JP2004360066A - 耐食性材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 半導体製造プロセスなどに用いられるハロゲン系の腐食性ガスに対する耐食性に優れ、良好なフッ化不働態層の耐久性を有するとともに使用時に汚染ガスの発生が少ない耐食性材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 金属等からなる基材の表面に形成された、ニッケル層またはニッケル合金層と、その表面に形成された酸化ニッケル層と、酸化ニッケル層の表面に形成されたフッ化ニッケル層とからなることを特徴とする耐食性材料およびその製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属、プラスチックあるいはセラミックスなどの基材表面に耐食性膜を形成した耐食性材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、半導体製造プロセスなどに使用されるハロゲン系の腐食性ガスに対して耐食性に優れたフッ化不働態層を有する耐食性材料およびその製造方法に関する。
半導体製造プロセスではドライエッチング工程もしくはチャンバーのドライクリーニング等において各種のハロゲン系ガスが使用されている。これらのハロゲン系ガスは、そのガス雰囲気に水分が存在すると加水分解して塩化水素やフッ化水素等の強い腐食性を持つ酸を発生し、これらのガスを取り扱う貯蔵容器、配管、供給機器、反応チャンバーなどを構成する材料の腐食を引き起こす。
このようにして腐食が発生すると、例えば腐食により発生した不純物が半導体デバイスに混入してデバイスが劣化するなどの問題が生じるため、これらの材料の腐食を防止してプロセス雰囲気の清浄度を保つ技術が要請されている。
この他、半導体製造装置に限らず、腐食性を持つハロゲン系ガスを使用する装置では、これらのガスと接触する装置材料が腐食し劣化してしまうという問題があった。
この問題点を解決するため、従来から、各種装置、配管などを構成する基材の最表面にフッ化不働態層を形成し、ハロゲン系ガスによる腐食を防止する技術が提案されている。(例えば特許文献1〜3を参照)。
これらの特許文献1〜3に記載された技術では、いずれも基材である金属もしくは基材の表面に形成した合金薄膜を直接フッ素ガスで処理してフッ化不働態膜を形成している。しかしながら、この方法では、フッ化不働態膜の層厚を一定以上の厚さに形成することができず、例えば傷が付くと下層が露出してしまうなど、耐摩耗性および耐食性の点で必ずしも充分ではない。
この点を解決する技術として、特許文献4には基材の表面に形成したニッケルーリン合金などのニッケル合金層の表面側を強制酸化して1ミクロン以上の層厚を有する酸化ニッケル層を形成し、ついでフッ素ガスなどで酸化ニッケル層をフッ素化処理し、基材−ニッケル合金層−フッ化ニッケル層からなる耐食性材料を形成する技術が開示されている。このように予めニッケル合金層を強制酸化することにより、亀裂のない1ミクロン以上の膜厚を有するフッ化不働態層を形成することができ、耐摩耗性および耐食性を大きく改善している。
しかしながらこの特許文献4に開示されている耐食性材料では、基材表面のニッケル合金層上へ直接にフッ化ニッケル層が形成されている構造であるため、この耐食性材料を使用するに際してフッ素ガスなどと接触すると、条件によっては下層であるニッケル合金層がさらにフッ素化されることがあり、この際にフッ化リンなどの汚染ガスが発生することがあった。
本発明者らは、上記した従来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、ニッケル合金層の表面を強制酸化して酸化ニッケル層を形成した後に、酸化ニッケル層を残存する条件下でフッ化処理してフッ化ニッケル層を形成して得られた基材−ニッケル合金層−酸化ニッケル層−フッ化ニッケル層の構成を有する耐食性材料によれば、上記のような汚
染ガスの発生を低減し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
特開平2−263972号公報 特開平2−175855号公報 特許第2954716号公報 特許第3094000号公報
