JP2006085806A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】超高記録密度化のために、熱安定性を劣化させることなくノイズを低減できる、3層強磁性構造を持つAFC磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】基板1上に下地層2を介して形成された磁気記録層を有し、その磁気記録層は、下地層2上に形成された第1の強磁性層3、第1の強磁性層上に反強磁性交換相互作用を誘導する非磁性層4を介在して形成された第2の強磁性層5、第2の強磁性層上に形成された第3の強磁性層6からなり、磁気記録媒体の重心Gを第3の強磁性層6上面からの距離tgを用いて
tg=(Mst)eff /(2Ms3) ;重心Gが前記第3の強磁性層にある場合
tg=((Mst)eff /2−Ms3t3)/Ms2+t ;重心Gが前記第2の強磁性層にある場合
と定義し、磁気記録層の総膜厚をttotalとする時、tg/ttotalが0.33未満となるような構造をもつ。
【選択図】図1

Description

本発明は、低ノイズで熱的に安定な記録情報を得ることができる、超高密度記録に適した、面内記録方式に基づく磁気記録媒体に関するものである。
コンピュータの外部磁気記録再生装置である磁気ディスク装置は大容量化が望まれている。大容量化、即ち高記録密度化のために、磁気記録媒体に課せられてきた課題は、低ノイズ化である。磁気記録媒体は、例えば、基板上に磁性層の結晶配向性を制御するCr下地層を介して、CoCrTa、CoCrPt等のCo合金記録磁性層、及び保護層を設けた構造であり(特開昭62-257618号公報、特開昭63-197018号公報)、低ノイズ化のために従来から粒径の微細化、薄膜化、高保磁力化等が行われてきた。これにより、ノイズの原因である記録ビット間の磁化遷移領域における磁化の乱れを小さくし、磁化遷移領域を狭くすることができる。しかし、磁性粒子の微細化と記録層の薄膜化は、記録された磁化が熱的に揺らぎ、時間とともに減衰することにつながる。一般に、磁気異方性定数Kuと粒子の体積Vの積をボルツマン定数kと温度Tの積で割った値Ku・V/(k・T)は熱安定性の指標として知られている(IEEE Trans. Magn.30(1994)p4230)。Ku・V/(k・T)は、小さくなる程熱的に不安定であることを意味する。熱安定性の指標から、粒径の微細化と薄膜化を行った場合でも、Kuの大きな材料を用いれば、熱的な安定性は得られると考えられる。しかしKuを増加させると、異方性磁界Hkも増加するため、磁気ヘッドで記録できなくなるという問題が生じる。同様な理由で、保磁力の増加も難しい。
Kuを増加させることなく高記録密度化を達成できる手段として、非磁性層を介して互いに反強磁性的に結合される少なくとも2つの強磁性層を有する磁気記録媒体が提案された(特開2001-148110号公報)。また、2000年4月のIntermag国際会議(Digest(Intermag 2000 conf.) IEEE,HT-01)及びAppl. Phys. Lett. 77(2000) 3806で、2層及び3層の強磁性層を反強磁性的に結合させた媒体(Antiferromagnetically-coupled媒体(略してAFC媒体))について、優れた耐熱減磁特性と記録再生特性を有することが報告された。以降、AFC媒体の検討が各社、各機関において勢力的になされ、今日の磁気ディスク装置に用いられるようになってきた。
AFC媒体の強磁性層が2層の場合における、従来の磁気記録媒体の断面構造図及び磁気モーメントの簡単な模式図を図2示す。図に示すように、下部の強磁性層3の磁気モーメントは上部の強磁性層5の磁気モーメントとは逆向きである。これは、Ru、Cr、Rh、Ir、Cuもしくはこれらの合金からなる材料を含有する非磁性層4が非磁性層を挟む強磁性層3,5を反強磁性的に結合させる働きをするためである。下部の強磁性層3の飽和磁化をMsl、膜厚をtl、上部の強磁性層5の飽和磁化をMsu、膜厚をtuとする時、記録層全体の実効的な飽和磁化と膜厚の積(Mst)effは以下の式になる。
