JP2006062632A - シートベルトリトラクタおよびこれを備えているシートベルト装置 - Google Patents

シートベルトリトラクタおよびこれを備えているシートベルト装置 Download PDF

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Abstract

【課題】シートベルトにかかる制限荷重を緊急時の状況に応じてより一層柔軟に種々設定する。
【解決手段】衝突時、ガスジェネレータ25が発生したガスが圧力室24内に導入されると、押圧ピストン22および押圧ロッド23が右方へ移動し、押圧ロッド23の先端23aがシートベルト3に当接しかつこのシートベルト3を押圧する。シートベルト3が押圧ロッド23とベルト受け部30との間で挟圧される。このとき、ピストン移動規制部材26により、押圧ピストン22の移動が衝突時の状況に応じて規制されるので、シートベルト3の挟圧力がかわる。これにより、シートベルト3にかかる制限荷重が緊急時の状況に応じて柔軟に種々設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シートベルトを巻取引出し可能に巻き取るシートベルトリトラクタの技術分野に関し、特に、シートベルト装着状態で衝突時等の車両に大きな車両減速度が作用した場合のような緊急時にシートベルトの引出しを阻止する際、トーションバーがねじれ変形してこのシートベルトにかかる荷重を制限して乗員の衝撃エネルギを吸収緩和するエネルギ吸収機構(以下、EA機構ともいう)を備えているシートベルトリトラクタおよびこれを備えているシートベルト装置の技術分野に属するものである。
従来から自動車等の車両に装備されているシートベルト装置は、前述の緊急時に、シートベルトで乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出しを阻止し、乗員を保護している。
このようなシートベルト装置においては、シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタを備えている。このシートベルトリトラクタでは、シートベルトは非装着時にはスプールに巻き取られているが、装着時には引き出されて乗員に装着される。そして、前述のような緊急時にシートベルトリトラクタのロック機構が作動してスプールのベルト引出方向の回転を阻止することにより、シートベルトの引出しが阻止される。これにより、緊急時にシートベルトは乗員を確実に拘束し、保護するようになる。
ところで、この従来のシートベルト装置のシートベルトリトラクタにおいては、車両衝突等の緊急時にシートベルトが乗員を拘束保護するとき、大きな車両減速度が生じるため、乗員が大きな慣性により前方へ移動しようとする。このため、シートベルトには大きな荷重が加えられるとともに、乗員はこのシートベルトから大きな衝撃力を受けるようになる。乗員に対してこの衝撃力は特に問題ではないが、できれば制限される方が望ましい。
そこで、シートベルトリトラクタにおいては、従来、トーションバーを設けて、シートベルト装着状態での緊急時に、このシートベルトにかかる荷重を制限して衝撃エネルギを吸収緩和するようにしたものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
図31は、この特許文献1に開示されたシートベルトリトラクタの一例を示す縦断面図である。図中、1はシートベルトリトラクタ、2はコ字状のフレーム、3はシートベルト、4はコ字状のフレーム2の両側壁間に回転可能に支持され、シートベルト3を巻き取るスプール、5は前述の緊急時に発生する大きな車両減速度を感知して作動する減速度感知手段、6は減速度感知手段5によって作動して少なくともスプール4のベルト引出方向の回転を阻止するロック機構、7はこのスプール4の中心に軸方向に遊嵌、貫通され、かつスプール4とロック機構6とを回転的に連結するトーションバー、8はスパイラルスプリング9のばね力によりブッシュ10を介してスプール4を常時ベルト巻取方向に付勢するスプリング手段、11は前述の緊急時に作動してベルト巻取トルクを発生するプリテンショナー、12はプリテンショナー11のシートベルト巻取トルクをスプール4に伝達するブッシュである。
ロック機構6は、トーションバー7の第1トルク伝達軸17に一体回転可能でありかつパウル13を揺動可能に保持するロッキングベース(本発明のロッキング部材に相当)14を備えているとともに、トーションバー7に通常時はこのトーションバー7と一体回転し緊急時に減速度感知手段5の作動で停止してトーションバー7との間に相対回転差を発生させてパウル13をフレーム2の側壁の内歯19に係合させてロッキングベース14のシートベルト引出方向の回転を阻止するロックギヤ6aを備えている。ロッキングベース14には雄ねじ軸部15が形成されており、この雄ねじ軸部15には、スプール4と一体に回転するナット状のストッパ部材16が螺合されている。
また、トーションバー7には、ロッキングベース14と相対回転不能に係合する第1トルク伝達部17が形成されているとともに、スプール4と相対回転不能に係合する第2トルク伝達部18が形成されている。
そして、スプリング手段8のばね力により、スプール4はブッシュ10、トーションバー7、トーションバー7の第2トルク伝達部18およびブッシュ12を介して常時シートベルト巻取方向に付勢されている。また、プリテンショナー11の作動時、プリテンショナー11で発生したベルト巻取トルクがブッシュ12を介してスプール4に伝達され、これによりスプール4はシートベルト3を所定量巻き取るようになっている。
このように構成された従来のシートベルトリトラクタ1においては、シートベルト非装着時には、スプリング手段8の付勢力で、シートベルト3が完全に巻き取られている。そして、装着のためシートベルト3を通常の速度で引き出すと、スプール4がシートベルト引出方向に回転し、シートベルト3はスムーズに引き出される。シートベルト3に摺動自在に設けられた図示しないタングを車体に固定された図示しないバックルに挿入係止した後、余分に引き出されたシートベルト3がスプリング手段8の付勢力でスプール4に巻き取られ、シートベルト3は乗員に圧迫感を与えない程度にフィットされる。
前述の緊急時にはプリテンショナー11が発生したシートベルト巻取トルクはスプール4に伝達され、スプール4はシートベルト3を所定量巻き取り、乗員を堅固に拘束する。一方、緊急時に発生する大きな車両減速度で減速度感知手段5が作動してロック機構6が作動する。すなわち、減速度感知手段5の作動により、ロックギヤ6aのシートベルト引出方向の回転が阻止され、ロック機構6のパウル13が回動して、フレーム2の側壁の内歯19に係合する。すると、ロッキングベース14のシートベルト引出方向の回転が阻止されるので、トーションバー7がねじられ、スプール4のみがシートベルト引出方向にロッキングベース14に対して相対回転する。これ以後、スプール4がトーションバー7をねじりつつシートベルト引出方向に回転することになり、このトーションバー7のねじりトルクによってシートベルト3に加えられる荷重が制限されて、乗員に加えられる衝撃が吸収緩和される。
スプール4がロッキングベース14に対して相対回転することで、スプール4と一体回転するストッパ部材16が、螺合している雄ねじ軸部15に対して相対回転するため、ロッキングベース14の方へ移動する。そして、ストッパ部材16がロッキングベース14に当接すると、ストッパ部材16のそれ以上の回転が阻止されるので、スプール4の回転も阻止されて、トーションバー7のねじりが停止する。このようにして、シートベルト3の引出が阻止されて乗員がシートベルト3により確実に拘束されるとともに、トーションバー7の最大ねじりが制限され、トーションバー7のねじりによる切断が防止される。
また、この従来のシートベルトリトラクタ1は、シートベルトの急激な引出時にも、ロック機構6のロッキングベース14がロックギヤ6aに対してシートベルト引出方向に相対回転するようになっている。そして、これにより前述と同様にロック機構6のパウル13がフレーム2の側壁の内歯19に係合して、ロッキングベース14の回転が阻止されるため、トーションバー7を介してスプール4のベルト引出方向の回転が阻止され、シートベルトの引出が阻止される。
更に、特許文献1には、制限荷重(FL荷重)が切り替えられるようになっているシートベルトリトラクタ1が開示されている。すなわち、図32に示すように、通常時EA荷重切替機構36のロックピン40でロック部材38がシリンダ部材37からの飛び出しを阻止されている。プリテンショナーが作動する大きな衝突時にロッキングベースのベルト引出方向の回転が阻止されると、このロッキングベースに設けられたギヤ30の同方向の回転も阻止される。このため、ギヤ30に常時噛合するギヤ33の回転も阻止される。また、乗員の慣性でシートベルト3が引き出されようとするため、スプール4がなおもベルト引出方向に回転する。このため、スプール4に一体回転可能に設けられたギヤ31も同方向に回転するとともに、ギヤ31に常時噛合するギヤ34も回転する。
一方、この大衝突後の初期段階においては、プリテンショナーからの排出ガスでロックピン40が突き飛ばされることで、ロック部材38がスプリング39のばね力でシリンダ部材37から飛び出す。すると、ロック車35のラチェット爪35aがロック部材38に係合し、ロック車35はベルト引出方向の回転が阻止される。このため、第2トーションバー32はその全長θより短い長さηの部分でねじれる。こうして、第1トーションバー7のねじれと第2トーションバー32のη部分のねじれとによって、EA機構によるEA作動が開始され、このときのFL荷重F1は、図33に示すように比較的大きい。また、この初期段階続く後続段階においては、第2トーションバー32のη部分が所定量ねじれて破断し、この第2トーションバー32の破断後は、第1トーションバー7のみがねじれることでEA作動が行われるようになる。このときのFL荷重F2は、図33に示すように初期段階より比較的小さい。このようにして、FL荷重が切り替えられ、シートベルトにかかる制限荷重を、例えばエアバッグ等による緊急時の乗員の拘束状況に応じて柔軟に種々設定することができる。
なお、従来のEA機構としては、他に、ロッキングベース側に設けられた線材をスプール側に設けられた係合ピンでしごくEA機構(例えば、特許文献2参照)、一端がスプール側に設けられた帯状板をロッキングベース側に設けたガイド溝で強制的に変形するEA機構(例えば、特許文献3参照)、スプールに設けた筒状部材をロッキングベースに設けた係止部で塑性変形させるEA機構(例えば、特許文献4参照)、一端をロッキングベース側に設けかつ他端をスプール側に係合させたU字状の平板素材を変形させるEA機構(例えば、特許文献5参照)、スプールとロッキングベースとの間に設けられたシェアピンを緊急時のロッキングベースの回転ロック時にせん断破壊させるEA機構(例えば、特許文献6参照)、スプール側に設けられた被切削部位を、ロッキングベース側に設けられた切削刃で切削するEA機構(例えば、特許文献6参照)等が提案されている。
特開2001−58559号公報。 特開2002−53007号公報。 特開2000−85527号公報。 特開2002−53008号公報。 特開平10−258702号公報。 特開2001−106025号公報。
