以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のデジタルカメラの外観図である。
図1(a)には、本実施形態のデジタルカメラ1の、ズームレンズを内蔵するレンズ鏡胴100の沈胴状態が示されており、図1(b)には、デジタルカメラ1の、レンズ鏡胴100の繰出し状態が示されている。図1(c)には、デジタルカメラ1の背面が示されている。
図1に示すデジタルカメラ1のレンズ鏡胴100には、後述するような3群で構成された撮影レンズが内蔵されており、それらのレンズ群を光軸方向に移動させることで焦点距離調節が行なわれるとともに、第3群のフォーカスレンズを光軸方向に移動させることによりピント調節が行なわれる。また、レンズ鏡胴100は、相対的に筒長の短い収納状態と相対的に筒長の長い撮影状態との間で筒長の変更が自在なレンズ鏡胴である。
図1に示すデジタルカメラ1の正面上部には、補助光発光窓12およびファインダ対物窓13aが配置されている。また、このデジタルカメラ1の上面には、シャッタボタン14が配置されている。このシャッタボタン14は、半押しと全押しとの2段階になっており、半押しによって上述のピント調節が行なわれ、全押しによって撮影が行なわれる。尚、レンズ鏡胴100の前面には、沈胴時にレンズ鏡胴の前面を覆うレンズバリア100aが備えられている。
このデジタルカメラ1の背面には、電源スイッチ15、ファインダ接眼窓13b、画像モニタ20、設定表示ボタン16、記録指示ボタン17、画像表示オンオフボタン20a、十字キー19、ズーム操作切替ボタン18が備えられており、ズーム操作切替ボタン18を所定時間押下し続けることでズーム操作モードに入ると、十字キー19の‘上’を指し示すマークを押し続けている間、レンズ鏡胴100が望遠側に移動し、十字キー19の‘下’を指し示すマークを押し続けている間、レンズ鏡胴100が広角側に移動する。ズーム操作モードの解除は、再び、ズーム操作切替ボタン18を所定時間押下し続けることで行なわれる。
画像表示オンオフボタン20aは、画像モニタ20に画像表示を行なうか否かを指示するボタンであり、デジタルカメラ1では、例えこの画像表示オンオフボタン20aがオフにされていても、撮影によって得られた画像は画像モニタ20に所定時間表示されるようになっている。尚、画像モニタ20がオフ時の撮影は、ファインダ13から被写界を確認して行なわれる。
設定表示ボタン16は、現在設定されているシャッタスピードや感度などの値などを表示する際に操作するボタンである。記録指示ボタン17は、撮影した画像をメモリに記録する際に操作するボタンである。
ファインダ接眼窓13bは、前面側のファインダ対物窓13aとの間に光学ファインダを形成している。
電源スイッチ15は、このデジタルカメラ1を起動させるために操作するスイッチである。このデジタルカメラ1では、メモリなどに記録されている画像を画像モニタ20に表示するためのモードである再生モードを指定するためのポジション「再生」、後述する沈胴時撮影を指定するためのポジション「沈胴」、ムービーモードを含む通常の写真撮影を指定するためのポジション「通常」が備えられており、電源をオフするためのポジション「OFF」を含めて電源スイッチ15がスライド可能となっている。尚、図1(c)には、電源スイッチ15がポジション「沈胴」に合わせられている様子が示されている。
このデジタルカメラ1では、電源スイッチ15がポジション「沈胴」からポジション「OFF」にスライドされる力を利用してレンズバリア100aが閉じられ、ポジション「OFF」からポジション「沈胴」にスライドされる力を利用してレンズバリア100aが開かれるようになっている。したがって、電源スイッチ15がポジション「OFF」からポジション「通常」にスライドされる場合には、途中のポジション「沈胴」を通過時にレンズバリア100aが開かれることとなる。
図2は、本実施形態のデジタルカメラの撮影レンズの、繰出時および沈胴時における各レンズ群の撮影光軸上の配置を示す図である。
図2(a)には、電源スイッチ15によって「通常」が選択されている場合での、広角側における第1から第3までのレンズ群の配置が示され、図2(b)には、電源スイッチ15によって「通常」が選択されている場合での、望遠側における第1から第3までのレンズ群の配置が示されている。また、図2(c)には、電源スイッチ15によって「沈胴」が選択されている場合での、沈胴時の各レンズ群の配置が示されているが、ここには、撮影光軸上から退避させられた第2レンズ群(後述する後群レンズ)は図示省略されており、第1(後述する前群レンズ)と第3(後述するフォーカスレンズ)が示されている。尚、本実施形態のデジタルカメラ1では、電源スイッチ15によって、「通常」が選択されている場合の外、「沈胴」が選択されている場合であっても撮影が可能であり、この場合の撮影(以下では、これを沈胴時撮影と称呼する)は、レンズ鏡胴が沈胴している時に撮影光軸上に残っている第1レンズ群と第3レンズ群とによる固定焦点撮影となる。尚、図2には、撮影光軸上にCCDも示されている。
図3は、本発明の第1実施形態のデジタルカメラの、繰出し状態にあるレンズ鏡胴を光軸方向から見て主要部品を示した模式図であり、後述する図8の断層線F−F’に沿う断面図、図4は、図3と同一の断面図上に断層線A−A’を示した図、図5は、図3と同一の断面図上に断層線D−D’を示した図、図6は、図3と同一の断面図上に断層線G−G’を示した図である。図7は、図4の断層線A−A’に沿う、焦点距離最長のテレ端の状態を示す断面図、図8は、図7と同一の断面図上に断層線F−F’を示した図、図9は、図4の断層線A−A’に沿う、焦点距離最短のワイド端の状態を示す断面図、図10は、図6の断層線G−G’に沿う断面図、図11は、図5の断層線D−D’に沿う、ワイド端の状態の主要部品を示す断面図である。また、図12は、図1〜図11に示す第1実施形態のデジタルカメラ1の沈胴状態にあるレンズ鏡胴を、光軸方向から見て主要部品を示した模式図であり、後述する図15の断層線E−E’に沿う断面図、図13は、図12と同一の断面図上に断層線B−B’および断層線C−C’を示した図、図14は、図13の断層線C−C’に沿う断面図、図15は、図14と同一の断面図上に断層線E−E’を示した図、図16は、図13の断層線B−B’に沿う断面図である。
以下では、主に図7を参照するとともに、必要に応じて他の図面も合わせて参照しながら説明する。
図3〜図16に示すレンズ鏡胴100の内部空間101には、光軸方向前方から順に、前群レンズ111、後群レンズ112、およびフォーカスレンズ113の3群からなる撮影レンズ110が収容されている。この撮影レンズ110は、後群レンズ112が図7に示すテレ端と図9に示すワイド端との間で移動することにより焦点距離が変化し、かつフォーカスレンズ113が光軸方向に移動することによりピント調節が行なわれる構成となっている。
この内部空間前端には、撮影レンズ110が覗く開口102が形成されており、また後方には、カメラボディに固定された、あるいはカメラボディの一部を構成する壁部材103が配置され、内部空間101は、その壁部材103、および、後に説明する複数の筒体によりその輪郭が画定されている。
また、これら複数の筒体のうち外径が最小で、繰り出し時には撮影光軸上最も前方に配置される前群枠180の内側に前群レンズ111が保持されている。この前群枠180の内径よりも前群レンズ111の外径が小さいことにより、その前群レンズ111の脇には、その前群レンズ111と前群枠180との間に空間が形成されている。ここで、以降の説明では、この前群レンズ111と前群枠180との間の空間を前群レンズ脇106と呼ぶ。
壁部材103には、CCD固体撮像素子(以下、CCDと略記する)120が内部空間101に突出した状態に取り付けられている。このCCD120が内部空間101に突出した位置に配備されていることにより、そのCCD120の脇には、そのCCD120と壁部材103とで区画された窪み部分104が形成されている。
