JP2006067823A - バッファーを使用しない条件下での微生物を用いたグリコール酸の製造方法 - Google Patents
バッファーを使用しない条件下での微生物を用いたグリコール酸の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】バッファーを使用しない条件下での微生物を用いたグリコール酸の製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】本発明は、バッファーを使用しない条件下、キャンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する微生物にエチレングリコール分子中にある二個の水酸基のうち一個のみを酸化し、グリコール酸を選択的に製造する能力があることを見出したことに基づくものであり、これらの微生物を用いたグリコール酸の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、バッファーを使用しない条件下、キャンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する微生物にエチレングリコール分子中にある二個の水酸基のうち一個のみを酸化し、グリコール酸を選択的に製造する能力があることを見出したことに基づくものであり、これらの微生物を用いたグリコール酸の製造方法を提供する。
Description
本発明は、微生物由来の酵素作用によりエチレングリコールからグリコール酸を製造する方法に関するものである。特に、バッファーを使用しない条件下においてエチレングリコールからグリコール酸を製造する方法に関する。
従来、行われてきたグリコール酸の工業的製造は、ホルムアルデヒド、一酸化炭素および水を原料とした化学合成法であり、高純度の製品を得るためには高度の精製工程が必要であった。また、化学合成法は酸触媒下、高温、 高圧下で行われ、コストおよび環境負荷の点でも問題があった。
一方、グリコール酸の微生物を用いた製造法としては、エチレングリコールを原料として酸化酵素の作用を用いる方法とグリコロニトリルを原料としてニトリル加水分解酵素の作用を用いる方法が知られている。
前者に用いる微生物の例としてはキャンディダ(Candida)属(特許文献1参照)、ピヒア(Pichia)属(特許文献2参照)、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属(特許文献2参照)、トルロプシス(Torulopsis)属(特許文献2参照)、ロドトルーラ(Rhodotorula)属(特許文献2参照)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属(特許文献2参照)、サッカロマイセス(Saccharomyces)属(非特許文献1参照)、ハンセヌラ(Hansenula)属(非特許文献1参照)、クリプトコッカス(Cryptococcus) 属(非特許文献1参照)等の酵母、あるいはノカルディア(Nocardia)属(特許文献3参照)、ロドコッカス(Rhodococcus)属(特許文献3参照)、グルコノバクター(Gluconobacter)属(非特許文献1参照)等のバクテリアが知られている。
前者に用いる微生物の例としてはキャンディダ(Candida)属(特許文献1参照)、ピヒア(Pichia)属(特許文献2参照)、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属(特許文献2参照)、トルロプシス(Torulopsis)属(特許文献2参照)、ロドトルーラ(Rhodotorula)属(特許文献2参照)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属(特許文献2参照)、サッカロマイセス(Saccharomyces)属(非特許文献1参照)、ハンセヌラ(Hansenula)属(非特許文献1参照)、クリプトコッカス(Cryptococcus) 属(非特許文献1参照)等の酵母、あるいはノカルディア(Nocardia)属(特許文献3参照)、ロドコッカス(Rhodococcus)属(特許文献3参照)、グルコノバクター(Gluconobacter)属(非特許文献1参照)等のバクテリアが知られている。
また、後者に用いる微生物の例としてはコリネバクテリウム属(特許文献4参照)、ロドコッカス(Rhodococcus)属(特許文献5参照)、ゴルドナ(Gordona)属(特許文献5参照)、シュードモナス(Pseudomonas)属(非特許文献1参照)等のバクテリアがある。
しかし、グリコロニトリルを原料とした反応では、同時に等モルのアンモニアが生成し、実際にはグリコール酸アンモニウムの溶液ができる(特許文献5参照)。また、エチレングリコールを原料とした場合、反応の進行に伴い生成したグリコール酸により、pHの低下が起こり、高濃度のグリコール酸を得る場合にはそれが顕著である。このようなpHの低下を阻止する為に沈降性炭酸カルシウムを加え、グリコール酸カルシウムの沈殿を生じさせたり(特許文献1参照)、高濃度の緩衝液(バッファー)中で反応を行ったり(特許文献2参照)、NaOHでpHを調整したり(特許文献2参照)する必要が生じ、いずれも、反応終了後にグリコール酸以外の不純物を含むこととなる。この結果、遊離のグリコール酸を得るためにはイオン交換樹脂等による精製工程が必須となる。
特開昭54-119089号公報
特開平10-174593号公報
特開平10-174594号公報
特開昭61-56086号公報
特開平9-28390号公報
Biosci. Biotechnol. Biochem 65, 2265-2270, 2001
バッファーを使用する必要がなければ、バッファーのコストも不要となると共に、バッファーを除く精製コストも不要となることから、本発明は、グリコール酸の製造が可能な新規な微生物を用いて、バッファーを使用しない条件下で、エチレングリコールを原料とした反応を行い、高純度の遊離グリコール酸を効率良く製造する方法の提供を課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは微生物によるグリコール酸の製造法について鋭意研究を行った。その結果、バッファーを使用しない条件下においても、特定の属の微生物にエチレングリコール分子中にある2個の水酸基のうち、1個のみを酸化し、グリコール酸を選択的に製造する能力があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、キャンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する真核微生物由来の酵素の作用により、バッファーを使用しない条件下でエチレングリコールからグリコール酸を製造する方法である。より具体的に本発明は以下の構成からなる
