JP2006089821A - 半導体加工装置用部材の耐食処理方法およびその処理部材 - Google Patents

半導体加工装置用部材の耐食処理方法およびその処理部材 Download PDF

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Abstract

【課題】
近年における半導体製品の高集積化等に伴い、半導体加工装置用の部材には、より高い耐食性を有することが望まれている。本発明は、耐食性、特に耐ハロゲン腐食性に優れた皮膜を形成する耐食処理方法と、その処理が施された半導体加工装置用部材を提供することを目的とする。
【解決手段】
Mg薄膜もしくはMg−Al合金薄膜を表面に有する金属製基材またはMg合金製基材の表面を、弗素ガスまたは弗素化合物系ガス、水溶液状態もしくは溶融塩状態の弗素化合物のいずれかに接触させることによって、上記基材表面にMgF2膜またはMgF2を主成分とする防食膜を形成させる。この防食膜は、部材の表面を緻密かつ均等に覆うので、腐食性の強い弗素以外のハロゲン成分に対しても優れた耐食性を発揮して、環境の汚染源となる腐食生成物の発生を抑制することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体加工装置に用いられる金属部材の耐食性を向上するための耐食処理方法とその処理が施された半導体加工装置用部材に関するものである。
半導体製品の加工・製造分野で用いられる装置部材は、腐食性の強い各種ハロゲンガスやハロゲン化合物の雰囲気下で使用されることに加えて、シリコンウェハーなどのエッチング加工の精度向上や効率向上のために、プラズマエネルギーが付加されるなど、他の産業分野では見られないような過酷な腐食性の雰囲気下で使用されることを余儀なくされている。例えば、ハロゲン化合物としては、次に示すような物が、主として気相状態で使用されている。
・弗化物:BF3,PF3,PF5,NF3,WF3,HF
・塩化物:BCl3,PCl3,PCl5,POCl3,AsCl3,SnCl4,TiCl4,SiH2Cl2,SiCl4,HCl,Cl2
・臭化物:HBr
これらのハロゲンガスやハロゲン化合物は、プラズマ環境中では、それぞれ分解したり電離したりして、非常に腐食性の強い、原子状のF,Br,Clなどに変化する。そのため、半導体加工装置を構成する各種の金属製部材は、腐食損傷を受けると共に、損傷の進行に伴って精度不良や性能低下を引き起こす原因となっている。また、腐食によって生成する反応物(腐食生成物)は、環境中に微細な粉じんとなって飛散し、半導体加工製品を汚染したり、品質を甚だしく低下させたりする原因ともなっている。
これらの問題に対応するため、フッ素系樹脂あるいはエポキシ系樹脂を被覆した部材やニッケルめっき、窒化処理などを施した部材が古くから使用されている。さらに優れた耐食性を有する部材としては、特許文献1〜3に示すような、アルミニウムめっき部材やアルミニウム被覆部材を拡散処理した部材が知られている。これらの耐食処理部材を採用することによって、腐食損傷の程度はかなり軽減されてきた。しかし、より高性能化した半導体製品を製造する観点からは、半導体加工装置を構成する金属製部材は、アルミニウム拡散処理部材を凌駕する耐食性皮膜を有するものであることが強く望まれるようになってきている。
特開昭60−063364号公報 特開平04−193966号公報 特開平10−219426号公報
しかしがら、耐食性皮膜に関する従来技術には、次のような問題点がある。
(1)弗素系あるいはエポキシ系などの樹脂皮膜は、優れた耐食性を発揮するものの、軟質で表面疵が付き易いため、疵部に腐食性のハロゲン化合物が滞留して環境汚染の原因となるほか、機械的強度が低いため、強度が必要な部材には適用できない。
(2)アルミニウム拡散処理を施した金属部材は、良好な耐食性を有しているものの、昨今の半導体加工装置用部材に要求される耐食性に応えられるような技術は、現在迄のところ開発されていない。
(3)ニッケルめっきや窒化処理皮膜は、無処理の金属製部材の耐食性を向上させるが、何れの皮膜も、ピンホールなどの欠陥部を有する。そのため、現状レベルの耐食性では、昨今の性能向上への要求には応えられない状況にある。
(4)昨今の半導体製品の高集積化、大容量化、高性能化の要求に対応するため、半導体加工装置内は、極限に近い清浄な環境が要求されるようになり、特に、加工装置用部材の僅かな腐食生成物の存在は、環境の汚染源となるため、一段と高い耐食性を有する表面処理皮膜の開発が求められている。