(Mst)eff=Msutu−Msltl
従って、AFC媒体の(Mst)effは第2の強磁性層のみからなる単層媒体よりも減少するため、ノイズが減少する。更に、上部、下部の強磁性層がともに熱安定性に寄与しているため、単層の強磁性層媒体よりも熱安定性が増すのである。
しかし、大容量化が進むにつれ、AFC媒体を用いてさえも、更なる高記録密度を達成することは難しいと考えられる。それは、必要SNR(信号対雑音比)を得るために、磁性粒子の微細化と薄膜化の必要性は益々増加しており、同時に熱安定性を確保するためのAFC媒体の構造が限界に達してきたためである。即ち、磁性粒子の微細化、薄膜化と同時に熱安定性を確保するためには、上部の強磁性層の増加と同時に、下部の強磁性層も増加させなければならない。しかし、非磁性層による反強磁性界面結合エネルギー密度の大きさJexは限界がある上に、Jexによって生じる下部の磁性層が受ける結合磁界Hexは次式からわかるように下部の強磁性層の膜厚tに反比例して小さくなってしまう。
Hex=Jex/(Msltl
従って、膜厚を増加させれば上部の強磁性層と下部の強磁性層の反強磁性的な結合は弱くなり、薄膜化どころか実効的な膜厚は厚くなってしまう。つまり、当初の意図とは異なり、(Mst)effが増加して、ノイズが増加するという問題が生じる。更に、熱安定性も劣化する。
特表2004-515028号公報では、AFC媒体の上部の強磁性層を2層にして、基板に遠い側の強磁性層の飽和磁化を他方の強磁性層の飽和磁化よりも大きくすることで、低ノイズ化と熱安定性が向上できることを示している。しかし、発明者等の検討によれば、飽和磁化を大きくしても決して良好なSNRが得られるとは限らないことが明らかになった。しかも、 (Mst)effの増加は避けなければならないため、前記2層の飽和磁化比には限界が生じてくる。即ち、高記録密度化に限界が生じると考えられる。
特開2003-85729号公報は、AFC媒体の上部の強磁性層を複数層にして、例えば2層の場合、基板側に配置される一方の層の膜厚を他方の層の膜厚より薄くすることにより、基板側の層に結晶配向の乱れを防止する機能を持たせることができ、熱揺らぎと記録再生特性(媒体ノイズ等)を良好にできることを示している。即ち、基板側の層は記録層としての役割はほとんどないと考えられる。
特開昭62-257618号公報 特開昭63-197018号公報 特開2001-148110号公報 特表2004-515028号公報 特開2003-85729号公報 IEEE Trans. Magn., 30(1994) p.4230 Digest(Intermag 2000 conf.) IEEE,HT-01 Appl. Phys. Lett., 77(2000) 3806
本発明は、超高記録密度化のために、熱安定性を劣化させることなくノイズを低減できる、AFC媒体の非磁性層上部の強磁性層を2層にした磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、発明者等は磁気記録媒体の磁化反転の中心位置に着目した。従来の単層記録層媒体では、磁気記録媒体の磁化反転の中心位置(以後、重心Gと呼ぶ)は、記録層の膜厚(t)方向において、真中の位置t/2であると考えた。それは、薄膜媒体が単磁区の結晶粒子から成り立っており、磁化はスピンの一斉磁化反転によって反転すること、及び、媒体の保磁力の1.5倍から2倍のヘッド磁界強度(媒体の異方性磁界強度に相当)が重心Gに印加されれば磁化が反転することが理由である。そこで、重心Gをttotal/2の位置よりも記録層表面側にすることができれば、より強いヘッド磁界が重心Gに印加されるとともに、重心Gにおけるヘッド磁界勾配が急峻になるため、ノイズが低減できてSNRが増加すると考え、これをAFC媒体に適用することを試みた。AFC媒体は、記録層が多層であり、各磁気特性が異なることから、AFC媒体の重心は、実効的な飽和磁化と膜厚の積(Mst)effを2で割った値をとる位置と考え、計算機シミュレーションと実験により、重心Gをできるだけ媒体表層側にするための構造を検討した。その結果、非磁性層上部の強磁性層の飽和磁化と膜厚の組合せを最適にすることで、熱安定性を劣化させることなく低ノイズ化を図れることが明らかになった。即ち、AFC媒体の非磁性層上部の強磁性層を2層にした構造の媒体においては、飽和磁化とともに膜厚も考慮しなければならないことが明らかになった。