しかしながら、特許文献1に開示のシートベルトリトラクタ1は制限荷重を乗員の拘束状況に応じて種々設定することができるものの、衝突後の初期段階での制限荷重が1つの制限荷重が設定されるだけである。この衝突後の初期段階では、乗員に加えられる衝撃エネルギが大きいが、この衝撃エネルギは、乗員の体重等の体格、シートスライド位置、衝突速度、衝突加減速度、衝突の仕方等によって種々異なる。このように初期段階での種々異なる大きな衝撃エネルギに対して、1つの制限荷重で対応しただけでは、乗員をより効果的にかつより適切に拘束することは難しい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、シートベルトにかかる制限荷重を緊急時の状況に応じてより一層柔軟に種々設定することができるシートベルトリトラクタおよびこれを備えているシートベルト装置を提供することである。
前述の課題を解決するために、請求項1の発明のシートベルトリトラクタは、シートベルトを巻き取るスプールと、緊急時にシートベルト引出し方向の回転が阻止されるロッキング部材を有するロック機構と、前記ロッキング部材のシートベルト引出し方向の回転が阻止されて前記スプールが前記ロッキング部材に対してシートベルト引出方向に相対回転するとき、前記シートベルトにかかる荷重を制限する第1および第2のシートベルト荷重制限機構とを少なくとも備えているシートベルトリトラクタにおいて、前記第2のシートベルト荷重制限機構は、前記シートベルトに対して制限荷重を設定する制限荷重設定手段と、緊急時のシートベルトの制限荷重を緊急時の状況に基づいて変更するように前記制限荷重設定手段を制御する制限荷重制御手段とを備えていることを特徴としている。
また、請求項2の発明のシートベルトリトラクタは、前記第1のシートベルト荷重制限機構が、前記スプールと前記ロッキング部材との間に設けられたトーションバーをねじり変形させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた線材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係合ピンでしごく荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた帯状板を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられたガイド溝で強制的に変形する荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた筒状部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係止部で塑性変形させる荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられかつ他端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に係合されたU字状の平板素材またはU字状の線材を変形させる荷重制限機構、前記スプールと前記ロッキング部材との間に設けられたシェアピンをせん断破壊させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた被切削部位を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切削刃で切削するEA機構、および前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた板状のエネルギ吸収部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切り裂き用突起で切り裂く荷重制限機構のいずれか1つであることを特徴としている。
更に、請求項3の発明のシートベルトリトラクタは、前記制限荷重に対して、前記制限荷重設定手段の非作動による負荷モード、小負荷モードおよび大負荷モードの3段階の負荷モードが設定されていることを特徴としている。
更に、請求項4の発明のシートベルトリトラクタは、前記第1のシートベルト荷重制限機構が、前記スプールと前記ロッキング部材との間に設けられかつ前記回転伝達軸を構成するトーションバーをねじり変形させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた線材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係合ピンでしごく荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた帯状板を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられたガイド溝で強制的に変形する荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた筒状部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係止部で塑性変形させる荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられかつ他端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に係合されたU字状の平板素材またはU字状の線材を変形させる荷重制限機構、前記スプールとロッキング部材との間に設けられたシェアピンをせん断破壊させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた被切削部位を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切削刃で切削するEA機構、および前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた板状のエネルギ吸収部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切り裂き用突起で切り裂く荷重制限機構のいずれか1つであり、緊急時に動力伝達機構を介して前記回転伝達軸の回転が伝達されて回転する回転軸が設けられているとともに、この回転軸に前記第2のシートベルト荷重制限機構が設けられており、前記第2のシートベルト荷重制限機構の前記制限荷重設定手段が所定数のエネルギ吸収機構を有し、更に、前記第2のシートベルト荷重制限機構が、前記所定数のエネルギ吸収機構を作動制御する少なくとも1つの作動制御部材と、前記作動制御部材に対応して設けられこの作動制御部材を作動する駆動部材とを備えていることを特徴としている。
更に、請求項5のシートベルトリトラクタは、前記第1のシートベルト荷重制限機構は、前記スプールと前記ロッキング部材との間に設けられかつ前記回転伝達軸を構成するトーションバーをねじり変形させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた線材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係合ピンでしごく荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた帯状板を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられたガイド溝で強制的に変形する荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた筒状部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係止部で塑性変形させる荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられかつ他端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に係合されたU字状の平板素材またはU字状の線材を変形させる荷重制限機構、前記スプールとロッキング部材との間に設けられたシェアピンをせん断破壊させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた被切削部位を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切削刃で切削するEA機構、および前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた板状のエネルギ吸収部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切り裂き用突起で切り裂く荷重制限機構のいずれか1つであり、緊急時に動力伝達機構を介して前記スプールの回転が伝達されて回転する回転軸が設けられているとともに、この回転軸に前記第2のシートベルト荷重制限機構が設けられており、前記第2のシートベルト荷重制限機構の前記制限荷重設定手段が所定数のエネルギ吸収機構を有し、更に、前記第2のシートベルト荷重制限機構が、前記所定数のエネルギ吸収機構を作動制御する少なくとも1つの作動制御部材と、前記作動制御部材に対応して設けられこの作動制御部材を作動する駆動部材とを備えていることを特徴としている。
更に、請求項6のシートベルトリトラクタは、前記動力伝達機構が前記スプールの少なくともベルト引出方向の回転が伝達されるスプール側歯車と、前記スプールと前記スプール側歯車との間に設けられ、通常時は前記スプールと前記スプール側歯車とを遮断し前記緊急時に前記スプールと前記スプール側歯車とを少なくともベルト引出方向に回転連結するクラッチ機構と、前記回転軸にこの回転軸と一体回転可能にかつ前記スプール側歯車に常時噛合する回転軸側歯車とが設けられていることを特徴としている。
更に、請求項7のシートベルトリトラクタは、前記スプール側歯車が、前記回転軸側歯車に常時噛合する外歯と内歯とからリング状に形成されており、前記クラッチ機構が前記スプールに支持されたクラッチパウルおよびこのクラッチパウルを支持するとともに緊急時に破断するシェアピンを有し、前記シェアピンが前記ロック機構の作動に連動する連動部材に設けられており、前記クラッチパウルが前記ロック機構の作動で作動して前記スプール側歯車の内歯に係合するとともに前記シェアピンが破断して、前記スプールの回転が前記スプール側歯車に伝達されるようになっていること特徴としている。
更に、請求項8の発明のシートベルトリトラクタは、前記制限荷重設定手段が、U字状部を有するとともにこのU字状部が終端に向かって移動するように変形することで制限荷重を設定する帯状平板または線材を備えていることを特徴としている。
更に、請求項9の発明のシートベルトリトラクタは、前記駆動部材が、前記作動制御部材を作動するためのガスジェネレータまたはソレノイドを備えていることを特徴としている。
更に、請求項10の発明のシートベルトリトラクタは、前記制限荷重を変更する前記制限荷重設定手段は複数の荷重制限作動パターンが設定されており、前記複数の荷重制限作動パターンは、それぞれ制限荷重の大きさが乗員の体格、シートスライド位置、衝突速度、衝突加減速度、衝突の仕方等の緊急時の状況に応じて設定されていることを特徴としている。
更に、請求項11の発明のシートベルトリトラクタは、前記制限荷重を変更する前記制限荷重設定手段が、予め得ることができる緊急時の状況の情報に基づいて、事前にシートベルトの制限荷重を変更することを特徴としている。
更に、請求項12の発明のシートベルト装置は、請求項1ないし11のいずれか1記載のシートベルトリトラクタを備えていることを特徴としている。
