JP2006085026A - 遮光部材、撮像装置および遮光部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 光学製品の内壁面に貼着される遮光部材10であって、表面が遮光性を有し、中央を貫通する光通過孔14を有する遮光片12と、遮光片12に配置され、光通過孔14の内周縁との間に間隔をあけて外側に配置された粘着層20とからなり、遮光片12における光通過孔14の内周縁はテーパー面である。
【選択図】 図5
Description
デジタルカメラは、感光フィルムの代わりにCCD撮像素子などを用いて電子的な画像情報を取得する構造を備えている。CCD撮像素子に画像情報を送り込む光学系には、通常のフィルム式カメラと同様のレンズあるいは組み合わせレンズ系が使用されている。
デジタルカメラに限らず、フィルム式カメラその他の光学製品においても、レンズ系が収容された光の通過経路では、通過経路の内壁面で光の反射を起こすと、取得される画像情報にゴーストやハレーションなどと呼ばれる欠陥や画像情報を劣化が生じる。
例えば、特許文献1には、樹脂微粒子とカーボンブラック微粒子とを樹脂マトリックスに分散させた材料からなる反射防止層を基材フィルムに支持させた反射防止用フィルムが示されている。反射防止用フィルムの裏面側に粘着層および離型シートを設けておき、離型シートを剥がした反射防止用フィルムの粘着層を、カメラなどの光学機器の内面壁に貼り付ける技術も示されている。
具体的には、反射防止用フィルムは、光反射防止部材となる個所を含めて全面に粘着層を形成したあと、光反射防止部材の輪郭に沿って切り込み線を加工する。したがって、反射防止用フィルムから取り外した個々の光反射防止部材には、全面に粘着層が存在している。光反射防止部材を所定の場所に取り付けるまでの取り扱い作業を、粘着層に接触しないように行うことは、極めて難しい。取り扱い工具などが粘着層に接触していると、所定位置に取り付けた光反射防止部材から取り扱い工具を離すことが難しく、力を加えて粘着層から引き離すと、光反射防止部材の位置がずれたり変形したりし易い。
さらに、光反射防止部材の端面は、光反射防止用フィルムと粘着層との厚みを足し合わせた厚みを有する。この端面において光の反射が生じ易く、光反射防止性能が低下することがある。
〔光学製品〕
光の反射防止あるいは遮光を図る必要のある内部構造を有する光学製品であれば、目的や用途、構造などは特に限定されない。
なお、通常、光反射防止は、表面における光の反射を防止することを意味し、遮光は、光の通過を遮ることを意味するが、本明細書においては、表面における光の反射を防止する機能と光の通過を遮る機能との両方の含めて、遮光と記載することがある。
光学製品において、遮光部材が貼着される内壁面は、光の通過経路と隣接する構造部分の内壁面である。内壁面を構成する材料は、金属、樹脂、セラミック、ガラスなど、通常の光学製品と同様の材料が使用される。遮光部材の粘着層による粘着貼り付けが容易な材料および形状を有する内壁面が好ましい。光反射性を有する材料からなる内壁面に、光反射性部材を取り付けることで、内壁面の光反射を防止できる。内壁面の材料が、黒色などの光を反射し難い材料であれば、遮光部材と協働して、より確実に遮光を図ることができる。
〔遮光部材〕
表面が光反射防止性を有する遮光片と、遮光片の中央を貫通する光通過孔とを有する。
<遮光片>
遮光片の材料は、通常の光反射防止用フィルムあるいは遮光フィルムと同様の材料が用いられる。光反射防止用フィルムあるいは遮光フィルム、シートなどとして市場から入手可能である。一般的な遮光用フィルムの構造は、基材となる合成樹脂フィルムの表面に黒色で光反射性が極めて少ない遮光層を積層している。基材フィルム自体が黒色などに着色されている場合もある。遮光片の材料は、少なくとも片面が光反射防止機能を有していればよい。両面が光反射防止機能を有していれば、遮光片の粘着層側における光の反射も防止できる。遮光片の材料全体あるいは端面も光反射防止性を有していれば、より確実に光反射防止機能を発揮できる。
遮光片の形状は、前記した取り付け場所の形状構造によって変わる。但し、光の通過経路に配置される遮光部材には、遮光片の中央を貫通する光通過孔を有している。
<光通過孔>