上記目的を達成する本発明の磁気記録媒体は、基板と、基板上に形成された下地層と、下地層上形成された第1の強磁性層と、第1の強磁性層上に形成された非磁性層と、非磁性層上に形成された第2の強磁性層と、第2の強磁性層上に形成された第3の強磁性層とを有し、第1の強磁性層と第2の強磁性層とは非磁性層を介して反強磁性結合し、第2の強磁性層と第3の強磁性層とは強磁性的に結合している磁気記録媒体において、第1の強磁性層の飽和磁化をMs1、膜厚をt1、第2の強磁性層の飽和磁化をMs2、膜厚をt2、第3の強磁性層の飽和磁化をMs3、膜厚をt3、非磁性層の膜厚をtとするとき、磁気記録媒体の実効的な飽和磁化と膜厚の積(Mst)effを、(Mst)eff =Ms2t2+Ms3t3−M s1t1と定義し、磁気記録媒体の重心Gを第3の強磁性層の上面から重心Gまでの距離tgとして
tg=(Mst)eff /(2Ms3) ;重心Gが前記第3の強磁性層にある場合
tg=((Mst)eff /2−Ms3t3)/Ms2+t ;重心Gが前記第2の強磁性層にある場合
と定義するとき、距離tgをt1 +t2+t3+ t(=ttotal)で規格化した値tg/ttotalが0.33未満である磁気記録媒体である。
磁気記録媒体の重心Gは第2の強磁性層にあるのが好ましい。磁気記録媒体の重心G が第3の強磁性層にある時は、tg/ttotalが0.26以下である必要がある。また、第2の強磁性層の飽和磁化Ms2と第3の強磁性層の飽和磁化Ms2の比Ms3/ Ms2が1より大きく、かつ、第3の強磁性層の膜厚は第2の強磁性層の膜厚より薄いのが好ましい。
本発明によれば、熱安定性を劣化させることなくノイズを低減できる、3層強磁性構造のAFC磁気記録媒体を提供できる。
発明者等は、初めに、Landau-Lifsits-Gilbert方程式を用いた計算機シミュレーション(J.Appl.Phys.75(2),15 Jan.1994) を用いて、重心GがSNRに及ぼす影響を検討した。図1に検討に用いた媒体の構成図を示す。記録層は3層の強磁性記録層を有し、基板1上に形成した下地層2に最も近い層から順に第1の磁性層3、第2の磁性層5、第3の磁性層6とする時、第1の強磁性層上部に反強磁性交換相互作用を誘導する非磁性層4からなる中間層を介在して第2の強磁性層が形成され、前記第2の強磁性層上には更に第3の強磁性層が形成されている。第2の強磁性層5と第3の強磁性層6は互いに強磁性的に結合している。以後この媒体を3層AFC媒体と呼ぶ。
検討に用いた媒体粒径は8.5 nmとした。第1の磁性層の膜厚は3 nm、第2の磁性層の膜厚t2は6 〜12 nm、第3の磁性層膜厚t3は4〜10 nmとし、第2層、第3層の総膜厚は16 nm一定とした。また、第1の磁性層の飽和磁化は0.4 T、第2の磁性層の飽和磁化Ms2は0.2〜0.5 T、第3の磁性層の飽和磁化Ms3は0.3〜0.8 T とした。第1の磁性層と第2の磁性層の間の非磁性層はRu層とし、Ru層による交換結合は、第1層と第2層が反強磁性的な結合をする程度に強いとして、第1と第2の層間の結合エネルギーを−0.05×10-3 J/mとした。第2と第3の層間の結合エネルギーは、層間の静磁気的な結合が強いとして1.2×10-3 J/m とした。実効的な飽和磁化と膜厚の積(Mst)eff は 6 ×10-9 Tmで一定とした。異方性磁界は第1の磁性層は750 kA/m、第2、第3の異方性磁界は1040 kA/mで一定にした。この時、媒体パラメータから求めた熱安定性指数KuV/ (kT)は全ての条件で約63であるため、磁気特性を変えることによる熱安定性の減衰はない。比較例として、第2層と第3層の磁気特性及び膜厚を同じにしたAFC媒体について、第1の磁性層の膜厚を1〜4 nm、非磁性層上部の磁性層の膜厚を15〜19 nmとし、(Mst)eff を 6 ×10-9 Tmと一定にした条件でシミュレーションを行った。比較例の媒体においても、異方性磁界及び熱安定性指数は本発明の媒体と同じ値である。