このような構成をした本発明のシートベルトリトラクタおよびこれを備えているシートベルト装置によれば、予め事前にわかる情報(例えば、乗員の体重の情報、シートスライド位置の情報等)、衝突を予知した衝突予知情報、および衝突の厳しさの情報(例えば、衝突速度の情報、衝突加減速度の情報、衝突の仕方等の情報)等の緊急時の状況の情報に基づいて、緊急時のシートベルトの制限荷重を変更するプログラマブルフォースリミッタ(PFL)を備えているので、衝突時のシートベルトの制限荷重を衝突時の状況および乗員の体格の大きさ等の緊急時の情報に応じてより一層柔軟に種々設定することができる。これにより、衝突時に乗員をより効果的にかつより適切に拘束保護することができるようになる。
特に、請求項2の発明によれば、従来から用いられている簡単な構成の荷重制限機構を利用しているので、シートベルト荷重制限機構を容易にかつ安価に構成することができる。
また、請求項3の発明によれば、3段階の負荷モードを設定しているので、制限荷重を衝突時の状況および乗員の体格の大きさに応じてより簡単に設定することができる。
更に、請求項4ないし9の発明によれば、2つの第1および第2の制限荷重設定手段の簡単な構成で、緊急時の状況および乗員の体格の大きさに応じて適切な制限荷重を得ることができるようになる。その場合、請求項6および7の発明によれば、リング状に形成されたスプール側歯車の内周側にクラッチ機構を収容することが可能となるので、動力伝達機構およびクラッチ機構をコンパクトにかつ安価に形成することができる。
更に、請求項8の発明によれば、帯状平板または線材からなるエネルギ吸収部材のU字部を連続的に曲げ変形させることで、エネルギ吸収作動が摩擦に依存しないので、安定した制限荷重を得ることができる。
更に、請求項9の発明によれば、ガスジェネレータのガス圧による比較的大きな力で作動制御部材を作動するので、第1および第2制限荷重設定手段の作動切換を確実に行うことができ、また、ソレノイドの電磁力による比較的小さな力で作動制御部材を作動するので、乗員情報等の事前に検知可能な情報に基づいて制限荷重を設定する場合には、比較的小さな力で制限荷重を適正に設定することができる。
更に、請求項10の発明によれば、それぞれ制限荷重の大きさが乗員の体格、シートスライド位置、衝突速度、衝突加減速度、衝突の仕方等の緊急時の状況に応じて設定された複数の荷重制限作動パターンを設定しているので、制限荷重の大きさが乗員の体格、シートスライド位置、衝突速度、衝突加減速度、衝突の仕方等の緊急時の状況に応じて制限荷重をより簡単に設定することができる。
更に、請求項11の発明によれば、予め得ることができる緊急時の状況の情報に基づいて、事前にシートベルトの制限荷重を変更することが可能となる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例を、その構成の一部を省略して示す図である。なお、以下の実施の形態の各例の説明において、その例よりも前の例と同じ構成要素および前述の図31に示す従来例のシートベルトリトラクタ1の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
図1に示すように、この例のシートベルトリトラクタ1は、図31に示す従来例のシートベルトリトラクタ1と同様に、コ字状のフレーム2、シートベルト3、シートベルト3を巻き取るスプール4、およびトーションバー(本発明の回転伝達軸および第1のシートベルト荷重制限機構に相当)7を有している。また、詳細に図示しないが、この例のシートベルトリトラクタ1は、図31に示す従来例のシートベルトリトラクタ1と同様に、減速度感知手段5、ロック機構6、およびスプリング手段8を備えているとともに、前述のプリテンショナー11と同様のプリテンショナー、プリテンショナー11のシートベルト巻取トルクをスプール4に伝達する前述のブッシュ12と同様のブッシュを備えている。
更に、この例のシートベルトリトラクタ1はプログラマブルフォースリミッタ(以下、PFLともいう)20を備えており、このPFL20はスプール4の上方に配置されてフレーム2に固定されている。
PFL20は、予め事前にわかる情報(例えば、乗員の体重の情報、シートスライド位置の情報等)、衝突予知センサで衝突を予知した衝突予知情報および衝突後の衝突の厳しさの情報(例えば、衝突速度の情報、衝突の仕方の情報等)等の緊急時の状況の情報に基づいて、衝突時のシートベルトの制限荷重(FL荷重)を変更することで、このFL荷重を緊急時の状況に応じてより一層柔軟に種々設定するものである。なお、PFL20がスプール4の上方に配置されることから、図31ではスプール4の上方に配置されているプリテンショナー11は、この例のシートベルトリトラクタ1では、図示しないがスプール4の下方に配置される。
このPFL20は、本体21、本体21内に摺動可能に設けられた押圧ピストン22、押圧ピストン22に固定されて本体21内に押圧ピストン22と一体に摺動可能に設けられた押圧ロッド23、本体21内に設けられ押圧ピストン22で区画形成された圧力室24、本体21に固定されて作動時にガスを発生しかつ発生したガスを圧力室24に導入するガスジェネレータ(GG)25、押圧ピストン22の移動軌道上に進出して押圧ピストン22と当接可能に設定される非作動位置(図1に示す位置)とこの移動軌道から退出して押圧ピストン22と当接不能に設定される作動位置との間で移動可能に本体21に設けられたピストン移動規制部材26、このピストン移動規制部材26を常時非作動位置の方へ付勢する付勢スプリング27、オン時にピストン移動規制部材26を付勢スプリング27の付勢力に抗して作動位置に引き込むソレノイド28、本体21に設けられてシートベルト3が移動可能に貫通するとともに押圧ロッド23が進入可能なT字状の孔29、およびシートベルト3を受けるベルト受け部30から構成されている。
そして、押圧ピストン22および押圧ロッド23が右方へ移動することで、押圧ロッド23の先端23aがシートベルト3に当接しかつこのシートベルト3を押圧すると、シートベルト3は、押圧ロッド23の先端23aとベルト受け部30との間で挟圧されるようになっている(詳細は後述する)。このとき、押圧ロッド23の先端23aを半球状の湾曲面に形成しているとともにベルト受け部30のエッジ部を丸く(R部)に形成しているので、シートベルト3は挟圧されたとき傷つくことが防止されている。
このシートベルト3の挟圧により、シートベルト3には、PFL20による制限荷重(PFL荷重)が負荷されるようになる。したがって、このPFL20は本発明の制限荷重設定手段を構成している。
ところで、この例のシートベルトリトラクタ1では、FL荷重の3段階の荷重モード、すなわち、(1)PFL20の非作動による負荷モード、(2)小負荷モードおよび(3)大負荷モードが設定されている。
(1)PFL20の非作動による負荷モードは、PFL20が作動しなく、トーションバーのねじれによる負荷モードである。すなわち、トーションバー7のねじれのみによるEA作動が行われ、このときのFL荷重F2は、図4に示すように小さい。
(2)小負荷モードは、ピストン移動規制部材26が図1に示す非作動位置に設定されて押圧ピストン22の移動がピストン移動規制部材26に規制されることで、押圧ピストン22の移動量が比較的小さく設定される負荷モードである。すなわち、ピストン移動規制部材26が非作動位置に設定された図2(a)に示す状態で、衝突によりプリテンショナー11が作動して図2(b)に示すようにスプール4がベルト巻取り方向に回転してシートベルト3が巻き取られ、従来と同様のプリテンショナー11による乗員の拘束が行われる。
次いで、図2(c)に示すようにプリテンショナー11の作動終了後、従来例と同様に乗員の慣性でシートベルト3が引き出されてトーションバー7がねじられるとともに、ガスジェネレータ25が作動してガスを発生し、発生したガスが圧力室24内に導入される。すると、このガスの圧力により押圧ピストン22が右方へ移動し、非作動位置にあるピストン移動規制部材26に当接し、押圧ピストン22および押圧ロッド23のそれ以上の右方移動が規制される。つまり、押圧ピストン22および押圧ロッド23の右方への移動がピストン移動規制部材26によって規制され、押圧ピストン22および押圧ロッド23の右方への移動量が比較的小さく設定される。押圧ロッド23の右方への移動により、シートベルト3は、押圧ロッド23の先端23aとベルト受け部30との間で挟圧される。このとき、押圧ロッド23の右方への移動量が小さく設定されることから、シートベルト3に対する挟圧力は比較的小さく、押圧ロッド23およびベルト受け部30との間の摩擦が比較的小さいため、シートベルト3への負荷が小さい小負荷モードが設定される。この小負荷モードではPFL荷重は比較的小さい。したがって、この場合のシートベルト3のFL荷重F3は、この小さなPFL荷重とトーションバー7のねじれによる荷重とからなり、図4に実線で示すように比較的小さい。
次いで、図2(d)に示すように圧力室24内のガスが排出されて、押圧ピストン22がベルトテンションが付与されているシートベルト3により押し戻されて非作動位置になる。このガスの排出は、図示しないが本体21に設けた小孔により行うことができる。その場合、小孔は、ガスジェネレータ25のガス発生時にはガスがすぐには排出されず、押圧ピストン20および押圧ロッド23が前述のように移動可能であり、シートベルトの荷重の制限後の所定時期にガスが徐々に排出されるような大きさに設定する。また、電磁開閉弁を設けて、後述するCPU50によりガス排出時のみ開いてガスを排出することもできる。
これにより、PFL20の作動が終了し、押圧ピストン23の先端23aがシートベルト3から離れ、シートベルト3の挟圧が解除される。これ以後は、従来例と同様に、トーションバー7のみがねじれることでEA作動が行われ、前述のPFL20の非作動による負荷モードが設定される。したがって、このときのFL荷重F2は、図4に示すように小さくなる。
(3)大負荷モードは、ピストン移動規制部材26が作動位置に設定されて押圧ピストン22の移動がピストン移動規制部材26に規制されないことで、押圧ピストン22の移動量が比較的大きく設定される負荷モードである。すなわち、図3(a)に示すようにソレノイド28がオンとなってピストン移動規制部材26が作動位置に設定される。この状態で、衝突が起きると、前述の小負荷モードの場合と同様に、プリテンショナー11が作動して図3(b)に示すようにスプール4にシートベルト3が巻き取られ、次いで図3(c)に示すようにシートベルト3が引き出されてトーションバー7がねじられるとともに、ガスジェネレータ25で発生したガスが圧力室24内に導入される。すると、押圧ピストン22が右方へ移動し、作動位置にあるピストン移動規制部材26を通過して本体21に当接し、押圧ピストン22および押圧ロッド23のそれ以上の右方移動が規制される。つまり、押圧ピストン22および押圧ロッド23の右方への移動がピストン移動規制部材26によって規制されず、押圧ピストン22および押圧ロッド23の右方への移動量が比較的大きく設定される。
小負荷モードと同様に、押圧ロッド23の右方への移動により、シートベルト3は、押圧ロッド23の先端23aとベルト受け部30との間で挟圧されるが、このとき、押圧ロッド23の右方への移動量が大きく設定されることから、シートベルト3に対する挟圧力は比較的大きく、押圧ロッド23およびベルト受け部30との間の摩擦が比較的大きいため、シートベルト3への負荷が大きい大負荷モードが設定される。この大負荷モードではPFL荷重は比較的大きい。したがって、この場合のシートベルト3のFL荷重F4は、この小さなPFL荷重とトーションバー7のねじれによる荷重とからなり、図4に点線で示すように比較的大きい。