遮光片の内周形状である光通過孔の形状は、通常は円形であるが、円形以外の楕円形、長円形、多角形、これらの図形の一部に凹凸を加えた形状などもある。一つの遮光部材には、通常、一つの光通過孔を有するが、複数の光通過孔が設けられる場合もある。
光通過孔の内周縁がテーパー面である。光通過孔の内周縁は、遮光片の厚みに相当する幅の内周端面を構成する。この内周端面が、光通過孔の中心軸方向で一端から他端へと拡がるように傾斜している。テーパーの方向およびテーパー角度は、遮光部材の使用目的に応じて設定できる。テーパー方向は、遮光片の表面側から粘着層の表面側に向かって、拡がるテーパーおよび狭まるテーパーの何れでもよい。テーパー角度は、通常、15〜30度の範囲に設定できる。
光通過孔の内周縁がテーパー面であることによって、光通過孔の内周端面の厚みが実質的に無くなるか薄くなり、光の通過性を良好にできる。有害な反射が起こる可能性を少なくできる。光通過孔の内周端面に埃などが付着する可能性が少なくなる。テーパー面に埃などが付着しても、テーパー面の最も内周側に突出する先端縁からはみ出さなければ、光の通過を阻害することは少なくなる。
遮光片の外周形状は、取り付ける光学製品の内壁面の形状構造に合わせて自由に設計できる。光通過孔と同心の相似形であってもよいし、光通過孔とは全く異なる形状の場合もある。外周に突起や腕などの凹凸形状を備えておく場合もある。
<粘着層>
遮光片のうち光学製品の内壁面への取り付け側になる面には、粘着層が設けられる。粘着層は、遮光片に接合された状態で、取り付け面に粘着固定できる機能が必要とされる。また、遮光部材供給シートのシート基材に対して剥離可能であることも必要である。
粘着層の厚みは、粘着層の構造や要求性能によっても異なるが、通常、10〜200μmの範囲に設定される。粘着層が薄過ぎると、遮光部材の取付固定が十分に行い難くなり易い。粘着層が厚過ぎると、端面に埃や異物が付着し易くなったり、遮光片が浮き上がった状態で取り付けられたりすることになり易い。
粘着層の外周形状は、通常は、遮光片の外周形状に対して相似形であるか、相似形の一部を変形した形状である。粘着層の外周形状と遮光片の外周縁との間にも、内周側と同様に、所定の幅の間隔をあけておくことが好ましい。この幅は前記した内周縁側と同じ程度の範囲に設定できる。遮光片の外周側については、光反射防止機能を必要としなかったり、外周端面に粘着層が露出していても問題にならなかったりする場合は、外周側には前記間隔を設けなくてもよい。
遮光部材を供給するシートである。遮光部材供給シートには、シート状をなす基材と、シート基材の表面に複数個が互いに間隔をあけて配置された前記遮光部材とを有する。
このような遮光部材供給シートを用いることで、保管、輸送、流通販売などの際に、複数の遮光部材をまとめて取り扱うことができる。薄くて小さな遮光部材を紛失したり破損したりすることが防止される。遮光部材の粘着層を露出させずに取り扱える。遮光部材の使用時は、シート基材から遮光部材を取り剥がして、光学製品の取り付け位置に貼り付ける。
<シート基材>
シート基材は、遮光部材を支持して取り扱える機械的強度や耐久性などを備えていて、粘着層に対して剥離性を有していれば、通常の、粘着製品用のシート基材が使用できる。シート基材の材料は、PET、PP、PEなどの合成樹脂シートあるいは紙、金属箔、これらのシート材料の積層シート、表面に粘着層に対する剥離性を付与するコーティングを行ったものなどが使用できる。遮光部材供給シートの製造工程で、使用される各部材を支持したり、加工性を良好にしたり、走行搬送を可能にしたりできる強度や耐変形性などの物理的特性を有するものが好ましい。
<遮光部材の配置>
遮光部材供給シートには、幅方向および長さ方向に任意の数の列で、遮光部材を配置することができる。
遮光部材同士は、一定の間隔をあけて配置される。この間隔は、遮光部材供給シートにおける遮光部材の作製工程が行い易く、使用時に遮光部材が個別に取り外し易い程度に設定できる。通常、遮光部材の隣接間隔を2.0〜5.0mmの範囲に設定できる。
遮光部材供給シートには、遮光部材のほかに、遮光部材の製造に必要な構造や遮光部材供給シートの取り扱いに必要な構造を備えることができる。
具体的には、長尺状あるいは大判状で製造される遮光部材供給シートを、必要に応じて、取り扱いなどに適した大きさに切り離すミシン目や弱め線がある。長尺テープ状の遮光部材供給シートを連続走行させたり巻回したりするのに利用される送り孔や送り溝がある。
