JP2010037581A - 金属材料の表面処理法 - Google Patents

金属材料の表面処理法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010037581A
JP2010037581A JP2008199801A JP2008199801A JP2010037581A JP 2010037581 A JP2010037581 A JP 2010037581A JP 2008199801 A JP2008199801 A JP 2008199801A JP 2008199801 A JP2008199801 A JP 2008199801A JP 2010037581 A JP2010037581 A JP 2010037581A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnesium
metal material
film
surface treatment
aluminum alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008199801A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5085456B2 (ja
Inventor
Shunji Misawa
三沢  俊司
Keiko Abe
慶子 阿部
Hiroshi Sato
洋志 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ulvac Inc
Ulvac Techno Ltd
Original Assignee
Ulvac Inc
Ulvac Techno Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ulvac Inc, Ulvac Techno Ltd filed Critical Ulvac Inc
Priority to JP2008199801A priority Critical patent/JP5085456B2/ja
Publication of JP2010037581A publication Critical patent/JP2010037581A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5085456B2 publication Critical patent/JP5085456B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)

Abstract

【課題】金属材料の表面に、腐食性ガスに対する十分な耐食性を有する被膜を設けるとともに、この金属材料のプラズマCVD装置の基板加熱ヒーターとしての使用に耐え得る十分な厚みの被膜を設けることができる金属材料の表面処理法を提供する。
【解決手段】本発明の金属材料の表面処理法は、酸化マグネシウム粉末をフッ化炭素系化合物分散液に分散させ、金属材料の表面に、前記分散液を塗布した後、大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱することにより、前記金属材料の表面に、フッ化不動態膜を形成することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属材料の表面に、フッ化不動態膜を形成することにより、この金属材料を腐食性の雰囲気中にて用いても、耐食性を示し、特に、金属材料がマグネシウムを含むアルミニウム合金もしくはマグネシウム合金の場合、これらの材料を真空中、300℃以上の雰囲気中にて用いても、その表面からマグネシウムの飛散を防止することができるバリアー膜を兼ねる被膜を形成する金属材料の表面処理法に関するものである。
従来、液晶ディスプレイの製造過程や半導体製造プロセスに用いられる各種の装置において、マグネシウムを含むアルミニウム合金が非常に多く用いられてきた。
このような各種の装置は、その表面が強力な腐食性の塩素ガス、フッ化水素ガス、あるいは、フッ素ラジカルなどに晒される。そこで、このような装置に用いられるアルミニウム合金は、耐食性を向上し、長寿命化を図るために、その表面にアルマイト処理により、アルマイト被膜が形成されていた。
しかしながら、このアルマイト被膜は、長期間の使用により、フッ素ラジカルによってエッチングされ、消失するという問題があった。
