JP2006083481A - 高吸放湿性繊維構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高度の吸湿性と放湿性を合わせ持ち、かつ洗濯耐久性に優れた繊維構造体、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基を有する高吸放湿性有機微粒子が2−オキサゾリン基を有する重合体を介して繊維表面に固着されている高吸放湿性繊維構造物。および、塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基を有する高吸放湿性有機微粒子、2−オキサゾリン基を有する重合体を少なくとも含んでなる混合組成物を繊維表面に付与した後、乾燥、熱処理する高吸放湿性繊維の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は高吸放湿性繊維構造体とその製造方法に関し、詳しくは、洗濯耐久性に優れた高吸放湿性繊維構造体およびその製造方法に関する。
一般に合成繊維は、天然繊維に比べ機械的性質、染色堅牢性に優れ、衣服としての丈夫さや、取扱いの簡便さを有している。しかしながら、天然繊維に比べ吸湿性が乏しく、衣服として着用した場合、蒸し暑く、快適性に欠けるものであった。
合成繊維の吸湿性を改善する試みは古くから行われており、例えば合成繊維の基質ポリマーを変性したものや、吸湿性物質を繊維に練り込んだもの、吸湿性物質をグラフト重合により繊維表面に結合させたもの、吸湿性物質を架橋剤やバインダーと共に繊維表面に固着させたもの、などが知られている。しかしながら、従来技術によるものは、一般に吸湿性の改善効果が十分でなく、また、吸湿性の優れたものが得られても、一度吸収した水分が放出せず、繊維表面がべたつき、衣服として着用した場合、不快感を与えるものが多かった。さらに、基質ポリマーの変性や、吸湿性物質の練り込みによるものは、合成繊維の特徴である機械的優位性や染色堅牢性を損なう危険があり限界があった。繊維表面に吸湿性物質を付与したものは、洗濯により脱落しやすく、耐久性に欠けるものが多かった。
これに対して、ヒドラジン処理により架橋構造を導入したアクリル系繊維であって、ヒドラジン架橋による窒素増加量、ニトリル基変性による塩型カルボキシル基及びアミド基量を特定範囲内に調整することにより、繊維物性を損なうことなく、吸湿性、放湿性を向上させたアクリル系繊維が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。このアクリル系繊維によれば、高度の吸湿性と放湿性を合わせ持ち、耐久性に優れた高吸放湿性繊維を得ることができるが、素材がアクリル系繊維に限定され、汎用性に欠けるという問題があった。
特開平5−132858号公報 特開平9−158040号公報
ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂などのバインダーを用いて、高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に固着させた繊維布帛が開示されており、高吸放湿性有機微粒子の一例として、塩型カルボシキル基を有し、かつ架橋構造を有するアクリル系金属変性粒子が開示されている。この方法によれば、任意の繊維素材に対して吸放湿性を付与することができる(例えば、特許文献3参照)。しかし、衣料用途に通常用いられるポリウレタン樹脂やアクリル系樹脂などのバインダーを用いた場合、家庭洗濯30回以上でも性能を維持できる耐久性は得られていない。
特開平11−247069号公報
また、ポリオキシアルキレン基を含みラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する単量体のグラフト重合により、高吸放湿性有機微粒子を繊維に固着させることが試みられている(例えば、特許文献4参照)。しかし、上記の加工方法は反応性の高いモノマーを添加することから、高吸放湿性有機微粒子との相溶安定性が低下しやすく、しかも布帛の洗浄が不十分な場合において、残留モノマーによる皮膚障害の原因となりやすい。しかも、一般的なグラフト加工は特殊なパッド・スチーム等の技術的設備を必要とするため、通常のパッドードライ設備が使用できないなど加工コスト面での問題があった。
特開2001−081632号公報
