JP2007170504A - ベルト式無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルトの芯ずれを良好かつ確実に抑制すると共に、固定シーブの倒れを抑制することができるベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】ケーシング内に回転可能に支持されたプライマリシャフトSPおよびセカンダリシャフトSSにそれぞれ設けられたプライマリプーリ36とセカンダリプーリ37に巻き掛けられるベルトBの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機において、プライマリシャフトSPおよびセカンダリシャフトSSの少なくとも何れか一方は、軸方向に移動可能に支持されており、該少なくとも何れか一方を可動シーブ38側から軸方向に付勢する第1の付勢手段70と、固定シーブ37側から軸方向に付勢する第2の付勢手段であって、固定シーブ37の外周部を作用点として軸方向に付勢する第2の付勢手段80とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】ケーシング内に回転可能に支持されたプライマリシャフトSPおよびセカンダリシャフトSSにそれぞれ設けられたプライマリプーリ36とセカンダリプーリ37に巻き掛けられるベルトBの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機において、プライマリシャフトSPおよびセカンダリシャフトSSの少なくとも何れか一方は、軸方向に移動可能に支持されており、該少なくとも何れか一方を可動シーブ38側から軸方向に付勢する第1の付勢手段70と、固定シーブ37側から軸方向に付勢する第2の付勢手段であって、固定シーブ37の外周部を作用点として軸方向に付勢する第2の付勢手段80とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、ケーシング内に回転可能に支持された第1および第2の回転軸と、第1および第2の回転軸にそれぞれ固設された第1および第2の固定シーブ、および、第1および第2の回転軸の外周にそれぞれ軸方向に移動可能に設けられた第1および第2の可動シーブからなる第1および第2の可変プーリと、これらの第1および第2の可変プーリに巻き掛けられるベルトとを含み、前記ベルトの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機に関する。
従来から、車両用の変速装置として、ベルト式無段変速機が知られている。この種のベルト式無段変速機は、互いに平行に配列された入力軸(駆動側回転軸)および出力軸(従動側回転軸)と、入力軸と出力軸とにそれぞれ設けられた可変プーリとを備える。各可変プーリは、固定シーブと、固定シーブに対して移動可能な可動シーブとを含むものである。固定シーブと可動シーブとの間には、略V字形状のプーリ溝が形成され、各可変プーリのプーリ溝には、無端ベルトが巻き掛けられる。また、各可変プーリに対しては、それぞれの可動シーブを対応する固定シーブに対して接近離間させるための油室が設けられている。各油室の油圧は別個に制御され、これにより、可変プーリの溝幅が変更されてベルトの巻き掛け半径が変化し、変速比が所望の値に設定されると共に、ベルトの張力が調整されることになる。
ここで、上述のようなベルト式無段変速機においてベルトの巻き掛け半径を変化させた場合、特に、最大変速比や最小変速比付近で、入力軸側のプーリ溝の中心と出力軸側のプーリ溝の中心とがずれることにより、ベルトの芯ずれが発生し、ベルトの偏摩耗による耐久性の低下や振動が生ずることが知られている。
これに対処すべく、特許文献1に記載のベルト式無段変速機では、入力軸および出力軸の少なくとも一方をハウジングに対し軸方向移動可能に取り付けると共に、該移動可能となった軸とハウジングとの間に該軸を軸方向に移動させるアクチュエータを設け、溝幅の変化に伴って発生するベルトの芯ずれ量に応じてアクチュエータを駆動することにより、芯ずれを補正するようにしている。
また、特許文献2には、回転軸の一端にクラッチ機構により制御されるカム機構、他端にこの一端方向に付勢する弾性部材を備え、芯ずれ量に対応させてクラッチ機構を制御し、カム機構により回転軸を軸方向に往復動させる芯ずれ調整手段を備えたベルト式無段変速機が開示されている。
さらに、特許文献3には、回転軸は軸方向移動不能であるが、油圧力によって固定シーブを支持する支持力を固定シーブの背面全域に付与することにより、固定シーブの変形を抑制し、もってVベルトの芯ずれを低減するベルト式無段変速機が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のベルト式無段変速機においては、溝幅の変化に伴って発生するベルトの芯ずれ量に応じてアクチュエータを駆動することにより、芯ずれを補正するようにしているので、芯ずれの補正はある程度可能であるが、ベルトの挟圧に起因するシーブの倒れについては考慮されておらず、改善の余地がある。
そこで、本発明の目的は、ベルトの芯ずれを良好かつ確実に抑制すると共に、固定シーブの倒れを抑制することができるベルト式無段変速機を提供することにある。
本発明によるベルト式無段変速機の一形態は、ケーシング内に回転可能に支持された第1および第2の回転軸と、第1および第2の回転軸にそれぞれ固設された第1および第2の固定シーブ、および、第1および第2の回転軸の外周にそれぞれ軸方向に移動可能に設けられた第1および第2の可動シーブからなる第1および第2の可変プーリと、これらの第1および第2の可変プーリに巻き掛けられるベルトとを含み、前記ベルトの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機において、前記第1および第2の回転軸の少なくとも何れか一方は、軸方向に移動可能に支持されており、前記少なくとも何れか一方の回転軸を可動シーブ側から軸方向に付勢する第1の付勢手段と、前記少なくとも何れか一方の回転軸を固定シーブ側から軸方向に付勢する第2の付勢手段であって、前記固定シーブの外周部を作用点として軸方向に付勢する第2の付勢手段と、を備えることを特徴とする。