本発明は、半導体製造プロセスなどに用いられるハロゲン系の腐食性ガスに対して耐食性に優れ、耐摩耗性および耐久性を有するとともに、使用時に汚染ガスの発生が少ない耐食性材料およびその製造方法を提供することを目的としている。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(9)に関する。
(1)基材と、該基材の表面に形成されたニッケル層またはニッケル合金層と、その表面に形成された酸化ニッケル層と、酸化ニッケル層の表面に形成されたフッ化ニッケル層とからなることを特徴とする耐食性材料。
(2)ニッケル層が、電解法、無電解法、溶射法、PVD法またはCVD法により形成されることを特徴とする上記(1)に記載の耐食性材料。
(3)ニッケル合金層が、電解法または無電解法により形成されることを特徴とする上記(1)に記載の耐食性材料。
(4)ニッケル合金層を形成するニッケル合金が、ニッケル−リン合金、ニッケル−ホウ素合金またはニッケル−リン−タングステン合金であることを特徴とする上記(3)に記載の耐食性材料。
(5)フッ化ニッケル層の層厚が0.1ミクロン〜2ミクロンであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐食性材料。
(6)酸化ニッケル層の層厚が0.1ミクロン〜10ミクロンであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の耐食性材料。
(7)ニッケル層またはニッケル合金層の層厚が5ミクロン〜50ミクロンであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の耐食性材料。
(8)基材がアルミニウム、アルミニウム合金、銅、ステンレス、プラスチックまたはセラミックスであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の耐食性材料。
(9)基材の表面に、ニッケル、ニッケル−リン合金、ニッケル−ホウ素合金またはニッケル−リン−タングステン合金からなる層を1層または2層以上に積層して形成し、この表面側を強制酸化して酸化ニッケル層を形成し、酸化ニッケル層を残存させる条件下でフッ素化処理してフッ化ニッケル層を形成することを特徴とする耐食性材料の製造方法。
本発明によれば、半導体製造プロセスなどに用いられるハロゲン系腐食ガスに対して耐食性に優れ良好なフッ化不働態層の耐摩耗性および耐久性を有するとともに、使用時に汚染ガスの発生の少ない耐食材料を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、基材と、該基材の表面に形成されたニッケル層またはニッケル合金層と、その表面に形成された酸化ニッケル層と、酸化ニッケル層の表面に形成されたフッ化ニッケル層とからなることを特徴とする耐食性材料を提供するものである。
基材としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ステンレス等の金属、プラスチックまたはセラミックス等を用いることができ、まず基材上にニッケル層またはニッケル合金層を、その層厚が好ましくは5ミクロン〜50ミクロンとなるように形成せしめる。ニッケル層またはニッケル合金層は、電解法または無電解法によるメッキ、溶射、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の公知の技術によって形成することができる。
次いで、酸化剤によってニッケル層またはニッケル合金層の表面を強制酸化してその表層を酸化ニッケル層の層厚が、最終的に好ましくは0.1ミクロン〜10ミクロンとなるように調整せしめる。さらに、フッ素化ガスを用いて酸化ニッケル層の表層をフッ素化し、その層厚が好ましくは2ミクロン以下、さらに好ましくは1ミクロン以下となるようにフッ化ニッケル層を形成する。
従って最終的に、基材表面に形成したニッケル層またはニッケル合金層を改質し、基材より順番に、基材−ニッケル層またはニッケル合金層−酸化ニッケル層−フッ化ニッケル層となる構成を有する耐食性材料を得るものである。
上記したように、本発明の耐食性材料の基材としては、例えば金属、プラスチック、セラミックス等を用いることができる。
このうち金属としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金、マグネシウム、マグネシウム合金、ニッケル、ニッケル合金を挙げることができる。