また、その壁部材103には、送りネジ131(図11参照)が回転自在に支持されており、その送りネジ131には、図11に示すナット部材132が螺合し、そのナット部材132には、フォーカスレンズ113を光軸方向に案内するフォーカスレンズガイド枠133が固定されている。このフォーカスレンズガイド枠133は、ナット部材132に固着されているとともに、そのフォーカスレンズガイド枠133に設けられたフォーク状の溝部133a(図3参照)に、壁部材103から突出するガイド棒205が嵌入している。このため、このフォーカスレンズガイド枠133は、送りネジ131の回転により光軸方向に移動する。
また、このフォーカスレンズガイド枠133には、フォーカスレンズ113を保持するフォーカスレンズ保持枠134が固着されている。
フォーカスレンズガイド枠133が固定されたナット部材132が螺合した送りネジ131は、カメラボディ側に備えられた図示しないフォーカスモータにより回転駆動され、その送りネジ131の回転により、ナット部材132に固定されたフォーカスレンズガイド枠133およびそのフォーカスレンズガイド枠133に固着されたフォーカスレンズ保持枠134が光軸方向に移動し、これにより、そのフォーカスレンズ保持枠134に保持されたフォーカスレンズ113が光軸方向に移動し、CCD120の前面にピントの合った被写体像が写し出されるようにそのフォーカスレンズ113の位置が調整される。
壁部材103には、固定筒140が固定されており、その固定筒140の内側には回転筒150が備えられている。この回転筒150には、その外周に、柱状ギア105(図3参照)と噛合した歯車151が設けられており、その柱状ギア105は、図示しない鏡胴駆動モータにより回転駆動され、これにより、その回転筒150が回動する。また、固定筒140の内壁には、カム溝141が形成されており、回転筒150に固定されたカムピン152がそのカム溝141に嵌入しており、したがって、この回転筒150は、柱状ギア105を介して回転駆動力を受けると、回転しながら光軸方向に前進あるいは後退する。
また、この回転筒150の内側には、回転筒側直進キーリング154が、回転筒150に対し回転自在に、ただし回転筒150に対する光軸方向への相対移動不能に備えられている。さらに、その回転筒側直進キーリング154には、キー板155が固定され、そのキー板155が、固定筒140の内壁に形成された、光軸方向に延びるキー溝142に嵌入し、これにより、その回転筒側直進キーリング154は、固定筒140には光軸方向への移動は自在に回り止めされている。したがって、回転筒150が回転しながら光軸方向に移動すると、回転筒側直進キーリング154は、固定筒140に対し回り止めされていることから回転せずに、ただし光軸方向へは回転筒150とともに移動する。
また、回転筒150の内側には、回動自在な中間筒160が備えられている。回転筒150の内壁には、カム溝156が形成されており、さらに、回転筒側直進キーリング154にもその外周と内周とに貫通したカム溝157が形成されており、回転筒150のカム溝156には、中間筒160に設けられたカムピン161が、回転筒側直進キーリング154のカム溝157を貫通して嵌入している。したがって、回転筒150が回転しながら光軸方向に移動すると、中間筒160も、回転筒160と回転筒側直進キーリング154のカム溝の形状に従って回転しながら、回転筒150に対しさらに相対的に光軸方向に移動する。
この中間筒160の内側には、中間筒側直進キーリング164が配備されている。先に説明した固定筒側直進キーリング154には直進キー溝158が形成されており、中間筒側直進キーリング164は固定筒側直進キーリング154の直進キー溝158に嵌入している。この中間筒側直進キーリング164は、中間筒160に対し相対回転自在であり、一方、その中間筒160に対する光軸方向への相対移動は禁止されている。したがって、中間筒160が回転しながら回転筒150に対し相対的に光軸方向に移動すると、中間筒側直進キーリング164は、回転せずに、中間筒160の光軸方向への移動に伴って光軸方向に直進移動する。
この中間筒160の内壁には、後群ガイド枠170を案内するためのカム溝165が形成されており、このカム溝165には、後群ガイド枠170に固設されたカムピン171が、中間筒側直進キーリング164に対し回り止めされた状態で嵌入している。したがって、中間筒160が回転すると、後群レンズガイド枠170は、中間筒160内壁のカム溝165の形状に応じて光軸方向に直進移動する。
後群レンズガイド枠170には、レンズシャッタユニット179と後群レンズ112を保持する後群レンズ保持枠172が、回転軸173により、この後群レンズガイド枠170に対し回動自在に軸支されている。この後群レンズ保持枠172は、電源スイッチ15によって「OFF」が選択された時には、図14に示すように、後群レンズ112およびレンズシャッタユニット179とともにCCD120脇の窪み部分104に退避し、電源スイッチ15によって「通常」が選択された時には、図7等に示すように、後群レンズ112等とともに撮影光軸上に進出する。この後群レンズ112の前面に位置するレンズシャッタユニット179には、撮影レンズ110を通過する被写体光の光量を制御する絞り部材と、シャッタ速度を制御することにより撮影レンズ110を通過する被写体光の光量を制御するシャッタ部材との双方が備えられており、これらは、PLZT素子を用いて光量を制御する方式のものである。この後群レンズ保持枠172の回動範囲はその後群レンズ保持枠172に保持された後群レンズ112が、撮影レンズ110の撮影光軸上に進出した使用位置(図7、図9参照)と、CCD120脇の窪み部分104に入り込む退避位置(図14参照)との間で旋回する範囲である。また、回転軸173のまわりにはコイルバネ174が備えられており、後群レンズ保持枠172は、そのコイルバネ174により、後群レンズ112が撮影レンズ110の撮影光軸上に旋回する方向にバネ付勢されるとともに、光軸方向にも付勢されている。
後群レンズ保持枠172が回動することによって後群レンズ112が旋回し窪み部分104に設定された退避位置に退避する機構については後で説明する。
中間筒160には、前群レンズ111を保持した前群枠180を案内するためのもう1つのカム溝166が形成されており、このカム溝166には前群枠180に設けられたカムピン181が入り込んでいる。また、この前群枠180は、中間筒側直進キーリング164に、光軸方向への移動が自在に回わり止めされている。したがって、中間筒160が回転すると、前群枠180は、カム溝166の形状に応じて、その中間筒160に対し光軸方向に直進移動する。
このような機構により、図7のテレ端にあるときに電源スイッチ15によって「OFF」が選択された時には、柱状ギア105を介して回転筒150に沈胴方向への回転駆動力が伝達され、図7のテレ端の状態から図9のワイド端の状態を経由して、図14および図16の状態にまで沈胴し、逆に、図14および図16に示す沈胴状態にあるときに電源スイッチ15によって「通常」が選択されて回転筒150に繰出し方向への回転駆動力が伝達されると、図14、図16に示す沈胴状態から図9に示すワイド端の状態にまで繰り出し、さらにワイド端の状態を経由して図7に示すテレ端の状態となる。
電源スイッチ15によって「通常」が選択されて撮影が行なわれる際は、前述したズーム操作スイッチを操作して図7に示すテレ端と図9に示すワイド端との間で焦点距離を調節することにより、所望の撮影画角に設定する。フォーカスレンズ113は、CCD120で得られた画像信号に基づくコントラスト検知により最高のコントラストが得られる位置にピント調節される。その後、シャッタボタンが押されると、CCD120によりそのときの被写体を表わす画像信号が生成され、適切な画像処理が施された後、記録される。
ここで、後群レンズ112を窪み部分104に設定された退避位置へ旋回させる機構について説明する。
後群レンズ112を保持する後群レンズ保持枠172は、前述したように、回転軸173により、後群レンズガイド枠170に回転自在に軸支され、コイルバネ174(図3参照)により後群レンズ112が撮影レンズ110の撮影光軸上に位置する方向にバネ付勢されている。この後群レンズガイド枠170には、図3、図10等に示すレバー部材175も、回転軸176により回転自在に軸支されている。後群レンズ保持枠172には、図3に示すようにフォーク状の係合溝178が設けられており、その係合溝178には、レバー部材175の一端に設けられた係合ピン177が入り込んでいる。
