JP2006064008A - 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高速回転時での遠心油圧の相殺を確実に行なうと共に、低速回転時でのベルト押圧力の低下を抑制することができる車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供する。
【解決手段】 プーリの可動シーブにベルトに作用するベルト押圧力を発生させる制御油圧が供給される制御油圧室45Aと遠心油圧キャンセル室45Bとを備えるベルト式無段変速機の油圧制御装置において、プーリの所定回転数以下のときに遠心油圧キャンセル室を減圧し、所定回転数より大きいときに減圧を中止する2段階作動の弁装置200を設ける。または、前記遠心油圧キャンセル室45Bに所定の油圧を供給し、この供給される所定の油圧分、前記制御油圧室45Aに供給される制御油圧を増圧して制御する手段を設ける。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置に関し、特に、2つの可変プーリの間でベルトにより動力伝達を行うとともに、ベルトの巻き掛け半径を変更することにより、その変速比を制御する構成の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置に関する。
一般に、車両の走行状態に応じた最適の条件でエンジンを運転することを目的として、エンジンの出力側に有段や無段の変速機が設けられている。このような、無段変速機の一例として、ベルト式無段変速機が挙げられる。このベルト式無段変速機は、平行に配置された2つの回転部材と、各回転部材に別々に取り付けられたプライマリプーリおよびセカンダリプーリとを有している。このプライマリプーリおよびセカンダリプーリは、共に、固定シーブと可動シーブとを組み合わせて構成されており、固定シーブと可動シーブとの間にV字形状の溝が形成されている。
さらに、プライマリプーリの溝およびセカンダリプーリの溝にベルトが巻き掛けられており、可動シーブに軸線方向の押圧力を発生させる油圧室が別個に設けられている。そして、各油圧室の油圧を別個に制御することにより、プライマリプーリの溝幅が制御されてベルトの巻き掛け半径が変化し、その変速比が変更される一方、セカンダリプーリの溝幅が変化してベルトの張力が制御される。
ところで、上記のようなベルト式無段変速機においては、油圧室が回転部材の外周側に設けられているために、遠心力により生じる油圧、いわゆる遠心油圧が油圧室に作用して、油圧室の油圧が、制御目標である油圧よりも高圧になる可能性がある。その結果、ベルトの押圧力が増大し、ベルト伝達効率の悪化やベルト耐久性への悪影響等が知られている。このような遠心油圧による不都合を解消するための対策としてのベルト式無段変速機の一例が特許文献1に記載されている。
この特許文献1には、特にその図2に、セカンダリシャフト(アウトプットシャフト)に設けられたセカンダリプーリ(ドリブンプーリ)が、セカンダリシャフトに一体的に形成された固定シーブ(固定側プーリ半体)と、セカンダリシャフト(アウトプットシャフト)に軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブ(可動側プーリ半体)とを有するベルト式無段変速機が記載されている。ここでは、この可動側プーリ半体の外周部側面に外側シリンダ部材が固定され、ピストン部材の外周に設けられたシール部材が外側シリンダ部材に摺動自在に当接されることにより、可動シーブを軸線方向に押圧する作動油室が可動側プーリ半体、この可動側プーリ半体に固定された外側シリンダ部材、ピストン部材およびアウトプットシャフト間に画成されている。さらに、外側シリンダ部材の内周に設けられたシール部材が内側シリンダ部材に摺動自在に当接されることにより、可動シーブに作動油室の押圧力とは逆向きの押圧力を与えるキャンセラ油室がピストン部材、外側シリンダ部材、内側シリンダ部材およびアウトプットシャフト間に画成されている。そして、このキャンセラ油室にはアウトプットシャフトに設けられた油孔を介して、潤滑用のオイルが供給されるように構成されている。
かくて、キャンセラ油室をこの油孔を除いては外部との連通がないほぼ密閉状態に形成することにより、遠心油圧キャンセル量を増大させて、高速回転時での遠心油圧の相殺を可能としている。
特開2002−295613号公報
ところで、かかる特許文献1に記載されたベルト式無段変速機のように、キャンセラ油室をほぼ密閉状態に形成することは、高速回転時での遠心油圧の相殺を可能とするには有効であるが、背反として、低速回転時においてもキャンセラ油室に圧力が発生することになる。この結果、遠心油圧が発生しないような低速回転時においてもキャンセラ油室に供給された油圧分の圧力による遠心油圧キャンセル量が生じて、可動シーブのベルト押圧力が要求押圧力以下となるおそれがあった。
本発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、高速回転時での遠心油圧の相殺を確実に行なうと共に、低速回転時でのベルト押圧力の低下を抑制することができる車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための、本発明の一形態による車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置は、プーリの可動シーブにベルトに作用するベルト押圧力を発生させる制御油圧が供給される制御油圧室と遠心油圧キャンセル室とを備えるベルト式無段変速機の油圧制御装置において、プーリの所定回転数以下のときに前記遠心油圧キャンセル室を減圧し、前記所定回転数より大きいときに減圧を中止する弁装置を設けたことを特徴とする。