アルミニウム合金は、アルマイト被膜を設けることによって、腐食性雰囲気中においても、ある程度使用することができる。しかし、アルマイト被覆が可能なのはアルミニウム合金の特徴であってそれ以外の金属材料については、耐食性を付与する処理方法がないため、腐食性雰囲気中において、これらの材料を使用すると、その表面にはフッ化物による粉吹き現象が発生する。このように、アルミニウム合金以外の材料は耐食性に劣るため、腐食性雰囲気中において使用することは困難である。
マグネシウム合金は、そのままでは大気中において酸化し、表面が変色しやすい上に、塩害の影響も受けやすい。
また、マグネシウムを含むアルミニウム合金の耐食性表面処理法については、対象物を容器内で加熱した後、容器内に危険性のあるフッ素ガスもしくはフッ素系化合物ガスを導入して加熱することにより、マグネシウムを含むアルミニウム合金の表面にフッ化物からなる被膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述した従来の方法を用いて、アルミニウム合金もしくはマグネシウム合金の表面に形成された被膜は、腐食性ガスに対する耐食性が十分でない上に、真空中にて550℃程度まで加熱すると、合金に含まれるマグネシウムが飛散するため、液晶ディスプレイの製造過程や半導体製造プロセスには適用できないという問題があった。
そこで、上述の問題を解決するために、本発明者等は、マグネシウムを含むアルミニウム合金もしくはマグネシウム合金の表面に、腐食性ガスに対する十分な耐食性を有するとともに、真空中、550℃以上でもマグネシウムが飛散することのない、フッ化物からなるフッ化不動態膜を形成する表面処理方法を考案した(例えば、特許文献2参照)。
この表面処理方法によって形成されたフッ化不動態膜は耐食性を示すので、この表面処理方法を、プラズマCVD法のアルミニウム合金製のシャワープレートの表面処理に応用すれば、電気的特性に優れた(特にVth(閾値電圧)シフトのない)被膜を形成することができる。
従来の表面処理方法では、シャワープレートとしては、その表面にアルマイト処理を施したアルミニウム合金が用いられている。しかし、アルマイトの持つポーラスな構造により、プロセスガスのメモリー効果があり、これが原因で成膜中に被膜内にプロセスガスが取り込まれ、Vthシフト問題を引き起こすことがある。一方、特許文献2の表面処理方法によれば、緻密なフッ化不動態膜を形成することができるので、プロセスガスのメモリー効果が生じることがなく、成膜中に被膜内に不純物ガスを取り込むことがないから、結果として、電気的特性に優れた被膜が得られる。
特許第3648821号公報 特願2006−271115明細書
しかしながら、特許文献2の表面処理方法は、電気的特性に優れたフッ化不動態膜を形成することができるものの、得られたフッ化不動態膜は膜厚が0.5μm未満と薄く、摩擦などが発生する箇所に使用した場合、傷付きやすいという欠点があった。また、この表面処理方法は、処理可能な物質がマグネシウムを含むもののみに限られていた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、金属材料の表面に、腐食性ガスに対する十分な耐食性を有する被膜を設けるとともに、この金属材料のプラズマCVD装置の基板加熱ヒーターとしての使用に耐え得る十分な厚みの被膜を設けることができる金属材料の表面処理法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、マグネシウム源とフッ化炭素系化合物を含む分散液を、金属材料の表面に塗布した後、大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱することにより、金属材料の表面に膜厚が数μmのマグネシウムフッ化不動態膜を形成でき、腐食性ガス雰囲気に対する耐食性を示し、かつ、マグネシウムを含む合金に表面処理した場合、真空中、300℃以上の加熱雰囲気中にて、この合金を用いても、合金に含まれるマグネシウムが飛散するのを防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の金属材料の表面処理法は、マグネシウム源をフッ化炭素系化合物分散液に分散させ、金属材料の表面に、前記分散液を塗布した後、大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱することにより、前記金属材料の表面に、フッ化不動態膜を形成することを特徴とする。