本発明はこのような従来技術の現状に鑑みて行われたものであり、高度の吸湿性と放湿性を合わせ持ち、かつ洗濯耐久性に優れた繊維構造体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に固着させるに際し、特定の架橋基をもつバインダーを用いることが、上記目的達成のために極めて有効であることを見出し本発明に到達した。本発明の高吸放湿性繊維の製造方法は、吸湿性に乏しい合成繊維に適用した場合、吸放湿性に優れるという本発明の特長を最大限に発揮することができるが、任意の繊維素材に適用して、繊維本来の吸放湿性を向上させることができる。
本発明は次の構成よりなるものである。
1.塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基を有する高吸放湿性有機微粒子が2−オキサゾリン基を有する重合体を介して繊維表面に固着されていることを特徴とする高吸放湿性繊維構造体。
2.高吸放湿性有機微粒子が、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有することを特徴とする上記第1に記載の高吸放湿性繊維構造体。
3.高吸放湿性有機微粒子の付着量が繊維重量に対して0.5〜20重量%であり、該高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に結合させるための2−オキサゾリン基を有する重合体の付着量が繊維重量に対して0.5〜20重量%であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の高吸放湿性繊維構造体。
4.20℃、95%RHでの水分率が、未加工繊維に対して、未洗濯で1%以上の差を有し、かつ洗濯30回後で0.5%以上の差を有することを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載の高吸放湿性繊維構造体。
5.塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基を有する高吸放湿性有機微粒子、2−オキサゾリン基を有する重合体を少なくとも含んでなる混合組成物を繊維表面に付与した後、乾燥、熱処理することを特徴とする上記第1に記載の高吸放湿性繊維構造体の製造方法。
本発明によって得られた高吸放湿性繊維構造体は、高度の吸湿性と放湿性を合わせ持つため快適な着用性が得られ、かつ洗濯耐久性に優れるため、取扱い性にも優れている。本発明の高吸放湿繊維構造体は、スポーツウェア、インナーウェア、作業ユニフォームなどの一般衣料として、あるいは裏地、芯地などの衣料副資材、カーテン、壁紙クロスなどのインテリア資材、枕カバー、布団側地などの寝装資材として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において「塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基を有する高吸放湿性有機微粒子」を単に「高吸放湿性有機微粒子」という場合もある。
本発明に用いられる繊維素材は、特に限定されるものではなく、セルロース系(綿、麻など)、蛋白質系(羊毛、絹など)などの天然繊維、セルロース系(レーヨン、キュプラなど)、蛋白質系(カゼイン繊維など)などの再生繊維、セルロース系(ジアセテート、トリアセテートなど)、蛋白質系(プロミックスなど)などの半合成繊維、ポリアミド系(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル系などの合成繊維、ガラス繊維などの無機繊維、などが挙げられ、さらにこれらが組み合わされていてもよい。特に、吸放湿性に乏しい合成繊維を用いた場合、本発明の特長をより顕著に発揮することができる。かかる繊維は、三角等の異形断面繊維や中空部を有する中空繊維であってもよい。本特許における繊維構造体とは、原綿、トウ、糸条、布帛(織物、編物、不織布など)、組紐、あるいは最終繊維製品(衣服など)等の複数の繊維により構成される構造体である。
本発明に用いられる塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基を有する高吸放湿性有機微粒子としては、吸湿性が高く、放湿性を有し、水に溶解しないものであれば使用可能であり、例えば、アクリル酸やメタアクリル酸などを主成分として重合した重合体、アクリロニトリルを主成分とした重合体の架橋構造を有し、ニトリル基を加水分解させたものなどのアクリル系樹脂微粒子が挙げられる。