ここで、前記弁装置は2段階作動であることが好ましい。
また、上記目的を達成するための、本発明の他の形態による車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置は、プーリの可動シーブにベルトに作用するベルト押圧力を発生させる制御油圧が供給される制御油圧室と遠心油圧キャンセル室とを備えるベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記遠心油圧キャンセル室に所定の油圧を供給し、この供給される所定の油圧分、前記制御油圧室に供給される制御油圧を増圧して制御する手段を設けたことを特徴とする。
本発明の一形態によれば、プーリの可動シーブにベルトに作用するベルト押圧力を発生させる制御油圧が供給される制御油圧室と遠心油圧キャンセル室とを備えるベルト式無段変速機の油圧制御装置において、プーリの所定回転数以下のときに前記遠心油圧キャンセル室を減圧し、前記所定回転数より大きいときに減圧を中止する弁装置が設けられているので、遠心油圧の相殺を必要としない所定回転数以下のときには遠心油圧キャンセル室が減圧されて、ベルト押圧力の低下が抑制される。また、所定回転数より大きいときには減圧が中止されるので、遠心油圧の相殺が行なわれる。
ここで、前記弁装置が2段階作動である形態によれば、遠心油圧キャンセル室内の圧力が上昇したときこの遠心油圧キャンセル室内の作動油を速やかに排出させることが可能であるので、変速応答性を良くすることができる。
本発明の他の形態によれば、プーリの可動シーブにベルトに作用するベルト押圧力を発生させる制御油圧が供給される制御油圧室と遠心油圧キャンセル室とを備えるベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記遠心油圧キャンセル室に所定の油圧を供給し、この供給される所定の油圧分、前記制御油圧室に供給される制御油圧を増圧して制御する手段が設けられているので、所定回転数より大きいときには遠心油圧の相殺が行なわれ、遠心油圧の相殺を必要としない所定回転数以下のときにも遠心油圧キャンセル室に供給される油圧の影響が排除されて、ベルト押圧力の低下が抑制される。
ここで、本発明に係る車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係るベルト式無段変速機が適用された車両の一部を示す概略構成図である。図1に示される車両1は、いわゆるFF車(フロントエンジンフロントドライブ:エンジン前置き前輪駆動車両)として構成されており、駆動源としてのエンジン2を備える。エンジン2としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジン、水素エンジン、あるいは、バイフューエルエンジン等が採用され得るが、ここでは、エンジン2としてガソリンエンジンが用いられるものとして説明する。
図1に示されるように、車両1は、横置きにされたエンジン2の側方に配置され、エンジン2のクランクシャフトSCと連結されるトランスアクスル3を有する。トランスアクスル3は、トランスアクスルハウジング4、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6を含む。ハウジング4は、エンジン2の側方に配置され、ケース5は、ハウジング4のエンジン2とは反対側の開口端に固定されている。また、リヤカバー6は、ケース5のハウジング4とは反対側の開口端に固定されている。そして、トランスアクスルハウジング4の内部には、トルクコンバータ7が配置されており、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6の内部には、前後進切り換え機構8、本発明に係るベルト式無段変速機(CVT)9、最終減速機(差動装置)10が配置されている。
トルクコンバータ7は、ドライブプレート11と、ドライブプレート11を介してエンジン2のクランクシャフトSCに固定されるフロントカバー12とを有する。フロントカバー12には、図1に示されるように、ポンプインペラ14が取り付けられている。また、トルクコンバータ7は、ポンプインペラ14と対向する状態で回転可能なタービンランナ15を含む。
タービンランナ15は、クランクシャフトSCと概ね同軸に延びる入力シャフトSIに固定されている。更に、ポンプインペラ14およびタービンランナ15の内側にはステータ16が配置されており、ステータ16の回転方向は、ワンウェイクラッチ17によって一方向にのみ設定される。ステータ16には、ワンウェイクラッチ17を介して中空軸18が固定されており、上述の入力シャフトSIは、この中空軸18の内部に挿通されている。そして、入力シャフトSIのフロントカバー12側の端部には、ダンパ機構19を介してロックアップクラッチ20が取り付けられている。
上述のポンプインペラ14、タービンランナ15およびステータ16は、作動液室を画成し、この作動液室には、トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間に配置されたオイルポンプ21から作動液が供給される。そして、エンジン2が作動し、フロントカバー12およびポンプインペラ14が回転すると、作動液の流れによりタービンランナ15が引きずられるようにして回転し始める。また、ステータ16は、ポンプインペラ14とタービンランナ15との回転速度差が大きい時に、作動液の流れをポンプインペラ14の回転を助ける方向に変換する。