前記金属材料は、マグネシウムを含むアルミニウム合金もしくはマグネシウム合金であることが好ましい。
本発明の金属材料の表面処理法は、マグネシウム源をフッ化炭素系化合物分散液に分散させ、金属材料の表面に、前記分散液を塗布した後、大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱することにより、前記金属材料の表面に、フッ化不動態膜を形成するので、一般的なフッ化物膜の形成法に用いられるフッ素系のガスを用いることなく、マグネシウムを含むアルミニウム合金やマグネシウム合金などの金属材料の表面にフッ化不働態膜を形成することができる。
また、本発明の金属材料の表面処理法では、フッ化炭素系化合物が分散された分散液に、マグネシウム源としてのマグネシウム化合物を分散させた後、金属材料の表面に塗布して、大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱するので、マグネシウム化合物中のマグネシウムがフッ素と選択的に反応するとともに、大気中もしくは酸素雰囲気中にて反応が行われるので、フッ化炭素系化合物中の炭素は酸化した後、離脱して、フッ化不働態膜中には残留しない。したがって、得られたフッ化不動態膜は、マグネシウムおよびフッ素を含む金属化合物となり、耐食性に優れるとともに、真空中、300℃以上の加熱雰囲気中にて、金属材料を用いても、金属材料に含まれるマグネシウムの飛散防止に有効な膜となる。
本発明の金属材料の表面処理法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態では、金属材料として、アルミニウム合金を例示して、このアルミニウム合金の表面処理法について説明する。
液晶フラットパネルディスプレイの制御回路に用いられる材料の成膜法としては、プラズマCVD法が挙げられる。プラズマCVD法によるa−Si膜の成膜プロセスにおいては、一定のプロセスを重ねる毎に、プラズマCVD装置のヒーター周辺や反応ガス導入用のシャワープレートに析出したケイ素(Si)を取り除く必要がある。そこで、三フッ化窒素(NF)ガスを用いて、高周波(RF)またはマイクロ波によって分解励起されたフッ素ラジカルにより、ヒーター周辺やシャワープレートの周辺に析出したケイ素の膜をエッチングして取り除いていた。
プラズマCVD装置では、ヒーターやシャワープレートなどの周辺機器はアルミニウム合金を主材料として構成されている。このアルミニウム合金からなる材料は、フッ素ラジカルに対する耐食性を向上するとともに、真空中、300℃以上の雰囲気中にて用いた場合に、アルミニウム合金に含まれるマグネシウムが飛散することを防止するために、その表面にアルマイト処理を施し、アルマイト被膜で覆うのが一般的である。しかしながら、プラズマCVD装置の長期使用により、上述のケイ素の膜に対するエッチングプロセスを繰り返すことに伴って、ヒーター部分やシャワープレート部分では、アルマイト被膜とフッ素(F)ラジカルとが反応してフッ化アルミニウムを形成し、これは粒子状になりやすく、パーティクル源となる問題がある。また、ヒーター部分では、450℃以上の高温で用いられるため反応性が高く、このアルマイト被膜が消失してしまっていた。しかし、アルマイト被膜が消失したアルミニウム合金の表面では、合金中に含まれていたマグネシウムが表面に拡散してきて、エッチングに用いられたフッ素ラジカルと結合して、マグネシウムのフッ化物を形成し、腐食性ガスに対して安定な表面層(被膜)を形成していることが確認された。
特許文献2の発明においては、マグネシウムを含むアルミニウム合金の表面に、腐食性ガスに対して安定な被膜を形成する方法として、マグネシウムを含むアルミニウム合金の表面に、フッ化炭素系化合物を塗布した後、大気中にて加熱することにより、マグネシウムフッ化物からなる被膜を形成する方法を考案した。得られた被膜は、フッ素ラジカルに対しても耐食性を示した。また、この被膜の形成方法を用いて、A6061アルミニウム合金製シャワープレートの表面処理を行い、この処理済みのシャワープレートを用いて実際のプラズマCVD装置で成膜した結果、従来のアルマイト被膜が設けられたシャワープレートを使用して成膜した場合に見られるVth(閾値電圧)シフトのない被膜が得られた。
