JP2006089754A - タイヤケーシング - Google Patents

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Abstract

【課題】改良されたヒステリシス特性及びスコーチ安全性を有するタイヤケーシングを提供する。
【解決手段】分子当たり、シリカ粒子の表面ヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能性シロキシ単位を含む少なくとも一種の機能化ポリオルガノシロキサン化合物と、分子当たり、ポリオルガノシロキサン及び/またはシリカ粒子のヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能基及びポリマーの鎖に化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つのその他の官能基を含む少なくとも一種の機能化オルガノシラン化合物の混合物及び/またはin situ 反応の生成物からなる強化添加剤を含む強化充填剤としてのシリカ及び少なくとも一種のエラストマーをベースとする、改良されたヒステリシス特性及びスコーチ安全性を有するタイヤケーシング。
【選択図】なし

Description

本発明は機能化ポリオルガノシロキサン及びオルガノシラン化合物をベースとする強化添加剤を含む沈降シリカをベースとするタイヤケーシングの製造用の新規なゴム組成物に関する。
燃料の経済性及び環境を保護する必要が優先されるようになってきているので、良好な機械的性質と、ポリマーをタイヤケーシング、例えば、アンダーライニング、カレンダリングもしくは側壁ゴムまたはトレッドの構造の一部を形成する種々の半完成製品の製造に使用し得るゴム組成物の形態で使用させるため、かつ特に低下された転がり抵抗を有する改良された性質を有するタイヤを得るためにできるだけ低いヒステリシスとを有するポリマーを製造することが望ましい。
特に、カップリング剤もしくはスターリング剤(starring agent)または機能化剤により重合の終了時にジエンポリマー及びコポリマーの性質を特に変性することからなる多くの解決方法がこのような目的を満たすために提案されていた。これらの全ての解決方法は、変性ポリマーとカーボンブラックの間に良好な相互作用を得ることを目的として強化充填剤としてカーボンブラックを含む変性ポリマーの使用に実質的に集中していた。充填剤により付与される最適の強化特性を得るために、充填剤はできるだけ微細にされるとともに、できるだけ均一に分布される最終形態でエラストマーマトリックス中に存在すべきであることが適切であることが一般に知られている。しかしながら、このような条件は、一方で、充填剤がエラストマーとの混合中にマトリックスに混入され、かつ凝離または解凝集され、かつエラストマー中に均一に分散されることに関して非常に良好な能力を有する場合に限り達成し得る。白色強化充填剤、特にシリカの使用は、このような組成物の或る性質、ひいてはこれらの組成物を使用するタイヤの或る性質の低レベルのために不適切であることがわかった。
加えて、相互のアフィニティーの理由のために、シリカ粒子はエラストマーマトリックス中で一緒に凝集するという不利な傾向を有する。これらのシリカ間の相互作用は、混合操作中に生じることができる全てのシリカ/エラストマー相互作用が実際に得られたとするならば理論上得ることができるであろうレベルよりもかなり低いレベルに強化特性を制限するという不利な結果を有する。
更に、シリカの使用は、生状態(硬化前)で、ゴム組成物のコンシステンシーを増大し、いずれにしても、カーボンブラックの加工よりも加工を困難にする傾向があるシリカ間の相互作用のためである加工上の難点を生じる。
最後に、シリカと架橋系(これが硫黄系である場合)及び硫黄の場合に通常使用される促進剤の間の相互作用が架橋の速度及び効率を低下する。
シリカ強化組成物の場合、欧州特許出願EP-A-0 501 227の刊行物により関心が再びとりもどされるようになってきており、この特許はエラストマー100 重量部当たり30〜150 重量部の特別な沈降シリカとの溶液中で重合により調製された共役ジエン及び芳香族ビニル化合物のコポリマーの熱力学的作用により得られた加硫ゴム組成物を開示している。このようなシリカの使用はそれを主として、または強化充填剤として含む混合物を加工する際の難点を紛れもなく低減したが、それにもかかわらず、このようなゴム組成物の加工はカーボンブラックの加工よりも更に困難のままに留まっている。
シリカと反応するカップリング剤または結合剤はシリカの表面とエラストマーの間で良好な相互作用を生じるとともに、シリカの分散を促進するのに使用される必要があることが当業者に知られており、欧州特許出願EP-A-0 501 227に記載された組成物がまたこの要望を受けるものである。
当業者の一つの目的は、タイヤケーシングの製造を目的とし、他方で、このような組成物の性質を損なわないで、必要とされるカップリング剤及び/または強化剤の量を減少することを目的とする強化充填剤としてシリカを含むジエンゴム組成物の加工を改良することにある。
こうして、米国特許第3,350,345 号明細書に、シリカを含むゴム組成物中に、エラストマー/シリカカップリング剤として加水分解性シラン、特にメルカプトシランを使用することが提案されていた。その後、フランス特許出願第2,094,859 号明細書に、タイヤトレッドの製造のために、シリカとカップリング剤としてのメルカプトシランを含む組成物を、このような組成物により示される改良された性質のために使用することが提案されていた。メルカプトシラン、特にγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランが最良のシリカ/エラストマーカップリング特性を与えることができるが、これらのカップリング剤の工業上の使用が、実際には工業規模で使用し、加工するのが不可能である組成物中の非常に高いムーニー可塑剤及び考えられる全ての物との、密閉式ミキサー中の組成物の調製中、“スコーチ”とも称される早期加硫中に迅速に得られるSH官能基の高い反応性のために可能ではないことが迅速に実証され、当業者に知られていた。
工業規模でこのようなカップリング剤及びそれらを含む組成物を使用することができないことを示すために、フランス特許出願第2,206,330 号及び米国特許第4,002,594 号が挙げられる。
この欠点を解決するために、フランス特許出願第2,206,330 号明細書に、カップリング剤として、ビス−3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィドを含むオルガノシランポリスルフィドを使用することが提案されており、これらはシリカ充填加硫剤の場合にスコーチ安全性、加工の容易さ及び強化力に関して最良の折衷を与えることが知られている。しかしながら、このカップリング剤は非常に高価であり、しかも均等のカップリング特性レベルを得るのに必要とされるγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの量の2〜3倍大きいオーダーの比較的多い量で使用される必要がある。
それ故、メルカプトシランと同程度に有効であるが、早期スコーチ及び組成物の過度の粘度に関係する加工上の問題を避ける低含量の強化添加剤を含むシリカ強化ゴム組成物を工業規模で開発する能力を有することが経済的観点から望ましいことが明らかである。
この方向の試みが米国特許第4,474,908 号明細書に記載されており、この特許はゴム組成物のためのメルカプトシランと強化添加剤としてのアルコキシシランの混合物の使用を開示している。
しかしながら、この経路はスコーチ及び加工の問題の満足な軽減ではなく、加えて、それは高価である。
別の試みが特開平06−248116号に記載されており、この特許は強化充填剤として、カーボンブラックと未機能化シリコーンオイル(当業者により一般に通常PDMSと称される)で表面処理されたシリカのブレンドを含むだけでなく、カップリング剤としてのシランを含むタイヤケーシングの製造用のゴム組成物を開示している。この経路は、充填剤がブラック/シリカ希釈剤またはシリカ単独からなるかを問わないで、当業者に直面している問題を解決しない。実際に、この出願に記載された解決法は、シリカがエラストマー及びカップリング剤に混入される前に高温(約250 ℃)で延長された期間(約1時間)にわたるシリコーンオイルによるシリカの前処理を必要とする。
本発明は、少なくとも一種のエラストマーをベースとし、かつ改良されたヒステリシス特性を有し、強化充填剤としてシリカを含むタイヤケーシングの製造を目的とするゴム組成物中の、分子当たり、シリカ粒子の表面ヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能性(functional)シロキシ単位を含む少なくとも一種の機能化(functionalized)ポリオルガノシロキサン化合物と、分子当たり、ポリオルガノシロキサン及び/またはシリカ粒子のヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能基及び一種以上のエラストマーの鎖に化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つのその他の官能基を含む少なくとも一種の機能化オルガノシラン化合物の混合物及び/またはin situ 反応の生成物からなる強化添加剤の使用により提示された問題を軽減する。
