JP2006067822A - 微生物を用いたグリコール酸の製造方法 - Google Patents

微生物を用いたグリコール酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規なグリコール酸生産菌を用いて効率よくグリコール酸を製造する方法を提供する事を課題とする。
【解決手段】本発明はエチレングリコール分子にある2個の水酸基のうち、1個のみを酸化し、グリコール酸を選択的に製造する能力があることをオーレオバシディウム(Aureobasidium)属とウイリオプシス (Williopsis)属に属する微生物に見出したことに基づくものであり、これらの微生物由来の酵素作用によりグリコール酸を製造する方法を提供する。さらに、グリコール酸製造に際し、バッファーを使用しない条件下グリコール酸を製造する方法を提供する。

Description

本発明は、微生物由来の酵素作用によりエチレングリコールからグリコール酸を製造する方法に関するものである。特に、オーレオバシディウム(Aureobasidium)属またはウイリオプシス (Williopsis)属に属する微生物由来の酵素作用を利用したグリコール酸の製造方法に関する。
従来、行われてきたグリコール酸の工業的製造は、ホルムアルデヒド、一酸化炭素および水を原料とした化学合成法であり、高純度の製品を得るためには高度の精製工程が必要であった。また、化学合成法は酸触媒下、高温、高圧下で行われ、コストおよび環境負荷の点でも問題があった。
一方、グリコール酸の微生物を用いた製造法としては、エチレングリコールを原料として酸化酵素の作用を用いる方法とグリコロニトリルを原料としてニトリル加水分解酵素の作用を用いる方法が知られている。
前者に用いる微生物の例としては、キャンディダ(Candida)属(特許文献1参照)、ピヒア(Pichia)属(特許文献2参照)、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属(特許文献2参照)、トルロプシス(Torulopsis)属(特許文献2参照)、ロドトルーラ(Rhodotorula)属(特許文献2参照)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属(特許文献2参照)、サッカロマイセス(Saccharomyces)属(非特許文献1参照)、ハンセヌラ(Hansenula)属(非特許文献1参照)、クリプトコッカス(Cryptococcus) 属(非特許文献1参照)等の酵母、あるいはノカルディア(Nocardia)属(特許文献3参照)、ロドコッカス(Rhodococcus)属(特許文献3参照)、グルコノバクター(Gluconobacter)属(非特許文献1参照)等のバクテリアが知られている。
また、後者に用いる微生物の例としてはコリネバクテリウム属(特許文献4参照)、ロドコッカス(Rhodococcus)属(特許文献5参照)、ゴルドナ (Gordona)属(特許文献5参照)、シュードモナス(Pseudomonas)属(非特許文献1参照)等のバクテリアがある。
しかし、グリコロニトリルを原料とした反応では、同時に等モルのアンモニアが生成し、実際にはグリコール酸アンモニウムの溶液ができる(特許文献5参照)。また、エチレングリコールを原料とした場合も、反応終了後にグリコール酸以外の不純物を含むこととなり、純度の点などから十分とは言えなかった。さらに、通常、微生物を用いてグリコール酸の製造を行う場合、バッファーを必要とし、反応後のバッファーの分離操作を必要とした。
特開昭54-119089号公報 特開平10-174593号公報 特開平10-174594号公報 特開昭61-56086号公報 特開平9-28390号公報 Biosci. Biotechnol. Biochem 65, 2265-2270, 2001
本発明は化学合成法にある問題点を解決するために、新規な微生物を用いてグリコール酸の製造を行い、高純度のグリコール酸を効率良く製造する方法の提供を課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは微生物によるグリコール酸の製造法について鋭意研究を行った結果、エチレングリコール分子中にある2個の水酸基のうち1個のみを酸化し、グリコール酸を選択的に製造する能力があることをオーレオバシディウム(Aureobasidium)属とウイリオプシス (Williopsis)属に属する微生物に見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、微生物由来の酵素の作用によりエチレングリコールからグリコール酸を生成させる方法において、使用する微生物がオーレオバシディウム(Aureobasidium)属に属するカビまたはウイリオプシス (Williopsis)属に属する酵母であることを特徴とするグリコール酸の製造法である。
加えて、上記のグリコール酸を製造するに際し、バッファーを使用しない条件下でグリコール酸を製造する方法である。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)微生物由来の酵素作用によりエチレングリコールからグリコール酸を製造する方法において、該微生物がオーレオバシディウム(Aureobasidium)属に属するカビまたはウイリオプシス (Williopsis)属に属する酵母であることを特徴とするグリコール酸の製造方法。
(2) オーレオバシディウム(Aureobasidium)属に属するカビがオーレオバシディウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans )またはウイリオプシス (Williopsis)属に属する酵母がウイリオプシス・サターナス(Williopsis saturnus) であることを特徴とする前記(1)に記載のグリコール酸の製造方法。