しかし、ここで得られた被膜は、膜厚が0.5μm未満と薄いため、プラズマCVD装置の基板加熱ヒーターに応用した場合、基板との接触により被膜が傷付きやすく、母材(アルミニウム合金)が剥き出しになる部分があった。そして、母材が剥き出しになった部分から、母材に含まれるマグネシウムが飛散するという問題や、母材が腐食されるという問題があった。
特許文献2の表面処理方法によって得られるマグネシウムフッ化物からなる被膜は、耐食性に優れる特性がある。したがって、この被膜をプラズマCVD装置の基板加熱ヒーターの表面に、使用に耐え得る十分な厚みで設けられれば、特許文献2の表面処理方法は、従来のアルマイト被膜に代る耐食性に優れた被膜の形成方法として有意義な処理法となる。
本発明の金属材料の表面処理法は、上記の問題を解決するために、以下の方法にて、金属材料基板の表面に、耐食性のフッ化マグネシウムからなる被膜を、従来、実現が難しかった厚みに形成できる方法であって、本実施形態ではプラズマCVD装置でよく用いられるアルミニウム合金の表面へのフッ化マグネシウムの被覆法として、以下に示すような方法を用いる。
「金属材料の表面処理法」
本発明の金属材料の表面処理法は、マグネシウム源をフッ化炭素系化合物分散液に分散させ、金属材料の表面に、この分散液を塗布した後、大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱することにより、金属材料の表面に、厚み1μm以上のフッ化不動態膜を形成する方法である。
本発明の金属材料の表面処理法では、フッ化炭素系化合物が分散された分散液を調製し(分散液Aを調製する工程)、次いで、調製された分散液にマグネシウム源を添加し、充分に攪拌、混合した(分散液Bを調製する工程)後、金属材料の表面に、マグネシウム源およびフッ化炭素系化合物が分散された分散液を塗布した(分散液を塗布する工程)後、金属材料を大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱する(金属材料を加熱する工程)ことにより、金属材料の表面にフッ化不動態膜を形成する。
本発明の金属材料の表面処理法では、表面の処理の対象となる金属材料としては、例えば、A5052合金、A6061合金などのマグネシウムを含むアルミニウム合金、AZ−31合金などのマグネシウム合金が挙げられる。
フッ化炭素化合物が分散された分散液を調製する工程では、各種溶媒に、フッ化炭素系化合物を添加して、攪拌することなどにより、フッ化炭素系化合物が均一に分散された分散液を調製する。
フッ化炭素系化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシ−エチレン共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)などが用いられる。
上記のフッ化炭素系化合物を分散させる溶媒としては、アルキルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが用いられる。
このフッ化炭素系化合物が分散された分散液における、フッ化炭素系化合物の含有率は30重量%以上かつ50重量%以下であることが好ましく、30重量%以上かつ40重量%以下であることがより好ましい。
フッ化炭素系化合物の含有率を30重量%以上かつ50重量%以下とした理由は、フッ化炭素系化合物の含有率が30重量%未満では、十分に均一な塗布量が得られないからであり、一方、フッ化炭素系化合物の含有率が50重量%を超えると、液留まりを起こしやすいからである。
なお、本発明では、このフッ化炭素系化合物が分散された分散液を、純水により希釈して用いてもよい。
マグネシウム源およびフッ化炭素系化合物が分散された分散液を調製する工程では、上記のフッ化炭素化合物が分散された分散液に、マグネシウム源を添加して、攪拌、混合することなどにより、マグネシウム源が均一に分散された分散液を調製する。
マグネシウム源としては、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末、炭酸マグネシウム粉末などが用いられる。マグネシウム源として、酸化マグネシウム粉末を用いる場合、その粒子径はミクロンオーダーであることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。