(1)キャンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する真核微生物由来の酵素作用により、バッファーを使用しない条件下、エチレングリコールからグリコール酸を製造することを特徴とするグリコール酸の製造方法。
(2)キャンディダ(Candida)属に属する酵母がキャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)又はキャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)、ピヒア(Pichia)属に属する酵母がピヒア・アノマラ(Pichia anomala)、ロドトルーラ(Rhodotorula)属に属する酵母がロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する酵母がクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)であることを特徴とする上記(1)に記載のグリコール酸の製造方法。
(3)キャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)に属する微生物がキャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)GA28(FERM P-20144)、キャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)に属する微生物がキャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)GA135(FERM P-20143)、ピヒア・アノマラ(Pichia anomala)に属する酵母がピヒア・アノマラ(Pichia anomala)GA27株(FERM P-20146)、ロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)に属する酵母がロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)GA54(FERM P-20147)、クリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)に属する酵母がクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)GA105(FERM P-20145)であることを特徴とする前記(2)に記載のグリコール酸の製造方法。
(4)キャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)GA28(FERM P-20144)及びその変異体、キャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)GA135(FERM P-20143)及びその変異体、ピヒア・アノマラ(Pichia anomala)GA27株(FERM P-20146)及びその変異体、ロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)GA54(FERM P-20147)及びその変異体、またはクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)GA105(FERM P-20145)及びその変異体。
すなわち、本発明は、キャンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する真核微生物由来の酵素の作用により、バッファーを使用しない条件下でエチレングリコールからグリコール酸を製造する方法である。より具体的に本発明は以下の構成からなる
(1)キャンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する真核微生物由来の酵素作用により、バッファーを使用しない条件下、エチレングリコールからグリコール酸を製造することを特徴とするグリコール酸の製造方法。
(2)キャンディダ(Candida)属に属する酵母がキャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)又はキャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)、ピヒア(Pichia)属に属する酵母がピヒア・アノマラ(Pichia anomala)、ロドトルーラ(Rhodotorula)属に属する酵母がロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する酵母がクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)であることを特徴とする上記(1)に記載のグリコール酸の製造方法。
(3)キャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)に属する微生物がキャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)GA28(FERM P-20144)、キャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)に属する微生物がキャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)GA135(FERM P-20143)、ピヒア・アノマラ(Pichia anomala)に属する酵母がピヒア・アノマラ(Pichia anomala)GA27株(FERM P-20146)、ロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)に属する酵母がロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)GA54(FERM P-20147)、クリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)に属する酵母がクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)GA105(FERM P-20145)であることを特徴とする前記(2)に記載のグリコール酸の製造方法。
