JP2006070331A - 金属組成物、成形体の製造方法、成形体および時計 - Google Patents

金属組成物、成形体の製造方法、成形体および時計 Download PDF

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Abstract

【課題】耐食性、耐擦傷性に優れた成形体を提供すること、前記成形体を製造することができる製造方法を提供すること、前記成形体の製造に好適に用いることができる金属組成物を提供すること、また、前記成形体を備えた時計を提供すること。
【解決手段】本発明の成形体は、Feを主成分とし、14.5〜30.0wt%のCrと、3.0〜10.0wt%のMoと、0.5〜1.1wt%のNbと、3.0〜5.1wt%のNiと、0.9〜5.0wt%のCuと、0.2〜1.6wt%のM(ただし、MはAlおよび/またはTi)とを含むことを特徴とする金属組成物に対し、1100〜1300℃で1〜2時間の溶体化処理を施す溶体化工程と、溶体化工程の後に、550〜700℃で1〜5時間の時効処理を施す時効工程とを有する方法を用いて製造されたものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属組成物、成形体の製造方法、成形体および時計に関する。
時計用外装部品のような装飾品には、優れた美的外観が要求される。また、時計用外装部品のような装飾品(成形体)には、実用品として、耐食性や、機械的安定性(耐擦傷性等)等の機能が求められる。従来、このような目的を達成するために、一般に、装飾品の構成材料として、SUS316Lのようなステンレス鋼等を用いてきた。しかしながら、このようなステンレス鋼でも、上記のような機能(特に、耐食性、耐擦傷性)を十分に有しているとは言えず、装飾品(成形体)の耐久性は低いものであった。
このような問題を解決するために、ステンレス鋼の表面に炭素が固溶された浸炭層を形成した時計外装部品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、浸炭層の形成(浸炭処理)には、一酸化炭素を含むガスを用いる必要があり、安全面、環境面への悪影響が危惧される。また、上記のような浸炭処理は、400〜500℃という過酷な条件で行う必要があり、また、有害物質である一酸化炭素が外部へ漏出するのを確実に防止する必要があるため、浸炭処理を行う浸炭処理装置の構成を複雑になり、時計外装部品の製造コストが高くなるという問題もあった。また、浸炭処理を施すことにより、硬度を高めることができるものの、時計外装部品の表面が荒れ、その審美性が低下するという問題点があった。このため、特許文献1で提案されているような技術を、時計用外装部品のような装飾品、特に、複雑な形状を有する装飾品(成形体)に適用するのは困難であった。
特開2001−73110号公報
本発明の目的は、耐食性、耐擦傷性に優れた成形体を提供すること、前記成形体を製造することができる製造方法を提供すること、前記成形体の製造に好適に用いることができる金属組成物を提供すること、また、前記成形体を備えた時計を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の金属組成物は、Feを主成分とし、
14.5〜30.0wt%のCrと、
3.0〜10.0wt%のMoと、
0.5〜1.1wt%のNbと、
3.0〜5.1wt%のNiと、
0.9〜5.0wt%のCuと、
0.2〜1.6wt%のM(ただし、MはAlおよび/またはTi)とを含むことを特徴とする。
これにより、耐食性、耐擦傷性に優れた成形体(特に、耐食性、耐擦傷性に優れ、かつ、美的外観に優れた成形体)の製造に好適に用いることが可能な金属組成物を提供することができる。
本発明の金属組成物では、Cの含有率が0.03wt%以下であり、かつ、Oの含有率が50ppm以下であることが好ましい。
これにより、特に優れた耐食性、耐擦傷性を有する成形体の製造に好適に用いることができる。
本発明の成形体の製造方法は、金属材料を用いて成形体を製造する方法であって、
本発明の金属組成物に対し、溶体化処理を施す溶体化工程と、
前記溶体化工程の後に、時効処理を施す時効工程とを有することを特徴とする。
これにより、耐食性、耐擦傷性に優れた成形体(特に、耐食性、耐擦傷性に優れ、かつ、美的外観に優れた成形体)を提供することができる。
本発明の成形体の製造方法では、1000〜1500℃で0.5〜3時間の条件で、前記溶体化処理を施すことが好ましい。
これにより、特に優れた耐擦傷性を有する成形体を得ることができるとともに、成形体の成形(形状)の自由度が増し、より複雑な形状の成形体であっても、容易かつ確実に製造することができる。
本発明の成形体の製造方法では、500〜750℃で1〜5時間の条件で、前記時効処理を施すことが好ましい。
これにより、特に優れた耐擦傷性を有する成形体を製造することができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記溶体化工程と前記時効工程との間に、前記金属組成物を所定の形状に加工する工程を有することが好ましい。
