JP3653089B1 - 銀合金製品と装身具および銀合金製品の製造方法 - Google Patents

銀合金製品と装身具および銀合金製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】 純銀の持つ明るさを保持しながら、充分な強度を有す銀合金製品を得る。
【構成】 銀中に重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムを含有する銀合金からなる指輪1(銀合金製品である装身具)の表面1aから200乃至500μmまでの深さの表面付近領域に、その内部合金3より硬度の高い表面硬化層2を熱硬化処理によって形成している。その熱硬化処理は、上記銀合金によって製品の形状に成形した後、大気中において550〜800℃の温度で30分以上行なう。それによって、表面のビッカース硬度が200〜300Hvの表面硬化層2が形成されるが、内部合金3はそれより硬度が低く、熱硬化処理前に近い靭性を有する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、装身具や装飾品あるいは時計や食器などの銀合金製品、特に指輪、腕輪、ネックレス、イヤリング、ペンダント等の装身具、及びそれらの銀合金製品の製造方法に関する。
純銀は外観が明るい白色であるため、好んで装身具や装飾品などの材料に用いられている。しかし、一般に純銀と称されている99.85%以上の純度のものは、硬度が低いため変形しやすいし、表面に傷がつきやすい。指輪やネックレスなどの装身具、または腕時計や食器などの実用品に用いるには十分な硬さが必要である。
そのため、例えば特許文献1に記載されているように、従来は銀に5〜15重量%の銅を添加して硬度を向上させたAg−Cu合金が用いられていた。
特公平3−72138号公報
しかし、このようなAg−Cu合金は、製品製造段階で繰り返される焼き鈍しやロウ付けなどの熱処理によって硬度が低下し、傷付きやすくなるとともに、表面に酸化銅の皮膜が形成されるため、仕上面の光沢が出にくくなり、色むらが生じたりロウ付け不良にもなりやすいなどの問題があった。
このような問題を解決するために、上記特許文献1では、銀中に1〜15重量%の酸化銅を均一微細に分散させた装飾用銀材料が提案されている。
さらに、これと同時期に発行された他の特許文献には、銀中に、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マンガン、酸化カドミウム、酸化インジウムのいずれか、あるいは複数を1〜15重量%均一微細に分散させた装飾用銀材料も提案されている。
またさらに、銀製品の表面の傷付きや変色(酸化による黒ずみ)を防ぎ、且つ光沢を得るために、ロジウムメッキを施す方法も従来では多く採用されていた。
しかしながら、上記の銀材料でも装身具等の製品に仕上げたときに、傷つきにくい充分な硬度を得るのは難しく、添加する酸化金属の比率を上げて硬度を高めようとすると、銀が本来有する明るさが得られなくなる。また材料体の硬度が高くなると靭性が失なわれて割れやすくなってしまい、結果として総合的な機械的強度が十分に得られないという問題があった。また、ロジウムメッキを施してしまうと、銀が本来有する明るい色が失われてしまうとして問題があった。
この発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、メッキを施さずに、銀の持つ美しい明るさ(白さ)を損なうことなく、実用的上充分な機械的強度(硬度と靭性)と光沢を有する銀合金製品および装身具を提供すること、およびその銀合金製品を容易且つ確実に製造できるようにすることを目的とする。
この発明による銀合金製品は、純度が98%までの純度の高い銀中に添加元素として重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムのみを含有する銀合金からなり、表面から200乃至500μmまでの深さの表面付近領域にその内部より硬度の高い硬化層が熱硬化処理によって形成され、表面のビッカース硬度が200〜300Hvである
この発明による装身具は、指輪、腕輪、ネックレス、イヤリング、ペンダント等の装身具の全体又は少なくとも一部が、純度が98%までの純度の高い銀中に添加元素として重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムのみを含有する銀合金からなり、その表面から200乃至500μmまでの深さの表面付近領域にその内部より硬度の高い硬化層が熱硬化処理によって形成され、表面のビッカース硬度が200〜300Hvである
