JP2003085729A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2003085729A
JP2003085729A JP2002186667A JP2002186667A JP2003085729A JP 2003085729 A JP2003085729 A JP 2003085729A JP 2002186667 A JP2002186667 A JP 2002186667A JP 2002186667 A JP2002186667 A JP 2002186667A JP 2003085729 A JP2003085729 A JP 2003085729A
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magnetic recording
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Application number
JP2002186667A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Tomiyasu
弘 冨安
Keiji Moroishi
圭二 諸石
Sadaichirou Umezawa
禎一郎 梅澤
Kenji Ayama
兼士 阿山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Hoya Magnetics Singapore Pte Ltd
Original Assignee
Hoya Corp
Hoya Magnetics Singapore Pte Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱揺らぎ特性が良好で、しかも、保磁力角形
比(S*)、パルス幅、オーバーライト特性、媒体ノイ
ズ(S/N比)といった記録再生特性が良好な磁気記録
媒体を提供する。 【解決手段】 ガラス基板1上に、少なくとも、反強磁
性交換相互作用を制御する強磁性材料からなる第1の磁
性層5、強磁性材料からなる第2の磁性層7と、前記第
1の磁性層5と第2の磁性層7との間に形成されて反強
磁性交換相互作用を誘導するスペーサ層6とを有し、前
記第2の磁性層7は、下部磁性層71と上部磁性層72
との複数の層からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報の記録再生を
行うための磁気ディスク装置に好適な磁気記録媒体に関
する。
【0002】
【従来の技術】HDD(ハードディスクドライブ)の高
記録密度化を達成するためには、媒体ノイズの低減が不
可欠である。これまでの媒体ノイズの低減は、日々進歩
する磁気ヘッドの出力特性の改善を助けとし、磁気ディ
スクのMr・t(残留磁化膜厚積)を低減させる等のた
めの膜構成や膜材料を改善することにより、実現してき
た。
【0003】このMr・tの低減は、R/W(リードラ
イト:読み書き)特性を改善させるためには極めて有効
な手段であるが、同時に熱揺らぎ特性の問題を引き起こ
しつつある。Mr・tの低減、即ち磁性層膜厚の低減
は、磁性層の結晶粒径(グレインサイズ)を微細化し、
媒体ノイズの改善に繋がるが、微細化された結晶粒は、
記録された磁化を保持するのに十分な保磁力(Hc)を
持たなくなり、その結果、記録信号が減衰する現象(熱
揺らぎ)が現れてきた。
【0004】この記録信号が減衰する現象(熱揺らぎ)
を防ぐために、さまざまな膜構成が提案されている。そ
の一つとして最近注目される技術として、AFC(An
ti−Ferro−Coupled−Film:反強磁
性結合膜)構造がある(特開2001−56923号公
報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この特開2001−5
6923号公報に記載の磁気記録媒体は、非磁性分断層
(Ru,Rh,Ir等)により磁性層を上下に分断して
多層構造にしたものである。すなわち、非磁性分断層に
より、磁気記録層を分断して複数層にし、それぞれの層
の磁化方向が互いに反平行となるようにし、これによ
り、熱揺らぎ特性を良好にしたものである。
【0006】しかし、AFC構造を用いた膜は、熱揺ら
ぎ特性は良好であったとしても、構造上全体の磁性層膜
厚が大きくなってしまう。このため、この磁性層膜厚の
増大により、保磁力角形比(S*)が小さくなる。ま
た、パルス幅(PW)やオーバーライト特性も悪化す
る。また、磁性層膜厚の増大は、磁性層のグレインサイ
ズを増大させ、媒体ノイズ(S/N比)も悪化させる傾
向にある。このようなことから、これらの記録再生特性
は、近年の高記録密度化における要望を必ずしも満足す
るものではない。本発明は、上述の背景のもとでなされ
たものであり、熱揺らぎ特性が良好で、しかも、保磁力
角形比(S*)、パルス幅、オーバーライト特性、媒体
ノイズ(S/N比)といった記録再生特性が良好な磁気
記録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めの手段として、第1の手段は、基板上に、少なくと
も、反強磁性交換相互作用を制御する強磁性材料からな
る第1の磁性層と、強磁性材料からなる第2の磁性層
と、前記第1の磁性層と第2の磁性層との間に形成され
て反強磁性交換相互作用を誘導するスペーサ層とを有す
る磁気記録媒体であって、前記第2の磁性層は、複数の
層からなることを特徴とする磁気記録媒体である。第2
