JP2006096893A - ポリウレタン樹脂エマルション - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリウレタン樹脂(U)が、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス (2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,6−ノルボルナンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上を使用し、ポリオールとしてポリカーボネートポリオールまたはポリエーテルポリオールを必須構成成分として使用して製造され、該ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づき2〜4重量%のカルボキシル基、17〜25重量%のウレタン基および7〜15重量%のウレア基を含有するポリウレタン樹脂エマルションである。
【選択図】 なし
Description
例えば、酸価、ヒドロキシル基およびウレタン基の含有量を規定して柔軟性、耐溶剤性を改良したポリエステル−ポリウレタン水性分散液(特許文献−1参照)、ウレア基の含有量を規定して接着性を改良したポリウレタン水性分散液(特許文献−2参照)、およびカルボキシル基などの含有量を規定して硬度を改良したポリウレタン水性分散液(特許文献−3参照)が提案されている。
(a1)のうちエマルションの経日安定性の観点から好ましいのはIPDI、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(特に水添MDI)およびこれらの併用である。
(a21)は、ポリカーボネートポリオール(a211)またはポリエーテルポリオール(a212)を必須成分とする。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族低分子量活性水素原子含有化合物(水酸基当量が30以上150未満の2価〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール、および活性水素原子含有基として1級もしくは2級アミノ基を含有する化合物)のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物が使用できる。
AOが付加される脂肪族多価アルコールには、直鎖もしくは分岐の脂肪族2価アルコール[(ジ)エチレングリコール、(ジ)プロピレングリコール、1,2−,1,3−,2,3−および1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ オール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールお よび1,12−ドデカンジオールなど]および脂環式2価アルコール[環状基を有する低分子ジオール、たとえば 特公昭45−1474号公報記載のもの]、脂肪族3価アルコール[グリセリン、トリメチロールプロパン、トリアルカノールアミンなど]、および脂肪族4価以上のアルコール[ペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリグリセリン、ジペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ソルバイドなど]が挙げられる。
AOが付加される1級もしくは2級アミノ基を含有する化合物としては、アルキル(炭素数1〜12)アミン、および(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数2〜6、アルキレン基の数1〜4、ポリアミンの数2〜5)などが挙げられる。
AOが付加されるフェノール類としては、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど、芳香族アミンとしてはアニリンおよびフェニレンジアミンなどが挙げられる。
芳香族環含有ポリエーテルポリオールとしては、ビスフェノール骨格を有するポリオール、例えばビスフェノールAのEO付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物、ビスフェノールAのEO20モル付加物等]およびビスフェノールAのPO付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物、ビスフェノールAのPO5モル付加物等]、並びにレゾルシンのEOもしくはPO付加物などが挙げられる。
(a212)のうちで好ましいのは、脂肪族ポリエーテルポリオール、特にPTMGである。
(a213)としては、縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオールおよびヒマシ油系ポリオールが挙げられる。
低分子量の多価アルコールとしては、前述の水酸基当量が30以上150未満の2価〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコールおよび水酸基当量が30以上150未満の2価〜8価またはそれ以上のフェノールのAO低モル付加物が使用できる。
多価カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸 、フマル酸、マレイン酸など)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など)および3価またはそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸など)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライドなど)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル、フタル酸ジメチルなど)およびこれらの併用が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオールなどが挙げられる。
