図1は、本発明の実施形態に係るフォークリフトの全体を示す斜視図である。なお、同フォークリフトの構造を説明するにあたり、同フォークリフトの要部(フォーク近傍部分)を側方から見た図2を適宜参照する。図1に示すフォークリフト100は、前方および左右の荷役を行うことが可能な3方向フォーク10と、作業者が搭乗し前記フォーク10とともに昇降動作する運転台3とを備えていて、荷物(図示省略)やパレット20(図2に図示)を格納するラック(図示省略)間に設けられた通路を走行しながらパレット作業およびピッキング作業を行う際に使用される。
フォークリフト100の車体1は、底部に設けられたタイヤ(図示省略)を床上で転動させることにより、前後方向F、Bへ走行する。車体1の前方(F方向側)には、左右一対のメインマスト2が上下方向U、Dと平行に立設されている。メインマスト2の前方には、作業者が搭乗する運転台3が設けられている。メインマスト2の後側(B方向側)には、油圧シリンダ(図示省略)がメインマスト2に沿うように設けられている。メインマスト2間には、チェーン4等が設けられている。油圧シリンダおよびチェーン4等は、メインリフト機構を構成し、油圧シリンダ等の駆動によって運転台3をメインマスト2に沿って上下方向U、Dへ昇降させる。
運転台3の床面部3aには、作業者がフォークリフト100を動かすために操作するスイッチやレバーやアクセル等を備えた操作盤5が設けられている。運転台3の前方には、シフトキャリッジともいわれるサブマスト6が上下方向U、Dと平行に立設されている。詳しくは、サブマスト6は運転台3の床面部3aと天井部3bに架設されている。サブマスト6の前方には、逆L字形のヘッド7が設けられている。ヘッド7の前方には、ローテイト軸8が上下方向U、Dと平行に設けられている。ローテイト軸8には、フィンガバー9等を介して一対のフォーク10が連結されている。フォーク10は、図2に示すようにパレット20の差込口20aに差し込まれて、パレット20を支持する。フォーク10およびフィンガバー9等は、本発明における荷支持手段の一実施形態を構成する。
ヘッド7の前側(F方向側)内部には、図2に示すようにローテイト軸8の上端部やギヤ11や油圧モータ(図示省略)等が設けられている。ヘッド7の前側下部(D方向側)には、ローテイト軸8の下端部をベアリング12を介して回転可能に支持する支持部7aが前方へ突出するように設けられている。ローテイト軸8、ギヤ11、および油圧モータ等は、本発明におけるローテイト機構の一実施形態を構成し、油圧モータ等の駆動によってローテイト軸8を回転させることにより、フォーク10(詳しくは、フォーク10とフィンガバー9等)を図1に矢印Qで示すように鉛直軸J回りに180°旋回させる。ローテイト軸8は、フォーク10の旋回中心として機能している。
サブマスト6の内部には、図2に示すように上下方向U、Dと平行にシャフト13が設けられている。シャフト13には、運転台3の床面部3aと天井部3bの前側に連結されたラックギヤ14と噛み合うようにピニオンギヤ15が連結されている。ヘッド7の後側内部には、シャフト13を回転させる油圧モータやギヤ(図示省略)が設けられている。シャフト13、ラックギヤ14、ピニオンギヤ15、油圧モータ、およびギヤ等はサブリフト6およびヘッド7とともに、本発明におけるサイドシフト機構の一実施形態を構成し、油圧モータ等の駆動によってサブリフト6およびヘッド7を左右方向L、Rへ移動させることにより、フォーク10および上記ローテイト機構を左右方向L、Rへ横行させる。
サブマスト6の前側には、ヘッド7の内部でサブマスト6やヘッド7の内壁に連結された油圧シリンダ16やチェーン17等が設けられている。ヘッド7の後側内部には、図2に示すようにガイドローラ18がサブマスト6に沿って転動するように設けられている。なお、図2では、油圧シリンダ16やチェーン17等は図示を省略している。油圧シリンダ16、チェーン17、およびガイドローラ18等は、サブリフト機構を構成し、油圧シリンダ16等の駆動によってフォーク10、ヘッド7、および上記ローテイト機構をサブマスト6に沿って上下方向U、Dへ昇降させる。また、サブリフト機構と上述したメインリフト機構とは、本発明におけるリフト機構の一実施形態を構成する。
図2および図3は、フォークリフト100に設けられたパレットロック機構を示す図である。詳しくは、図2は、同機構をフォークリフト100の右方から見た側面図であり、図3は、同機構をフォークリフト100の下方から見た底面図である。図2(a)に示すように、フィンガバー9の下方には、ロックレバー21が設けられている。このロックレバー21は、図3に示すように2つ設けられていて、各先端部21aが各フォーク10の根元内側(B方向よりの内側)に軸22を介して回転可能に連結されていて、図2(a)に示すように上方へ突出した各後端部21bにばね23の一端が引っ掛けられている。ばね23は、他端がフィンガバー9の背面に連結されたブラッケット24に引っ掛けられていて、ロックレバー21を上方へ付勢している。各ロックレバー21の先端部21aから略中央までの部分は、図2(a)に示すようにフォーク10とともにパレット20の差込口20aに差し込まれる。ロックレバー21は、本発明における固定手段の一実施形態を構成する。
ブラケット24の下方には、ロータリーソレノイド25が保持されている。ロータリーソレノイド25の回転軸25aには、バー26が取り付けられ、当該バー26の先端には、カムフォロア27が取り付けられている。カムフォロア27は、ロックレバー21の上面に常時接している。ロータリーソレノイド25は、本発明における駆動手段の一実施形態を構成する。ブラケット24の側方には、近接センサからなるロック状態検出センサ28とアンロック状態検出センサ29が取り付けられている。この2つの検出センサ28、29はそれぞれ、ロックレバー21の後端部21bが所定距離まで近づくとON状態になり、所定距離より遠く離れるとOFF状態になる。ロック状態検出センサ28とアンロック状態検出センサ29とは、本発明における作動状態検出手段の一実施形態を構成する。
