が形成された多孔のシートからなる場合は、第1の領域に貫通孔が形成されていて第2の領域には貫通孔が形成されていない多孔シートを用いることができる。一方、繊維状補強体、織布などからなる場合は、第1の領域にはそれらを配置し第2の領域には貫通孔が形成されていないシートを配置するというように、第1の領域の補強材と第2の領域の無孔のシートを別個用意してもよい。このとき第1の領域の補強材と無孔のシートは接合されていてもいなくてもよい。接合されていない場合は、イオン交換樹脂が充填されることにより第1の領域の補強材と無孔のシートを接合されるようにしてもよい。
第1および第3の領域のプロトン導電性は、本発明の効果が得られる範囲であれば特には限定しないが、実用的には0.01〜0.5S/cm程度のものが用いられ、第2の領域のプロトン導電性としては、第1および第3の領域より十分に低い0.001S/cm以下のものが用いられる。
更に、本発明(請求項4)は、前記固体高分子電解質膜は、前記充填層と、前記充填層の少なくとも片面に形成された、イオン交換樹脂のみからなる樹脂層とを有することを特徴とする。
固体高分子電解質膜は各貫通孔がイオン交換樹脂により充填された補強材のみからなっても良いが、その少なくとも片面にイオン交換樹脂のみからなる層が形成されてなると、導電性が高まり好ましい。ここで貫通孔を充填するイオン交換樹脂と補強材の表面に形成された樹脂層のイオン交換樹脂とは同じでも異なっていても良い。しかしながら、樹脂層は補強材により補強されていないので、この層を構成するイオン交換樹脂は貫通孔に充填されるイオン交換樹脂よりも強度が高い樹脂、例えばイオン交換容量の低い樹脂を使用する等、異なるものを使用することも有効である。
なお、イオン交換樹脂により空隙部が充填されてなる充填層は、補強材により補強されるためイオン交換樹脂自体の強度はあまり高くなくても良い。したがって、得られる固体高分子電解質膜の導電性を高めるためにイオン交換容量が高くて強度が高くないイオン交換樹脂を使用することもできる。
更に、本発明(請求項5)は、前記補強材は、前記第1の領域に複数の貫通孔が形成されており、かつ前記第2の領域は貫通孔を有しない多孔シートからなることを特徴とする。
上記構成の場合、固体高分子電解質膜は多孔シートとイオン交換樹脂のみから構成することが可能である。この場合、多孔シートは、無孔の基材に対し第1の領域のみ複数の孔を形成する加工処理を施すことで作製できる。したがって、膜の製造工程上、効率的である。
更に、本発明(請求項6)は、上述の多孔シートを採用する場合において、前記固体高分子電解質膜は、前記第2の領域の更に外周部にプロトン導電性を有する第3の領域を有し、当該第3の領域において、前記多孔シートは複数の貫通孔を有し前記固体高分子電解質膜が当該貫通孔を介して厚さ方向全体にプロトン導電性を有していることを特徴とする。
このように、貫通項の形成された第3の領域を設けることにより、膜周辺部においても多孔シートの貫通孔を介して両表面のイオン交換樹脂がつながり、多孔シートとイオン交換樹脂とのはがれを予防することができる。
更に、本発明(請求項7)は、前記各領域の接する境界部であって、該境界部のうちのいずれか少なくとも一つは、前記第2の領域に近づくにつれて貫通孔の1個あたりの平均面積が徐々に小さくなっているか、又は単位面積あたりの貫通孔の数が徐々に減少していることを特徴とする。
このことにより、各領域の接する境界部における応力の集中を防ぐことができる。
更に、本発明(請求項8)は、前記貫通孔は、1個あたりの平均面積が1×10-3〜20mm2で、前記多孔シートの厚さ方向に対してほぼ平行に形成されており、前記貫通孔による開口率が30〜80%であることを特徴とする。
貫通孔の1個あたりの平均断面積が小さすぎると、開口率を一定範囲に維持しようとすれば単位面積あたりの貫通孔の数が非常に多くなるために生産性が低くなったり、イオン交換樹脂の充填が困難になるおそれがある。一方、貫通孔の1個あたりの平均断面積が大きすぎると、得られる固体高分子電解質膜を均一に補強することができず、結果としてその強度が不十分となるおそれがある。このため、貫通孔の1個あたりの平均断面積は1×10-3〜20mm2であることが好ましい。