(5)現行の半導体加工装置では、前述したように、腐食性の強いハロゲン化合物である、弗化物、塩化物、臭化物などが使用されているが、弗化物に対して比較的良好な耐食性を示すAl拡散層は、HCl等の塩化物に対しては耐食性に乏しいなどの欠点がある。そのため、各種のハロゲン化合物に対しても優れた耐食性を有する部材の開発が望まれている。
本発明の目的は、耐食性、特に耐ハロゲン腐食性に優れた皮膜を形成する耐食処理方法を提案すると共に、その処理が施された半導体加工装置用部材を提供することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点を解決するため、耐食性に優れた皮膜の開発に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、Mg薄膜またはMg−Al合金薄膜を弗化処理した場合には、極めて耐食性に優れる皮膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、Mg薄膜もしくはMg−Al合金薄膜で被覆された金属製基材またはMg合金製基材の表面を弗化処理することを特徴とする半導体加工装置用部材の耐食処理方法を提案する。
本発明の耐食処理方法における上記Mg薄膜またはMg−Al合金薄膜は、蒸着処理で形成された、1〜50μmの厚さを有するものであることを特徴とする。
また、本発明の耐食処理方法における上記Mg−Al合金薄膜は、Mgを5mass%以上含有するものであることを特徴とする。
また、本発明の耐食処理方法における上記弗化処理は、弗素ガスまたは弗素化合物系ガス、水溶液状態もしくは溶融塩状態の弗素化合物のいずれかに接触させることによって、上記基材表面に弗化マグネシウム防食膜を形成する処理であることを特徴とする。
また、本発明は、Mg薄膜もしくはMg−Al合金薄膜が形成されてなる金属製基材またはMg合金製基材の表面に、弗化マグネシウム防食膜を形成してなることを特徴とする半導体加工装置用部材である。
本発明によれば、Mg薄膜もしくはMg−Al合金薄膜を有する金属製部材またはMg合金製部材に、弗素ガスや弗素化合物系ガス、弗素化合物系水溶液、弗素化合物系溶融塩などを接触させ、それらの表面に、MgF2もしくはMgF2を主成分とする防食膜を生成させることにより、弗化物系や塩化物系の化合物等を含有する環境下での腐食はもとより、結露水に起因する腐食に対しても優れた耐食性を発揮する部材を得ることができる。そして、この部材を用いた半導体加工装置は、環境の汚染源となる腐食生成物の発生を有効に防止し、装置環境の高清浄度化を図ることができるので、半導体製品の高集積化、高精密化の他、生産性の向上に大きく貢献する。
本発明に係る半導体加工装置用部材および該部材に耐食性を付与する耐食方法とその作用効果について説明する。
(1)半導体加工装置用部材
本発明が開発対象としている半導体加工装置用部材は、金属製基材の表面に、Mg薄膜またはMg−Al合金薄膜を形成した部材である。上記金属製基材に用いることができる金属としては、炭素鋼、低合金鋼、鋳鉄、鋳鋼、ステンレス鋼、高合金鋼、Ni基合金、Co基合金、Ti,Ti合金、Cu,Cu合金,Al,Al合金およびMg合金等を挙げることができる。また、本発明が対象とする半導体加工装置用部材は、Mg合金のみからなるものであってもよい。上記基材あるいは部材を構成するMg合金としては、例えば、JIS H 4201、H 4202、H 4203、H 4204に規定されたものなどを例示することができる。
なお、上記Mg薄膜もしくはMg−Al合金薄膜を有する金属製部材またはMg合金部材(以降、「被処理部材」とも称する)は、その表面を予めAl拡散処理を施したものであってもよい。その理由は、基材をAl拡散層で被覆することによって、弗素系化合物以外の腐食性ガスに対する耐食性を向上し、一般耐食性を向上させるのに好適だからである。上記Al拡散処理の方法としては、次のいずれかの方法から選択することができる。
(a)溶射−熱拡散法:電気アーク、プラズマ、可燃性ガスなどの燃焼炎を熱源とする溶射法によって、金属製基材の表面にAl溶射皮膜を形成した後、これを大気中、不活性ガス中、真空中などの環境下で、650〜900℃×0.5〜5hrの熱処理を行う方法。なお、熱処理を施さなくても十分な密着性を有する溶射皮膜では、熱処理を省略することができる。