遮光部材の遮光片と分離可能に一体形成され光通過孔を埋めてシート基材に固定される。孔塞ぎ片は、遮光部材の使用時には不用であるが、製造工程において、遮光片に付随して残った部材である。また、孔塞ぎ片が存在することで、遮光部材供給シートの取り扱い中などに、遮光部材の光通過孔の内周縁に、埃や異物が付着したり、内周縁が損傷したり変形したりすることを防止するという機能も発揮できる。
孔塞ぎ片が、シート基材に固定されていれば、遮光部材をシート基材から取り外したときには、遮光片と確実に分離されて、シート基材に残しておける。
遮光片の裏面に、一定の幅あるいは大きさで粘着層が存在しない隙間部を有することができる。この隙間部は、前記した光通過孔の内周縁と粘着層の内周形状との間隔、および、粘着層の外周形状と遮光片の外周形状との間に設定される間隔とは別に設けられ、より大きな領域である。
隙間部では、遮光片の裏側に粘着層が存在しないので、遮光片を表裏両面から挟んで摘み上げたりして取り扱うことができる。遮光部材供給シートから遮光部材を取り剥がす作業、遮光部材を取り付け位置に貼り付ける作業が行い易くなる。
隙間部の形状は、遮光部材の取り扱い作業が行い易く、粘着固定機能を損なうことが少ない形状が採用できる。例えば、粘着層を、光通過孔を囲む概略周環状をなす形状にするとともに周方向の一部に粘着層が途切れて存在しない隙間部を設けることができる。
隙間部は、一つの遮光部材の粘着層に1個所だけ設けておいてもよいし、必要に応じて、直径方向の対向個所など複数個所に設けておくこともできる。
遮光片のうち、周方向において粘着層の隙間部に対応する外周縁に切欠部を有することができる。遮光部材あるいは遮光部材供給シートの表側からは、粘着層の隙間部は見えないが、切欠部は表側から良く見えるので、切欠部の位置から粘着層の隙間部の位置が容易に確認できる。隙間部に取り扱い工具を差し込む作業などの目印となる。
切欠部の形状や配置は、上記した機能を果たすことができれば、特に制限されない。切欠部の形状は、作業者が通常の目視で認識し易い形状が好ましい。遮光部材を自動化機械で取り扱う場合は、機械的あるいは電気的なセンサで検知し易い形状が好ましい。切欠部の存在によって、光反射防止機能が損なわれない程度に小さいほうが好ましい。切欠部の端面は、隙間部における粘着層の端面よりも外側に存在することが望ましい。
遮光部材供給シートの製造過程でシート基材に形成される貫通孔を塞ぎ、孔塞ぎ片を固定しておくために設けておくことができる。シート基材の裏面側から貫通孔を通って、埃などの異物が遮光部材の光通過孔などに付着しないように保護する機能も果たせる。
前記貫通孔は、遮光片の内外周縁形状、特に光通過孔をテーパー面に加工する際に必要とされる。通常は、光通過孔、すわなち、孔塞ぎ片に対応する個所のシート基材に貫通孔が設けられる。孔塞ぎ片の裏側に貫通孔があると、孔塞ぎ片をシート基材に固定し難い。貫通孔に埃が溜まって、孔塞ぎ片と光通過孔の隙間に入り込むことも起こり得る。
裏打ちフィルムは、シート基材と同様のシート材料で構成できる。シート基材ほどの機械的強度や耐変形性などは要求されない。裏打ちフィルムは、接着、粘着あるいは熱接着などの手段で、シート基材に貼着することができる。遮光部材供給シート全体の機械的強度はシート基材が負担するので、裏打ちフィルムの厚みは、目的とする機能を果たすことができれば良く、比較的に薄いもので十分である。具体的には、20〜100μmの範囲に設定できる。
<粘着固定部>
シート基材の厚み分だけ、孔塞ぎ片と裏打ちフィルムとの間には間隔があいている。そのため、孔塞ぎ片を直接に裏打ちフィルムに貼着することは難しい。裏打ちフィルムのうち遮光部材の孔塞ぎ片に対応する位置に、孔塞ぎ片に当接して固定する粘着固定部を備えていれば、粘着固定部を介して、孔塞ぎ片を裏打ちフィルムに固定し易くなる。
粘着固定部は、裏打ちフィルムの表面にシート基材の厚みに相当する高さに盛り上がっていて上端が粘着性を有する構造を設けることができる。具体的には、粘着剤を厚目に塗工しておくことで形成できる。裏打ちフィルムに比較的に多めの粘着剤を滴下して盛り上がった形状で半固化させたものでもよい。粘着固定部は、孔塞ぎ片の外形およびシート基材の貫通孔よりも内側の領域に設けておく。粘着固定部が、孔塞ぎ片の外側の遮光片に接触しないようにしておく。
基本的には、通常の遮光用フィルムや遮光部材供給シートの製造技術、シート材料の積層技術、打ち抜き加工技術、パンチング加工技術、プレス加工技術などを適宜に利用すればよい。