この形態によるベルト式無段変速機では、それぞれケーシング内に回転可能に支持された第1および第2の回転軸の少なくとも何れか一方が軸方向に移動可能に支持されており、第1の付勢手段によって可動シーブ側から軸方向に付勢されると共に、第2の付勢手段によって固定シーブ側から軸方向に付勢されている。従って、ベルトの巻き掛け半径を変化させた際には第1の付勢手段による付勢力を制御することにより、上記第1および第2の回転軸の少なくとも何れか一方を軸方向に移動させてベルトの芯ずれを無くすことができる。そして、このベルト式無段変速機では、前記第2の付勢手段が固定シーブの外周部を作用点として軸方向に付勢するように構成されているので、ベルト挟圧力により固定シーブが倒れると第1の付勢手段にその倒れ量に対応した反力を発生させることができ、これにより、固定シーブの倒れが抑制される。この結果、このベルト式無段変速機によれば、ベルトの芯ずれを良好かつ確実に抑制すると共に、固定シーブの倒れを抑制することができる。
ここで、上記形態において、前記第1の付勢手段および第2の付勢手段の何れか一方が油圧アクチュエータにより構成されると共に、前記可動シーブ押圧用の油圧が供給される油路を前記少なくとも何れか一方の回転軸内の軸方向に有し、該油路は、該回転軸内に生ずる軸方向の力を相殺するように構成されていることが好ましい。
この形態によれば、前記少なくとも何れか一方の回転軸内の軸方向に形成され、可動シーブ押圧用の油圧が供給される油路が該回転軸内に生ずる軸方向の力を相殺するように構成されているので、可動シーブ押圧用の油圧が供給された場合であっても、その油圧によっては該回転軸に軸方向の荷重が発生されない。従って、該回転軸は上記何れか一方の油圧アクチュエータの油圧によってのみ移動制御できるので、芯ずれ抑制のための制御が容易となる。
また、上記形態において、前記第1の付勢手段および第2の付勢手段の何れか一方が油圧アクチュエータにより構成されると共に、その他方が弾性部材から構成され、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸の軸方向位置は、前記油圧アクチュエータへの油圧供給が無く、変速比が最減速時に、芯ずれが最小となるように設定されていてもよい。
この形態によれば、エンジン始動時、被牽引時、制御系フェイル時等の油圧アクチュエータへの油圧供給が無く、変速比が最減速時に、芯ずれが最小となるように第1の回転軸および第2の回転軸の軸方向位置が設定されているので、このようなときのベルトの耐久性を高めることができる。
以下、図面と共に本発明によるベルト式無段変速機の好適な実施形態について詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明によるベルト式無段変速機が適用された車両を示す概略構成図である。図1に示される車両1は、いわゆるFF車両(フロントエンジンフロントドライブ:エンジン前置き前輪駆動車両)として構成されており、駆動源としてのエンジン2を備える。エンジン2としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジン、水素エンジン、あるいは、バイフューエルエンジン等が採用され得るが、ここでは、エンジン2としてガソリンエンジンが用いられるものとして説明する。
図1は、本発明によるベルト式無段変速機が適用された車両を示す概略構成図である。図1に示される車両1は、いわゆるFF車両(フロントエンジンフロントドライブ:エンジン前置き前輪駆動車両)として構成されており、駆動源としてのエンジン2を備える。エンジン2としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジン、水素エンジン、あるいは、バイフューエルエンジン等が採用され得るが、ここでは、エンジン2としてガソリンエンジンが用いられるものとして説明する。
図1に示されるように、車両1は、横置きにされたエンジン2の側方に配置され、エンジン2のクランクシャフトSCと連結されるトランスアクスル3を有する。トランスアクスル3は、コンバータハウジング4、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6を含む。コンバータハウジング4は、エンジン2の側方に配置され、トランスアクスルケース5は、コンバータハウジング4のエンジン2とは反対側の開口端に固定されている。また、リヤカバー6は、トランスアクスルケース5のコンバータハウジング4とは反対側の開口端に固定されている。そして、コンバータハウジング4の内部には、トルクコンバータ7が配置されており、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6の内部には、前後進切り換え機構8、本発明の第1実施形態に係るベルト式無段変速機(CVT)9、最終減速機(差動装置)10が配置されている。
トルクコンバータ7は、ドライブプレート11と、ドライブプレート11を介してエンジン2のクランクシャフトSCに固定されるフロントカバー12とを有する。フロントカバー12には、図1に示されるように、ポンプインペラ14が取り付けられている。また、トルクコンバータ7は、ポンプインペラ14と対向する状態で回転可能なタービンランナ15を含む。
タービンランナ15は、クランクシャフトSCと概ね同軸に延びる入力シャフトSIに固定されている。更に、ポンプインペラ14およびタービンランナ15の内側にはステータ16が配置されており、ステータ16の回転方向は、ワンウェイクラッチ17によって一方向にのみ設定される。ステータ16には、ワンウェイクラッチ17を介して中空軸18が固定されており、上述の入力シャフトSIは、この中空軸18の内部に挿通されている。そして、入力シャフトSIのフロントカバー12側の端部には、ダンパ機構19を介してロックアップクラッチ20が取り付けられている。
上述のポンプインペラ14、タービンランナ15およびステータ16は、作動液室を画成し、この作動液室には、トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間に配置されたオイルポンプ21から作動液が供給される。そして、エンジン2が作動し、フロントカバー12およびポンプインペラ14が回転すると、作動液の流れによりタービンランナ15が引きずられるようにして回転し始める。また、ステータ16は、ポンプインペラ14とタービンランナ15との回転速度差が大きい時に、作動液の流れをポンプインペラ14の回転を助ける方向に変換する。
これにより、トルクコンバータ7は、ポンプインペラ14とタービンランナ15との回転速度差が大きい時には、トルク増幅機として作動し、両者の回転速度差が小さくなると、流体継手として作動する。そして、車両1の発進後、車速が所定速度に達すると、ロックアップクラッチ20が作動され、エンジン2からフロントカバー12に伝えられた動力が入力シャフトSIに機械的かつ直接に伝達されるようになる。また、フロントカバー12から入力シャフトSIに伝達されるトルクの変動は、ダンパ機構19によって吸収される。
トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間のオイルポンプ21は、ロータ22を有し、このロータ22は、ハブ23を介してポンプインペラ14と接続されている。また、中空軸18は、オイルポンプ21の本体24に接続されており、オイルポンプ21の本体24は、トランスアクスルケース5側に固定されている。従って、エンジン2の動力は、ポンプインペラ14を介してロータ22に伝達されることになり、これにより、オイルポンプ21が駆動される。
前後進切り換え機構8は、ダブルピニオン形式の遊星歯車機構25を有している。遊星歯車機構25は、入力シャフトSIの無段変速機9側の端部に取り付けられたサンギヤ26と、サンギヤ26の外周側に同心状に配置されたリングギヤ27と、サンギヤ26と噛み合う複数のピニオンギヤ28と、リングギヤ27およびピニオンギヤ28の双方と噛み合う複数のピニオンギヤ29と、各ピニオンギヤ28を自転可能に保持し、かつ、ピニオンギヤ28をサンギヤ26の周囲で一体的に公転可能な状態に保持するキャリヤ30とを含む。
前後進切り換え機構8のキャリヤ30は、ベルト式無段変速機9に含まれるプライマリシャフト(第1の回転軸)SPに相対回転不能に連結され、キャリヤ30と入力シャフトSIとの間の動力伝達経路は、フォワードクラッチCLを用いて接続または遮断される。また、前後進切り換え機構8は、リングギヤ27の回転・固定を制御するリバースブレーキBRを有している。
一方、本発明の第1実施形態に係るベルト式無段変速機9は、入力シャフトSIと概ね同軸に延びる上述のプライマリシャフト(第1の回転軸、すなわち、駆動側回転軸)SPと、プライマリシャフトSPと平行をなすように配置されたセカンダリシャフト(第2の回転軸、すなわち、従動側回転軸)SSとを有する。プライマリシャフトSPは、軸受31および32によって回転自在に支持されており、軸受31および32は、プライマリシャフトSPの軸方向における移動を許容する。また、セカンダリシャフトSSは、軸受33および34によって回転自在に支持されており、軸受33および34は、本実施形態では、セカンダリシャフトSSの軸方向における移動を許容しない。さらに本実施形態では、軸受31および32として、その内周輪と外周輪とを軸方向に相対移動可能とした円筒ころがり軸受が採用されている。また、軸受31〜34のうち、軸受31および33(の外周輪)は、トランスアクスルケース(ケーシング)5に固定されており、軸受32および34(の外周輪)は、トランスアクスルリヤカバー(ケーシング)6に固定されている。ここで、上記括弧内に示したように、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6は、本発明に云うケーシングを構成している。
そして、プライマリシャフトSPには、可変プーリとして構成されたプライマリプーリ35が、セカンダリシャフトSSには、可変プーリとして構成されたセカンダリプーリ36がそれぞれ装備されている。プライマリプーリ35は、プライマリシャフトSPの外周に一体に形成された固定シーブ37と、プライマリシャフトSPの外周に摺動自在に装着された可動シーブ38とにより構成されている。固定シーブ37と可動シーブ38とは互いに対向し合い、両者間には、略V字形状のプーリ溝39が形成される。また、可動シーブ38は、固定シーブ37に対して相対回転不能であるがプライマリシャフトSPの軸方向に移動可能であり、無段変速機9は、可動シーブ38をプライマリシャフトSPの軸方向に移動させて可動シーブ38と固定シーブ37とを接近・離間させる油圧アクチュエータ40を有している。
同様に、セカンダリプーリ36も、セカンダリシャフトSSの外周に一体に形成された固定シーブ41と、セカンダリシャフトSSの外周に摺動自在に装着された可動シーブ42とにより構成されている。固定シーブ41と可動シーブ42とは互いに対向し合い、両者間には、略V字形状のプーリ溝44が形成される。また、可動シーブ42も、固定シーブ41に対して相対回転不能であるがセカンダリシャフトSSの軸方向に移動可能であり、無段変速機9は、可動シーブ42をセカンダリシャフトSSの軸方向に移動させて可動シーブ42と固定シーブ41とを接近・離間させる油圧アクチュエータ45を有している。
また、上述のプライマリプーリ35のプーリ溝39と、セカンダリプーリ36のプーリ溝44とには、多数の金属製の駒および複数本のスチールリングにより構成されるベルトBが巻き掛けられている。そして、各油圧アクチュエータ40および45による油圧が別個に制御され、これにより、プライマリプーリ35およびセカンダリプーリ36の溝幅が変更されてベルトBの巻き掛け半径が変化する。この結果、無段変速機9による変速比が所望の値に設定されると共に、ベルトBの張力が調整されることになる。なお、軸受34とセカンダリプーリ36との間には、パーキングギヤPGが設けられている。
図1に示されるように、ベルト式無段変速機9のセカンダリシャフトSSには、軸受46および47によって支持されたシャフト48が連結されている。シャフト48には、ドライブギヤ49が固定されており、このドライブギヤ49を介して、ベルト式無段変速機9から最終減速機10に動力が伝達される。最終減速機10は、セカンダリシャフトSSと平行をなすように配置されたインターミディエートシャフト50を含む。インターミディエートシャフト50は、軸受51および52によって支持されており、シャフト50には、セカンダリシャフトSSのドライブギヤ49と噛み合うカウンタドリブンギヤ53と、ファイナルドライブギヤ54とが固定されている。
また、最終減速機10は、中空のデフトランスアクスルケース55を有している。デフトランスアクスルケース55は、軸受56および57によって回転自在に支持されており、その外周には、リングギヤ58が形成されている。このリングギヤ58は、インターミディエートシャフト50のファイナルドライブギヤ54と噛み合っている。更に、デフトランスアクスルケース55は、その内部にピニオンシャフト59を支持しており、ピニオンシャフト59には、2体のピニオンギヤ60が固定されている。各ピニオンギヤ60には、2体のサイドギヤ61が噛み合わされており、各サイドギヤ61には、フロントドライブシャフト62がそれぞれ別個に接続され、各フロントドライブシャフト62には、車輪(前輪)FWが固定されている。
なお、本発明の実施形態においては、プライマリプーリ35のプライマリシャフトSPが軸方向に移動可能に支持されており、このプライマリシャフトSPを可動シーブ38側から軸方向に付勢する第1の付勢手段としてのシャフト移動用の油圧アクチュエータ70が配置されると共に、同じくプライマリシャフトSPを固定シーブ37側から軸方向に付勢する第2の付勢手段としての後述の弾性部材80(図1には示されていない)が配置されている。