またプラスチックとしては、例えば、ABS、ポリイミド、アクリレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができる。
これらの基材の表面には、ニッケル層またはニッケル合金層を形成するために、電解あるいは無電解めっき処理等を行う前に、例えば、ショットブラスト、溶剤もしくはアルカリ溶液を用いた脱脂、酸化膜除去処理、亜鉛置換処理、ニッケルストライク処理等の基材に応じた公知の前処理が必要に応じて施される。
次いで、基材の表面に電解あるいは無電解メッキ等を施して、ニッケル層か、あるいはニッケル−リン合金層、ニッケル−ホウ素合金層またはニッケル−リン−タングステン合金層などのニッケル合金層を析出形成する。このニッケル合金層は、この他、ニッケル−リン−ホウ素合金層、ニッケル−ホウ素−タングステン合金層であってもよい。
電解メッキは、ニッケル塩としてスルファミン酸ニッケルを用いた「スルファミン酸ニッケル浴」や塩化ニッケルおよび硫酸ニッケルを用いる「ワット浴」等公知の手法を用いることができる。特に「スルファミン酸ニッケル浴」は、被膜のニッケル純度に優れる他、被膜の応力が少なく熱による劣化も少ないニッケル被膜が得られる。
無電解メッキは、ニッケル塩と、還元剤としてのリン化合物もしくはホウ素化合物を含む無電解メッキ浴を用いて行う。ニッケル塩としては例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、及び炭酸ニッケルを挙げることができる。リン化合物としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウムなどを挙げることができる。ホウ素化合物としては、例えば、ジメチルアミノホウ素、ジエチルアミノホウ素、及び水素化ホウ素ナトリウムを挙げることができる。またニッケル−リン−タングステン合金層を形成する
際には、タングステン酸ナトリウム等を添加する。メッキ浴中のニッケル塩、リン化合物の比率はニッケル合金層の組成に応じて適宜調整することができる。また各成分の濃度は、浴の安定性や析出速度などを考慮して決めることができるが、通常はニッケル塩濃度を20g/L程度とすることが好ましい。
さらにメッキ浴には、安定性、pH緩衝作用を考慮して、酢酸、リンゴ酸およびクエン酸等の有機酸、あるいはエチレンジアミン四酢酸等のキレート剤を添加することができる。また、ニッケル化合物が自己分解して析出することを防止するために安定化剤として、微量の硝酸鉛、硝酸ビスマス、アンチモン塩、イオウ化合物などを添加することができる。この他必要に応じて光沢剤などの各種添加剤を添加することができる。
メッキ浴のpHは浴の安定性や析出速度などを考慮して通常はpH4〜9程度の弱酸性から弱アルカリ性に調整される。
メッキ浴の温度は、浴の安定性と析出速度などを考慮して決められるが、通常は50℃〜90℃にてメッキを行う。
またメッキ液への浸漬時間を調整することで、ニッケル合金層の層厚を適宜調整することができる。
次いで、例えば上記の方法に従って基材の表面に形成したニッケル層またはニッケル合金層の表面を強制酸化する。必要に応じて酸化処理前にニッケル層またはニッケル合金層表面の脱脂処理、脱水処理を行う。
強制酸化処理は、反応炉内にて、酸素、亜酸化窒素、過酸化窒素、またはオゾンなど酸化性ガスを高温下でニッケル合金層と接触させて行う。これら酸化性ガスは他の中性ガス、不活性ガスとの混合ガスとして用いることができる。酸化反応は、通常250℃〜500℃で行われる。反応時間は6時間〜48時間である。また、この気相における強制酸化以外に、液相にて強制酸化させることも可能である。すなわち、ニッケル合金層を形成した基材を、硝酸、過酸化水素水などの溶液に浸漬してニッケル合金層を酸化することもできる。さらにアルカリなどの電解液を用いて、ニッケル合金層を形成した基材を陽極として電解処理してその表面に発生する酸素によって酸化膜を形成することもできる。
このようにして強制酸化することにより、ニッケル層またはニッケル合金層の表面側が酸化され、酸化ニッケルを含む酸化ニッケル層が形成される。
次いでこの酸化ニッケル層を酸化ニッケル層が残存する条件下にてフッ化処理してフッ化ニッケル層を形成する。具体的には、たとえば無電解ニッケルメッキによりニッケル合金層を形成した基材を、常圧で酸化性ガスを流通する反応炉に装着し、酸化性ガスの流通下、反応炉を所定の温度に加熱して所定時間保持した後にさらに所定温度にてフッ化ガスを充填して所定時間反応させて酸化ニッケル層のフッ素化処理を行う。