本発明の別の目的は、強化充填剤としてのシリカと、分子当たり、シリカ粒子の表面ヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能性シロキシ単位を含む少なくとも一種の機能化ポリオルガノシロキサン化合物と、分子当たり、ポリオルガノシロキサン及び/またはシリカ粒子のヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能基及び一種以上のエラストマーの鎖に化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つのその他の官能基を含む少なくとも一種の機能化オルガノシラン化合物の混合物及び/またはin situ 反応の生成物からなる強化添加剤とを含む、少なくとも一種のエラストマーをベースとするゴム組成物のタイヤケーシングの製造のための使用である。
本発明の別の主題は、強化充填剤としてのシリカを具体化する本発明のゴム組成物の使用により得られる、タイヤ、特にスレッド、及び改良された転がり抵抗を有するタイヤの製造に使用し得る半完成成分である。
本発明の別の主題は、タイヤケーシング、及びタイヤケーシング用の半完成製品の製造を目的とするシリカ強化ゴム組成物のヒステリシス特性の改良方法である。
本発明の別の主題は、少なくとも一種のエラストマー、強化充填剤としてのシリカ及び被覆添加剤を含むゴム組成物を含むタイヤケーシングであり、その被覆添加剤は分子当たり、シリカ粒子に存在する表面ヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能性シロキシ単位を含む少なくとも一種の機能化ポリオルガノシロキサン化合物からなる。
最後に、本発明の別の主題は、タイヤケーシングの製造を目的とするジエンゴム組成物及び前記組成物の調製及び加工の段階中のタイヤケーシング用半完成製品のスコーチを実質的に遅延することを可能にする方法である。
本発明のゴム組成物中に使用される強化添加剤は、一方で、分子当たり、シリカ粒子の表面ヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる一つまたは多数の官能性シロキシ単位を含む一種または多種の機能化ポリオルガノシロキサン化合物と、他方で、一つまたは多数の機能化オルガノシラン化合物とを含む。機能化ポリオルガノシロキサンの中で、シロキシ単位が加水分解性官能置換基または一つまたは多数のHまたはOH残基を含み、シリカに対するその反応性がポリオルガノシロキサンの一つ以上のその他の反復官能基とは異なるポリオルガノシロキサンが特に好適である。
下記の化合物のいずれか一つに相当する化合物が本発明に適した機能化ポリオルガノシロキサン化合物として選択されてもよい。
(A) 分子当たり、
(α)一方に、式:
(I) (R)a YSi(O)(3-a)/2
(式中、
aは0,1または2であり、
Rは1から6個までの炭素原子を含む線状または分枝アルキル、特にメチル、エチル、プロピル及びブチル及び/またはアリール、特にフェニルから選ばれた1価の炭化水素基(メチルが特に好ましい)であり、基Rはaが2である場合には同じであり、または異なり、
Yは好ましくはC1-C15、特にC1- C6、アルコキシから選ばれた線状または分枝アルコキシ基であり、メトキシ、エトキシ及び(イソ)プロポキシが特に適している)
の少なくとも一つの官能性シロキシ単位を含み、
(β)そして必要により、他方に、式:
(II) (R)b WSi(O)(3-b)/2
(式中、
bは0,1または2であり、
Rは単位(I) の置換基Rについて先に示されたのと同じ定義に相当し、またその置換基と同じであってもよく、または異なっていてもよく、
Wは2から30個までの炭素原子及び必要によりS原子及び/またはO原子を含み、かつSi-C結合によりケイ素に結合された官能性残基を構成する1価の炭化水素基であり、この残基は下記の基:
(i) 少なくとも7個の炭素原子を含む線状または分枝アルキル基、
(ii)一つ以上の鎖中かつ/または鎖の末端に一つ以上の二重結合を含む線状または分枝C2-C20アルケニル基(前記二重結合はα位の少なくとも一つの活性基と共役かつ/または会合していることが好ましい)、
(iii) 必要によりC2-C10線状または分枝アルキレン基を介してケイ素に結合されていてもよい、5〜20個の炭素原子及び一つ以上の環中一つ以上のエチレン性二重結合を含む飽和または不飽和の脂肪族の単環式または多環式の基から選ばれる)
の少なくとも一つの官能性シロキシ単位を含み、
(γ)そして必要により、他方に、下記の式:
(III) (R)c (H)d Si(O) (4-(C+d))/2
(式中、
cは0、1、2または3であり、dは1であり、かつc+dは3以下であり、置換基Rは単位(I) 及び(II)に先に定義されたとおりである)
の少なくとも一つのシロキシ単位
を含む化合物。
(B) 式(IV):
Figure 2006089754
の化合物
(式中、
Rは式(I) に関して先に示されたRの定義と同じ定義に相当する炭化水素基、または一つ以上の二重結合を含む線状または分枝C2-C20アルケニル基であり、Rの種々の例は互いに同じであってもよく、または異なっていてもよく、
xは0〜500 であり、好ましくはxは0〜50であり、
F及びF’は水素、ハロゲン、好ましくは塩素、Rの定義に相当する基、及び/またはヒドロキシル、アルコキシ、エノキシ、アシルオキシ、更に特別にはアセトキシ、オキシム及びアミン官能基から選ばれた1価の基であり、ヒドロキシル、メトキシ及びエトキシ官能基が特に好ましく、F及びF’は異なっていてもよく、または同じであってもよいが、後者の場合にはそれは基Rであってはならず、官能基シロキシ単位の官能置換基を構成する必要がある)
(C) 1価の基及び/または反応性官能基F及びF’を含むポリオルガノシロキサン樹脂(これらの記号は式(IV)に関して先に示された定義と同じ定義を有する)。
ポリオルガノシロキサン(A) は、官能置換基Yが加水分解性であり、シリカに対するグラフトを可能にし、一方、必要により存在する官能置換基Wが官能置換基Yよりも加水分解し難く、かつその化学的性質の機能として種々の性質を示すことができる点で注目に値する。
式(II)の単位の置換基Wは下記の基:
10から30個までの炭素原子を含み、好ましくは下記のアルキル基:ドデシル、ウンデシル、トリデシルから選ばれる基(i) 、
二重結合、及び好ましくは最初の二重結合と共役または非共役の別の二重結合を含むC6-C10基(ii)、
必要によりC2-C6 線状または分枝アルキレン基を介してケイ素に結合されていてもよい、5〜20個の炭素原子を含む飽和または不飽和の脂肪族の単環式または多環式の基(iii) 、更に特別にはシクロヘキシル、シクロヘキセニルまたはノルボルネンもしくはジシクロペンタジエンに由来する二環式環
から選ばれることが好ましい。
所定の型の単位(I、IIまたはIII)の一つより多い例がポリオルガノシロキサン中に存在する場合、種々の例は同じであってもよく、または互いに異なっていてもよいことを強調することが適切である。この多数を有利に使用することが更に可能であり、有利である。例えば、官能基Yとしてエトキシ官能基及びメトキシ官能基を同時に有する機能化ポリオルガノシロキサンが、当業者にシリカとの反応の速度を二つの官能基の夫々の%の関数として調節することを可能にするであろう。
単位(I) 、(II)及び(III) 中の置換基に帰属されるインデックスa〜dにより取られる値に留意して、ポリオルガノシロキサンは線状構造及び/または分枝構造及び/または環状構造を示し得ることが理解されなければならない。
好ましい基Rはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはn−ブチルである。基Rの数の少なくとも80%がメチルであることが更に好ましい。
好ましいアルコキシ基Yはエトキシである。
本発明に関する好ましいポリオルガノシロキサンとして、最初に、下記の一般式(V) :
Figure 2006089754
のランダムコポリマー、序列コポリマーまたはブロックコ線状ポリマーにより形成されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。
式中、
記号Y、W及びRは先に定義されたとおりであり、
記号Zは水素により形成された基及びR、Y及びWの定義に相当する基から選ばれた1価の基であり、
m+n+p+qの合計は3以上、好ましくは3〜100 であり、pとqが0である例示の場合、mは1以上であり、かつnが50以下であることが更に特別に好ましく、
0≦m≦100 、好ましくは1≦m≦50
0≦n≦100 、好ましくは1≦n≦50
0≦p≦20、好ましくは0≦p≦10