図3は、第2の磁性層の飽和磁化Ms2を0.4 T一定として、第3の磁性層の飽和磁化Ms3を増加させた時のtg/ttotalとMs3/Ms2及びt3/t2の関係を示した図である。これより、Ms2が一定の場合、t3/t2が決まればMs3は一意的に決まってしまうが、t3/t2を減少させることにより、Ms3を増加させることができて、tg/ttotalを小さくできる。即ち、Ms3/Ms2を大きくするとともにt3/t2も小さくすれば、重心Gを媒体表層側にできることを意味している。また、図において、Ms3/Ms2が1.4未満の場合、重心Gは第3層にあるが1.4以上にするとGは第2層になる。
図4及び図5は、SNRのtg/ttotal依存性を示す図である。ここで、記録磁化パターンは、磁化の反転間隔を63.5 nmとして、媒体のトラック走行方向を正の方向とする時、正の方向と負の方向に交互に記録した(以後、磁化の反転間隔を記録ビット長と呼ぶ)。記録ヘッドのギャップ長 は 0.11 μm、再生ヘッドのシールド間隔は 65 nm、ヘッド・媒体間スペーシングは 21 nmとした。
図4は重心Gが第2層にある場合、図5は重心Gが第3層にある場合である。図において、同一記号は第2、第3の膜厚比を一定にして飽和磁化比を変えた結果である。図4より、Gが第2層にある場合、tg/ttotalを該0.33未満とすることにより、比較のAFC媒体よりも高SNRを得ることができる。
図5より、重心が第3層にある場合、tg/ttotalが0.26より大きいところでは、Ms3/Ms2を増加させてもSNRは比較のAFC媒体より同等かまたは劣化している。即ち、Ms3/Ms2を増加させた効果は見られない。一方、tg/ttotalを該0.26以下にすることにより比較のAFC媒体よりもSNRは向上することがわかった。また、同図より、t3/t2が1以上の場合(記号:◇)は、tg/ttotalを0.26以下にしてもSNRは向上しないことがわかった。以上のことから、第2、第3の膜厚を考慮せずに、Ms3/Ms2を増加させるだけではSNRを向上させる効果はほとんどなく、t3/t2も減少させてtg/ttotalを小さくすることが必要であることがわかった。
また、図4と図5よりtg/ttotalが同じであれば、Gは第3層にあるよりも第2層にある方が高SNRを得られることがわかった。
次に、従来のAFC媒体よりも良好なSNRを得るための媒体の飽和磁化と膜厚について考える。
図6は、図4と図5で得られた結果より、従来のAFC媒体よりも良好なSNRが得られた媒体の、tg/ttotalとMs3/Ms2の関係を示した図である。図の記号は図4と図5の記号と同じである。即ち塗りつぶしの記号は重心が第2層にある場合、白抜きの記号は重心が第3層にある場合である。重心が第2層にある場合、tg/ttotalを0.33未満とするためには、Ms3/Ms2は1より大きくすべきであることがわかった。また、重心が第3層にある場合、tg/ttotalを0.26以下とするためには、Ms3/Ms2は1.55以上にすべきであることがわかった。以上より、従来のAFC媒体よりも良好なSNRを得るためには、Ms3/Ms2は1より大きくすればよいことがわかった。