上記のマグネシウム源およびフッ化炭素系化合物が分散された分散液におけるマグネシウム源の含有率は、この分散液に含まれるフッ化炭素系化合物の質量の2.0分の1以上かつ1.3分の以下であることが好ましく、1.5分の1以上かつ1.3分の以下であることがより好ましい。例えば、フッ化炭素系化合物としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用い、マグネシウム源として酸化マグネシウムを用いた場合、上記の分散液における酸化マグネシウムの含有率は、この分散液に含まれるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の質量の1.3分の1とする。
マグネシウム源の含有率を、フッ化炭素系化合物の質量の1.5分の1以上かつ1.3分の1以下とした理由は、マグネシウム源の含有率をこの範囲内とすれば、フッ化マグネシウムの化学量論組成の膜からなるフッ化不動態膜が得られるからである。
マグネシウム源およびフッ化炭素系化合物が分散された分散液を塗布する工程では、マグネシウムを含むアルミニウム合金などの金属材料の表面に、この分散液を塗布する方法としては、金属材料の表面にこの分散液を噴霧する方法、金属材料の表面に分散液を刷毛などにより塗る方法、この分散液に金属材料を浸漬する方法などが用いられる。
上記のマグネシウム源およびフッ化炭素系化合物が分散された分散液を塗布した金属材料を、大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱する工程では、まず、上記の分散液を塗布した金属材料を、室温以上かつ100℃以下にて、0.5時間以上かつ2時間以下乾燥する。
その後、図1に示すような構成の加熱装置を用いて、分散液が塗布された金属材料を加熱する。
この加熱装置10は、加熱炉11と、加熱炉11内に空気もしくは酸素を供給するための流路12と、流路12の途中に設けられた流量計13とから概略構成されている。
この加熱工程では、まず、加熱炉11内に分散液が塗布された金属材料を配置した後、流量計13により流量を調節しながら、流路12を介して、加熱炉11内に空気もしくは酸素を供給し、加熱炉11内を大気雰囲気または酸素雰囲気とする。
次いで、加熱炉11内に配置した金属材料を、大気中もしくは酸素雰囲気中にて、400℃以上かつ500℃以下にて、8時間以上加熱する。加熱時間は、必要とされるフッ化不動態膜の厚み(分散液の塗布量)によって異なるが、概ね24時間以下である。この加熱により、分散液中に含まれるマグネシウム源とフッ化炭素系化合物が反応して、マグネシウムフッ化不動態膜を形成する。これに伴って、金属材料としてマグネシウムを含むアルミニウム合金を用いた場合、加熱により合金に含まれるマグネシウムがその表面に拡散してきて、このマグネシウムと合金の表面に塗布されたフッ化炭素系化合物に含まれるフッ素とが選択的に反応して、マグネシウムを含むアルミニウム合金の表面にマグネシウムフッ化不動態膜が形成される。このような2つの反応の相乗効果により、より密着性が高く、より強固なフッ化不動態膜が形成される。
上記の分散液を塗布した金属材料を、大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱する温度を400℃以上かつ500℃以下とした理由は、加熱する温度が400℃未満では、未反応分散液成分の残存や反応後のカーボンが酸化脱離せずに残留するからであり、一方、加熱する温度が500℃を超えると、金属材料がアルミニウム合金材料などの場合には、その軟化温度を超えてしまうからである。
なお、本発明の表面処理法では、酸素雰囲気中における処理を行うため、マグネシウムを主成分とする合金の種類によって異なる発火点に配慮し、フッ化不働態膜の形成温度を設定する必要がある。
このようにして、本発明の金属材料への表面処理方法によって、金属材料の表面に形成されたフッ化不動態膜は、マグネシウムおよびフッ素を含む金属化合物からなる膜となる。このマグネシウムおよびフッ素を含む金属化合物からなる膜は、フッ素ラジカルが存在し、非常に強い腐食性のある雰囲気においても、強い耐食性を示す。
本発明の金属材料への表面処理方法は、マグネシウム源を分散したフッ化炭素系化合物分散液を用いて、マグネシウムを含むアルミニウム合金やマグネシウム合金などの金属材料の表面に、大気中もしくは酸素雰囲気中にてマグネシウムフッ化不動態膜を形成するので、一般的なフッ化物膜の形成法に用いられるフッ素系ガスを用いることなく、金属材料の表面にフッ化不動態膜を形成することができる。また、本発明の金属材料への表面処理方法は、マグネシウムを含むアルミニウム合金の表面に、フッ化炭素系化合物が分散された溶液を塗布した後、酸素雰囲気中にて加熱することにより、アルミニウム合金の表面にフッ化不動態膜を形成する表面処理法とは異なり、数10倍の膜厚のフッ化不動態膜を形成できる。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実験例1」