これにより、トルクコンバータ7は、ポンプインペラ14とタービンランナ15との回転速度差が大きい時には、トルク増幅機として作動し、両者の回転速度差が小さくなると、流体継手として作動する。そして、車両1の発進後、車速が所定速度に達すると、ロックアップクラッチ20が作動され、エンジン2からフロントカバー12に伝えられた動力が入力シャフトSIに機械的かつ直接に伝達されるようになる。また、フロントカバー12から入力シャフトSIに伝達されるトルクの変動は、ダンパ機構19によって吸収される。
トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間のオイルポンプ21は、ロータ22を有し、このロータ22は、ハブ23を介してポンプインペラ14と接続されている。また、ハブ23は、中空軸18に対してスプライン嵌合されており、オイルポンプ21の本体24は、トランスアクスルケース5側に固定されている。従って、エンジン2の動力は、ポンプインペラ14を介してロータ22に伝達されることになり、これにより、オイルポンプ21が駆動される。
前後進切り換え機構8は、ダブルピニオン形式の遊星歯車機構25を有している。遊星歯車機構25は、入力シャフトSIの無段変速機9側の端部に取り付けられたサンギヤ26と、サンギヤ26の外周側に同心状に配置されたリングギヤ27と、サンギヤ26と噛み合う複数のピニオンギヤ28と、リングギヤ27およびピニオンギヤ28の双方と噛み合う複数のピニオンギヤ29と、各ピニオンギヤ28を自転可能に保持し、かつ、ピニオンギヤ28をサンギヤ26の周囲で一体的に公転可能な状態に保持するキャリヤ30とを含む。
前後進切り換え機構8のキャリヤ30は、ベルト式無段変速機9に含まれるプライマリシャフトSPに固定され、キャリヤ30と入力シャフトSIとの間の動力伝達経路は、フォワードクラッチCLを用いて接続または遮断される。また、前後進切り換え機構8は、リングギヤ27の回転・固定を制御するリバースブレーキBRを有している。
一方、本発明に係るベルト式無段変速機9は、入力シャフトSIと概ね同軸に延びる上述のプライマリシャフト(駆動側回転軸)SPと、プライマリシャフトSPと平行をなすように配置されたセカンダリシャフト(従動側回転軸)SSとを有する。プライマリシャフトSPは、軸受31および32によって回転自在に支持されており、セカンダリシャフトSSは、軸受33および34によって回転自在に支持されている。そして、プライマリシャフトSPには、プライマリプーリ35が、セカンダリシャフトSSには、セカンダリプーリ36がそれぞれ装備されている。
プライマリプーリ35は、プライマリシャフトSPの外周に一体に形成された固定シーブ37と、プライマリシャフトSPの外周に摺動自在に装着された可動シーブ38とにより構成されている。固定シーブ37と可動シーブ38とは互いに対向し合い、両者間には、略V字形状のプーリ溝39が形成される。また、可動シーブ38は、固定シーブ37に対してプライマリシャフトSPの軸方向に移動可能であり、無段変速機9は、可動シーブ38をプライマリシャフトSPの軸方向に移動させて可動シーブ38と固定シーブ37とを接近・離間させる油圧アクチュエータ40を有している。
同様に、セカンダリプーリ36も、セカンダリシャフトSSの外周に一体に形成された固定シーブ42と、セカンダリシャフトSSの外周に摺動自在に装着された可動シーブ43とにより構成されている。固定シーブ42と可動シーブ43とは互いに対向し合い、両者間には、略V字形状のプーリ溝44が形成される。また、可動シーブ43も、固定シーブ42に対してセカンダリシャフトSSの軸方向に移動可能であり、無段変速機9は、可動シーブ43をセカンダリシャフトSSの軸方向に移動させて可動シーブ43と固定シーブ42とを接近・離間させる油圧アクチュエータ45を有している。
上述のプライマリプーリ35のプーリ溝39と、セカンダリプーリ36のプーリ溝44とには、多数の金属製の駒および複数本のスチールリングにより構成されるベルトBが巻き掛けられる。そして、各油圧アクチュエータ40および45による油圧が別個に制御され、これにより、プライマリプーリ35およびセカンダリプーリ36の溝幅が変更されてベルトBの巻き掛け半径が変化する。この結果、無段変速機9による変速比が所望の値に設定されると共に、ベルトBの張力が調整されることになる。なお、セカンダリシャフトSSを支持する軸受34はトランスアクスルリヤカバー6に固定されており、軸受34とセカンダリプーリ36との間には、パーキングギヤPGが設けられている。
図1に示されるように、ベルト式無段変速機9のセカンダリシャフトSSには、軸受46および47によって支持されたシャフト48が連結されている。シャフト48には、ドライブギヤ49が固定されており、このドライブギヤ49を介して、ベルト式無段変速機9から最終減速機10に動力が伝達される。最終減速機10は、セカンダリシャフトSSと平行をなすように配置されたインターミディエイトシャフト50を含む。インターミディエイトシャフト50は、軸受51および52によって支持されており、シャフト50には、セカンダリシャフトSSのドライブギヤ49と噛み合うカウンタドリブンギヤ53と、ファイナルドライブギヤ54とが固定されている。