次いで、小負荷モードと同様に、図3(d)に示すように押圧ピストン22が非作動位置になり、PFL20の作動が終了して、シートベルト3の挟圧が解除される。これ以後は、同様にして、トーションバー7のねじれのみによるEA作動が行われ、前述のPFL20の非作動による負荷モードが設定される。したがって、このときのFL荷重F2は、図4に示すように小さくなる。
このように、この例のシートベルトリトラクタのPFL20は摩擦負荷型のPFLとされている。
図5は、この例のシートベルトリトラクタ1を前述の2つの大小負荷モードに設定するためのブロック図である。
図5に示すように、大小負荷モードの設定を行うために、中央処理装置(以下、CPUともいう;本発明の制限荷重制御手段に相当)50が設けられている。このCPU50には、PFL20の作動条件が予め決められて格納されている。そして、CPU50は、衝突前にわかる情報(例えば、乗員の体重の情報、シートスライド位置の情報等)で、前述の3段階の負荷モード、つまりPFL20の非作動による負荷モード、小負荷モード、および大負荷モードのいずれかに設定し、衝突時のFL荷重を変えるようにしている。
このために、CPU50には、ガスジェネレータ25およびソレノイド28が接続されている。また、CPU50には、車両シートのシート荷重つまり乗員の体重を検出するシートウェイトセンサ51、車両シートのスライド位置を検出するシートスライド位置検出センサ52、車両の加減速度を検出する加速度センサ53、車両前部における左右の衝突の仕方を検出するフロントサテライトセンサ54、およびタングがバックルに係止されたときにオンするバックルスイッチ55、およびリトラクタ1のシートベルト3の伸び出し量を検出するベルト伸び出し量センサ79がそれぞれ接続されている。
そして、CPU50は、これらのシートウェイトセンサ51、シートスライド位置検出センサ52、加速度センサ53、フロントサテライトセンサ54、およびベルト伸び出し量センサ79からの検出信号による衝突前にわかる情報に基づいて、ガスジェネレータ25およびソレノイド28の各オン(作動)、オフ(非作動)をPFL20の作動条件にしたがって制御することで、シートベルトリトラクタ1を前述の3段階の負荷モードのいずれかに設定する。このPFL20の作動条件について具体的に説明する。
(a)車両シートに着座する乗員の体重に基づくPFL20の作動条件
この作動条件は、車両シートに着座する乗員の体重に基づいて前述の3段階の負荷モードのいずれに設定するかを決める条件である。すなわち、
(i) 体重が軽い小柄な乗員の場合 → PFL20の非作動による負荷モー ドに設定、
(ii) 体重が中程度の一般的な乗員の場合 → 小負荷モードに設定、
(iii)体重が比較的重い大柄な乗員の場合 → 大負荷モードに設定。
CPU50は、シートウェイトセンサ51からの検出信号による乗員の体重情報に基づいて、ガスジェネレータ25およびソレノイド28の各オン(作動)、オフ(非作動)を制御する。この作動条件は、どの車両シートに着座する乗員にも適用できるが、特に、助手席や後部座席に着座する乗員に対して好適である。
(b)車両シートの前後のスライド位置に基づくPFL20の作動条件
この作動条件は、車両シートのスライド位置に基づいて前述の3段階の負荷モードのいずれに設定するかを決める条件である。すなわち、
(i) シート位置が前の小柄な乗員の場合 → PFL20の非作動による負荷 モードに設定、
(ii) シート位置がミドルの中背の乗員の場合 → 小負荷モードに設定、
(iii)シート位置が後の大柄な乗員の場合 → 大負荷モードに設定。
CPU50は、シートスライド位置検出センサ52からの検出信号による車両シートのスライド位置情報に基づいて、ガスジェネレータ25およびソレノイド28の各オン(作動)、オフ(非作動)を制御する。この作動条件は、車両前部のシートに着座する乗員に適用できるが、特に、運転席に着座する運転者に対して好適である。
更に、この例のシートベルトリトラクタ1では、バックルスイッチ55のオン、オフで、PFL20の作動許可あるいは作動不可を決定している。すなわち、CPU50は、バックルスイッチ55からのオン、オフ信号に基づいて、タングがバックルに係合されたときに、PFL20を作動可能に設定し、またタングがバックルに係合されないときに、PFL20を作動不能に設定している。
更に、この例のシートベルトリトラクタ1では、衝突の厳しさでPFL20の動作を変更している。すなわち、CPU50は、シートウェイトセンサ51またはシートスライド位置検出センサ52またはベルト伸び出し量センサ79からの検出信号に基づいて、乗員が小柄であるか大柄(中背も含む)であるかを判断するとともに、加速度センサ53からの検出信号に基づいて、衝突が低速衝突(例えば、一例として20〜30km/h程度、これに限定されない)であるか中高速衝突(例えば、一例として30km/h以上、これに限定されない)であるかを判断する。そして、CPU20は、小柄の乗員の場合には、低速衝突ではPFL20の非作動による負荷モードに設定するとともに、中高速衝突では小負荷モードに設定し、また、大柄の乗員の場合には、低速衝突では小負荷モードに設定するとともに、中高速衝突では大負荷モードに設定する。
更に、この例のシートベルトリトラクタ1では、衝突の厳しさでPFL20の動作タイミングを変更している。すなわち、CPU50は、加速度センサ53からの検出信号に基づいて、衝突が低速衝突(例えば、一例として20〜30km/h程度、これに限定されない)であるか、中速衝突(例えば、一例として30〜40km/h、これに限定されない)であるか、高速衝突(例えば、一例として40km/h以上、これに限定されない)であるかを判断する。そして、CPU20は、低速衝突である場合には、PFL20の動作開始を遅くし(例えば、一例として衝突後35msec、これに限定されない)、また中速衝突である場合には、PFL20の動作開始を比較的遅くし(低速衝突より早い;例えば、一例として衝突後25msec、これに限定されない)、更に高速衝突である場合には、PFL20の動作開始を比較的早くする(例えば、一例として衝突後15msec、これに限定されない)。
なお、衝突後、車両のクラッシュシビアリティに応じてPFL20の動作開始タイミングを変更することもできる。また、プリテンショナー11の動作タイミングに連動して、プリテンショナー11の点火後の固定遅延時間でPFL20の動作開始タイミングを変更することもできる。
更に、この例のシートベルトリトラクタ1では、例えば、衝突速度の情報、衝突加減速度の情報、衝突の仕方等の衝突の厳しさの情報でPFL20の動作を変更している。すなわち、CPU50は、加速度センサ53からの検出信号およびフロントサテライトセンサ54からの検出信号に基づいて、右側オフセット衝突であるか左側オフセット衝突であるかを判断する。そして、CPU20は、右側オフセット衝突(車両右側に偏った衝突)である場合には、右側シートに付設された右側のシートベルト装置のリトラクタにおけるPFL20の動作開始を早くし、かつ左側シートに付設された左側のシートベルト装置のリトラクタにおけるPFL20の動作開始を遅らせる。また、逆に、左側オフセット衝突(車両左側に偏った衝突)である場合には、左側シートに付設された左側のシートベルト装置のリトラクタにおけるPFL20の動作開始を早くし、かつ右側シートに付設された右側のシートベルト装置のリトラクタにおけるPFL20の動作開始を遅らせる。
また、CPU50は、同様に加速度センサ53からの検出信号およびフロントサテライトセンサ54からの検出信号に基づいて、右側斜め衝突であるか左側斜め衝突であるかを判断する。そして、CPU20は、右側斜め衝突である場合には、右側のPFL20の動作開始を早くし、かつ左側のPFL20の動作開始を遅らせる。また、逆に、左側斜め衝突である場合には、左側のPFL20の動作開始を早くし、かつ右側のPFL20の動作開始を遅らせる。
このようにして、PFL20とCPU50とにより、本発明の第2のシートベルト荷重制限機構が構成されている。
この例のシートベルトリトラクタ1の他の構成および他の動作は、図31に示す従来例と同じである。
なお、図5に示すブロック図には衝突予知センサを示していないが、衝突予知センサも設けて、事前の乗員情報や実際に発生した衝突情報だけではなく、この衝突予知センサで衝突を予知した場合の情報に基づいて制限荷重を変更することもできる。
この例のシートベルトリトラクタ1によれば、予め事前にわかる情報(例えば、乗員の体重の情報、シートスライド位置の情報等)、衝突予知センサで衝突を予知した衝突予知情報および衝突後の衝突の厳しさの情報(例えば、衝突速度の情報、衝突加減速度の情報、衝突の仕方の情報等)等の緊急時の状況の情報に基づいて、衝突時のシートベルトの制限荷重(FL荷重)を変更するPFL20を備えているので、衝突時のシートベルト3のFL荷重を衝突時の状況に応じてより一層柔軟に種々設定することができる。これにより、衝突時に乗員をより効果的にかつより適切に拘束保護することができる。
また、従来から用いられている簡単な構成のトーションバーを利用しているので、シートベルト荷重制限機構を容易にかつ安価に構成することができる。更に、3段階の負荷モードを設定しているので、制限荷重を緊急の状況の情報に応じてより簡単に設定することができる。
なお、前述の例では、負荷モードは3段階に設定しているが、これに限定されるものではなく、2段階以上の複数段階に設定することもできる。
また、前述の例では、プリテンショナー11を設けるものとしているが、プリテンショナー11は必ずしも必要ではなく、省略することもできる。しかし、衝突時に乗員をより効果的に拘束保護するうえで、プリテンショナー11を設けることが好ましい。
更に、前述の例では、第1のシートベルト荷重制限機構としてトーションバー7を用いているが、このトーションバー7に代えて、前述の特許文献2ないし6に開示されているEA機構を用いることもできる。また、第1のシートベルト荷重制限機構として、本出願人が先に特許出願している、ロッキングベース側に設けた板状のエネルギ吸収部材を、スプール側に設けた切り裂き用突起で切り裂くEA機構を用いることもできる(特願2003−206807号:特開2004−249968号)。
図6は、本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の他の例を模式的に示し、(a)は一部断面を取って示した正面図、(b)は(a)における部分左側面図である。図6(a)および(b)に示すように、この例のシートベルトリトラクタ1もPFL20を備えている。この例のPFL20は、コ字状のフレーム2の両側壁2a,2b間にスプール4およびトーションバー7と平行にかつ回転可能に架設支持された回転軸56を備えている。
この回転軸56はスプール4と同軸に設けられたトーションバー7と歯車動力伝達機構57を介して回転連結可能とされている。歯車動力伝達機構57は、トーションバー7にこれと一体回転可能に取り付けられたスプール側小径歯車58およびこのスプール側小径歯車58より大径のスプール側大径歯車59と、回転軸56に一体回転可能に取り付けられたPFL側大径歯車60およびこのPFL側大径歯車60より小径のPFL側小径歯車61と、スプール側小径歯車58とPFL側大径歯車60との回転連結およびスプール側大径歯車59とPFL側小径歯車61との回転連結を選択的に切り換える動力伝達切換手段62とを有している。
PFL側大径歯車60はスプール側大径歯車59より小径に設定されている。動力伝達切換手段62は、回転軸56にこの回転軸56を中心に相対回転可能に支持されかつ「へ」の字状に屈曲された回動レバー63と、回動レバー63の一方のレバー部63aの先端に回転可能に支持された第1中間歯車64と、回動レバー63の他方のレバー部63bの先端に回転可能に支持された第2中間歯車65とを有している。第1中間歯車64はPFL側大径歯車60と常時噛合しているとともに、第2中間歯車65はPFL側小径歯車61と常時噛合している。また、第1中間歯車64はスプール側小径歯車58と噛合可能となっているとともに、第2中間歯車65はスプール側大径歯車59と噛合可能になっている。