ここで、レンズ鏡胴100の内部空間101の後面を画定する壁部材103には、図10に示すように、レバー部材175の係合ピン177が設けられた方向とは反対側の端部175aの沈胴方向移動軌跡内に、その内部空間101に突出した形状の凸部209が形成されており、その凸部209の先端側にはテーパ面209aが設けられている。したがって、回転筒150が沈胴方向に回転すると中間筒160およびその中間筒160にカム係合された後群ガイド枠170も沈胴方向に移動し、レバー部材175の端部175aが凸部209のテーパ面209aに当たってそのテーパ面209aに沿って動き、これによりそのレバー部材175が、図3に示す回転位置から図12に示す回転位置に回動する。
すると、そのレバー部材175の係合ピン177が後群保持枠172のフォーク状の係合溝178に入り込んでいることから、後群保持枠172も回転軸173のまわりに回動し、後群レンズ112を、図3に示す撮影光軸上の位置から、図12に示す、光軸から外れた退避位置に退避する。この退避位置は、図14に示すように、CCD120の脇に形成された窪み部分104である。
図14、図16に示す沈胴状態から繰出し方向に移動すると、図10に示す、壁部材103から突出した凸部209と、レバー部材175との係合が外れ、後群保持枠175は、コイルバネ174の付勢により、図12に示す状態から図3に示す状態に回動し、それにより、後群レンズ112は、図14に示す退避位置から撮影光軸上の位置に旋回する。
この第1実施形態のデジタルカメラ1では、上述のとおり、後群レンズ112が、撮影光軸上のレンズ群を撮影光軸上から退避させる機構を持たずに撮影光軸上に配置したまま沈胴する従来の沈胴、繰出機構を備えたデジタルカメラにおいてデッドスペースとなり勝ちであるCCD120の脇の窪み部分104に退避されることで薄型化が図られていると共に、撮影光軸上に残っている正の屈折力をもつ前群レンズ111と、同じく正の屈折力をもつフォーカスレンズとにより固定焦点の撮影光学系が形成されている。この固定焦点撮影光学系は、カメラから1m〜2mの距離にピントが合うようになされており、電源スイッチ15によって「沈胴」が選択された時には沈胴時撮影が可能となっている。以下、図17について説明する中で、この沈胴時撮影の詳細についても併せて説明する。
図17は、図1〜図16に示すデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。
このデジタルカメラ1には、前述した、撮影レンズ110、撮影レンズ110を保護するためのバリア100a、レンズシャッタユニット179、およびCCD120が備えられている。デジタルカメラ1では、電源スイッチ15によってポジション「通常」が選択された場合には、バリア100aが開かれた状態で、レンズ鏡胴100は、画角が所定の広角側となるまで繰り出される。一方、電源スイッチ15が「沈胴」位置に設定されて沈胴時撮影が選択された場合には、レンズ鏡胴100の繰り出しは行なわれずにバリア100aの開放だけが行なわれ、前群レンズとフォーカスレンズとにより形成されている固定焦点による撮影が可能となる。なお、電源スイッチ15によって、「通常」が選択された場合が撮影状態を意味し、撮影レンズ110を構成する複数のレンズ群の全てを使って結像する状態であり、ここでいう、沈胴時撮影が収納状態を意味し、該撮影状態のうちの筒長の最も短い状態を超えて筒長が短縮された状態である。
すなわち、撮影レンズが最も広角の位置よりさらに繰り込んだ沈胴位置に移行するとき(収納状態へ移行するときに)、第2のレンズ群が光軸上より退避して、沈胴位置(収納状態)で撮影可能となる。
例えば、複数のレンズ群からなり焦点距離可変であると共にピント調節を行なう撮影レンズを収容し、相対的に筒長の短い収納状態と相対的に筒長の長い撮影状態との間で筒長の変更が自在なレンズ鏡胴において、収納状態への移行に伴って前記複数のレンズ群のうちの少なくとも1つのレンズ群を撮影光軸上から退避させるレンズ退避機構と、撮影状態への移行に伴って退避させたレンズ群を撮影光軸上に進出させるレンズ進出機構とを備え、撮影レンズは、前記収納状態にあるときに、上記複数のレンズ群のうちの撮影光軸上から退避したレンズ群を除く残りのレンズ群によって撮影光学系を成すことにより、撮影可能とする。
また、撮影レンズ110およびレンズシャッタユニット179を経由してCCD120上に結像された被写体像は、CCD120により、アナログの画像信号に変換される。ここで、レンズシャッタユニット179は、CCD120からアナログ信号を読み出すにあたり、光によるスミアの発生を抑えるためのものである。
また、デジタルカメラ1には、補助光発光部130およびファインダ13が備えられており、この補助光発光部130は、補助光発光窓12から低照度時に補助光を発光する。尚、この補助光発光部130は、低照度以外の必要時にも発光させることができる。
このデジタルカメラ1では、電源スイッチ15によって「通常」が選択されている場合には、補助光発光部130の充電が途中であるとシャッタボタン14での全押しは許可されず撮影できないが、電源スイッチ15によって「沈胴」が選択されて沈胴時撮影が選択された場合には、補助光発光部130の充電が途中であってもシャッタボタン14での全押しは許可され撮影が行なわれる。デジタルカメラ1に備えられているファインダ13は、前述したように光学ファインダであり、しかもこの光学ファインダは電源スイッチ15によって「通常」が選択されている場合には、駆動回路508によって焦点距離調節と連動した制御が行なわれるズームファインダである。一方、電源スイッチ15によって「沈胴」が選択されて沈胴時撮影が選択された場合には前述した固定焦点の画角に合わせるようにファインダ13が調節される。
また、このデジタルカメラ1には、アナログ信号処理部501と、A/D部502と、デジタル信号処理部503と、テンポラリメモリ504と、圧縮伸長部505と、内蔵メモリ(またはメモリカード)506と、画像モニタ20(図1参照)と、駆動回路508とが備えられている。CCD撮像素子120は、駆動回路508内のタイミング発生回路(図示せず)によって発生したタイミングで駆動され、アナログの画像信号を出力する。
また、駆動回路508には、撮影レンズ110、レンズシャッタユニット179、補助光発光部130等を駆動する駆動回路も含まれており、この駆動回路508では、電源スイッチ15によって「通常」が選択されている場合には、前述したフォーカスレンズ(第3群)の撮影光軸上の移動はコントラストが最大となるように行われるが、電源スイッチ15によって「沈胴」が選択されて沈胴時撮影が選択された場合には、フォーカスレンズ(第3群)は沈胴時にカメラから1m〜2m間の距離にピントが合うように配置されたまま固定されている。CCD撮像素子120から出力されたアナログの画像信号は、アナログ信号処理部501でアナログ信号処理され、A/D部502でA/D変換されてデジタル信号処理部503でデジタル信号処理される。デジタル信号処理された信号を表わすデータはテンポラリメモリ504に一時的に格納される。テンポラリメモリ504に格納されたデータは、圧縮伸長部505で圧縮されて内蔵メモリ(またはメモリカード)506に記録される。尚、撮影モードによっては、圧縮の過程を省いて内蔵メモリ506に直接記録してもよい。テンポラリメモリ504に格納されたデータは画像モニタ20に読み出され、これにより画像モニタ20に被写体の画像が表示される。
さらに、このデジタルカメラ1には、このデジタルカメラ1全体の制御を行なうCPU509と、ズーム操作スイッチ等を含む操作スイッチ群510と、シャッタボタン14とが備えられており、操作スイッチ群510を操作して、所望の画角に設定することを含む所望の撮影状態に設定してシャッタボタン14を押下することにより写真撮影が行なわれる。
以上で本発明の第1実施形態についての説明を終了し、以下では本発明の他の実施形態について説明する。以下に説明する各実施形態では、デジタルカメラの外観については、図1に示す第1実施形態における外観をそのまま流用することとし、各実施形態の特徴的な点の説明に留める。