変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換および/またはAO付加により製造できる。ひまし油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油、ヒマシ油のEO(4〜30モル)付加物などが挙げられる。
(a3)としては、炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸が使用でき、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPAと略記)、2,2−ジメチロールブタン酸、2 ,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸などが挙げられる。これらの塩、例えばアミン類(トリエチルアミン、アルカノールアミン、モルホリンなど)の塩および/またはアルカリ金属塩(ナトリウム塩など)も使用できる。
これらのうち好ましいものは、モノエチルアミン、モノブチルアミンおよびモノエタノールアミンである。
なお、本発明におけるカルボキシル基含量は、カルボキシル基が中和されたカルボキシレート基(−COO-)であっても該カルボキシレート基からカルボキシル基に換算した含有量をカルボキシル基含量とする。
(U)中のウレタン基[−NH−COO−(分子量59)]含量の下限は通常17.0%、、エマルションの乾燥皮膜の耐溶剤性向上の観点から好ましくは18.0%、さらに好ましくは19.0%であり、上限は通常25.0%、エマルションの製造のし易さの観点から好ましくは24.0%、さらに好ましくは23.0%である。
(U)中のウレア基[−NH−CO−N<(分子量57)]含量の下限は通常7.0%、エマルションの乾燥皮膜の耐溶剤性向上の観点から好ましくは8.0%、さらに好ましくは9.0%であり、上限は通常15%、エマルションの製造のし易さの観点から好ましくは14%、さらに好ましくは13%である。
なお、以下において重量の単位はいずれもgである。
目標とするカルボキシル基含量(%)=[(a3)の仕込量に基づくCOOHに相当する重量÷エマルション製造後の樹脂成分の全重量]×100
ここで、エマルション製造後の樹脂成分の全重量=(プレポリマー製造時の溶媒以外の仕込重量)+(後工程のエマルション製造時の水以外の伸長剤+架橋剤+停止剤の仕込み予定重量)+(伸長剤として作用する水の重量)、であり、伸長剤として作用する水の重量は以下の式によって計算される。(NCO基2分子と水1分子が反応する)
伸長剤として作用する水の重量={プレポリマーの残存NCOの当量数−(アミン系伸長剤の当量数+架橋剤の当量数+停止剤の当量数)}×18÷2
なお、当量数は当該分子のモル数×1分子当たりの平均官能基数である。
目標とするウレタン基含量(%)=[(a2)と(a3)の仕込み当量数の合計×59÷エマルション製造後の樹脂成分の全重量]×100
ウレア基の生成量は、水伸長の場合とアミン伸長の場合で異なるため、次のアミン伸長剤比率を定義する。
アミン伸長剤比率=(アミン系伸長剤の当量数+架橋剤の当量数+停止剤の当量数)÷(アミン系伸長剤の当量数+架橋剤の当量数+停止剤の当量数+伸長剤として作用する水の当量数)
目標とするウレア基含量(%)=100×[{(a1)の仕込み当量数−(a2)と(a3)の仕込み当量数の合計}×57×アミン伸長剤比率]+{(a1)の仕込み当量数−(a2)と(a3)の仕込み当量数の合計}÷2×57×(1−伸長剤比率)]÷エマルション製造後の樹脂成分の全重量
上記ウレタン化反応においては反応を促進させるため、必要により通常のウレタン反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒には、アミン触媒、たとえばトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンおよび米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8−ジア ザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−
7(サンアプロ・製造、DBU)な ど];錫系触媒、たとえばジブチル錫ジラウリレー
ト、ジオクチル錫ジラウリレートおよびオクチル酸錫;チタン系触媒、たとえばテトラブチルチタネートが挙げられる。
停止剤(e2)を含む水性媒体と混合してポリウレタン樹脂エマルションとなし、NCO基が実質的に無くなるまで反応[水または(f)による鎖伸長、および必要により(x)による架橋および/または(e2)による反応停止]を行うことにより製造することができる。水性媒体との混合および反応における温度は、通常10℃〜60℃、好ましくは20℃〜40℃である。
水性媒体の使用量は、ポリウレタン樹脂(U)の含有量がエマルションの重量に基づいて20〜60%、好ましくは30〜50%となるような量である。
水性媒体中の水と親水性溶剤との重量比は通常100/0〜50/50、好ましくは100/0〜80/20 特に好ましくは100/0である。
(S)および/または水性媒体に親水性溶剤を使用した場合には、ポリウレタン樹脂エマルション製造後に必要によりこれらを留去してもよい。
(e2)の使用量は、(u)の遊離NCO基1当量に対して、通常0.5当量以下、好ましくは0.1〜0.4当量となるような量である。
(f)による鎖伸長および必要により(x)による架橋および/または(e2)による反応停止を行う場合には、連続式の乳化機[好ましくは上記2)例えばエバラマイルダー]を用いてプレポリマーを水性媒体中に分散させ、次いでバッチ式乳化機[好ましくは上記1)錨型撹拌方式]を用いて(f)および必要により(x)および/または(e2)を加えて混合してプレポリマーと反応させるのが好ましい。
酸価の測定法およびカルボキシル基への換算式は以下の通りである。
酸価(mgKOH/g):ポリウレタン樹脂エマルションをN,N’ジメチルホルムアミドで約10%(固形分)に希釈し、N/10KOH水溶液で電位差滴定し、ポリウレタン樹脂の固形分当たりの酸価を測定する。
カルボキシル基含量(%):酸価から、次式に従って算出する。