高吸放湿性有機微粒子は、好ましくは、20℃、65%RH(相対湿度)での水分率が30%以上、初期吸湿速度が0.8%/分以上の有機微粒子である。ここで、初期吸湿速度とは、70℃、12時間の真空乾燥後、20℃、65%RHの雰囲気に移し10分間放置したときの水分率を測定し、1分間当たりの水分率の増加率によって求められるものである。20℃、65%RHでの水分率が30%未満、および/または初期吸湿速度が0.8%/分未満であると、吸湿性が不十分で、該有機微粒子を固着させてなる繊維を衣服として着用した場合、絶え間なく排泄される蒸気系の汗を処理しにくくなり、蒸れ感を解消しづらくなるのであまり好ましくない。さらに好ましくは、20℃、65%RHでの水分率が40%以上、初期吸湿速度が1.0%/分以上の有機微粒子である。20℃、65RHでの水分率は高いことが好ましいが、通常80%以下である。初期吸湿速度も速いことが好ましいが通常10.0%/分以下である。
また、放湿性に関しては、20℃、90%RHから、20℃、40%RHでの初期放湿速度が0.8%/分以上であることが好ましく、さらに好ましくは1.0%/分以上である。ここで、初期放湿速度とは、20℃、90%RHの雰囲気に24時間放置したときの水分率を測定し、次いで20℃、40%RHの雰囲気に移し10分間放置したときの水分率を測定し、1分間当たりの水分率の減少率によって求められるものである。初期放湿速度が0.8%/分未満であると、放湿性が不十分になりやすく、該有機微粒子を固着させてなる繊維を衣服として着用した場合、吸収した水分を速やかに、かつ連続して放出しにくくなり、べたつき感を解消しにくくなるのであまり好ましくない。初期放湿速度は速いことが好ましいが、通常10.0%/分以下である。
高吸放湿性有機微粒子の塩型カルボキシル基/カルボキシル基の割合は、10/1〜1/10が好ましく、より好ましくは8/2〜4/6である。塩型カルボキシル基の含有率を高くすれば吸放湿性を高くすることができ、一方、カルボキシル基の含有率を高くすれば2−オキサゾリン基との反応性を高めることができる。
塩型カルボキシル基の塩を形成するものとしては、吸放湿性を発現させるものであれば特に限定されないが、Li、Na、Kなどのアルカリ金属、Ca、Baなどのアルカリ土類金属、Cu、Zn、Al、Mn、Ag、Fe、Co、Niなどの金属、NH4、アミンなどの陽イオンを挙げることができる。
高吸放湿性有機微粒子のより具体的な例としては、塩型カルボキシル基を有し、かつ架橋構造を有する有機微粒子であり、アクリロニトリルを85%以上含むアクリル系樹脂にヒドラジン処理により架橋構造を導入し、窒素含有量の増加が1.0〜15.0重量%とし、加水分解により、残存しているニトリル基量の1.0mmol/g以上を塩型カルボキシル基に化学変換せしめたアクリル系金属変性粒子などの高吸放湿性有機微粒子、または、ニトリル基を有するビニルモノマーの含有率が50重量%以上よりなる高ニトリル系重合体の含有するニトリル基と、ジビニルベンゼンあるいはトリアリルシアヌレートとの架橋剤由来の架橋構造を有し、ニトリル基量の2.0mmol/g以上を塩型カルボキシル基に化学変換せしめたアクリル系金属変性粒子などの高吸放湿性有機微粒子が挙げられる。
高吸放湿性有機微粒子の粒度は5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。粒度が5μmを超えると、吸放湿速度の低下や洗濯耐久性の低下や風合いの粗悪化(ざらつき感)のため、あまり好ましくない。
繊維に対する高吸放湿性有機微粒子の固着量は、吸放湿性に影響する重要な要素である。繊維(素材、断面形状など)によっても異なるが、吸放湿性の改善効果を得るには、繊維重量に対して0.5〜20%固着させることが好ましく、より好ましくは2〜10%である。固着量が0.5%未満であると改善効果に乏しく、20%を超えると風合いがざらついて感じるのであまり好ましくない。
本発明の高吸放湿性繊維は、前記高吸放湿性有機微粒子がバインダーを介して繊維に固着されたものであり、バインダーとして2−オキサゾリン基を有する重合体を用いることに特徴がある。従来から用いられている一般的なポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いた場合、高度な洗濯耐久性が得られなかった。これに対し、本発明においては、2−オキサゾリン基が前記高吸放湿性有機微粒子と強く架橋結合するため、従来では得られなかった高耐久性を得ることができる。
本発明に用いられる2−オキサゾリン基を有する重合体は、本発明における高吸放湿性有機微粒子の塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基と反応可能な2−オキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものでないが、例えば、オキサゾリン化合物Aと、オキサゾリリン化合物と共重合可能で、かつ、オキサゾリン基と反応しない付加重合性化合物Bを共重合して得られた重合体が好ましく用いられる。