(3)オーレオバシディウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans )に属するカビがオーレオバシディウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans )GA37(FERM P−20142)またはウイリオプシス・サターナス (Williopsis)に属する酵母がウイリオプシス・サターナス(Williopsis saturnus) GA101(FERM P−20148)であることを特徴とする前記(2)に記載のグリコール酸の製造方法。
(4)微生物由来の酵素作用が、バッファーを使用しない条件下での酵素作用である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のグリコール酸の製造方法。
(5)オーレオバシディウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans )GA37(FERM P−20142)及びその変異体、またはウイリオプシス・サターナス(Williopsis saturnus) GA101(FERM P−20148)及びその変異体。
本発明の微生物によるグリコール酸の生産方法によれば、ラップ原料用モノマー、医薬品原料、化粧品原料等に用いられる高純度のグリコール酸のより効率的な工業的生産が可能となる。
また、バッファーを使用しなくても良いことから、反応後のバッファーの除去工程が不要となり、生産効率が上がるとともに、コストの低減にもつながる。
本発明で使用される微生物は、オーレオバシディウム(Aureobasidium)属に属するカビまたはウイリオプシス (Williopsis)属に属する酵母である。オーレオバシディウム(Aureobasidium)属に属するカビの一例としては、オーレオバシディウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans)GA37(FERM P−20142)等が挙げられる。また、ウイリオプシス (Williopsis)属に属する酵母の一例としては、ウイリオプシス・サターナス(Williopsis saturnus) GA101(FERM P−20148)等が挙げられる。
これらの微生物は本発明のために土壌および食品より単離された株であり、上記番号にて独立行政法人産業技術総合研究所に寄託(受理日平成16年7月30日)されている。さらに、これらの属の株に変異処理および遺伝子操作を加え、反応効率を高めたり、副反応を抑制する事も通常行われる。各寄託株の菌学的性質は以下の通りである。
Aureobasidium pullulans GA37株(FERM P−20142)
(a)培養的・形態的性質
(培養方法)
(1)ポテト・グルコース寒天培地(PDA)(Becton Dickinson,NJ,USA)
(2)オートミール寒天培地(OA) (Becton Dickinson,NJ,USA)
(3)2%麦芽エキス寒天培地(Becton Dickinson,NJ,USA)+1.5%寒天(MEA)
の3種類のプレートに接種し、25℃で最長2週間の培養を実施した。
コロニー色調に関する記載はKornerup and Wanscherに従った。
MAスライド培養検体の微視的特長の観察は光学顕微鏡U−LH1000(オリン パス)を用いて行った。
(巨視的観察結果)
全てのプレートにおいてコロニーは酵母様で湿性を示し、菌糸色は当初白色で、培養2・3日目で菌糸の着色が見られ、後にPDAプレートでgrayish green (1C-D 4-6)、OAプレートでorange white (5A-2) からolive (3E-5)、MEAプレートでolive (1E-F 4-8)の色調を呈した。全てのプレートにおいて裏面は表面と同様となり、裏面着色 (reverse coloration) は認められかった。25℃、1週間培養における生育はPDAプレートで直径28〜35mm、OAプレートで25〜30mm、MEAプレートで25〜30mmとなった。また、PDAおよびMEAプレートから無色透明の滲出液の産生が認められなかった。すべてのプレートにおいて可溶性色素の産生は認められなかった。
培養2週間までの検体からはテレオモルフの形成は確認されなかった。
(微視的観察結果)
栄養菌糸
菌糸は寒天表面上もしくは寒天内に形成され、気中菌糸の形成は認められなかった。 栄養菌糸は若いコロニーにおいて無色透明、薄い壁、表面が平滑、隔壁の間隔や菌糸の 幅 (3.7〜5μm)や大きさはほぼ一定の菌糸が観察でき、次第にコロニーが成熟してくる と暗色、厚壁、表面は平滑〜粗面、隔壁の間隔や菌糸の幅(5〜8.8μm,平均7.5μm)や大 きさは不均一の菌糸が観察できた。
生殖器官
1.分生子柄および分生子形成細胞
分生子柄は形成されず。分生子が取れた後の菌糸の先端あるいは中間部に、あまり 目立たない刺状突起状の分生子形成細胞が形成された。
2.分生子
出芽型分生子で分生子形成細胞より同調的に出芽して形成され、分生子は倒卵形〜 楕円形、無色、11.5× 3μm、1細胞性、やや厚壁、表面は平滑だった。
また、暗色菌糸の先端には分節型分生子様の球形〜卵形で1〜2細胞性の厚壁胞子 の形成が見られた。更に暗色菌糸の数カ所には菌糸内に無色の内生胞子 (6×2.5μm) の形成が観察できた。
3.有性生殖器官
長期培養検体からはテレオモルフの形成は確認されなかった。
(b)生理学的・化学分類学的性質
(1)最適生育条件 pH 3〜4 、温度 28℃
(2)近縁菌種とのDNA-DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2 ともに配列一致および系統樹上の位置か らAureobasidium pullulans 分類群への帰属が強く示唆された。
Williopsis saturnus GA101(FERM P−20148)株
栄養細胞の大きさ: 3μm〜5μm
形状 : 五角形 もしくは 六角形
増殖の形式
出芽 有
分裂の区別 無
菌糸 無
偽菌糸 無
有性生殖器官 有
Ascosporogenous 有
Ascospores cap-, saturn-shaped 有