(4)キャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)GA28(FERM P-20144)及びその変異体、キャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)GA135(FERM P-20143)及びその変異体、ピヒア・アノマラ(Pichia anomala)GA27株(FERM P-20146)及びその変異体、ロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)GA54(FERM P-20147)及びその変異体、またはクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)GA105(FERM P-20145)及びその変異体。
本発明の微生物によるグリコール酸の生産方法によれば、ラップ原料用モノマー、医薬品原料、化粧品原料等に用いられる高純度のグリコール酸のより効率的な工業的生産が可能となる。
また、バッファーを使用しなくても良いことから、反応後のバッファーの除去工程が不要となり、生産効率が上がるとともに、コストの低減にもつながる。
また、バッファーを使用しなくても良いことから、反応後のバッファーの除去工程が不要となり、生産効率が上がるとともに、コストの低減にもつながる。
本発明でいうところのバッファー(緩衝液)とは、リン酸水素2ナトリウム−リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2カリウム−リン酸2水素カリウム、酢酸−酢酸ナトリルム、MOPS-EDTA-酢酸ナトリウム緩衝液、トリス-酢酸-EDTA緩衝液、トリス-ホウ酸-EDTA緩衝液、トリス-リン酸-EDTA緩衝液、トリス-EDTA緩衝液、トリス-塩化ナトリウム-EDTA緩衝液、クエン酸-生理食塩水、塩化ナトリウム-EDTA-リン酸緩衝液、Tris HCl等の一般的に使用されるバッファーの事をいう。また、バッファーを使用しない条件とは上記のバッファーを含まない水もしくは蒸留水中で反応を行うと共に、NaOHのようなアルカリ性水溶液やアンモニアのような気体を用いてpHを調整することのない条件をさす。
また、本発明で使用される微生物は、キャンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する真核微生物である。キャンディダ(Candida)属に属する酵母としては、具体的にはキャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)GA28(FERM P-20144),キャンディダ ファーメンタティ(Candida fermentati)GA135(FERM P-20143)等が挙げられる。ピヒア(Pichia)属に属する酵母としては、具体的にはピヒア・アノマラ(Pichia anomala)GA27株(FERM P-20146)等が挙げられる。ロドトルーラ(Rhodotorula)属に属する酵母としては、具体的にはロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)GA54(FERM P-20147)等が挙げられる。クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する酵母としては、具体的にはクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)GA105(FERM P-20145)等が挙げられる。
これらの微生物は、本発明のために土壌および食品より単離された株であり、上記番号にて独立行政法人産業技術総合研究所に寄託(受理日平成16年7月30日)に寄託されている。さらに、本発明は、これらの属の株に変異処理および遺伝子操作を加え、反応効率を高めたり、副反応を抑制する事も通常行われる。また、遺伝子工学的手法により、これらの微生物の遺伝子のうちグリコール酸生成酵素の生成に関与する部分を他のベクターに組み込んで生産させた酵素を用いる反応も本発明の範囲である。
本発明で用いられる各寄託株の菌学的性質は以下の通りである。
Candida xestobiiGA28(FERM P-20144)株
栄養細胞の大きさ: 2μm〜3μm
形状 : 球
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 無
寒天培地の生育の様相
色 白色からクリーム色
光沢 有
拡散性色素 無
液体培地の表面発育 無
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-42
硝酸塩の資化 -
脂肪の分解 +
耐浸透圧性 +
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 16%
カロチノイドの生成 -
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース D
L−アラビノース +
D−リボース +
D−キシロース +
D−グルコース +
D−ガラクトース +
L−ラムノース D
L−ソルボース +
マルトース +
シュークロース +
ラクトース -
メリビオース D
セロビオース +
トレハロース +
ラフィノース +
メレジトース +
α−メチル−D−グルコシド +
D−グルコサミン +
アルブチン又はエスクリン +
可溶性デンプン -
イヌリン +
メタノール -
エタノール +
アドニトール +
エリスリトール -
イノシトール -
ズルシトール +
D−グルコン酸塩 -
グリセリン +
DL−乳酸塩 +
コハク酸塩 +
クエン酸塩 +
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2 ともにの配列一致および系統樹上の位置からCandida xestobii分類群への帰属が強く示唆された。
Candida xestobiiGA28(FERM P-20144)株
栄養細胞の大きさ: 2μm〜3μm
形状 : 球
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 無
寒天培地の生育の様相
色 白色からクリーム色
光沢 有
拡散性色素 無
液体培地の表面発育 無
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-42
硝酸塩の資化 -
脂肪の分解 +
耐浸透圧性 +
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 16%
カロチノイドの生成 -
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース D
L−アラビノース +
D−リボース +
D−キシロース +