そして、この発明による銀合金製品の製造方法は、純度が98%までの純度の高い銀中に添加元素として重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムを含有する銀合金によって製品の形状に成形した後、大気中において550〜800℃の温度で30分以上熱硬化処理を施すことにより、該製品の表面から200乃至500μmまでの深さの表面付近領域にその内部より硬度の高い硬化層を形成して、表面のビッカース硬度を200〜300Hvにする。
その銀合金製品が指輪、腕輪、ネックレス、イヤリング、ペンダント等の装身具の全体又は少なくとも一部であっても同様にして製造することができる。
この発明による銀合金製品および装身具は、純度が98%までの純度の高い銀中に添加元素として重量比で0.2〜2.0%の僅かなマグネシウムを含有するだけであるから、殆ど純銀と同様な明るさを持ち、しかもその表面付近に熱硬化処理による硬化層が形成され、表面のビッカース硬度が200〜300Hvであるためメッキを施さなくても傷つき難く、かつその表面の硬さによって光沢を持たせることができ、内部の硬度は純銀に近い靭性を有するので、全体として充分な機械的強度が得られ破損しにくい。
そして、この発明による銀合金製品の製造方法によれば、上記装身具等の銀合金製品を容易且つ確実に製造することができる。
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図2は、この発明による銀合金製品である装身具の一例として指輪の外観例を示す図であり、図1はその指輪の径方向に沿う断面の一部拡大斜視図であり、図3はその表面付近の層構成を示す模式図である。
図2に示す指輪1は、全体が銀(Ag)中に重量比で0.2〜2.0%のマグネシウム(Mg)を含有する銀合金からなり、図1及び図3に示すようにその表面1a(外周面、内周面、両端面を含む)から200乃至500μmまでの深さの表面付近領域に、その内部合金3(図3参照)より硬度の高い表面硬化層2が熱硬化処理によって形成されている。
その外周面には模様1bが打刻あるいは彫り込みなどによって形成されているが、上記銀合金によって成形された指輪に、模様形成など各種の加工処理が施されてから、後述する熱硬化処理によって表面硬化層2が形成されるので、模様1bも含む全表面付近領域に硬化層が形成されている。それによって、表面1aのビッカース硬度200Hv〜300Hvの範囲であるとよい。表面硬度が350Hvを超えて高くなりすぎると表面付近がもろくなって破損し易くなる。
因みに、純銀のビッカース硬度は40Hv程度、熱硬化処理前の上記銀合金のそれは50Hv程度である。この指輪1の内部合金3の断面中心部の硬度は純銀に近くなり、表面硬化層2に近付くほど硬度が高くなり、半熟卵のような構造を呈している。これは、熱処理によって銀合金内に分散しているマグネシウムが表面付近に偏析するためと思料される。そのため、中心部はマグネシウムの濃度が薄くなり、純銀に近くなっているものと思われる。それによって、表面硬化層2は高硬度を有するので表面の傷つきなどを防ぎ、内部合金3は高い靭性を有するので、全体として充分な機械的強度を有し、強い外力や衝撃が加わっても破損しにくい。そして、マグネシウムの含有量が2.0重量%までであれば、銀特有の表面の明るさを損なうことがなく、充分な硬度も得られる。
この発明に使用する銀は、純度が99.99%以上の純銀に近いものが望ましいが、製品によっては98%程度までは使用可能である。
純銀に近いものを使用すると、表面1aが純銀と同程度に明るい白色の色調を呈し、且つ光沢のある優れた美観が得られるので、指輪1のような装身具の商品価値が高くなる。
このような銀合金製品のこの発明による製造方法の実施例を説明する。図4はこの発明による銀製品の製造工程の一実施例を示すフロー図である。この図においては、各工程を「S」と略記している。
製作を開始すると、工程1で製品の材料となる銀合金を生成する。この工程では、純度の高い銀と添加元素として重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムを溶解炉に入れて、無酸化雰囲気中で950〜1050℃に加熱して溶解処理を行う。無酸化雰囲気は、真空状態にするか又は不活性ガスを注入することにより作られ、不活性ガスを用いる場合にはこの溶解処理前に2回注入する。使用する溶解炉としては、高周波加熱炉が好適であり、この場合出力を増加させることによって、溶融金属を対流させてマグネシウムを銀中に均一に拡散させることができる。なお、この実施例では、この銀合金を生成する工程1に続けて製品の形状に成形する鋳造する工程2を行なうため、これらの工程に真空溶解吸引加圧鋳造機VPC−K2(安井インターテック社製)を使用した。