の手段は、前記第2の磁性層を構成する複数の層は、互
いに隣接される任意の2層を比較したとき、前記基板側
に配置される一方の層の膜厚が他方の層の膜厚より小さ
いことを特徴とする第1の手段にかかる磁気記録媒体で
ある。第3の手段は、前記第2の磁性層を構成する複数
の層は、互いに隣接される任意の2層を比較したとき、
前記基板側に配置される一方の層の異方性磁界が他方の
層の異方性磁界より小さいことを特徴とする第1又は第
2の手段にかかる磁気記録媒体である。第4の手段は、
前記第2の磁性層を構成する複数の層は、互いに隣接さ
れる任意の2層を比較したとき、前記基板側に配置され
る一方の層の飽和磁束密度が他方の層の飽和磁束密度よ
り小さいことを特徴とする第3の手段にかかる磁気記録
媒体である。第5の手段は、前記スペーサ層は、少なく
ともRuを含む材料であることを特徴とする第1ないし
第4のいずれかの手段にかかる磁気記録媒体である。第
6の手段は、前記基板と前記第1の強磁性層との間に下
地層が形成されていることを特徴とする第1ないし第5
のいずれかの手段にかかる磁気記録媒体である。第7の
手段は、前記基板はガラス基板であることを特徴とする
第1ないし第6のいずれかの手段にかかる磁気記録媒体
である。第8の手段は、前記下地層は、少なくとも磁性
層の結晶粒を制御するプリコート層が含まれていること
を特徴とする第1ないし第7のいずれかの手段にかかる
磁気記録媒体である。第9の手段は、前記プリコート層
は、前記下地層においてガラス基板側に形成され、Cr
とTaを含む合金であることを特徴とする第8の手段に
かかる磁気記録媒体である。
【0008】上記手段において、第2の磁性層を複数の
層としたことにより、第2の磁性層を単層にした場合に
比較して、熱揺らぎ特性を改善しながら、保磁力角形比
(S*)、パルス幅PWの改善することが可能になる。
また、上記手段において、第2の磁性層を構成する複数
の層を、互いに隣接される任意の2層を比較したとき、
前記基板側に配置される一方の層の膜厚を他方の層の膜
厚より小さくしたことにより、基板から離れた位置に配
置された比較的厚い層に、主として磁気記録再生の機能
をもたせ、一方、基板側の比較的薄い層に、スペーサ層
上に直接磁性層を形成した場合の結晶配向の乱れを防止
するための機能をもたせることができる。すなわち、磁
気記録再生を行うに適した厚さを有する磁性層と、スペ
ーサ層とは、互いに格子定数が必ずしも近似しない場合
がある。そこで、スペーサ層と磁気記録再生を行うに適
した磁性層との双方に対して格子定数が近似した層(磁
性層)を設けることにより、両者の格子定数の違いを緩
和することができる。この層は、主として格子定数を近
似させる(マッチングさせる)だけであるので、なるべ
く薄い層がよい。このマッチングをとることにより、ス
ペーサ層上に直接磁性層を形成した場合に比較して、結
晶配向の乱れをより少なくできる。その結果、保磁力角
形比(S*)、パルス幅PWを改善できる。
【0009】しかし、この場合、格子定数のマッチング
をとるために、上記薄い層として、むやみに異方性磁界
の大きな磁性層を選択してしまうと、反強磁性交換相互
作用を制御する強磁性材料からなる第1の磁性層と第2
の磁性層との反強磁性交換相互作用が妨げられ、逆に、
熱揺らぎ特性が悪化してしまうこともある。そのため、
上記基板側の薄い層の異方性磁界をこの薄い層と接する
厚い層(磁性層)の異方性磁界より小さくすることによ
って、これを防止できる。すなわち、結晶配向を改善し
ながら、第1の強磁性層と第2の磁性層との反強磁性交
換相互作用が薄い層(磁性層)の異方性磁界に左右され
にくくなるので、熱揺らぎ特性を改善しながら、保磁力
角形比(S*)、パルス幅PWの改善が行われることに
なる。ここで、薄い層(第2の磁性層が2層の場合には
下部磁性層という。以下、薄い層を説明の都合上、下部
磁性層という場合がある)と厚い層(第2の磁性層が2
層の場合には上部磁性層という。以下、この厚い層を説
明の都合上、上部磁性層という場合がある)の異方性磁
界は、例えば、下部磁性層、上部磁性層に含まれるPt
の含有量を制御することによって調整することができ
る。下部磁性層の異方性磁界を上部磁性層の異方性磁界
より小さくするためには、例えば、下部磁性層に含まれ
るPtの含有量を上部磁性層に含まれるPtの含有量よ
り少なくすることにより達成することができる。具体的
には、下部、上部磁性層に含まれるPtの含有量は、5
〜14at%の範囲で調整される。
【0010】ここで、上述のように、スペーサ層と上部
磁性層との間に膜厚が薄い下部磁性層を介在させること
により、スペーサ層上に直接上部磁性層を形成した場合
の結晶配向の乱れを防止することができる。これは、上
述のとおり、下部磁性層と上部磁性層の格子定数のマッ
チングが良好になる為と考えられる。これにより、保磁
力角形比(S*)、パルス幅(PW)は改善する。しか
しながら、その一方で、媒体ノイズ(S/N比)、熱揺
らぎ特性は低下する場合がある。媒体ノイズ(S/N
比)低下の理由の一つとしては、スペーサ層との格子定
数のズレがある下部磁性層は、結晶配向の乱れを含むの
で、下部磁性層を厚くする事はノイズを増加させる原因
となる。このため下部磁性層は、上部磁性層の配向性を
改善する効果を残した状態で、極力薄くする事が望まし
い。
【0011】また、本発明者の研究によれば、下部磁性
層の飽和磁束密度を上部磁性層の飽和磁束密度より小さ
くすることにより、下部磁性層のノイズ源を低減する働
きを有し、媒体ノイズ(S/N比)を良好にすることが