各ロータリーソレノイド25や各検出センサ28、29に通電したり各検出センサ28、29からの出力信号を受けたりするためのリード線30は、図2および図3に2点鎖線で示すように、一端が各ロータリーソレノイド25または各検出センサ28、29に接続され、他端がブラケット24、フィンガバー9の背面、ヘッド7の支持部7aの下面、ヘッド7の内部、サブマスト6の内部、運転台3の天井部3bの上方をそれぞれ順番に通って、車体1の内部に備わるフォークリフト100の制御部31および電源部32(ともに後述する図5に図示)に接続されている。
ロータリーソレノイド25にリード線30を介して通電すると、ロータリーソレノイド25の回転軸25aが基準位置から反時計回りに所定角度回転して、図2(a)に示すようにバー26をフォーク10と略平行な姿勢に保持する。これにより、ロックレバー21が、後端部21bをばね23の弾性力によって引っ張り上げられるとともに、上面をカムフォロア27を介してバー26に支持されて、パレット20の上側デッキボード20bおよび下側デッキボード20cから離間する姿勢に保持される。この状態では、ロックレバー21がパレット20の上下のデッキボード20b、20cに当接することはないので、ロックレバー21に邪魔されてパレット20を突き動かすことなく、パレット20の差込口20aにフォーク10を根元まで差し込んだり、ロックレバー21に邪魔されてパレット20を引き摺ることなく、パレット20の差込口20aからフォーク10を引き抜いたりすることができる。つまり、図2(a)では、ロックレバー21はパレット20をフォーク10に固定しない姿勢、即ちパレット20のアンロック(固定解除)状態にある。このとき、ロックレバー21の後端部21bがアンロック状態検出センサ29に所定距離まで近づき、ロック状態検出センサ28から所定距離より遠く離れるので、アンロック状態検出センサ29がON状態になり、ロック状態検出センサ28がOFF状態になって、ロックレバー21のアンロック状態が検出される。
図2(a)に示す状態からフォーク10をサブマスト6に沿って上昇させて、フォーク10でパレット20を支持した後、ロータリーソレノイド25への通電を停止する(OFF状態にする)と、ロータリーソレノイド25の回転軸25aが時計回りに所定角度回転して基準位置まで戻り、図2(b)に示すようにバー26を下方に傾斜させた姿勢に保持する。これにより、ロックレバー21の上面でカムフォロア27が転動して、ロックレバー21がカムフォロア27を介してバー26に押し下げられて、中央の下面でパレット20の下側デッキボード20cを押圧する。この状態では、パレット20の上側デッキボード20bがフォーク10に支持され、下側デッキボード20cがロックレバー21に支持されるので、パレット20がフォーク10に固定され、フォーク10上でパレット20が傾くことはない。つまり、図2(b)では、ロックレバー21はパレット20をフォーク10に固定した姿勢、即ちパレット20のロック(固定)状態にある。また、ロックレバー21の後端部21bがロック状態検出センサ28に所定距離まで近づき、アンロック状態検出センサ29から所定距離より遠く離れるので、ロック状態検出センサ28がON状態になり、アンロック状態検出センサ29がOFF状態になって、ロックレバー21のロック状態が検出される。
上述したように、ロックレバー21をフォーク10に連結し、ロータリーソレノイド25をフィンガバー9に連結して、ロータリーソレノイド25の駆動によりロックレバー21を作動させることで、フォーク10がローテイト軸8を中心にしてQ方向(図1)に旋回したり、サブマスト6やヘッド7等とともに左右方向L、R(図1)に横行したり、上下方向U、Dに昇降したりしても、ロックレバー21をフォーク10の各動作に追従させつつ、パレット20のロック状態またはアンロック状態に作動させることができる。
ところで、フォーク10が旋回することにより、リード線30に引っ張り、曲げ、ねじれ等のテンションがかかって、リード線30が断線してしまうおそれがある。然るに、上述したようにロータリーソレノイド25は通電が停止されている状態で回転軸25a、バー26、およびカムフォロア27を介してロックレバー21をロック状態に作動させて、当該ロック状態を保持するので、リード線30が断線したときには、常にロックレバー21によってパレット20がフォーク10に固定され、パレット20の安定性、ひいては作業時の安全性を確保することが可能となる。また、図4に示す他の実施形態のように、ローテイト軸8にスリップリング19を取り付け、当該スリップリング19のリング本体19aに、ロータリーソレノイド25および検出センサ28、29に接続されたリード線30aを接続し、当該スリップリング19のブラシ19bに、制御部31および電源部32に接続されたリード線30bを接続することで、フォーク10の旋回によるリード線30の切断を防止することができる。
図5〜図7Gは、本発明の第1実施形態に係るパレットロック制御を説明するための図である。まず、同制御を実行するための電気的構成を図5を参照しながら説明する。図5は、上述したフォークリフト100のパレットロック機構の動作を制御するための電気ブロック図である。図5において、制御部31は、CPUと、RAMやROM等のメモリとから構成されていて、フォークリフト100の各部を制御する。制御部31は、本発明における制御手段の一実施形態を構成する。電源部32は、バッテリー等から構成されていて、フォークリフト100の各部に電力を供給する。走行操作部33は、前述の操作盤5(図1)に設けられた走行操作用のレバーやアクセル等から構成されている。走行駆動部34は、車体1の底部に設けられたタイヤを回転させる走行モータから構成されている。前述の運転台3(図1)に搭乗した作業者が走行操作部33を操作すると、制御部31は走行指示があったと判断し、走行駆動部34を駆動してタイヤを回転させることにより、車体1を走行させる。