これにより、成形体の成形(形状)の自由度が増し、より複雑な形状の成形体であっても、容易かつ確実に製造することができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記溶体化工程に供される前記金属組成物は、鍛造により構成組織が微細化されたものであることが好ましい。
これにより、得られる成形体の機械的強度、硬さ、耐摩擦性、耐食性を、特に優れたものとすることができる。
本発明の成形体の製造方法では、鏡面加工、梨地加工およびスジ目加工よりなる群から選択される少なくとも1つの加工を施す表面加工工程を有することが好ましい。
これにより、成形体の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の成形体の製造方法では、鏡面加工、梨地加工およびスジ目加工よりなる群から選択される少なくとも1つの加工を、時効処理の後に行うことが好ましい。
これにより、表面加工を容易かつ確実に行うことができるとともに、成形体の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の成形体は、Feを主成分とし、14.5〜30.0wt%のCrと、3.0〜10.0wt%のMoと、0.5〜1.1wt%のNbと、3.0〜5.1wt%のNiと、0.9〜5.0wt%のCuと、0.2〜1.6wt%のM(ただし、MはAlおよび/またはTi)とを含む組成を有することを特徴とする。
これにより、耐食性、耐擦傷性に優れた成形体(特に、耐食性、耐擦傷性に優れ、かつ、美的外観に優れた成形体)を提供することができる。
本発明の成形体は、本発明の金属組成物を成形してなることを特徴とする。
これにより、耐食性、耐擦傷性に優れた成形体(特に、耐食性、耐擦傷性に優れ、かつ、美的外観に優れた成形体)を提供することができる。
本発明の成形体は、本発明の製造方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、耐食性、耐擦傷性に優れた成形体(特に、耐食性、耐擦傷性に優れ、かつ、美的外観に優れた成形体)を提供することができる。
本発明の成形体では、ビッカース硬度Hvが500以上であることが好ましい。
これにより、成形体の耐擦傷性を特に優れたものとすることができる。
本発明の成形体では、時計用外装部品であることが好ましい。
時計用外装部品は、一般に、装飾品としての外観の美しさが要求されるとともに、実用品としての耐食性、耐擦傷性等も求められるが、本発明によればこれらの要件を同時に満足することができる。
本発明の時計は、本発明の成形体を備えていることを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる時計を提供することができる。
以下、本発明の金属組成物、成形体の製造方法、成形体および時計の好適な実施形態について、詳細に説明する。
[金属組成物の合金組成]
本発明の金属組成物は、Feを主成分とし、14.5〜30.0wt%のCrと、3.0〜10.0wt%のMoと、0.5〜1.1wt%のNbと、3.0〜5.1wt%のNiと、0.9〜5.0wt%のCuと、0.2〜1.6wt%のM(ただし、MはAlおよび/またはTi)とを含む組成を有している。
Feは、金属組成物の主成分をなし、金属組成物および後述する成形体の、基本的な機械的特性(強度、靭性、硬度)、外観等に、大きな影響を与える成分である。なお、本発明(本明細書)では、主成分とは、各構成成分の中で最も含有率の高いもののことを指す。
Crは、金属組成物および成形体の耐食性に大きく寄与する成分である。Crの含有率は、14.5〜30.0wt%である。Crの含有率が前記下限値未満であると、金属組成物、成形体において十分な耐食性が得られない。一方、Crの含有率が前記上限値を超えると、金属組成物を用いて製造される成形体の硬度、耐擦傷性等が不十分となる。また、Crの含有率が高すぎると、金属組成物、成形体の製造コストの面でも不利である。上記のようにCrの含有率は、14.5〜30.0wt%とされるが、好ましくは、14.5〜25.0wt%であり、より好ましくは、14.5〜23.0wt%である。これにより、上記のようなCrを添加することによる効果がさらに顕著に発揮される。
Moは、成形体の硬度(特に、後に詳述するような時効処理による成形体の硬度向上)に大きく寄与する成分である。Moの含有率は、3.0〜10.0wt%である。Moの含有率が前記下限値未満であると、成形体の硬度、耐擦傷性等を十分に高めること(特に、後に詳述するような時効処理により成形体の硬度、耐擦傷性等を十分に高めること)ができなくなる。一方、Moの含有率が前記上限値を超えると、後に詳述するような熱処理を好適に行うことができなくなる。特に、後に詳述する溶体化工程において、金属組成物を十分に軟らかくすることができなくなる。したがって、金属組成物の加工性、成形体の生産性が著しく低下する。上記のようにMoの含有率は、3.0〜10.0wt%とされるが、好ましくは、3.2〜9.0wt%であり、より好ましくは、3.7〜7.0wt%である。これにより、上記のようなMoを添加することによる効果がさらに顕著に発揮される。