できることも判明した。これによって、保磁力角形比
(S*)が改善され、パルス幅(PW)、オーバーライ
ト特性、媒体ノイズ(S/N比),熱揺らぎ特性が良好
になる。ここで、下部磁性層と上部磁性層の飽和磁束密
度は、例えば、下部磁性層、上部磁性層に含まれるCr
の含有量を制御することによって調整することができ
る。下部磁性層の飽和磁束密度を上部磁性層の飽和磁束
密度より小さくするためには、下部磁性層に含まれるC
rの含有量を上部磁性層に含まれるCrの含有量より多
くすることにより達成することができる。具体的には、
下部、上部磁性層に含まれるCrの含有量は、14〜2
4at%の範囲で調整される。
【0012】この場合、下部磁性層の範囲は、5〜80
オングストロームで、これはS/Nを極度に悪化させな
いという点で好ましい。上部磁性層の膜厚は、所望のM
rtにより適宜調整される。また、第2の磁性層は、2
層、3層、4層以上とすることができる。製造コストな
どの点から、2層又は3層とすることが望ましい。ま
た、下部磁性層の材料としては、例えば、CoCrPt
Ta、CoCrTa、CoCrPt、CoPt、CoP
tTa、CoCrPtTaB、CoCrPtB、CoC
r(Cr<22at%)などのCo系合金が挙げられ
る。
【0013】特に、下部磁性層としてCoCrPtTa
合金を用いるとS/N比が高くなるので好ましい。
【0014】また、さらに媒体ノイズを低減させる目的
で、結晶粒の微細化の点から、さらに、O、N、C、
H、H2O等の元素等を添加しても良い。下部磁性層に
これらの元素等を添加する方法としては、ターゲット中
にこれらの元素等が含有したものを使用し、不活性ガス
雰囲気下でスパッタにより成膜する方法や、O2、N2
NO、NO2、CH4等に不活性ガスを混合した混合ガス
雰囲気下で反応性スパッタにより成膜する方法などがあ
げられる。この場合、過度にこれらの元素等を添加させ
ないほうがこのましい。何故なら、ガス添加により下部
磁性層の磁化が低下し、配向制御層と磁性層の両方の役
割を兼ねなくなるからである。添加されるガス濃度は、
0.1〜2%であり、さらに望ましくは0.25〜1%
が好ましい。
【0015】また、上部磁性層の材料としては、例え
ば、CoCrPtB、CoCrPtTaB、CoCrP
tTa、CoCrPt、CoCrTa、CoCr(但
し、Cr<22at%)などのCo系合金が挙げられ
る。特に、高保磁力Hcで高いS/N特性が得られる点
からCo、Pt、Bを含有するCoCrPtB、が好ま
しい。また、第1の磁性層の材料としては、例えば、C
oCr(Cr<22at%)、CoCrPt、CoCr
PtB、CoCrPtTa、CoCrPtTaB、Co
CrTa、CoCrRuなどのCo系合金が挙げられ
る。第1の磁性層の膜厚は、熱揺らぎ特性の要求値によ
って適宜調整する。具体的には、膜厚の範囲は、5〜8
0オングストロームとすることができる。
【0016】上述した第1の磁性層の材料のなかでも、
CoCr合金を用いた場合、熱揺らぎ特性が改善できる
ので好ましい。
【0017】本発明において、スペーサ層の表面粗さは
Rmaxが6nm以下、Raが0.6nm以下であるこ
とが好ましい。ここでいう表面粗さとは、日本工業規格
JISB0601規定のものである。反強磁性交換相互作用を誘
導するスペーサ層の作用は、スペーサ層の膜厚に大きく
依存する。スペーサ層の表面粗さが大きい場合、第1の
磁性層と第2の磁性層との間の交換相互作用にバラツキ
が生じることが判った。この場合、磁気記録媒体の面内
における前記反強磁性交換相互作用に分布が生じるの
で、熱揺らぎの面内分布が引き起こされる。具体的に
は、スペーサ層の表面粗さはRmaxが6nm以下、R
aが0.6nm以下であると、上記バラツキ(分布)が
抑制されることが判った。スペーサ層の表面粗さを所定
とするための手段としては、所定荒さ以下に鏡面研磨さ
れた基板を用いることが好ましい。このようにすること
で、容易にスペーサ層の表面粗さを所定のものとするこ
とができる。本発明においては、Rmaxが6nm以
下、Raが0.6nm以下に鏡面研磨された基板を用い
ることが好ましい。
【0018】また、スペーサ層の材料としては、例え
ば、Ru、Rh、Irやこれらの合金、例えば(CoR
u、NiRuなど)が挙げられる。スペーサ層の膜厚
は、反強磁性交換相互作用を得られる範囲において適宜
調整する。具体的には、膜厚の範囲は、4〜10オング
ストローム、好ましくは、7〜9オングストロームとす
ることができる。特に、スペーサ層の材料としてRuと
することにより、大きな反強磁性相互作用を得られるの
で好ましい。
【0019】また、通常、磁気記録媒体は、基板と第1
の磁性層との間に下地層が形成される。下地層として
は、磁性層側から基板側に向かうに従って、例えば、h
cp構造を有する中間層、bcc体心立方構造を有する
下層、シード層などの複数層を形成することができる。
また、これらのうちの単層でも構わない。
【0020】中間層はhcp六方最密充填構造を有し、
hcp構造を有する磁性層の結晶配向を整える目的で設
けられる。例えば、CoCr、CoCrB、CoCrT
a、CoCrPt、CoCrPtTaなどの材料を用い
ることができる。尚、中間層は非磁性、強磁性材料どち
らであっても構わない。また、中間層は、複数の層とし
てもよい。中間層は、基板側から磁性層側に向かうにし
たがって磁性層との結晶整合性が向上するように(例え
ば、Pt含有量が基板側から磁性層側に向かうにしたが