図18は、本発明の第2実施形態としてのデジタルカメラの断面図である。
図18に示す、本実施形態のデジタルカメラの断面図は、第1実施形態の図14に相当する図であり、本実施形態と第1実施形態との相違点は、第1実施形態では後群レンズ112はCCD120の脇の窪み部分104に退避させられているのに対し、本実施形態では前群レンズ脇106に退避させられている点のみである。尚、本実施形態のこの他の説明については、第1実施形態においてした説明と重複するので省略する。
この第2実施形態のデジタルカメラでも、沈胴時に、後群レンズ112が、撮影光軸上のレンズ群を撮影光軸上から退避させる機構を持たずに撮影光軸上に配置したまま沈胴する従来の沈胴、繰出機構を備えたデジタルカメラにおいてデッドスペースとなり勝ちである前群レンズ脇106に退避されることで薄型化が図られていると共に、撮影光軸上に残っている正の屈折力をもつ前群レンズ111と、同じく正の屈折力をもつフォーカスレンズとにより固定焦点の撮影光学系が形成されており、これにより沈胴時撮影が可能となる。
図19、図20は、本発明の第3実施形態のデジタルカメラの、それぞれ操出状態および沈胴状態のレンズ鏡胴断面を示す図である。この図19、図20のレンズ鏡胴は、相対的に筒長の短い収納状態と相対的に筒長の長い撮影状態との間で筒長の変更が自在なレンズ鏡胴である。
ここには、第1実施形態における、PZLT素子を用いたレンズシャッタユニット179(例えば図7を参照)に代わり、機械的な絞り部材とシャッタ部材とで構成されたメカニカルシャッタユニット279が備えられている。また、第1実施形態におけるレンズシャッタユニット179は、後群レンズ112を保持する後群レンズ保持枠172にその後群レンズ112とともに固定されているが、この第2実施形態におけるレンズシャッタユニット279は、後群レンズ保持枠172に固定されているのではなく、図19に示すように、その後群レンズ保持枠172を回転自在に軸支する後群レンズガイド枠170に固定されている。したがって、図20に示すように、沈胴により後群レンズ112が光軸から退避しても、レンズシャッタユニット279は撮影光軸上に留まっている。したがって、この第2実施形態の場合、沈胴時撮影においても絞りやシャッタを作動させ、スミア防止等を図ることができる。
また、この第2実施形態はCCD120を備えたデジタルカメラの例であるが、レンズシャッタユニット279が沈胴時にも撮影光軸上に留まっておりレンズ鏡胴を通過してくる光を遮断することができるため、銀塩フィルム上に写真撮影を行なうタイプのカメラにも適用することができる。
以上に説明した第1実施形態および第2実施形態では、後群レンズ112を撮影光軸上から退避する際に、絞り部材とシャッタ部材との双方を備えたレンズシャッタユニットも共に退避する例、および、絞り部材とシャッタ部材との双方を備えたレンズシャッタユニットを撮影光軸上に留めておく例を説明したが、本発明はこれに限るものではなく、シャッタ部材がフォーカスレンズ保持枠に備えられ、絞り部材が後群レンズと共に退避するものであってもよく、また、絞り部材がフォーカスレンズ保持枠に備えられ、シャッタ部材が後群レンズ枠に備えられるものであってもよい。ここで、撮影光軸上に絞り部材が残る場合、沈胴時撮影において、絞り値を通常撮影より小さくすることで後群退避により生じる球面収差を補正してもよい。また、絞り部材によらず画角を小さくすることで、後群退避により生じる像面湾曲の影響を小さくすることが可能である。
また、第1実施形態および第2実施形態では、光量制御用部材としてPLZT素子を用いた旨説明したが、これが液晶を利用したものであっても良い。また、必ずしも電気光学素子を用いたものである必要はなく、開口径やシャッタ速度を機械的に制御するメカニカルシャッタユニットを備えてもよく、その他、撮影光軸上に所定開口のアイリスを進退させるアイリス絞りユニットを用いたものであってもよい。
さらに、以上に説明した第1実施形態および第2実施形態では、デジタルカメラの中でも静止画撮影用のデジタルカメラを念頭に置いて説明したが、動画撮影用のデジタルカメラ、あるいは静止画撮影と動画撮影との両用のデジタルカメラについても、本発明を同様に適用することができる。
また、第2実施形態のように沈胴時においてもレンズシャッタユニットを撮影光軸上に残しておく構成の場合、銀塩写真フィルム上に写真撮影を行なうタイプのカメラにも本発明を適用することができる。
さらに、各実施形態では、撮影レンズとして、光軸方向前方から順に、前群レンズ、後群レンズ、およびフォーカスレンズの3群で構成され、焦点距離可変であるとともにフォーカスレンズの移動によりピント調節を行なうタイプの撮影レンズを例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、本発明は、撮影光軸上に並ぶ、フォーカスレンズを含む複数のレンズ群からなり、焦点距離可変であるとともにフォーカスレンズの移動によりピント調節を行なうタイプの撮影レンズを備えたカメラ一般に適用することができ、また、沈胴時に、複数のレンズ群のうちの少なくとも1つを撮影光軸上から退避させることで薄型化が図れるとともに、撮影光軸上に残ったレンズ群によって固定焦点の撮影光学系が形成されるものであれば、複数のレンズ群のうちのいずれが撮影光軸上から退避するものであってよい。
図21は、本発明の第3実施形態のデジタルカメラの撮影レンズの、繰出時および沈胴時における各レンズ群の撮影光軸上の配置を示す図である。尚、図21の左側が対物側であり、図21の右側にはCCD撮像素子120も示されている。
この図21に示す第3実施形態の撮影レンズは、前群レンズ301と後群レンズ302からなる2群構成のズームレンズである。
図21(a)には、広角撮影時の、前群レンズ301および後群レンズ302の配置が示され、図21(b)には、望遠撮影時の、前群レンズ301および後群レンズ302の配置が示されている。また、図21(c)には、沈胴時の、前群および後群レンズ群の配置が示されているが、ここには、前群レンズ301が撮影光軸上から退避し、後群レンズ302のみが撮影光軸上に残っている様子が示されている。
なお、第1実施形態と同様に第3実施形態のデジタルカメラは、図1で説明したように、電源スイッチ15によって、「通常」が選択された場合が撮影状態を意味し、撮影レンズ110を構成する複数のレンズ群の全てを使って結像する状態であり、ここでいう、沈胴時撮影が収納状態を意味し、記撮影状態のうちの筒長の最も短い状態を超えて筒長が短縮された状態である。
すなわち、撮影レンズが最も広角の位置よりさらに繰り込んだ沈胴位置に移行するとき(収納状態へ移行するときに)、第2のレンズ群が光軸上より退避して、沈胴位置(収納状態)で撮影可能となる。
例えば、光軸方向前方から順に前群レンズおよび後群レンズの2群レンズからなり焦点距離可変であると共にピント調節を行なう撮影レンズを収容し、相対的に筒長の短い収納状態と相対的に筒長の長い撮影状態との間で筒長の変更が自在なレンズ鏡胴において、収納状態への移行に伴って複数のレンズ群のうちの少なくとも1つのレンズ群を撮影光軸上から退避させるレンズ退避機構と、撮影状態への移行に伴って退避させたレンズ群を撮影光軸上に進出させるレンズ進出機構とを備え、撮影レンズは、前記収納状態にあるときに、上記複数のレンズ群のうちの撮影光軸上から退避したレンズ群を除く残りのレンズ群によって撮影光学系を成すことにより、撮影可能とする。
本実施形態のデジタルカメラでは、図21(c)に示すように、沈胴時には、撮影光軸上から前群レンズ301が退避しても、撮影光学上に残った後群レンズ302が固定焦点の撮影光学系を成すために、レンズ鏡胴が沈胴した状態にあっても撮影を行なうことができる。また、ここでは、前群レンズ301が撮影光軸上から退避されるために、レンズ鏡胴を沈胴したときにレンズ群を退避せずに撮影光軸上の複数のレンズ群の間の距離を単に縮めた場合よりも沈胴時の薄型化が図られている。尚、本実施形態のデジタルカメラでは、沈胴時の撮影の際には、後群レンズのみによる撮影により、撮影画像が収差の影響を受けたものとなることをなるべく避けるために、画角が狭く、絞りが絞られた状態での撮影が行なわれるように設定されている。