また、最終減速機10は、中空のデフケース55を有している。デフケース55は、軸受56および57によって回転自在に支持されており、その外周には、リングギヤ58が形成されている。このリングギヤ58は、インターミディエイトシャフト50のファイナルドライブギヤ54と噛み合っている。更に、デフケース55は、その内部にピニオンシャフト59を支持しており、ピニオンシャフト59には、2体のピニオンギヤ60が固定されている。各ピニオンギヤ60には、2体のサイドギヤ61が噛み合わされており、各サイドギヤ61には、フロントドライブシャフト62がそれぞれ別個に接続され、各フロントドライブシャフト62には、車輪(前輪)FWが固定されている。
さて、図2は、上述の本発明によるベルト式無段変速機9の要部を示す拡大断面図であり、同図は、無段変速機9のプライマリプーリ35およびプライマリシャフトSPに関連する構成を示している。プライマリシャフトSPは軸線を中心として回転可能であり、プライマリシャフトSPの一端には固定シーブ37が一体に形成され、内部には軸線方向に油路SPAが形成されている。そして、プライマリシャフトSPは固定シーブ37より外側で、上述のトランスアクスルケース5に固定された軸受31により回転自在に支持されている。プライマリシャフトSPの内部に軸線方向に形成された油路SPAは、油圧制御装置の油圧回路に連通されている。さらに、プライマリシャフトSPには、その外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路SPAに連通された油路SPBが設けられている。
一方、可動シーブ38は、プライマリシャフトSPの外周面に沿ってスライドする内筒部38Aと、内筒部38Aの固定シーブ37側の端部から外周側に向けて連続された半径方向部38Bと、半径方向部38Bの外周端に連続され、かつ、軸受33側に向けて軸線方向に伸ばされた外筒部38Cとを有している。そして、内筒部38Aには、その内周面から外周面に亘って貫通する油路38Dが形成されている。この油路38Dと油路SPBとはプライマリシャフトSPの外周面に形成された後述のスプライン部を介して連通されている。
すなわち、図2に示されるように、可動シーブ38の内筒部38Aの内周面には複数のスプライン歯(溝)38Sが形成されている。他方、可動シーブ38を摺動自在に支持するプライマリシャフトSPの外周面には、複数のスプライン溝(歯)SPGが形成されている。スプライン歯38Sおよびスプライン溝SPGは、歯面または溝表面がインボリュート曲線をなすように形成されており、プライマリシャフトSPと可動シーブ38とは軸方向に滑らかに相対移動可能であるが、プライマリシャフトSPと可動シーブ38とが円周方向には相対移動が不可能な状態とされている。
なお、径方向の油路SPBは、プライマリシャフトSPに形成されたスプライン溝SPGより軸方向の外側に形成されている。このようにすると、ベルトBから可動シーブ38を介してプライマリシャフトSPに伝達されるトルクの伝達経路外に、径方向の油路SPBが位置されることになるので、径方向油路SPBへの応力集中が生じず、プライマリシャフトSPの強度を確保することができる。
更に、ベルト式無段変速機9は、環状の隔壁部材であるシリンダ部材70を含む。シリンダ部材70は、図2からわかるように、プライマリシャフトSPの径方向に延びる第一径方向部70Aと、第一径方向部70AからプライマリシャフトSPの軸線と概ね平行に延びる第一筒状部70Bと、第一筒状部70Bから可動シーブ38の背面に沿ってプライマリシャフトSPの径方向に延びる第二径方向部70Cと、さらにこの第二径方向部70Cから可動シーブ38の外筒部38Cに対する逃げ用の湾曲部を介してプライマリシャフトSPの軸線と概ね平行に延びる第二筒状部70Dとを有している。
シリンダ部材70の第一径方向部70Aに形成されている中心孔部には、プライマリシャフトSPの先端の小径部が圧入され、シリンダ部材70は、ロックナット80を用いてプライマリシャフトSPの段部との間に固定されている。そして、シリンダ部材70の第一筒状部70Bは、不図示の環状のベアリングリテーナおよびボルトによってトランスアクスルリヤカバー6に固定されている軸受32によって回転自在に支持されている。これにより、プライマリシャフトSPが前述の軸受31と共に、シリンダ部材70(第一筒状部70B)を介して軸受32により回転自在に支持されることになる。
また、可動シーブ38の外筒部38Cの外縁部には、シリンダ部材70の第二筒状部70Dの内周面と摺接するようにシール部材72が配置されている。一方、可動シーブ38の内筒部38Aにおける軸方向端部の外周側には、シリンダ部材70の第一筒状部70Bの内周側と摺動自在に接触する、後述の第2摺動部38Fが形成されている。かくて、可動シーブ38の内筒部38A、半径方向部38B、外筒部38Cおよびシリンダ部材70によって、上述の油圧アクチュエータ40を構成する第一制御油圧室40Aが画成されている。一方、シリンダ部材70の第一径方向部70A、第一筒状部70B、可動シーブ38の内筒部38Aにおける軸方向端部およびプライマリシャフトSPによって、上述の油圧アクチュエータ40を構成する第二制御油圧室40Bが画成されている。この第一制御油圧室40Aおよび第二制御油圧室40B内の油圧を制御することにより、可動シーブ38を固定シーブ37に対して移動させてベルトBの巻き掛け半径を変化させることにより、所望の変速比を得ることができる。