以下に説明する各工程を組み合わせる方法が有効である。
<工程(A)>
シート基材の表面に粘着層材を配置する。
通常、シート基材として、長尺帯状のシート基材を用い、シート基材を連続的に走行させながら、各工程の作業を順次加えておくのが、生産性がよく、工業的製造に適した方法である。シート基材の走行を行い易くするために、シート基材の両側辺または片側辺に沿って一定間隔で送り孔を設けておくことが望ましい。送り孔は、各工程作業における位置決めの基準としても利用できる。
シート基材に送り孔が存在する場合、送り孔の存在位置よりも内側に粘着層材を配置することが望ましい。
第1剥離シートの材料は、シート基材と同様の合成樹脂シートなどが使用される。粘着層材に対して覆っておくだけで、剥がしたりずらせたりする外力はそれほど加わらないので、弱い力で粘着層材と粘着する材料でよい。最終的には粘着層材から剥がされるので、粘着層材に対して剥離性の良い材料が好ましい。粘着層材は、第1剥離シートよりもシート基材に強力に接合される必要がある。
粘着層材に遮光部材の粘着層の形状に対応する切り込み線を加工する。
基本的には、シート材料に線状の切り込みが加工できる加工技術であれば適用でき、通常のパンチ加工技術あるいは切り込み加工技術が採用される。
第1剥離シートの側から粘着層材を貫通させて切り込み線を加工する。
粘着層の形状によって、加工刃の形状を変える。複数の加工刃を組み合わせて、粘着層の全体形状に切り込み線を入れることもできる。2段階以上の複数工程を組み合わせることもできる。
切り込み線は、第1剥離シートと粘着層材は貫通させるが、シート基材には切り込む必要はない。
<工程(C)>
粘着層材のうち切り込み線よりも外側部分をシート基材から取り除き、シート基材の表面に粘着層を残す。
前記したように、粘着層になる内側の領域とその外側の領域とが切り込み線で分離されていれば、粘着層の外側部分の粘着層材だけを剥がし取ることができる。
その結果、シート基材の表面に、所定の外形状に切り取られた粘着層が貼り付いた状態で残る。
<工程(D)>
シート基材に、粘着層を覆って第2の剥離シートを配置する。
第2の剥離シートは、第1剥離シートと同様の材料からなる。
第2剥離シートの側から粘着層の中央空間を経てシート基材までに貫通孔を打ち抜き加工する。
貫通孔は、粘着層の内周形状よりも少し内側に形成される。第2剥離シートが存在することで、貫通孔を加工する際に、加工装置の加工刃や案内具などが粘着層に粘着する問題が防げる。
<工程(F)>
粘着層の表面から第2剥離シートを取り除いたあと、第3の剥離シートに支持された遮光層材を貼着する。
第3の剥離シートに支持された遮光層材を貼着することで、作業が容易になり、遮光層材を保護でき、その後の加工も行い易くなる。
<工程(G)>
シート基材の側から前記遮光層材までに、前記遮光部材の前記遮光片の外周形状および内周形状に対応する切り込み線を加工する。
前記した粘着層の形成加工と同様のパンチ加工や切り込み加工技術が適用できる。
遮光層材が第3剥離シートに支持されているので、第3剥離シートとともに遮光層材に切り込み線を加工する。第3剥離シートとは反対側から遮光層材に切り込み線を加工すると、第3剥離シートには切り込み線が形成されない場合もある。第3剥離シートを剥がしたあとで、遮光層材に切り込み線を加工することもできる。
<テーパー面加工>
工程(G)において、遮光層材に対する光通過孔に対応する切り込み線を、斜め方向に切り込むことで光通過孔の内周縁をテーパー面に加工する。
切り込み線をテーパー加工するには、通常のテーパー加工用の切り込み装置や加工刃を使用することができる。
一般的な切り込み線の加工では、シート材料に対して垂直方向に加工刃を切り込んでいく。切り込み線の両側端面は垂直面になる。これに対し、斜め切り込み用の加工刃あるいは加工装置を使用することで、傾斜面状の切り込み線が形成できる。この場合、切り込み線の両側端面はテーパー面になる。テーパー面のテーパー角度は、加工刃の角度によって決まり、通常、15〜30度の範囲に設定できる。但し、加工刃の設定角度と、実際に加工されるテーパー面の角度とは少しずれる可能性がある。このような斜め切り込み用の加工刃として、彫刻型からなるものが有効に使用できる。