Nbは、金属組成物、成形体中における、Crの粒界への偏析を防ぎ鋭敏化を防ぐのに大きく寄与する成分である。Nbの含有率は、0.5〜1.1wt%である。Nbの含有率が前記下限値未満であると、上記のようなNbを添加することによる効果が発揮されず、結晶粒界に、鉄・クロム・炭素の析出物が発生し、粒界腐食を発生しやすい(耐食性の劣化)という問題を生じる。一方、Nbの含有率が前記上限値を超えると、Nbは鉄と金属間化合物を作り材料の脆化を招く。また、Nbの含有率が前記上限値を超えると、研磨加工等を施しても、研磨面の鏡面性が十分に得られない。上記のようにNbの含有率は、0.5〜1.1wt%とされるが、好ましくは、0.5〜1.0wt%であり、より好ましくは、0.5〜0.9wt%である。これにより、上記のようなNbを添加することによる効果がさらに顕著に発揮される。
Niは、成形体の靭性に大きく寄与する成分である。Niの含有率は、3.0〜5.1wt%である。Niの含有率が前記下限値未満であると、金属組成物を用いて製造される成形体において、十分な靭性が発揮されない。一方、Niの含有率が前記上限値を超えると、金属組成物を用いて製造される成形体の硬度、耐擦傷性等が不十分となる。上記のようにNiの含有率は、3.0〜5.1wt%とされるが、好ましくは、3.0〜5.0wt%であり、より好ましくは、3.0〜4.0wt%である。これにより、上記のようなNiを添加することによる効果がさらに顕著に発揮される。
Cuは、金属組成物および成形体の耐食性(特に、酸に対する耐食性)に大きく寄与する成分である。Cuの含有率は、0.9〜5.0wt%である。Cuの含有率が前記下限値未満であると、金属組成物、成形体において十分な耐食性が得られない。一方、Cuの含有率が前記上限値を超えると、金属組成物の加工性、成形体の生産性が著しく低下する。上記のようにCuの含有率は、0.9〜5.0wt%とされるが、好ましくは、1.0〜4.0wt%であり、より好ましくは、1.2〜3.0wt%である。これにより、上記のようなCuを添加することによる効果がさらに顕著に発揮される。
M(ただし、MはAlおよび/またはTi)は、成形体の硬度、耐擦傷性に大きく寄与する成分である。Mの含有率は、0.2〜1.6wt%である。Mの含有率が前記下限値未満であると、金属組成物を用いて製造される成形体の硬度、耐擦傷性等が不十分となる。一方、Mの含有率が前記上限値を超えると、金属組成物の加工性、成形体の生産性が著しく低下する。上記のようにMの含有率は、0.2〜1.6wt%とされるが、好ましくは、0.2〜1.5wt%であり、より好ましくは、0.3〜1.5wt%である。これにより、上記のようなMを添加することによる効果がさらに顕著に発揮される。
また、本発明の金属組成物は、Cの含有率が0.03wt%以下であり、かつ、Oの含有率が50ppm以下であるのが好ましい。このように、C、Oの含有率が十分に低いものであると、成形体の耐食性、鏡面性は特に優れたものとなる。これに対し、Cの含有率が高すぎると、前述したような鋭敏化が発生し易くなり、耐食性が低下する可能性がある。また、Oの含有率が高すぎると、材料内(組成物中)に酸化物が発生し、強度と鏡面性が低下するという問題が生じる可能性がある。上記のように、Cの含有率は、0.03wt%以下であるのが好ましいが、0.02wt%以下であるのがより好ましく、0.15wt%以下であるのがさらに好ましい。また、Oの含有率は、50ppm以下であるのが好ましいが、40ppm以下であるのがより好ましく、35ppm以下であるのがさらに好ましい。
また、金属組成物中には、例えば、色調の変化等の目的で、必要に応じ、他の元素が含まれていてもよい。このような場合、上記の必須構成元素以外の元素の含有率の総和は、2.0wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以下であるのがより好ましく、0.01〜0.5wt%以下であるのがさらに好ましい。
[成形体の製造]
本発明の成形体は、上記のような金属組成物を用いて製造される。以下、本発明の成形体の製造方法の一例について説明する。
本発明の製造方法は、上述したような金属組成物に対して溶体化処理を施す溶体化工程と、前記溶体化工程の後に、時効処理を施す時効工程とを有している。このように、溶体化工程と時効工程とを有することにより、製造すべき成形体が複雑、微細な形状を有するものであっても、金属組成物を所望の形状に容易かつ確実に成形することができるとともに、成形体を、高硬度で、耐擦傷性、耐食性に優れたものとして得ることができる。
溶体化工程(溶体化処理)に供される金属組成物(母材)は、製造すべき成形体に対応する形状を有するものであってもよいが、棒状、筒状、ブロック状、塊状等の比較的単純な形状を有するものであってもよい。このように、金属組成物(母材)が比較的単純な形状を有する場合、製造すべき成形体が装飾品(例えば、時計用外装部品)等のような複雑な形状を有するものであっても、鋳造等の方法により容易に、母材を用意することができる。また、母材が比較的単純な形状を有する場合であっても、後に詳述するような溶体化処理(溶体化工程)により、金属組成物(母材)の硬度を十分に低いものとすることができるため、溶体化処理の後に、微細な加工を施すより、複雑な形状の成形体であっても容易かつ確実に製造することができる。