って増加するように)形成することが好ましい。中間層
を使用した場合のAFC構造の膜構成としては、例え
ば、CoCr/CoCrPtTa/Ru/CoCrPt
Ta/CoCrPtB、CoCr/CoCrPtTa/
CoCrPtTa/Ru/CoCrPtTa/CoCr
PtBとすることができる。下層はbcc構造を有し、
主に静磁気特性を良好にする目的で設けられる。例え
ば、CrやCr合金(CrMo、CrV、CrW、Cr
Tiなど)などの材料を用いることができる。シード層
は、その上に形成する層の結晶粒径を制御する目的で設
けられる。例えば、NiAl、AlCo、CrTi、C
rNi、AlRuなどの材料を用いることができる。
【0021】なお、前記中間層を設ける場合において
は、中間層の膜厚は5〜50オングストロームとするの
が好ましい。50オングストロームを超えると磁性層の
磁性粒子を大きくする作用が現れ、S/N比が低下する
ので好ましくない。5オングストローム未満の場合で
は、磁性層の結晶配向を整える作用が充分でないので好
ましくない。この場合、中間層の材料としては、CoC
r合金、CoCrPtTa合金を用いると、磁性層との
結晶整合性が高く好適である。更に結晶整合性を高める
ためには、中間層に含有されるCrは22at%未満と
するのが好ましい。このようにすることで、前述した中
間層の作用(磁性層の結晶配向を整える作用)が好適に
発揮できる。
【0022】また、基板材料は、特に限定されない。ア
ルミニウム、ガラス、ガラスセラミックス、セラミック
ス、シリコン、カーボン、チタン等が挙げられる。基板
表面の平滑性、平坦性、機械的強度、化学的耐久性など
の点から、ガラス基板が好ましい。基板上に形成される
膜の結晶を制御する点においては、ガラス基板の中でも
特にアモルファスガラスが好ましい。アモルファスガラ
スとしては、アルミノシリケートガラス、ボロシリケー
トガラス、ソーダライムガラスなどの材料が挙げられ
る。特にガラス基板とする場合、ガラスにはさまざまな
成分が含まれている理由で、微視的(ミクロ)に見た場
合、結晶粒の初期成長に分布を生じるものと思われるの
で、構成6にあるように下地層として、少なくとも磁性
層の結晶粒を制御するプリコート層が含まれることが望
ましい。ここでいう結晶粒の制御とは、結晶粒径の大き
さ、結晶粒径のばらつき(分散)等をさす。
【0023】プリコート層として、CrとTaを含む合
金とすることにより、出力(LF)、パルス幅PW、媒
体ノイズ(S/N比)の特性が顕著に良好になるので好
ましい。CrとTaを含む合金としては、CrTa、C
rTaX(X:Ti、O2)が挙げられる。CrとTa
を含む合金は、アモルファスか殆どアモルファスの構造
が、結晶粒の初期成長の均一化を促す点で好ましい。そ
の場合、Taの含有量は、30〜80at%とすること
が好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体につ
いて説明する。 (実施例1)図1は本発明の実施例にかかる磁気記録媒
体の膜構成を示す図である。図1に示すとおり、実施例
の磁気記録媒体は、基板(ガラス基板)1上に、プリコ
ート層2、シード層3、下地層4、第1の磁性層5、ス
ペーサ層6、下部磁性層71、上部磁性層72、保護層
8、潤滑層9を順次積層したものである。なお、下部磁
性層71と上部磁性層72とは、第2の磁性層7を構成
するものである。ガラス基板1は、化学強化されたアル
ミノシリケートガラスからなり、その表面粗さは最大高
さRmax=3.2nm、平均表面粗さRa=0.3n
m(原子間力顕微鏡にて測定)で鏡面研磨されている。
【0025】プリコート層2はCrTaのアモルファス
層(膜厚300オングストローム)からなる。合金膜に
おけるCrとTaとの原子組成比は60:40である。
シード層3はAl合金薄膜(膜厚250オングストロー
ム)からなる。
【0026】下地層4は、CrW薄膜(膜厚100オン
グストローム)で、磁性層の結晶構造を良好にするため
に設けられている。このCrWの下地層4は、Cr:9
0at%、W:10at%の組成比で構成されている。
なお、CrW下地層4は、CrW下地層4の結晶粒の微
細化を促進させるため、0.75%のCO2とArの混
合ガス雰囲気中でスパッタ成膜したものである。
【0027】また、第1の磁性層5は、強磁性のhcp
構造からなるCo系合金薄膜(膜厚:25オングストロ
ーム)である。
【0028】スペーサ層6は、Ru膜(膜厚7オングス
トローム)である。また、下部磁性層71は、CoCr
PtTa合金薄膜(膜厚5オングストローム)で、C
o、Cr、Pt、Taの含有量はそれぞれ、Co:70
at%、Cr:19at%、Pt:9at%、Ta:2
at%である。
【0029】上部磁性層72は、CoCrPtB合金薄
膜(膜厚:150オングストローム)で、Co、Cr、
Pt、Bの含有量はそれぞれ、Co:61at%、C
r:20at%、Pt:12at%、B:7at%であ
る。
【0030】保護層8は、磁性層が磁気ヘッドとの接触
によって劣化することを防止するためのものであり、膜
厚45オングストロームの水素化カーボン膜からなる。
また、潤滑層9は、パーフルオロポリエーテルの液体潤
滑剤からなり、この膜によって磁気ヘッドとの接触を緩
和している。尚、膜厚は8オングストロームである。
【0031】次に、上述の構成からなる磁気記録媒体の
製造方法について説明する。まず、低温型イオン交換に
よって化学強化したガラス基板の主表面を精密研磨する
ことによって鏡面(Rmax=3.2nm、Ra=0.