オキサゾリン化合物Aの具体例としては、たとえば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを挙げることができ、これらの群から選ばれる1種の化合物を単独で使用したり、または、2種以上の化合物を混合して使用したりすることができる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。オキサゾリン化合物Aの使用量は特に限定されるものではないが、重合体中、1重量%以上であることが好ましい。1重量%未満の量では硬化の程度が不充分であり、硬化物の耐水性、機械的強度が損なわれる傾向にある。
この発明に用いられる付加重合性化合物Bとは、オキサゾリン化合物と共重合可能で、かつ、オキサゾリン基と反応しない付加重合性化合物であれば、特に制限はなく、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化α,β−不飽和単量体類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体類等が挙げられ、これらの1種の化合物または2種以上の混合物を使用することができる。
オキサゾリン化合物Aと、オキサゾリリン化合物と共重合可能で、かつ、オキサゾリン基と反応しない付加重合性化合物Bを共重合して得られた重合体には市販品も利用でき、水溶性ポリマーの市販品もある(日本触媒(株)製エポクロスWS700など)。
本発明に用いられる2−オキサゾリン基を有する重合体の分子量は特に限定しないが、数平均分子量500以上が好ましく、1000以上がより好ましく用いられる。
2−オキサゾリン基を有する重合体の付着量は、固着させようとする高吸放湿性有機微粒子の量によって、また重合体のオキサゾリン当量、分子量などによっても異なるが、通常、繊維重量に対して、0.5〜20重量%が好ましく、より好ましくは1〜10%である。付着量が0.5重量%未満であると、十分な洗濯耐久性を得ることができづらくなるのであまり好ましくない。付着量が10重量%を超えると、風合いが硬化しやすくなるのであまり好ましくない。
2−オキサゾリン基を有する重合体の使用に際して、一般的なバインダーや架橋剤、柔軟剤、本目的と異なる機能材等を併用してもなんら差し支えない。
本発明の高吸放湿性繊維は、塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基を有する高吸放湿性有機微粒子、2−オキサゾリン基を有する重合体、及び触媒を少なくとも含んでなる混合組成物を繊維表面に付与した後、乾燥、熱処理することにより製造することができる。
混合組成物は、水系、溶剤系のいずれも構成することができる溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどが挙げられるが、アクリル系繊維、ジアセテート、トリアセテート繊維など、特定の有機溶剤にて溶解する繊維に適用する場合は、選択に注意を要する。
混合組成物を繊維に付与する方法としては、一般公知の方法を採用することができ、パディング(マングルパッド)法、スプレー法、グラビア法、コーティング法などが挙げられる。混合組成物の組成、および繊維への付与量を調整することにより、目的量の高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に固着させる。
次いで、混合組成物を付与した繊維を乾燥、熱処理して、2−オキサゾリン基が高吸放湿性有機微粒子と架橋するとともに、2−オキサゾリン有する重合体を硬化させることにより、高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に固着させる。乾燥、熱処理は二工程で行ってもよいし、一工程で行ってもよい。用いる装置や温度、時間などの条件は、生産性を考慮し、また繊維の物性や形態、染色堅牢度に悪影響を及ぼさないように配慮して、適宜、最適条件を決定する。
乾燥、熱処理は、熱風、飽和蒸気、過熱蒸気、赤外線等一般に使用される熱媒体を利用できるが、通常よく使用される熱風型乾燥機が好適に用いられる。乾燥温度や乾燥時間は、水分が除去できる条件であれば特に限定されないが、通常、熱処理よりも弱い条件(温度および/または時間)で行われる。
熱処理は、通常、80〜180℃の温度条件で行われる。80℃未満でも2−オキサゾリン基の架橋反応は進行するが、多大な時間を要し、生産性が低下する。180℃を越えると、繊維物性低下や、風合い硬化、変色をきたすため好ましくない。とくに、分散染料染色物に適用する場合には、染色堅牢度低下を防止するため、160以下の低温で熱処理を行うことが好ましい。