次に、tg/ttotalが0.33以下、Ms3/Ms2は1より大きい場合において、従来のAFC媒体よりも良好なSNRが得られる膜厚の条件を求めた。図7はtg/ttotalを0.26一定にした条件で、SNRとt3/t2の関係を計算した結果である。( )内にそれぞれのMs3/Ms2の値を示したが、全ての条件において、Ms3/Ms2は1より大きい。図において、塗りつぶしの記号は重心が第2層にある場合、白抜きの記号は重心が第3層にある場合である。同図に、比較例のうち最も高SNRの値を比較値として点線で示した。これより、比較値よりも高いSNRを得るためには、t3/t2を1.0より小さく(第3の強磁性層の膜厚は第2の強磁性層の膜厚よりも薄く)すべきであることがわかった。
上記図6、図7の結果より、従来のAFC媒体より良好なSNRを得るためには、Ms3/Ms2は1より大きく、第3の強磁性層の膜厚は第2の強磁性層の膜厚よりも薄くすべきであることがわかった。
重心Gを媒体表面側にする方法として、第2、第3の強磁性層の膜厚比t3/t2は変えないで総膜厚を薄くする方法もある。図8は、Ms2を0.3 T一定として、Ms3を増加させた時のtg/ttotalとMs3/Ms2の関係を示した図である。白抜きの四角はt3/t2を1.2として総膜厚を薄くした場合、塗りつぶしの四角はMs3/Ms2の増加とともにt3/t2を減少させた媒体である。これより、t3/t2を変えた媒体は、t3/t2を一定にした場合よりもt3/t2が1.2となる値を境にtg/ttotalは小さくなる。即ち重心をできるだけ媒体表面側にするためには、総膜厚比を薄くするよりもt3/t2の比を減少させる効果の方が大きいことがわかった。
次に、計算機シミュレーション結果を元に実際に作製して、SNRを測定したので以下に結果を示す。
実際に作製して得た一実施形態のAFC媒体の媒体断面構造図を図9に示す。ガラス基板1上に、プリシード層9、9′、シード層10、10′、下地層2、2′、第1の磁性層3、3′、中間層4、4′、第2の磁性層5、5′、第3の磁性層6、6′、保護膜11、11′の順で積層した。成膜装置は、intevac社製(intevac250B)である。以下成膜過程を示す。特に記載の無い場合、アルゴンガス圧は7mTorrである。まず、基板1の上に12nm のCo-50at%Tiプリシード層を、5mTorrのガス圧で成膜、次にW-30at%Coシード層を3nm 成膜、その後基板温度を300℃から400℃にしてAr+1vol%O2ガスを用いて3mTorrのガス圧で酸素ブローを行う。更にCr-10at%Ti-3at%Bの下地層を4〜10 nm成膜し、第1の磁性層Co-14at%Cr-6at%Pを3nm成膜、Ru中間層0.5nm、第2の磁性層と第3の磁性層を積層後、Ar+12vol%N2ガスを用いて10mTorrのガス圧で窒素ブローを行い、最後に窒素を含有したカーボン保護層を膜厚3.5nm形成した。第2、第3の磁性層はCoCrPtBの組成と膜厚をいろいろ変えて作製した。
<実施例1>
第2の磁性層はCo-22at%Cr-13at%Pt-6at%Bの組成で9 nm成膜し、第3の磁性層は、Co-10at%Cr-14at%Pt-8at%Bの組成で7nm成膜した。また、第2、第3の各層を単層で記録層とした媒体(層厚15nm)を作製して、それぞれの飽和磁化を測定した。測定方法は、測定試料を振動させることによって発生する交流磁界を検出する方式(VSM測定)や磁化量に対応して反射光の偏光角が傾く現象を利用する光学的方式(Kerr効果)を用いることができる。今回の測定ではKerr効果による測定方法を用いた。Co-22at%Cr-13at%Pt-6at%B組成の媒体の飽和磁化は0.25T、Co-10at%Cr-14at%Pt-8at%B組成の媒体の飽和磁化は0.7Tとなった。重心は第3層にあり、tg/ttotalは0.21と計算される。
<実施例2>
第2の磁性層はCo-21at%Cr-12at%Pt-8at%Bの組成で9 nm成膜し、第3の磁性層は、Co-12at%Cr-14at%Pt-12at%Bの組成で7nm成膜した。また、第2、第3の各層をそれぞれ単層で記録層とした媒体(層厚15nm)を作製して、飽和磁化を測定した。Co-21at%Cr-12at%Pt-8at%B組成の媒体の飽和磁化は0.33T、Co-12at%Cr-14at%Pt-12at%B組成の媒体の飽和磁化は0.58 Tとなった。重心は第3層にあり、tg/ttotalは0.26と計算される。