D−グルコース +
D−ガラクトース +
L−ラムノース D
L−ソルボース +
マルトース +
シュークロース +
ラクトース -
メリビオース D
セロビオース +
トレハロース +
ラフィノース +
メレジトース +
α−メチル−D−グルコシド +
D−グルコサミン +
アルブチン又はエスクリン +
可溶性デンプン -
イヌリン +
メタノール -
エタノール +
アドニトール +
エリスリトール -
イノシトール -
ズルシトール +
D−グルコン酸塩 -
グリセリン +
DL−乳酸塩 +
コハク酸塩 +
クエン酸塩 +
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2 ともにの配列一致および系統樹上の位置からCandida xestobii分類群への帰属が強く示唆された。
Candida fermentatiGA135(FERM P-20143)株
栄養細胞の大きさ: 2μm〜3μm
形状 : 球
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 無
寒天培地の生育の様相
色 白色からクリーム色
光沢 有
拡散性色素 無
液体培地の表面発育 無
円形
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-42
硝酸塩の資化 -
脂肪の分解 +
耐浸透圧性 +
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 16%
カロチノイドの生成 -
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース +
L−アラビノース +
D−リボース D
D−キシロース +
D−グルコース +
D−ガラクトース +
L−ラムノース +
L−ソルボース +
マルトース +
シュークロース +
ラクトース -
メリビオース D
セロビオース +
トレハロース +
ラフィノース +
メレジトース +
α−メチル−D−グルコシド +
D−グルコサミン +
アルブチン又はエスクリン +
可溶性デンプン -
イヌリン +
メタノール -
エタノール +
アドニトール +
エリスリトール -
イノシトール -
ズルシトール +
D−グルコン酸塩 -
グリセリン +
DL−乳酸塩 W
コハク酸塩 -
クエン酸塩 -
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した W:少しだが生育した
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2の配列をBLAST 検索した結果から、 Candida fermentati に最も近縁と考えられた。
栄養細胞の大きさ: 2μm〜3μm
形状 : 球
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 無
寒天培地の生育の様相
色 白色からクリーム色
光沢 有
拡散性色素 無
液体培地の表面発育 無
円形
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-42
硝酸塩の資化 -
脂肪の分解 +
耐浸透圧性 +
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 16%
カロチノイドの生成 -
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース +
L−アラビノース +
D−リボース D
D−キシロース +
D−グルコース +
D−ガラクトース +
L−ラムノース +
L−ソルボース +
マルトース +
シュークロース +
ラクトース -
メリビオース D
セロビオース +
トレハロース +
ラフィノース +
メレジトース +
α−メチル−D−グルコシド +
D−グルコサミン +
アルブチン又はエスクリン +
可溶性デンプン -
イヌリン +
メタノール -
エタノール +
アドニトール +
エリスリトール -
イノシトール -
ズルシトール +
D−グルコン酸塩 -
グリセリン +
DL−乳酸塩 W
コハク酸塩 -
クエン酸塩 -
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した W:少しだが生育した
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2の配列をBLAST 検索した結果から、 Candida fermentati に最も近縁と考えられた。
Pichia anomala GA27株(FERM P-20146)
栄養細胞の大きさ: 4μm〜5μm
形状 : 球
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 有
Ascosporogenous 有
Ascospores cap-, hat-shaped 有
寒天培地の生育の様相
色 白色からクリーム色
光沢 有
拡散性色素 無
液体培地の表面発育 有
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-35
硝酸塩の資化 +
脂肪の分解 D
耐浸透圧性 +
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 16%
カロチノイドの生成 -
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース -
L−アラビノース -
D−リボース D
D−キシロース D
D−グルコース +
D−ガラクトース -
L−ラムノース -
L−ソルボース -
マルトース +
シュークロース +
ラクトース -
メリビオース -
セロビオース D
トレハロース D
ラフィノース -
メレジトース +
α−メチル−D−グルコシド +
D−グルコサミン -
アルブチン又はエスクリン +
可溶性デンプン -
イヌリン -
メタノール -
エタノール +
アドニトール -
エリスリトール +
イノシトール -
ズルシトール -
D−グルコン酸塩 -
グリセリン +
DL−乳酸塩 +
コハク酸塩 +
クエン酸塩 +
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した
コエンザイムQの型については Q7
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2 ともに Pichia anomala と有意な単系統クラスタを形成し、さらに、他種分類群とは明らかな配列相異が認められることから、同種分類群への帰属が示唆された。