多孔シートの開口率は30%未満であると、最終的に得られる固体高分子電解質膜の抵抗が高くなるおそれがあり、多孔シートの開口率が80%より大きいと固体高分子電解質膜の強度が著しく低下するおそれがあるため、多孔シートの開口率は30〜80%であることが好ましい。
更に、本発明(請求項9)は、前記多孔シートが、90℃の熱水に浸漬後の含水率が5%以下の材質で形成されたことを特徴とする。
含水率が5%より大きいと触媒層を接合する際や、燃料電池運転時の押し付け圧力に対してクリープしやすくなり固体高分子電解質膜が損傷し、また気体透過性も高くなるので好ましくない。
更に、本発明(請求項10)は、前記多孔シートの材質が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、及び、ポリベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
この多孔シートは材質によっては接着性が小さいため、表面処理されているとイオン交換樹脂との接着性が高くなり好ましい。
更に、本発明(請求項11)は、前記充填層は、前記多孔シートの2層以上の積層体にイオン交換樹脂が充填されたものであることを特徴とする。
補強材である多孔シートを積層することにより、固体高分子電解質膜の強度を向上させ、損傷し難くすることができる。
更に、本発明(請求項12)は、前記固体高分子電解質膜は、前記第2の領域に空隙部を有しない枠状の無孔シートからなる補強材を有し、該補強材により厚さ方向のプロトン伝導性を遮断されており、前記第1の領域には補強材を有しないことを特徴とする。
強度の高いイオン交換樹脂を使用する場合、第2の領域のみ補強することが可能である。この場合、第1の領域は補強材が存在しないので、プロトン伝導性が高い高分子電解質膜とすることができる。ここで第3の領域が存在する場合、第3の領域はプロトン伝導性が確保されれば補強材により補強されていても補強材を有しなくてもよい。
更に、本発明(請求項13)は、前記固体高分子電解質膜をその両面から隣接して挟み込み内縁部が前記触媒層及び前記ガス拡散層の外周部に位置するガスケットを更に備え、前記触媒層の外縁部と前記ガス拡散層の外縁部と前記ガスケットの内縁部は前記第2の領域に位置する。
触媒層の外縁部とガス拡散層の外縁部とガスケットの内縁部とが共に貫通孔の形成されていない第2の領域に位置するように配置したので、ガスケット接合時に固体高分子電解質膜に圧力が強くかかったり、運転中のクリープによって固体高分子電解質膜が一部損傷を受けてもガスリークの増大が抑制され、局部的な燃焼反応などによる固体高分子電解質膜の劣化や電極の短絡を防ぐことが可能となる。このことにより、長寿命の燃料電池用の膜電極接合体を提供することができる。
更に、本発明(請求項14)は、固体高分子形燃料電池であって、上述の本発明のいずれかの固体高分子電解質膜電極接合体の両側にセパレータが配置されたセルが積層されてなることを特徴とする。
このことにより、寸法安定性及び機械的強度に優れ、発電時において高い耐久性を有する固体高分子電解質膜電極接合体を搭載した固体高分子形燃料電池が提供される。
以上説明したように本発明によれば、中心部にプロトン導電性を有する高分子電解質からなる第1の領域と、この第1の領域の外周部に位置し、実質的にイオン交換基を含まず貫通孔を有していない高分子シートを少なくとも1層以上含む第2の領域とを備え、触媒層の外縁からガス拡散層の外縁までが第2の領域に位置するように配置したので、ガス拡散層接合時にガス拡散層端に圧力が強くかかったり、運転中のクリープによって固体高分子電解質膜が一部損傷を受けてもガスリークの増大が抑制され、局部的な燃焼反応などによる固体高分子電解質膜の劣化や電極の短絡を防ぐことが可能となる。このことにより、長寿命の固体高分子電解質膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態である燃料電池用単体セルの断面図を図1に示す。図1において、単体セル100を構成する多孔シート113の中心領域121(以下、領域1という)には、貫通孔117が多数個形成されている。この領域1を取り巻く周囲には貫通孔117が形成されていない領域2が配設されている。ここに、領域1と領域2とを区画する仕切り線118を仮想的に定義する。この多孔シート113の平面図を図2に示す。