金属材料としてアルミニウム合金(A6061合金)を用意した。
ポリテトラフルオロエチレン(三井・デュポンフロロケミカル社製)を分散してなる分散液に、粒子径が3μm程度の酸化マグネシウム粉末を添加し、十分に攪拌、混合して、ポリテトラフルオロエチレンおよび酸化マグネシウム粉末を分散した分散液を調製した。
次いで、アルミニウム合金の表面に、この分散液を噴霧することにより塗布した後、この合金を大気中にて、500℃にて24時間加熱し、表面処理を行った。
なお、分散液に混合する酸化マグネシウム粉末の比率は、質量割合として、酸化マグネシウムを1とした場合、分散液中のポリテトラフルオロエチレン原料そのものを1.3の割合で混合した。
表面処理を施したアルミニウム合金の表面近傍に、ダイヤモンド刃を用いた超精密ミクロトームにより、鏡面断面を形成した。
この鏡面断面を形成した試料表面を光学顕微鏡により観察したところ、アルミニウム合金の表面には、厚み5μmのマグネシウムフッ化不動態膜が形成されていることが確認された。
この光学顕微鏡像を図2に示す。
図2の表面層は、厚み5μm程度のアルミニウム合金と異なる層であった。
「実験例2」
アルミニウム合金(A6061合金)の表面に、ポリテトラフルオロエチレン(三井・デュポンフロロケミカル社製)を分散してなる溶液を噴霧することにより塗布した後、この合金を大気中にて、500℃にて24時間加熱し、表面処理を行った。
表面処理を施したアルミニウム合金の表面近傍に、ダイヤモンド刃を用いた超精密ミクロトームにより、鏡面断面を形成した。
この鏡面断面を形成した試料表面を光学顕微鏡により観察したところ、アルミニウム合金の表面には、厚み0.5μm以下のマグネシウムフッ化不動態膜が形成されていることがかろうじて確認された。
この光学顕微鏡像を図3に示す。
図3の表面層は、厚み0.5μm以下のアルミニウム合金と異なる層であった。
「実験例3」
実験例1で作製した試料の鏡面断面を、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)により元素分析を行った。この元素分析の条件を、マグネシウム(Mg)、フッ素(F)、アルミニウム(Al)、酸素(O)を中心に、ライン分析幅20μmとした。
結果を図4に示す。
図4の結果から、本発明の金属材料の表面処理法を施したアルミニウム合金の表面層には、マグネシウムおよびフッ素の急峻なピークが検出されることから、マグネシウムおよびフッ素が多く存在することが確認された。また、表面層のアルミニウム合金側、すなわち、マグネシウムを含むアルミニウム合金側には酸素のピークも弱く検出されることから、酸素も不純物程度に含まれていることが確認された。そして、アルミニウム合金、すなわち、金属材料の層では、アルミニウムのピークは急峻に減少していき、代わって、マグネシウムとフッ素のピークが急峻に立ち上がっていることが確認された。以上の結果から、アルミニウム合金の表面には、マグネシウムフッ化不動態膜が形成されていることが確認された。
本発明の金属材料の表面処理法は、マグネシウムを含むアルミニウム合金の表面への直接フッ化法とは異なり、フッ化不動態膜の膜厚を十分に厚くすることができるので、このフッ化不動態膜が設けられた金属材料をプラズマCVD装置の基板加熱ヒーターに用いても、基板との接触においても傷付き難くなる。したがって、本発明の金属材料の表面処理法は、基板加熱ヒート表面処理としても用いることができる。また、プラズマCVD以外の真空装置を構成する真空容器内の部材となるアルミニウム合金やマグネシウム合金などの表面処理にも適用できる。
本発明の金属材料の表面処理法の加熱工程において用いられる加熱装置を示す概略構成図である。 実験例1で作製したフッ化不動態膜付きアルミニウム合金の表面近傍の断面を、光学顕微鏡によって撮影した像である。 実験例2で作製したフッ化不動態膜付きアルミニウム合金の表面近傍の断面を、光学顕微鏡によって撮影した像である。 実験例1で作製したフッ化不動態膜付きアルミニウム合金の表面近傍の断面を、光学顕微鏡によって撮影した像である。
符号の説明
10・・・加熱装置、11・・・加熱炉、12・・・流路、13・・・流量計。