栄養細胞の大きさ: 4μm〜5μm
形状 : 球
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 有
Ascosporogenous 有
Ascospores cap-, hat-shaped 有
寒天培地の生育の様相
色 白色からクリーム色
光沢 有
拡散性色素 無
液体培地の表面発育 有
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-35
硝酸塩の資化 +
脂肪の分解 D
耐浸透圧性 +
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 16%
カロチノイドの生成 -
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース -
L−アラビノース -
D−リボース D
D−キシロース D
D−グルコース +
D−ガラクトース -
L−ラムノース -
L−ソルボース -
マルトース +
シュークロース +
ラクトース -
メリビオース -
セロビオース D
トレハロース D
ラフィノース -
メレジトース +
α−メチル−D−グルコシド +
D−グルコサミン -
アルブチン又はエスクリン +
可溶性デンプン -
イヌリン -
メタノール -
エタノール +
アドニトール -
エリスリトール +
イノシトール -
ズルシトール -
D−グルコン酸塩 -
グリセリン +
DL−乳酸塩 +
コハク酸塩 +
クエン酸塩 +
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した
コエンザイムQの型については Q7
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2 ともに Pichia anomala と有意な単系統クラスタを形成し、さらに、他種分類群とは明らかな配列相異が認められることから、同種分類群への帰属が示唆された。
Rhodotorula mucilaginosa GA54(FERM P-20147)株
栄養細胞の大きさ: 2.5μm〜3.5μm
形状 : 球
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 無
寒天培地の生育の様相
色 ピンク色
光沢 有
拡散性色素 無
液体培地の表面発育 無
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-35
硝酸塩の資化 +
脂肪の分解 -
耐浸透圧性 +
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 10%
カロチノイドの生成 +
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース D
L−アラビノース +
D−リボース +
D−キシロース +
D−グルコース +
D−ガラクトース +
L−ラムノース -
L−ソルボース DW
マルトース +
シュークロース +
ラクトース -
メリビオース -
セロビオース -
トレハロース +
ラフィノース +
メレジトース +
α−メチル−D−グルコシド -
D−グルコサミン -
アルブチン又はエスクリン DW
可溶性デンプン -
イヌリン -
メタノール W
エタノール D
アドニトール +
エリスリトール -
イノシトール -
ズルシトール +
D−グルコン酸塩 -
グリセリン D
DL−乳酸塩 D
コハク酸塩 D
クエン酸塩 -
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した W:少しだが生育した
コエンザイムQの型については Q10
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
BLAST 検索の結果および 28S rDNA-D1,D2 にもとづく分子系統樹においては Rhodotorula mucilaginosa 種分類群に含めることに矛盾が無い。
栄養細胞の大きさ: 2.5μm〜3.5μm
形状 : 球
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 無
寒天培地の生育の様相
色 ピンク色
光沢 有
拡散性色素 無
液体培地の表面発育 無
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-35
硝酸塩の資化 +
脂肪の分解 -
耐浸透圧性 +
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 10%
カロチノイドの生成 +
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース D
L−アラビノース +
D−リボース +
D−キシロース +
D−グルコース +
D−ガラクトース +
L−ラムノース -
L−ソルボース DW
マルトース +
シュークロース +
ラクトース -
メリビオース -
セロビオース -
トレハロース +
ラフィノース +
メレジトース +
α−メチル−D−グルコシド -
D−グルコサミン -
アルブチン又はエスクリン DW
可溶性デンプン -
イヌリン -
メタノール W
エタノール D
アドニトール +
エリスリトール -
イノシトール -
ズルシトール +
D−グルコン酸塩 -
グリセリン D
DL−乳酸塩 D
コハク酸塩 D
クエン酸塩 -
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した W:少しだが生育した
コエンザイムQの型については Q10
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
BLAST 検索の結果および 28S rDNA-D1,D2 にもとづく分子系統樹においては Rhodotorula mucilaginosa 種分類群に含めることに矛盾が無い。
Cryptococcus humicola GA105(FERM P-20145)
栄養細胞の大きさ: (2μm〜3μm)*(5μm〜6μm)
形状 : 卵型
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 無
寒天培地では生育の様相
色 白色からクリーム色
光沢 無
拡散性色素などを 無
液体培地では表面発育 無
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-35
硝酸塩の資化 -
脂肪の分解 +
耐浸透圧性 -
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 -