図6(b)に二点差線で示すように、他方のレバー部63bには、回動レバー63を回動する作動ロッド66が相対回転可能に連結されており、この作動ロッド66はソレノイド67で伸び出し方向および引き込み方向に作動されるようにされている。そして、PFL20の非作動時には、図6(b)に示すように第1中間歯車64はスプール側小径歯車58から離間しているとともに、第2中間歯車65はスプール側大径歯車59から離間している。図6(b)に示す状態から、作動ロッド66が引き込み方向に作動すると、図7(a)に示すように回動レバー63が回動軸56を中心に反時計方向に回動し、第1中間歯車64がスプール側小径歯車58と噛合する。これにより、トーションバー7が回動軸56に回転連結され、トーションバー7の回転がスプール側小径歯車58、第1中間歯車64、およびPFL側大径歯車60を介して回動軸56に伝達されるようになる。また、図6(b)に示す状態から、作動ロッド66が伸び出し方向に作動すると、図7(b)に示すように回動レバー63が回動軸56を中心に時計方向に回動し、第2中間歯車65がスプール側大径歯車59と噛合する。これにより、トーションバー7が回動軸56に回転連結され、トーションバー7の回転がスプール側大径歯車59、第2中間歯車65、およびPFL側小径歯車61を介して回動軸56に伝達されるようになる。その場合、図7(a)および(b)にそれぞれ示す動力伝達系では、互いに異なる2種類の伝達速度比が設定されている。
図6(a)に示すように、PFL20は、また、回転軸56に設けられた2つの第1および第2EA機構68,69、これらの第1および第2EA機構68,69のEA作動をそれぞれ制御する第1および第2作動制御部材70,71、これらの第1および第2作動制御部材70,71を駆動する第1および第2駆動部材72,73を備えている。これらの第1および第2駆動部材72,73はいずれもフレーム2に固定されている。第1および第2EA機構68,69は本発明の第1および第2制限荷重設定手段を構成している。
第1および第2EA機構68,69は互いに同じ構成を有しており、以下に第1EA機構68について説明する。図8(a)ないし(d)に示すように、第1EA機構68は、エネルギ吸収部材74と、回転軸56に一体回転可能に固定されたエネルギ吸収部材固定支持リング75と、回転軸56に相対回転可能に支持されたエネルギ吸収部材支持部材76とを有している。
図9(a)および(b)に示すように、エネルギ吸収部材74は厚みt1で幅w1の帯状平板からなり、全体がほぼC字状に形成されている。このエネルギ吸収部材74の一端部はエネルギ吸収部材固定支持リング75に固定支持される第1支持部74aとされ、またエネルギ吸収部材74の他端部はエネルギ吸収部材支持部材76に摺動可能に支持される第2支持部74bとされている。更に、第1支持部74aの近傍には、折り返されたU字状部74cが形成されている。
図10(a)および(b)に示すように、エネルギ吸収部材支持部材76は、一側に形成され、内部にエネルギ吸収部材固定支持リング75が配設される有底円筒状部76aと、他側に有底円筒状部76aと一体に形成された円筒状部76bとからなっている。円筒状部76bの外周面には、互いに平行でかつ同じ幅の一対の平坦面76c,76dが形成されている。
そして、図8(b)および(c)に示すように、エネルギ吸収部材固定支持リング75が回転軸56に固定されるとともに、エネルギ吸収部材支持部材76が回転軸56に左方から相対回動可能に嵌合される。エネルギ吸収部材固定支持リング75が有底円筒状部76a内に配設された状態で、エネルギ吸収部材支持部材76が回転軸56に軸方向に位置決めされる。エネルギ吸収部材固定支持リング75にエネルギ吸収部材74の第1支持部74aが固定支持されるとともに、エネルギ吸収部材74の第2支持部74bがエネルギ吸収部材支持部材76の有底円筒状部76aの円筒部を摺動可能に貫通支持されている。
第2EA機構69も第1EA機構68と同じ構成、つまりエネルギ吸収部材74′と、エネルギ吸収部材固定支持リング75′と、回転軸56に相対回転可能に支持されたエネルギ吸収部材支持部材76′とを有している(74′は図9(c)に図示、また76′は図6(a)に図示。75′はいずれの図にも図示されないが、説明の便宜上、第1EA機構68のエネルギ吸収部材固定支持リング75と対応させてこの符号75に「′」を付して用いる。以下、同様に第2EA機構69に関し、いずれの図にも図示されない構成要素についても、説明の便宜上第1EA機構68の対応する構成要素の符号に「′」を付して用いる。)。
エネルギ吸収部材74′、エネルギ吸収部材固定支持リング75′、およびエネルギ吸収部材支持部材76′は、第1EA機構68のそれらと左右対称にしてこの第1EA機構68と同じようにして回転軸56に設けられる。また、図9(c)に示すようにエネルギ吸収部材74′は、その厚みが第1EA機構68のエネルギ吸収部材74の厚みt1と同じ厚みに設定されているが、その幅w2が第1EA機構68のエネルギ吸収部材74の幅w1より小さく設定されている(w2<w1)。したがって、第2EA機構69のエネルギ吸収量は第1EA機構68より小さく、第2EA機構69における前述の荷重の制限量(FL荷重)は第1EA機構68より小さい。すなわち、図18(a)ないし(c)に示すように、第1EA機構68のEA作動によるFL荷重F5は比較的大きく、第2EA機構69のEA作動によるFL荷重F6は比較的小さくなる。
なお、異なるFL荷重を得るために、図9(d)に示すように、エネルギ吸収部材74,74′の厚みt2を厚みt1と異ならせることもできるし(図示例の場合には、t2>t1であるが、その逆でもよいことは言うまでもない)、幅wを連続的に異ならせてもよい。更に、エネルギ吸収部材74,74′の形状は他の形状でもよい。以下の説明では、図9(a)ないし(c)に示すエネルギ吸収部材74,74′を用いるものとする。
第1および第2作動制御部材70,71は互いに同じ構成を有しており、以下に同じ図11を用いて説明する。図11に示すように、第1および第2作動制御部材70,71は、第1および第2アーム部70a,70b;71a,71bを有するU字状に形成されている。第1および第2アーム部70a,70b;71a,71bの先端側(図において下端側)の対向面は互いに平行な平坦面からなる一対の回転阻止部70c,70d;71c,71dが形成されている。これらの回転阻止部70c,70d;71c,71d間の距離は、エネルギ吸収部材支持部材76,76′における円筒状部76b,76b′の一対の平坦面76c,76d;76c′,76d′間の距離より若干大きく設定されている。また、第1および第2アーム部70a,70b;71a,71bの回転阻止部70c,70d;71c,71dの上方にこれらの回転阻止部70c,70d;71c,71dに連続して円弧状からなる回転許容部70e,71eが形成されている。各回転許容部70e,71eの直径は円筒状部76b,76b′の外周面(平坦面76c,76d;76c′,76d′以外の部分)の直径より若干大きく設定されている。
そして、図8(a)および(b)に示すように、例えば、第1EA機構68および第1作動制御部材70においては、第1および第2アーム部70a,70bの回転阻止部70c,70dが円筒状部76bの平坦面76c,76dに対向する位置(つまり、回転阻止部70c,70dが平坦面76c,76dを挟む位置)にあるときは、これらの回転阻止部70c,70dにより、エネルギ吸収部材支持部材76の回転が阻止されるようになる。また、後述する図11および図12に示すように、第1および第2アーム部70a,70bの回転許容部70eが円筒状部76bに位置するときは、この回転許容部70eにより、エネルギ吸収部材支持部材76の回転が許容されるようになる。
図8(a)ないし(c)に示すように、エネルギ吸収部材支持部材76の回転が回転阻止部70c,70dによって阻止されている状態で、回転軸56が図8(c)において反時計方向に回転すると、エネルギ吸収部材固定支持リング75も一緒に反時計方向に回転する。すると、エネルギ吸収部材74の第1支持部74aも一緒に反時計方向に回転するので、U字部74cが終端の第2支持部74bに向かって連続的に移動していく。つまり、エネルギ吸収部材74が連続的に曲げ変形する。このエネルギ吸収部材74の変形により衝撃エネルギが吸収され、エネルギ吸収部材74のEA作動が行われる。このエネルギ吸収部材74のEA作動により、シートベルト3に加えられる荷重が制限される。そして、最終的には、図8(d)に示すようにU字状の折り返し部74cが消滅するとともに、第2支持部74bが有底円筒状部76aの円筒部から離脱し、エネルギ吸収部材74のEA作動が終了する。このように帯状平板のエネルギ吸収部材74を連続的に曲げ変形させることで、EA作動が摩擦に依存しないので、安定したFL荷重を得ることができる。
図12(a)ないし(c)に示すように、エネルギ吸収部材支持部材76の回転が回転許容部70eによって許容されている状態で、回転軸56が図12(c)において反時計方向に回転すると、エネルギ吸収部材固定支持リング75も一緒に反時計方向に回転する。このとき、エネルギ吸収部材支持部材76の回転が許容されているため、エネルギ吸収部材支持部材76もエネルギ吸収部材74を介して一緒に反時計方向に回転する。このため、エネルギ吸収部材74は変形しなく初期状態が保持されてEA作動を行わず、衝撃エネルギを吸収しない。エネルギ吸収部材74のEA作動が行われないことから、エネルギ吸収部材74によっては、シートベルト3に加えられる荷重は制限されない。
第2EA機構69および第2作動制御部材71においても、第1EA機構68および第1作動制御部材70と同様の作動が行われる。
第1および第2駆動部材72,73は互いに同じ構成を有しており、以下に同じ図11を用いて説明する。図11に示すように、第1および第2駆動部材72,73は、シリンダ72a,73a内に配設されたガスジェネレータ72b,73b、同じくシリンダ72a,73a内に配設されたピストン72c,73c、および各ピストン72c,73cと第1および第2作動制御部材70,71とを連結するピストンロッド72d,73dを備えている。
そして、ガスジェネレータ72b,73bが作動して発生するガスで、ピストン72c,73cが図11において下方に移動し、これらのピストン72c,73cの移動で各ピストンロッド72d,73dがシリンダ72a,73aから延び出して第1および第2作動制御部材70,71を下方に移動させるようになっている。
その場合、回転阻止部70c,70d;71c,71dと平坦面76c,76d;76c′,76d′との間に摩擦が生じていても、ガスジェネレータ72b,73bのガス圧による比較的大きな力で第1および第2作動制御部材70,71が下方に押圧されるので、回転阻止から回転許容への切換が確実に行うことができる。
このようにして、第1および第2アーム部70a,70b;71a,71bの回転阻止部70c,70d;71c,71dおよび回転許容部70e,71eと、円筒状部76b,76b′の平坦面76c,76d;76c′,76d′と、第1および駆動部材72,73とにより、エネルギ吸収部材支持部材76,76′の回転を制御するブレーキ機構が構成されている。