工程2では、前述した指輪等の装身具など、製造しようとする銀合金製品の基礎形状に成形する。装身具を鋳造する場合には、通常石膏型を使用するので、予め製品ごとに石膏型を作成しておき、その型内に工程1で生成した銀合金を注入して加圧し、ある程度自然冷却させた後、石膏型ごと水槽に入れて急水冷し、石膏型を壊して型抜きする。
次の工程3では、鋳造した製品の湯口やバリなどの不要部分を除去して全体を整形する。工程4ではバレル研磨により全体の表面を磨き、工程5では付加的な部品のロー付けや模様などを彫刻で形成したり、製造番号の打刻などを行う。
次いで工程6で電解研磨を行って表面に光沢を出す。工程7では鋳造により生じたスを処理したりして生地の仕上げと整形を行い、工程8で中間検査を行う。
その後、工程9において、指輪やペンダントなどの装身具の場合などには必要に応じて宝石の石定(固定)を行い、外観を整える。ここまでの工程の間は、加工中の製品は銀合金の50Hv程度の硬度であるため作業性は極めてよく、各種の加工を容易且つ確実に行える。
次に、工程10に進み、成形および加工が済んだ製品を、大気中で550〜800℃に加熱して30分以上熱硬化処理を行なう。この処理によって銀合金中から銀とマグネシウムによる硬化生成物が表面付近に多く析出するため、製品の表面付近領域に高硬度の表面硬化層が形成されることになる。
この工程で使用する加熱炉としては電気炉が好適であり、実験ではマッフル炉TL−4X(サーマル社製)を利用した。
次に、工程11でバフ研磨等による完成研磨を行って表面を仕上げ、最後に工程12で出荷検査を行って銀合金製品の製作を終了する。
なお、銀合金の生成工程は、銀合金製品の製造工程とは切り離して単独に行なってもよい。
その場合には、溶解した銀合金を一旦単純な形状の型に入れて自然冷却して、銀合金のインゴットを作る。
そして、銀合金製品の製造工程では、純度の高い銀中に添加元素として重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムのみを含有する銀合金のインゴットを溶解炉に入れて加熱溶融させて、上述した工程2と同様に石膏型を使用して製品の基礎形状に成形すればよい。
また、上述の実施例では、製品の成形を鋳造によって行なったが、それに限るものではなく、上述した銀合金を材料として、鍛造やプレス加工などによって成形してもよいし、その他どのような手段で成形してもよい。
さらに、その成形後の熱硬化処理の前までの各工程は、製造する製品に応じて必要な工程だけを行なえばよいし、極端な例として、成形工程で最終形状に成形できてしまう場合には、成形工程後にすぐ熱硬化処理の工程を実施してもよい。あるいは逆に、上述した工程以外の処理工程を追加してもよい。
次に、上述のように生成した銀合金のインゴット及びそれを材料に使用した鋳造製品と、銀に添加する元素を種々異ならせた銀合金のインゴット及びそれを材料に使用した鋳造製品とを比較するための実験結果を、表1〜表4に示す。
なお、マグネシウム以外の添加元素として、すず(Sn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、カルシウム(Ca)、マンガン(Mn)、および鉄(Fe)を用いた。また、熱硬化処理はいずれも大気中で行なった。
表1は、それらの各銀合金のインゴットの熱硬化処理前と前述した熱硬化処理(700℃で30分)後の表面のビッカース硬度を試験荷重100gで測定した結果を示している。
Figure 0003653089
この表1から分かるように、どの添加元素の銀合金も熱硬化処理を行うことによって熱硬化処理前と比べて表面の硬度が高くなっている。しかし、マグネシウムを添加したものは、54.9Hvから270.0Hvと、表面硬度が飛躍的に高くなっている。アルミニウムを添加したものも、この例では表面硬度がかなり高くなっているが、実際にはばらつきが多くて安定した品質が得られない。
表2は、表1と同様に添加元素が種々異なる銀合金による鋳造製品について、熱硬化処理前の表面のビッカース硬度を試験荷重100gで、熱硬化処理(700℃で30分)後の表面のビッカース硬度を、試験荷重100g,500g,および1000gでそれぞそれ測定した結果を示す。
Figure 0003653089
表1とこの表2を比較して分かるように、熱硬化処理前の表面硬度はインゴットの状態に比べて鋳造製品の方が高くなるものと低くなるものとがあり、添加元素によって異なっている。マグネシウムを添加したこの発明による鋳造製品の場合は54.9Hvから49.9Hvに幾分硬度が低下している。これは鋳造時の加熱と冷却の影響によるものと思われる。