また、溶体化工程に供される金属組成物(母材)が鋳造等により製造されたものである場合、溶体化工程に先立ち、金属組成物(母材)に対して、その構成組織を微細化する構成組織微細化処理を施すのが好ましい。これにより、金属組成物(母材)の構成組織を微細化するとともに、溶体化処理による金属組成の均一分散化を容易にすることができる。構成組織微細化処理(構成組織微細化工程)の具体的な方法としては、例えば、鍛造、転造、線引き等が挙げられるが、構成組織微細化処理を鍛造により行うことにより、容易かつ確実に、金属組成物の構成組織をより微細なものとすることができる。また、金属組成物に対して、このような構成組織微細化処理を施す場合、当該構成組織微細化処理を施すことにより、上記のような所定の形状を有する金属組成物(母材)に成形してもよい。
溶体化処理(溶体化工程)は、被処理物である金属組成物(母材)を均一固溶体になる温度(溶体化処理温度)にまで加熱して合金元素を固溶させておき、次いで急冷することにより、常温における合金元素の固溶化を図る熱処理(熱処理工程)である。
溶体化処理の処理温度(溶体化処理温度)は、1000〜1500℃であるのが好ましく、1050〜1400℃であるのがより好ましく、1100〜1300℃であるのがさらに好ましい。溶体化処理の処理温度が前記下限値未満であると、金属組成物の組成等によっては、溶体化を十分に(確実に)進行させるのが困難になる場合があり、また、耐食性、時効処理後の硬さ、仕上げ面の鏡面性が十分に得られない可能性もある。一方、溶体化処理の処理温度が前記上限値を超えると、成形体の生産性が低下するとともに、省エネの観点からも不利である。また、溶体化処理の処理温度が前記上限値を超えると、溶融による変形、金属結晶の粗大化が起こり、成形体の寸法、強度に悪影響を与える可能性もある。
溶体化処理の処理時間(溶体化処理時間。金属組成物を前記溶体化処理温度に保持する時間)は、0.5〜3時間であるのが好ましく、0.5〜2時間であるのがより好ましく、1〜2時間であるのがさらに好ましい。溶体化処理の処理時間が前記下限値未満であると、金属組成物の組成等によっては、溶体化を十分に(確実に)進行させるのが困難になる場合があり、また、耐食性、時効処理による硬さ、仕上げ面の鏡面性に悪影響を与える可能性もある。一方、溶体化処理の処理時間が前記上限値を超えると、成形体の生産性が低下するとともに、省エネの観点からも不利である。また、溶体化処理の処理時間が前記上限値を超えると、結晶粒の粗大化が起こり、成形体の機械的強度の低下が発生する可能性もある。
溶体化工程における被処理物(母材)の冷却速度(例えば、被処理物を溶体化処理温度から100℃程度まで冷却する際の冷却速度)は、50℃/秒以上であるのが好ましく、60℃/秒以上であるのがより好ましく、70℃/秒以上であるのがさらに好ましい。
溶体化処理を施した後、金属組成物に対して時効処理(時効工程)を施すが、当該時効処理に先立ち、母材に対して切削、研削、研磨等の加工を施してもよい。上述したように、金属組成物は、溶体化処理を施されることにより、低硬度状態になっている。したがって、溶体化工程と時効工程との間に、切削、研削、研磨等の加工を施した場合、母材を容易かつ確実に、所望の形状に加工することができる。特に、製造すべき成形体の形状が複雑なものである場合(製造すべき成形体が、時計用外装部品等のように一般に形状が複雑な装飾品である場合)、溶体化工程と時効工程との間に、切削、研削、研磨等の加工を施すことにより、より確実に所望の形状の成形体を製造することができる。
特に、本実施形態では、溶体化工程の後に下地加工として荒加工を行い、時効工程の後に仕上げ加工として鏡面加工、梨地加工およびスジ目加工よりなる群から選択される少なくとも1つの加工を施す表面加工工程を有している。これにより、表面加工(鏡面加工、梨地加工、スジ目加工)を容易かつ確実に行うことができるとともに、最終的に得られる成形体の美的外観を特に優れたものとすることができる。言い換えると、時効工程(時効処理)後に微細な加工を施すより、複雑な形状の成形体であっても容易かつ確実に製造することができる。
ところで、一般の成形体(金属組成物)に対して、上記のような梨地加工やスジ目加工を施した場合、成形体の耐食性は低くなる。これは、上記のような表面加工により、成形体の表面積が増え、また、微小な凹凸部に汚れ等の腐食性物質が付着、残存し易いためであると考えられる。これに対して、本発明では、上記のような表面加工を施した場合であっても、素材の耐食性が高いので成形体の耐食性を十分に高いものとすることができる。したがって、本発明においては、優れた耐食性と、優れた装飾性(美的外観)とを両立した成形体(特に、時計用外装部品)を、容易かつ確実に得ることができる。
上述したように、溶体化処理が施された金属組成物に対しては(必要に応じて切削、研削、研磨等の加工を施した後に)、時効処理が施される(時効工程)。このような時効処理を施すことにより、高硬度で耐擦傷性に優れた成形体が得られる。