Claims (2)

  1. マグネシウム源をフッ化炭素系化合物分散液に分散させ、金属材料の表面に、前記分散液を塗布した後、大気中もしくは酸素雰囲気中にて加熱することにより、前記金属材料の表面に、フッ化不動態膜を形成することを特徴とする金属材料の表面処理法。
  2. 前記金属材料は、マグネシウムを含むアルミニウム合金もしくはマグネシウム合金であることを特徴とする請求項1に記載の金属材料の表面処理法。
JP2008199801A 2008-08-01 2008-08-01 金属材料の表面処理法 Active JP5085456B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008199801A JP5085456B2 (ja) 2008-08-01 2008-08-01 金属材料の表面処理法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008199801A JP5085456B2 (ja) 2008-08-01 2008-08-01 金属材料の表面処理法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010037581A true JP2010037581A (ja) 2010-02-18
JP5085456B2 JP5085456B2 (ja) 2012-11-28

Family

ID=42010437

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008199801A Active JP5085456B2 (ja) 2008-08-01 2008-08-01 金属材料の表面処理法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5085456B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010070803A (ja) * 2008-09-18 2010-04-02 Ulvac Japan Ltd 金属材料の表面処理法
WO2013008369A1 (ja) * 2011-07-11 2013-01-17 国立大学法人東北大学 製造プロセス用の処理槽及びその製造法
WO2021138068A1 (en) * 2019-12-30 2021-07-08 Entegris, Inc. Metal body having magnesium fluoride region formed therefrom

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003129158A (ja) * 2001-10-18 2003-05-08 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 耐食マグネシウム合金とその製造方法
JP2006089821A (ja) * 2004-09-27 2006-04-06 Tocalo Co Ltd 半導体加工装置用部材の耐食処理方法およびその処理部材
WO2008041701A1 (fr) * 2006-10-02 2008-04-10 Ulvac, Inc. Procédé de traitement de surface pour un alliage d'aluminium et procédé de traitement de surface pour un alliage de magnésium

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003129158A (ja) * 2001-10-18 2003-05-08 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 耐食マグネシウム合金とその製造方法
JP2006089821A (ja) * 2004-09-27 2006-04-06 Tocalo Co Ltd 半導体加工装置用部材の耐食処理方法およびその処理部材
WO2008041701A1 (fr) * 2006-10-02 2008-04-10 Ulvac, Inc. Procédé de traitement de surface pour un alliage d'aluminium et procédé de traitement de surface pour un alliage de magnésium

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010070803A (ja) * 2008-09-18 2010-04-02 Ulvac Japan Ltd 金属材料の表面処理法
WO2013008369A1 (ja) * 2011-07-11 2013-01-17 国立大学法人東北大学 製造プロセス用の処理槽及びその製造法
WO2021138068A1 (en) * 2019-12-30 2021-07-08 Entegris, Inc. Metal body having magnesium fluoride region formed therefrom
EP4085157A4 (en) * 2019-12-30 2024-01-17 Entegris Inc METAL BODY WITH MAGNESIUM FLUORIDE AREA FORMED THEREOF

Also Published As

Publication number Publication date
JP5085456B2 (ja) 2012-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI279864B (en) Halogen-resistant, anodized aluminum for use in semiconductor processing apparatus
JP4790812B2 (ja) アルミニウム合金の表面処理法およびマグネシウム合金の表面処理法
TW200302879A (en) Halogen-resistant, anodized aluminum for use in semiconductor processing apparatus
SG185744A1 (en) Reduction of copper or trace metal contaminants in plasma electrolytic oxidation coatings
JP2008244292A (ja) プラズマ処理装置の処理性能安定化方法
KR101123290B1 (ko) 알루미늄재의 표면 처리 방법
JP5085456B2 (ja) 金属材料の表面処理法
TW201830502A (zh) 具降低之金屬濃度的保護氧化物塗層
TW200902763A (en) Anodic oxidation coating remover composition and method of removing anodic oxidation coatings
CN108431934A (zh) 半导体处理设备的耐腐蚀性涂层
JP5222673B2 (ja) 金属材料の表面処理法
JP7460771B2 (ja) フッ化マグネシウム領域が形成させる金属体
WO2021140757A1 (ja) 金属材料、金属材料の製造方法、半導体処理装置のパッシベーション方法、半導体デバイスの製造方法、および、充填済み容器の製造方法
TWI751701B (zh) 耐蝕性構件
KR102434345B1 (ko) 반응 챔버 부재 및 그 제조 방법, 반응 챔버
KR20230112304A (ko) 반도체 증착공정 장비의 알루미늄계 부품용 세정물 및 이를 이용한 반도체 증착공정 장비의 알루미늄계 부품 세정 방법
TW202113117A (zh) 具有化學耐性表面之rf組件
JP2007126752A (ja) プラズマ処理容器内部材およびその製造方法
TW200307325A (en) Clean aluminum alloy for semiconductor processing equipment

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110405

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120807

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120905

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5085456

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150914

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250