0≦q≦40、好ましくは0≦q≦10
その条件により、
mが0である場合、置換基Zの少なくとも一つはYを特定する定義に相当する基に相当し、
mとnが0であり、かつp+qが1以上である場合、置換基Zの少なくとも一つはYを特定する定義に相当する基に相当する。
更に特別に好ましい式(V) のポリオルガノシロキサンの中に、pとqが1であり、かつ0.5 ≦m/n ≦5、好ましくは1≦m/n ≦3の場合のポリオルガノシロキサンが挙げられる。
下記の式に相当する化合物が線状機能化ポリオルガノシロキサンの例として挙げられる。

























Figure 2006089754
先に特定された式(V) のポリマーの線状構造の別型は下記の一般式:






Figure 2006089754
の環状コポリマーからなるポリオルガノシロキサンに関する。
式中、
Y、W及びRは先に定義されたとおりであり、かつr、s、t及びuは正の全数または小数を表し、
r+s+t+uの合計は3以上であり、好ましくは4〜8であり、tとuが0である例示の場合が更に特に好ましく、
1≦r≦8、好ましくは1≦r≦4
1≦s≦8、好ましくは1≦s≦4
0≦t≦8、好ましくは0≦t≦4
0≦u≦8、好ましくは0≦u≦4。
ポリオルガノシロキサンは先に特定された式(V) 及び(VI)中でRがCH3 であり、かつpとuが0であり、かつqとtが0である場合のポリオルガノシロキサンに相当する製品からなることが好ましい。
既に先に示されたように、これらの式(V) 及び(VI)中で、n>1かつs>1の場合、基Wは同じ性質または異なる性質であってもよいことが明らかである。
先に特定された型の幾つかのポリオルガノシロキサンは、勿論、本発明の範囲内で使用し得る。
これらのポリオルガノシロキサン、特に多官能ポリオルガノシロキサンは、一方で、脱水縮合メカニズムに従って、触媒(その中の活性元素の少なくとも一つは遷移金属から選ばれる)の存在下で先に特定された式(II)の単位(式中、Wは水素を表す)を含む出発ポリオルガノシロキサンを少なくとも一種のアルコール(それから単位(I) の官能基Yが誘導され、かつそのアルコールは反応体及び反応溶媒として同時に使用される)と反応させ(第一段階)、そして他方で、触媒の存在下で、好ましくは5〜100 ℃、更に好ましくは5〜70℃の温度で、ヒドロシリル化メカニズムに従って少なくとも一種のオレフィン化合物(それから単位(II)の官能基Wが誘導される)への脱水縮合により変換されたポリオルガノシロキサンの付加(第二段階)を使用することからなる方法に従って得られる。
優先的な問題として、使用されるアルコールは下記のリストから好ましくは選ばれるモノヒドロキシ線状または分枝アルコール(一級、二級または三級、好ましくは一級)である。メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール及び(n)ブタノール。エタノールが好ましい。
触媒に関して、これは下記の元素の少なくとも一つを含むものから有利に選ばれる。Pt、Rh、Ru、Pd及びNi並びにそれらの組み合わせ。この触媒は、不活性またはそれ以外である担体に必要によりカップリングされてもよい。
本発明の好ましい取決めによれば、触媒はヒドロシリル化反応を行うのに通常使用される白金触媒のクラスから採用される。これらの白金触媒は文献に広範囲に記載されている。米国特許第3159601 号、同第3159602 号、同第3220972 号及び欧州特許EP-A-57459、EP-188978 、EP-A-190530 に記載されている白金と有機生成物との錯体並びに米国特許第3419593 号、同第3715334 号、同第3377432 号及び同第3814730 号記載されている白金とビニルオルガノポリシロキサンの錯体を特に挙げられることが可能である。カルステット触媒が本発明の方法に適する白金触媒の例である(カルステットの米国特許第3775452号)。
例えば、ラネーニッケルのようなニッケル系触媒が白金触媒の可能な別型を構成する。
反応条件に関して、脱水縮合は、例えば、0℃から200 ℃に至る広範囲の温度で行い得るが、それは10〜50℃、好ましくは18〜35℃の温度で行われることが好ましいことが明らかである。
本発明の方法の第二段階は、少なくとも一つのπ結合を有する少なくとも一種のオレフィン化合物への脱水縮合により生じた水素化中間体ポリオルガノシロキサンの付加の反応からなる。
これは触媒の存在下で、好ましくは、5〜100 ℃、更に好ましくは5〜70℃の温度で、ヒドロシリル化メカニズムを伴う。
好ましい方法によれば、ヒドロシリル化は、脱水縮合が一旦終了されると、オレフィン化合物(それから先に定義された基Wが誘導される)を中間体アルコキシル化ポリオルガノシロキサンに添加することにより開始される。実際に、この添加は、水素の放出が停止された時に行い得る。
反応性アルケンが基Wの単一または多数の前駆体種を含む生成物の混合物により生成されてもよく、これらが最終ポリオルガノシロキサンの多官能性を決定する。多数の種Wが用意される場合、第二官能基に相当するアルケンが最初に反応させられることが好ましく、次いで、これが一旦完全に反応すると、第三官能基に相当するアルケンが混入され、以下同様である。
脱水縮合後に反応混合物に混入される代わりに、Wの前駆体であるオレフィン化合物は、その方法のこの第一段階が開始する前に、またはその間に、使用されてもよい。
使用されるオレフィン化合物は上記のWの定義から容易に演繹し得る。この基に関する選択は目的とする用途(一つまたは多数の異なる官能性)により決められる。
ヒドロシリル化段階は周囲温度で塊状でまたは溶液中、例えば、脱水縮合反応について溶媒として使用されたアルコール中で有利に行い得る。
反応が終了される時、得られる原料ポリオルガノシロキサンはイオン交換樹脂で装填されたカラムに通されることにより、かつ/または、減圧で100 〜180 ℃で行われる加熱により、導入された過剰の反応体及び必要により使用された溶媒の簡単な脱蔵により特別に精製されてもよい。
出発ポリオルガノシロキサンは下記の式に相当するポリオルガノシロキサンから有利に選択される。
Figure 2006089754
(式中、
記号Rは同じであり、または異なり、かつ単位(I) 及び(II)の式に関して先に定義されたとおりであり、
記号Z’は同じであり、または異なり、かつRまたは水素に相当し、
vは0以上の整数または小数であり、これは以下のように定義され、v=n+m+p、n、m及びpは単位(V) の式に関して先に示された定義に相当し、その条件によれば、vが0である場合には、wは1以上であり、また両方の基Z’は水素に相当し、
wは単位(V) の式に関して先に示されたpの定義と同じ定義に相当する)
例えば、環状機能化生成物の調製に使用される出発ポリオルガノシロキサンは下記の一般式に相当するポリオルガノシロキサンから選ばれたポリオルガノシロキサンである。
Figure 2006089754
(式中、
記号Rは同じであり、または異なり、かつ単位(I) 及び(II)の式に関して先に定義されたとおりであり、
oは単位(VI)の式に関して先に示されたuの定義と同じ定義に相当し、
yは0以上の整数または小数であり、これは以下のように定義でき、y=r+s+tかつy+u≧3;r、s、t及びuは単位(VI)の式に関して先に示された定義に相当する)
下記の化合物が化合物(B)の例として好適である。
シラノール末端ポリジメチルシロキサン、例えば、ヒュルズ・アメリカ社により製造される下記の市販製品(これらは下記の表示のもとにABCR-Roth-Sochiel Sarl社の1994年のカタログ中に見られる)
PS 340
Figure 2006089754
aは400 〜700 の重量平均分子量を与えるような正の整数を表す。
PS 341






Figure 2006089754
aは4200の重量平均分子量を与えるような正の整数を表す。
エトキシ基で終端するポリジメチルシロキサン、例えば、ヒュルズ・アメリカ社により製造される製品(これらは下記の表示のもとにABCR-Roth-Sochiel Sarl社の1994年のカタログ中に見られる)
PS 395
Figure 2006089754
aは700 〜1200の重量平均分子量を与えるような正の整数を表す。
化合物(C) は、通常のシリコーン技術用語によれば、分子中のM、D、TまたはQ単位の存在の結果として一つ以上の環の小さい巨大分子網状構造からなり、かつ1価の基及び/または反応性官能基を含むポリオルガノシロキサン樹脂である。
このような樹脂の例として、式:
Figure 2006089754
(式中、
nは環の夫々の連鎖中のD単位の数を表し、0≦n1,n2,n3≦20)
に相当する化合物が挙げられる。
F及びF’は水素、塩素、Rの定義に相当する1価の基、及び/またはヒドロキシル、アルコキシ、エノキシ、アシルオキシ、更に特別にはアセトキシ、オキシム及びアミン官能基から選ばれた1価の基であり、ヒドロキシル、メトキシ及びエトキシ官能基が特に好ましい。F及びF’は異なっていてもよく、または同じであってもよいが、後者の場合にはそれは基Rであってはならない。