3nm)にする。次に、このガラス基板の主表面上に静
止対向型スパッタリング装置によって、プリコート層
2、シード層3、下地層4、第1の磁性層5、スペーサ
層6、下部磁性層71、上部磁性層72、保護層8を順
次成膜した。尚、下地層4は、Ar+CO2の混合ガス
雰囲気下で、保護層8は、Ar+H2の混合ガス雰囲気
下で、それ以外の層は、Arの不活性ガス雰囲気下でス
パッタリング成膜した。次いで、保護層8上にパーフル
オロポリエーテル潤滑剤をディップ処理することによっ
て、潤滑層9を形成し、磁気ディスクを得た。
【0032】この得られた磁気ディスクの保磁力Hcは
3698Oe、保磁力角形比(S*)は0.65、出力
LFは1.52mV、パルス幅PWは12.3nse
c、SN比は30.38dB、オーバーライト特性(O
W)は、−33.34[dB]、熱揺らぎ特性は、信号
出力減衰:0.12(−dB/decade)であっ
た。このように、熱揺らぎ耐性は良好で、かつ保磁力角
形比(S*)、パルス幅PW、SN比、オーバーライト
特性の記録再生特性の全てにおいて良好な結果となっ
た。
【0033】尚、これらの特性は以下のようにして測定
したものである。以下の実施例、比較例も同じ測定方法
によって測定した。保磁力Hc、保磁力角形比(S*)
は、ヘッド型磁気測定装置(DMS社製:Hr/Mrt
Disk Mapper)で測定した。保磁力Hc
は、PWと熱揺らぎ特性の改善において、ヘッドの書き
こみ範囲内で高いほど良い。また保磁力角形比(S*)
は、面内配向性と磁性粒間の磁気的分離を表す指標で、
普通は、高いほど良い。
【0034】出力LFは、電磁変換特性測定機(Guz
ik)により測定した。出力LFは、その他の電磁変換
特性が維持できるのであれば、エラーレートを良くする
点で、高ければ高いほど良い。パルス幅(PW50:孤
立信号波形の半値幅)の測定は次のようにして行った。
PW50測定用のMRヘッドを搭載した電磁変換特性測
定機(Guzik)で孤立再生信号を抽出し、グランド
(0)に対する出力信号のピーク値の50%における孤
立波形の幅をPW50とした。
【0035】なお、このPW50は高記録密度のために
は、小さければ小さいほど良い。これは、パルス幅が狭
いと同一面積上により多くのパルス(信号)を書き込め
ることになるからである。一方、PW50が大きいと、
隣り合うパルス(信号)同士が干渉しあい、信号を読み
出すときにエラーとなって現れる。この波形干渉がエラ
ーレートを悪くする。
【0036】SN比は、記録再生出力の測定を次のよう
にして行い求めた。磁気ヘッド浮上量が0.025μm
の磁気抵抗型ヘッド(以後、MRヘッドと称す)を用い
て、MRヘッドと磁気ディスクの相対速度を10m/s
ecとして線記録密度520kfcl(1インチあたり
520000ビットの線記録密度)における記録再生出
力を測定した。また、キャリア周波数100MHzで、
測定帯域を120MHzとしてスペクトラムアナライザ
により、信号記録再生時のノイズスペクトラムを測定し
た。本測定に用いたMRヘッドは、書き込み/読み取り
側にそれぞれトラック幅2.0/0.5μm、磁気ヘッ
ドギャップ長は0.20/0.11μmである。SN比
は、ノイズによる信号の読み取りエラーを防ぐ為に、高
いほどエラーレートが改善され、且つ高記録密度を達成
できる。
【0037】オーバーライト特性(OW)も同様に電磁
変換特性測定機(Guzik)により測定した。オーバ
ーライト特性は、HDDを組みたてた際、ヘッドの書き
こみ能力不足による歩留まり悪化を改善する意味におい
て、高いほどよい。
【0038】熱揺らぎ特性は、次のようにして行った。
サーマルオフトラック(ヘッドサスペンションの熱膨張
によって磁気記録媒体上のトラックに対し、磁気ヘッド
がずれることにより、信号減衰が発生する現象)の影響
を受けず磁気記録媒体の熱揺らぎによる信号減衰量のみ
を正確に評価するため、ライトトラック幅がリードトラ
ック幅に対して2倍以上のリ一ドライト素子を有するこ
とを特徴としているMRヘッドを用意し、得られた磁気
記録媒体たる磁気ディスクと共にシステム内のヘッド/
ディスク機構部にセットする。次にそのヘッド/ディス
ク機構部を高温環境下にさらすために温度制御可能な環
境槽に投入する。環境槽内が設定した温度に安定した
ら、リードライト回路部よりライト信号をMRヘッドの
ライト素子に送り、磁気ディスクに信号を書き込む。そ
して、信号を書き込んだ直後から、磁気ディスクに書き
込まれた信号をMRヘッドのリード素子から読み出し、
リードライト回路部にて増幅した後、信号評価部にて測
定する。信号評価部では一定時間間隔でリード信号の振
幅値を記録していく。信号評価部では、例えば、スペク
トラムアナライザを用いて測定を行う。
【0039】本測定の条件は、環境槽の温度が60℃、