カロチノイドの生成 -
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース +
L−アラビノース +
D−リボース +
D−キシロース +
D−グルコース +
D−ガラクトース +
L−ラムノース +
L−ソルボース +
マルトース +
シュークロース +
ラクトース +
メリビオース +
セロビオース +
トレハロース +
ラフィノース -
メレジトース D
α−メチル−D−グルコシド +
D−グルコサミン +
アルブチン又はエスクリン +
可溶性デンプン -
イヌリン -
メタノール -
エタノール +
アドニトール +
エリスリトール +
イノシトール W
ズルシトール +
D−グルコン酸塩 +
グリセリン +
DL−乳酸塩 D
コハク酸塩 W
クエン酸塩 +
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した W:少しだが生育した
コエンザイムQの型については Q9
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2 ともに Cryptococcus humicola の基準株由来配列に 100% 一致し、他種では同等のものが無いことから、同種分類群に帰属した。
栄養細胞の大きさ: (2μm〜3μm)*(5μm〜6μm)
形状 : 卵型
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 無
寒天培地では生育の様相
色 白色からクリーム色
光沢 無
拡散性色素などを 無
液体培地では表面発育 無
生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-35
硝酸塩の資化 -
脂肪の分解 +
耐浸透圧性 -
シュークロース最高濃度 60%
ナトリウム最高濃度 -
カロチノイドの生成 -
顕著な有機酸の生成 +
炭素源資化性試験
D−アラビノース +
L−アラビノース +
D−リボース +
D−キシロース +
D−グルコース +
D−ガラクトース +
L−ラムノース +
L−ソルボース +
マルトース +
シュークロース +
ラクトース +
メリビオース +
セロビオース +
トレハロース +
ラフィノース -
メレジトース D
α−メチル−D−グルコシド +
D−グルコサミン +
アルブチン又はエスクリン +
可溶性デンプン -
イヌリン -
メタノール -
エタノール +
アドニトール +
エリスリトール +
イノシトール W
ズルシトール +
D−グルコン酸塩 +
グリセリン +
DL−乳酸塩 D
コハク酸塩 W
クエン酸塩 +
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した W:少しだが生育した
コエンザイムQの型については Q9
近縁菌種とのDNA−DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2 ともに Cryptococcus humicola の基準株由来配列に 100% 一致し、他種では同等のものが無いことから、同種分類群に帰属した。
これらの微生物の培養には、その栄養生理学的性質を考慮して培養条件を選択すれば良く、通常多くの場合は、液体培養で行う。培地の栄養源としては、微生物の培養に通常用いられるものが広く使用され得る。炭素源としては、資化可能な炭素化合物であればよく、例えばグルコース、シュークロース、グリセロール、ラクトース、マルトース、フラクトース、糖蜜等が使用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプトン,肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物等が使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛等の塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミン等が必要に応じて使用される。この際、酵素誘導物質として、エチレングリコールに構造の似た化合物等を入れる事も有効である。培養条件は微生物が発育し、目的酵素を発現、蓄積し得る範囲で適宜変更し得るが、好ましくは温度10〜45℃程度、pH1〜10程度、1〜7日間程度である。
生育培地中にエチレングリコールを添加して、培養と同時にグリコール酸の生成酵素反応を行うことも可能であるが、その後の精製の際に培地成分の除去が必要になるので、培養液から分離した菌体をそのまま用いるか、菌体より取り出した目的酵素画分を用いて反応を行うことが望ましい。また、菌体または目的酵素を固定化することも通常行われる。反応は、菌体または目的酵素あるいはこれらの固定化物を水に懸濁し、原料となるエチレングリコール濃度を1〜40重量%程度になるように制御して、反応を行う。この際、生成するグリコール酸によるpHの低下にともない、通常の微生物では、反応効率が大幅に低下するが、キャンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属の微生物を用いた場合、pH5以下でも、反応が続行し、グリコール酸の高濃度の蓄積が可能であることが大きな特徴である。反応器の形式に関しては、回分式、連続式のいずれも可能である。
生成蓄積されたグリコール酸は一般的な採取法に準じて回収される。回収されたグリコール酸は高速液体クロマトグラフィー等により、濃度と純度が測定される。また、精製標品においては高速液体クロマトグラフィー、融点、紫外吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル、マススペクトル等による解析により生産物を同定した。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(菌体分離)
土壌サンプルもしくは食べ物をpH3に調整したYMブロス(0.2% DIFCO YMBroth)中に懸濁した後、1日間28℃条件下で振とう培養する。その懸濁液をpH7に調整したYM寒天培地(0.4% DIFCO YMagar)にまき、28℃で培養した。1〜2日間培養した後、生育していた菌体を、唯一の炭素源として4%エチレングリコールを含んだフェノールレッド寒天培地(0.3% BBLPhenol Red Base pH7.4)上にまき、28℃で培養する。プレート上に生育していたコロニーの周辺が黄色になったもの選び取り、培地(0.8% ニュートリエント ブロス(DIFCO nutrient broth) と1%プロピレングリコール(pH7))に植菌後、28℃で培養する。ここで生育してきた菌体を回収し、4%エチレングリコールを含む500mMリン酸バッファー液(pH7.2)に移して、酵素反応を行わせた。反応終了後、遠心分離を行い、上澄部分をHPLCで分析することによって、グリコール酸が検出されたものについて、菌体の分離を行った。