夫々の環の連鎖の数は3より大きくてもよいことが明らかであり、同様に単位Fの数は2より大きくてもよいとともに、同種または異種のものである。
このような樹脂の例として、MQ樹脂、MDQ樹脂、DT樹脂及びMDT樹脂が挙げられ、これらは1〜6%のヒドロキシル基またはアルキル基重量含量を有する。
更に特別には、25,000未満の分子量を有する樹脂が使用されてもよい。
化合物(C) の好ましい例として、ローヌ・プーラン社により市販されるポリオルガノシロキサン樹脂4509が挙げられ、この場合、種々の単位M、D及びTのモル%は、M=15%、D=25%、T=60%であり、かつ
ヒドロキシル官能基の容量%は0.5 %である。
最後に、ポリオルガノシロキサンA、B及びCの少なくとも二種の混合物を使用することが本発明の範囲内で可能である。
下記の四つの一般式(X) 〜(XIII)の少なくとも一つに相当する一種以上の化合物が、本発明の範囲内で使用し得るオルガノシラン化合物として好適である。
Figure 2006089754
式中、
R1は1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、またはフェニル基を表し、
Xは
ハロゲン、好ましくは塩素、
アルコキシ基またはシクロアルコキシ基、
アシルオキシ基、
から選ばれた加水分解性基を表し、
加水分解後に、Xは必要によりヒドロキシル基(OH)を表してもよく、
0≦n≦2、
(Alk) は1〜10個、有利には1〜6個の炭素原子を含む線状または分枝アルキルから選ばれた2価の炭化水素基を表し、
mは0または1であり、
(Ar)は6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を含むアリールから選ばれた炭化水素基を表し、
p及びmが同時に0に等しくないことを条件として、pは0または1であり、
qは1または2であり、
Bはゴム組成物のエラストマーの少なくとも一種と結合を形成することができる基を表す。好ましい基Bはqが1である場合のメルカプト基並びにポリスルフィド(Sx ) 及びqが2である場合のジスルフィド(S2 ) である。しかしながら、基Bはまた例えばゴムポリマーと反応することができるその他の基を含んでいてもよい。
Bは、
qが2である場合、下記の基:
−Sx − (1≦x≦8、xは正の整数である)
Figure 2006089754
から選ばれた多硫化官能基を表し、
qが1である場合、下記の基:
−SH
Figure 2006089754
(1≦n、n’≦6であり、かつnはn’に等しくてもよい)
Figure 2006089754
−S−Z
(Zはハロゲン残基、好ましくはクロリドもしくはブロミドまたは窒素官能基、好ましくはアミンもしくはアミドである)
Figure 2006089754
−NH2
−N3
から選ばれた官能基を表す。
Figure 2006089754
式中、
R1及びXは式(X) に関して先に示された定義と同じ定義に相当し、
0≦n≦2、
(R2)は1〜10個、有利には1〜6個の炭素原子を含む線状または分枝アルキル及びアルキレンオキシから選ばれた2価の炭化水素基を表し、
mは0または1であり、
(Ar)は6〜12個の炭素原子を含むアリールから選ばれた炭化水素基を表し、
(S) x は2価のポリスルフィド基であり、夫々の遊離原子価が芳香族環の炭素原子に直接結合されており、幾つかの芳香族環が基(S) x により一緒に結合されることが可能であり、
2≦x≦6、
a≧2かつb≧1、0.4 ≦a/b ≦2。
Figure 2006089754
式中、
R1及びXは式(X) に関して先に示された定義と同じ定義に相当し、
0≦n≦2、
アルケニルは一つ以上の二重結合を含み、2〜20個、好ましくは2〜6個の炭素原子を含む、線状または分枝炭化水素基、環状またはその他の炭化水素基を表す。二重結合は少なくともα位にある活性基と共役かつ及び/または会合しているのが好ましい。
式(XII) に相当する結合剤のこのクラスは、好ましくは少なくとも一種の過酸化物からなる少なくとも一種のラジカル開始剤とともにゴム組成物中に使用されることが好ましい。
Figure 2006089754
式中、
記号R1、R3、X、X1、Alk 、Alk1、n、n’、m、m’、Ar、Ar1 、p及びp’は同じであり、または異なり、かつ式(X) に関して先に示された定義と同じ定義に相当し、
1≦x≦8、それ故、Sx はモノスルフィド基、ジスルフィド基またはポリスルフィド基を表し、
但し、n=n’、m=m’、p=p’、X=X1、R1=R3、Alk =Alk1かつAr=Ar1 を同時に有することはないことを条件とする。
市販のオルガノシラン化合物の例が下記の表に示される。勿論、本発明はこれらの化合物に限定されない。
化学名 式 商品名/供給業者
3−メルカプトプロピル HS(CH2)3Si(OCH3)3 A-189/OSI
トリメトキシシラン
3−メルカプトプロピル HS(CH2)3Si(OC2H5)3 ダイナシラン3201/
トリエトキシシラン フルズ
ビニルトリエトキシシラン C2H3Si(OC2H5)3 ダイナシランVTEO/
フルズ
3−アミノプロピル NH2 (CH2)3Si(OC2H5)3 A-1100/OSI
トリエトキシシラン
3−メタクリルオキシプロ CH2CCH3COO(CH2)3Si(OCH3)3 A-174/OSI
ピルトリメトキシシラン
メルカプトメチルジメチル HSCH2Si(CH3)2(OC2H5) M8200/ABCR
エトキシシラン
ビス(トリエトキシシリル [(C2H5O)3Si(CH2)3S22 Si 69/デグッサ
プロピル)テトラスルフィド
ビス(トリメトキシシリル [(CH3O)3Si(CH2)3S22 Si 167/ デグッサ
プロピル)テトラスルフィド
3−クロロプロピルトリ (CH3O)3Si(CH2)3Cl Si 130/ デグッサ
メトキシシラン
3−チオシアナートプロピル (C2H5O)3Si(CH2)3SCN Si 264/ デグッサ
トリエトキシシラン
ビス(トリエトキシシリル
エチルトリル)トリスルフィド [(C2H5O)3Si(CH2)2- URC2/OSI
C 6 H 5 (CH 3 ) 2 [(S) 3
当業者に知られているあらゆる沈降シリカまたは熱分解法シリカ(これらは450m2/g 以下のBET 表面積及び450m2/g 以下のCTAB比表面積を有する)は、高度に分散性の沈降シリカが好ましいとしても、本発明において使用し得るシリカとして好適である。
高度に分散性のシリカは、解凝集及びポリマーマトリックス中の分散(これは大きく、かつ薄い切片について電子顕微鏡または光学顕微鏡により観察し得る)に関して能力を有するあらゆるシリカを意味することが意図されている。また、シリカの分散性は、特許出願EP-A-0520860(その内容が本明細書に含まれる)または“沈降シリカの分散性測定”と題する雑誌Rubber World, 1994年6月、20-24 頁に公表された文献に記載されたようにして解凝集後の粒子のメジアン直径(D50) 及び解凝集後係数(Fd)を測定するために、超音波、続いて粒径分析装置による散乱による測定により、解凝集される能力に関する試験により評価される。
このような好ましい高度に分散性のシリカの非限定例として、450m2/g 以下のCTAB表面積を有するシリカ、特に欧州特許出願EP-A-0157703及び同EP-A-0520862(これらの内容が本明細書に含まれる)に記載されたシリカ、またはアクゾ社からのシリカパーカシルKS430 、ローヌプーラン社からのシリカゼオシル1165MP及び85MP、PPG 社からのシリカHI-Sil2000及びフーバー社からのシリカゼオポール8741または8745が挙げられる。
しかしながら、大いに好ましい例として、好適であるシリカは
120 〜200m2/g 、好ましくは145 〜180m2/g のCTAB比表面積、
120 〜200m2/g 、好ましくは150 〜190m2/g のBET 比表面積、
300ml/100gより低く、好ましくは200 〜295ml/100gのDOP 油吸収、
3μm 以下、好ましくは2.8 μm より低く、例えば、2.5 μm より低い、超音波解凝集後のメジアン直径(φ50)、
10mlより高く、好ましくは11mlより高く、更に好ましくは21ml以上の超音波解凝集係数(FD ) 、
1.0 以上かつ1.2 以下のBET 比表面積/CTAB比表面積の比
を有する。
シリカが存在する物理的状態、即ち、それが粉末、ミクロビーズ、グラニュールまたはビーズの形態で存在するか否かは、重要ではない。
シリカは、勿論、種々のシリカのブレンドを含むことがまた意図されている。シリカは単独で使用されてもよく、またはその他の白色充填剤の存在下で使用されてもよい。CTAB比表面積は1987年11月のNFT 法45007 に従って測定される。BET 比表面積は、1987年11月のNFT 規格45007 に相当する、“The Journal of the American Chemical Society", 80 巻, 309 頁(1938)に記載されたブルナウアー、エメット及びテラー法に従って測定される。DOP 油吸収は、フタル酸ジオクチルを使用して、NFT 規格30-022 (1953年3月)に従って測定される。