以下、該油圧アクチュエータ70および弾性部材80の詳細について、図2を参照しつつ説明する。
さて、図2は、上述の本発明の第1の実施形態によるベルト式無段変速機9の要部を示す拡大断面図であり、同図は、無段変速機9のプライマリプーリ35に関連する構成を示している。プライマリシャフトSPは軸線を中心として回転可能であり、プライマリシャフトSPの内部には軸線方向に油路SPAが形成されている。この油路SPAは後述のように油圧制御装置の油圧回路に連通される。さらに、プライマリシャフトSPには、その外周面に向け半径方向に伸ばされ、油路SPAに連通された油路SPBおよびSPCが設けられている。油路SPBと油路SPCとは、軸線方向の異なる位置に設けられており、具体的には、油路SPBの方が油路SPCよりもプライマリシャフトSPの端部に近い位置に配置されている。
一方、可動シーブ38は、回転軸としてのプライマリシャフトSPの外周面に沿ってボールスプライン機構を介して摺動する内筒部38Aと、内筒部38Aの固定シーブ37側の端部から外周側に向けて連続された半径方向部38Bと、半径方向部38Bの外周側近傍に連続され、かつ、軸受32側に向けて軸線方向に伸ばされた外筒部38Cとを有している。さらに、内筒部38Aには、その内周面から外周面に亘って貫通する油路38Dが形成されている。この油路38Dと油路SPCとはプライマリシャフトSPの外周面に形成された環状切欠を介して連通されている。
さらに、ベルト式無段変速機9は、環状の隔壁部材である第1シリンダ部材91、第2シリンダ部材92およびピストン部材93を含んでいる。図2からわかるように、第1シリンダ部材91は、プライマリシャフトSPの径方向に延びる径方向部91Aと、径方向部91AからプライマリシャフトSPの軸線と概ね平行に延びる筒状部91Bとを有している。また、第2シリンダ部材92は、同じくプライマリシャフトSPの径方向に延びる第一径方向部92Aと、径方向部91AからプライマリシャフトSPの軸線と概ね平行に延びる筒状部92Bと、筒状部92Bから可動シーブ38の背面に沿ってプライマリシャフトSPの径方向に延びる第二径方向部92Cとを有している。そして、ピストン部材93は、これらの第1シリンダ部材91および第2シリンダ部材92のそれぞれの筒状部91Bおよび筒状部92Bとの間に位置され、ピストン部材93の外周端および内周端にはそれぞれシール部材93Aおよび93Bが設けられている。ピストン部材93の外周端のシール部材93Aは第1シリンダ部材91の筒状部91Bの内周面に摺接し、内周端のシール部材93Bは第2シリンダ部材92の筒状部92Bの外周面に摺接する。
なお、第1シリンダ部材91および第2シリンダ部材92の径方向部91Aおよび第一径方向部92Aに形成されている中心孔部には、プライマリシャフトSPの先端の小径部が圧入され、第1シリンダ部材91および第2シリンダ部材92は、トランスアクスルリヤカバー6に外周輪32Aが固定されている軸受32の内周輪32Bと共に、ロックナットLNを用いてプライマリシャフトSPの段部との間に固定されている。
また、第2シリンダ部材92の第二径方向部92Cの外周端にもシール部材92Dが設けられ、シール部材92Dは可動シーブ38の外筒部38Cの内周面に摺接するように配置されている。かくて、第2シリンダ部材92と可動シーブ38との間に上述の油圧アクチュエータ40の一部を構成する第一油圧室40Aが画成されている。さらに、主に、第1シリンダ部材91とピストン部材93との間には、同じく上述の油圧アクチュエータ40の一部を構成する第二油圧室40Bが画成されている。なお、この第二油圧室40Bに対しては、第2シリンダ部材92の第一径方向部92Aと筒状部92Bとの境界部に形成された油路92Eおよび第一油圧室40Aを介して、油圧が供給される。従って、この第一油圧室40Aおよび第二油圧室40B内の油圧を制御することにより、可動シーブ38を固定シーブ37に対して移動させてベルトBの巻き掛け半径を変化させることにより、所望の変速比を得ることができる。
さらに、図2に示されるように、ベルト式無段変速機9のプライマリシャフトSPの一端(図2における左端)側には、前述のシャフト移動用の油圧アクチュエータ70が配置されている。本実施の形態においては、油圧アクチュエータ70はトランスアクスルリヤカバー6に形成された環状のキャビティ70A内に摺動自在に配置された環状のピストン70Bを有している。環状のピストン70Bは、プライマリシャフトSPの中心軸とほぼ垂直をなす頂端面と、プライマリシャフトSPと同心の外周面および内周面とを有している。そして、該ピストン70Bの頂端面側に形成される油圧室70Cに油路70Dが開口されている。さらに、環状のピストン70Bの内周側および外周側にはそれぞれ油圧室70Cのシール用のO−リング70Eおよび70Fが配置されている。なお、この油路70Dは後述の油圧制御装置の油圧回路200に連通されている。
一方、ピストン70Bの底端部と軸受32の内周輪32Bとの間には、スラストベアリング72が設けられており、ピストン70Bの軸方向移動に伴い、軸受32の内周輪32B、延いては、プライマリシャフトSPが軸方向に移動される。このとき、トランスアクスルリヤカバー6に固定されている軸受32の外周輪32Aと内周輪32Bとが軸方向に相対移動可能となるように、軸受32はローラ32Cを有する円筒ころがり軸受で構成されること前述の通りである。
さらに、図2に示されるように、ベルト式無段変速機9のプライマリシャフトSPの他端(図2における右端)側には、第2の付勢手段としての弾性部材80が配置されている。より詳しく説明すると、プライマリシャフトSPの他端部では、前述の軸線方向に形成された油路SPAが直径ΦAに拡径されて拡径部SPDが形成されると共に、該拡径部SPDがさらに拡径されて凹部SPEが形成されている。また、プライマリシャフトSPの外周面が切削等により縮径された小径部SPFが形成されている。そして、この小径部SPFに対し、軸受31の内周輪31Bが圧入等により取付けられている。なお、この軸受31の外周輪31Aは前述のようにトランスアクスルケース(ケーシング)5に固定されており、外周輪31Aと内周輪31Bとが軸方向に相対移動可能となるように、軸受31はローラ31Cを有する円筒ころがり軸受で構成されること前述の通りである。
ここで、軸受31の外周輪31Aにはその固定シーブ37側にスラストベアリング82が配置されている。そして、このスラストベアリング82と固定シーブ37との間に、本実施形態では、皿ばねにて構成される弾性部材80(以下、皿ばね80と称することもある)が設けられている。この皿ばね80は、その最外径部が固定シーブ37の最外周部37Aに当接し、最内径部がスラストベアリング82に固着されたスペーサ84に支持されるように取付けられており、固定シーブ37の最外周部37Aを力の作用点として軸方向に付勢する。この結果、プライマリシャフトSPも軸方向に付勢される。