磁気ディスクへ書き込んだ信号の記録密度は、100K
Flux/inchである。また、本測定に用いたヘッ
ドは、ライトトラック幅が2.0μm、リードトラック
幅が0.5μm、ライトギャップ長が0.20μm、リ
ードギャップ長が0.11μm、リードライト素子部分
の浮上量が20nmのMRヘッドである。
【0040】(比較例1)次に、上記実施例1における
下部磁性層71を設けなかった以外は実施例1と同様に
して磁気記録媒体を作製した。この得られた磁気ディス
クの保磁力Hcは3639Oe、保磁力角形比(S*)
は0.54、出力LFは1.39mV、パルス幅PWは
12.6nsec、SN比は30.35dB、オーバー
ライト特性(OW)は、−26.44[dB]、熱揺ら
ぎ特性は、信号出力減衰で0.17(−dB/deca
de)であった。
【0041】従来のAFC構造と比べ、本発明の膜構造
にした場合、熱揺らぎ特性が良好で、かつ保磁力角形比
(S*)、パルス幅PW、O/W特性が特に改善されて
いることがわかる。特に、O/W特性については、磁気
ディスクとして−30dB以上が一般的に必要とされて
おり、望ましくは−33dB以上が必要とされている。
これまでのAFC構造では、書きこみが困難であったも
のが、本特許の構成を用いる事で、充分使用できる領域
のO/W特性を得られている事が分かる。
【0042】図2は本発明の実施例、参考例及び比較例
にかかる磁気記録媒体のS/N比と信号出力減衰の関係
を示したグラフである。◆が本発明の実施例にかかるA
FC構造を適用した磁気ディスクの場合を、□は従来の
AFC構造を適用した場合の磁気ディスクの場合を、*
はAFC構造を適用しない従来の磁気ディスクの場合の
S/N比と信号出力減衰を示す。尚、各プロットした値
は、各種の磁気ディスクにおいて、下地層4や磁性層の
膜材料、膜組成を変化させたときに得られた値である。
【0043】一般に記録密度を上げる為には、S/N比
の改善が必須である。しかし、グラフ中にあるように、
AFC構造を適用しない場合、S/Nを改善する(すな
わち磁性粒を微細化する)と、信号出力減衰が大きくな
り(熱揺らぎ特性が悪くなり)、S/N比の改善に限界
が生じていた。
【0044】信号出力減衰の許容値は、各ドライブメー
カーにより異なるが、おおよそ−0.2dB/deca
deを超えると許容できないとされている。その為、A
FC構造が提案されたが、この従来のAFC構造におい
ても熱揺らぎ特性としては不充分でありS/N比改善の
限界が見えていた。ところが、本発明の新規の膜構造で
あれば、S/N比を改善した状態で耐熱揺らぎ特性を得
る事ができる。このことは、更に記録密度を向上させる
ことができることを示しており、従来AFC構造の限界
に対し2世代分の記録密度向上が可能である(磁気ディ
スクにおいて、1世代に必要なS/N比の改善は約2d
Bの向上が必要)。
【0045】(参考例1)次に、実施例1の磁気ディス
クにおいて、下部磁性層71の膜厚を80オングストロ
ーム、上部磁性層72の膜厚を70オングストロームと
した以外は実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し
た。その結果を図3の表1に示す。図3の表1に示すよ
うに上部磁性層72の膜厚より下部磁性層71の膜厚が
厚くなることにより保磁力Hcの低下はあるものの、従
来のAFC構造(比較例1)と比べて保磁力角形比(S
*)、オーバーライト特性(O/W)が大幅に改善し、
さらに、パルス幅(PW)も改善していることがわか
る。
【0046】(参考例2)次に、実施例1の磁気ディス
クにおいて、下部磁性層71のCr濃度及びPt濃度を
図3の表1のように多くした以外は実施例1と同様にし
て磁気ディスクを作製した。その結果を図3の表1に示
す。図3の表1に示すように、下部磁性層71の異方性
磁界が上部磁性層72の異方性磁界よりも大きくなった
ことにより、従来のAFC構造の場合(比較例1)とほ
ぼ同じ熱揺らぎ特性となったが、オーバーライト特性
(O/W)が大幅に改善していることがわかる。
【0047】(実施例2、3)次に、実施例1の磁気デ
ィスクにおいて、下部磁性層71のCr濃度を変化(下
部磁性層71の飽和磁束密度を変化)(実施例2)、下
部磁性層71のPt濃度を変化(下部磁性層71の異方
性磁界を変化)(実施例3)させた以外は実施1と同様
にして磁気ディスクを作製した。その結果を図3の表1
に示す。
【0048】実施例2のように下部磁性層71のCr濃
度を変化させることにより、実施例1に比べ下部磁性層
71の飽和磁束密度が上部磁性層72の飽和磁束密度よ
りさらに小さくすることにより、実施例1の磁気ディス
クに対し、更にO/W特性、S/N比を改善することが