時効処理の処理温度(時効処理温度)は、500〜750℃であるのが好ましく、550〜700℃であるのがより好ましく、580〜650℃であるのがさらに好ましい。時効処理の処理温度が前記下限値未満であると、金属組成物の組成等によっては、時効(時効硬化)による硬度の上昇を(確実に)進行させるのが困難になる場合があり、また、(鏡面加工を施した場合における)仕上げ面の鏡面性が低下する可能性もある。一方、時効処理の処理温度が前記上限値を超えると、成形体の生産性が低下するとともに、省エネの観点からも不利である。また、時効処理の処理温度が前記上限値を超えると、金属組成物の組成等によっては、時効が進みすぎて過時効となり、時効(時効硬化)による硬度の上昇を(確実に)進行させるのが困難になる場合があり、また、耐食性、鏡面性、硬さ、機械的強度が劣化する可能性もある。
時効処理の処理時間(時効処理時間。金属組成物を前記時効処理温度に保持する時間)は、0.5〜3時間であるのが好ましく、0.5〜2時間であるのがより好ましく、1〜2時間であるのがさらに好ましい。時効処理の処理時間が前記下限値未満であると、金属組成物の組成等によっては、時効(時効硬化)による硬度の上昇を十分に(確実に)進行させるのが困難になる場合があり、また、耐食性、機械的強度、硬さ、鏡面性が劣化する可能性もある。一方、時効処理の処理時間が前記上限値を超えると、成形体の生産性が低下するとともに、省エネの観点からも不利である。また、時効処理の処理時間が前記上限値を超えると、金属組成物の組成等によっては、過時効の状態となり、成形体の硬度が低下する場合があり、また、耐食性、機械的強度、硬さ、鏡面性が劣化する可能性もある。
[成形体]
上記のようにして得られる成形体は、優れた硬度(高硬度)と、優れた耐食性とを兼ね備えている。また、本発明の成形体は、優れた美的外観(高級感)を有している。
成形体は、いかなる用途のものであってもよいが、高硬度(耐擦傷性)および耐食性が要求されるもの(例えば、鋼板、鋼管等の鋼材、工具、ねじ、ナット、ラチェット、各種金物、装飾品等)に適用されるのが好ましく、高硬度(耐擦傷性)、耐食性に加えて、優れた装飾性が要求されるもの(装飾品)に適用されるのがより好ましい。装飾品は、装飾性を備えた物品であればいかなるものでもよいが、例えば、置物等のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース(胴、裏蓋、胴と裏蓋とが一体化されたワンピースケース等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、文字盤、時計用針、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン、カバーガラス、ガラス縁、ダイヤルリング、見切板、パッキン等の時計用外装部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、回転錘等の時計用内装部品、メガネ(例えば、メガネフレーム)、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具、ライターまたはそのケース、自動車のホイール、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング等を含む各種機器部品、各種容器等に適用することができる。この中でも特に、時計用外装部品がより好ましい。時計用外装部品は、装飾品として外観の美しさが要求されるとともに、実用品として、耐食性、耐擦傷性、耐摩耗性や、優れた触感等が要求されるが、本発明によればこれらの要件を全て満足することができる。
また、本発明の成形体は、通常、金属組成物と同様の組成を有している。すなわち、本発明の成形体は、通常、Feを主成分とし、14.5〜30.0wt%のCrと、3.0〜10.0wt%のMoと、0.5〜1.1wt%のNbと、3.0〜5.1wt%のNiと、0.9〜5.0wt%のCuと、0.2〜1.6wt%のM(ただし、MはAlおよび/またはTi)とを含む組成を有している。なお、各成分についての含有率の好ましい範囲は、前記[金属組成物の合金組成]で述べたのと同様である。
また、本発明の成形体は、前記のような金属組成物を用いて製造されたものであればいかなるものであってもよい。例えば、本発明の成形体は、前記のような金属組成物を用いて形成された部位と、他の材料で構成された部位とを有するものであってもよい。
[時計]
次に、上述したような本発明の成形体(装飾品)を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の成形体を備えたものである。上述したように、本発明の成形体は、高硬度で、耐擦傷性、耐食性に優れ、かつ、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができるものである。すなわち、本発明の成形体は、優れた美的外観と優れた耐久性とを兼ね備えたものである。このため、このような成形体(装飾品)を備えた本発明の時計は、時計としての求められる要件を十分に満足することができる。すなわち、本発明の時計は、特に優れた審美性を長期間にわたって保持することができる。なお、本発明の時計を構成する前記成形体以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図1は、本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