カルボキシル基含量(%)=(酸価/561)×45
なお、(u)の製造時の触媒および/またはポリウレタン樹脂エマルションの中和にアミン化合物を使用した場合は、それらを差し引く必要があり、使用したアミン化合物の沸点が70℃未満の場合は、試料を130℃で2時間、減圧乾燥した後、測定する方法が挙げられる。
また、使用したアミン化合物の沸点が70℃以上の場合は、試料をそのまま測定し、アミン化合物の仕込量から計算されるN原子含量を、定量したN原子含量から引いたものをN原子含量とする方法が挙げられる。
NMR測定については、「NMRによるポリウレタン樹脂の構造研究:武田研究所報34(2)、224−323(1975)」に記載の方法で行うことができる。すなわちH1−NMRを測定して、脂肪族イソシアネートを使用した場合、化学シフト6ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト7ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を測定し、該重量比と上記のN原子含量からウレタン基含量を算出する。
通常20〜60%、好ましくは30〜50%である。固形分濃度の測定は、直径9cmのガラス製シャーレにエマルションを1.5〜2g精秤し、130℃で90分間順風乾燥機内で加熱乾燥した前後の重量変化を水性媒体の重量として算出できる。
本発明のポリウレタン樹脂エマルションのpHは通常7〜9、好ましくは7.5〜8.5である。pHはpHMeterM−12(堀場製作所製)で測定した。
本発明のポリウレタン樹脂エマルションの粘度は、通常20〜1,000mPa・s、好ましくは50〜500mPa・sである。
粘度の測定はBL型粘度計で25℃で行うことができる。
本発明のポリウレタン樹脂エマルションにおけるポリウレタン樹脂の粒子径は、好ましくは50〜250nm、さらに好ましくは60〜220nmである。この範囲であればエマルションの経日安定性がよいという効果が発揮し易い。
バインダー組成物(顔料捺染用バインダー組成物、不織布用バインダー組成物、補強繊維用集束剤組成物、抗菌剤用バインダー組成物など)やコーティング組成物(防水コーティング組成物、撥水コーティング組成物、防汚コーティング組成物など)、人工皮革・合成皮革用原料組成物などに使用することができる。
以下、実施例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、部は重量部を、%は重量%を意味する。
実施例1
撹拌機および加熱器を備えた簡易加圧反応装置に、水酸基価56.1の「ニッポラン980R」(日本ポリウレタン(株)製)を115部、1,6ヘキサンジオールを69部、DMPAを45部、水添MDIを174部、IPDIを205部およびアセトンを200部、窒素を導入しながら仕込んだ。その後80℃に加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、プレポリマーを製造した。ウレタン化反応終了時のNCO含量は、5.7%であった。反応混合物を40℃に冷却後、トリエチルアミン34部を添加・混合し、さらに水1,200部を加えた。生成物を減圧下に65℃で8時間かけて加熱し、アセトンを除去し、ポリウレタン樹脂エマルションを得た。得られたエマルションは前述の方法で分析した。 分析結果を表1に示す。
実施例2〜3および比較例1〜5
実施例1と同様の方法で実施例2〜3および比較例1〜5のポリウレタン樹脂エマルションを表1および表2の原料を用いて製造した。得られたポリウレタン樹脂エマルションの分析値を表1および表2に示す。
<経日安定性>
製造直後のエマルションまたは50℃で3ヶ月保管した後のエマルション100gを200meshのステンレス製網で自然濾過し、イオン交換水100mlで洗浄した。得られた濾過残査を130℃で90分間加熱乾燥し、残査の乾燥重量(g)を測定した。残査の乾燥重量の経日前後の差が少ないほど経日安定性が良好である。
結果を表3に示す。
<耐溶剤性>
JIS K7114に記載の方法に基づき行った。測定サンプルは、ポリウレタン樹脂エマルションをフィルム状にキャストし、105℃、3時間順風乾燥機で乾燥後切り取り、正方形試験片(4cm×4cm×0.2mm)としたものを使用した。試験液としてはn−ヘプタンまたはトルエンを使用した。試験片は23℃の試験液に24時間浸漬した。試験片の浸漬前後の2辺の長さの増加量を測定して平均値を求め、次式で変化率を求めた。変化率(%)=[(浸漬後の長さ−浸漬前の長さ)÷浸漬前の長さ]×100
変化率が小さいほど耐溶剤性が良好である。
Claims (3)
- ポリウレタン樹脂(U)および水性媒体からなるポリウレタン樹脂エマルションであって、該ポリウレタン樹脂(U)が、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス (2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、ノルボルナンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上を使用し、ポリオールとしてポリカーボネートポリオールまたはポリエーテルポリオールを必須構成成分として使用して製造され、該ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づき2〜4重量%のカルボキシル基、17〜25重量%のウレタン基および7〜15重量%のウレア基を含有するポリウレタン樹脂エマルション。
- ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートおよび/またはジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを使用して製造される請求項1記載のポリウレタン樹脂エマルション。
- ポリウレタン樹脂の粒子径が50〜250nmである請求項1または2記載のポリウレタン樹脂エマルション。
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