また、可動シーブ38に対しては、プライマリシャフトSPの軸方向に離間されて第1の摺動部38Eと前述の第2の摺動部38Fとが設けられている。可動シーブ38の2つの摺動部のうち、第1の摺動部38Eは、スプライン38SよりもプライマリシャフトSPの軸方向における固定シーブ37側で、かつ、可動シーブ38の内周面に設けられており、プライマリシャフトSPの外周面と接触する。一方、第2の摺動部38Fは、上述のように、第1の摺動部38Eと軸方向に離間されて、かつ、可動シーブ38の内筒部38Aにおける軸方向端部の外周面に設けられている。そして、第2の摺動部38Fは、図2に示されるように、プライマリシャフトSPではなく、シリンダ部材70の第一筒状部70Bの内周面に接触する。
(本発明の一形態に係る実施形態)
一方、図3は、上述の本発明によるベルト式無段変速機9の別の要部を示す拡大半断面図であり、同図は、無段変速機9のセカンダリプーリ36およびセカンダリシャフトSSに関連する構成を示している。セカンダリシャフトSSは軸線を中心として回転可能であり、セカンダリシャフトSSの一端には固定シーブ42が一体に形成され、内部には軸線方向に油路SSAおよびSSBが形成されている。そして、セカンダリシャフトSSは固定シーブ42より外側で、上述のトランスアクスルリヤカバー6に固定された軸受34により、パーキングギヤPGと共に回転自在に支持されていること前述の通りである。セカンダリシャフトSSの内部に軸線方向に形成された油路SSAおよびSSBは、油圧制御装置の油圧回路に連通されている。さらに、セカンダリシャフトSSには、その外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路SSAに連通された油路SSCおよびSSDと油路SSBに連通された油路SSEとが設けられている。
一方、可動シーブ43は、セカンダリシャフトSSの外周面に沿ってスライドする内側筒状部43Aと、内側筒状部43Aの固定シーブ42側の端部から外周側に向けて連続された半径方向部43Bと、半径方向部43Bの外周端に連続され、かつ、軸受33側に向けて軸線方向に伸ばされた外側筒状部43Cとを有している。
すなわち、可動シーブ43の内側筒状部43Aの内周面には複数のスプライン歯(溝)が形成され、他方、可動シーブ43を摺動自在に支持するセカンダリシャフトSSの外周面には、複数のスプライン溝(歯)が形成されている。スプライン歯およびスプライン溝は、歯面または溝表面が例えばインボリュート曲線をなすように形成されており、セカンダリシャフトSSと可動シーブ43とは軸方向に滑らかに相対移動可能であるが、セカンダリシャフトSSと可動シーブ43とが円周方向には相対移動が不可能な状態とされている。
更に、ベルト式無段変速機9は、環状のピストン部材90を含む。ピストン部材90は、図3からわかるように、セカンダリシャフトSSの径方向に延びる第一径方向基部90Aと、第一径方向基部90AからセカンダリシャフトSSの軸線と概ね平行に延びる筒状部90Bと、筒状部90Bから可動シーブ43の背面に向かって屈曲しつつセカンダリシャフトSSの径方向に延びる第二径方向部90Cとを有している。この第二径方向部90Cの外縁部には、可動シーブ43の外側筒状部43Cの内周面と摺接するようにシール部材92が配置されている。そして、ピストン部材90にはさらに、その第一径方向基部90Aから筒状部90Bに亘り前述の油路SSEと後述する遠心油圧キャンセル室に連通する油路90Dが形成されている。
そして、このピストン部材90は、ピストン部材90の第一径方向基部90Aに形成されている中心孔に対し、セカンダリシャフトSSの先端の小径部が圧入され、ロックナット95を用いてセカンダリシャフトSSの段部との間に軸受33と共に固定されている。
また、100は略椀形をした隔壁部材であり、その大径側の外縁部100Aが可動シーブ43の外側筒状部43Cの自由端近傍の内周面に形成された段部に当接された状態でスナップリング102により可動シーブ43に固定されている。なお、この外縁部100Aには可動シーブ43の外側筒状部43Cの内周面に当接するシール部材94が配置されている。一方、隔壁部材100の小径側の内縁部100Bにはピストン部材90の筒状部90Bの外周面と摺接するようにシール部材96が配置されている。
かくて、可動シーブ43の内側筒状部43A、半径方向部43B、外側筒状部43Cおよびピストン部材90によって、上述の油圧アクチュエータ45を構成する制御油圧室45Aが画成されている。一方、ピストン部材90の第一径方向基部90A、筒状部90B、第二径方向部90C、可動シーブ43の外側筒状部43Cおよび隔壁部材100によって、上述の油圧アクチュエータ45を構成する遠心油圧キャンセル室45Bが画成されている。この制御油圧室45Aには、セカンダリシャフトSSの軸方向に形成された油路SSA、同じく半径方向に形成された油路SSCおよびSSDを介して油圧制御装置の油圧回路から制御された油圧の作動油が供給される。一方、遠心油圧キャンセル室45Bには、セカンダリシャフトSSの軸方向に形成された油路SSB、同じく半径方向に形成された油路SSEおよびピストン部材90に形成された油路90Dを介して潤滑用に供される作動油が供給される。
また、本発明の一形態に係る実施形態においては、遠心油圧キャンセル室45Bの一部を画成している外側筒状部43Cに、セカンダリプーリ36が所定回転数以下のときに遠心油圧キャンセル室45Bを減圧し、所定回転数より大きいときに減圧を中止する本発明に係る弁装置としての2段階作動のチェック弁200が設けられている。