図1に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)22と、裏蓋23と、ベゼル(縁)24と、ガラス板25とを備えている。また、ケース22内には、図示しないムーブメント(例えば、文字盤、針付きのもの)が収納されている。
胴22には巻真パイプ26が嵌入・固定され、この巻真パイプ26内にはりゅうず27の軸部271が回転可能に挿入されている。
胴22とベゼル24とは、プラスチックパッキン28により固定され、ベゼル24とガラス板25とはプラスチックパッキン29により固定されている。
また、胴22に対し裏蓋23が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)60が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず27の軸部271の途中の外周には溝272が形成され、この溝272内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)30が嵌合されている。ゴムパッキン30は巻真パイプ26の内周面に密着し、該内周面と溝272の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず27と巻真パイプ26との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず27を回転操作したとき、ゴムパッキン30は軸部271と共に回転し、巻真パイプ26の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
本発明の腕時計100は、ベゼル24、胴22、りゅうず27、裏蓋23、時計バンド等の装飾品(特に、時計用外装部品)のうち少なくとも1つが前述したような本発明の装飾品で構成されたものである。
以上、本発明の金属組成物、成形体の製造方法、成形体および時計計の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、表面加工工程(鏡面加工、梨地加工およびスジ目加工)を、溶体化工程と時効工程との間に行うものとして説明したが、このような表面加工工程は、例えば、溶体化工程の前や、時効工程の後に行うものであってもよい。このような場合であっても、成形体の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、前述した実施形態では、溶体化工程に先立ち、金属組成物(母材)に対して、組織微細化処理を施すものとして説明したが、このような組織微細化処理は、溶体化処理の後に施すものであってもよい。
また、本発明の成形体の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。例えば、洗浄等の中間処理を施してもよい。また、例えば、時効工程の後に、研磨等の後処理を施してもよい。
また、成形体の表面の少なくとも一部には、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐摩耗性、耐変色性等を付与し、防錆、防汚、防曇、防傷等の効果を向上する保護層等が形成されていてもよい。このような保護層は、成形体(装飾品)の使用時等において除去されるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
<サンプルNo.1〜No.20>
まず、Fe、Cr、Mo、Nb、Ni、Cu、Al、Tiの各原料(単体としての各原料)を用意した。次に、表1に示すような合金組成となるように、8種の原料の全種またはその一部を配合し、鋳造により、20種の金属組成物(サンプルNo.1〜No.20)を得た。なお、サンプルNo.1〜No.6、サンプルNo.9〜No.20の金属組成物中におけるCの含有率は、いずれも、0.012wt%未満であり、Oの含有率は、いずれも、30ppm未満であった。また、サンプルNo.7の金属組成物中におけるCの含有率は、0.028wt%であり、Oの含有率は、48ppmであった。また、サンプルNo.8の金属組成物中におけるCの含有率は、0.029wt%であり、Oの含有率は、47ppmであった。
次に、各金属組成物(インゴット)に対し、鍛造による構成組織微細化処理を行った。この構成組織微細化処理(鍛造)により、各金属組成物(インゴット)を直径:約5cmの棒状の母材に成形した。
次に、各合金組成の母材から、それぞれ、厚さ約1cmの金属組成物を切り出し、溶体化処理を施した。溶体化処理は、アルゴン雰囲気下で、処理温度(溶体化処理温度):1300℃、処理時間(溶体化処理時間):1時間という条件で加熱し、その後、水冷により急冷することにより行った。急冷時における金属組成物の冷却速度(母材を溶体化処理温度から100℃まで冷却する際の冷却速度)は、約70℃/秒であった。
上記のような溶体化処理を施した後、略円柱状の各金属組成物に対して、切削、研削、研磨等の機械加工(荒加工)を施すことにより、腕時計用ケース(胴)に対応する形状にした。
その後、時効処理を施した。時効処理は、アルゴン雰囲気下で、処理温度(時効処理温度):600℃、処理時間(時効処理時間):2時間という条件で加熱することにより行った。