フッ素化処理は、フッ素、三フッ化塩素、三フッ化窒素などの100%ガス、またはこれらのガスを窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにて希釈したガス、あるいはフッ素などのプラズマガスを用いて行うことができる。フッ素化処理は常圧下では通常200℃〜400℃で行われる。反応時間は通常2時間〜10時間である。
このフッ素化処理により、ニッケル層またはニッケル合金層の表面に形成した酸化ニッケル層の酸素とフッ素が反応して表面側の一部にフッ化ニッケル層が形成される。このフッ化ニッケル層は通常表面層側でほぼ化学量論的にニッケルとフッ素が反応して形成されるNiF2層を形成している。完全に酸化ニッケルがフッ素化される必要はなく、酸化ニ
ッケル層との境界領域以外の部分では酸素は検出レベル未満となるようにフッ素へ置換されていることが好ましい。
このように本発明では、酸化ニッケル層の全てをフッ化ニッケル層に置換するのではなく、例えば反応処理時間、温度などのフッ素化処理条件を適切に調整することによって酸化ニッケル層を残存させている。この酸化ニッケル層がニッケル合金層と表面のフッ化ニッケル層との間に介在していることによって本発明の耐食性材料を使用するに際してフッ素ガスなどと接触しても下層であるニッケル合金層がさらにフッ素化されることがなく、従ってニッケル合金層に含まれるリンなどの成分が反応して形成するフッ化リンなどの汚染ガスの発生を著しく減少させることができる。また、酸化ニッケル層とフッ化ニッケル層との間にはこれらの混合層(拡散層)があり、この混合層では酸化ニッケル層にフッ化ニッケルが拡散した状態となっている。混合層は容易に形成され、その層厚は反応条件によって調整することができる。
なお、このようにして得られる基材−ニッケル層またはニッケル合金層−酸化ニッケル層−フッ化ニッケル層の構成を有する本発明の耐食性材料の各層厚は、ニッケル層またはニッケル合金層が好ましくは5〜50ミクロンであり、また被膜の耐久性や生じる被膜の応力等の点から酸化ニッケル層の層厚が0.1〜10ミクロンであることが好ましく、耐食性とフッ化不働態層の耐摩耗性及び耐久性の点から、フッ化ニッケル層は0.1〜2ミクロンであることが望ましい。
耐食性材料の表面に形成されたフッ化ニッケル層をさらに酸化して新たに酸化ニッケル層を形成することもできる。この新たに形成された酸化ニッケル層とフッ化ニッケル層との間には、フッ化ニッケル層に酸化ニッケルが拡散した混合層(拡散層)が存在する。さらに表面の酸化ニッケル層を前記と同様にしてフッ素化してもよい。すなわち、このような酸化とフッ素化の処理を繰り返すことによって、酸化ニッケル層およびフッ化ニッケル層を交互に積層することができる。
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
基材のステンレス鋼(SUS316L)を酸洗いして前処理した後、無電解メッキ浴(組成:硫酸ニッケル(20g/L)、次亜リン酸(20g/L)、錯化剤(適量)、安定剤(適量)、光沢剤(適量)、pH4.5、温度90℃)に浸漬して所定時間反応させ、ステンレス鋼の表面にニッケル−リン合金層を形成した。
常圧気相流通式反応炉に、このニッケル−リン合金層を形成した基材を炉内部に装着し、減圧下で200℃にて1時間焼成前処理した後、酸素ガス(99.999%)を導入しながら、500℃まで昇温した。
そしてこの温度で12時間ニッケル−リン合金層の強制酸化処理を行った。その後に、反応炉内の酸素ガスを窒素ガスにて置換しながら降温した。250℃になったところで、20%F2ガス(窒素希釈)を導入、置換した。完全置換後そのまま6時間保持し、酸化
ニッケル層表面のフッ素化処理を行った。所定時間後にフッ素ガスを窒素ガスにて置換して、そのまま1時間保持した後に降温した。
[実施例2]
基材のステンレス鋼(SUS316L)を酸洗いして前処理した後、無電解メッキ浴(組成:硫酸ニッケル(30g/L)、ジメチルアミノホウ素(5g/L)、錯化剤(適量)、安定剤(適量)、光沢剤(適量)、pH7.0、温度65℃)に浸漬して所定時間反応させ、ステンレス鋼の表面にニッケル−ホウ素合金層を形成した。