図13に示すように、ソレノイド67および各ガスジェネレータ72b,73bは、前述の例と同様にシートウェイトセンサ51、シートスライド位置検出センサ52、加速度センサ53、フロントサテライトセンサ54、バックルスイッチ55、およびベルト伸び出し量センサ79からの各出力信号に基づいてCPU50により緊急時の状況に応じて作動制御される。
この例のPFL20においては、第1および第2EA機構68,69の作動あるいは非作動により、4種類のEA作動パターンが設定される。
第1のEA作動パターンは、第1および第2EA機構68,69のいずれもがEA作動を行うパターンである。この第1のEA作動パターンでは、図14に示すように第1および第2アーム部70a,70b;71a,71bの回転阻止部70c,70d;71c,71dが円筒状部76b,76b′の平坦面76c,76d;76c′,76d′に対向する位置に設定されて、第1および第2作動制御部材70,71により両エネルギ吸収部材支持部材76,76′の回転が阻止される。第1のEA作動パターンでのFL荷重は、図18(a)に示すようにトーションバー7のFL荷重F2、第1EA機構68のFL荷重F5、および第2EA機構69のFL荷重F6をすべて加えた荷重となる。この第1のEA作動パターンは通常時に設定され、例えば平均的な体重より比較的重い体重の乗員に対して設定される。
第2のEA作動パターンは、第1EA機構68がEA作動を行い、第2EA機構69がEA作動を行わないパターンである。この第2のEA作動パターンでは、図15に示すように第1アーム部70a,70bの回転阻止部70c,70dが円筒状部76bの平坦面76c,76dに対向する位置に設定され、また第2作動制御部材71の回転許容部71eが円筒状部76b′に対向する位置に設定されて、第1作動制御部材70によりエネルギ吸収部材支持部材76の回転のみが阻止され、エネルギ吸収部材支持部材76′の回転が許容される。第2のEA作動パターンでのFL荷重は、図18(b)に示すようにトーションバー7のFL荷重F2および第1EA機構68のFL荷重F5を加えた荷重となる。この第2のEA作動パターンは、例えば平均的な体重の乗員に対して設定される。
第3のEA作動パターンは、第2EA機構69がEA作動を行い、第1EA機構68がEA作動を行わないパターンである。この第3のEA作動パターンでは、図16に示すように第2アーム部71a,71bの回転阻止部71c,71dが円筒状部76b′の平坦面76c′,76d′に対向する位置に設定され、また第1作動制御部材70の回転許容部70eが円筒状部76bに対向する位置に設定されて、第2作動制御部材71によりエネルギ吸収部材支持部材76′の回転のみが阻止され、エネルギ吸収部材支持部材76の回転が許容される。第3のEA作動パターンでのFL荷重は、図18(c)に示すようにトーションバー7のFL荷重F2および第2EA機構69のFL荷重F6を加えた荷重となる。この第3のEA作動パターンは、例えば平均的な体重より比較的軽い体重の乗員に対して設定される。
第4のEA作動パターンは、第1およびEA機構68,69がともにEA作動を行わないパターンである。この第4のEA作動パターンでは、図17に示すように第2アーム部71a,71bの回転阻止部71c,71dが円筒状部76b′の平坦面76c′,76d′に対向する位置に設定され、また第1および第2作動制御部材70,71の回転許容部70e,71eが円筒状部76b,76b′に対向する位置に設定されて、両エネルギ吸収部材支持部材76,76′の回転が許容される。第4のEA作動パターンでのFL荷重は、図示しないがトーションバー7のFL荷重F2のみの荷重となる。
なお、前述の図5に示す例の場合と同様に、図13に示すブロック図には衝突予知センサを示していないが、衝突予知センサも設けて、事前の乗員情報や実際に発生した衝突情報だけではなく、この衝突予知センサで衝突を予知した場合の情報に基づいて制限荷重を変更することもできる。
また、前述の各EA作動パターンの設定は、予め事前にわかる情報である乗員の体重に応じて設定されるものとしているが、予め事前にわかる情報として乗員の身長等の他の体格およびシートスライド位置、衝突予知センサで衝突を予知した衝突予知情報および衝突後の衝突の厳しさの情報(例えば、衝突速度の情報、衝突加減速度の情報、衝突の仕方の情報等)等の緊急時の状況の情報に応じて設定することもできる。
このように、各EA作動パターンにおける制限荷重の大きさがそれぞれ緊急時の状況に応じて設定されている。これにより、緊急時の状況に応じて制限荷重をより簡単に設定することができる。
なお、前述の第1のEA作動パターンでは、第1および第2EA機構68,69のいずれもがEA作動を同じ期間行うものとしているが、各ガスジェネレータ72b,73bの作動タイミングをそれぞれずらすことで、第1および第2EA機構68,69のいずれか一方のEA作動を早く終了させることもできる。したがって、最初、トーションバー7のEA作動によるFL荷重および第1、第2EA機構68,69の各EA作動による両FL荷重を重畳したFL荷重が得られ、その後、EA作動の終了したEA機構のEA作動によるFL荷重を除いたFL荷重が得られる。
このように構成されたこの例のシートベルトリトラクタ1の作動について説明する。
通常時はガスジェネレータ72b,73bは作動しなく、PFL20が図14に示す第4のEA作動パターンに設定される。また、歯車動力伝達機構57が図6(b)に示すトーションバー7と回転軸56とを連結しない状態に設定される。したがって、シートベルト3は、従来の一般的なシートベルトリトラクタと同様に自由に軽く引出し可能となっているとともに、スプリング手段8により巻取り可能となっている。したがって、乗員はシートベルト3の装着操作および装着解除操作を簡単に行うことができる。
車両衝突時等の緊急時には、CPU50はシートウェイトセンサ51、シートスライド位置検出センサ52、加速度センサ53、フロントサテライトセンサ54、バックルスイッチ55、およびベルト伸び出し量センサ79からの各出力信号に基づいて緊急状態発生を判断し、緊急時の状況に応じてソレノイド67を駆動し、歯車動力伝達機構57を図7(a)および(b)に示す動力伝達パターンのいずれか一方に設定する。これにより、トーションバー7と回転軸56とが歯車動力伝達機構57を介して連結され、トーションバー7の回転が、設定された動力伝達パターンの速度比で回転軸56に伝達される。
同時に、CPU50は緊急時の状況に応じてガスジェネレータ72b,73bを作動制御する。すなわち、CPU50は、例えば比較的重い体重の乗員など、比較的大きなFL荷重が必要であると判断したときには、ガスジェネレータ72b,73bを作動しなく、第1および第2EA機構68,69を図14に示すEA作動可能状態に設定し、PFL20を初期状態に保持する。これにより、大きなFL荷重(F2+F5+F6)が得られる。そして、CPU50は、第1および第2EA機構68,69のエネルギ吸収部材74,74′のエネルギ吸収が行われている途中、つまりスプール4のあるストロークで、前述の各センサからの検出信号に基づいて、例えば衝突の大きさや乗員の体格の大きさ等により比較的大きなFL荷重が必要でなくなったと判断すると、ガスジェネレータ72b,73bを作動し、第1および第2EA機構68,69を図17に示すEA作動不能状態(第4のEA作動パターン)に設定する。これにより、FL荷重F5,F6が得られなくなり、トーションバー7によるFL荷重F2のみとなる。この場合のスプール4のストロークに対するFL荷重は図18(a)に示す荷重となる。もちろん、図8(d)に示すようにエネルギ吸収部材74,74′のEA作動が終了した後も、トーションバー7によるFL荷重F2のみとなることは言うまでもない。
また、CPU50は、例えば平均体重の乗員など、普通の(中間の)FL荷重が必要であると判断したときには、ガスジェネレータ73bのみを作動して第1EA機構68のみを図15に示すEA作動可能状態に設定する。これにより、普通のFL荷重(F2+F5)が得られる。そして、CPU50は、第1EA機構68のエネルギ吸収部材74のエネルギ吸収が行われている途中で前述と同様にして普通のFL荷重が必要でなくなったと判断すると、ガスジェネレータ72bを作動し、第1EA機構68を図17に示すEA作動不能状態(第4のEA作動パターン)に設定する。これにより、FL荷重F5が得られなくなり、トーションバー7によるFL荷重F2のみとなる。この場合のスプール4のストロークに対するFL荷重は図18(b)に示す荷重となる。
更に、CPU50は、例えば比較的軽い体重の乗員など、比較的小さなFL荷重が必要であると判断したときには、ガスジェネレータ72bのみを作動して第2EA機構69のみを図16に示すEA作動可能状態に設定する。これにより、普通のFL荷重(F2+F6)が得られる。そして、CPU50は、第2EA機構69のエネルギ吸収部材74′のエネルギ吸収が行われている途中で前述と同様にして比較的小さなFL荷重が必要でなくなったと判断すると、ガスジェネレータ73bを作動し、第2EA機構69を図17に示すEA作動不能状態(第4のEA作動パターン)に設定する。これにより、FL荷重F6が得られなくなり、トーションバー7によるFL荷重F2のみとなる。この場合のスプール4のストロークに対するFL荷重は図18(c)に示す荷重となる。
この例のシートベルトリトラクタ1によれば、2つの第1および第2のEA機構68,69の簡単な構成で、緊急時の状況に応じて適切な制限荷重を得ることができるようになる。また、歯車動力伝達機構57により、トーションバー6の回転を速度比の異なる2種類の動力伝達系を設定しているので、これらの速度比の異なる動力伝達によっても緊急時の状況に応じて適切な制限荷重を得ることができるようになる。なお、動力伝達系は1種類のみを設定することもできる。
この例のシートベルトリトラクタ1の他の構成および作用効果は、前述の従来例および前述の本発明の実施の形態の例と同じである。
図19(a)ないし(d)は、本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の更に他の例を模式的に示す図である。なお、図19(a)および(c)は、それぞれ図19(b)におけるIXXA−IXXA線に沿う断面図および図19(d)におけるIXXC−IXXC線に沿う断面図である。
図19(a)ないし(d)に示すように、この例のPFL20は、2つの第1および第2EA機構68,69がともに図6(a)に示す例と逆向きにされて回転軸56に設けられている。また、第1および第2EA機構68,69のEA作動をそれぞれ制御する作動制御部材が第1および第2EA機構68,69に共通の1つの作動制御部材77として設けられている。したがって、この例では、作動制御部材が図6(a)に示す例に比べて1つ削減されている。
図20(a)および(b)に示すように、この作動制御部材77は、第1および第2アーム部77a,77bの一側には、エネルギ吸収部材支持部材76の円筒状部76bに対応して回転阻止部70c,70dと回転許容部70eとが形成され、また第1および第2アーム部77a,77bの他側には、エネルギ吸収部材支持部材76′の円筒状部76b′に対応して回転阻止部71c,71dと回転許容部71eとが形成されている。その場合、回転阻止部71c,71dと回転許容部71eとは前述の例と上下同じように形成され、また、回転阻止部70c,70dと回転許容部70eとは前述の例と上下逆に形成されている。
すなわち、図19(a)および(b)に示すように回転許容部70eで一方のエネルギ吸収部材支持部材76の回転が許容されるときは、回転阻止部71c,71dで他方のエネルギ吸収部材支持部材76′の回転が阻止されるようになっている。また、図19(c)および(d)に示すように回転阻止部70c,70dで一方のエネルギ吸収部材支持部材76の回転が阻止されるときは、回転許容部71eで他方のエネルギ吸収部材支持部材76′の回転が許容されるようになっている。