時効処理の後、さらに、バフ研磨、梨地加工、スジ目加工を施し、鏡面部と、梨地部と、スジ目部とを、所定のパターンに形成する(仕上げ加工を行う)ことにより、成形体としての腕時計用ケース(胴)を得た。なお、得られたサンプルNo.1〜No.20の成形体は、それぞれの製造に用いた金属組成物と同一の合金組成を有していた。
<サンプルNo.21>
ステンレス鋼(SUS316L)からなる母材に、鍛造、切削加工等を施し、サンプルNo.1の腕時計用ケース(胴)に対応する形状とした。
次いで、上記のように加工されたステンレス鋼を、金属製のマッフル炉内に装入した後、480℃まで昇温した。次いで、フッ素系ガス(5vol%のNFと95vol%のNとの混合ガス)をマッフル炉内に15分間吹き込み、フッ化処理を施した。次いで、フッ素系ガスを排出した後、浸炭性がス(10vol%のCOと、20vol%のHと、1vol%のCOと、69vol%のNとの混合ガス)を吹き込み、480℃で12時間保持して浸炭処理を行った。
その後、上記のような浸炭処理が施されたステンレス鋼に対して、酸洗処理を施した。酸洗処理は、フッ化アンモニウム3〜5vol%と、硝酸2〜3vol%を含む酸性水溶液に浸漬することにより行った。
その後、水洗し、さらに、前記サンプルNo.1の成形体の製造で行ったのと同様にして、バフ研磨、梨地加工、スジ目加工を施し、鏡面部と、梨地部と、スジ目部とが、所定のパターンに形成された成形体としての腕時計用ケース(胴)を得た。
サンプルNo.1〜No.21についての合金組成を表1にまとめて示す。なお、表1中の数値は、各成分の重量%での含有率を示した。また、表1中に示す合金はいずれもFeを主とするものであり、Feの含有率についての記載は省略した。
Figure 2006070331
<加工性評価>
各金属組成物について、成形体(腕時計用ケース)の製造時における加工性(機械加工等による腕時計用ケースに対応する形状への加工、および表面加工(バフ研磨、梨地加工、スジ目加工)における加工性)を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:非常に容易に所望の形状に加工することができた。
○:容易に所望の形状に加工することができた。
△:所望の形状に加工するのがやや困難であった。
×:所望の形状に加工するのが非常に困難であった。
<外観評価>
各成形体(腕時計用ケース)について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:外観優良。
○:外観良。
△:外観やや不良。
×:外観不良。
<耐食性の評価>
各成形体(腕時計用ケース)について、以下に示すような試験を行い、耐食性を評価した。
デシケーター内に人工汗を入れ、40℃で24時間放置した。その後、デシケーター内に、各成形体を入れ、さらに40℃で放置した。このとき、各成形体は、人工汗中に浸漬しないように配置した。24時間後、各成形体をデシケーター内から取り出し、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:腐食や変色等が全く認められない。
○:変色がわずかに認められる。
△:変色がはっきりと認められる。
×:比較的大きな腐食部がはっきりと認められる。
<耐擦傷性の評価>
各成形体(腕時計用ケース)について、以下に示すような試験を行い、耐擦傷性を評価した。
ステンレス(SUS304)製のブラシを、各成形体の表面上に押し付け、50往復摺動させた。このときの押し付け荷重は、0.2kgfであった。
その後、成形体表面を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:成形体の表面に、傷の発生が全く認められない。
○:成形体の表面に、傷の発生がほとんど認められない。
△:成形体の表面に、傷の発生がわずかに認められる。
×:成形体の表面に、傷の発生が顕著に認められる。
これらの結果を、各成形体のビッカース硬度Hvとともに表2に示す。なお、ビッカース硬度Hvとしては、各成形体について、測定荷重25gfにて測定した値を示す。
Figure 2006070331
表2から明らかなように、本発明の金属組成物(サンプルNo.1〜No.8)を用いた場合、優れた加工性で成形体を製造することができた。また、本発明の成形体(サンプルNo.1〜No.8)は、いずれも優れた美的外観を有しており、高硬度で、耐食性、耐擦傷性にも優れていた。
これに対し、比較例(サンプルNo.9〜No.21)では、満足な結果が得られなかった。
(実施例2)
前記実施例1で製造したサンプルNo.1の金属組成物(インゴット)に対し、鍛造による構成組織微細化処理を行った。この構成組織微細化処理(鍛造)により、金属組成物(インゴット)を直径:約5cmの棒状の母材に成形した。
次に、合金組成の母材から、厚さ約1cmの略円柱状の金属組成物を10個切り出し、これらについて、表3に示すような条件で、溶体化処理、時効処理を施し、10種の成形体(サンプルNo.1−1〜No.1−10)を得た。なお、略円柱状の各金属組成物には、溶体化処理と時効処理との間に、前記実施例1で行ったのと同様の条件で、切削、研削、研磨等の機械加工を施し、腕時計用ケース(胴)に対応する形状にし、さらに、バフ研磨、梨地加工、スジ目加工を施し、鏡面部と、梨地部と、スジ目部とを、所定のパターンに形成した。また、溶体化処理、時効処理は、アルゴン雰囲気下で行った。なお、得られたサンプルNo.1−1〜No.1−10の成形体は、いずれも、成形体の製造に用いた金属組成物と同一の合金組成を有していた。