かくして、高吸放湿性有機微粒子を効率よく効果的に疎水性繊維の表面に固着することができるため、後加工でありながら、高度の吸湿性と放湿性を合わせ持ち、かつ洗濯耐久性、染色堅牢性に優れた高吸放湿性繊維を得ることができる。
本発明の高吸放湿性繊維は、20℃、95%RHでの水分率が、未加工繊維に対して、未洗濯(洗濯0回)で1.0%以上の差を有し、かつ洗濯30回後で0.5%以上の差を有することが好ましく、吸湿性の改善効果に優れたものとなる。より好ましくは、未洗濯で3%以上の差を有し、かつ洗濯30回後で1%以上の差を有するものである。また、分散染料により染色されたポリエステル系繊維に適用した場合、染色堅牢度の低下を防止することができ、その湿潤時染色堅牢度(洗濯、水、汗、湿潤摩擦)は4級以上を保持することも可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に何ら限定されるものではない。
実施例における水分率、染色堅牢度の評価、および洗濯処理は次の方法に従った。
(A)<水分率>試料繊維を105℃、2時間乾燥して重量を測定する(W0)。次に試料を20℃、所定湿度(65%RH、95%RH)の雰囲気中に24時間放置する。このようにして吸湿した試料の重量を測定する(W1)。以上の測定値から、次式によって水分率を算出した。
水分率(%)={(W1−W0)/W0}×100
(B)<染色堅牢度>洗濯 JIS L0844−1986、アルカリ性摩擦 JIS L0849−1996 摩擦試験機II型、乾燥、湿潤
(C)<洗濯処理>JIS L0217−1995 103法
(製造例1)
高吸放湿性有機微粒子の製造
アクリロニトリル450部、アクリル酸メチル40部、p−スチレンスルホン酸ソーダ16部、および水1180部をオートクレーブに仕込み、重合開始剤としてジ−ter−ブチルパーオキサイドを単量体全量に対して0.5%添加した後、密閉し、次いで攪拌下において150℃の温度にて20分間重合せしめた後、反応終了後、攪拌を継続しながら約90℃まで冷却し、平均粒子径2μm(光散乱光度計で測定)の原料微粒子の水分散体を得た。
この水分散体に浴中濃度が35%になるようにヒドラジンを加え、102℃で2.5時間架橋処理を行い、続いて、浴中濃度が10%となるようにNaOHを加え、102℃で5時間の加水分解処理を行った後、流水中で透析、脱塩、乾燥後、高吸放湿性の有機微粒子を得た。
該有機微粒子の窒素増加量は3.3%、塩型カルボキシル基4.3mmol/g、20℃、65%RHでの水分率は45%、平均粒子径は2μmであった(高吸放湿性有機微粒子)。該有機微粒子を70℃で12時間真空乾燥後、20℃、65%RHの雰囲気に10分間放置後の水分率は10%であり、24時間後は45%であった。
また、20℃、90%RHの雰囲気に24時間放置後の水分率は56%であり、その後20℃、40%RHの雰囲気に移し、10分後の水分率は46%、1時間後の水分率は28%であった。以上により、有機微粒子の吸放湿性が確認された。
(実施例1)
ポリエステル糸(167dtex/48f)を用いて目付320g/m2、モクロディー組織の編地を作成した。次いで、常法に従い精練、プレセット(180℃、1分)を行った後、ダイスタージャバン(株)製ブラック分散染料、Dianix Black BG−FSを用いて、10%o.w.f.の濃度で染色した。引き続き、還元洗浄、乾燥(130℃、1分)を行い、試験用布帛とした。該布帛を、下記の混合組成物に浸漬した後、マングルで絞り(1ディップ1ニップ、絞り率100%)、乾燥(130℃、1分)、乾熱処理(160℃、1分)を行い、製造例1の高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に固着させた。
尚、本実施例におけるオキサゾリン基を有する水溶性重合体は、日本触媒(株)製エポクロスWS700(重合体固形分量25%、オキサゾリン価220g solid/eq、2−オキサゾリン基を有する)を用いた。絞り率から計算した高吸放湿性有機微粒子及び製エポクロスWS700の繊維固着量はそれぞれ4%owf(on the weight of fiber)、0.5%owfであった。
(混合組成物)
高吸放湿性有機微粒子 4.0重量部
エポクロスWS700 2.0重量部
水 95.0重量部
(実施例2)
前記混合組成物のエポクロスWS700の濃度を10重量部にした以外は実施例1と同じ方法で、製造例1の高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に固着させた。本実施例における高吸放湿性有機微粒子、オキサゾリン基を有する重合体の繊維重量に対する固着量はそれぞれ4%owf、2.5%owfであった。