寒天培地の生育の様相
色 白色からクリーム色
光沢 有
拡散性色素 無
液体培地の表面発育 無

生理学的・化学分類学的性質
最適生育条件(pH) 5.6
生育の範囲(pH) 2.5-8
最適生育条件(温度(℃)) 26
生育の範囲 (温度(℃)) 20-30
硝酸塩の資化 +
脂肪の分解 +
耐浸透圧性 -
カロチノイドの生成 -
顕著な有機酸の生成 +

炭素源資化性試験
D−アラビノース -
L−アラビノース -
D−リボース -
D−キシロース +
D−グルコース +
D−ガラクトース -
L−ラムノース D
L−ソルボース -
マルトース -
シュークロース +
ラクトース -
メリビオース -
セロビオース +
トレハロース -
ラフィノース +
メレジトース -
α−メチル−D−グルコシド -
D−グルコサミン -
アルブチン又はエスクリン +
可溶性デンプン -
イヌリン +
メタノール -
エタノール +
アドニトール -
エリスリトール -
イノシトール -
ズルシトール +
D−グルコン酸塩 +
グリセリン +
DL−乳酸塩 +
コハク酸塩 +
クエン酸塩 -
+:生育した −:生育しなかった D:7日以後に生育した
コエンザイムQの型については Q7