そして、この貫通孔117には、イオン交換樹脂が充填されることで、充填層114が形成されている。また、この多孔シート113の両外面には同一のイオン交換樹脂からなる樹脂層125が連設されることで固体高分子電解質膜111が形成されている。この固体高分子電解質膜111の縦断面図を図4に示す。
また、固体高分子電解質膜111の両外面には、それぞれ触媒層127、128が接合されている。この触媒層127、128は、固体高分子電解質膜111の中心部分に形成されており、その周辺には触媒層127、128の接合されない部分が残されている。
そして、これら固体高分子電解質膜111及び触媒層127、128により、膜触媒層接合体131が構成されており、膜触媒層接合体131の触媒層127、128側の両外面には、それぞれガス拡散層133、134が配設されている。このガス拡散層133、134は、触媒層127、128から出入りする電子を効率よく集電するために触媒層127、128と同等か若しくはそれ以上の大きさを有している。
即ち、ガス拡散層133、134は、この触媒層127、128の表面のみならず、側面をも被覆するように配設されており、ガス拡散層133、134は固体高分子電解質膜111と接触面133aで面接触されている。ガス拡散層133、134は、カーボンペーパーやカーボンクロス等で形成されている。また、触媒層127、128の外縁からガス拡散層133、134の外縁までが領域2に位置するように配置されている。
そして、これら膜触媒層接合体131及びガス拡散層133、134により、膜電極接合体137が構成されており、この膜電極接合体137のガス拡散層133、134側の両外面には、セパレータ141、142との間にガス流路147、148が形成されるようになっている。このとき、セパレータ141、142は、固体高分子電解質膜111全面と同じ大きさを有しており、触媒層127、128と正対する部分には、それぞれ凹状の溝145、146が刻設されている。
そして、この溝145、146は、セパレータ141、142及び膜電極接合体137が締め付けられたときに、ガス流路147、148を形成するようになっている。更に、膜触媒層接合体131のうち触媒層127、128及びガス拡散層133、134が接合されていない部分には、燃料ガスならびに酸化剤ガスが外部に漏れないようにシールするためにガスケット153、154が配置されており、ガス流路147、148を外部に対して密封するようになっている。なお、図1中のA−A矢視図を図3に示す。
かかる構成において、触媒層127及び触媒層128の大きさは、一般には、製造上多少異なっている。このため、図1中に示す触媒層127と触媒層128の端縁も現実には多少ずれが生じている。また、この触媒層127、128を被覆するガス拡散層133、134の端縁も同様に多少ずれが生じている。そして、この触媒層127の端縁と触媒層128の端縁のうち、より領域1に近い方を触媒層端縁130と定義する(図1の例では、触媒層128の端縁の方が触媒層127の端縁よりも領域1に近いので、触媒層128の端縁を触媒層端縁130とする)。一方、ガス拡散層133の端縁とガス拡散層134の端縁のうち、より領域1から遠い方をガス拡散層端縁140と定義する(図1の例では、ガス拡散層133の端縁の方がガス拡散層134の端縁よりも領域1から遠いので、ガス拡散層133の端縁をガス拡散層端縁140とする)。
触媒層端縁130からガス拡散層端縁140までが、無孔のシートが配置された領域2に位置するように配置したので、ガス拡散層接合時にガス拡散層端縁140に圧力が強くかかったり、運転中のクリープによって固体高分子電解質膜111が一部損傷を受けてもガスリークの増大が抑制され、局部的な燃焼反応などによる固体高分子電解質膜111の劣化や電極の短絡を防ぐことが可能となる。このことにより、長寿命の燃料電池用の固体高分子電解質膜電極接合体137を提供することができる。
このとき、仕切り線118と触媒層端縁130との距離は、1〜12mm程度が良く、より好ましくは1〜6mm程度であり、更に好ましくは2〜4mm程度である。1mmより小さいと気体が領域2を迂回して領域1を透過するため、膜の劣化抑制効果が十分に発揮されず、12mmより大きいと有効利用されない触媒層部分が増え発電効率が低下して好ましくない。