また、作動制御部材77が1つだけ設けられることから、駆動部材も第1および第2EA機構68,69に共通の1つの駆動部材78として設けられている。したがって、この例では、駆動部材も図6(a)に示す例に比べて1つ削減されている。この駆動部材78の構成は、図11に示す前述の第1および第2駆動部材72,73と同じであり、ガスジェネレータ、ピストン、およびピストンロッドを有している。
この例のシートベルトリトラクタ1の他の構成は、前述の図6(a)に示す例と同じである。
図21に示すようにこの例のPFL20においては、ソレノイド67および駆動部材78のガスジェネレータは、前述の例と同様にシートウェイトセンサ51、シートスライド位置検出センサ52、加速度センサ53、フロントサテライトセンサ54、バックルスイッチ55、およびベルト伸び出し量センサ79からの各出力信号に基づいてCPU50により緊急時の状況に応じて作動制御される。
そして、この例のPFL20では、EA作動パターンは、前述の図6(a)に示す例における図15および図16に示す第2および第3のEA作動パターンと同様の2つのEA作動パターンとなる。すなわち、ガスジェネレータが作動しないときは、図19(a)および(b)に示す他方のエネルギ吸収部材支持部材76′の回転のみが阻止可能に設定される。したがって、このときは第2EA機構69のEA作動のみが可能となり、第2EA機構69のみがEA作動したときのFL荷重は、前述と同様に図18(c)に示すようになる。また、ガスジェネレータが作動したときは、図19(c)および(d)に示す一方のエネルギ吸収部材支持部材76の回転のみが阻止可能に設定される。したがって、このときは第1EA機構68のEA作動のみを可能となり、第1EA機構68のみがEA作動したときのFL荷重は、前述と同様に図18(b)に示すようになる。
このように、この例のPFL20では、駆動部材78の作動によるEA作動パターンが2種類しか設定できないが、作動制御部材77とガスジェネレータを含む駆動部材78とがともに1つしか設けられないので、前述の図6(a)に示す例に比べて、構成が簡単になるとともに、コストを低減することができる。
この例のシートベルトリトラクタ1の他の作用効果は、前述の図6(a)に示す例と同じである。
なお、この例においては、緊急時の状況の情報のうち、予め得ることができる乗員情報(シートウェイトセンサ51、シートスライドセンサ52からの情報)を事前に検知し、作動制御部材77を作動させる場合は、ガスジェネレータ78の代わりに比較的低い荷重で作動させることのできるソレノイドを使うこともできる。これにより、予め得ることができる緊急時の状況の情報に基づいて、事前にシートベルトの制限荷重を変更することが可能となる。
また、図21に示すブロック図には衝突予知センサを示していないが、前述の例と同様に衝突予知センサも設けて、事前の乗員情報や実際に発生した衝突情報だけではなく、この衝突予知センサで衝突を予知した場合の情報に基づいて制限荷重を変更することもできる。
図22は、本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の他の例を模式的にかつ一部断面を取って示す、図6(a)と同様の正面図である。
前述の図6(a)および(b)に示す例では、トーションバー7に一体回転可能に取り付けたスプール側小、大径歯車58,59と、PFL20の回転軸56に一体回転可能に取り付けたPFL側大、小径歯車60,61とを、通常時には噛合させず、緊急時に動力伝達切換手段62により対応する歯車どうしを選択的に回転連結させるようにしているが、図22に示すようにこの例のシートベルトリトラクタ1は、スプール側小、大径歯車58,59、PFL側大、小径歯車60,61、動力伝達切換手段62、およびソレノイド67を備えていない。
そして、図22に示すように、この例のシートベルトリトラクタ1は動力伝達機構57として、図31に示す従来のシートベルトリトラクタ1においてスプール4にこれと相対回転可能にかつ同軸に設けられたスプール側歯車80と、回転軸56にこれと相対回転可能にかつ同軸に設けられたPFL側歯車81と、スプール4とスプール側歯車80とを緊急時に回転連結するクラッチ機構82とを有している。
図23および図24に詳細に示すように、スプール側歯車80は、外歯80aおよび内歯80bを有するリング状に形成されている。その場合、内歯80bは、ベルト引出方向に係合可能なラチェット歯に形成されている。このスプール側歯車80はスプール4のロッキングベース14側の端面に突設された支持軸部4aに内歯80bが当接するようにして、スプール4と相対回転可能に支持されている。
また、クラッチ機構82は、円弧状に形成されかつ一端にスプール側歯車80の内歯80bに係合可能な所定数の係止爪83aを有するクラッチパウル83を備えている。このクラッチパウル83は支持軸部4aに所定形状に湾曲して形成された支持面4bに摺動可能に支持されている。更に、クラッチパウル83は、ロック機構6のパウル13の回転軸13aに一体にかつ同軸に設けられたシェアピン84に一体回転可能に設けられている。そして、緊急時にパウル13が回動してロッキングベース14のベルト引出方向の回転が阻止されたとき、このパウル13の回動で回動してクラッチパウル83の係止爪83aが内歯80bに係合するようになっている。したがって、回転軸13aは、緊急時にロック機構6の作動に連動する本発明の連動部材を構成している。
そして、前述のように減速度感知手段5の作動した緊急時にパウル13が回転してフレーム2の側壁2bの内歯19に係合する際に、クラッチパウル83はパウル13の回転と連動して回転することで、図24に二点鎖線で示すようにその係止爪83aがスプール側歯車80の内歯80bに係合し、クラッチ機構82が接続されるようになっている。このクラッチ機構82の接続により、スプール4とスプール側歯車80とが少なくともベルト引出方向に回転連結される。また、パウル13がフレーム2の内歯19に係合するとロッキングベース14のベルト引出方向の回転がロックされるのに対して、乗員の慣性でシートベルト3が引き出されようとしてスプール4がなおもベルト引出方向に回転するので、シェアピン84が大きなせん断荷重を加えられて破断するようになる。
すなわち、緊急時にパウル13がフレーム2の内歯19に係合しかつクラッチパウル83の係止爪83aが内歯80bに係合したとき、シェアピン84がせん断破壊するようになっている。シェアピン84がせん断破壊すると、図24に点線で示すようにクラッチパウル83は、係止爪83aが内歯80bに係合したまま、スプール4のベルト引出方向の回転の上流側にスプール4に対して相対的に移動する。そして、クラッチパウル83はスプール4の支持軸部4aの支持面4bとスプール側歯車80との間に食い込まれることにより、スプール4に対する相対移動が停止する。これにより、スプール4とスプール側歯車80とのベルト引出方向の回転連結が堅固に保持される。したがって、図24に矢印で示すようにスプール4のベルト引出方向の回転がクラッチパウル83を介してスプール側歯車80に伝達され、スプール側歯車80が矢印で示すようにベルト引出方向に回転するようになる。
図22に示すようにスプール側歯車80の外歯80aはPFL側歯車81の外歯81aに常時噛合している。したがって、クラッチパウル83の係止爪83aが内歯80bに係合しないクラッチ機構82の遮断時には、スプール4がベルト引出方向に回転しても、この回転はスプール側歯車80に伝達されず、スプール側歯車80、PFL側歯車81および回転軸56は回転しない。また、クラッチパウル83の係止爪83aが内歯80bに係合したクラッチ機構82の接続しかつシェアピン84がせん断破壊をしたときには、スプール4がベルト引出方向に回転すると、この回転はスプール側歯車80に伝達され、スプール側歯車80がスプール4と同方向に回転するとともに、PFL側歯車81および回転軸56がスプール4と逆方向に回転するようになる。その場合、この例ではスプール4の回転を回転軸56に伝達する動力伝達系は1つしかないので、伝達速度比は1種類だけである。
図25に示すようにこの例のPFL20においては、各ガスジェネレータ72b,73bは、前述の例と同様にシートウェイトセンサ51、シートスライド位置検出センサ52、加速度センサ53、フロントサテライトセンサ54、バックルスイッチ55、およびベルト伸び出し量センサ79からの各出力信号に基づいてCPU50により緊急時の状況に応じて作動制御される。
この例のシートベルトリトラクタ1の他の構成および他の作動は、図6(a)および(b)に示す例と同じである。なお、図6(a)および(b)に示す例では回転軸56がスプール4と同方向に回転するのに対して、この例では、回転軸56がスプール4と逆方向に回転するため、第1および第2EA機構68,69におけるエネルギ吸収部材74,74′は図6(a)および(b)に示す例のエネルギ吸収部材74,74′と逆向きに配設される、つまり、この例のエネルギ吸収部材74,74′の第1支持部74a,74a′、第2支持部74b,74b′およびU字状部74c,74c′はいずれも図6(a)および(b)に示す例と逆向きに配設されることは言うまでもない。
この例のシートベルトリトラクタ1によれば、図6(a)および(b)に示す例の回動レバー63およびソレノイド67を設けなくても済むので、構成を簡略化することができるとともに図13に示すCPU50による制御も簡単にでき、その分、シートベルトリトラクタ1を図6(a)および(b)に示す例より安価に形成することができる。また、クラッチ機構82のクラッチパウル83がリング形状のスプール側歯車80の内周側に収容されているので、歯車動力伝達機構57およびクラッチ機構82をコンパクトにかつ安価に形成することができる。
この例のシートベルトリトラクタ1の他の効果は、図6(a)および(b)に示す例と同じである。
図26は、本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示すととともにこの例の第1のEA作動パターンを示す図、図14と同様の図、図27は、図26に示す例の第2のEA作動パターンを示す図、図15と同様の図である。
前述の図6(a)に示す例では、2つの作動制御部材70,71をそれぞれ各駆動部材72,73で駆動するようになっているが、図26に示すように、この例のシートベルトリトラクタのPFL20は一方の駆動部材72を備えていない。そして、一方の作動制御部材70はフレーム2に直接固定されていて、この作動制御部材70のための駆動部材72は設けられていない。その場合、この作動制御部材70は、第1アーム部70a,70bの回転阻止部70c,70dが円筒状部76bの平坦面76c,76dに対向する位置に設定されて、第1作動制御部材70によりエネルギ吸収部材支持部材76の回転を常時阻止するようにされている。
この例のシートベルトリトラクタの他の構成は、図6(a)に示す例と同じ構成である。
この例のPFL20では、第1EA機構68のEA作動は図6(a)に示す例における駆動部材72が作動しない場合の第1EA機構68のEA作動と同じになることから、第1EA機構68のEA作動は、エネルギ吸収部材74によるEA作動が可能な間は常時行われる。したがって、この例のPFL20のEA作動パターンは、第2EA機構69の駆動部材73の作動のみで変更される。すなわち、駆動部材73が作動しない場合には、第2EA機構69によってもEA作動が行われるから、図14に示す第1のEA作動パターンと同じになる。この第1のEA作動パターンでは、図28(a)ないし(c)に示すようにトーションバー7のEA作動によるFL荷重F2、第1EA機構68のEA作動によるFL荷重F5、および第2EA機構69のEA作動によるFL荷重F6の3つが重畳されたFL荷重となり、比較的大きなエネルギ吸収が行われる。