ロータリーソレノイド25は、図2および図3で説明したものと同一である。制御部31は、このロータリーソレノイド25の駆動を制御する。警報発生部35は、ブザーから構成されていて、パレットロック機構に作動異常が生じたときに警報のためにブザー音を発する。警報発生部35は、本発明における警報発生手段の一実施形態を構成する。自動ロックスイッチ36、手動ロックスイッチ37、および手動アンロックスイッチ38は、操作盤5に設けられていて、3ポジションのセレクトスイッチまたはトグルスイッチから構成されている。つまり、この3つのスイッチ36〜38は、常にいずれか1つのスイッチがON状態になり、残りの2つのスイッチがOFF状態になる。作業者の操作により、自動ロックスイッチ36がON状態になると、制御部31は、後述するパレットロック制御ロジックに従ってパレットロック機構を動作させて、パレット20の固定または固定解除を行うことが指示されたと判断する。また、手動ロックスイッチ37がON状態になると、制御部31は、強制的にパレット20の固定を行うことが指示されたと判断する。また、手動アンロックスイッチ38がON状態になると、制御部31は、強制的にパレット20の固定解除を行うことが指示されたと判断する。自動ロックスイッチ36は、本発明における自動指示キーの一実施形態を構成し、手動ロックスイッチ37および手動アンロックスイッチ38は、本発明における手動指示キーの一実施形態を構成する。
ロック状態検出センサ28およびアンロック状態検出センサ29は、図2および図3で説明したものと同一である。制御部31は、この2つの検出センサ28、29のON状態またはOFF状態から、前述したようにロックレバー21がロック状態に作動したこと、またはアンロック状態に作動したことを判断する。荷役高さ検出センサ39は、リミットスイッチから構成されていて、図2および図3に示すようにサブリフト6の背面に取り付けられている。図2(a)に示すようにフォーク10がパレット20の荷役を行うときの高さ(図2(a)ではサブマスト6の略最下部の位置)に位置しているときは、ヘッド7の背面に取り付けられたドグ40が荷役高さ検出センサ39に当接して、荷役高さ検出センサ39がON状態になる。また、図2(b)に示すようにフォーク10がパレット20の荷役を行うときの高さに位置していないときは(図2(b)では、図2(a)の荷役高さから所定距離上昇している)、ドグ40が荷役高さ検出センサ39に当接せず、荷役高さ検出センサ39がOFF状態になる。制御部31は、荷役高さ検出センサ39がON状態になると、フォーク10がパレット20の荷役高さまで下降したと判断し、荷役高さ検出センサ39がOFF状態になると、フォーク10がパレット20の荷役高さまで下降していないと判断する。荷役高さ検出センサ39は、本発明における荷役高さ検出手段の一実施形態を構成する。
図5のシフト右エンド検出センサ41およびシフト左エンド検出センサ42は、それぞれリミットスイッチから構成されていて、図2および図3に示すように運転台3の床面部3aの下面の右側(R方向側)と左側(L方向側)とに取り付けられている。図3に示す状態では、この2つの検出センサ41、42はOFF状態であるが、サブマスト6、ヘッド7、およびフォーク10がR方向側へ横行して行って右端に到達すると、サブマスト6の背面下部に取り付けられたドグ45がシフト右エンド検出センサ41に当接して、シフト右エンド検出センサ41がON状態になる。また、サブマスト6、ヘッド7、およびフォーク10がL方向側へ横行して行って左端に到達すると、ドグ45がシフト左エンド検出センサ42に当接して、シフト左エンド検出センサ42がON状態になる。なお、本実施形態では、フォーク10等が横行して完全に右または左の終端(エンド)に到達したときに、シフト右エンド検出センサ41またはシフト左エンド検出センサ42がON状態になるように各検出センサ41、42とドグ45とを設置しているが、これに代えて、フォーク10等が横行して右または左の終端近傍、例えば終端から100mm〜300mm程度の区間に到達したときに、シフト右エンド検出センサ41またはシフト左エンド検出センサ42がON状態になるように各検出センサ41、42とドグ45とを設置してもよい。制御部31は、上記のようにシフト右エンド検出センサ41がON状態になると、フォーク10が右端まで横行したと判断し、シフト左エンド検出センサ42がON状態になると、フォーク10が左端まで横行したと判断する。
図5のローテイト右エンド検出センサ43およびローテイト左エンド検出センサ44は、それぞれリミットスイッチから構成されていて、図2および図3に示すようにヘッド7の前側上部の右内側面と左内側面とに取り付けられている。図3に示す状態では、この2つの検出センサ43、44はOFF状態であるが、ローテイト軸8が反時計回りに90°回転して、フォーク10が右方(R方向)を向くと、ローテイト軸8の上部に取り付けられたドグ46がローテイト右エンド検出センサ43に当接して、ローテイト右エンド検出センサ43がON状態になる。また、ローテイト軸8が時計回りに90°回転して、フォーク10が左方(L方向)を向くと、ドグ46がローテイト左エンド検出センサ44に当接して、ローテイト左エンド検出センサ44がON状態になる。制御部31は、ローテイト右エンド検出センサ43がON状態になると、フォーク10が車体1の右方を向いたと判断し、ローテイト左エンド検出センサ44がON状態になると、フォーク10が車体1の左方を向いたと判断する。上記のシフト右エンド検出センサ41、シフト左エンド検出センサ42、ローテイト右エンド検出センサ43、およびローテイト左エンド検出センサ44は、本発明における位置検出手段の一実施形態を構成する。