なお、本実施の形態では、上述のプライマリシャフトSPの凹部SPEの内周面にスプラインが形成され、前述の前後進切り換え機構8のキャリヤ30からの出力軸30Aの外周面に形成されたスプラインに、軸方向移動可能であるが相対回転不能に連結されている。
さらに、本実施の形態では、プライマリシャフトSPの内部に形成され、可動シーブ38押圧用の油圧が供給される油路について、プライマリシャフトSP内に生ずる軸方向の力を相殺するように構成されている。より詳しく説明すると、プライマリシャフトSPの他端(図2における右端)側には、直径ΦAの拡径部SPDが形成されていること上述の通りである。これに対し、プライマリシャフトSPの一端(図2における左端)側にも直径ΦBの拡径部SPGが開口されて形成され、この両者の直径がそれぞれ等しい、すなわち、ΦA=ΦBとされている。そして、この拡径部SPGには、トランスアクスルリヤカバー6に形成された陥凹部に圧入等により固設される閉鎖プラグ74が、プライマリシャフトSPと相対回転および軸方向移動可能に、嵌装可能とされている。閉鎖プラグ74にはその外周部に環状溝74Aが形成され、シールリング74Bが装着されており、プライマリシャフトSPの拡径部SPG、延いては、油路SPAをシールしている。
一方、上述のプライマリシャフトSPの他端側の拡径部SPDには圧油供給スリーブ86がプライマリシャフトSPと相対回転および軸方向移動可能に嵌装されている。この圧油供給スリーブ86は、本実施の形態では、前後進切り換え機構8のキャリヤ30からの出力軸30Aの内部を通り、サンギヤ26が取付けられている入力シャフトSIに固設されている。そして、入力シャフトSIに形成された油路から圧油供給スリーブ86を介して、可動シーブ38押圧用の油圧が後述の油圧制御装置の油圧回路200から供給されるように構成されている。圧油供給スリーブ86にはその外周部に環状溝86Aが形成され、シールリング86Bが装着されており、油路SPAをシールしている。
かくて、可動シーブ38押圧用の油圧が、圧油供給スリーブ86を介して油路SPAに供給され、さらに、油路SPBおよびSPCを介して第一油圧室40Aおよび第二油圧室40Bに供給されたとしても、油路SPAの両端には等しい直径の拡径部SPDおよび拡径部SPGがプライマリシャフトSPが貫通された形態で形成され、閉鎖プラグ74および圧油供給スリーブ86がそれぞれにプライマリシャフトSPと相対回転および軸方向移動可能に嵌装されており、プライマリシャフトSPにはかかる可動シーブ38押圧用の油圧による軸方向の荷重ないしは力が作用しないようにされている。
次に、上述の油圧制御装置の油圧回路200について、図3を参照しつつ説明する。
図3において、21は前述のオイルポンプであり、本実施の形態においては、オイルタンクないしはオイルパンから吸引されオイルポンプ21から吐出された作動油は油路202に供給される。油路202はCVT9の変速比およびベルトの挟圧力を制御するレシオコントロールバルブRCVおよびベルト挟圧力制御バルブBPCVに接続されている。油路202はさらに、前後進切替え機構8のフォワードクラッチCLおよびリバースブレーキBRの締結圧を制御するクラッチ圧力制御バルブCPCVに接続され、フォワードクラッチCLおよびリバースブレーキBRはそれぞれ前後進切替え操作されるマニュアルバルブMVを介してクラッチ圧力制御バルブCPCVに接続されている。さらに、油路202から分岐された油路205には後述のように制御用ソレノイドの元圧を形成するための減圧バルブPMVが設けられている。
PRVは、油路202から分岐された油路204に設けられたプライマリレギュレータバルブ、SRVはプライマリレギュレータバルブPRVのドレン系の油路206に直列に配置されたセカンダリレギュレータバルブである。油路206からは油路208が分岐され、該油路208は後述のように油路210に合流されている。また、油路204からは油路207が分岐され、後述するシャフト位置制御バルブ300に接続されている。
セカンダリレギュレータバルブSRVは第1および第2のドレン系を備えており、第1ドレン系は油路210に、第2ドレン系は油路212にそれぞれ連通されている。また、上述の油路208は流量を調節するオリフィスを備えると共に、油路210に合流されている。
この合流部の下流の油路210には流量調節オリフィスが設けられ、その下流からは、上述の無段変速装置9の潤滑部位である種々の軸受等や、前後進切替え機構8および最終減速機10等へ、潤滑のための作動油を供給する潤滑油路210A、210B、210C等が分岐されている。そして、これらの潤滑油路210A、210B、210Cには、それぞれ、所要の作動油量に制御するための孔径に設定された流量調節オリフィスが設けられている。一方、油路212は所定の圧力で開かれるリリーフバルブが介設されてオイルポンプ21の吸込み側に連通されている。
シャフト位置制御バルブ300は、図3に示すように、スプール式弁であり、小径の第1ランド3101、大径の第2ランド3102およびこれと同径の第3ランド3103とを有するスプール310が、バルブボディ320に収容されて構成されている。スプール310はリターンスプリング330でもって初期位置(図3示の左半分)に偏倚されるよう付勢されている。バルブボディ320には、スプール310の小径の第1ランド3101の端部に開口する制御ポート3201が設けられ、該制御ポート3201に導入される制御油圧でもってスプール310をリターンスプリング330に抗して移動させる。バルブボディ320にはさらに、上述の油路207に連通され、上記初期位置において大径の第2ランド3102および第3ランド3103との間で全開され、スプール310の移動に伴い開口面積が減少される入力ポート3202、油圧アクチュエータ70に接続される出力ポート3203、第1ドレンポート3204および第2ドレンポート3205が形成されると共に、フィードバックポート3206が形成されている。
そして、この制御ポート3201には上述の油路207が接続され、後述のように、リニアソレノイドSLLにより制御された油圧が供給される。また、出力ポート3203は油路218を介して油圧アクチュエータ70の油圧室70Cに開口する油路70Dに接続されている。なお、この油路218からは油路220が分岐され、オリフィス222を介してフィードバックポート3206に連通されている。
油路202に供給された作動油は、油路202から分岐された油路204に設けられ、変速比や入力トルク等に応じて制御されるプライマリレギュレータバルブPRVにより、所定のライン圧PLに調圧される。プライマリレギュレータバルブPRVから油路206にドレンされた作動油は、次に、同じく変速比や入力トルク等に応じて制御されるセカンダリレギュレータバルブSRVによって、所定のセカンダリ圧に調圧される。