しかし、熱硬化処理後に試験荷重100gで測定した表面硬度は、添加元素が鉄の例を除いて全て高くなっているが、マグネシウムを添加したこの発明による鋳造製品の場合には抜群に高くなり、292Hvに達している。
試験荷重を500gにしたときは、実質的に表面硬化層より内部の硬度を測定しようとするものであり、アルミニウムを添加したものとマンガンを添加したものだけは試験荷重が100gの場合より硬度が高くなったが、それ以外の添加元素のものは硬度が低くなり、マグネシウムを添加したこの発明による鋳造製品の場合には、168Hvに硬度が低下している。それでも他の元素を添加したものに比べて、まだかなり高い硬度を保持している。
試験荷重を1000gとして行った測定は、マグネシウムを添加したこの発明による鋳造製品についてのみさらに内部の硬度を測定しようとしたものであり、硬度が106HVとさらに低下したことが分かった。
表3は、表2の試験で使用したのと同じ添加元素が異なる各銀合金による鋳造製品の熱硬化処理(700℃で30分)後のものを輪切りにして、その断面中心部の硬度を直接測定した結果を示す。
Figure 0003653089
この測定結果から、中心部の硬度はいずれも表2に示した熱硬化処理前の表面の硬度に近くなっていることが分かる。マグネシウムを添加したこの発明による鋳造製品の場合には、45.6Hvとなってなおり、熱硬化処理前の表面の硬度である49.9Hvより幾分低くなっているが、これは熱硬化処理によりマグネシウムが表面付近に偏析したため、中心部のマグネシウム濃度が薄くなり、純銀に近い状態になっているためと思われる。
表4は、表2の試験で使用したのと同じ添加元素が異なる各銀合金による鋳造製品を、800℃で30分の熱硬化処理を行った後、および700℃で2時間の熱硬化処理を行った後に、その表面のビッカース硬度をいずれも試験荷重100gで測定した結果、および後者の表面のビッカース硬度を試験荷重1000gで測定した結果を示す。
Figure 0003653089
この表4から分かるように、熱硬化処理を低い温度で長時間行う場合と、高い温度で短時間行う場合の硬度の変化は添加元素によって異なるものであり、マグネシウムを添加したこの発明による鋳造製品の場合には、表2に示した700℃で30分の熱硬化処理を行った場合の方が、この表に示す800℃で30分あるいは700℃で2時間処理した場合より表面硬度が高くなっている。したがって、700℃で30分程度の熱硬化処理を行なえば充分であることが分かる。
試験荷重を1000gにすると、アルミニウムを添加した銀合金による鋳造製品と、この発明による鋳造製品以外は、硬度が低いので測定しなかった。この発明による鋳造製品の場合は、硬度が123Hvに低下しており、内部の硬度が表面付近より低くなっていることが分かる。
次に、銀中のマグネシウムの含有量(重量%)を変化させた銀合金製品を、熱硬化処理をしない場合(未処理)と、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、および700℃で、それぞれ30分の熱硬化処理を行なった後の表面硬度(Hv)の測定結果を線図にして図5に示す。
この図5から、熱硬化処理をしない場合(未処理)の場合は、図中の線Cで示すようにマグネシウムの含有量が増減しても表面硬度はあまり変わらないことが分かる。また、熱硬化処理の温度が500℃以下の場合は、マグネシウムの含有量を多くしないと150Hv以上、望ましくは200Hv以上の表面硬度を得ることができないが、550℃以上で処理すると、マグネシウムの含有量が重量比0.2%程度の微量であっても、150Hv以上、0.5%であれば200Hv以上の表面硬度が容易に得られることが分かる。これは、温度が500℃と550℃の間に、この銀合金中での銀とマグネシウムによる硬化生成物の再結晶点温度があるためと推考される。
したがって、熱硬化処理の温度は550℃以上にする必要がある。そして前述したように800℃以上にしてもかえって表面硬度が低下するので、550〜800℃の範囲で行なうのが望ましい。
また、熱硬化処理の温度は550℃以上のとき、図5から分かるようにマグネシウムの含有量は重量比で0.2%以上必要であるが、2%を越えるとむしろ表面硬度が減少し、且つ純銀と同様な明るさが得られなくなってくる。したがって、添加元素であるマグネシウムの含有量は重量比で0.2〜2.0%の範囲が望ましい。
次に、マグネシウムの含有量が重量で0.3%の銀合金で成形した指輪に対して、大気中で処理温度700℃の表面硬化処理を処理時間を変化させて行なったときの表面硬度(Hv)の測定結果を図6に線図で示す。