できた。また、実施例3のように下部磁性層71のPt
濃度を変化させることにより、保磁力Hc、熱揺らぎ特
性を改善することができた。
【0049】(実施例4、5)次に、実施例1の磁気デ
ィスクにおいて、下部磁性層71の組成比を図3の表1
のように変化させた(Taの含有量を増加させ、Ptの
含有量を減少させた)以外は実施例1と同様にして磁気
ディスクを作製した。その結果を図3の表1に示す。図
3の表1に示すように、実施例4、5ともにTaの含有
量の増加により、S/N比を更に改善することができ
た。実施例4においては、Ptの含有量の減少により、
(S*)が従来のAFCの磁気ディスク(比較例1)と
同等であったが、熱揺らぎ特性、オーバーライト特性
(O/W)が特に改善することができた。
【0050】(参考例3)次に、実施例1の磁気ディス
クにおいて、下部磁性層71のCr濃度を図3の表1の
ように小さくした以外は実施例1と同様にして磁気ディ
スクを作製した。その結果を図3の表1に示す。図3の
表1に示すように、下部磁性層71の異方性磁界は上部
磁性層72の異方性磁界より小さくなっているが、下部
磁性層71の飽和磁束密度が上部磁性層72の飽和磁束
密度より大きくなったことにより、S/N比が悪化して
いることがわかる。上述の実施例1〜5とを対比する
と、下部磁性層71の異方性磁界が上部磁性層72の異
方性磁界より小さく、さらに、下部磁性層71の飽和磁
束密度が上部磁性層72の飽和磁束密度よりも小さくす
ることにより、熱揺らぎ耐性が良好で、保磁力角形比
(S*)、パルス幅(PW)、オーバーライト特性(O
/W)、媒体ノイズ(SN)が良好な磁気ディスクが得
られることがわかる。
【0051】(参考例4)次に、実施例1の磁気ディス
クにおいて、CrとTaを含む合金のプリコート層2を
形成しなかった以外は実施例1と同様にして磁気ディス
クを作製した。その結果を図3の表1に示す。実施例と
のデータを対比してもわかるように、CrとTaを含む
合金のプリコート層2をガラス基板上に形成することに
よって、熱揺らぎ特性は維持したまま、保磁力Hc、保
磁力角形比(S*)、パルス幅PW、S/N比を改善す
ることができることがわかる。
【0052】(実施例6)次に、実施例1において、下
地層4のCrW薄膜と第1の磁性層5との間にhcp構
造を有する中間層を介挿させた磁気記録媒体(実施例
6)を製造した。このとき、中間層は、CoCrPtT
a合金からなり、Co:71at%、Cr:19at
%、Pt:8at%、Ta:2at%である。膜厚は1
0オングストロームである。該中間層はhcp六方最密
充填構造を有し、hcp構造を有する磁性層の結晶配向
を整える目的で設けられている。この点以外は、実施例
1と同様である。なお、該CoCrPtTa合金は強磁
性材料である。結果は、保磁力Hcは3668エルステ
ッド、保磁力角型比S*は0.80、LFは1.50m
V、PWは12.0nsec、O/Wは33.21(−
dB)、S/Nは29.79dB、熱揺らぎは0.07
(−dB/decade)という好特性が得られた。実
施例6の結果は、実施例1の結果と比較して、保磁力角
型比、PW、熱揺らぎが大幅に改善した結果である。こ
れは、中間層を介挿したことにより、hcp構造を有す
る磁性層の結晶配向が整えられたためであると考えられ
る。
【0053】(実施例7)さらに、実施例6において、
下地層4の前記Cr:90at%、W:10at%薄膜
と、前記Co:71at%、Cr:19at%、Pt:
8at%、Ta:2at%からなる前記中間層との間
に、更に、CoCr合金からなる中間層を介挿させた
(実施例7)。該CoCr合金は、Co:80at%、
Cr:20at%である。膜厚は25オングストローム
である。実施例7では、基板1側から磁性層5,7側に
向かうに従って、Ptの含有量を増加させることによ
り、磁性層5,7との結晶配向が向上するように形成さ
れている。この点以外については実施例1と同一であ
る。結果は、保磁力Hcは3659エルステッド、保磁
力角型比S*は0.81、LFは1.48mV、PWは
12.0nsec、O/Wは33.15(−dB)、S
/Nは29.55dB、熱揺らぎは0.06(−dB/
decade)という好特性が得られた。この結果は、
実施例1、実施例6に対してさらに保磁力角型比と熱揺
らぎが改善した結果であり、磁性層の結晶配向が更に向
上したものである。
【0054】(実施例8)次に、ガラス基板1として表
面粗さRmaxが5.5nm、Raが0.6nmのガラ
ス基板を用いた以外は実施例1と同様に磁気記録媒体を
製造した(実施例8)。表面粗さは原子間力顕微鏡(A
FM)で測定した。スペーサ層6迄形成された基板の表
面粗さを測定したところ、本実施例におけるガラス基板
1と同様の表面粗さであった。結果は、熱揺らぎが0.