近縁菌種とのDNA-DNA相同性
ITS-5.8S rDNA および 28S rDNA-D1,D2 ともに配列一致および系統樹上の位置からWilliopsis saturnus分類群への帰属が強く示唆された。
これらの微生物の培養には、その栄養生理学的性質を考慮して培養条件を選択すれば良く、通常多くの場合は、液体培養で行う。培地の栄養源としては、微生物の培養に通常用いられるものが広く使用され得る。炭素源としては、資化可能な炭素化合物であればよく、例えばグルコース、シュークロース、グリセロール、ラクトース、マルトース、フラクトース、糖蜜等が使用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプトン,肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物等が使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛等の塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミン等が必要に応じて使用される。この際、酵素誘導物質として、エチレングリコールに構造の似た化合物等を入れる事も有効である。培養条件は微生物が発育し、目的酵素を発現、蓄積し得る範囲で適宜変更し得るが、好ましくは温度10〜45℃程度、pH 3〜10程度、1〜7日間程度である。
生育培地中にエチレングリコールを添加して、培養と同時にグリコール酸の生成酵素反応を行うことも可能であるが、その後の精製の際に培地成分の除去が必要になるので、培養液から分離した菌体をそのまま用いるか、菌体より取り出した目的酵素画分を用いて反応を行うことが望ましい。また、菌体または目的酵素を固定化することも通常行われる。反応は、菌体または目的酵素あるいはこれらの固定化物を水、緩衝液、生理食塩水等に懸濁し、原料となるエチレングリコール濃度を0.1〜40重量%程度になるように制御して、反応を行うことが望ましい。反応器形式に関しては、回分式、連続式のいずれも可能である。
また、本願発明のグリコール酸の製造方法においては、必要に応じ、バッファーを使用する代わりに、蒸留水を使用することもできる。グリコール酸製造時にバッファーを使用する必要がなければ、バッファーのコストも不要となると共に、バッファーを除く精製コストも不要となるという利点がある。
なお、本発明でいうバッファー(緩衝液)とは、リン酸水素2ナトリウム−リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2カリウム−リン酸2水素カリウム、酢酸−酢酸ナトリルム、MOPS-EDTA-酢酸ナトリウム緩衝液、トリス-酢酸-EDTA緩衝液、トリス-ホウ酸-EDTA緩衝液、トリス-リン酸-EDTA緩衝液、トリス-EDTA緩衝液、トリス-塩化ナトリウム-EDTA緩衝液、クエン酸-生理食塩水、塩化ナトリウム-EDTA-リン酸緩衝液、Tris HCl等の一般的に使用されるバッファーの事をいう。また、バッファーを使用しない条件とは上記のバッファーを含まない水もしくは蒸留水中で反応を行うと共に、NaOHのようなアルカリ性水溶液やアンモニアのような気体を用いてpHを調整することのない条件で反応を行うことをさす。
生成蓄積されたグリコール酸は一般的な採取法に準じて回収される。回収されたグリコール酸は高速液体クロマトグラフィー等により、濃度と純度が測定される。また、精製標品においては高速液体クロマトグラフィー、融点、紫外吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル、マススペクトル等による解析により生産物を同定する。