尚、前群レンズ301を撮影光軸上から退避させる機構は、第1実施形態における後群レンズ112(例えば図7参照)を撮影光軸上から退避させる機構を前群レンズ301に適用すればよく、ここでは、図示および説明は省略する。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図22は、第3実施形態における図21に相当する、第4実施形態のデジタルカメラの撮影レンズの、繰出時および沈胴時における各レンズ群の撮影光軸上の配置を示す図である。
本実施形態と第3実施形態との相違点は、本実施形態のデジタルカメラには、通常撮影時には撮影光軸外に待機し、沈胴時に限り撮影光軸上に進出してくる補正レンズ303が備えられている点のみである。
図22(a)には、本実施形態であるデジタルカメラの広角撮影時の、前群レンズ301、後群レンズ302、および、撮影光軸外に待機する補正レンズ303が示されており、図22(b)には、本実施形態であるデジタルカメラの望遠撮影時の、前群レンズ301、後群レンズ302、および、撮影光軸外に待機する補正レンズ303が示されている。つまり、本実施形態では、補正レンズ303は、通常撮影時においては撮影光軸上から退避した状態に置かれている。
図22(c)には、沈胴時の、前群および後群レンズの配置が示されているが、ここには、前群レンズ301が撮影光軸上から退避する代わりに、撮影光軸上に残った後群レンズ302の後側に補正レンズ303が進出している様子が示されている。
図22に示す補正レンズ303は、沈胴時に撮影光軸上に残る、本実施形態においては後群レンズ302の収差を補正する役目を果たすレンズである。
本実施形態のデジタルカメラでは、図22(c)に示すように、沈胴時に撮影光軸上から前群レンズ301が退避しても、撮影光軸上に残った後群レンズ302と補正レンズ303とが固定焦点の撮影光学系を成すために、レンズ鏡胴が沈胴していても撮影を行なうことができる。尚、本実施形態では、第3実施形態において行なわれていた、画角を狭く絞りが絞られた設定での撮影を、この補正レンズの採用により、画角をより広く絞りを開けた設定とすることができる。また、この補正レンズには、撮影光軸上から退避された前群レンズと比べ十分に厚みの薄いものが採用されている。沈胴時には前群レンズ301が撮影光軸上から退避されているために、レンズ鏡胴を沈胴したときにいずれのレンズ群も退避させることなく、撮影光軸上のレンズ群どうしの間の距離を単に縮めた場合よりも薄型化が図られている。
尚、沈胴時に補正レンズ303を撮影光軸上に進出させる機構は、公知のどのような機構を採用してもよく、例えば第1実施形態における後群レンズ(例えば図7参照)を撮影光軸上から退避させる機構と同様な機構により沈胴時に撮影光軸上に進出するように構成してもよい。
次に本発明の第5の実施形態について説明する。
図23は、本発明の第5実施形態のデジタルカメラ300の外観図である。
図23(a)には、本実施形態の撮影装置が備えるレンズ鏡胴310の沈胴状態が示されており、図23(b)には、デジタルカメラ300の、レンズ鏡胴310の繰出し状態が示されている。図23(c)には、デジタルカメラ300の背面が示されている。
図23に示すデジタルカメラ300のレンズ鏡胴310には、後述するような4群で構成された撮影レンズが内蔵されており、それらのレンズ群を光軸方向に移動させることで焦点距離調節が行なわれるとともに、第4群のフォーカスレンズを光軸方向に移動させることによりピント調節が行なわれる。このレンズ鏡胴310は、相対的に筒長の短い収納状態と相対的に筒長の長い撮影状態との間で筒長の変更が自在なレンズ鏡胴である。
図23に示すデジタルカメラ300の正面上部には、補助光発光窓12およびファインダ対物窓13aが配置されている。また、このデジタルカメラ300の上面には、シャッタボタン14が配置されている。このシャッタボタン14は、半押しと全押しとの2段階になっており、半押しによって上述のピント調節が行なわれ、全押しによって撮影が行なわれる。尚、レンズ鏡胴310の前面には、沈胴時にレンズ鏡胴310の前面を覆うレンズバリア310aが備えられている。
このデジタルカメラ1の背面には、電源スイッチ15、ファインダ接眼窓13b、画像モニタ20、設定表示ボタン16、記録指示ボタン17、画像表示オンオフボタン20a、十字キー19、ズーム操作切替ボタン18が備えられており、ズーム操作切替ボタン18を所定時間押下し続けることでズーム操作モードに入ると、十字キー19の‘上’を指し示すマークを押し続けている間、レンズ鏡胴100が望遠側に移動し、十字キー19の‘下’を指し示すマークを押し続けている間、レンズ鏡胴310が広角側に移動する。ズーム操作モードの解除は、再び、ズーム操作切替ボタン18を所定時間押下し続けることで行なわれる。
画像表示オンオフボタン20aは、画像モニタ20に画像表示を行なうか否かを指示するボタンであり、デジタルカメラ300では、例えこの画像表示オンオフボタン20aがオフにされていても、撮影によって得られた画像は画像モニタ20に所定時間表示されるようになっている。尚、画像モニタ20がオフ時の撮影は、ファインダ13から被写界を確認して行なわれる。
設定表示ボタン16は、現在設定されているシャッタスピードや感度などの値などを表示する際に操作するボタンである。記録指示ボタン17は、撮影した画像をメモリに記録する際に操作するボタンである。
ファインダ接眼窓13bは、前面側のファインダ対物窓13aとの間に光学ファインダを形成している。
電源スイッチ15は、このデジタルカメラ300を起動させるために操作するスイッチである。このデジタルカメラ1では、メモリなどに記録されている画像を画像モニタ20に表示するためのモードである再生モードを指定するためのポジション「再生」、後述する沈胴時撮影を指定するためのポジション「沈胴」、ムービーモードを含む通常の写真撮影を指定するためのポジション「通常」が備えられており、電源をオフするためのポジション「OFF」を含めて電源スイッチ15がスライド可能となっている。尚、図23(c)には、電源スイッチ15がポジション「沈胴」に合せられている様子が示されている。
このデジタルカメラ300では、電源スイッチ15がポジション「沈胴」からポジション「OFF」にスライドされる力を利用してレンズバリア310aが閉じられ、ポジション「沈胴」にスライドされる力を利用してレンズバリア310aが開かれるようになっている。したがって、電源スイッチ15がポジション「OFF」からポジション「通常」にスライドされる場合には、途中のポジション「沈胴」を通過時にレンズバリア310aが開かれることとなる。
図24〜図26は、本実施形態のデジタルカメラの撮影レンズの、繰出時および沈胴時における各レンズ群の撮影光軸上の配置を示す図である。
図24には、電源スイッチ15によって「通常」が選択されている場合での、広角側における第1から第4までのレンズ群の配置が示され、図25には、電源スイッチ15によって「通常」が選択されている場合での、望遠側における第1から第4までのレンズ群の配置が示されている。また、図26には、電源スイッチ15によって「沈胴」が選択されている場合での、沈胴時の各レンズ群の配置が示されている。尚、本実施形態のデジタルカメラ300では、電源スイッチ15によって、「通常」が選択されている場合の外、「沈胴」が選択されている場合であっても撮影が可能であり、この場合の撮影(以下では、これを沈胴時撮影と称呼する)は、レンズ鏡胴が沈胴している時に撮影光軸上に残っている第1レンズ群と第3レンズ群とによる固定焦点撮影となる。図24〜図26には、撮影光軸上にCCDも示されている。
電源スイッチ15によって「通常」が選択されて撮影が行なわれる際は、前述したズーム操作スイッチを操作して図25に示すテレ端と図24に示すワイド端との間で焦点距離を調節することにより、所望の撮影画角に設定する。フォーカスレンズ440は、CCD500で得られた画像信号に基づくコントラスト検知により最高のコントラストが得られる位置にピント調節される。その後、シャッタボタンが押されると、CCD500によりそのときの被写体を表わす画像信号が生成され、適切な画像処理が施された後、記録される。