シート基材のうち遮光部材が存在しない側の表面に、遮光部材の孔塞ぎ片に対応する個所に粘着固定部を有する裏打ちフィルムを貼着する。
粘着固定部は、シート基材の貫通孔を通じて、孔塞ぎ片に当接し、孔塞ぎ片を裏打ちフィルムに粘着固定する。
<工程(I)>
遮光層材のうち遮光部材よりも外側部分を第3剥離シートとともに取り除く。シート基材の表面には個別に分離された遮光部材が断続的に配置された状態になる。
特に、粘着層が、光通過孔の内周縁との間に間隔をあけて外側に配置されているので、光通過孔の端面に粘着層が露出しない。粘着層の端面に埃や異物が付着し難い。粘着層の端面に埃や異物が付着しても、光通過孔よりも外側の領域なので、光の通過に大きな支障を及ぼすことが少ない。
その結果、遮光部材の取り付けが容易であると同時に、光反射防止の機能についても格段に優れたものとなる。
〔遮光部材〕
図1〜3に示すように、遮光部材10は、全体が概略円環シート状をなしており、遮光片12と光通過孔14と粘着層20と隙間部22と切欠部16とを備えている。なお、図2では、各部材の構造を判り易くするために、実際よりも厚みを大幅に拡大して、模式的に示している。
遮光片12は、市販の光反射防止用フィルムや遮光フィルムなどからなり、遮光部材10の外形を構成し、概略円環状をなしている。全体が黒色で、表面における光の反射が極めて少なくなっている。遮光片12の円周状をなす外周形状は、一部に概略三角形状に切り欠かれた切欠部16を有している。遮光片12の内周形状において、中央にあいた円形空間が光通過孔14である。光通過孔14の内周端面は、表側から裏側へと傾斜して拡がるテーパー面になっている。
粘着層20の内周径は、光通過孔14の内径よりも少し大きく設定されている。粘着層20の外周径は、光通過孔14の内径よりも少し大きく設定されている。したがって、図2に示す断面形状では、遮光部材10の内周および外周は何れについても、粘着層20の端面が遮光片12の端面よりも内側に凹んだ位置に配置されている。
図4は、遮光部材10を取り付けて使用する撮像装置のブロック構造を示す。
撮像装置100は、大きく分けると、カメラ部101と、カメラDSP(Digital Signal Processor)102と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)103と、媒体インターフェース(以下、媒体I/Fという。)104と、制御部105と、操作部106と、LCD(Liquid Crystal Displey)コントローラ107と、LCD8と、外部インターフェース(以下、外部I/Fという。)109とを備えるとともに、記録媒体110が着脱可能とされている。
カメラ部101は、光学ブロック111、CCD(Charge Coupled Device)112、前処理回路113、光学ブロック用ドライバ114、CCD用ドライバ115、タイミング生成回路116とを備えたものである。光学ブロック111は、レンズ、フォーカス機構、シャッター機構、絞り(アイリス)機構などを備えたものである。
RAM152は、処理の途中経過を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。フラッシュROM153は、CPU151において実行する種々のプログラムや処理に必要になるデータなどが記憶されたものである。時計回路154は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供することができるとともに、撮影日時などを提供することなどができるものである。
CCD112は、光学ブロック111からの画像を光電変換して出力するものであり、CCDドライバ115からの駆動信号に応じて動作し、光学ブロック111からの被写体の画像を取り込むとともに、制御部105によって制御されるタイミング生成回路116からのタイミング信号に基づいて、取り込んだ被写体の画像(画像情報)を電気信号として前処理回路113に供給する。
前処理回路113は、これに供給された電気信号の画像情報に対して、CDS(Correlated Double Sampling)処理を行って、S/N比を良好に保つようにするとともに、AGC(Automatic Gain Control)処理を行って、利得を制御し、そして、A/D(Analog/Digital)変換を行って、デジタル信号とされた画像データを形成する。