図6は、上述した自動ロックスイッチ36がON状態にある時のパレットロック制御ロジックを示す図である。図7A〜図7Gは、フォークリフト100を上方から見たフォークリフト100の動作状態を示す平面図である。図7Aに示すようにフォーク10が右端(R方向側の端)まで横行し、かつ前方(F方向)を向いているときは、シフト右エンド検出センサ41がドグ45の当接によりON状態にあり、シフト左エンド検出センサ42がドグ45の非当接によりOFF状態にあり、ローテイト右エンド検出センサ43およびローテイト左エンド検出センサ44がドグ46の非当接によりOFF状態にある。このときは、図6(a)の条件1に合致するため、前述の制御部31は、ロータリーソレノイド25に通電して、図2(a)で説明したようにロータリーソレノイド25の駆動とばね23の弾性力とによって、ロックレバー21をアンロック状態(パレット20の上下のデッキボード20b、20cから離間する姿勢)に作動させる。また、図7Bに示すようにフォーク10が右端まで横行し、かつ右方(R方向)を向いているときは、シフト右エンド検出センサ41がドグ45の当接によりON状態にあり、シフト左エンド検出センサ42がドグ45の非当接によりOFF状態にあり、ローテイト右エンド検出センサ43がドグ46の当接によりON状態にあり、ローテイト左エンド検出センサ44がドグ46の非当接によりOFF状態にある。このときは、図6(a)の条件2に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させる。
これらに対して、図7Cに示すようにフォーク10が右端まで横行し、かつ左方(L方向)を向いているときは、シフト右エンド検出センサ41がドグ45の当接によりON状態にあり、シフト左エンド検出センサ42がドグ45の非当接によりOFF状態にあり、ローテイト右エンド検出センサ43がドグ46の非当接によりOFF状態にあり、ローテイト左エンド検出センサ44がドグ46の当接によりON状態にある。このときは、図6(a)の条件3に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25への通電を停止して、図2(b)で説明したようにロータリーソレノイド25の復帰駆動によって、ロックレバー21をロック状態(パレット20の下側デッキボード20cを押圧する姿勢)に作動させる。
次いで、図7Dに示すようにフォーク10が左端(L方向側の端)まで横行し、かつ前方を向いているときは、シフト右エンド検出センサ41がドグ45の非当接によりOFF状態にあり、シフト左エンド検出センサ42がドグ45の当接によりON状態にあり、ローテイト右エンド検出センサ43およびローテイト左エンド検出センサ44がドグ46の非当接によりOFF状態にある。このときは、図6(a)の条件4に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させる。また、図7Eに示すようにフォーク10が左端まで横行し、かつ左方を向いているときは、シフト右エンド検出センサ41がドグ45の非当接によりOFF状態にあり、シフト左エンド検出センサ42がドグ45の当接によりON状態にあり、ローテイト右エンド検出センサ43がドグ46の非当接によりOFF状態にあり、ローテイト左エンド検出センサ44がドグ46の当接によりON状態にある。このときは、図6(a)の条件5に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させる。
これらに対して、図7Fに示すようにフォーク10が左端まで横行し、かつ右方を向いているときは、シフト右エンド検出センサ41がドグ45の非当接によりOFF状態にあり、シフト左エンド検出センサ42がドグ45の当接によりON状態にあり、ローテイト右エンド検出センサ43がドグ46の当接によりON状態にあり、ローテイト左エンド検出センサ44がドグ46の非当接によりOFF状態にある。このときは、図6(a)の条件6に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25への通電を停止して、ロックレバー21をロック状態に作動させる。
一方、図7Gに示すようにフォーク10が車体1の中央に位置していて、前方(F方向)を向いているときは、シフト右エンド検出センサ41およびシフト左エンド検出センサ42がドグ45の非当接によりOFF状態にあり、ローテイト右エンド検出センサ43およびローテイト左エンド検出センサ44がドグ46の非当接によりOFF状態にある。このとき、フォーク10が図2(a)に示したように荷役高さまで下降していて、荷役高さ検出センサ39がON状態になっていれば、図6(b)の条件7に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させる。
また、制御部31は、上記のようにフォーク10の向き(旋回位置)および横行位置を検出する検出センサ41〜44のONまたはOFFの状態に拘らず、フォーク10が図2(b)に示したように上昇して荷役高さに位置しなくなり、荷役高さ検出センサ39がOFF状態になると、図6(b)の条件8に合致するため、ロータリーソレノイド25への通電を停止して、ロックレバー21をロック状態に作動させる。さらに、制御部31は、前述の走行操作部33が作業者によって操作されて、走行指示があったと判断すると、図6(b)の条件9に合致するため、ロータリーソレノイド25への通電を停止して、ロックレバー21をロック状態に作動させる。なお、図6(b)の条件8および条件9の欄に示す横棒「―」は、各検出センサ41〜44、39がONまたはOFFのいずれの状態でもよいということを表している。
上述のように制御部31が図6のロジックに従ってパレットロック制御を行っている最中に、作業者の操作により自動ロックスイッチ36がOFF状態になって前述の手動ロックスイッチ37がON状態になると、制御部31は、強制的にロータリーソレノイド25への通電を停止して、ロックレバー21をロック状態に作動させる。また、自動ロックスイッチ36がOFF状態になって前述の手動アンロックスイッチ38がON状態になると、制御部31は、強制的にロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させる。