なお、本実施形態のデジタルカメラは、電源スイッチ15によって、「通常」が選択された場合が撮影状態を意味し、撮影レンズを構成する複数のレンズ群の全てを使って結像する状態であり、ここでいう、沈胴時撮影が収納状態を意味し、記撮影状態のうちの筒長の最も短い状態を超えて筒長が短縮された状態である。
すなわち、撮影レンズが最も広角の位置よりさらに繰り込んだ沈胴位置に移行するとき(収納状態へ移行するときに)、第2のレンズ群が光軸上より退避して、沈胴位置(収納状態)で撮影可能となる。
例えば、光軸方向前方から順に第1群、第2群、第3群および第4群からなり焦点距離可変であると共にピント調節を行なう撮影レンズを収容し、相対的に筒長の短い収納状態と相対的に筒長の長い撮影状態との間で筒長の変更が自在なレンズ鏡胴において、収納状態への移行に伴って複数のレンズ群のうちの少なくとも1つのレンズ群を撮影光軸上から退避させるレンズ退避機構と、撮影状態への移行に伴って退避させたレンズ群を撮影光軸上に進出させるレンズ進出機構とを備え、撮影レンズは、前記収納状態にあるときに、上記複数のレンズ群のうちの撮影光軸上から退避したレンズ群を除く残りのレンズ群によって撮影光学系を成すことにより、撮影可能とする。
ここで、図24〜図26に加えて図27〜図29を参照してレンズ鏡胴310の構成を説明する。
前述したように、図24,図25および図26は、図23に示すデジタルカメラに組み込まれたレンズ鏡胴310の、光軸に沿う断面図であり、それぞれ、ワイド端、テレ端および沈胴状態を示す図であって、図27は、図24に示した状態のレンズ鏡胴を輪切りにして、図24に示す矢印A−A’の方向から見た断面図であり、図28は、図25に示した状態のレンズ鏡胴を輪切りにして図25に示す矢印B−B’の方向から見た断面図であり、図29は、図26に示した状態のレンズ鏡胴を輪切りにして、図26に示す矢印C−C’の方向から見た断面図である。尚、図24は、図27に示す矢印D−D’に沿う断面図であり、図25は、図28に示す矢印E−E’に沿う断面図であり、図26は、図29に示す矢印F−F’に沿う断面図である。また、図30は、図24〜図29に示すレンズ鏡胴を構成する3段の筒のうちの最外郭側の筒の内周と、3段の筒の中間の筒の、内周に設けられたカム溝を説明する展開図である。以降の説明においては、3段筒の最外郭側の筒を固定筒313と記載し、3段筒の中間の筒を中間筒312と記載し、最内側の筒を前筒311と記載する。
このレンズ鏡胴310には、第1レンズ群410と第2レンズ群420と第3レンズ群430と第4レンズ群440とからなる4群構成のズームレンズが内蔵されている。この4群構成のズームレンズのうちの最後尾にある第4レンズ群440は、フォーカスレンズとして用いられる。この例においては、光軸方向前方から順に第1群、第2群、第3群および第4群からなり焦点距離可変であるとともに第4群によりピント調整を行う撮影レンズがレンズ鏡胴内に収容されており、第1群から順に、それぞれ、正の屈折力、負の屈折力、正の屈折力、および正の屈折力を持つレンズ群で4群が構成されている。
図24、図25、図26に示すように、第1レンズ群410は前筒311に保持されており、この前筒311にはカムピン3111(図25参照)が備えられている。このカムピン3111は、中間筒312の内周に設けられているカム溝3123(図25および図30参照)と係合している。また、その中間筒312にもカムピン3124が備えられており、そのカムピン3124が固定筒313の内周のカム溝3131(図30参照)と係合している。また、直進キー320には前筒311の凸部3112が嵌め合わされる直進溝3204が設けられており、その凸部3112と直進溝3204との嵌合部(図24参照)が前筒311の回転止めになっている。したがって、前筒310と直進キー320は光軸方向への相対移動のみが可能であり、光軸まわりの回転はしない。
ここで中間筒312はズームモータ3300(図28,図29参照)により回転するように構成されており、ズームモータ3300に駆動されて中間筒312が回転すると、固定筒313の内周面のカム溝3131の形状(図30参照)に沿って中間筒312が回転しながら光軸方向に移動し、その回転しながら移動する中間筒312とのカム係合によりカム溝3123の形状に沿って前筒311が光軸方向に移動する。図28、図29には、ズームモータ3300と中間筒312との連結状態が示されており、ズームモータ3300から連結ギア3302(図28参照)によって中間筒312の内周に設けられたギア3125に回転力が与えられ、中間筒312が回転する構成が示されている。
また固定筒313の直進溝3132には直進キー320が進退自在に係合している。さらにこの直進キー320に設けられたカムピン3203が中間筒312のカム溝3122(図30参照)と係合することによって中間筒312が直進キー320に回転自在に係合している。したがって、この中間筒312が固定筒313との間のカム係合により回転に伴って進退するとその中間筒312とともに直進キー320も進退する。
このように中間筒312は、光軸まわりの相対回転が可能であり、光軸方向には、直進キー320と一体的に移動可能である。
ここで各レンズ群を保持するレンズ群保持枠のうち、第2レンズ群420を保持する第2レンズ群保持枠421と第4レンズ群440を保持する第4レンズ群保持枠441と中間筒312との係わりと、直進キー320と第3レンズ群430との係わり、さらに中間筒312と固定筒313との係わりを、図24〜図30を参照して詳細に説明する。また、本実施形態の例では、レンズ鏡胴の更なる短縮化を図るために第2レンズ群および第4レンズ群を退避位置に退避させる構成が示されている。この退避機構についても各レンズ群の係わりを説明していく中で随時説明する。
まず、第2レンズ群420を保持する第2レンズ群保持枠421は直進キー320から延びている第2レンズ群支持枠422に移動自在に支持されており、そのレンズ群支持枠422の外周にカムピン3211が備えられている。そのカムピン3211は、直進キー320のキー溝320aを貫通して中間筒312の内周に設けられたカム溝3121(図24および図30参照)と係合している。また、図24、図30に示すように、直進キー320は、第2レンズ群支持枠422を介して第2レンズ群保持枠421を支持するとともに第3レンズ群430を直接支持しており、さらに第4レンズ群440を、柱状ネジ3201(図25参照)からなる移動機構を介して支持している。
前述したように直進キー320に支持されている第2レンズ群支持枠422にはカムピン3211が設けられており、そのカムピン3211が直進キー320のキー溝320aを貫通して中間筒312のカム溝3121と係合している。このカムピン3211がカム溝3121の形状に沿って移動すると、そのキー溝320aに案内されて第2レンズ群420がテレ端からワイド端まで、あるいはワイド端からテレ端まで移動する。
また中間筒312は、その外周に植設されたカムピン3124を備えており、そのカムピン3124が固定筒313の内周に設けられたカム溝3131と係合している。このカム溝3131は、図26に示す沈胴状態から図25に示すテレ端まで繰り出す間に所定の角度回転するように溝(図30中、符号kで示す領域)が延びている。したがってズームモータ3300(図28,図29参照)からの駆動力を受けて、中間筒312は、そのカム溝3131に従って、沈胴状態(図26)からテレ端(図25)に至る間に所定の角度だけ回転しながら光軸方向に繰り出され、その中間筒312の繰り出しにしたがって、前筒311はカム溝3123の形状(図30中、符号mで示す領域)に沿って回転せずに繰り出される。この中間筒312が繰り出された状態にあるときに、ズームスイッチがワイド側に操作されると、中間筒312はその位置(図30中、符号lで示す領域)で回転し、その回転により第2レンズ群420がカム溝3121の形状(図30中、符号pで示す領域)に沿ってワイド端まで移動する。このようにしてズームスイッチの操作に応じたズーミングが行なわれる。