(b)蒸着法−熱拡散法:電子ビームやタングステン線の電気抵抗現象を熱源とするPVD法(例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法など)を用いて、金属製基材の表面にAlの薄膜を形成した後、上記(a)と同様の熱処理を行い、Al薄膜の一部またはすべてを基材中へ拡散させる方法。
(c)粉末拡散法:金属AlまたはAl−FeなどのAl合金粉末中に、Al23,NH4Clなどを混合して浸透剤を調合し、金属製基材を埋没させた後、Arガスを流しつつ、650〜1000℃×0.5〜10hr加熱することによって、金属製基材の表面にAlを拡散させる方法。
(d)溶融拡散法:溶融Al金属中に金属製基材を浸漬させることによって、基材の表面にAl皮膜とともにAl拡散層を形成させる方法。
上記金属製基材の表面に形成するMg薄膜あるいはMg−Al合金(但し、Mg 100mass%は除く)薄膜は、Mgの含有量が5mass%以上のものであることが好ましい。Mgが5mass%未満では、弗素系ガスに対する耐食性が不十分だからである。より好ましくは10mass%以上、さらに好ましくは50mass%以上である。また、これらの薄膜は、1〜50μmの膜厚を有するものであることが好ましい。膜厚が1μm未満では、薄膜に欠陥部が多くて十分な耐食性が確保できず、一方、50μmを超えると、成膜に長時間を要する割にはその効果に格段の差が認められず、生産コストの上昇を招くからである。また、上記Mg薄膜あるいはMg−Al合金薄膜は、蒸着法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的蒸着法で形成されたものが好適である。その理由は、薄膜の形成に好適であるほか、形成された薄膜が酸化物(膜)を含まず、後述する耐食処理を効果的に実施できるからである。
(2)耐食処理方法
被処理部材は、油脂類、指紋などの表面付着物がないことを確認した後、以下に示す弗素あるいは弗素化合物を含有する溶融塩または水溶液中に浸漬するか、弗素ガスまたは弗素化合物系ガスのガス成分と直接接触させて弗化処理する。具体的には、弗化処理には次のような薬液を使用することができる。
・溶融塩:弗化カリウム(KF)、弗化ナトリウム(NaF)、弗化リチウム(LiF)などから選ばれる1種以上の溶融塩
・水溶液:弗化アンモニウム(NH4F)、弗化カリウム(KF)、弗化水素アンモニウム(NH4HF2)、弗化水素カリウム(KHF2)、弗化水素酸(HF)、弗化水素ナトリウム(NaHF2)、弗化ナトリウム(NaF)などから選ばれる1種以上の弗化物を溶解した水溶液
・ガス成分:F(F2),HF,NF3,PF3,PF5,BF3,WF3など(これらは、室温ではガス状態で存在し、50〜60℃では、その大部分が気化している。)
上記弗化処理条件は、使用する薬液により異なるが、Mg薄膜またはMg−Al合金薄膜の表面に弗化マグネシウムまたは弗化マグネシウムを主成分とする防食膜を均等に生成させる観点からは、溶融塩を用いる場合には、500〜700℃×1分〜30分、水溶液を用いる場合には、100℃以下×1分〜3時間、ガス成分を用いる場合には、300℃以下×30分〜24時間の条件が好ましい。
上記溶融塩、水溶液およびガス成分などと被処理部材とを直接接触させて弗化処理することにより、被処理部材の表面に、MgF2もしくはMgF2を主成分とする耐食性に優れた防食膜を生成させることができる。この時、接触させる温度が高くなるほど、MgF2膜の生成が速やかに行われ、また、被処理部材に含まれるMg含有量が多いほど、緻密で耐食性に優れたMgF2膜が形成され易い。
(3)MgF2膜の生成機構とその防食作用
上述したように、被処理部材を、弗素化合物を含有した溶融塩や水溶液、ガスなどの環境に曝露すると、その表面に、MgF2もしくはMgF2を主成分とする防食膜を生成する。具体的には、純Mg薄膜が表面に形成された金属製部材では、MgF2膜が、Mg−Al合金薄膜が表面に形成された金属製部材およびMg合金(JIS H 4201〜4204)部材では、MgF2とともにAlF3を含む膜が生成する。MgF2は、化学的に安定で、水にも溶解しない。一方、AlF3は、MgF2に比較して水に溶け易く、高温での蒸気圧が高いため、水への溶出や蒸発がMgF2に優先して起こり、その結果、被処理部材の表面には、耐食性に優れたMgF2の含有量が多い皮膜が残留することとなる。Mg−Al合金薄膜では、弗化マグネシウムとともに、弗化アルミニウムも生成するが、弗化マグネシウムと共存する場合には、半導体加工装置の操業環境下においても利用可能である。
