JP2006063223A - 溶解性を改良したα−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩を含有する界面活性剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩と下記一般式(1)で示される少なくとも1種のノニオン界面活性剤とを含有する界面活性剤組成物であって、該ノニオン界面活性剤を、該ノニオン界面活性剤とα−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩との合計量を基準にして、5質量%以上含有することを特徴とする前記界面活性剤組成物。
【化1】
〔式中、R1は、炭素数9〜21の分岐または直鎖のアルキル基またはアルケニル基、Aは、水素またはメチル基を示し、Bは、水素または炭素数1〜3のアルキル基を示す。nは6〜50の整数を示す。〕
Description
ところで、このα−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩は、洗浄力という点では満足できる性能を有している一方で、低温水への溶解速度が不充分であるという欠点を有している。特に、α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩を含む粒状または粉状ヘビー洗浄剤を冬場に、より具体的には冬場の気温が10℃以下になる地域で、温水型洗濯機でない方法で洗濯に用いる場合には、この低温溶解性に劣るという性質が問題となっている。
α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩の水への溶解性改良方法としては、融点が40℃未満のポリオキシエチレンアルキルエーテル,脂肪酸モノエタノールアミド、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等の非イオン界面活性剤やポリエチレングリコールを配合する方法(特許文献1:特開平9−169999号公報)が知られているが、10℃以下の低温における活性剤粒子の溶解性を改善する効果は、まだまだ不充分である。また、汎用のアニオン界面活性剤の水への溶解性改良方法としては、HLB10以下のノニオン界面活性剤を配合する方法(特許文献2:特表平8−506366号公報)、クメンスルホン酸塩,トルエンスルホン酸塩,キシレンスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸塩を配合する方法(特許文献3:特表平9−509685号公報)、エタノール,イソプロパノール,エチレングリコール,プロピレングリコール等のアルコール類を配合する方法(特許文献4:特開平5−202381号公報)、などが一般的に知られているが、α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩の場合においては、これらの一般的な手法では改良不充分である。
すなわち、本発明は、α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩と下記一般式(1)で示される少なくとも1種のノニオン界面活性剤とを含有する界面活性剤組成物であって、該ノニオン界面活性剤を、該ノニオン界面活性剤とα−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩との合計量を基準にして、5質量%以上含有することを特徴とする前記界面活性剤組成物を提供する。
本発明はまた、α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩を、前記一般式(1)で示されるノニオン界面活性剤で処理することを特徴とする、α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩の水への溶解性を改良する方法であって、該ノニオン界面活性剤を、該ノニオン界面活性剤とα−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩との合計量を基準にして、5質量%以上の量で使用することを特徴とする前記方法を提供する。
式(1)において、炭素数9〜21のアルキル基またはアルケニル基R1を有する脂肪酸残基としては、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸残基、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸等の植物油脂肪酸等の脂肪酸残基が挙げられる。中でも、溶解速度改良効果に優れるという点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸の残基が好適である。
また、式(1)におけるAは、水素またはメチル基であるが、製造の容易性およびコストを考慮すると、水素であることが好ましい。
また、式(1)におけるBは、水素または炭素数1〜3のアルキル基であるが、製造の容易性を考慮すると、好ましくは水素またはメチル基である。
また、式(1)nは、6〜50の整数であるが、製造の容易性を考慮すると、好ましくは6〜40、中でも、溶解速度改良効果に優れるという点から、より好ましくは14〜40である。
上記式(2)において、R3としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル基のいずれかであるが、メチル、エチル基が好適である。Mとしては、Na、K、Ca、Mg、アンモニウム、有機アンモニウム等の対イオンを形成し得るカチオンを示すが、好ましくは、Naカチオン、Kカチオンである。
このα−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩としては、例えば、α−スルホステアリン酸メチルエステル塩、α−スルホパルミチン酸メチルエステル塩、α−スルホパーム油由来脂肪酸メチルエステル塩などが挙げられる。なお、塩としては、上述のようにNa塩、K塩が好適である。
ここで、溶解性改良剤の配合量が、5質量%未満であると、溶解速度改良効果が不充分となる可能性が高く、一方、200質量%を超えて配合しても、添加量に見合った溶解速度向上効果は発揮されず、コスト的に不利となる。これらを考慮すると、溶解性改良剤の配合量は、α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩に対して、10〜200質量%が好ましく、10〜100質量%がより好ましく、20〜100質量%がより一層好ましい。