ライン圧PLを有する作動油は、レシオコントロールバルブRCVにより制御油圧Pdrとされ、プライマリ側の油圧アクチュエータ40に供給される。なお、このレシオコントロールバルブRCVは、デューティ制御されたソレノイドバルブDS1およびDS2により、ライン圧PLを制御油圧Pdrに減圧制御する。このソレノイドバルブDS1は、車輪速およびアクセル開度に応じて、ライン圧PLのプライマリ側の油圧アクチュエータ40への流入流量を制御し、ソレノイドバルブDS2は、同じく、車輪速およびアクセル開度に応じて、ライン圧PLのセカンダリ側の油圧アクチュエータ45への流出流量を制御するものである。
また、ライン圧PLを有する作動油は、ベルト挟圧力制御バルブBPCVにより制御されて制御油圧Pdnとされ、セカンダリ側の油圧アクチュエータ45に供給される。なお、このベルト挟圧力制御バルブBPCVは、入力軸トルクに応じてソレノイドバルブSLSにより制御され、ライン圧PLを制御油圧Pdnに減圧制御する。
さらに、ライン圧PLを有する作動油は、クラッチ圧力制御バルブCPCVにより制御され、マニュアルバルブMVの切り替えに対応してフォワードクラッチCLまたはリバースブレーキBRに供給される。なお、このクラッチ圧力制御バルブCPCVは、入力軸トルクに応じてソレノイドSLCにより制御され、フォワードクラッチCLまたはリバースブレーキBRの締結圧を制御する。
一方、セカンダリレギュレータバルブSRVによりセカンダリ圧に制御された作動油は、油路を介して不図示のロックアップ制御バルブに送られ、それにより制御されてトルクコンバータ7に供給される。ロックアップ制御バルブは、ロックアップソレノイドバルブによってロックアップクラッチのON・OFFを制御し、ロックアップ係合用ソレノイドバルブによってロックアップ係合油圧の漸増ないしは漸減を制御する。
さらに、プライマリレギュレータバルブPRVにより所定のライン圧PLに制御された作動油は、油路207を介してシャフト位置制御バルブ300の入力ポート3202に供給され、そして、シャフト位置制御バルブ300は制御ポート3201に供給される油圧に応じて制御される。
なお、400は車両全体を制御するコントローラであり、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
このコントローラ400に対しては、エンジン1の運転状態を表す種々のパラメータ、例えば、エンジン回転速度、アクセル開度、スロットル開度センサの信号や、トランスアクスル3の状態を表す種々のパラメータ、例えば、トルクコンバータ7のトルク比やインプットシャフトSPの回転速度NinおよびアウトプットシャフトSSの回転速度Nout等、さらには車速V等の情報が各種センサや演算結果の信号として入力される。そして、予め実験等により求められているマップ等に基づいて、所要の変速比γ(=Nin/Nout)やベルト挟圧力を得るべく、上述のソレノイドバルブDS1、DS2およびSLSが制御され、上述の制御油圧Pdrおよび制御油圧Pdnが形成される。
このように構成されるベルト式無段変速機9では、所望の変速比を得るためにベルトBの巻き掛け半径を変化させると、ベルトBは、プライマリプーリ35側およびセカンダリプーリ36側で、プライマリシャフトSPおよびセカンダリシャフトSSの軸方向における一方向に移動する。この際、プライマリプーリ35のプーリ溝39の中心と、セカンダリプーリ36のプーリ溝44の中心がずれると、ベルトBの芯ずれが発生する。
例えば、全変速比領域において最大芯ずれ量が小さくなるように、プライマリプーリ35とセカンダリプーリ36とがレイアウトされている場合、プライマリプーリ35のプーリ溝39の中心を基準位置に取ってセカンダリプーリ36のプーリ溝44の中心の位置を示すと、その位置は変速比γの変化に応じて図4に示すように変化する。すなわち、セカンダリプーリ36のプーリ溝44の中心は、プライマリプーリ35のプーリ溝39の中心に対して、変速比γが最大(γ=γmax)および最小(γ=γmin)のとき、図1中右寄りにΔx移動し、変速比γがγ=1のとき、図1中左寄りにΔx移動する。換言すると、上記基準位置を0とすると、変速比γが最大(γ=γmax)および最小(γ=γmin)のときの芯ずれ量は(+)Δxであり、γ=1のときの芯ずれ量は(−)Δxである。
本実施の形態では、かかるセカンダリプーリ36のプーリ溝44の中心の移動に応じて、軸受31および32により回転可能に支持されたプライマリシャフトSPを軸方向に移動させることによりそのプーリ溝39の中心を移動させ、これにより、ベルトBの芯ずれを無くすようにしているのである。
次いで、本実施の形態におけるシャフト位置制御バルブ300の制御の一例について、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態の制御は、所定の周期で実行される。
そこで、制御がスタートすると、ステップS501において現在の変速比γが算出され、この算出された変速比γに対応させて芯ずれ量が0となるプライマリシャフトSPの所定位置が算出ないしは予め実験等により定められているマップ値から求められる。そして、ステップS502に進み、この所定位置が得られる、油圧アクチュエータ70への供給油圧Pcontが同じく算出ないしは予め実験等により定められているマップ値から求められると共に、この供給油圧Pcontを得るために、シャフト位置制御バルブ300の制御ポート3201に及ぼされる制御油圧としての、リニアソレノイドSLLにより制御されるリニアソレノイド圧Ppilotが設定される。リニアソレノイド圧Ppilotが設定されると、次のステップS503で、コントローラ400はリニアソレノイドSLLにその旨の制御信号を出力し、シャフト位置制御バルブ300の制御ポート3201に及ぼされるリニアソレノイド圧Ppilotがこの設定油圧となるようにする。この状態では、出力ポート3203から供給される油圧が供給油圧Pcontとなるべくシャフト位置制御バルブ300のスプール310が位置され、油圧アクチュエータ70へ供給油圧Pcontが供給開始される。
このようにして油圧アクチュエータ70へ供給油圧Pcontが供給されると、油圧アクチュエータ70のピストン70Bの受圧面積に応じた押圧力でもってプライマリシャフトSPが皿ばね80の付勢力に抗して軸方向に移動され、所定の位置で釣合うことになる。この結果、芯ずれ量が0となる。