(分析条件)
カラム:Inertsil ODS-3 (5 mm, 4.6 X 250 mm, GL Science Inc. at 35℃)
移動相:0.1% phosphoric acid (pH 2.5)
検出 :UV210 nm
流速 :1.5 ml/min
(菌体分離)
土壌サンプルもしくは食べ物をpH3に調整したYMブロス(0.2% DIFCO YMBroth)中に懸濁した後、1日間28℃条件下で振とう培養する。その懸濁液をpH7に調整したYM寒天培地(0.4% DIFCO YMagar)にまき、28℃で培養した。1〜2日間培養した後、生育していた菌体を、唯一の炭素源として4%エチレングリコールを含んだフェノールレッド寒天培地(0.3% BBLPhenol Red Base pH7.4)上にまき、28℃で培養する。プレート上に生育していたコロニーの周辺が黄色になったもの選び取り、培地(0.8% ニュートリエント ブロス(DIFCO nutrient broth) と1%プロピレングリコール(pH7))に植菌後、28℃で培養する。ここで生育してきた菌体を回収し、4%エチレングリコールを含む500mMリン酸バッファー液(pH7.2)に移して、酵素反応を行わせた。反応終了後、遠心分離を行い、上澄部分をHPLCで分析することによって、グリコール酸が検出されたものについて、菌体の分離を行った。
(分析条件)
カラム:Inertsil ODS-3 (5 mm, 4.6 X 250 mm, GL Science Inc. at 35℃)
移動相:0.1% phosphoric acid (pH 2.5)
検出 :UV210 nm
流速 :1.5 ml/min
[実施例2]
0.8%ニュートリエントブロスと1%プロピレングリコールを含みpH7に調整した培地10mlに、Candida xestobii GA28(FERM P-20144)を植菌後、28℃で2日間300rpmで振盪培養した。培養後、3500rpmで10分間遠心分離し集菌した。その後、蒸留水で洗浄した。反応液として4%のエチレングリコールを含む蒸留水 (pH7)中で28℃、48時間、300rpm振盪し反応させた。反応は、3500rpmで10分間遠心分離し、菌体を除去する事によって停止した。その上澄をHPLCを用いて分析したところ、20.6g/Lのグリコール酸を得た。
また、反応液として、4%のエチレングリコールを含むリン酸バッファー(リン酸水素2カリウム−リン酸2水素カリウム、500mM、pH7.2)を用い、他の条件は同様にして反応を行ったところ、17.9g/Lのグリコール酸を得た。
上記反応液に蒸留水を使用した場合(A)と反応液にリン酸バッファーを使用した場合(B)の得られたグリコール酸濃度の比を取ると1.15であり、驚くべき事にCandida xestobii GA28(FERM P-20144)を用いた場合、反応液として蒸留水を用いた方が、バッファーを用いた場合よりもグリコール酸の生成濃度が高かった。また、グリコールアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、蟻酸といったエチレングリコールからの反応で想定される不純物のピークは見られなかった。
0.8%ニュートリエントブロスと1%プロピレングリコールを含みpH7に調整した培地10mlに、Candida xestobii GA28(FERM P-20144)を植菌後、28℃で2日間300rpmで振盪培養した。培養後、3500rpmで10分間遠心分離し集菌した。その後、蒸留水で洗浄した。反応液として4%のエチレングリコールを含む蒸留水 (pH7)中で28℃、48時間、300rpm振盪し反応させた。反応は、3500rpmで10分間遠心分離し、菌体を除去する事によって停止した。その上澄をHPLCを用いて分析したところ、20.6g/Lのグリコール酸を得た。
また、反応液として、4%のエチレングリコールを含むリン酸バッファー(リン酸水素2カリウム−リン酸2水素カリウム、500mM、pH7.2)を用い、他の条件は同様にして反応を行ったところ、17.9g/Lのグリコール酸を得た。
上記反応液に蒸留水を使用した場合(A)と反応液にリン酸バッファーを使用した場合(B)の得られたグリコール酸濃度の比を取ると1.15であり、驚くべき事にCandida xestobii GA28(FERM P-20144)を用いた場合、反応液として蒸留水を用いた方が、バッファーを用いた場合よりもグリコール酸の生成濃度が高かった。また、グリコールアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、蟻酸といったエチレングリコールからの反応で想定される不純物のピークは見られなかった。
〔実施例3〜6〕
異なる菌株を用いた以外は実施例2と同じ条件で反応を行った。
実施例3ではキャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)GA135(FERM P-20143)を実施例4ではピヒア・アノマラ(Pichia anomala)GA27株(FERM P-20146)を、実施例5ではロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)GA54(FERM P-20147)を、実施例6ではクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)GA105(FERM P-20145)をそれぞれ用いて反応を実施した。実施例2を含めて、結果を表1に示す。
これらの実施例のうち、(A)/(B)の比が最も低いものは、実施例5の0.67であった。また、グリコールアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、蟻酸といったエチレングリコールからの反応で想定される不純物のピークは見られなかった。
異なる菌株を用いた以外は実施例2と同じ条件で反応を行った。
実施例3ではキャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)GA135(FERM P-20143)を実施例4ではピヒア・アノマラ(Pichia anomala)GA27株(FERM P-20146)を、実施例5ではロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)GA54(FERM P-20147)を、実施例6ではクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)GA105(FERM P-20145)をそれぞれ用いて反応を実施した。実施例2を含めて、結果を表1に示す。