このチェック弁200は、図4に詳細に示すように、外側筒状部43Cに形成された座繰り穴202に装着されるフランジを有する有底円筒状の弁本体210と、該弁本体210内に装置されたチェックボール220、チェックプレート230、低圧設定ばね240および高圧設定ばね250を主な構成部品として2段階作動が可能に構成されている。そして、外側筒状部43Cには座繰り穴202の中心部にドレーン孔204が形成されると共に、その上端にチェックボール220の弁座206が形成されている。さらに、該弁座206には、チェックボール220の着座時において、遠心油圧キャンセル室45Bから弁本体210内への作動油の流出を許容する連通溝208が斜め放射状に形成されている。
一方、上述のチェックプレート230には、その中心に貫通孔232とこれに連なる円錐座面234が形成されている。そして、さらにチェックプレート230の下縁部は面取りされて、弁本体210に形成された円錐座面212に対して当接可能とされており、この当接状態において、弁座206に着座状態にあるチェックボール220とチェックプレート230の円錐座面234との間に流路が形成される位置関係とされている。なお、弁本体210の筒側部には作動油排出孔214が形成されている。
しかして、上述の低圧設定ばね240は弁本体210の底部に形成されたばね受け216に一端が支持されつつ、チェックプレート230の貫通孔232を通って、チェックボール220を弁座206に向けて付勢している。また、上述の高圧設定ばね250は弁本体210の底部とチェックプレート230との間に介在され、チェックプレート230を弁本体210に形成された円錐座面212に対して付勢している。
ここで、上記チェックボール220の質量と低圧設定ばね240のばね定数との関係は、遠心油圧のキャンセルが必要となるセカンダリプーリ36の所定の回転速度において、チェックボール220がチェックプレート230の円錐座面234に密着して着座するように設定されている。すなわち、遠心油圧のキャンセルが必要とされない低速回転では、チェックボール220とチェックプレート230の円錐座面234との間に隙間が生じ、ドレーン孔204から隙間および貫通孔232を通過した作動油が作動油排出孔214から排出され、遠心油圧キャンセル室45Bの圧力上昇が防止ないしは減圧される。
また、遠心油圧のキャンセルが必要となるセカンダリプーリ36の高速回転では、チェックボール220に遠心力が作用し、チェックボール220が低圧設定ばね240の付勢力に打勝ってチェックプレート230側に移動し、円錐座面234に密着して着座する。かくて、貫通孔232が閉鎖され、遠心油圧キャンセル室45Bの減圧が中止される。この結果、遠心油圧キャンセル室45Bの圧力が上昇され、遠心油圧キャンセルの作用が奏される。
一方、高圧設定ばね250のばね定数は、セカンダリプーリ36の最大回転数において発生する遠心油圧キャンセル室45B内の遠心油圧よりも高い圧力がチェックプレート230に作用したときに、チェックプレート230の移動が行なわれるように設定されている。すなわち、急変速(急減速)時における制御油圧室45Aの圧力上昇に伴い遠心油圧キャンセル室45Bの圧力が上昇したときに、この高い圧力が高圧設定ばね250の付勢力に打勝ってチェックプレート230を移動させることによって、チェックプレート230の面取り下縁部と円錐座面212との間に隙間を生じさせ、遠心油圧キャンセル室45B内の作動油を速やかに排出させる。この結果、変速が速やかに行なわれるのである。
(本発明の他の形態に係る実施形態)
次に、本発明の他の形態に係る実施形態を、図5を参照しつつ説明する。この実施形態においては、前実施の形態が遠心油圧キャンセル室45Bの一部を画成している外側筒状部43Cに、セカンダリプーリ36が所定回転数以下のときに遠心油圧キャンセル室45Bを減圧し、所定回転数より大きいときに減圧を中止する2段階作動のチェック弁200を設けるようにしたのに対し、上記遠心油圧キャンセル室45Bに所定の油圧を供給し、この供給される所定の油圧分、制御油圧室45Aに供給される制御油圧を増圧して制御する手段を設けている点が異なっている。従って、セカンダリプーリ36の構成は、遠心油圧キャンセル室45Bの一部を画成している外側筒状部43Cにチェック弁200が設けられていないことを除き、他の構成は前実施の形態と同じであるから、同一構成部位には図3にて用いたのと同一符号を用いることにし、重複説明を避けることにする。
そこで、本発明の他の形態に係る実施形態における油圧回路300について、図6を参照しつつ説明する。図において、21は前述のオイルポンプであり、本実施の形態においては、オイルタンクないしはオイルパンから吸引されオイルポンプ21から吐出された作動油は油路302に供給される。油路302はCVT9の変速比およびベルトの押圧力を制御するレシオコントロールバルブRCVおよびベルト押圧力制御バルブBPCVに接続されている。油路302はさらに、前後進切替え機構8のフォワードクラッチCLおよびリバースブレーキBRの締結圧を制御するクラッチ圧力制御バルブCPCVに接続されている。
PRVは、油路302から分岐された油路304に設けられたプライマリレギュレータバルブ、SRVはプライマリレギュレータバルブPRVのドレーン系の油路306に直列に配置されたセカンダリレギュレータバルブである。油路306からは油路308が分岐され、該油路308はトルクコンバータ7のロックアップクラッチの係合圧を制御するロックアップ制御バルブLUCVに接続されている。セカンダリレギュレータバルブSRVは第1および第2のドレーン系を備えており、第1ドレーン系は潤滑油路310に、第2ドレーン系はオイルポンプ21への戻り油路312にそれぞれ連通されている。また、上述のトルクコンバータ系に接続されている油路308からは油路314が分岐され、この油路314は流量を調節するオリフィスを備えると共に、潤滑油路310に合流されている。