上述した第1実施形態のパレットロック制御によると、自動ロックスイッチ36をON状態にした場合において、フォーク10が車体1の右方または左方を向いて車体1幅内に納まっているとき、即ち図7Cおよび図7Fに示したようにフォーク10が車体1から側方へ突出していない状態のときには、図6(a)の条件3または条件6により、ロックレバー21によってフォーク10で支持したパレット20をフォーク10に自動的に固定することができる。この結果、当該状態のときに、フォーク10で支持したパレット20の端に荷物が偏って載置されていたり、パレット20および荷物を搬送して(車体1を走行させて)パレット20および荷物に振動や衝撃等の外力が加わったりしても、フォーク10上でパレット20および荷物が傾くことなく安定し、荷物の荷崩れを防止することが可能となる。また、当該状態のときに、作業者がピッキング作業を行って、例えばフォーク10で支持したパレット20の端に荷物を偏って載置したり、パレット20に脚をかけたりしても、フォーク10上でパレット20および荷物が傾くことなく安定し、荷物や作業者の床への落下を防止することが可能となる。
また、フォーク10が車体1の右方または左方を向いて車体1から突出しているとき、即ち図7A、図7B、図7D、図7Eに示したようにフォーク10が車体1幅内に納まっていない状態のときには、図6(a)の条件1、条件2、条件4、または条件5により、ロックレバー21によるパレット20のフォーク10への固定を自動的に解除することができる。また、図7Gに示したようにフォーク10が車体1の中央に位置して前方を向いていて、図2(a)に示したように荷役高さに位置している状態のときには、図6(b)の条件7により、ロックレバー21によるパレット20のフォーク10への固定を自動的に解除することができる。これらの結果、上記いずれかの状態のときに、車体1の右方、左方、または前方において、ロックレバー21に邪魔されることなく、所定の場所に載置されたパレット20の差込口20aにフォーク10を根元まで差し込んで、当該パレット20を掬い上げたり、フォーク10で支持しているパレット20を所定の場所に載置して、当該パレット20の差込口20aからフォーク10を引き抜いたりするというような、パレット作業を行うことができる。
また、所定の場所に載置されたパレット20の差込口20aにフォーク10を根元まで差し込んだ後、図2(b)に示したようにフォーク10を荷役高さよりも高い位置まで上昇させたときには、図6(b)の条件8により、パレット20をフォーク10で掬い上げるとともに、ロックレバー21によってパレット20をフォーク10に固定して安定させることができる。また、フォーク10で支持しているパレット20を所定の場所に載置する前に、フォーク10を荷役高さよりも高い位置まで上昇させておいたときにも、図6(b)の条件8により、ロックレバー21によってパレット20をフォーク10に固定して安定させた状態で、フォーク10およびパレット20を所定の場所まで移動させることができる。また、車体1を走行させて、フォーク10で支持したパレット20を搬送するときには、図6(b)の条件9により、常にロックレバー21によってパレット20をフォーク10に固定して安定させることができる。
さらに、上記のように自動ロックスイッチ36をON状態することで、作業者が気に掛けなくても、自動的にパレット20をフォーク10に固定しまたは固定を解除することが可能になる一方、手動ロックスイッチ37または手動アンロックスイッチ38をON状態にすることで、作業者の任意のタイミングで、即ち図6のパレットロック制御ロジックに合致しない条件で、パレット20をフォーク10に固定しまたは固定を解除することが可能となる。
図8〜図10Gは、本発明の第2実施形態に係るパレットロック制御を説明するための図である。まず、同制御を実行するための電気的構成を図8を参照しながら説明する。図8は、上述したフォークリフト100のパレットロック機構の動作を制御するための電気ブロック図である。図中、前述の図5と同一部分には同一符号を付してある。なお、制御部31は、第1実施形態とは異なる制御を行うが、説明の便宜上図5と同一符号を付してある。
図8において、本実施形態では、図5で説明したシフト右エンド検出センサ41、シフト左エンド検出センサ42、ローテイト右エンド検出センサ43、およびローテイト左エンド検出センサ44の4つのセンサに代えて、右突出検出センサ51と左突出検出センサ52とを用いている。右突出検出センサ51および左突出検出センサ52は、それぞれフォトセンサから構成されていて、例えば図10Aに示すように運転台3の天井部3bの前側(F方向側)の右側面(R方向側の側面)と左側面(L方向側の側面)とに斜め下方を向くように取り付けられている。これ以外に、右突出検出センサ51および左突出検出センサ52を、運転台3の床面部3a(図1)の前側の右側面と左側面とに斜め上方を向くように取り付けてもよい。図10Aの51a、52aは、右突出検出センサ51と左突出検出センサ52のそれぞれの光軸を示している。この2つの検出センサ51、52は、フォーク10が車体1の右方(R方向)または左方(L方向)へ突出していないときは、フォーク10またはフィンガバー9を検知できずOFF状態であるが、フォーク10が旋回しかつ横行して車体1の右方または左方へ突出すると、フォーク10またはフィンガバー9を検知してON状態になる。右突出検出センサ51および左突出検出センサ52は、本発明における位置検出手段の一実施形態を構成する。