常圧気相流通式反応炉に、このニッケル−ホウ素合金層を形成した基材を炉内部に装着
し、減圧下で200℃にて1時間焼成前処理した後、酸素ガス(99.999%)を導入しながら、500℃まで昇温した。
そしてこの温度で12時間ニッケル−ホウ素合金層の強制酸化処理を行った。その後に、反応炉内の酸素ガスを窒素ガスにて置換しながら降温した。250℃になったところで、20%F2ガス(窒素希釈)を導入、置換した。完全置換後そのまま6時間保持し、酸
化ニッケル層表面のフッ素化処理を行った。所定時間後にフッ素ガスを窒素ガスにて置換して、そのまま1時間保持した後に降温した。
[実施例3]
基材のステンレス鋼(SUS316L)を酸洗いして前処理した後、無電解メッキ浴(組成:硫酸ニッケル(15g/L)、タングステン酸ナトリウム(20g/L)、次亜リン酸(20g/L)、錯化剤(適量)、安定剤(適量)、光沢剤(適量)、pH9.0、温度85℃)に浸漬して所定時間反応させ、ステンレス鋼の表面にニッケル−リン−タングステン合金層を形成した。
常圧気相流通式反応炉に、このニッケル−リン−タングステン合金層を形成した基材を炉内部に装着し、減圧下で200℃にて1時間焼成前処理した後、酸素ガス(99.999%)を導入しながら、500℃まで昇温した。
そしてこの温度で12時間ニッケル−リン−タングステン合金層の強制酸化処理を行った。その後に、反応炉内の酸素ガスを窒素ガスにて置換しながら降温した。250℃になったところで、20%F2ガス(窒素希釈)を導入、置換した。完全置換後そのまま6時
間保持し、酸化ニッケル層表面のフッ素化処理を行った。所定時間後にフッ素ガスを窒素ガスにて置換しそのまま1時間保持した後に降温した。
[比較例1]
基材のステンレス鋼(SUS316L)を酸洗いして前処理した後、無電解メッキ浴(組成:硫酸ニッケル(20g/L)、次亜リン酸(20g/L)、錯化剤(適量)、安定剤(適量)、光沢剤(適量)、pH4.5、温度90℃)に浸漬して所定時間反応させ、ステンレス鋼の表面にニッケル−リン合金層を形成した。
常圧気相流通式反応炉に、このニッケル−リン合金層を形成した基材を炉内部に装着し、減圧下で200℃にて1時間焼成前処理した後、反応炉内の残留ガスを窒素ガスにて置換しながら昇温した。350℃になったところで、20%F2ガス(窒素希釈)を導入し
た。導入後そのまま6時間保持し、ニッケル−リン合金層表面のフッ素化処理を行った。いわゆる広く知られたニッケル材の不働態化処理である。所定時間後にフッ素ガスを窒素ガスにて置換しそのまま1時間保持した後に降温した。
[比較例2]
基材のステンレス鋼(SUS316L)を酸洗いして前処理した後、無電解メッキ浴(組成:硫酸ニッケル(20g/L)、次亜リン酸(20g/L)、錯化剤(適量)、安定剤(適量)、光沢剤(適量)、pH4.5、温度90℃)に浸漬して所定時間反応させ、ステンレス鋼の表面にニッケル−リン合金層を形成した。試験片は乾燥器内に設置してそのまま1時間保持した後に降温した。
図1に実施例1の試験片をAES(Auger Electron Spectroscopy)にて解析した結果を示す。最表面で検出された元素は、Ni、F、O、Cの4元素であった。表面に吸着していた水分、汚れに起因したものとされるC、Oは1分程のアルゴンイオンスパッタリングによって除去され、不検出となった。最表層のフッ化ニッケル層はNiとFの原子比率が約1:2であり、最表面側でのフッ化ニッケル(NiF2
の存在が認められた。さらにアルゴンイオンスパッタリングによる深さ方向の分析を行ったところ、約20分後からフッ素の検出強度が減少しはじめ、酸素の検出強度が大きくな
り、やがてNiと酸素元素のみが検出されるようになった。このことからフッ化ニッケル膜の下層に酸化ニッケル層が存在していることが明らかとなった。アルゴンイオンスパッタリングをさらに進めると酸素が約130分後にほぼ不検出となった。酸素元素の検出強度が低下するとともに、リンの検出が始まり、やがてNiとPの検出比率が一定となった。以上の結果から、アルゴンイオンスパッタリングのエッチングレートが120オングストローム/分(SiO2補正)であることから、これにより換算すると、フッ化ニッケル
層の膜厚(層厚)は0.30μmとなり、その下層に存在する酸化ニッケル層は1.20μmに膜化していることが確認された。最表層からの被膜の状態を示すと図5のようになる。このように、最表層からフッ化ニッケル層−酸化ニッケル層−ニッケル−リン合金層−基材の被膜構成を有することがわかった。