ここで第2レンズ群420を保持する第2レンズ群保持枠421は、第2レンズ群支持枠422に支持されており、その第2レンズ群支持枠422は直進キー320に支持されている。この第2レンズ群支持枠422には第2レンズ群保持枠421を光軸から退避させるように第2レンズ群保持枠421を回転させる回動軸422aが設けられている。一方、第2レンズ群保持枠421には、その回動軸422aと嵌合する貫通孔422cが穿設されている。第2レンズ群保持枠421の貫通孔422cを通して回動軸422aが挿通され、その第2レンズ群保持枠421が光軸前方に付勢されるように回動軸422aの基端側にはバネ422bが巻回されている。このバネ422bは捻じりばねの作用も持っており、回動軸422aを中心にして第2レンズ群保持枠421を回動させる方向に付勢するためのものでもある。沈胴時には、このバネ422bが前筒311にある押圧部311aに第2レンズ群保持枠421が押圧されるため基端側に第2レンズ群420が移動して鏡胴内にコンパクトに収納され(図26参照)、繰出時には第1レンズ群410を保持する前筒の押圧部311a(図24参照)が第2レンズ群支持枠421から離間するため、そのバネ422bにより第2レンズ群420が光軸前方に付勢される。このときには、バネ422bにより第2レンズ群保持枠420が回動方向にも付勢されて第2レンズ群420の中心が光軸と精度良く一致するように第2レンズ群保持枠421の突起部4212が止棒4221に当接してその当接位置に第2レンズ群が保持される。
またレンズ群保持枠421には回動軸422aを境にして一方側に保持枠421が、他方側に延設部4211が設けられている。この延設部4211は、第2レンズ群420が直進キー320とともに沈胴していくときに切替凸部3133に係合するものであり、切替凸部は直進キーが後退する方向に沿って斜面を有するものである。
したがって、この延設部4211が沈胴時に切替凸部3133の斜面に沿って移動すると、レンズ群保持枠421が回動軸422aを中心に直進キー320に当接する位置(図29参照)まで回転する。
この実施例では、第2レンズ保持枠421と、その保持枠421の延設部4211と、その保持枠421の、その延設部とは反対側の端部4212と、捻りバネ421bと、直進キー320に支持された第2レンズ群支持枠422に設けられた止め棒4221と、本体側に設けられた切替凸部3133とを含む一連の部材で第2レンズ群420の進退機構が構成されている。
また、第3レンズ群430は直接直進キー320に支持されており、その直進キー320には、フォーカスモータとそのフォーカスモータのギアヘッドに噛合されている柱状ネジとからなる移動機構を介して第4レンズ群440も支持されている。この第4レンズ群440はレンズ群保持枠441に保持され、そのレンズ群保持枠441には貫通孔441aが設けられ、その貫通孔441aに直進キー320に設けられたガイド棒3202が挿通されている。また柱状ネジ3201には、その柱状ネジ3201に螺合するナット3201aが螺入されており、そのナット3201aがレンズ群保持枠441に設けられた突出部4411と係合している。一方、レンズ群保持枠441を光軸方向に精度良く案内するガイド棒3202にはバネ441bが巻回されており、そのバネ441bによりレンズ群保持枠441がそのナット3201a側に付勢されている。
またこの例においては、その第4レンズ群保持枠441にも第2レンズ群保持枠421と同様の進退機構が設けられており、第4レンズ群保持枠441の延設部4411が退避ガイド3134と沈胴時に係合すると第4レンズ群440が第2レンズ群420と同様に光軸から退避する(図26参照)。そうすると第1レンズ群410と第3レンズ群430をできる限り押し込んで並べて詰め込み、さらにその第1レンズ群410と第3レンズ群430の上部または下部に第2レンズ群420と第4レンズ群440を二次元的に詰め込むことができ、鏡胴の更なる短縮化が図れる。また、図26に示す沈胴状態にあるときに第1レンズ群410と第3レンズ群430によって固定焦点の撮影光学系が形成され、沈胴状態にあっても咄嗟のときに撮影を行うことができるようになっている。
また前述したように第4レンズ群440を光軸方向に移動させるためのフォーカスモータ3200も直進キー320に支持されており、図25に示す柱状ネジ3201には、直進キー320に支持されたフォーカスモータ3200の回転駆動力がギア列を介して伝達されてこの柱状ネジ3201が回転する。その回転に伴ってその柱状ネジ3201の回転に応じた分だけ、その柱状ネジ3201に回転自在に螺入されたナット3201aが移動してそのナット3201aと係合しているレンズ群保持枠441が移動してピントが調整される。
ここでは、撮像素子500で生成された画像データに基づいて図示しない制御装置から直進キーに支持されているフォーカスモータ3200へ駆動指令が発せられてピントの調整が行なわれて撮影が行われる。
このようにしてピントの調整が行われた後、シャッタボタン304が押されたら、直進キーに支持されているシャッタユニット330が駆動され、さらに電子シャッタが駆動されて撮影が行なわれる。これにより、第1レンズ群410、第2レンズ群420、第3レンズ群430、および第4レンズ群(フォーカスレンズ)440を経由した被写体光は、撮像素子500の受光面に結像し、撮像素子500では、その受光面上に結像した被写体像を表わす画像信号が生成される。なお、図24〜図29にはフォーカスモータやシャッタユニットに指令を伝達するための配線ケーブルを図示していない。
このように光軸方向に移動する直進キー320に、第2レンズ群240と第3レンズ群430と、柱状ネジ3201を介して第4レンズ群440も支持させて、さらにその柱状ネジ3201を回転させるフォーカスモータ3200も支持させることによって、直進キーとともに第4レンズ群をピント付近にまで移動させておいて、ピント調整を行う段階では柱状ネジを回転させることにより第4レンズ群の位置を微調する構成になっている。
このようにすると、撮像素子の受光面から光軸方向に長く延びる柱状ネジやガイド棒を設けて、その柱状ネジを回転させることにより第4レンズ群を長々とガイド棒に沿って移動させる必要がなくなる。このため、撮像素子500と第4レンズ群440との間に妨害物のない空きスペースが生じ、沈胴時にはその空きスペースに光軸から退避位置に退避させた第2レンズ群420と第4レンズ群420を二次元的に詰め込む(図26参照)ことができ、鏡胴の長さをいままでよりも遥かに短くすることが可能になる。また、前筒311に押圧部311aを設けて、沈胴時には第2レンズ群保持枠421を第2レンズ群支持枠422側に押圧してバネ422bを縮めることによって第1レンズ群410と第2レンズ群420を限りなく接近させるとともに、繰出時には第2レンズ群をバネにより光軸前方に付勢して光軸前方に大きく繰出すことができる。
さらに図26に示す沈胴状態にあるときに第1レンズ群と第3レンズ群とで固定焦点撮影光学系が形成され、図23に示す選択スイッチにより沈胴が選択されたときには沈胴状態のまま撮影を行うことができる。
そうすると、図23に示すデジタルカメラ300が薄型のボディであっても、レンズ鏡胴310の沈胴時にはレンズ鏡胴310がカメラボディ内に収納され、また4群構成からなるズームレンズを保持したレンズ鏡胴310がカメラボディから繰り出された時には、このデジタルカメラ300でズーム倍率の高い撮影が楽しめる。さらに沈胴状態にあるときに撮影光学系が形成されているため、沈胴時にシャッタチャンスが訪れてもいち早く被写体の撮影を沈胴状態のまま行うことができる。
最後に図23のデジタルカメラの内部構成を簡単に説明しておく。
図31は、本実施形態のデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。
このデジタルカメラ300には、図24〜図26に示す第1レンズ群410と第2レンズ群420と第3レンズ群430と第4レンズ群440とからなる4群構成のズームレンズ400、シャッタユニット330、撮影レンズ400を保護するためのバリア310a、および撮像素子500が備えられている。ズームレンズ400およびシャッタユニット330を経由して撮像素子500上に結像された被写体像は、撮像素子500により、アナログの画像信号に変換される。ここで、シャッタユニット330は、撮像素子に照射される光量を制限する絞りと撮像素子500からアナログ信号を読み出すにあたり光によるスミアの発生を抑えるためのシャッタとから構成されている。