図9は、前述の自動ロックスイッチ36がON状態にある時のパレットロック制御ロジックを示す図である。図10A〜図10Gは、フォークリフト100を上方から見たフォークリフト100の動作状態を示す平面図である。図10Aに示すようにフォーク10が右端(R方向側の端)まで横行し、かつ前方(F方向)を向いているときは、車体1の右方(R方向)へ右側のフォーク10およびフィンガバー9が突出し、車体1の左方(L方向)へは何も突出していないので、右突出検出センサ51がフィンガバー9を検知してON状態にあり、左突出検出センサ52が何も検知せずにOFF状態にある。このときは、図9の条件2に合致するため、制御部31は、前述のロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させる。また、図10Bに示すようにフォーク10が右端まで横行し、かつ右方を向いているときは、車体1の右方へ各フォーク10およびフィンガバー9が突出し、車体1の左方へは何も突出していないので、右突出検出センサ51がフィンガバー9を検知してON状態にあり、左突出検出センサ52が何も検知せずにOFF状態にある。このときも、図9の条件2に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させる。
これに対して、図10Cに示すようにフォーク10が右端まで横行し、かつ左方を向いているときは、車体1の右方および左方へ何も突出していないので、右突出検出センサ51および左突出検出センサ52が何も検知せずにOFF状態にある。このときは、図9の条件1に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25への通電を停止して、ロックレバー21をロック状態に作動させる。
次いで、図10Dに示すようにフォーク10が左端(L方向側の端)まで横行し、かつ前方を向いているときは、車体1の右方へは何も突出しておらず、車体1の左方へ左側のフォーク10およびフィンガバー9が突出しているので、右突出検出センサ51が何も検知せずにOFF状態にあり、左突出検出センサ52がフィンガバー9を検知してON状態にある。このときは、図9の条件3に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させる。また、図10Eに示すようにフォーク10が左端まで横行し、かつ左方を向いているときは、車体1の右方へは何も突出しておらず、車体1の左方へ左側のフォーク10およびフィンガバー9が突出しているので、右突出検出センサ51が何も検知せずにOFF状態にあり、左突出検出センサ52がフィンガバー9を検知してON状態にある。このときも、図9の条件3に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させる。
これに対して、図10Fに示すようにフォーク10が左端まで横行し、かつ右方を向いているときは、車体1の右方および左方へ何も突出していないので、右突出検出センサ51および左突出検出センサ52が何も検知せずにOFF状態にある。このときは、図9の条件1に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25への通電を停止して、ロックレバー21をロック状態に作動させる。
一方、図10Gに示すようにフォーク10が車体1の中央に位置していて、前方を向いているときは、車体1の右方および左方へ何も突出していないので、右突出検出センサ51および左突出検出センサ52が何も検知せずにOFF状態にある。このときも、図9の条件1に合致するため、制御部31は、ロータリーソレノイド25への通電を停止して、ロックレバー21をロック状態に作動させる。なお、図10Gの状態において、車体1の前方に載置されたパレット20をフォーク10で荷取る場合は、作業者が自動ロックスイッチ36をOFF状態にして手動アンロックスイッチ38をON状態にすると、制御部31が、強制的にロータリーソレノイド25に通電して、ロックレバー21をアンロック状態に作動させるので、ロックレバー21に邪魔されることなく、パレット20の差込口20aにフォーク10を根元まで差し込んで、当該パレット20を掬い上げることができる。
本第2実施形態において、図示を省略しているが、上記のようにフォーク10およびフィンガバー9の車体1の側方への突出を検出する検出センサ51、52のONまたはOFFの状態に拘らず、フォーク10が図2(b)に示したように上昇して荷役高さに位置しなくなり、荷役高さ検出センサ39がOFF状態になったときに、前述の第1実施形態のように、制御部31が、ロータリーソレノイド25への通電を停止して、ロックレバー21をロック状態に作動させるようにしてもよい。また、前述の走行操作部33が作業者によって操作されたときに、前述の第1実施形態のように、制御部31が、走行指示があったと判断し、ロータリーソレノイド25への通電を停止して、ロックレバー21をロック状態に作動させるようにしてもよい。
上述した第2実施形態のパレットロック制御によると、自動ロックスイッチ36をON状態にした場合において、図10Cおよび図10Fに示したようにフォーク10が車体1から右方または左方へ突出していない状態(フォーク10が車体1幅内に納まっている状態)のときには、図9の条件1により、ロックレバー21によりフォーク10で支持したパレット20をフォーク10に自動的に固定することができる。また、図10A、図10B、図10D、図10Eに示したようにフォーク10が車体1から右方または左方へ突出している状態(フォーク10が車体1幅内に納まっていない状態)のときには、図9の条件2または条件3により、ロックレバー21によるパレット20のフォーク10への固定を自動的に解除することができる。これらの結果、上述した第1実施形態よりも位置検出手段として用いる検出センサの数を減らして、コストを削減することができるとともに、パレット20の固定または固定解除を行うためのパレットロック制御ロジックを単純化することが可能になる。