本発明の組成物中に使用し得るエラストマーは、
1)4〜12個の炭素原子を含む共役ジエンモノマーの重合により得られるホモポリマー、
2)一種以上の共役ジエンの互いの共重合または一種以上の共役ジエンと8〜20個の炭素原子を含む一種または多種の芳香族ビニル化合物の共重合により得られるコポリマー、
3)エチレン、3〜6個の炭素原子を含むα−オレフィンと6〜12個の炭素原子を含む非共役ジエンモノマーの共重合により得られる3成分コポリマー、例えば、エチレン及びプロピレンと上記の型の非共役ジエンモノマー、例えば、特に1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン及びジシクロペンタジエンとから得られるエラストマー、
4)イソブテン及びイソプレンの共重合により得られるコポリマー(ブチルゴム)、並びにこれらのコポリマーのハロゲン化、特に塩素化または臭素化された別型を意味することが意図されている。
特に好適である共役ジエンは1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジ(C1-C5 アルキル)−1,3−ブタジエン、例えば、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン等である。
好適である芳香族ビニル化合物は特にスチレン、オルト−、メタ−及びパラ−メチルスチレン、市販のビニルトルエン混合物、パラ−tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、等である。
コポリマーは99重量%〜20重量%のジエン単位及び1重量%〜80重量%のビニル芳香族単位を含んでもよい。エラストマーは、使用される重合条件、特に変性剤及び/またはランダム化剤の存在または不在及び使用される変性剤及び/またはランダム化剤の量の関数である微小構造を有してもよい。エラストマーはブロック、ランダム、序列、微小序列またはその他の構造のものであってもよく、また分散液または溶液中で調製されてもよい。
好ましく好適なものはポリブタジエン、特に4%〜80%の1,2−単位含量を有するポリブタジエン及び90%より多いシス1,4−結合を有するポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレンコポリマー、特に5重量%〜50重量%、更に特別には20重量%〜40重量%のスチレン含量、4%〜65%のブタジエン部分の1,2結合含量、30%〜80%のトランス1,4結合含量を有するブタジエン−スチレンコポリマー、5〜50%の芳香族化合物の全含量及び0℃〜-80 ℃のガラス転移温度(Tg)を有するブタジエン−スチレンコポリマー、特に25重量%〜30重量%のスチレン含量、55%〜65%のブタジエン部分中のビニル結合の含量、20%〜25%のトランス1,4結合含量及び-20 ℃〜-30 ℃のガラス転移温度を有するブタジエン−スチレンコポリマーである。
ブタジエン−スチレン−イソプレンコポリマーの場合、好適であるコポリマーは5〜50%、更に特別には10%〜40%のスチレン含量、15重量%〜60重量%、更に特別には20重量%〜50重量%のイソプレン含量、5重量%〜50重量%、更に特別には20重量%〜40重量%のブタジエン含量、4%〜85%のブタジエン部分中の1,2−単位の含量、6%〜80%のブタジエン部分中のトランス1,4−単位の含量、5%〜70%のイソプレン部分中の1,2−単位+3,4−単位の含量及び10%〜50%のイソプレン部分中のトランス1,4単位の含量を有する。
エラストマーは、勿論、カップリング剤及び/またはスターリング剤または機能化剤とカップリングされてもよく、かつ/またはスターリングされてもよく、または機能化されてもよい。また、エラストマーは天然ゴムまたは合成エラストマー、特にジエン系エラストマーとの天然ゴムをベースとするブレンドであってもよい。
一種以上のエラストマー及びシリカの他に、本発明の組成物はその他の成分の全部または一部及び可塑剤、顔料、酸化防止剤、オゾン亀裂防止剤ワックス、硫黄、硫黄ドナー及び/または過酸化物及び/またはビスマレイミドをベースとする架橋系、加硫促進剤、エキステンダーオイル、一種以上のシリカ被覆剤、例えば、アルコキシシラン、ポリオール、アミン等のようなゴム混合物中に通常使用される添加剤を含む。
本発明の組成物は0.5 〜15重量部の一種以上の機能化ポリオルガノシロキサン化合物及び0.2 〜8重量部の一種以上の機能化オルガノシラン化合物を含んでもよい。
当業者により予知し得なかった方法で、少なくとも一種の線状または環状機能化ポリオルガノシロキサン化合物及びゴム/シリカ結合を与える少なくとも一種のオルガノシラン化合物からなる強化添加剤を含む本発明のゴム組成物は、
“スコーチ安全性”に関してペナルティーを受けず、かつ組成物の加工を乱さないで、メルカプトシランクラスに属するオルガノシラン剤の高い比を使用すること、
オルガノシラン剤、特にメルカプトシラン型のオルガノシラン剤の有効性をかなり増大すること、
これらの組成物をタイヤの製造だけでなく、半完成製品、特にトレッド、アンダーライニング、側壁ゴムまたは繊維または金属強化材への接着用のゴムの製造に特に有益にする、改良されたヒステリシスを示すシリカ充填加硫剤を調製すること、
粘度の低下のために生状態で良好な加工特性を得ること、
加工及びスコーチ安全性に関して必ずしもペナルティーを課せられないで、一つの製品に代えて二つの製品の使用により、ゴム/シリカ強化剤の含量(特に低含量の場合)の調節を促進すること、
一般に、当業界で既知の溶液と較べた時に性質の有利な折衷を示すシリカ充填加硫剤を調製すること
を可能にする。
最大の有益な効果は、高度に分散性のシリカが強化充填剤の全てを形成する時に得られる。また、有益な効果は、シリカが主として使用され、または通常の沈降シリカ、またはカーボンブラックとブレンドされる時に得られる。好適であるカーボンブラックはあらゆるカーボンブラック、特に全ての市販のブラック、好ましくはHAF 、ISAF、SAF 及びタイヤ、特にタイヤトレッドに通常使用されるその他のブラックである。このようなブラックの非限定例として、ブラックN134、N115、N234、N339、N347、N375等が挙げられる。
存在するカーボンブラックの量は広範囲で変化してもよいが、性質の改良は存在するシリカ含量が高い程比例して大きいことが理解される。存在するカーボンブラックの量は組成物中に存在するシリカの量の200 %以下であることが好ましい。
本発明の別の主題は、タイヤケーシング及びタイヤケーシング用の半完成製品の製造を目的とする強化充填剤としてシリカを含むゴム組成物のヒステリシス特性の改良方法であり、その方法は分子当たり、シリカ粒子の表面ヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能性シロキシ単位を含む少なくとも一種の機能化ポリオルガノシロキサン化合物と、分子当たり、ポリオルガノシロキサン及び/またはシリカ粒子のヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能基及び一種以上のポリマーの鎖に化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つのその他の官能基を含む少なくとも一種の機能化オルガノシラン化合物からなる強化添加剤をあらゆる順序で組成物に添加し、混合することからなる。
本発明の別の主題は、強化充填剤としてシリカを含む、タイヤケーシング及びタイヤケーシング用の半完成製品の製造を目的としたジエンゴム組成物の早期加硫(スコーチ)を実質的に遅延することを可能にする方法である。
本発明の方法は、分子当たり、シリカ粒子の表面ヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能性シロキシ単位を含む機能化ポリオルガノシロキサン化合物と、分子当たり、ポリオルガノシロキサン及び/またはシリカ粒子のヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つの官能基及び一種以上のポリマーの鎖に化学的かつ/または物理的に結合することができる少なくとも一つのその他の官能基を含む少なくとも一種の機能化オルガノシラン化合物からなる、エラストマー/シリカ結合を確保するための強化添加剤を組成物のゴムに添加、混入することからなる。
強化添加剤の2成分はあらゆる順序で添加されてもよく、即ち、同時に添加されてもよく、または他成分の後に1成分が添加されてもよい。機能化ポリオルガノシロキサン化合物はオルガノシラン化合物の添加の前に最初に添加されることが好ましい。また、シリカがゴムと混合される前にポリオルガノシロキサンをシリカと反応させることが可能である。この方法は、強化充填剤としてシリカを含む組成物のスコーチの現象の出現を遅延することによりメルカプトシランを工業規模で使用することを可能にする。スコーチ現象の出現を遅延することのこの効果は、それがスコーチ安全性、加工の容易さ及び強化力に関して組成物の有望性に有意に影響しないで、必要とされるオルガノシラン(これは一般に非常に高価である)の量を減少することを可能にするという意味で、メルカプトシランの場合だけでなく、その他のオルガノシラン化合物の場合に利点を与える。こうして、本発明の方法は製造費を節減することができる。