この合流部の下流の潤滑油路310からは各種潤滑部位に作動油を供給するための潤滑油路316が分岐されている。そして、この潤滑油路316からは、例えば、上述した潤滑部位である種々の軸受31、32、33,34等や、前後進切替え機構8および最終減速機10等へ、潤滑のための作動油を供給する潤滑油路316A、316B、316C等が分岐されている。そして、これらの潤滑油路316A、316B、316Cには、それぞれ、所要の作動油量に制御するための孔径に設定された流量調節オリフィスが設けられている。さらに、この分岐部の下流の潤滑油路310からは戻り油路312に連なる連通油路318が分岐され、該連通油路318には、所定の圧力で開かれるチェック弁320が設けられている。
一方、潤滑油路310は、上述の遠心油圧キャンセル室45Bに連通され、この遠心油圧キャンセル室45Bに上述の所定の圧力で開かれるチェック弁320によって制御された一定の供給油圧Pcを油路SSB、油路SSEおよびピストン部材90に形成された油路90Dを介して供給するようにされている。
一方、油路302に供給された作動油は、油路302から分岐された油路304に設けられ、変速比や入力トルク等に応じて制御されるプライマリレギュレータバルブPRVにより、所定のライン圧PLに調圧される。プライマリレギュレータバルブPRVから油路306にドレーンされた作動油は、次に、同じく変速比や入力トルク等に応じて制御されるセカンダリレギュレータバルブSRVによって、所定のセカンダリ圧に調圧される。
ライン圧PLを有する作動油は、レシオコントロールバルブRCVにより制御油圧Pdrとされ、プライマリ側の油圧アクチュエータ41に供給される。なお、このレシオコントロールバルブRCVは、デューティ制御されたソレノイドバルブDS1およびDS2により、ライン圧PLを制御油圧Pdrに減圧制御する。このソレノイドバルブDS1は、車輪速およびアクセル開度に応じて、ライン圧PLのプライマリ側の油圧アクチュエータ41への流入流量を制御し、ソレノイドバルブDS2は、同じく、車輪速およびアクセル開度に応じて、ライン圧PLのセカンダリ側の油圧アクチュエータ45への流出流量を制御するものである。
また、ライン圧PLを有する作動油は、ベルト押圧力制御バルブBPCVにより制御されて制御油圧Pdnとされ、セカンダリ側の油圧アクチュエータ45に供給される。なお、このベルト押圧力制御バルブBPCVは、入力軸トルクに応じてソレノイドバルブSLSにより制御され、ライン圧PLを制御油圧Pdnに減圧制御する。
さらに、ライン圧PLを有する作動油は、クラッチ圧力制御バルブCPCVにより制御されて、フォワードクラッチCLまたはリバースブレーキBRに供給される。なお、このクラッチ圧力制御バルブCPCVは、入力軸トルクに応じてソレノイドSLCにより制御され、フォワードクラッチCLまたはリバースブレーキBRの締結圧を制御する。
一方、セカンダリレギュレータバルブSRVによりセカンダリ圧に制御された作動油は、油路308を介してロックアップ制御バルブLUCVに送られ、それにより制御されてトルクコンバータ7に供給される。ロックアップ制御バルブLUCVは、ロックアップソレノイドバルブSLによってロックアップクラッチのON・OFF制御、ロックアップ係合用ソレノイドバルブDSUによってロックアップ係合油圧の漸増ないしは漸減を制御する。
なお、400は車両全体を制御するコントローラであり、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
このコントローラ400に対しては、エンジン2の運転状態を表す種々のパラメータ、例えば、エンジン回転速度、アクセル開度、スロットル開度センサの信号や、トランスアクスル3の状態を表す種々のパラメータ、例えば、トルクコンバータ7のトルク比やプライマリシャフトSPの回転速度NinおよびセカンダリシャフトSSの回転速度Nout等、さらには車速V等の情報が各種センサや演算結果の信号として入力され、予め実験等により求められているマップ等に基づいて、所要の変速比γ(=Nin/Nout)やベルト押圧力を得るべく、上述のソレノイドバルブDS1、DS2およびSLSが制御され、上述の制御油圧Pdrおよび制御油圧Pdnが形成される。
さらに、コントローラ400には、各種の信号に基づいてエンジン2およびロックアップクラッチならびにベルト式無段変速装置9の変速制御を行うためのデータも記憶されている。例えば、アクセル開度および車速などのような走行状態に基づいて、ベルト式無段変速装置9の変速比を制御することにより、エンジン2の最適な運転状態を選択するためのデータや、アクセル開度および車速をパラメータとするロックアップクラッチ制御マップがコントローラ400に記憶されており、このロックアップクラッチ制御マップに基づいてロックアップクラッチが係合・解放・スリップの各状態に制御される。そして、コントローラ400に入力される各種の信号や、コントローラ400に記憶されているデータに基づいて、コントローラ400から油圧制御装置に対して制御信号が出力される。
なお、入力トルクは、マップによりスロットル開度とエンジン回転数とに基づきエンジントルクを求め、更にトルクコンバータ7の入出力回転数から速度比を計算し、該速度比によりマップにてトルク比を求め、エンジントルクに上記トルク比を乗じて求められる。