以上説明したように、フォーク10の旋回動作、横行動作、および昇降動作に追従可能なロックレバー21を設けることで、フォーク10が旋回したり横行したりしても、フォーク10の向きとロックレバー21の向きとを常に略一致させて、パレット20を固定可能な位置からロックレバー21をずれないようにすることができる。また、フォーク10の旋回位置および横行位置を検出する検出センサ41〜44、51、52の検出結果に基づいて、ロータリーソレノイド25の駆動を制御して、ロックレバー21を作動させることで、フォーク10の向きおよび位置に応じて、ロックレバー21を自動的に作動させることができる。よって、フォーク10の向きおよび位置が車体1に対して複雑に変化するフォークリフト100において、作業者が気に掛けなくても、フォーク10で支持したパレット20をフォーク10に自動的に固定しまたは固定を自動的に解除することが可能となる。
図11は、前述の自動ロックスイッチ36が(図5、図8)ON状態にある時のフォークリフト100のインターロック制御ロジックを示す図である。前述の制御部31(図5、図8)は、ロックレバー21がロック状態に作動するようにロータリーソレノイド25の駆動を制御しているときに、前述のロック状態検出センサ28(図5、図8)がON状態になっていると、ロックレバー21がロック状態に正常作動していると判断する。このように判断すると、制御部31は、図11の条件1に合致するため、フォーク10の左右方向L、R(図1)への横行動作、フォーク10のローテイト軸8を中心にしたQ方向(図1)への旋回動作、フォーク10のサブマスト6に沿った上下方向U、D(図1)への昇降動作、運転台3のメインマスト2に沿った上下方向U、D(図1)への昇降動作、および車体1の走行動作を全て許可する。
上記に対して、制御部31は、ロックレバー21がロック状態に作動するようにロータリーソレノイド25の駆動を制御しているときに、ロック状態検出センサ28がOFF状態になっていると、ロックレバー21がロック状態に正常作動していないと判断する。このように判断すると、制御部31は、図11の条件2に合致するため、フォーク10の横行動作、旋回動作、昇降動作、運転台3の昇降動作、および車体1の走行動作を全て禁止(インターロック)する。そして、制御部31は、自動ロック異常の発生を警報するために前述の警報発生部35(図5、図8)によってブザー音を発する。また、このようにフォークリフト100の動作を禁止した状態において、作業者が上記動作のいずれかを行おうとして、前述の操作盤5(図1)に設けられたレバーやアクセルを操作したときも、制御部31は、自動ロック異常の発生を警報するために警報発生部35によってブザー音を発する。その後、作業者が自動ロックスイッチ36をOFF状態にして、前述の手動アンロックスイッチ38(図5、図8)をON状態にすると、制御部31は、上記動作の禁止を全て解除(インターロックを解除)する。
また、制御部31は、ロックレバー21がアンロック状態に作動するようにロータリーソレノイド25の駆動を制御しているときに、前述のアンロック状態検出センサ29(図5、図8)がON状態になっていると、ロックレバー21がアンロック状態に正常作動していると判断する。このように判断すると、制御部31は、図11の条件3に合致するため、フォーク10の横行動作、旋回動作、昇降動作、運転台3の昇降動作、および車体1の走行動作を全て許可する。
上記に対して、制御部31は、ロックレバー21がアンロック状態に作動するようにロータリーソレノイド25の駆動を制御しているときに、アンロック状態検出センサ29がOFF状態になっていると、ロックレバー21がアンロック状態に正常作動していないと判断する。このように判断すると、制御部31は、図11の条件4に合致するため、フォーク10の横行動作、旋回動作、昇降動作、運転台3の昇降動作、および車体1の走行動作を全て禁止する。そして、制御部31は、自動アンロック異常の発生を警報するために警報発生部35によってブザー音を発する。また、このようにフォークリフト100の動作を禁止した状態において、作業者が上記動作のいずれかを行おうとして、操作盤5のレバーやアクセルを操作したときも、制御部31は、自動アンロック異常の発生を警報するために警報発生部35によってブザー音を発する。なお、自動ロック異常発生時と自動アンロック異常発生時とで、発するブザー音を異ならせると、作業者は異常内容を容易に把握することができる。その後、作業者が自動ロックスイッチ36をOFF状態にして、手動アンロックスイッチ38をON状態にすると、制御部31は、上記動作の禁止を全て解除する。
上述のように、ロックレバー21によってパレット20をフォーク10に固定するようにロータリーソレノイド25の駆動を制御しているにも拘らず、パレット20がフォーク10に固定されていないときには、図11の条件2により、フォークリフト100の動作が禁止されるので、パレット20が固定されていない状態でパレット作業やピッキング作業や搬送作業が行われるのを防止することができる。加えて、ブザー音により自動ロック異常の発生を警報するので、作業者に当該異常の発生を知らせて、フォークリフト100の動作を中止させることができる。また、ロックレバー21によるパレット20のフォーク10への固定を解除するようにロータリーソレノイド25の駆動を制御しているにも拘らず、パレット20の固定が解除されていないときには、図11の条件4により、フォークリフト100の動作が禁止されるので、パレット20の固定が解除されていない状態でパレット作業が行われるのを防止することができる。加えて、ブザー音により自動アンロック異常の発生を警報するので、作業者に当該異常の発生を知らせて、フォークリフト100の動作を中止させることができる。これらの結果、パレット作業やピッキング作業や搬送作業の安全性を一層高めることが可能となる。