記録媒体110に記録された画像データは、タッチパネルやコントロールキーなどからなる操作部106を通じて受け付けたユーザーからの操作入力に応じて、目的とする画像データが媒体I/F104を通じて記録媒体110から読み出され、これがDSP102に供給される。
画像の表示の形態は、ROMに記録された表示処理プログラムに従う。つまり、この表示処理プログラムは後述するファイルシステムがどのような仕組みで記録されているのか、どのように画像を再生するのかというプログラムである。
外部I/F109に通信モジュールを接続することにより、例えば、インターネットなどのネットワークに接続して、ネットワークを通じて種々の画像データやその他の情報を取得し、自機に装填された記録媒体に記録したり、あるいは、自機に装填された記録媒体に記録されているデータを、ネットワークを通じて目的とする相手先に送信したりすることもできるものである。
外部I/F109は、IEEE(Institute Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)などの有線用インターフェースとして設けることも可能であるし、光や電波による無線インターフェースとして設けることも可能である。すなわち、外部I/F109は、有線、無線のいずれのインターフェースであってもよい。
〔遮光部材の使用形態〕
図5に示す使用形態で、撮像装置100に遮光部材10を取り付けて使用することができる。
筒状空間62に張り出す周枠64は、光の通過経路と直交している。光の一部が、周枠64の側面で反射し、レンズ70側に戻ったりすると、撮影された光に干渉したり雑音として悪影響を及ぼしたりする問題が起こる。周枠64の内周端面でも、光の反射による問題が生じることがある。
粘着層20の内外周の端面が、遮光片12の内外周の端面よりも内側にあるので、粘着層20の端面に埃などの異物が付着し難い。異物が付着しても、遮光片12よりも内側に存在していれば、光の通過を邪魔することは少ない。
周枠64の両側面のうち、光の通過方向(白矢印)に対して表側になる側面と裏側になる側面とで、取り付けられた遮光部材10a、10bの形状が少し異なる。具体的には、遮光部材10bは前記図1〜3に図示された遮光部材10であり、遮光部材10aは、光通過孔14のテーパー面の向きが遮光部材10とは逆に加工されている。
図6、7は、遮光部材10を供給するための遮光部材供給シートTを示している。図7では、各部材の厚みを実際よりも拡大して模式的に示している。
供給シートTは、全体が一定の幅を有するテープ状をなす。長さ方向にも一定の長さで切断されている場合と、長さ方向に連続して続く長尺帯状の場合がある。
供給シートTには、PET樹脂などの合成樹脂シートからなるシート基材30と、シート基材30の表面に配置された遮光部材10とを備える。
シート基材30には、両側辺に沿って一定間隔で配置された送り孔32を有する。
遮光部材10は、前記した遮光片12、光通過孔14、粘着層20、隙間部22、切欠部16の各構造を備えているとともに、光通過孔14の中央空間が孔塞ぎ片13で埋められている。孔塞ぎ片13は、遮光片12と同じ材料からなるが、遮光片12とは分離可能である。
図7(a)に示すように、遮光部材10は、粘着層20によってシート基材30に粘着固定されている。シート基材30のうち、光通過孔14および孔塞ぎ片13に対応する個所に貫通孔33があいている。シート基材30の裏面で送り孔32よりも内側の領域には、シート基材30と同様の合成樹脂材料からなる裏打ちフィルム34が貼着されている。裏打ちフィルム34の表面でシート基材30の貫通孔33の中央になる位置に、粘着固定部35が配置されている。粘着固定部35は、粘着剤を少し厚目に塗工することで形成されている。粘着固定部35によって、孔塞ぎ片13が裏打ちフィルム34に固定されている。
遮光部材10の粘着層20は、シート基材30に対する粘着力よりも遮光片12との接合力のほうが大きいので、遮光片12とともに粘着層20がシート基材30から離れる。また、孔塞ぎ片13は、粘着固定部35および裏打ちフィルム34を介してシート基材30に固定されているので、光通過孔14から抜け出してシート基材30側に残る。光通過孔14と孔塞ぎ片13との境界面が、シート基材30側に拡がるテーパー面になっていることも、孔塞ぎ片13と遮光片12との分離を容易にする。
〔遮光部材供給シートの製造〕