(比較例1)
実施例1と同一の試験用布帛を用いた。該布帛を、下記の混合組成物に浸漬した後、マングルで絞り(1ディップ1ニップ、絞り率100%)、乾燥(130℃、1分)、熱処理(160℃、1分)を行い、製造例1の高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に固着させた。本比較例における高吸放湿性有機微粒子、アクリル系樹脂の繊維重量に対する固着量はそれぞれ4%、2.3%であった。
高吸放湿性有機微粒子 4 重量部
モビニール963A(クラリアントポリマー(株)製、 アクリル系樹脂、固形分46%) 5 重量部
水 91重量部
(比較例2)
下記の混合組成物を用いたこと以外は、比較例1と同じ方法で高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に固着させた。本比較例における製造例1の高吸放湿性有機微粒子、熱反応型ウレタン系樹脂の繊維重量に対する固着量はそれぞれ4%、1.25%であった。
高吸放湿性有機微粒子 4 重量部
TS897(高松油脂(株)製、熱反応型 ウレタン系樹脂、固形分25%) 5重量部
キャタライザーBP(高松油脂(株)製、ブロックイソ シアネート系架橋剤、固形分44%) 0.5重量部
Cat908K(高松油脂(株)製、有機 スズ系触媒、固形分14%) 0.2重量部
水 94.3重量部
以上、実施例1〜2、比較例1〜2、および未加工繊維布帛における評価結果を表1に示す。
Figure 2006083481
実施例1により得られた、高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に固着させてなる繊維布帛を、105℃で2時間乾燥後、20℃、95%RHの雰囲気に10分間放置後の水分率は2.6%であり、1時間後は3.5%、24時間後は4.8%であった。その後、20℃、65%RHの雰囲気に移し、10分後の水分率は3.1%であり、1時間後は2.7%、24時間後は2.1%であった。これにより、吸放湿性が確認された。
また、20%、95%RHでの水分率について、実施例1は未加工繊維布帛に対し、未洗濯で4.2%、洗濯30回後で1.0%の差を有しており、洗濯耐久性に優れた改善効果が確認された。さらに、染色堅牢度の低下が見られず、良好な堅牢性を示した。実施例2は実施例1に対して洗濯耐久性の更なる向上効果を示す好ましいものであった。
一方、比較例1,2とも吸湿性の洗濯耐久性や染色(摩擦)堅牢性がにおいて満足しきれない結果であった。
本発明によって得られた高吸放湿性繊維構造体は、高度の吸湿性と放湿性を合わせ持つため快適な着用性が得られ、かつ洗濯耐久性に優れるため、取扱い性にも優れている。本発明の高吸放湿繊維構造体は、スポーツウェア、インナーウェア、作業ユニフォームなどの一般衣料として、あるいは裏地、芯地などの衣料副資材、カーテン、壁紙クロスなどのインテリア資材、枕カバー、布団側地などの寝装資材として好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基を有する高吸放湿性有機微粒子が2−オキサゾリン基を有する重合体を介して繊維表面に固着されていることを特徴とする高吸放湿性繊維構造体。
  2. 高吸放湿性有機微粒子が、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有することを特徴とする請求項1に記載の高吸放湿性繊維構造体。
  3. 高吸放湿性有機微粒子の付着量が繊維重量に対して0.5〜20重量%であり、該高吸放湿性有機微粒子を繊維表面に結合させるための2−オキサゾリン基を有する重合体の付着量が繊維重量に対して0.5〜20重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高吸放湿性繊維構造体。
  4. 20℃、95%RHでの水分率が、未加工繊維に対して、未洗濯で1%以上の差を有し、かつ洗濯30回後で0.5%以上の差を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高吸放湿性繊維構造体。
  5. 塩型カルボキシル基および/またはカルボキシル基を有する高吸放湿性有機微粒子、2−オキサゾリン基を有する重合体を少なくとも含んでなる混合組成物を繊維表面に付与した後、乾燥、熱処理することを特徴とする請求項1に記載の高吸放湿性繊維構造体の製造方法。
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