また、当該エステル塩造粒物と溶解性改良剤とを捏化混合する場合には、混合する温度が好ましくは30℃〜150℃、より好ましくは40℃〜120℃、さらに好ましくは40℃〜100℃である。
ここで、混合する温度が30℃未満であると、界面活性剤組成物が30℃未満で溶融している状態なので、洗浄剤組成物に配合する場合の常温での安定性に不利となる。また、150℃を超えて混合することは、製造コスト的に不利になる。
粒状・粉状洗浄剤組成物の用途としては、特に限定されるものではないが、この洗浄剤組成物は、衣類用ヘビー洗剤として特に好適である。
このような粒状・粉状洗浄剤は、前述の溶解速度改良剤が配合されているため、α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩の低温水への溶解時間を短縮することができる結果、洗浄力に優れるとともに、粒状・粉状物の衣類への付着性が著しく低減されたものである。
[1]α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステルの溶解性試験
[実施例1〜10]
下記表1〜4に示される配合量の各α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩と溶解性改良剤を、全量100gとなるように採取し、表1記載の所定温度で30分間、混合器で撹拌した。この混合物を、内径2.3cmのシャーレに1g採取し、薬さじで底面に平滑に塗膜した。蒸留水を1リットル入れた1Lのビーカーと、攪拌羽根かい十字R(φ70mm)を取りつけたスリーワンモーターを準備し、ビーカーは5℃の水浴に浸して5℃水とし、攪拌羽根がビーカーの上面から見て中心の位置で、且つ底面からの高さが500mLの位置になるように設置した。試料を入れたシャーレをビーカー中に、この羽根の真下の位置になるように入れて、攪拌羽根を150回転/分の速度で回転させた。シャーレを入れた時間を0分とし、8分と15分後の電気伝導度を測定して、予め求めておいた「MES(α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩)濃度vs伝導度」の検量線から、MES溶解量を算出した。
下記表5に示される各α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩を、内径2.3cmのシャーレに1g採取し、150℃で短時間溶融後空冷して、シャーレ底面に平滑膜を調製した。本比較例で150℃に加温したのは、MESの固体からラメラ液晶への相転移温度が130℃以下なので、これ以上の温度域でないと、MESがペースト化せず、平滑膜が調製できないためである。このようにして調製したシャーレ試料について、実施例と同様の方法で溶解量を測定した。
[比較例4〜6]
各α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩と混合する化合物が、下記表6、7に示されたものを用いた以外、実施例と同様の方法で溶解量を測定した。
表1〜表7に用いた略号は下記の通り。
[実施例11]
実施例2で得たα−スルホ脂肪酸アルキルエステルと溶解性改善剤の混合物を、スピードミルで粉砕後、篩で2mm以下の粒子に分級した。この粒子を用いて、下記の低温溶解性試験を行った。
比較例1のα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの混合物を、スピードミルで粉砕後、篩で2mm以下の粒子に分級した。この粒子を用いて、下記の低温溶解性試験を行った。
〈低温溶解性試験〉
水道水を1リットル入れた1Lのビーカーと、攪拌軸の先端に高さ40mm×横幅20mmの片翼型の攪拌羽根が付いた攪拌棒を取りつけたスリーワンモーターを準備し、ビーカーは5℃の水浴に浸して5℃水とし、攪拌羽根がビーカー底面から1cmの高さになるように設置した。攪拌羽根を250回転/分の速度で回転させながら、洗剤粒子5gをゆっくりビーカーに添加した。添加後、10分間攪拌した。この試験液を、予め重量を測定したナイロントリコット布で濾過し、試験中で溶け残った溶解残渣を濾別した。溶解残渣が付着したナイロントリコット布を乾燥機で乾燥して、乾燥後の重量を測定した。この重量から、予め測定したナイロントリコット布の重量を差し引いて、溶解残渣の乾燥重量を得た。この乾燥重量から、「溶解残量(%)=(乾燥重量/5g)×100」の計算式で溶解残量(%)を算出した。結果を表8に示す。
Claims (6)
- 前記ノニオン界面活性剤が、一般式(1)におけるnが14〜40である化合物であることを特徴とする請求項1記載の界面活性剤組成物。
- 前記ノニオン界面活性剤とα−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩とを合計した量が、界面活性剤組成物の全質量を基準にして80%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の界面活性剤組成物。
- 前記ノニオン界面活性剤とα−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩とが、1粒子内に存在してなる請求項1〜4のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の界面活性剤組成物を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
- α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩を、請求項1記載の一般式(1)で示されるノニオン界面活性剤で処理することを特徴とする、α−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩の水への溶解性を改良する方法であって、該ノニオン界面活性剤を、該ノニオン界面活性剤とα−スルホ長鎖脂肪酸アルキルエステル塩との合計量を基準にして、5質量%以上の量で使用することを特徴とする前記方法。
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