次いで、上記実施の形態の作用について説明する。エンジン2の回転に基づくオイルポンプ21の回転により、油路302に所定の吐出油圧が発生し、該油圧はプライマリレギュレータバルブPRVが制御されることにより、ライン圧PLに調圧される。同時に、プライマリレギュレータバルブPRVに直列に配置されたセカンダリレギュレータバルブSRVにより、油路308を介してトルクコンバータ7に供給されるセカンダリ圧PSが所定の圧力に調圧される。セカンダリレギュレータバルブSRVは、オイルポンプ21の吐出量が少ないエンジン2の回転時においては第1ドレーン系から潤滑油路310に作動油を逃がしつつセカンダリ圧PSを調圧し、吐出量が多い高回転時においては、さらに第2ドレーン系からも油路312に作動油を逃がしつつ調圧する。
そこで、エンジン2の回転時、延いては入力シャフトSIの回転時においては、セカンダリレギュレータバルブSRVの第1ドレーン系の作動油が供給される潤滑油路310に、潤滑油路316およびこれから分岐された潤滑油路316A、316B、316Cを介して接続された、種々の軸受31、32、33、34等、前後進切替え機構8および最終減速機10の潤滑部位にオリフィスにより所要の流量に制御された作動油が供給される。同時に、この分岐部の下流で分岐された連通油路318に設けられている所定の圧力で開かれるチェック弁320によって、一定の供給油圧Pcに制御された作動油が油路SSB、油路SSEおよびピストン部材90に形成された油路90Dを介して遠心油圧キャンセル室45Bに供給される。
そして、上述の制御油圧室45Aに供給される理論上必要な制御油圧Pdnに対して、この一定の供給油圧Pcが加算された実行制御油圧PdnA(=Pdn+Pc)でもって、セカンダリ側の油圧アクチュエータ45が制御される。このようにすることによって、制御油圧室45Aに作用する実際の油圧は、PdnA−Pc=Pdnとなり、遠心油圧キャンセル室45Bに作用する供給油圧の影響を排除することができるのである。すなわち、遠心油圧のキャンセルを必要としないセカンダリプーリ36の低回転時においても、供給油圧Pcの影響を受けることなく全回転領域において、所期の遠心油圧のキャンセルを得ることができる。
ここで、車両の急加速時や急制動時における急ダウンシフト時の制御について説明すると、この急ダウンシフトが要求される車両の走行状態、すなわち、比較的変速比が小さい走行状態ないしは運転条件における急加速要求時や急制動時の急ダウンシフト時においては、変速比γが大きくなるように、プライマリ側の可動シーブ39を固定シーブ38から離れて溝幅が広くなる方向に移動させ、セカンダリ側の可動シーブ43を固定シーブ42側に向けて溝幅が狭くなる方向に速やかに移動させることが必要である。
本実施の形態では、コントローラ400がこの急ダウンシフト時を判断すると、制御油圧室45Aに上述の実行制御油圧PdnAが油路SSCおよび油路SSDを介して供給され、同時に、遠心油圧キャンセル室45Bの作動油はチェック弁320を介してドレーンされる。従って、可動シーブ43の移動が速やかに行われ、急ダウンシフトの応答性が向上するのである。
本発明に係るベルト式無段変速機の油圧制御装置を適用したトランスアクスルを示すスケルトン図である。 本発明に係るベルト式無段変速機の油圧制御装置のプライマリプーリの構成の一例を示す断面図である。 本発明の一形態に係るベルト式無段変速機の油圧制御装置の実施形態になるセカンダリプーリの構成を示す断面図である。 図3におけるチェック弁の拡大断面図である。 本発明の他の形態に係るベルト式無段変速機の油圧制御装置の実施形態になるセカンダリプーリの構成を示す断面図である。 本発明の他の形態に係るベルト式無段変速機の油圧制御装置の実施形態の油圧回路図である。
符号の説明
30 プライマリシャフト
31 セカンダリシャフト
36 プライマリプーリ
37 セカンダリプーリ
38 プライマリ側固定シーブ
39 プライマリ側可動シーブ
42 セカンダリ側固定シーブ
43 セカンダリ側可動シーブ
45A 制御油圧室
45B 遠心油圧キャンセル室
200 2段階作動チェック弁
240 低圧設定ばね
250 高圧設定ばね
300 油圧回路
310 潤滑油路
320 チェック弁
400 コントローラ

Claims (3)

  1. プーリの可動シーブにベルトに作用するベルト押圧力を発生させる制御油圧が供給される制御油圧室と遠心油圧キャンセル室とを備えるベルト式無段変速機の油圧制御装置において、
    プーリの所定回転数以下のときに前記遠心油圧キャンセル室を減圧し、前記所定回転数より大きいときに減圧を中止する弁装置を設けたことを特徴とする車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  2. 前記弁装置は2段階作動であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  3. プーリの可動シーブにベルトに作用するベルト押圧力を発生させる制御油圧が供給される制御油圧室と遠心油圧キャンセル室とを備えるベルト式無段変速機の油圧制御装置において、
    前記遠心油圧キャンセル室に所定の油圧を供給し、この供給される所定の油圧分、前記制御油圧室に供給される制御油圧を増圧して制御する手段を設けたことを特徴とする車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
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