図2に実施例2の試験片を同様にAESにて解析した結果を示す。表面で検出された元素は、実施例1と同様にNi、F、O、Cの4元素であった。最表層における元素組成は図2の左端で示される。表面に吸着していた水分、汚れに起因したものとされるC、Oは1分間程のアルゴンイオンスパッタリングによって除去され、不検出となった。
最表層のフッ化ニッケル層はNiとFの原子比率が約1:2であり、最表面でのフッ化ニッケル(NiF2)の存在が認められた。さらにアルゴンイオンスパッタリングによる
深さ方向の分析を行ったところ、約15分後からフッ素の検出強度が大きく減少しはじめ、酸素の検出強度が大きくなり、やがてNiと酸素元素のみが検出されるようになった。実施例1と同様にフッ化ニッケル膜の下層に酸化ニッケル層が存在していることが明らかとなった。アルゴンイオンスパッタリングをさらに進めると酸素が約70分後にほぼ不検出となった。このことから、アルゴンイオンスパッタリングのエッチングレートが120オングストローム/分(SiO2補正)であることから、フッ化ニッケル層の膜厚(層厚
)は、0.24μmとなり、その下層に存在する酸化ニッケル層は0.55μmに膜化していることが確認された。
従って最表層からの被膜の状態を示すと図5のようになる。このように、最表層からフッ化ニッケル層−酸化ニッケル層−ニッケル−ホウ素合金層−基材の被膜構成を有することがわかった。
図3に実施例3の試験片をAESにて解析した結果を示す。最表面で検出された元素は、Ni、F、O、Cの4元素であった。表面に吸着していた水分、汚れに起因したものとされるC、Oは1分程のアルゴンイオンスパッタリングによって除去され、不検出となった。
最表層のフッ化ニッケル層はNiとFの原子比率が約1:2であり、最表面でのフッ化ニッケル(NiF2)の存在が認められた。さらにアルゴンイオンスパッタリングによる
深さ方向の分析を行ったところ、約25分後からフッ素の検出強度が減少しはじめ、酸素の検出強度が大きくなり、やがてNiと酸素元素のみが検出されるようになった。実施例1、2と同様にフッ化ニッケル膜の下層に酸化ニッケル層が存在していることが明らかとなった。アルゴンイオンスパッタリングをさらに進めると酸素の検出が約135分後にほぼ不検出となった。これと同時にリンおよびタングステンが大きく検出され始め、最終的にはNi,P,Wの元素が検出される状態となった。
アルゴンイオンスパッタリングのエッチングレートが120オングストローム/分(SiO2補正)であることから、フッ化ニッケル層の膜厚(層厚)は、0.32μmとなり
、その下層に存在する酸化ニッケル層は1.20μmに膜化していることが確認された。最表層からの被膜の状態を示すと図5のようになる。最表層からフッ化ニッケル層−酸化ニッケル層−ニッケル−リン−タングステン合金層−基材の被膜構成を有することがわか
った。
図4に比較例1の試験片をAESにて解析した結果を示す。表面で検出された元素はNi、F、O、Cの4元素であった。表面に吸着していた水分、汚れに起因したものとされるC、Oは約1分のアルゴンイオンスパッタリングによって除去され、不検出となった。NiとFの原子比率は約1:2であるが、フッ素はスパッタリング開始時から5分間でその検出強度が減少しはじめ約15分でフッ素の検出はなくなった。フッ素元素の検出が大きく減少するとともにPの検出が増加し、やがてNiとPが一定比率にて検出される状態となった。
アルゴンイオンスパッタリングのエッチングレートは120オングストローム/分(SiO2補正)であることから、フッ素の拡散層を含めた膜厚(層厚)は0.18ミクロン
となり、形成された皮膜がサブμmオーダーのフッ化皮膜であることが確認された。
表1に、比較例1および2と実施例1の両者における各試験片について耐食性評価試験を行った結果を示す。耐食性評価として、20%硝酸、50%フッ化水素酸、20%硫酸、20%りん酸、28%アンモニア水、5%苛性ソーダ、50%ギ酸、20%酢酸、しゅう酸、有機溶剤(アセトン)、エタノール、EDTA、テトラミン、塩酸ヒドロキシルアミンなどの溶液または薬剤を試験液として準備し、各々の試験液へ室温下(25℃)で24時間浸せきした際の各試験片の重量減少量を表した。
Figure 2004360066