なお、領域2のガス透過性は、用いるシートの材質と厚み、イオン交換樹脂層の厚み、ガスの種類によって変わるが、領域1のガス透過性の1/2以下であることが好ましく、より好ましくは1/10以下である。領域2のガス透過性が、領域1のガス透過性の1/2より大きいと、領域2におけるガスリーク抑制の効果が十分に発揮されなくなるので好ましくない。
また、多孔シート113の材質としては、実質的にイオン交換基を有しておらず、90℃の熱水に浸漬後の含水率が5%以下のものを用いることが好ましい。5%より大きいと触媒層127、128を接合する際や、燃料電池運転時の押し付け圧力に対してクリープしやすくなり固体高分子電解質膜111が損傷し、また気体透過性も高くなるので好ましくない。
多孔シート113の貫通孔117の1個あたりの平均面積は1×10-3〜20mm2が好ましく、更には8×10-3〜4mm2程度、特に1.5×10-2〜1mm2程度であることが好ましい。例えば、貫通孔117の1個あたりの平均面積が小さすぎると、開口率を一定範囲に維持しようとすれば単位面積あたりの貫通孔117の数が非常に多くなるために生産性が低くなったり、イオン交換樹脂の充填が困難になるおそれがある。
一方、貫通孔117の1個あたりの平均面積が大きすぎると、得られる固体高分子電解質膜111を均一に補強することができず、結果としてその強度が不十分となるおそれがある。そのため、貫通孔117の1個あたりの平均面積を1×10-3〜20mm2程度とすれば、固体高分子電解質膜111に実用上均一で十分な強度を持たせることができ、更に生産性も高く、十分なイオン伝導性を持たせることができる。
また、このような貫通孔117が形成された多孔シート113の中心領域121における開口率は30〜80%であることが好ましく、更には50〜75%、特には62〜70%が好ましい。例えば、開口率が低すぎると、イオン伝導性が妨げられるおそれがあるからである。一方、開口率が高すぎると、得られる固体高分子電解質膜111を十分に補強することができず、その強度が不十分となるおそれがあるからである。
そして、このような貫通孔117の大きさや形状は全て均一とするようにしても良いが、2種以上の大きさや形状を有する孔が混在しても良い。また、貫通孔117の形状は、特に制限されないが、角があるとそれが切りかけとなり補強体としての強度が低下するおそれがあるため、円形あるいは角がない形状であることが好ましい。
貫通孔117の形成に際しては、多孔シート113を機械的に穴あけ加工する方法や、レーザー光線を用いて多孔シート113を形成する方法等があるが、機械的に穴あけ加工する方法は量産性に優れており好ましい方法である。例えば、機械的に打ち抜く方法では、多孔シート113を数十枚から数千枚重ねて、これらに対し数百から数万の貫通孔117を一度に形成できる抜き型を用いることで、短時間で多数の貫通孔117を加工することが可能となる。
また、ドリル加工も適しており、多孔シート113を数十枚から数千枚重ねて、これらに対し多軸NCドリル機を用いて孔あけすることにより、短時間で多数の貫通孔117を加工することができ、低コストで生産することができる。そして、このような多孔シート113の厚さは、これを有する固体高分子電解質膜111を固体高分子型燃料電池に適用する場合には、3〜50μmであることが好ましく、特に5〜30μmであることが好ましい。
例えば、多孔シート113が薄すぎると、得られる固体高分子電解質膜111を十分に補強できないおそれがあり、また領域2で触媒層端部でのガスリーク遮断性を十分に確保できないおそれがあるからである。一方、多孔シート113が厚すぎると、得られる固体高分子電解質膜111も厚くなりすぎてしまい、イオン伝導抵抗が高くなり抵抗損失が大きくなって十分な性能が得られないおそれがあるからである。
また、特に限定されるものではないが、得られる固体高分子電解質膜111を均一に補強できるようにするために、多孔シート113の膜厚は均一であることが望ましい。このような多孔シート113の貫通孔117には、イオン交換樹脂が充填されるようになっており、これにより、多孔シート113に充填層114が形成されるようになっている。
ここで、充填層114を構成するイオン交換樹脂としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる陽イオン交換樹脂が好ましいが、陽イオン交換樹脂であれば、炭化水素系重合体や部分フッ素化された炭化水素系重合体からなる陽イオン交換樹脂等も使用できる。また、イオン交換樹脂は単一でも2種以上のイオン交換樹脂を混合したものでも良い。