13(−dB/decade)であった。実施例1と略
同様な数値であった。熱揺らぎ以外に関しても、実施例
1と略同様の結果であった。
【0055】(実施例9)次に、ガラス基板1として表
面粗さRmaxが7.2nm、Raが0.7nmのガラ
ス基板を用いた以外は実施例1と同様に磁気記録媒体を
製造した(実施例9)。スペーサ層6迄形成された基板
の表面粗さを測定したところ、本実施例におけるガラス
基板1と同様の表面粗さであった。結果は、熱揺らぎが
0.16(−dB/decade)であった。実施例1
に比べて大幅に特性が悪化した。熱揺らぎ以外に関して
は、実施例1と同様の結果であった。実施例1、実施例
8、実施例9の熱揺らぎ特性の結果を対比すると、ガラ
ス基板1の表面粗さをRmaxが6nm以下、Raが
0.6nm以下とすることにより、熱揺らぎ特性が改善
されることが判る。これは、反強磁性交換相互作用を誘
導するスペーサ層6の表面粗さが平滑化することによ
り、その作用が面内で均一化するからである。
【0056】(実施例10〜14)第1の磁性層5の好
適な組成を調査するため、強磁性のhcp構造からなる
Co系合金薄膜の範囲内で、第1の磁性層5の組成を以
下のように調整した磁気記録媒体(実施例10〜14)
を製造した。なお、実施例10〜14のシード層3は、
Al合金薄膜として、Al:50at%、Ru:50a
t%からなる薄膜(膜厚250オングストローム)を用
いている。以上の点以外は、実施例1と同様である。実
施例10では、第1の磁性層5は、Co:93at%、
Cr:7at%とした。実施例11では、Co:90a
t%、Cr:10at%とした。実施例12では、C
o:85at%、Cr:15at%とした。実施例13
では、Co:80at%、Cr:20at%とした。実
施例14では、Co:78at%、Cr:22at%と
した。膜厚に関しては実施例1と同様である。結果、実
施例10〜実施例14の保磁力、保磁力角型比、LF、
PW、O/W、S/Nの結果は実施例1と同様の結果で
あったが、熱揺らぎに関しては、実施例10において
は、0.10(−dB/decade)、実施例11に
おいては、0.11(−dB/decade)、実施例
12においては、0.12(−dB/decade)、
実施例13においては0.12(−dB/decad
e)、実施例14においては、0.16(−dB/de
cade)であった。熱揺らぎ特性の結果は、第1の磁
性層5のCr含有量に依存し、Crが22at%(実施
例14)の場合、非連続的に熱揺らぎが悪化することが
判る。従って、第1の磁性層5の材料としては、Cr<
22at%とするのが好適である。Cr<22at%の
場合は、前記第1の磁性層の作用である、反強磁性交換
相互作用を制御する作用が好適に作用するようになる
が、Crの含有率が22at%となると、反強磁性交換
相互作用の制御が低下するためである。従って、熱揺ら
ぎを抑止するために、第1の磁性層はCr<22at%
することが好ましい。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
熱揺らぎ耐性が良好な磁気記録媒体が得られる。さらに
保磁力角形比(S*)が良好で、かつ記録再生特性(パ
ルス幅(PW)、オーバーライト特性、媒体ノイズ(S
N))が良好な磁気記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる磁気記録媒体の膜構成
を示す図である。
【図2】本発明の実施例、参考例及び比較例にかかる磁
気記録媒体のS/N比と信号出力減衰の関係を示したグ
ラフである。
【図3】本発明の実施例、参考例及び比較例にかかる磁
気記録媒体の各特性を掲げた表を示す図である。
【符号の説明】
1…基板(ガラス基板)、2…プリコート層、3…シー
ド層、4…下地層、5…第1の磁性層、6…スペーサ
層、71…下部磁性層、72…上部磁性層、8…保護
層、9…潤滑層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨安 弘 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内 (72)発明者 諸石 圭二 シンガポール共和国 638552 リンク2 ツアス#3 ホーヤ マグネティクス シ ンガポール プライベートリミテッド内 (72)発明者 梅澤 禎一郎 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内 (72)発明者 阿山 兼士 シンガポール共和国 638552 リンク2 ツアス#3 ホーヤ マグネティクス シ ンガポール プライベートリミテッド内 Fターム(参考) 5D006 BB02 BB07 BB08 CA01 CA05 CA06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも、反強磁性交換相互
    作用を制御する強磁性材料からなる第1の磁性層と、強
    磁性材料からなる第2の磁性層と、前記第1の磁性層と
    第2の磁性層との間に形成されて反強磁性交換相互作用
    を誘導するスペーサ層とを有する磁気記録媒体であっ
    て、 前記第2の磁性層は、複数の層からなることを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】前記第2の磁性層を構成する複数の層は、
    互いに隣接される任意の2層を比較したとき、前記基板
    側に配置される一方の層の膜厚が他方の層の膜厚より小
    さいことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】前記第2の磁性層を構成する複数の層は、
    互いに隣接される任意の2層を比較したとき、前記基板
    側に配置される一方の層の異方性磁界が他方の層の異方
    性磁界より小さいことを特徴とする請求項1又は2記載
    の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】前記第2の磁性層を構成する複数の層は、
    互いに隣接される任意の2層を比較したとき、前記基板
    側に配置される一方の層の飽和磁束密度が他方の層の飽
    和磁束密度より小さいことを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】前記スペーサ層の表面粗さは、Rmaxが
    6nm以下、Raが0.6nm以下であることを特徴と
    する請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】前記スペーサ層は、少なくともRuを含む
    材料からなることを特徴とする請求項1ないし5のいず
    れかに記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】前記基板と前記第1の強磁性層との間に下
    地層が形成されていることを特徴とする請求項1ないし
    6のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】請求項7記載の磁気記録媒体であって、 前記下地層は、前記第1の磁性層側にhcp構造を有す
    る中間層を備えることを特徴とする磁気録媒体。
  9. 【請求項9】請求項8記載の磁気記録媒体であって、 前記中間層は、前記基板側から前記各磁性層側に向かう
    に従って、前記第1の磁性層との結晶整合性が向上する
    ように形成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】請求項8又は9記載の磁気記録媒体であ
    って、 前記中間層は、複数の層からなることを特徴とする磁気
    記録媒体。
  11. 【請求項11】請求項8ないし10のいずれかに記載の
    磁気記録媒体であって、 前記中間層の前記第1の磁性層側は、強磁性材料からな
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】前記基板はガラス基板であることを特徴
    とする請求項1ないし11のいずれかに記載の磁気記録
    媒体。
  13. 【請求項13】前記下地層は、少なくとも前記各磁性層
    の結晶粒を制御するプリコート層が含まれていることを
    特徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載の磁気
    記録媒体。
  14. 【請求項14】前記プリコート層は、前記下地層におい
    て前記基板側に形成され、CrとTaを含む合金である
    ことを特徴とする請求項13記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7645528B2 (en) 2004-09-15 2010-01-12 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Magnetic recording media with ultra-high recording density

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