以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(菌体分離)
土壌サンプルもしくは食べ物をpH3に調整したYMブロス(0.2% DIFCO YMBroth)中に懸濁した後、1日間28℃条件下で振盪培養した。その懸濁液をpH7に調整したYM寒天培地(0.4% DIFCO YMagar)にまき、28℃で培養した。1〜2日間培養した後、生育していた菌体を、唯一の炭素源として4%エチレングリコールを含んだフェノールレッド寒天培地(0.3% BBLPhenol Red Base pH7.4)上にまき、28℃で培養した。プレート上に生育していたコロニーの周辺が黄色になったもの選び取り、培地(0.8% ニュートリエント ブロス(DIFCO nutrient broth) and 1%プロピレングリコール(pH7))に植菌後、28℃で培養した。ここで生育してきた菌体を回収し、4%エチレングリコールを含む500mMリン酸バッファー液(pH7.2)に移して、酵素反応を行わせた。反応終了後、遠心分離を行い、上澄部分をHPLCで分析することによって、グリコール酸が検出されたものについて、菌体の分離を行った。
(分析条件)
カラム:Inertsil ODS-3 (5 mm, 4.6 X 250 mm, GL Science Inc. at 35℃)
移動相:0.1% phosphoric acid (pH 2.5)
検出 :UV210 nm
流速 :1.5 ml/min
0.8%ニュートリエントブロスと1%プロピレングリコールを含みpH7に調整した培地10mlに、Aureobasidium pullulans GA37(FERM P−20142)を植菌後、28℃で2日間300rpm振盪培養した。培養後、3500rpmで10分間遠心分離し、集菌した菌体を蒸留水に懸濁し、再度、3500rpmで10分間遠心分離した。集菌した菌体を4%のエチレングリコールを含む500mMリン酸バッファー(pH7)中で28℃、48時間、300rpmで振盪反応させた。反応は、遠心分離(3500rpm、10分間)で菌体を除去する事によって停止した。遠心分離後の上澄をHPLCを用いて分析したところ、25.3g/Lのグリコール酸が生成していた。また、グリコールアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、蟻酸といったエチレングリコールからの反応で想定される不純物のピークは見られなかった。
実施例2と同様に、0.8%ニュートリエントブロスと1%プロピレングリコールを含みpH7に調整した培地培地10mlに、Williopsis saturnus GA101(FERM P−20148)を植菌後、28℃で2日間300rpmで振盪培養した。培養後、3500rpmで10分間遠心分離し、集菌した菌体を蒸留水に懸濁し、再度3500rpmで10分間遠心分離した菌体を4%のエチレングリコールを含む500mMリン酸バッファー(pH7)中で28℃、48時間、300rpmで振盪し反応させた。反応は、遠心分離(3500rpm、10分間)で菌体を除去する事によって停止した。遠心分離後の上澄をHPLCを用いて分析したところ、37.7g/Lのグリコール酸が生成していた。また、グリコールアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、蟻酸といったエチレングリコールからの反応で想定される不純物のピークは見られなかった。
4%のエチレングリコールを含む500mMリン酸バッファー(pH7)の代わりに4%のエチレングリコールを含む蒸留水を用いる以外は、実施例2と同様に実験を行った。その結果、28.3g/Lのグリコール酸が生成した。また、グリコールアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、蟻酸といったエチレングリコールからの反応で想定される不純物のピークは見られなかった。このことから、Aureobasidium pullulans GA37(FERM P−20142)を用いれば、バッファーが無い条件下でもバッファーがある条件下と同様にグリコール酸を生成することができた。
4%のエチレングリコールを含む500mMリン酸バッファー(pH7)の代わりに4%のエチレングリコールを含む蒸留水を用いる以外は、実施例3と同様に実験を行った。その結果、30.1g/Lのグリコール酸が生成した。また、グリコールアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、蟻酸といったエチレングリコールからの反応で想定される不純物のピークは見られなかった。このことから、Williopsis saturnus GA101(FERM P−20148)を用いれば、バッファーが無い条件下でもバッファーがある条件下の約80%のグリコール酸を生成することができた。
本発明の微生物によれば、エチレングリコールから高純度のグリコール酸を製造することができ、ラップ原料用モノマー、医薬品原料、化粧品原料等の工業的生産の効率化が図られる。また、これらの微生物はバッファーを使用しない条件下でもグリコール酸の製造が行えることから、より一層の効率化が図られる。

Claims (5)

  1. 微生物由来の酵素作用によりエチレングリコールからグリコール酸を製造する方法において、該微生物がオーレオバシディウム(Aureobasidium)属に属するカビまたはウイリオプシス (Williopsis)属に属する酵母であることを特徴とするグリコール酸の製造方法。
  2. オーレオバシディウム(Aureobasidium)属に属するカビがオーレオバシディウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans )またはウイリオプシス (Williopsis)属に属する酵母がウイリオプシス・サターナス(Williopsis saturnus) であることを特徴とする請求項1に記載のグリコール酸の製造方法。
  3. オーレオバシディウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans )に属するカビがオーレオバシディウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans )GA37(FERM P−20142)またはウイリオプシス・サターナス (Williopsis)に属する酵母がウイリオプシス・サターナス(Williopsis saturnus) GA101(FERM P−20148)であることを特徴とする請求項2に記載のグリコール酸の製造方法。
  4. 微生物由来の酵素作用が、バッファーを使用しない条件下での酵素作用である請求項1〜3のいずれかに記載のグリコール酸の製造方法。
  5. オーレオバシディウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans )GA37(FERM P−20142)及びその変異体、またはウイリオプシス・サターナス(Williopsis saturnus) GA101(FERM P−20148)及びその変異体。
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