なお、この充填層114は、多孔シート113により補強されるため、充填層114自体の強度はあまり高くなくても良い。そのため、充填層114を構成するイオン交換樹脂は、得られる固体高分子電解質膜111の導電性を高めるために、強度が高くなくてもイオン交換容量が高いイオン交換樹脂を使用することが好ましい。
そして、多孔シート113にイオン交換樹脂を充填する方法としては、特に限定されないが、例えばイオン交換樹脂が分散媒(溶媒)に分散(溶解)した液(以下、イオン交換樹脂含有液という)からキャスト法等により形成したキャスト膜を多孔シート113の両外面に熱圧着する方法や、イオン交換樹脂含有液を多孔シート113の一外面又は両外面に塗工する方法や、イオン交換樹脂含有液に多孔シート113を含浸させた後乾燥する方法等がある。
更に、このような多孔シート113は、充填層114が形成された状態のままでも良いが、固体高分子電解質膜111の導電性を向上させるために、更に多孔シート113の少なくとも片面好ましくは両面にイオン交換樹脂のみからなる樹脂層125が形成されても良い。
そして、この場合、樹脂層125を構成するイオン交換樹脂は、充填層114を構成するイオン交換樹脂と同じ材料でも良いが、異なる材料でも良い。そして、異なる材料を用いる場合には、充填層114を構成するイオン交換樹脂よりも例えばイオン交換容量が低くても強度の高いイオン交換樹脂を使用することで、樹脂層125自体の強度を高めることができる。
なお、樹脂層125は、図4に示すように、多孔シート113の両外面の全領域を覆うように形成されても良い。ただし、これに限られず、図5に示すように、多孔シート113の周辺部分115を一部残して中心領域121を全て覆うように中心領域121の面積より大きく形成されても良い。
そして、この樹脂層125の形成に際しては、多孔シート113に充填層114を形成する際の塗工により形成しても良いし、別途樹脂層125を作製しておいてホットプレス等により多孔シート113上に接合しても良い。また、塗工により形成された樹脂層125と、別途作製した樹脂層125との両方で構成されても良い。
更に、多孔シート113上にイオン交換樹脂含有液を塗布して樹脂層125を形成しても良いし、また、別途キャスト法等により樹脂からなる層を作製しておき、この層を多孔シート113の両面に配置し、ホットプレスすることにより充填層114と樹脂層125を同時に形成しても良い。また、これらの方法を繰り返し行ったり、組み合わせて行ったりすることで、樹脂層125を形成しても良い。
そして、以上のようにして充填層114や樹脂層125が形成された多孔シート113は、図1に示した固体高分子電解質膜111を構成するようになっている。固体高分子電解質膜111は複数枚の多孔シート113を有していても良く、その場合には、それぞれ異なるポリマーからなる多孔シート113を積層させても良い。また、この場合、隣接する多孔シート113間で、樹脂層125が形成されていない面同士が直接接触されるものがあっても良いし、樹脂層125同士が接触されるものがあっても良い。
なお、図6〜図8には、本発明の実施形態である燃料電池用単体セルの第2の形態を示す。
図6の燃料電池用単体セルの断面図において、単体セル200の多孔シート213は、領域2の更に外周部に、複数の貫通孔117が形成された領域3が設けられている。この場合の多孔シート213の平面図を図7に、図6中のB−B矢視図を図8に示す。
ここに、領域2と領域3とを区画する仕切り線151を仮想的に定義する。
即ち、領域2は図7に示すように額縁状に形成されている。このように、領域3を設けることにより、膜周辺部においても多孔シート213の貫通孔117を介して両表面のイオン交換樹脂がつながり、多孔シート213とイオン交換樹脂との剥がれを予防することができる。
触媒層端縁130からガス拡散層端縁140までが、領域2の幅内の中間部に位置することが望ましい。また、この領域2の幅は2〜24mm程度が良く、より好ましくは3〜12mm程度であり、更に好ましくは4〜8mm程度である。