サンプルNo.1−1〜No.1−10について、実施例1と同様の方法で、成形体への加工性を評価し、また、サンプルNo.1−1〜No.1−10の成形体について、実施例1と同様の方法で、外観、耐食性および耐擦傷性を評価した。これらの結果を、各成形体のビッカース硬度Hvとともに表4に示す。なお、ビッカース硬度Hvとしては、各成形体について、測定荷重25gfにて測定した値を示す。
Figure 2006070331
Figure 2006070331
表3、表4から明らかなように、本発明の金属組成物(サンプルNo.1−1〜No.1−10)を用いた場合、優れた加工性で成形体を製造することができた。また、本発明の成形体(サンプルNo.1−1〜No.1−10)は、いずれも優れた美的外観を有しており、高硬度で、耐食性、耐擦傷性にも優れていた。中でも、好ましい条件で製造された成形体(サンプルNo.1−1〜No.1−4)では、特に優れた結果が得られた。
また、前記実施例1、2と同様にして製造した各成形体を用いて、図1に示すような時計を組み立てた。これらの時計について前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
符号の説明
100…腕時計(携帯時計) 22…胴(ケース) 23…裏蓋 24…ベゼル(縁) 25…ガラス板 26…巻真パイプ 27…りゅうず 271…軸部 272…溝 28…プラスチックパッキン 29…プラスチックパッキン 30…ゴムパッキン(りゅうずパッキン)) 50…接合部(シール部)

Claims (15)

  1. Feを主成分とし、
    14.5〜30.0wt%のCrと、
    3.0〜10.0wt%のMoと、
    0.5〜1.1wt%のNbと、
    3.0〜5.1wt%のNiと、
    0.9〜5.0wt%のCuと、
    0.2〜1.6wt%のM(ただし、MはAlおよび/またはTi)とを含むことを特徴とする金属組成物。
  2. Cの含有率が0.03wt%以下であり、かつ、Oの含有率が50ppm以下である請求項1に記載の金属組成物。
  3. 金属材料を用いて成形体を製造する方法であって、
    請求項1または2に記載の金属組成物に対し、溶体化処理を施す溶体化工程と、
    前記溶体化工程の後に、時効処理を施す時効工程とを有することを特徴とする成形体の製造方法。
  4. 1000〜1500℃で0.5〜3時間の条件で、前記溶体化処理を施す請求項3に記載の成形体の製造方法。
  5. 500〜750℃で1〜5時間の条件で、前記時効処理を施す請求項3または4に記載の成形体の製造方法。
  6. 前記溶体化工程と前記時効工程との間に、前記金属組成物を所定の形状に加工する工程を有する請求項3ないし5のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  7. 前記溶体化工程に供される前記金属組成物は、鍛造により構成組織が微細化されたものである請求項3ないし6のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  8. 鏡面加工、梨地加工およびスジ目加工よりなる群から選択される少なくとも1つの加工を施す表面加工工程を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  9. 鏡面加工、梨地加工およびスジ目加工よりなる群から選択される少なくとも1つの加工を、時効処理の後に行う請求項8に記載の成形体の製造方法。
  10. Feを主成分とし、14.5〜30.0wt%のCrと、3.0〜10.0wt%のMoと、0.5〜1.1wt%のNbと、3.0〜5.1wt%のNiと、0.9〜5.0wt%のCuと、0.2〜1.6wt%のM(ただし、MはAlおよび/またはTi)とを含む組成を有することを特徴とする成形体。
  11. 請求項1または2に記載の金属組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
  12. 請求項3ないし9のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする成形体。
  13. ビッカース硬度Hvが500以上である請求項10ないし12のいずれかに記載の成形体。
  14. 時計用外装部品である請求項10ないし13のいずれかに記載の成形体。
  15. 請求項10ないし14のいずれかに記載の成形体を備えていることを特徴とする時計。
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WO2015169465A1 (de) * 2014-05-06 2015-11-12 Hans-Joachim Bergfeld Verfahren zur herstellung eines schmuckteiles

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