機能化ポリオルガノシロキサン化合物は、それがタイヤケーシングを製造するのに使用されるゴム組成物の少なくとも一種のエラストマー形成部分の存在下でシリカと混合される時に、強化機能とは対照的に、被覆剤として作用する。換言すれば、シリカ充填剤は一種以上のオルガノポリシロキサン化合物で被覆される。
本発明が、限定を意味しないで、実施例により説明される。これらの実施例は本発明の範囲の限定を構成すると解されてはならない。実施例において、組成物の性質は以下のようにして評価される。
下記の表にムーニーと標記された、規格AFNOR-NF-T43-005 (1980年11月)に従って100 ℃で測定されたムーニー粘度ML (1+4)
300 %(M300)、100 %(M100)の伸びのモジュラス(単位MPa):規格AFNOR-NF-T46-002 (1988年9月)に従って行われた測定
引張強さ(TS)(単位MPa)及び破断時の伸び(EB)(単位%):規格AFNOR-NF-T40-101(1979 年9月)に従って20℃で行われた測定
ヒステリシス損失(HL):6回目の衝撃後に60℃で反発により測定され、%で表される。
動的剪断特性:
変形の関数としての測定:0.15%〜50%の範囲のクレスト間の変形により10ヘルツで行われた。ヒステリシスは7%の変形時のtan δの測定により表される。最高の変形レベルに関する動的モジュラス(G) がN/m2により表される。その測定はASTM規格D2231-87に従って行われる。
スコーチ時間:分で表される(T5)
コンシストメトリーインデックスの場合に測定された最小値より5単位上回るそのコンシストメトリーインデックス(“ムーニー単位”で表される)の値の増加を得るのに必要とされる時間。規格AFNOR-NF-T43-005 (1980年11月)に従って130 ℃で行われた測定
レオメトリー特性:
下記の値が加硫曲線から演繹される。
Ts (0.2): 最小ムーニーML (1+4)100 トルクから0.2 Nmのトルクの増加に必要とされる時間(分)
Tc (99):得られる最高トルクの99%に相当する加硫時間(分)
これらの測定は規格AFNOR-NF-T43-015 (1975年8月)に従って130 ℃で行われる。
好ましい実施態様の説明
実施例において、物質の含量がphe(エラストマー100 重量部当たりの部数)で表される。
実施例1
この実施例は、試験1、対照試験の場合には、ダイナシラン3201であり、試験2の場合には、本発明に従って、ダイナシラン3201と先に示された式(V-2) に相当する機能化ポリオルガノシロキサン(PMHS)からなる被覆添加剤を除いて同じである2種のゴム組成物を比較することを目的とする。この機能化PMHSは以下のようにして調製される。
機械攪拌、温度計及び滴下ロートを備えた500 mlの三口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、3Åのモレキュラーシーブで前乾燥したエタノール300 ml及びカルステット触媒(ヘキサン中10%)10μl を仕込む。その混合物を攪拌し、ポリメチルヒドロシロキサン(40g、dpn =50)の滴下添加を開始する。Si-H液の添加の速度を調節して水素の流量及び反応の発熱を調節する。添加の終了時に、その混合物を1時間攪拌する。次いで1−オクテン36g を滴下して添加する。添加後に、全てのSi-H官能基が消費されるまで、その反応混合物を60℃に加熱する。次いで過剰のアルコール及びオクテンを蒸発させて除く。透明かつ僅かに着色した油87g を回収する。NMR 分析は下記の構造を示す(NMR) 。
Figure 2006089754
160 ℃の最高低下温度に達するまでジエンポリマーを密閉式ミキサー中で2段階(これらは夫々5分間及び4分間続く)で45回転/分の平均ブレード速度で熱機械的作用により加工し、続いて仕上げ段階を下記の配合のもとに外部ミキサーで30℃で行う。
表1
組成物番号 1 2
SBR (1) 96 96
PB (2) 30 30
シリカ(3) 80 80
ZnO 2.5 2.5
ステアリン酸 2 2
酸化防止剤(4) 1.9 1.9
PMHS (5) 4.5
ダイナシラン3201 (6) 2.8 2
芳香族油 6 6
硫黄 1.1 1.1
CBS (7) 2 2
DPG (8) 1.5 1.5
(1): 37.5 %の油で混入、増量した59.5%の1,2結合、23%のトランス結合、26%のスチレンを有するSBR
(2): 4.3%の1,2結合、2.7 %のトランス結合、93%のシス1,4結合を有するPB
(3):ローヌプーラン社からのゼオシル1165MPシリカ
(4):N−1,3−ジメチルブチル−N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン
(5):式(V-2) に相当する機能化PMHS
(6):フルズ社により市販されるγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン
(7):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
(8):ジフェニルグアニジン
硬化前に測定したゴム組成物の性質(ムーニー)及び150 ℃におけるレオグラムを夫々表2及び図1に示す。
表2
組成物番号 1 2
硬化前の性質
ムーニー 137 90
T5(分) 3.5 22.5
図1中、曲線C1はメルカプト単独を含む参考組成物1に相当し、曲線C2は本発明の組成物2に相当する。スコーチ時間の結果及び図1のレオグラムは、本発明がスコーチ安全性をかなり増大させることを示す。加えて、本発明はメルカプトシランを含むゴム組成物の加工を促進する。
実施例2
この実施例はまた機能化PMHSと同時に結合剤を使用することの必要性及びその利点を示すことを目的とする。PMHS及びダイナシラン3201の含量を除いて実施例1の組成物と同じである2種の組成物を製造する。
表3
組成物番号 3 4
SBR 96 96
PB 30 30
シリカ 80 80
ZnO 2.5 2.5
ステアリン酸 2 2
酸化防止剤 1.9 1.9
芳香族油 6 6
PMHS 5 5
ダイナシラン3201 1.5
硫黄 1.1 1.1
CBS 2 2
DPG 1.5 1.5
硬化の前後に測定したゴム組成物の性質を表4にリストする。
表4
組成物番号 3 4
硬化前の性質
ムーニー 75 88
T5(分) >30 >30
150 ℃における硬化時間(分) 60 40
硬化後の性質
M100 0.68 1.5
M300 2.47 6.75
HL 41.7 24.6
EB 1040 580
TS 16.8 19.6
動的性質
tan δ 0.324 0.257
これらの結果は、メルカプトシランを含まない組成物3が低レベルの強化を有することを示す。一方、組成物4で得られた結果は、本発明の使用が硬化前の性質、ひいては加工を有意に犠牲にしないで高く、かつ満足なレベルの強化を与え、かつヒステリシスレベルを低下することを実証することを可能にする。
実施例3
この実施例の目的は、メルカプトシラン型の結合剤及びアルキルシランを含む組み合わせの当業界で知られている使用と比較した時の本発明の利点を実証することである。
被覆添加剤及び硫黄の含量及び対照組成物5の場合にアルキルシランの添加を除いて実施例1の組成物と同じ2種の組成物を製造する。
表5
組成物番号 5 6
SBR 96 96
PB 30 30
シリカ 80 80
ZnO 2.5 2.5
ステアリン酸 2 2
酸化防止剤 1.9 1.9
芳香族油 6 6
PMHS (9) 4
ダイナシラン3201 1.1 1.1
Si 216 (* ) 4
硫黄 2.4 2.4
CBS 2 2
DPG 1.5 1.5
(9) 式(V-3) に相当する機能化PMHS
(* ) Si 216: デグッサ社により販売される原式C16H33Si(OEt)3の被覆剤
結果を表6にリストする。
表6
組成物番号 5 6
硬化前の性質
ムーニー 80 78
T5(分) 15 23
150 ℃における硬化時間(分) 40 40
硬化後の性質
M100 1.69 2.04
M300 5.89 7.52
HL 30.3 30.9
EB 540 480
TS 21.4 21.1
動的性質
tan δ 0.244 0.254
本発明の組成物6は、メルカプトシランとアルキルシランの組み合わせを使用する従来技術の組成物で得られたスコーチ時間より優れているスコーチ時間T5を得ることを可能にするとともに、加工を促進する。
加えて、本発明の組成物6は、成分材料の均等の含量で、対照組成物の強化レベルよりかなり優れている強化レベルを得ることを可能にする。
実施例4