更に、領域1と領域2の境界部、領域2と領域3の境界部は、ともに又はいずれか一方の領域において、図9に示すように領域2に近づくにつれて貫通孔117の1個あたりの平均面積が徐々に小さくされるのが望ましい。このように開口率を徐々に小さくすることにより、領域1と領域2の境界、領域2と領域3の境界に応力が集中することを防ぎことができる。同様の理由から、図10に示すように、貫通孔117の数が徐々に減少されても良い。
次に、図12に燃料電池用単体セルの第3の形態(断面図)を示す。図12において、単体セル300を構成する固体高分子電解質膜311の領域1及び領域3には補強材による補強がなされていない。領域2のみが枠状の無孔シートからなる補強材313で補強されている。このため、領域1及び領域3は、プロトン伝導性が高い高分子電解質膜とすることができる。固体高分子電解質膜311及び触媒層127、128により、膜触媒層接合体331が構成されており、膜触媒層接合体331の触媒層127、128側の両外面には、それぞれガス拡散層133、134が配設されている。そして、これら膜触媒層接合体331及びガス拡散層133、134により、膜電極接合体337が構成されており、この膜電極接合体337のガス拡散層133、134側の両外面には、セパレータ141、142との間にガス流路147、148が形成されるようになっている。また、触媒層端縁130からガス拡散層端縁140までが、領域2に位置されることで第1の形態及び第2の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明で用いられる多孔シート材料(構成材料)は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリイミドアミド、及び、ポリベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種である。
この多孔シート113、213は材質によっては接着性が小さいため、表面処理されているとイオン交換樹脂との接着性が高くなり好ましい。表面処理の方法は特には限定されないが、化学エッチング処理やコロナ放電処理、プラズマ表面処理などが好適に用いられる。
本発明の実施形態である燃料電池用単体セルの断面図 多孔シートの平面図 図1中のA−A矢視図 固体高分子電解質膜の縦断面図 固体高分子電解質膜の別例 燃料電池用単体セルの第2の形態(断面図) 同上多孔シートの平面図 図6中のB−B矢視図 領域境界部の構成例 領域境界部の構成別例 経過時間とセル電圧の関係図 燃料電池用単体セルの第3の形態(断面図) 従来の燃料電池用の単体セルの断面図
符号の説明
1、100、200、300 単体セル
11、111、211、311 固体高分子電解質膜
11a 固体高分子電解質膜の両外面
113、213 多孔シート
114 充填層
117 貫通孔
118、151 仕切り線
121 中心領域
125 樹脂層
27、28、127、128 触媒層
130 触媒層端縁
31、131、231、331 膜触媒層接合体
31a 膜触媒層接合体の両外面
33、34、133、134 ガス拡散層
33a、133a 接触面
37、137、237、337 膜電極接合体
37a 膜触媒層接合体の両外面
140 ガス拡散層端縁
41、42、141、142 セパレータ
45、46、145、146 溝
47、48、147、148 ガス流路
53、54、153、154 ガスケット
313 枠状補強材

Claims (14)

  1. 固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜の両面に配設される触媒を含む触媒層と該触媒層を周縁部の内側に支持するガス拡散層とを備える電極と、からなる燃料電池用の固体高分子電解質膜電極接合体において、前記固体高分子電解質膜は膜の厚さ方向全体にプロトン導電性を有する第1の領域と、該第1の領域の外周部に位置し無孔のシートが配置されることにより膜の厚さ方向全体にはプロトン導電性を有しない第2の領域とを有し、前記触媒層の外縁から前記ガス拡散層の外縁までが前記第2の領域に位置するように配置されていることを特徴とする固体高分子電解質膜電極接合体。