図8〜図14は、遮光部材供給シートTの製造工程を段階的に示している。
これらの工程は、長尺帯状をなすシート基材30を連続的に走行させながら、各段階における加工装置に順次供給することによって、連続的に製造することができる。
図8に示すように、シート基材30の表面で、送り孔32よりも内側の一定幅の全体に、粘着層20の素材であるシート状の粘着層材23と、粘着層材23の表面を覆う剥離シート24とを貼り付ける。
粘着層材23は、両面粘着シートを用いる。剥離シート24は、シート基材30と同様に合成樹脂材料からなり、粘着層材23に対して比較的に弱い力で付着しており、容易に剥離することができる。予め、剥離シート24と粘着層材23が積層された積層シートをシート基材30に貼り付けることができる。また、シート基材30の表面に、粘着層材23および剥離シート24を順番に貼り付けることもできる。例えば、粘着層材23となる両面粘着シートの場合、製造時に片面あるいは両面に貼着されている元の剥離シートを剥がしてからシート基材30に貼り付けることができる。粘着層材23を元の剥離シートが付いたままでシート基材30に貼り付け、元の剥離シートを剥がしてから、前記剥離シート24を貼り付けることもできる。
図9(a)に示すように、剥離シート24の上から切り込み加工を行う。
矢印で示す位置に切り込み用の加工刃で切り込み、剥離シート24と粘着層材23に切り込み線を入れる。シート基材20には切り込まない。シート基材30の一部まで切り込まれても構わない。剥離シート24が存在することで、切り抜き加工刃やシート押さえ冶具などが、粘着層20に粘着して加工に支障が出ることが防げる。シート基材30の送り孔32を加工位置の位置決め基準として利用することができる。以後の加工工程でも、送り孔32を基準にすることで、精度の高い加工が行える。
このような概略C字の輪郭形状をなす連続した1本の閉曲線に切り込みを加工するには、一つの加工刃で全ての切り込み線を加工するよりも、前記閉曲線を分割した複数の加工刃を順次切り込んで加工するほうが、容易かつ正確に加工することができる。例えば、粘着層20の内周形状と外周形状とを別の加工刃で切り込んで加工することができる。
その後、図10に示すように、粘着層20だけを残して、そのほかの粘着層材23および剥離シート24は取り除く。具体的には、図9の状態から、剥離シート24および粘着層材23を端部から引き剥がせば、切り込み線の外側部分は一体となって引き剥がされる。粘着層20の上に残った剥離シート24の一部も取り除く。剥離シート24は、粘着層20に対して弱く付着しているだけなので、容易に取り除くことができる。
<貫通孔の形成>
図11に示すように、シート基材20に貫通孔32を打ち抜き加工する。
図11(a)に示すように、剥離シート25の上側から打ち抜き加工用の加工刃を打ち付ける。加工刃で打ち抜かれた残骸25a、30aは廃棄される。図11(b)に示すように、貫通孔32の内径は、粘着層20の内径よりも少し小さく設定されている。
剥離シート25が存在することで、打ち抜き加工刃やシート押さえ冶具などが、粘着層20に粘着して加工に支障が出ることが防げる。
図12に示すように、粘着層20の上に、剥離シート17で支持された遮光層材18を配置する。
遮光層材18は、一般的な光反射防止用フィルムや遮光フィルムが使用できる。例えば、ソマブラック(ソマール社製)、カーボンフェーザー(きもと社製)、ルミマット(東レ社製)などが使用できる。剥離シート17は、前記剥離シート24、25と同様の材料からなり、遮光層材18に弱く付着しており、容易に剥がすことができる。帯状をなす剥離シート17と遮光層材18との積層シートは、シート基材30の送り孔32よりも内側領域に配置される。
図13に示すようにして、遮光片32の形状を加工する。
図13(a)に示すように、図12まででは下側に存在していたシート基材30が上側に配置されるようにする。シート基材30の下面側に粘着層20、遮光層材18および剥離シート17が存在することになる。長尺帯状のシート基材30を連続走行させながら、左右に捻るように案内して姿勢を変えさせれば、前記した裏返し状態が得られる。
シート基材30の上側から、遮光片32の内外周の形状に沿って切り込み線を入れる加工を行う。この加工を行うには、前記した裏返し状態にしておくことが好ましい。
遮光片32の外周形状については、通常の垂直方向の切り込み線を加工する。シート基材30から遮光層材18までに切り込み線が加工される。