<実施例3>
第2の磁性層はCo-18at%Cr-12at%Pt-8at%Bの組成で11 nm成膜し、第3の磁性層は、Co-12at%Cr-13at%Pt-12at%Bの組成で5 nm成膜した。また、第2、第3の各層をそれぞれ単層で記録層とした媒体(層厚15 nm)を作製して、飽和磁化を測定した。Co-18at%Cr-12at%Pt-8at%B組成の媒体の飽和磁化は0.39 T、Co-12at%Cr-13at%Pt-12at%B組成の媒体の飽和磁化は0.55 Tとなった。重心は第2層にあり、tg/ttotalは0.28と計算される。
<実施例4>
第2の磁性層はCo-18at%Cr-12at%Pt-9at%Bの組成で12 nm成膜し、第3の磁性層は、Co-11at%Cr-14at%Pt-8at%Bの組成で4 nm成膜した。また、第2、第3の各層をそれぞれ単層で記録層とした媒体(層厚15 nm)を作製して、飽和磁化を測定した。Co-18at%Cr-12at%Pt-9at%B組成の媒体の飽和磁化は0.37 T、Co-11at%Cr-14at%Pt-8at%B組成の媒体の飽和磁化は0.66 Tとなった。重心は第2層にあり、tg/ttotalは0.25と計算される。
<比較例1>
第2の磁性層はCo-18at%Cr-14at%Pt-8at%Bの組成で8 nm成膜し、第3の磁性層は、第2の磁性層と同組成で8 nm成膜した。更に、第2(第3)の層を単層で記録層とした媒体(層厚15nm)を作製して、飽和磁化を測定した。その結果、飽和磁化は0.45Tとなった。重心は第3層にあり、tg/ttotalは0.34と計算される。本実施例は従来のAFC媒体である。
<比較例2>
第2の磁性層はCo-22at%Cr-12at%Pt-8at%Bの組成で8 nm成膜し、第3の磁性層は、Co-12at%Cr-14at%Pt-12at%Bの組成で8 nm成膜した。また、第2、第3の各層をそれぞれ単層で記録層とした媒体(層厚15 nm)を作製して、それぞれの飽和磁化を測定した。Co-22at%Cr-12at%Pt-8at%B組成の媒体の飽和磁化は0.31T、Co-12at%Cr-14at%Pt-12at%B組成の媒体の飽和磁化は0.58Tとなった。重心は第3層にあり、tg/ttotalは0.26と計算される。即ち、比較例2は、tg/ttotalは0.26であるが、第2、第3の膜厚が同じ場合の一比較例である。
実施例1から4及び比較例1、2に記載した媒体についてSNRを測定した。記録ヘッドのギャップ長 は 0.11 μm、再生ヘッドのシールド間隔は 65 nm、ヘッド・媒体間スペーシングは 21 nmである。記録ビット長は63.5 nmである。図10に結果を示す。
これより、実施例1のSNRは比較例1に比べ、1dB良好なことが分かる。また、実施例2は比較例1より若干向上する。従って、重心が第3層にある場合、第2層、第3層の組成と膜厚が等しい従来のAFC媒体よりもSNRを向上させるためには、tg/ttotalは0.26以下とすればよいことが確かめられた。
実施例3、4から、重心が第2層にある場合、SNRとtg/ttotalの関係が図の点線で示され、比較例1との比較から、SNRを向上するためには、tg/ttotalは0.33未満にすればよいことが確かめられた。
これらの結果より、tg/ttotalは0.33未満にするためには、Ms3/Ms2を1より大きくすればよいこともわかる。
また、図より、同じ重心位置でも、第3層にあるより第2層にある方が、より優れたSNRが得られることがわかった。これは、第2層に重心があることで、第2、第3層ともに、より急峻な磁化遷移が形成されるためである。
更に、比較例2より、Ms3/Ms2が1より大きい場合でも第3層と第2層の膜厚が同じであれば、SNRは従来AFC媒体よりも劣化することがわかった。即ち、上記4つの実施例と比較すると第3層の膜厚は第2層よりも薄くすべきであることがわかる。