  2. 前記固体高分子電解質膜は、前記第2の領域の更に外周部にプロトン導電性を有する第3の領域を有する請求項1に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  3. 前記固体高分子電解質膜は、繊維状補強体、フィブリル状補強体、多孔質膜、織布、不織布及び複数の貫通孔が形成された多孔シートからなる群から選ばれる1種以上の補強材と、該補強材の空隙部に充填されるイオン交換樹脂とからなる充填層を有し、前記第1の領域においては前記補強材が空隙部を有し、該空隙部を介してプロトン導電性を有しており、前記第2の領域においては前記補強材が空隙部を有さない請求項1又は2に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  4. 前記固体高分子電解質膜は、前記充填層と、前記充填層の少なくとも片面に形成された、イオン交換樹脂のみからなる樹脂層とを有する請求項3に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  5. 前記補強材は、前記第1の領域に複数の貫通孔が形成されており、かつ前記第2の領域は貫通孔を有しない多孔シートからなる請求項3又は4に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  6. 前記固体高分子電解質膜は、前記第2の領域の更に外周部にプロトン導電性を有する第3の領域を有し、当該第3の領域において、前記多孔シートは複数の貫通孔を有し前記固体高分子電解質膜が当該貫通孔を介して厚さ方向全体にプロトン導電性を有している請求項5に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  7. 前記各領域の接する境界部であって、該境界部のうちのいずれか少なくとも一つは、前記第2の領域に近づくにつれて貫通孔の1個あたりの平均面積が徐々に小さくなっているか、又は単位面積あたりの貫通孔の数が徐々に減少している請求項5又は6に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  8. 前記貫通孔は、1個あたりの平均面積が1×10-3〜20mm2で、前記多孔シートの厚さ方向に対してほぼ平行に形成されており、前記多孔シートにおける前記第1の領域は、前記貫通孔による開口率が30〜80%である請求項5〜7のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  9. 前記多孔シートが、90℃の熱水に浸漬後の含水率が5%以下の材質で形成されている請求項5〜8のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  10. 前記多孔シートの材質が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、及び、ポリベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項5〜9のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  11. 前記充填層は、前記多孔シートの2層以上の積層体にイオン交換樹脂が充填されたものである請求項5〜10のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  12. 前記固体高分子電解質膜は、前記第2の領域に空隙部を有しない枠状の無孔シートからなる補強材を有し、該補強材により厚さ方向のプロトン伝導性を遮断されており、前記第1の領域には補強材を有しない請求項1又は2に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  13. 前記固体高分子電解質膜をその両面から隣接して挟み込み内縁部が前記触媒層及び前記ガス拡散層の外周部に位置するガスケットを更に備え、
    前記触媒層の外縁部と前記ガス拡散層の外縁部と前記ガスケットの内縁部は前記第2の領域に位置する請求項1〜12のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の固体高分子電解質膜電極接合体の両側にセパレータが配置されたセルが積層されてなることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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