以上のようにして生成したMgF2を主成分とする防食膜は、F(F2),HF,NF3,BF2などの弗素や弗素化合物系ガスに対して、化学的に非常に安定した状態を示すほか、HCl,Cl2,PCl3,TiCl4などの塩化物系のガスに対しても強い化学的安定性を発揮する。例えば、Mg薄膜が形成されただけの被処理部材の場合、塩化物系ガスと接触したときには、Mgが塩化物系ガスとが反応してMgCl2を生成する。このMgCl2は、化学的に不安定である上、蒸気圧も高いので、生成後、比較的早期に表面から消失していくと同時に、再びMgCl2が生成される。その結果、被処理部材の表面では、MgCl2の生成と消失が繰返し行われ、表面からの腐食が進行すると共に、半導体加工装置の汚染源となる腐食生成物(MgCl2)を生成し続けることとなる。
しかし、被処理部材の表面に予めMgF2膜を生成させておくと、このMgF2膜は、塩化物系ガス等と接触しても殆ど化学的に変化しないので、長期間にわたってMgF2の状態で被処理部材の表面を被覆し、被処理部材を保護する作用を発揮する。この理由は、MgとF2の化学的結合力は、MgとCl2のそれより強いため、MgとF2が反応して生成したMgF2は、熱力学的に非常に安定した状態にあり、たとえ塩化物系ガスと接触したとしても、分解を起こし得ないためであると考えている。すなわち、本発明は、半導体加工装置用部材の使用に先だって、耐食性に優れたMgF2膜を部材表面に生成させる一方、AlF2などの腐食生成物による半導体加工装置内部の環境汚染を極力低減するところに最大の特徴がある。
Mg薄膜あるいはMg−Al合金薄膜を形成した金属製基材に弗化処理を施し、耐食性の向上効果を実験的に調査した。金属製基材としては、表1に示したように、SUS 304鋼(寸法:幅30mm×長さ60mm×厚さ3.2mm)と、これに予め粉末拡散法(段落0015記載の(c)法)によってAl拡散層を形成したものを用い、それらの表面に、PVD法によってMg薄膜およびMg−Al合金薄膜を形成して試験片とし、これらの試験片に対し、弗化処理を施した後あるいは施さないで、塩化水素ガス気流中で腐食試験を行って、耐食性を比較した。
試験片の製作条件および腐食試験条件は、次の通りである。
(a)薄膜の種類:PVD法により、Mg 100mass%、Mg−5mass%Al、Mg−50mass%AlおよびMg−90mass%Alの4種類の薄膜をそれぞれ50μm厚に形成した。
(b)弗化処理条件:F2ガス中(F2分圧:100hPa)で80℃×24hrの曝露を行った。
(c)腐食試験条件:塩化水素ガス(HCl)を300vol ppm含む80℃に維持したArガス気流中に24hr静置し、単位時間、単位面積当たりの腐食減量(mg/cm2)を測定した。
試験結果を表1中に併記して示した。この結果から明らかなように、SUS 304鋼基材にAl拡散処理を施したもの、または無処理のものでも、その基材表面に、Mg薄膜あるいはMg−Al合金薄膜を形成した後、弗化処理を施したものは、HClガス雰囲気中においても優れた耐食性を発揮することが確認できた。すなわち、Mg薄膜やMg−Al合金薄膜のないSUS 304鋼のみの場合(No.17,18)では、弗化処理による耐食性改善効果は全く認められないが、Mg薄膜あるいはMg−Al合金薄膜を形成した後、弗化処理を行った場合(No.2,4,6,8,10,12,14,16)には、いずれもHClガス中での腐食減量が減少し、優れた耐食性が得られている。これは、Mg薄膜やMg−Al合金薄膜を弗化処理したことによって、その表面に緻密で耐食性に富んだMgF2膜が生成したためと思われる。一方、Mg薄膜やMg−Al合金薄膜は、それ自体は、弗化処理においても殆ど変化せず安定な状態を維持していることが目視によって観察されているが、その後、弗化処理を行わずにHClガス雰囲気に曝した場合(No.1,3,5,7,9,11,13,15)には、十分な耐食性が得られない。
Figure 2006089821
実施例1において用いた、SUS 304鋼(寸法:幅30mm×長さ60mm×厚さ3.2mm)と、これに予め実施例1と同様にしてAl拡散層を形成した金属製基材の表面に、PVD法によって、Mg薄膜もしくはMg−Al合金薄膜を形成して試験片とし、これらの試験片に対し、弗化処理を施しあるいは施さずに、弗素化合物系のガスとHCl系のガスを混合した雰囲気中で腐食試験を行った。
試験片の製作条件および腐食試験条件は、次の通りである。
(a)薄膜の種類:PVD法により、Mg 100mass%、Mg-5mass%Al合金の2種類の薄膜を、それぞれ30μm厚で形成した。