この実施例は、本発明がメルカプト官能基を有する多量のオルガノシランをゴム組成物に導入することを可能にすることを実証することを目的とする。こうして調製された組成物は容易に加工し易く、しかも満足なスコーチ安全性を示す。
変化するメルカプトシランの量を除いて実施例1の組成物と同じである本発明の3種の組成物を調製する。
表7
組成物番号 7 8 9
SBR 96 96 96
PB 30 30 30
シリカ 80 80 80
ZnO 2.5 2.5 2.5
ステアリン酸 2 2 2
酸化防止剤 1.9 1.9 1.9
芳香族油 6 6 6
PMHS 4.5 4.5 4.5
ダイナシラン3201 1 1.5 2
硫黄 1.1 1.1 1.1
CBS 2 2 2
DPG 1.5 1.5 1.5
硬化の前後に測定されたゴム組成物の性質を表8にリストする。
表8
組成物番号 7 8 9
硬化前の性質
ムーニー 87 88 91
T5(分) >30 >30 >30
150 ℃における硬化時間(分) 40 40 40
硬化後の性質
M100 1.51 1.49 1.54
M300 6.34 6.75 7.32
HL 25.9 24.6 23.2
EB 620 590 510
TS 19.8 19.3 17.7
動的性質
G 1.58x1061.58x1061.52x106
tan δ 0.263 0.255 0.24
これらの結果は、本発明が満足に留まるスコーチ安全性及び組成物の加工に関してペナルティーを受けないでメルカプトシラン含量を増加させることを示す。
それ故、本発明は、従来技術に従って可能であったものとは対照的に、メルカプトシランクラスの結合剤の高含量を有するゴム組成物を調製することを可能にする。
実施例5
この実施例はデグッサ社により販売されるSi 69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)の使用に関する本発明の利点を実証することを目的とし、これはスコーチ安全性、加工の容易さ及び強化力に関して、強化充填剤としてシリカを含む組成物の場合の最良の折衷を与える製品であると考えられる。
対照組成物10の場合には、強化添加剤としてSi 69 単独の使用及び本発明の組成物11の場合には、ダイナシラン3201含量を除いて、実施例1の組成物と同じである2種の組成物を調製する。
表9
組成物番号 10 11
SBR 96 96
PB 30 30
シリカ 80 80
ZnO 2.5 2.5
ステアリン酸 2 2
酸化防止剤 1.9 1.9
芳香族油 6 6
PMHS 4.5
ダイナシラン3201 1.5
Si 69 6.4
硫黄 1.1 1.1
CBS 2 2
DPG 1.5 1.5
硬化の前後に測定したゴム組成物の性質を表10にリストする。
表10
組成物番号 10 11
硬化前の性質
ムーニー 82 88
T5(分) 25 >30
150 ℃における硬化時間(分) 40 40
硬化後の性質
M100 1.56 1.49
M300 6.97 6.75
HL 26.4 24.6
EB 560 590
TS 19.5 19.3
動的性質
tan δ 0.299 0.255
本発明はその他の性質を実質的に犠牲にしないでスコーチ安全性を改良し、かつヒステリシスを低下することを可能にすることがわかる。
実施例6
この実施例は、本発明の有益な効果がシリカで強化される天然ゴムをベースとするゴム組成物でまた得られることを実証することを目的とする。3種の組成物を表11に示された配合に従って調製する。
表11
組成物番号 12 13 14
天然ゴム 100 100 100
シリカ (3) 50 50 50
ZnO 5 5 5
ステアリン酸 2 2 2
酸化防止剤 (4) 1.9 1.9 1.9
PMHS (5) 2.5
PMHS (9) 2.5
A 189 (10) 3 1.5 1.5
硫黄 1.3 1.3 1.3
CBS (7) 2 2 2
DPG (8) 1.1 1.1 1.1
材料(3) (4) (5) (7) 及び(8) は実施例1の材料と同じである。材料(9) は実施例3の材料と同じである。
(10): OSI 社により販売されるγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
組成物12は1種のみのメルカプトシラン化合物を含む対照組成物であり、そのレオグラムが曲線C3により図2に示される。組成物13及び14は本発明によるものであり、それらのレオグラムが夫々曲線C4及びC5により図2に示される。硬化前及び硬化後に測定したゴム組成物の性質及び150 ℃におけるレオグラムが夫々表12及び図2に示される。
表12
組成物番号 12 13 14
硬化前の性質
ムーニー 102 54 53
T5(分) 0 12.5 12
レオメトリー特性
Ts (0.2)分 0 4.5 4.5
Tc (99)(分) 5 11 11
150 ℃における硬化時間(分) 20 20
硬化後の性質
早期
加硫
M100 1.77 1.79
M300 5.7 5.85
HL 15.2 14.6
スコーチ安全性のかなりの改良がスコーチ時間及びレオメトリー特性の測定により観察される。更に、本発明は加工を改良し、メルカプトシランクラスの結合剤を含む組成物の製造を工業規模で可能にすることを可能にする。
実施例7
本発明の組成物16の場合に、PMHS (5)の量が組成物11よりも多いことを除いて、実施例5の組成物と同じである2種の組成物を製造する。
表13
組成物番号 15 16
SBR 96 96
PB 30 30
シリカ 80 80
ZnO 2.5 2.5
ステアリン酸 2 2
酸化防止剤 1.9 1.9
芳香族油 6 6
PMHS 6
ダイナシラン3201 1.5
Si 69 6.4
硫黄 1.1 1.1
CBS 2 2
DPG 1.5 1.5
組成物15は当業界で既に知られており、タイヤケーシングトレッドを製造するのに使用することができる実施例5の組成物10と同じ参考組成物である。硬化の前後に測定したゴム組成物の性質を表14にリストする。
表14
組成物番号 15 16
硬化前の性質
ムーニー 82 86
T5(分) 25 >30
150 ℃における硬化時間(分) 40 40
硬化後の性質
M100 1.56 1.59
M300 6.97 7.5
ヒステリシス 26.4 22.3
EB 560 530
TS 19.5 18.1
動的性質
G 3.67x1061.97x106
tan δ 0.299 0.231
これらの結果は、本発明の組成物がSi 69 で得られたものと同様である硬化前の性質を得ることを可能にし、硬化後に、それが参考組成物15のレベルと同じ強化レベルを有するとともに、ヒステリシス及びtan δレベルがかなり低いことを示し、これはこのような組成物を低下された転がり抵抗を有するタイヤケーシングを与えることができる半完成製品、特にトレッドの成分の一部を形成するのに特に適するようにする。
実施例8
この実施例は、本発明のゴム組成物の利点及びタイヤケーシングに使用されることを目的とする金属強化剤を被覆し、接着するための硫黄による架橋を示す。
3種の組成物を表15に記載された配合に従って製造する。組成物17はエラストマー/シリカ強化添加剤を含まない参考組成物である。組成物18はまたγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランのみを含む対照組成物である。組成物19は本発明によるものである。
表15
組成物番号 17 18 19
天然ゴム 100 100 100
シリカ (12) 50 50 50
ZnO 4 4 4
ステアリン酸 1 1 1
酸化防止剤 (4) 2 2 2
コバルト塩 (13) 0.7 0.7 0.7
PMHS (11) 2.5
ダイナシラン3201 (6) 1 1
硫黄 4.5 4.5 4.5
CBS (7) 0.8 0.8 0.8
DPG (8) 0.8 0.8 0.8
材料(4) 、(6) 、 (7)及び(8) は実施例1の材料と同じである。
(11): 式(V-4) に相当する機能化PMHS
(12): デグッサ社により販売されるウルトラシルVN2 シリカ
(13): コバルトナフテネート
150 ℃の硬化の前後に測定したゴム組成物の性質が夫々表16に示される。
表16
組成物番号 17 18 19
硬化前の性質
ムーニー 94 82 74
150 ℃における硬化時間(分) 35 35 35
硬化後の性質
M100 1.69 2.22 2.06
M300 4.08 6.36 5.91
HL 20.7 17.2 14.5
EB 590 570 510
TS 22.1 23.6 22.1
本発明の組成物は従来技術の組成物の加工性より優れている未加硫状態の加工性を有することがわかる。換言すれば、本発明の強化添加剤の使用はムーニー粘度を改良する。
また、本発明の組成物は組成物の強化特性及び機械的性質にペナルティーを受けないで明らかに改良されるヒステリシスを有することがわかる。
実施例9
この実施例の目的は、“鎖末端”で機能化されるポリオルガノシロキサンを含む強化添加剤がまた本発明の範囲内で使用し得ることを示すことである。3種の組成物を表17に記載された配合に従って製造する。