また、ここには補助光発光部600が備えられており、この補助光発光部600は、低輝度時に、図23に示す補助光発光部600からデジタルカメラ前方に向けて補助光を発光する。また、この補助光発光部600は、低輝度以外の必要時にも発光させることができる。
また、このデジタルカメラ300には、アナログ信号処理部501と、A/D部502と、デジタル信号処理部503と、テンポラリメモリ504と、圧縮伸長部505と、内蔵メモリ(またはメモリカード)506と、画像モニタ507と、駆動回路508とが備えられている。撮像素子500は、駆動回路508内のタイミング発生回路(図示せず)によって発生したタイミングで駆動され、アナログの画像信号を出力する。また、駆動回路508には、撮影レンズ400、シャッタユニット、補助光発光部600等を駆動する駆動回路も含まれている。撮像素子500から出力されたアナログの画像信号は、アナログ信号処理部501でアナログ信号処理され、A/D部502でA/D変換されてデジタル信号処理部503でデジタル信号処理される。デジタル信号処理された後の画像を表わす画像データはテンポラリメモリ504に一時的に格納される。テンポラリメモリ504に格納された画像データは、圧縮伸長部505で圧縮されて内蔵メモリ(またはメモリカード)506に記録される。尚、撮影モードによっては、圧縮の過程を省いて内蔵メモリ(またはメモリカード)506に直接記録してもよい。また、テンポラリメモリ504に格納された画像データは画像モニタ507に読み出され、これにより画像モニタ507に被写体の画像が表示される。
さらに、このデジタルカメラ300には、このデジタルカメラ300全体の制御を行なうCPU509と、ズーム操作スイッチ等を含む操作スイッチ群510と、シャッタボタン304とが備えられており、操作スイッチ群510を操作して、所望の画角に設定することを含む所望の撮影状態に設定してシャッタボタン304を押下することにより、写真撮影すなわち上述の画像データの生成が行なわれる。
上記実施形態では、第4レンズ群440と第2レンズ群420を退避させたが、第4レンズ群440のみを退避させても良い。
次に本発明の第6の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態では、デジタルカメラの外観については、図23に示す第5実施形態における外観をそのまま流用することとし、各実施形態の特徴的な点の説明に留める。
図32〜図37は、第4レンズ群440を退避させる進退機構を有するレンズ鏡胴の構成を示す図である。この図32〜図37に示すレンズ鏡胴310が図23に示すカメラに組み込まれたものとして以降説明する。図32〜図37に示すレンズ鏡胴310の構成は、第2レンズ群保持枠421aが若干変更されている以外、図24〜図29に示したものと同様の構成である。
図32,図33および図34は、図23に示すデジタルカメラに組み込まれたレンズ鏡胴310の、光軸に沿う断面図である。この図32,図33および図34は、それぞれ、ワイド端、テレ端および沈胴状態を示す。また、図35は、図32に示した状態のレンズ鏡胴を輪切りにして、図32に示す矢印A−A’の方向から見た断面図であり、図36は、図33に示した状態のレンズ鏡胴を輪切りにして図33に示す矢印B−B’の方向から見た断面図であり、図37は、図34に示した状態のレンズ鏡胴を輪切りにして、図34に示す矢印C−C’の方向から見た断面図である。尚、図32は、図35に示す矢印D−D’に沿う断面図であり、図33は、図36に示す矢印E−E’に沿う断面図であり、図34は、図37に示す矢印F−F’に沿う断面図である。
前述したように第4レンズ群440はフォーカスレンズ群として作用するので特に光軸をあわせることが大事である。第5の実施形態においては説明を省略したが、第4レンズ群440を保持するレンズ保持枠441も第2レンズ群保持枠421aと同様に撮影光軸に第4レンズ群440を精度良く進出させる機構を有している。その機構は第2レンズ保持枠421aと同様の構成であって、第4レンズ群保持枠441の端部4412が直進キー320に設けられた止め棒3205に当て止めされてフォーカスレンズの中央が光軸に精度良く一致するように構成されている(図33参照)。また、この第6実施形態における進退機構も、第5実施形態と同様に、捻りバネ441bと、切替凸部3134と、第4レンズ群保持枠441の延設部4411と、その第4レンズ群保持枠441の端部4412と、直進キー320に支持された止め棒3205とを備えている。第4レンズ群440が直進キー320とともに沈胴していくときにその延設部4411が切替凸部3134に係合して切替凸部3134の斜面に沿って延設部4211が移動していくにしたがってレンズ群保持枠421aが回動軸422aを中心に直進キー320に当接する位置(図34参照)まで回転する。そうすると第1レンズ群410と第2レンズ群420と第3レンズ群430とをできる限り押し込んで並べて詰め込み、さらにその第1レンズ群410と第2レンズ群420と第3レンズ群430の上部または下部に第4レンズ群440を立体的に詰め込むことができ、鏡胴の更なる短縮化が図れる。また退避させた以外の残りのレンズ群によって撮影光学系が形成され、沈胴状態にあっても撮影を行うことができるレンズ鏡胴が実現される。
レンズ鏡胴が備える進退機構は、第3群レンズを退避させるものであっても良い。
図38は図24〜図37で説明した4群レンズの構成のみを抽出した図であり、図39は沈胴時にそれらのレンズ群のうちの第3レンズ群を退避させた場合のレンズの配置を示すレイアウト図である。
図39に示すように第4レンズ群と同じ正の屈折力を持つ第3レンズ群を退避させても同様の効果が得られる。
以上説明したように少なくとも第3レンズ430および第4レンズ群440のうちの一方を撮影光軸から退避させる進退機構を設けることによりレンズ鏡胴の短尺化が実現され、その短尺化されたレンズ鏡胴を撮影装置に組み込むことで撮影装置の薄型化も図れる。
さらに沈胴時に退避させた以外の残りのレンズ群で撮影光学系が形成され、沈胴していても咄嗟のときに撮影を行うことが自在な撮影装置が実現される。
尚、以上の各実施形態ではデジタルカメラを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、ロール状のフィルム上、あるいはインスタント写真フィルム上に撮影を行う、いわゆる銀塩カメラであってもよい。また、本発明は、カメラにのみ適用可能なものではなく、カメラ機能を備えた機器であれば、どのような機器にも適用可能である。
上記各実施形態のレンズ鏡胴は、交換式レンズなどのレンズユニットにも適用可能である。例えば、一眼レフカメラなどでは、倍率が異なるレンズを交換して使用可能となっている。一眼レフカメラで使用する交換レンズの中で、筒長の可変なレンズ鏡胴を備えている交換レンズがあるが、本発明のレンズ鏡胴を採用することも可能である。上記各実施形態の様に、レンズ鏡筒に配置されている複数のレンズ郡のうちの少なくともひとつのレンズ郡を撮影光軸上から退避できるようにしておけば、交換レンズを薄型化にでき、更に、レンズ郡を一部退避した状態で撮影が可能なので、携帯時の咄嗟のシャッタチャンスにも対応することができる。
なお、レンズユニットは、固体撮像素子などが含まれたCCDとレンズ一体型のレンズユニットであってもよい。
また、以上に説明した実施形態では、レンズバリアの開閉に、電源スイッチ15をスライドさせる力を利用する例を挙げて説明しているが、本発明は、これに限るものではなく、電源スイッチ15の位置を検出し、検出した位置に応じてレンズバリアの開閉を行なうものであってもよく、あるいは、電源スイッチ15がポジション「OFF」からポジション「通常」にスライドされることで、レンズ鏡胴の繰り出しと共にレンズバリアが開かれ、電源スイッチ15がポジション「通常」からポジション「OFF」にスライドされることで、レンズ鏡胴の沈胴と共にレンズバリアも閉められるようになっていると共に、電源スイッチ15がポジション「沈胴」にスライドされている時には、シャッタボタンの押下によってレンズバリアが開かれるようになっているものであってよい。