(b)弗化処理条件:実施例1と同じ条件で行った。
(c)腐食試験条件:F2ガス:50vol ppm、NF3ガス:50vol ppm、HCl:50vol ppmの混合ガス中で、110℃×24hrの曝露試験を行い、腐食減量を測定した。
表2は、上記試験の結果を示したものである。Mg薄膜あるいはMg−Al合金薄膜に弗化処理を施さない場合(No.1,3,5,7)には、弗素ガスと塩化水素ガスとの混合ガス中では、かなりの腐食減量を示すが、Mg薄膜あるいはMg−Al合金薄膜に弗化処理を施した場合(No.2,4,6,8)には、腐食減量が弗化処理しない場合の25〜35%に減少するとともに、腐食減量のばらつきの範囲も小さくなり、薄膜全体で均等に耐食性が向上していることがうかがえる。
Figure 2006089821
Al(JIS H 4000規定の1070)およびMg合金(JIS H 4201規定の1種)の基材(寸法:幅30mm×長さ60mm×厚さ3mm)の表面に、Mg薄膜あるいはMg−Al合金薄膜を形成した後、弗化処理の有無による一般耐食性の向上効果を、下記の要領で調査した。なお、比較材として、Mg,Mg−Al合金薄膜を形成しないものについても調査した。
試験片の製作条件および腐食試験条件は、次の通りである。
(a)薄膜の形成:PVD法により、Mg100mass%、Mg−5mass%AlおよびMg−50mass%Alの3種類の薄膜をそれぞれ30μm厚に形成した。
(b)弗化処理条件:試験片をNaF:5mass%(20℃)の水溶液に、30分間浸漬した。
(c)耐食性試験:JIS Z 2371規定の塩水噴霧試験装置を用いて、イオン交換処理水を200hr連続噴霧する処理を行い、試験後の表面を目視観察して白さびの発生有無を調べることにより、一般耐食性を評価した。
表3は、上記結果を示したものである。Mg薄膜に弗化処理を施した場合(No.4,12)およびMg−Al合金薄膜に弗化処理を施した場合(No.6,8,14,16)はもとより、無処理のMg合金基材に弗化処理を施した場合(No.10)には、いずれの場合においても白さびの発生は認められず、良好な耐食性を発揮した。これに対して、弗化処理を施さない場合は、Al(No.1)、Mg合金(No.9)とも、白さびが全面にわたって発生し、水分の存在によって容易に腐食される傾向が認められ、特に、Mg合金は、Alに比較して、耐食性に乏しいことが判明した。この傾向は、弗化処理していないMg,Mg−Al合金薄膜を形成した場合でも認められる。例えば、Mg 100mass%薄膜を形成した試験片(No.3,11)では、全面にわたって白さびに覆われ、Mg薄膜のみでは耐食性に乏しいことがうかがえる。むしろ、Mg−Al合金薄膜(No.5,7,13,15)の方が、幾分白さびの発生が少なく、本実施例の環境では、MgよりAlの方が良好な耐食性を発揮した。本実施例の結果は、本発明の耐食処理を施した半導体加工装置は、一定期間操業後、装置内を水洗により洗浄した場合にも、優れた耐食性を発揮することを示すものである。
Figure 2006089821
本発明の技術は、Mg合金のダイキャスト製品など、一般の民生部材の腐食防止対策にも適用することができる。

Claims (5)

  1. Mg薄膜もしくはMg−Al合金薄膜で被覆された金属製基材またはMg合金製基材の表面を弗化処理することを特徴とする半導体加工装置用部材の耐食処理方法。
  2. 上記Mg薄膜またはMg−Al合金薄膜は、蒸着処理で形成された、1〜50μmの厚さを有するものであることを特徴とする請求項1記載の耐食処理方法。
  3. 上記Mg−Al合金薄膜は、Mgを5mass%以上含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体加工装置用部材の耐食処理方法。
  4. 上記弗化処理は、弗素ガスまたは弗素化合物系ガス、水溶液状態もしくは溶融塩状態の弗素化合物のいずれかに接触させることによって、上記基材表面に弗化マグネシウム防食膜を形成する処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体加工装置用部材の耐食処理方法。
  5. Mg薄膜もしくはMg−Al合金薄膜が形成されてなる金属製基材またはMg合金製基材の表面に、弗化マグネシウム防食膜を形成してなることを特徴とする半導体加工装置用部材。
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