この図6に示す処理時間と表面硬度との関係から分かるように、処理時間が30分までは時間に比例して表面硬度が増加するが、30分以上処理しても表面硬度はあまり増加しない。これは、表面硬化層の厚さが増加しなくなるためと思料される。したがって、熱硬化処理は30分以上行えばよいが、それ以上長時間行なっても無駄であり、指輪などの小型の装身具に対して行う場合は30分程度で充分である。しかし、製品の形状や大きさやその他の条件によっては、30分以上行う必要がある場合もある。
以上の実験結果から、装身具などの好ましい銀合金製品を製造するには、純度の高い銀中に添加元素として重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムを含有する銀合金を材料として、鋳造や鍛造その他の工程によって製品の形状に成形し、必要な後処理や加工などを行なった後、大気中において550〜800℃の温度で30分程度の表面硬化処理を施して、表面付近領域に硬化層(表面硬化層)を形成して、その表面のビッカース硬度が200Hv〜300Hvの範囲になるようにすればよい。
このようにして製造した銀合金製品の表面は、純銀が本来有するような明るい白色を有するとともに、傷が付きにくく、純銀のようなやわらかい金属では持つことができない光沢を有することができ、また内部には靭性を残したまま表面付近にだけ硬化層が形成された2重構造となっているため総合的な機械的強度も充分にあり、衝撃などが加わっても破損し難い。またこの表面硬化層は、表面から200〜500μmの厚さに形成され、表面層としては比較的厚いため、バフ研磨程度の仕上げを行っても磨耗することはない。
この発明は、各種銀製品および装飾性あるいは高級感のある金属製品に係わる産業において利用可能である。例えば、指輪、腕輪、ネックレス、イヤリング、ペンダント等の各種装身具の全体あるいは台座など一部、アクセサリー、装飾用チェーン、金属製食器、腕時計、置き時計、置物、仏具、刃物、眼鏡フレーム、フルートやピッコロなどの楽器、フォトフレーム、喫煙具、文具、キーホルダー、調理用具、化粧品の容器や化粧用具、茶道具、花器など、製品全体あるいはその一部に銀等の金属を使用している製品の全てに利用することができる。
図2に示す指輪の径方向に沿う断面の一部拡大斜視図である。 この発明による装身具の一実施例である指輪の外観を示す斜視図である。 図1に示した断面の表面付近の層構成を示す模式図である。 この発明による銀製品の製造工程の一実施例を示すフロー図である。 銀合金中のマグネシウムの含有量(%)と熱硬化処理後の表面硬度(Hv)との関係を処理温度をパラメータとして示す線図である。 銀合金製品に施す熱硬化処理の時間と処理後の表面硬度との関係を示す線図である。
符号の説明
1:指輪(銀合金製品である装身具)
1a:表面 1b:模様
2:表面硬化層 3:内部合金

Claims (4)

  1. 純度が98%までの純度の高い銀中に添加元素として重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムのみを含有する銀合金からなり、表面から200乃至500μmまでの深さの表面付近領域にその内部より硬度の高い硬化層が熱硬化処理によって形成され、表面のビッカース硬度が200〜300Hvであることを特徴とする銀合金製品。
  2. 指輪、腕輪、ネックレス、イヤリング、ペンダント等の装身具の全体又は少なくとも一部が、純度が98%までの純度の高い銀中に添加元素として重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムのみを含有する銀合金からなり、その表面から200乃至500μmまでの深さの表面付近領域にその内部より硬度の高い硬化層が熱硬化処理によって形成され、表面のビッカース硬度が200〜300Hvであることを特徴とする装身具。
  3. 純度が98%までの純度の高い銀中に添加元素として重量比で0.2〜2.0%のマグネシウムのみを含有する銀合金によって製品の形状に成形した後、大気中において550〜800℃の温度で30分以上熱硬化処理を施し、該製品の表面から200乃至500μmまでの深さの表面付近領域にその内部より硬度の高い硬化層を形成して、その表面のビッカース硬度を200〜300Hvにすることを特徴とする銀合金製品の製造方法。
  4. 前記銀合金製品が指輪、腕輪、ネックレス、イヤリング、ペンダント等の装身具の全体又は少なくとも一部である請求項記載の銀合金製品の製造方法。
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