いずれの試験液においても実施例1の試験片が、比較例1および比較例2と比較して、腐食減量、外観観察の面において同等の優れた耐食性を示した。
次に、実施例1および比較例1の各試験片を真空中にて加熱した際の被膜より発生するガスについて質量分析法によって測定解析を行った。室温から600℃まで昇温して加熱を行った際に放出されるガスを解析した。この結果を図6、7に示す。
図6に示されるように、酸化ニッケル膜を中間層に有する実施例1の試験片では、ガス
の放出量はごく僅かな量であった。
これに対し、図7に示されるように、比較例1の試験片では、300℃付近からHFが検出され、500℃付近からはPF2、PF3が検出された。特に500℃付近からPF2
、PF3が急激に放出してくることが明らかとなった。
比較例1の場合、被膜を加熱するとフッ化化膜のFとニッケル−リン合金膜の界面にて、PF2、PF3のようなガスを放出する反応が起こる。したがって、リンが放出されるため、例えば半導体製造装置へこの比較例1の構造の耐食性材料を採用した際に、皮膜からの汚染が起こりデバイスの原子状汚染を引き起こす可能性がある。これに対して、実施例1のように酸化ニッケル膜を中間層に有する本発明の耐食性材料では、このような反応が起こることがなく、ガスの放出が防止される。
図1は、実施例1の試験片をAES(Auger Electron Spectroscopy)にて解析した結果を示すグラフである。 図2は、実施例2の試験片をAES(Auger Electron Spectroscopy)にて解析した結果を示すグラフである。 図3は、実施例3の試験片をAES(Auger Electron Spectroscopy)にて解析した結果を示すグラフである。 図4は、比較例1の試験片をAES(Auger Electron Spectroscopy)にて解析した結果を示すグラフである。 図5は、実施例1〜3と比較例1の材料の、最表層からの被膜の状態を示す模式図である。 図6は、実施例1の試験片を真空中にて加熱した際に被膜より発生するガスについて質量分析法によって測定解析を行った結果を示すグラフである。 図7は、比較例1の試験片を真空中にて加熱した際に被膜より発生するガスについて質量分析法によって測定解析を行った結果を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 基材と、該基材の表面に形成されたニッケル層またはニッケル合金層と、その表面に形成された酸化ニッケル層と、酸化ニッケル層の表面に形成されたフッ化ニッケル層とからなることを特徴とする耐食性材料。
  2. ニッケル層が、電解法、無電解法、溶射法、PVD法またはCVD法により形成されることを特徴とする請求項1に記載の耐食性材料。
  3. ニッケル合金層が、電解法または無電解法により形成されることを特徴とする請求項1に記載の耐食性材料。
  4. ニッケル合金層を形成するニッケル合金が、ニッケル−リン合金、ニッケル−ホウ素合金またはニッケル−リン−タングステン合金であることを特徴とする請求項3に記載の耐食性材料。
  5. フッ化ニッケル層の層厚が0.1ミクロン〜2ミクロンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐食性材料。
  6. 酸化ニッケル層の層厚が0.1ミクロン〜10ミクロンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐食性材料。
  7. ニッケル層またはニッケル合金層の層厚が5ミクロン〜50ミクロンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐食性材料。
  8. 基材がアルミニウム、アルミニウム合金、銅、ステンレス、プラスチックまたはセラミックスであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の耐食性材料。
  9. 基材の表面に、ニッケル、ニッケル−リン合金、ニッケル−ホウ素合金またはニッケル−リン−タングステン合金からなる層を1層または2層以上に積層して形成し、この表面側を強制酸化して酸化ニッケル層を形成し、酸化ニッケル層を残存させる条件下でフッ素化処理してフッ化ニッケル層を形成することを特徴とする耐食性材料の製造方法。
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