このとき、プライマリシャフトSPの軸方向への移動およびベルト挟圧力により固定シーブ37が部分的に倒れようとするが、本実施の形態では、皿ばね80が固定シーブ37の外周部を作用点として軸方向に付勢するように構成されており、皿ばね80がその倒れ量に対応した反力を発生するので、これにより、固定シーブ37の倒れが抑制される。かくて、本実施の形態のベルト式無段変速機によれば、ベルトの芯ずれが良好かつ確実に抑制されると共に、固定シーブ37の倒れが抑制されるのである。
〔第2実施形態〕
以下、図6を参照しながら、本発明によるベルト式無段変速機の第2実施形態について説明する。ベルト式無段変速機の第2実施形態においても、プライマリシャフトSPのみが軸方向に移動可能とされており、セカンダリシャフトSSは、軸方向に移動可能とされてはいないので、図6にはプライマリプーリ35のみが示されている。
以下、図6を参照しながら、本発明によるベルト式無段変速機の第2実施形態について説明する。ベルト式無段変速機の第2実施形態においても、プライマリシャフトSPのみが軸方向に移動可能とされており、セカンダリシャフトSSは、軸方向に移動可能とされてはいないので、図6にはプライマリプーリ35のみが示されている。
ここで、上述の第1実施形態においてはプライマリシャフトSPと別体にピストン70Bを設けることにより油圧アクチュエータ70を構成していたのに対し、第2実施形態においては、このピストン70Bが省略されると共にプライマリシャフトSPが直接に制御油圧を受けるように構成されている点で第1実施形態と異なるのみである。従って、異なる部位を重点的に説明し、上述の第1実施形態に関連して説明されたものと同一の要素には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略される。
そこで、第2実施形態における油圧アクチュエータ70’は、プライマリシャフトSPの一端(図6における左端)に直径ΦCの拡径部SPHが開放して形成されると共に、該拡径部SPHには圧油供給スリーブ76がプライマリシャフトSPと相対回転および軸方向移動可能に嵌装されている。この圧油供給スリーブ76は、本実施の形態では、トランスアクスルリヤカバー6に形成された開口70A’に圧入等により固設されている。そして、圧油供給スリーブ76が拡径部SPHに嵌装されて形成される油圧室70C’に油路70D’が開口されている。圧油供給スリーブ76にはその外周部に環状溝76A‘が形成され、シールリング76B’が装着されており、油圧室70C’をシールしている。
一方、第1実施形態ではプライマリシャフトSPが貫通される形態で、油路SPA、拡径部SPD、SPEおよびSPGが形成されていたのに対し、本第2実施形態では油路SPAはその一端が閉鎖されている。
このように構成された第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、油圧アクチュエータ70’へ供給油圧Pcontが供給されると、プライマリシャフトSPの一端の拡径部SPHにおける直径ΦCにより定まる受圧面積に応じた押圧力でもってプライマリシャフトSPが皿ばね80の付勢力に抗して軸方向に移動され、所定の位置で釣合うことになる。この結果、芯ずれ量が0となる。そして、固定シーブ37の外周部を作用点として軸方向に付勢するように構成されている皿ばね80が固定シーブ37の倒れ量に対応した反力を発生する結果、固定シーブ37の倒れが抑制される。かくて、本実施の形態においても、ベルトの芯ずれが良好かつ確実に抑制されると共に、固定シーブ37の倒れが抑制される。
〔第3実施形態〕
以下、図7を参照しながら、本発明によるベルト式無段変速機の第3実施形態について説明する。この第3実施形態においても、プライマリシャフトSPのみが軸方向に移動可能とされており、セカンダリシャフトSSは、軸方向に移動可能とされてはいないので、図7にはプライマリプーリ35のみが示されている。
以下、図7を参照しながら、本発明によるベルト式無段変速機の第3実施形態について説明する。この第3実施形態においても、プライマリシャフトSPのみが軸方向に移動可能とされており、セカンダリシャフトSSは、軸方向に移動可能とされてはいないので、図7にはプライマリプーリ35のみが示されている。
ここで、上述の第1および第2実施形態においては、可動シーブ38側からプライマリシャフトSPを軸方向に付勢する第1の付勢手段としての油圧アクチュエータ70および70’をそれぞれ配置し、固定シーブ37側からプライマリシャフトSPを軸方向に付勢する第2の付勢手段としての弾性部材の皿ばね80を配置しているのに対し、第3実施形態においては、この第1の付勢手段として複数の弾性部材のコイルスプリング80’が配置され、第2の付勢手段として油圧アクチュエータ70”が配置されている点で第1および第2実施形態と異なるのみである。従って、同じく異なる部位を重点的に説明し、上述の第1および第2実施形態に関連して説明されたものと同一の要素には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略される。
より詳述すると、第1実施形態(図2)においてピストン70が配置されていたトランスアクスルリヤカバー6の部位に周方向にほぼ等間隔に第1の付勢手段としての複数のコイルスプリング80’が配置されている。そして、この複数のコイルスプリング80’は、それぞれ、スラストベアリング72を介して軸受32の内周輪32B、延いては、プライマリシャフトSPを軸方向に付勢している。
一方、第2の付勢手段としての油圧アクチュエータ70”はトランスアクスルケース5に形成された環状のキャビティ70A”内に摺動自在に配置された環状のピストン70B”を有している。環状のピストン70B”は、プライマリシャフトSPの中心軸と垂直をなす頂端面と、プライマリシャフトSPと同心の外周面および内周面とを有している。そして、該ピストン70B”の頂端面側に形成される油圧室70C”に油路70D”が開口されている。さらに、環状のピストン70B”の内周側および外周側にはそれぞれ油圧室70C”のシール用のO−リング70E”および70F”が配置されている。なお、この油路70D”は前述の油圧制御装置の油圧回路200に連通されている。
そして、環状のピストン70B”の底端部はスラストベアリング82’を介して固定シーブ37の外周部に当接されている。この油圧アクチュエータ70”に対し油圧が供給されていないときには、プライマリシャフトSPはコイルスプリング80’により固定シーブ37が可動シーブ38から離れる方向に付勢され、同様に、油圧アクチュエータ40にも油圧が供給されないときには、固定シーブ37と可動シーブ38とが最大に離間した変速比の最減速時となる(図7の上半分参照)。