組成物15及び20は、結合剤のみを使用する従来技術の対照組成物である。それらのレオグラムが夫々曲線C6及びC7により図3に示される。組成物21は本発明によるものであり、そのレオグラムが曲線C8により図3に示される。
表17
組成物番号 15 20 21
SBR (1) 96 96 96
PB (2) 30 30 30
シリカ (3) 80 80 80
ZnO 2.5 2.5 2.5
ステアリン酸 2 2 2
酸化防止剤 (4) 1.9 1.9 1.9
芳香族油 6 6 6
PS 340 (14) 4.5
ダイナシラン3201 (6) 1.8 1.8
Si 69 6.4
硫黄 1.1 1.1 1.1
CBS (7) 2 2 2
DPG (8) 1.5 1.5 1.5
材料(1) 、(2) 、(3) 、(4) 、(6) 、(7) 、(8) 及びSi 69 は実施例1の材料と同じである。
(14): ABCRにより販売される、鎖末端でOHで機能化されたPS340 ポリジメチルシロキサン
150 ℃の硬化の前後に測定したゴム組成物の性質、及び150 ℃で生じたレオグラムが夫々表18及び図3に示される。
表18
組成物番号 15 20 21
硬化前の性質
ムーニー 82 105 90
レオメトリー特性
Ts (0.2)分 5 0 8
Tc (99) 34 27 30
150 ℃における硬化時間(分) 40 40 40
硬化後の性質
M100 1.56 1.68 2.44
M300 6.97 4.38 10.92
HL 26.4 35 19.8
ムーニー粘度の結果により、本発明はメルカプトシラン型の強化剤の高含量を含むゴム組成物の加工を促進することを可能にすることがわかる。
また、本発明の組成物は参考組成物の剛性よりあらかに優れている剛性(M100 及びM300) を得ることを可能にすること、及びヒステリシス特性が対照組成物15及び20の場合に測定されたヒステリシス特性に関して明らかに改良されることが見られる。
更に、レオメトリー特性、及び図3中の曲線は、本発明がメルカプトシランを使用することを可能にすることを示す。何となれば、それは組成物のスコーチ安全性の大きな増加を生じるからである。
実施例10
この実施例の目的は、シリカ及びカーボンブラックで同時に強化される本発明のゴム組成物が改良された加工性を有することを実証することである。
2種の組成物を表19に記載された配合に従って製造する。組成物22は対照組成物であり、一方、組成物23は本発明によるものである。
表19
組成物番号 22 23
SBR (15) 137.5 137.5
シリカ (3) 40 40
ブラックN 234 15 15
ZnO 3 3
ステアリン酸 2 2
酸化防止剤 (4) 1.5 1.5
PMHS (11) 2.5
ダイナシラン3201 (6) 1 1
硫黄 1.4 1.4
CBS (7) 1.4 1.4
材料(3) 、(4) 、(6) 及び(7) は実施例1の材料と同じである。
材料(11)は実施例8に使用された材料である。
(15): 16%の1,2結合、72%のトランス結合及び23.5%の混入スチレンを有し、37.5%の油で増量され、シェルにより販売される乳化剤SBR (カリフレックス1712)
生状態で測定したゴム組成物の性質が表20に示される。
表20
組成物番号 22 23
硬化前の性質
ムーニー 114 97
T5 (分) >30 >30
本発明の組成物は、組成物中の強化充填剤がカーボンブラックとシリカのブレンドである時に対照組成物の粘度より低いムーニー粘度を依然として有することがわかる。
実施例11
この実施例は、本発明の組成物が機能化ポリオルガノシロキサンと組み合わせて使用される時に低減されたSi 69 含量で改良された性質を有することを実証することを目的とする。
2種の組成物を表21に記載された配合に従って製造する。組成物24は従来技術の対照組成物である。組成物25は本発明によるものである。
表21
組成物番号 24 25
SBR (1) 96 96
PB (2) 30 30
シリカ (3) 80 80
ZnO 2.5 2.5
ステアリン酸 2 2
酸化防止剤 (4) 1.9 1.9
芳香族油 6 6
PMHS (11) 4.5
Si 69 2 2
硫黄 1.1 1.1
CBS (7) 2 2
DPG (8) 1.5 1.5
材料(1) 、(2) 、(3) 、(4) 、(7) 及び(8) は実施例1に使用された材料と同じであり、材料(11)は実施例8に使用された材料である。
硬化前に測定したゴム組成物の性質及び150 ℃で得られたレオメトリー特性が表22に示される。
図4は、夫々曲線C9及び曲線C10 により示された組成物24及び25のレオグラムを含む。
表22
組成物番号 24 25
硬化前の性質
ムーニー 113 65
T5 (分) 6 >30
レオメトリー特性(150℃)
Ts (0.2) (分) 0 15
Tc (99)(分) 測定不能35
これらの結果は、本発明がシリカで高度に充填されているが、低減されたSi 69 含量で優れた加工性を有するゴム組成物を得ることを可能にすることを示し、これがスコーチ安全性に関する有望性にペナルティーを受けないで強化充填剤としてシリカを含む組成物の製造コストの節減を得ることを可能にする。
実施例12
この実施例は、本発明の組成物が明らかに減少されている全強化添加剤含量でSi 69 を使用する時に得られた性質に等しい性質を有することを実証することを目的とする。
2種の組成物を表23に記載された配合に従って製造する。実施例7に既に記載された組成物15は従来技術によるものであり、組成物27は本発明によるものである。
表23
組成物番号 15 27
SBR (1) 96 96
PB (2) 30 30
シリカ (3) 80 80
ZnO 2.5 2.5
ステアリン酸 2 2
酸化防止剤 (4) 1.9 1.9
芳香族油 6 6
PS 340 (14) 2.5
ダイナシラン3201 (6) 1.1
Si 69 6.4
硫黄 1.1 1.1
CBS (7) 2 2
DPG (8) 1.5 1.5
材料(1) 、(2) 、(3) 、(4) 、(6) 、(7) 、(8) 及び(14)は先の実施例に使用された材料と同じである。
150 ℃の硬化の前後に測定したゴム組成物の性質が表24に示される。
表24
組成物番号 15 27
硬化前の性質
ムーニー 82 90
T5 (分) 25 >30
150 ℃における硬化時間(分) 40 40
硬化後の性質
M100 1.56 1.62
M300 6.97 6.75
HL 26.4 26.2
EB 560 600
TS 19.5 21.8
これらの結果は、本発明の組成物がSi 69 で得られた性質に近似する硬化前の性質を得ることを可能にし、硬化後にそれが明らかに低い強化添加剤含量(6.4 pheに対し3.6phe) で対照組成物番号15のレベルと同じ強化レベルを有し、これが性質の折衷にペナルティーを受けないで組成物のコストの節減を得ることを可能にすることを示す。
種々の強化添加剤を含む種々のゴム組成物に関する加硫曲線を示す。分で表される組成物の加硫期間が横軸として示される。デカニュートン/メートル(dN/m) で表されるレオメトリートルクが縦軸として示される。 種々の強化添加剤を含む種々のゴム組成物に関する加硫曲線を示す。 種々の強化添加剤を含む種々のゴム組成物に関する加硫曲線を示す。 種々の強化添加剤を含む種々のゴム組成物に関する加硫曲線を示す。

Claims (3)

  1. 少なくとも一種のジエンエラストマー、強化充填剤としてのシリカ、及び被覆剤を含むゴム組成物を含有するトレッドを備える、タイヤケーシングであって、該被覆剤は、分子当たり、前記シリカの粒子の表面ヒドロキシル部位と化学的かつ/または物理的に結合し得る少なくとも一つの官能性シロキシ単位を含有する少なくとも一種の機能化ポリオルガノシロキサン化合物を含み、
    機能化ポリオルガノシロキサン化合物が、次式(IV):
    Figure 2006089754
    (式中、
    Rは1〜6個の炭素原子を含む線状または分枝状アルキルから選ばれる、またはアリールから選ばれる1価の炭化水素基、または一つ以上の二重結合を含む線状または分枝状のC2〜C20アルケニル基であり、Rの種々の例は互いに同じであっても異なっていてもよく、
    xは0〜500であり、
    F及びF'は水素、ハロゲン、Rの定義に対応する基、ヒドロキシル、アルコキシ、エノキシ、アシルオキシ、アセトキシ、オキシム及びアミン官能基から選ばれる1価の基であり、F及びF'は異なっていても同じであってもよいが、後者の場合にはそれは基Rであってはならない。)
    で表される化合物、及び
    1価の基及び/または反応性官能基F及びF'を含むポリオルガノシロキサン樹脂(これらの記号は式(IV)の記号の説明として記載した定義と同様の定義を有する。)
    から選ばれる、前記タイヤケーシング。
  2. 前記ゴム組成物がカーボンブラックをさらに含む、請求項1に記載のタイヤケーシング。
  3. カーボンブラックの量がシリカの量に対し200 %以下である、請求項2に記載のタイヤケーシング。
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