本発明において、他の飽和磁化値を持つ媒体を作成するためには、Cr 、Pt及びBの含有量を制御すればよい。また、上記実施例は非磁性層上部の強磁性層が2層の場合であるが、3層以上の多層構造であっても同様の効果が得られる。それは、重心位置を2層同様に媒体表面側にすることができるからである。この場合、実効的な飽和磁化と膜厚の積(Mst)effは次式で定義し、重心は(Mst)eff/2を得る媒体表層からの距離で定義する。
Figure 2006085806
本発明の磁気記録媒体を示す断面構造及び磁気モーメントを示す模式図であり、(a)は重心Gが第3層にある場合の図、(b)は重心Gが第2層にある場合の図。 従来のAFC媒体の断面構造及び磁気モーメントを示す模式図。 下層の飽和磁化を0.4 T一定とした時の重心と第2、第3の飽和磁化比と膜厚比の関係を示す図。 重心が第2層にある本発明の磁気記録媒体及び比較例媒体のSNRと重心の関係を示す図。 重心が第3層にある本発明の磁気記録媒体及び比較例媒体のSNRと重心の関係を示す図。 重心と第2、第3層の飽和磁化比の関係を示す図。 SNRと第2、第3層の膜厚比の関係を示す図。 第2、第3層の膜厚比と重心の飽和磁化比依存性の関係を示す図。 一実施形態のAFC媒体の媒体断面構造図。 実施例と比較例におけるSNRと重心の関係を示す図。
符号の説明
1…基板
2,2′…下地層
3,3′…第1の強磁性層
4,4′…非磁性層
5,5′…第2の強磁性層
6,6′…第3の強磁性層
7…磁気モーメント
8…重心
9,9′…プリシード層
10,10′…シード層
11,11′…保護層

Claims (4)

  1. 基板と、前記基板上に形成された下地層と、前記下地層上に形成された第1の強磁性層と、前記第1の強磁性層上に形成された非磁性層と、前記非磁性層上に形成された第2の強磁性層と、前記第2の強磁性層上に形成された第3の強磁性層とを有し、前記第1の強磁性層と第2の強磁性層とは前記非磁性層を介して反強磁性結合し、前記第2の強磁性層と第3の強磁性層とは強磁性的に結合している磁気記録媒体において、
    前記第1の強磁性層の飽和磁化をMs1、膜厚をt1、前記第2の強磁性層の飽和磁化をMs2、膜厚をt2、前記第3の強磁性層の飽和磁化をMs3、膜厚をt3、前記非磁性層の膜厚をtとするとき、磁気記録媒体の実効的な飽和磁化と膜厚の積(Mst)eff
    (Mst)eff =Ms2t2+Ms3t3−M s1t1
    で定義し、磁気記録媒体の重心Gを前記第3の強磁性層の上面から重心Gまでの距離tgとして
    tg=(Mst)eff /(2Ms3) ;重心Gが前記第3の強磁性層にある場合
    tg=((Mst)eff /2−Ms3t3)/Ms2+t ;重心Gが前記第2の強磁性層にある場合
    と定義するとき、
    距離tgをt1 +t2+t3+ t(=ttotalとする)で規格化した値tg/ttotalが0.33未満であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 請求項1記載の磁気記録媒体において、前記重心Gは前記第2の強磁性層にあることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 請求項1記載の磁気記録媒体において、前記重心G が前記第3の強磁性層にあり、 tg/ttotalが0.26以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の磁気記録媒体において、前記第2の強磁性層の飽和磁化Ms2と前記第3の強磁性層の飽和磁化Ms3の比Ms3/ Ms2が1より大きく、前記第3の強磁性層の膜厚は前記第2の強磁性層の膜厚よりも薄いことを特徴とする磁気記録媒体。
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