これらの実施例のうち、(A)/(B)の比が最も低いものは、実施例5の0.67であった。また、グリコールアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、蟻酸といったエチレングリコールからの反応で想定される不純物のピークは見られなかった。
〔比較例1および比較例2〕
実施例2と同じ条件で、グリコール酸生産能を有する公知の菌株、スポロボマイセス・ジョブンシニイ(Sporobolomyces jobnsonii)IFO 6903(比較例1)およびスプロボマイセス・コラリフォルミス(Sporobolomyces coralliformis)IFO 1032(比較例2)を用いて反応を行った。その結果を表1に示す。本発明の実施例で用いた菌株と異なり、(A)/(B)が著しく小さいことが判る。すなわち、これらの株では、反応液にバッファーを用いないと反応液が酸性になる為、グリコール酸の生成濃度が著しく小さくなる為である。また、エチレングリコールからの反応で想定される不純物であるシュウ酸の生成が確認された。
実施例2と同じ条件で、グリコール酸生産能を有する公知の菌株、スポロボマイセス・ジョブンシニイ(Sporobolomyces jobnsonii)IFO 6903(比較例1)およびスプロボマイセス・コラリフォルミス(Sporobolomyces coralliformis)IFO 1032(比較例2)を用いて反応を行った。その結果を表1に示す。本発明の実施例で用いた菌株と異なり、(A)/(B)が著しく小さいことが判る。すなわち、これらの株では、反応液にバッファーを用いないと反応液が酸性になる為、グリコール酸の生成濃度が著しく小さくなる為である。また、エチレングリコールからの反応で想定される不純物であるシュウ酸の生成が確認された。
本発明の微生物によれば、エチレングリコールから高純度のグリコール酸を製造することができ、ラップ原料用モノマー、医薬品原料、化粧品原料等の工業的生産の効率化が図られる。また、これらの微生物はバッファーを使用しない条件下でグリコール酸の製造が行えることから、コストを抑え、また、より一層の生産の効率化が図られる。
Claims (4)
- キャンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する真核微生物由来の酵素作用により、バッファーを使用しない条件下、エチレングリコールからグリコール酸を製造することを特徴とするグリコール酸の製造方法。
- キャンディダ(Candida)属に属する酵母がキャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)又はキャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)、ピヒア(Pichia)属に属する酵母がピヒア・アノマラ(Pichia anomala)、ロドトルーラ(Rhodotorula)属に属する酵母がロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)、クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する酵母がクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)であることを特徴とする請求項1に記載のグリコール酸の製造方法。
- キャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)に属する微生物がキャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)GA28(FERM P-20144)、 キャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)に属する微生物がキャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)GA135(FERM P-20143)、ピヒア・アノマラ(Pichia anomala)に属する酵母がピヒア・アノマラ(Pichia anomala)GA27株(FERM P-20146)、ロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)に属する酵母がロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)GA54(FERM P-20147)、クリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)に属する酵母がクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)GA105(FERM P-20145)であることを特徴とする請求項2に記載のグリコール酸の製造方法。
- キャンディダ・ゼストビ(Candida xestobii)GA28(FERM P-20144)及びその変異体、キャンディダ・ファーメンタティ(Candida fermentati)GA135(FERM P-20143)及びその変異体、ピヒア・アノマラ(Pichia anomala)GA27株(FERM P-20146)及びその変異体、ロドトルーラ・ムシラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)GA54(FERM P-20147)及びその変異体、またはクリプトコッカス・フミコラ(Cryptococcus humicola)GA105(FERM P-20145)及びその変異体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9783809B2 (en) | 2011-10-04 | 2017-10-10 | Teknologian Tutkimuskeskus Vtt Oy | Eukaryotic cell and method for producing glycolic acid |
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2004
- 2004-08-31 JP JP2004252068A patent/JP2006067823A/ja active Pending
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