図14(a)に示すように、再びシート基材30が下側になるように姿勢を変える。前工程とは逆の方向にシート基材30を捻るようにすればよい。
シート基材30の上から、遮光層材18および剥離シート17を除去する。遮光片12は、シート基材30側に残る。光通過孔14の内側の孔塞ぎ片13は遮光片12とともに残る。
また、シート基材30の裏面側に、裏打ちフィルム34を貼り付ける。帯状をなす裏打ちフィルム34が、送り孔32よりも内側の領域全体に貼り付けられる。
なお、裏打ちフィルム34の貼り付けは、遮光層材18および剥離シート17を除去する前に行うことができる。
このような工程を経て、前記した図6、7に示す遮光部材供給シートTが製造できる。
製造された遮光部材供給シートTは、ロール状に巻き取っておくことができる。また、長さ方向で一定の距離毎に切断して、短冊状の遮光部材供給シートTを得ることもできる。必要に応じて切り離せるミシン目や弱め線を加工しておくこともできる。遮光部材供給シートTの表面に、遮光部材10の上を、剥離容易なカバーフィルムで覆っておくこともできる。
<材 料>
遮光層材18:ソマブラック(ソマール社製、厚み約50μm)。
粘着層材20:両面粘着テープ(一般市販品、厚み約30μm)。
シート基材10:PETセパレーター(一般市販品、厚み約75μm、幅60mm)。
裏打ちフィルム34:PET片面粘着テープ(一般市販品、厚み約40μm)。
剥離シート24、25、17:PETセパレーター(一般市販品、厚み約75μm)。
<遮光部材の諸元>
遮光片12:内径4.7mm、外径9.8mm。
光通過孔14:内径4.7mm。
粘着層20:外径9.2mm、遮光片12の外周との間隔0.3mm、内径6.4mm、遮光片12の内周との間隔8.5mm。
隙間部22:幅2.2mm。
12 遮光片
13 孔塞ぎ片
14 光通過孔
16 切欠部
20 粘着層
22 隙間部
30 シート基材
32 送り孔
60 筐体構造
64 周枠
100 撮像装置
111 光学ブロック
112 CCD
Claims (3)
- 光学製品の内壁面に貼着される遮光部材であって、
表面が遮光性を有し、中央を貫通する光通過孔を有する遮光片と、
前記遮光片に配置され、前記光通過孔の内周縁との間に間隔をあけて外側に配置された粘着層とからなり、
前記遮光片における光通過孔の内周縁はテーパー面である
遮光部材。 - 光学系および撮像素子を含む撮像部と、
前記撮像部より出力される画像信号を記録する記録部とを有する撮像装置であって、
前記光学系によって形成される光の通過経路内に、請求項1に記載の遮光部材が配置されてなる
撮像装置。 - 請求項1に記載の遮光部材を製造する方法であって、
シート状の基材の表面に、第1の剥離シートに支持された粘着層材を配置する工程(A)と、
前記第1剥離シートの側から第1剥離シートおよび前記粘着層材に前記遮光部材の前記粘着層の形状に対応する切り込み線を加工する工程(B)と、
前記粘着層材のうち前記切り込み線よりも外側部分を前記第1剥離シートとともに前記シート基材から取り除き、シート基材の表面に前記粘着層を残し、残った粘着層を覆う第1剥離シートを取り除く工程(C)と、
前記シート基材に前記粘着層を覆って第2の剥離シートを配置する工程(D)と、
前記第2剥離シートの側から前記粘着層の中央空間を経て前記シート基材までに貫通孔を打ち抜き加工する工程(E)と、
前記粘着層の表面から前記第2剥離シートを取り除いたあと、前記粘着層の表面に第3の剥離シートに支持された遮光層材を貼着する工程(F)と、
前記シート基材の側から前記遮光層材までに、前記遮光部材の前記遮光片の外周形状および内周形状に対応する切り込み線を加工して、遮光片の中央に前記光通過孔と光通過孔を塞ぐ孔塞ぎ片とを形成するとともに、前記内周形状に対応する切り込み線は斜め方向に切り込むことで光通過孔の内周縁をテーパー面に加工する工程(G)と、
前記シート基材のうち前記遮光部材と反対側の表面に、シート基材の貫通孔を通じて前記孔塞ぎ片に当接する粘着固定部を有する裏打ちフィルムを貼着する工程(H)と、
前記遮光層材のうち前記遮光片よりも外側部分を前記第3剥離シートとともに取り除く工程(I)と
を含む遮光部材の製造方法。
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