本発明は、以上述べた実施形態以外にも種々の形態を採用することができる。例えば、以上の実施形態では、固定手段の一実施形態を構成するロックレバー21を、例えば図2に示したようにフォーク10に連結することによりフォーク10の旋回動作、横行動作、および昇降動作に追従可能にした例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えばロックレバー21をフィンガバー9に連結したり、一対のフォーク10間に突出するようにローテイト軸8に連結したりしても、ロックレバー21をフォーク10の旋回動作、横行動作、および昇降動作に追従可能にすることができる。つまり、固定手段は、ローテイト機構により旋回しかつサイドシフト機構により横行しかつリフト機構により昇降する箇所に設ければよい。
また、以上の実施形態では、駆動手段としてロータリーソレノイド25を用いた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば直動ソレノイド、油圧シリンダ、エアーシリンダ、またはモータといった電動式のアクチュエータを駆動手段として用いるようにしてもよい。つまり、駆動手段は、電気的に駆動を制御することにより、固定手段を作動させてパレットの固定または固定解除を行えるものであればよい。
また、例えば図5に示した第1実施形態では、位置検出手段の一実施形態を構成する検出センサ41〜44、および荷役高さ検出手段の一実施形態を構成する検出センサ39として、接触式のセンサであるリミットスイッチを用いた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えばフォトセンサ、近接センサ、またはエンコーダ等の非接触式のセンサを用いるようにしてもよい。また、作動状態検出手段の一実施形態を構成する状態センサ28、29として、非接触式のセンサである近接センサを用いた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えばフォトセンサ、またはエンコーダ等の非接触式のセンサや、リミットスイッチ等の接触式のセンサを用いるようにしてもよい。さらに、例えば図8に示した第2実施形態では、位置検出手段の一実施形態を構成する検出センサ51、52として、フォトセンサを用いた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば近接センサ等の非接触式のセンサを用いるようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、図2(a)に示したようにフォーク10がサブマスト6の略最下部に位置しているときのフォーク10の高さを、パレット20の荷役を行うときの荷役高さとして設定した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えばフォーク10がサブマスト6の略最上部、または最上部若しくは最下部から所定の間隔をおいた中央部に位置しているときのフォーク10の高さを荷役高さとして設定するようにしてもよい。また、荷役高さを1つだけでなく、2つ以上設定するようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、手動指示キーとして手動ロックスイッチ37と手動アンロックスイッチ38とを設けた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば手動でパレットのロックを行うボタン等のキーと、手動でパレットのロック解除を行うボタン等のキーの少なくとも1つを設けるようにしてもよい。
また、図11に示した実施形態では、自動ロックスイッチ36がON状態にある場合において、ロックレバー21のロック状態またはアンロック状態への作動異常を判断して、フォークリフト100の動作を禁止するようにした例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば手動ロックスイッチ37または手動アンロックスイッチ38が作業者によってON状態にされた場合においても、ロックレバー21の作動異常を判断して、フォークリフト100の動作を禁止するようにしてもよい。この場合、当該動作禁止の解除を行うためのインターロック解除キーを別途設けるのが好ましい。また、禁止するフォークリフト100の動作としては、フォーク10の横行動作、旋回動作、昇降動作、運転台3の昇降動作、車体1の走行動作の全てに限らず、これらの少なくとも1つの動作を禁止するようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、ロックレバー21の作動異常が発生したときに、フォークリフト100の動作を禁止し、当該作動異常の発生をブザー音に警報した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。ロックレバー21の作動異常発生の警報を先に行ってから、フォークリフト100の動作を禁止するようにしてもよい。また、フォークリフト100の動作禁止とロックレバー21の作動異常発生の警報とは、いずれか一方だけ行うようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、警報発生手段としてブザーからなる警報発生部35を用いた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば音声によりロックレバー21の作動異常の発生を知らせる回路およびスピーカ等から構成される音声出力装置や、光の点灯によりロックレバー21の作動異常の発生を知らせるランプまたは警報灯や、文字によりロックレバー21の作動異常の発生を知らせる回路およびディスプレイ等から構成される表示装置を警報発生手段として用いるようにしてもよい。つまり、警報発生手段は、固定手段の作動異常の発生を作業者に通知することができるものであればよい。
さらに、以上の実施形態では、昇降可能な運転台3と、当該運転台3とは独立して昇降可能かつ前方および左右の荷役を行うことが可能な3方向フォーク10とを備えたフォークリフト100に本発明を適用しているが、本発明は、昇降可能な運転台を備えておらず、3方向フォークのみを備えた3方向スタッキングトラックのようなフォークリフトにも適用することが可能である。