そこで、この第3実施形態においては、第1の回転軸であるプライマリシャフトSPと第2の回転軸であるセカンダリシャフトSSの軸方向位置が、油圧アクチュエータ70”および油圧アクチュエータ40への油圧供給が無く、変速比が最減速時に、ベルトBの芯ずれが最小となるように設定されている。すなわち、図4に示したグラフを用いて説明すると、変速比γ=γmaxのときに芯ずれ量Δx=0となることを意味する。
かくて、このように構成された第3実施形態でも、第1および第2実施形態と同様に、油圧アクチュエータ70”へ供給油圧Pcontが供給されると、ピストン70B”の受圧面積に応じた押圧力でもってプライマリシャフトSPがコイルスプリング80’の付勢力に抗して軸方向に移動され、所定の位置で釣合うことになる。この結果、芯ずれ量が0となる。そして、固定シーブ37の外周部を作用点として軸方向に付勢するように構成されている油圧アクチュエータ70”のピストン70B”が固定シーブ37を均等に押圧する結果、固定シーブ37の倒れが抑制される。かくて、本実施の形態においても、ベルトの芯ずれが良好かつ確実に抑制されると共に、固定シーブ37の倒れが抑制される。さらに加えて、エンジン始動時、被牽引時、制御系フェイル時等の油圧アクチュエータへの油圧供給が無いようなときのベルトの耐久性を高めることができる。
なお、上述の実施形態は、プライマリシャフトSPを対象としたものとして説明されたが、これに限られるものではなく、セカンダリシャフトSSにも適用され得ることはいうまでもない。
上述の説明から明らかなように、本発明の実施形態においてはいずれもベルトの芯ずれが良好かつ確実に抑制されると共に、固定シーブの倒れが抑制されるという特許文献1ないし3に記載のものに比べ優れた効果を奏することができる。特許文献2に記載の芯ずれ調整手段は、クラッチ機構やカム機構を備え、構造が複雑で重量が嵩むと共に、ベルトの挟圧に起因するシーブの倒れを効果的に抑制できず、また、特許文献3に記載の油圧力によって固定シーブを支持する支持力を固定シーブの背面全域に付与する構成では、油圧の性質上支持力は固定シーブの背面に均一に作用するので、芯ずれを低減する程の固定シーブの倒れを抑制するには充分でないからである。
2 エンジン
7 トルクコンバータ
8 前後進切替え機構
9 ベルト式無段変速機(CVT)
10 最終減速機
35 プライマリプーリ
36 セカンダリプーリ
37,41 固定シーブ
38,42 可動シーブ
39,44 プーリ溝
40,45 油圧アクチュエータ
70,70’、70” 油圧アクチュエータ(シャフト移動用)
80,80’ 弾性部材
B ベルト
SP セカンダリシャフト
SP プライマリシャフト
200 油圧回路
400 コントローラ
7 トルクコンバータ
8 前後進切替え機構
9 ベルト式無段変速機(CVT)
10 最終減速機
35 プライマリプーリ
36 セカンダリプーリ
37,41 固定シーブ
38,42 可動シーブ
39,44 プーリ溝
40,45 油圧アクチュエータ
70,70’、70” 油圧アクチュエータ(シャフト移動用)
80,80’ 弾性部材
B ベルト
SP セカンダリシャフト
SP プライマリシャフト
200 油圧回路
400 コントローラ
Claims (3)
- ケーシング内に回転可能に支持された第1および第2の回転軸と、第1および第2の回転軸にそれぞれ固設された第1および第2の固定シーブ、および、第1および第2の回転軸の外周にそれぞれ軸方向に移動可能に設けられた第1および第2の可動シーブからなる第1および第2の可変プーリと、これらの第1および第2の可変プーリに巻き掛けられるベルトとを含み、前記ベルトの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機において、
前記第1および第2の回転軸の少なくとも何れか一方は、軸方向に移動可能に支持されており、
前記少なくとも何れか一方の回転軸を可動シーブ側から軸方向に付勢する第1の付勢手段と、
前記少なくとも何れか一方の回転軸を固定シーブ側から軸方向に付勢する第2の付勢手段であって、前記固定シーブの外周部を作用点として軸方向に付勢する第2の付勢手段と、
を備えることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 前記第1の付勢手段および第2の付勢手段の何れか一方が油圧アクチュエータにより構成されると共に、前記可動シーブ押圧用の油圧が供給される油路を前記少なくとも何れか一方の回転軸内の軸方向に有し、該油路は、該回転軸内に生ずる軸方向の力を相殺するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
- 前記第1の付勢手段および第2の付勢手段の何れか一方が油圧アクチュエータにより構成されると共に、その他方が弾性部材から構成され、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸の軸方向位置は、前記油圧アクチュエータへの油圧供給が無く、変速比が最減速時に、芯ずれが最小となるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。
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JP (1) | JP2007170504A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009264427A (ja) * | 2008-04-22 | 2009-11-12 | Honda Motor Co Ltd | ベルト式無段変速機 |
WO2013000492A1 (en) * | 2011-06-30 | 2013-01-03 | Robert Bosch Gmbh | Hydraulically activated adjustable pulley for a torque transmission device |
JP2014185702A (ja) * | 2013-03-24 | 2014-10-02 | Jatco Ltd | 無段変速機におけるプーリの支持構造 |
US8864610B2 (en) | 2010-03-04 | 2014-10-21 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Belt type continuously variable transmission for vehicle |
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2005
- 2005-12-20 JP JP2005367268A patent/JP2007170504A/ja active Pending
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