また、駆動部材73が作動した場合には、第2EA機構69によるEA作動が行われないから、図15に示す第2のEA作動パターンと同じになる。この第2のEA作動パターンでは、図28(d)に示すようにトーションバー7のEA作動によるFL荷重F2および第1EA機構68のEA作動によるFL荷重F5の2つが重畳されたFL荷重となり、駆動部材73が作動しない場合に比べて、小さなエネルギ吸収が行われる。
そして、駆動部材73の作動のタイミングを調整することで、異なる種々のFL荷重を設定することが可能となる。すなわち、図28(a)に示すFL荷重における駆動部材73の作動のタイミングは、第1EA機構68のエネルギ吸収部材74によるEA作動が終了するときに合わせて駆動部材73を作動するタイミングに調整される。駆動部材73の作動で第2EA機構69のエネルギ吸収部材74によるEA作動が終了する。なお、この場合には、第2EA機構69のエネルギ吸収部材74によるEA作動可能期間を第1EA機構68のエネルギ吸収部材74によるEA作動可能期間より長く設定することになるが、図28(a)に示すFL荷重は、第2EA機構69のエネルギ吸収部材74によるEA作動可能期間を第1EA機構68のエネルギ吸収部材74によるEA作動可能期間と等しく設定することでも得られる。
また、図28(b)に示すFL荷重における駆動部材73の作動のタイミングは、第1EA機構68のエネルギ吸収部材74によるEA作動が終了する前に駆動部材73を作動するタイミングに調整される。なお、図28(b)に示すFL荷重は、第2EA機構69のエネルギ吸収部材74によるEA作動可能期間を第1EA機構68のエネルギ吸収部材74によるEA作動可能期間より短く設定することでも得られる。
更に、図28(c)に示すFL荷重における駆動部材73の作動のタイミングは、エネルギ吸収部材74によるEA作動が終了した後に駆動部材73を作動するタイミングに調整される。この場合には、第2EA機構69のエネルギ吸収部材74によるEA作動可能期間を第1EA機構68のエネルギ吸収部材74によるEA作動可能期間より長く設定する必要がある。
更に、図28(d)に示すFL荷重における駆動部材73の作動のタイミングは、トーションバー7によるEA作動および第1EA機構68によるEA作動が開始すると同時に駆動部材73を作動するタイミングに調整される。
この例のPFL20においては、図21に示すガスジェネレータ78をガスジェネレータ73bに代えた制御ブロックで、ガスジェネレータ73bは、前述の例と同様にシートウェイトセンサ51、シートスライド位置検出センサ52、加速度センサ53、フロントサテライトセンサ54、バックルスイッチ55、およびベルト伸び出し量センサ79からの各出力信号に基づいてCPU50により緊急時の状況に応じて作動制御される。
このように、この例のPFL20では、駆動部材78が1つしか設けられないので、前述の図6(a)に示す例に比べて、構成が簡単になるとともに、コストを低減することができる。また、駆動部材73によるEA作動パターンが2種類しか設定できないが、駆動部材73の作動タイミングを適宜設定することで、図19(a)および(b)の例に比べて、種々異なるより多くのFL荷重を得ることが可能となる。
この例のシートベルトリトラクタ1の他の作用効果は、前述の図6(a)に示す例と同じである。
なお、前述の図6ないし図22に示す各例ではエネルギ吸収部材74として帯状平板を用いるものとしているが、本発明はこれに限定されることはなく、図29に示すように全体がほぼC字状に形成された線材で形成することもできる。その場合、線材からなるエネルギ吸収部材74もその第1支持部74aの近傍には同様のU字状部74cを有するとともに、前述の例の帯状平板からなるエネルギ吸収部材74と同様にして設けられる。また、線材の太さを種々変えることで、種々異なるFL荷重を得ることができる。
また、前述の図6ないし図29に示す各例では、エネルギ吸収部材74の第2支持部74bを折り曲げてエネルギ吸収部材支持部材76の有底円筒状部76aの円筒部に摺動可能に貫通支持させているが、本発明はこれに限定されることはなく、図30に示すように有底円筒状部76aの内周面に突起76eを設け、この突起76eに折曲されない第2支持部74bの端を支持させるようにすることもできる。また、第2EA機構69のエネルギ吸収部材支持部材76′にも、その有底円筒状部の内周面に、第1EA機構68の突起76eと同様の突起を設けることは言うまでもない。
更に、前述の図6ないし図24に示す各例では、第1のシートベルト荷重制限機構としてトーションバー7を用いているが、このトーションバー7に代えて、前述の特許文献2ないし6に開示されているEA機構を用いることもできる。また、第1のシートベルト荷重制限機構として、本出願人が先に特許出願している、ロッキングベース側に設けた板状のエネルギ吸収部材を、スプール側に設けた切り裂き用突起で切り裂くEA機構を用いることもできる(特願2003−206807;特開2004−249968)。
更に、前述の図6ないし図22に示す各例では、本発明の制限荷重設定手段が第1および第2EA機構68,69の2つのエネルギ吸収機構を有するものとしているが、エネルギ吸収機構は1つ以上任意の所定数設けることができる。
本発明のシートベルトリトラクタは、自動車等の車両に付設されたシートベルト装置に用いられ、衝突時等の緊急時にシートベルトにかかる荷重を制限して乗員の衝撃エネルギを吸収緩和しつつシートベルトの引出しを阻止するシートベルトリトラクタに好適に利用することができる。
本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例を、その構成の一部を省略して示す図である。 図1に示す例のPFLの小負荷モードの設定を説明する図である。 図1に示す例のPFLの大負荷モードの設定を説明する図である。 図1に示す例のFL荷重の特性を示す図である。 図1に示す例のシートベルトリトラクタ1を大小負荷モードに設定するためのブロック図である。 本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の他の例を模式的に示し、(a)は一部断面を取って示した正面図、(b)は(a)における部分左側面図である。 歯車動力伝達機構の動力伝達を説明し、(a)は一方の動力伝達系を説明する図、(b)は他方の動力伝達系を説明する図である。 ガスジェネレータの非作動時におけるEA機構、作動制御部材、および駆動部材を模式的に示し、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は非作動時のEA機構の右側面図、(d)はEA作動が終了した状態のEA機構の右側面図である。 エネルギ吸収部材を示し、(a)正面図、(b)は一方のエネルギ吸収部材の平面図、(c)は他方のエネルギ吸収部材の平面図、(d)はエネルギ吸収部材の変形例の平面図である。 エネルギ吸収部材支持部材を示し、(a)は側面図、(b)は一部を切り換えて示す正面図である。 作動制御部材および駆動部材を模式的に示す図である。 ガスジェネレータの作動時におけるEA機構、作動制御部材、および駆動部材を模式的に示し、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は非作動時のEA機構の右側面図である。 図6(a)に示す例のPFLを制御するためのブロック図である。 第1のEA作動パターンを示す図である。 第2のEA作動パターンを示す図である。 第3のEA作動パターンを示す図である。 第4のEA作動パターンを示す図である。 (a)は2つのEA機構が作動した時のFL荷重を示す図、(b)は一方のEA機構が作動した時のFL荷重を示す図、(c)は他方のEA機構が作動した時のFL荷重を示す図である。 PFLの他の例を示し、(a)はガスジェネレータ非作動時の(b)におけるIXXA−IXXA線に沿う断面図、(b)はガスジェネレータ非作動時の正面図、(c)はガスジェネレータ作動時の(d)におけるIXXC−IXXC線に沿う断面図、(d)はガスジェネレータ作動時の正面図である。 図19に示す例の作動制御部材および駆動部材を模式的に示し、(a)は側面図、(b)は(a)におけるXXB−XXB線に沿う断面図である。 図19(a),(b)に示す例のPFLを制御するためのブロック図である。 本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の更に他の例を模式的にかつ一部断面を取って示す、図6(a)と同様の正面図である。 図22に示す例のクラッチ機構を示す部分拡大断面図である。 図22に示す例のスプール側歯車およびクラッチ機構を示す部分拡大断面図である。 図19(a),(b)に示す例のPFLを制御するためのブロック図である。 本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示すととともにこの例の第1のEA作動パターンを示す図、図14と同様の図である。 図26に示す例の第2のEA作動パターンを示す図、図15と同様の図である。 図26に示す例のPFLを制御するためのブロック図である。 エネルギ吸収部材の他の例を示す図である。 エネルギ吸収部材およびエネルギ吸収部材支持部材の他の例を示す図である。 従来のトーションバーを備えたシートベルトリトラクタの一例を示す縦断面図である。 従来のトーションバーを備えたシートベルトリトラクタの他の例を模式的に示す図である。 図32に示す従来例のFL荷重の特性を示す図である。
符号の説明
1…シートベルトリトラクタ、2…フレーム、3…シートベルト、4…スプール、4a…支持軸部、4b…支持面、5…減速度感知機構、6…ロック機構、7…トーションバー、8…スプリング手段、13…パウル、13a…回転軸、14…ロッキングベース、19…内歯、20…プログラマブルフォースリミッタ(PFL)、21…本体、22…押圧ピストン、23…押圧ロッド、24…圧力室、25…ガスジェネレータ(GG)、26…ピストン移動規制部材、27…付勢スプリング、28…ソレノイド、29…孔、30…ベルト受け部、50…中央処理装置(CPU)、51…シートウェイトセンサ、52…シートスライド位置検出センサ、53…加速度センサ、54…フロントサテライトセンサ、55…バックルスイッチ、56…回転軸、57…歯車動力伝達機構、63…回動レバー、67…ソレノイド、68…第1EA機構、69…第2EA機構、70…第1作動制御部材、71…第2作動制御部材、70c,70d;71c,71d…回転阻止部、70e,71e…回転許容部、72…第1駆動部材、73…第2駆動部材、72b,73b…ガスジェネレータ、72c,73c…ピストン、74…エネルギ吸収部材、75…エネルギ吸収部材固定支持リング、76…エネルギ吸収部材支持部材、76c,76d…平坦面、76e…突起、77…作動制御部材、78…駆動部材、79…ベルト伸び出し量センサ、80…スプール側歯車、80a…外歯、80b…内歯、81…PFL側歯車、82…クラッチ機構、83…クラッチパウル、83a…係止爪、84…シェアピン

Claims (12)

  1. シートベルトを巻き取るスプールと、通常時前記スプールの回転が回転伝達軸を介して伝達されてこのスプールとともに回転し、緊急時にシートベルト引出し方向の回転が阻止されるロッキング部材を有するロック機構と、前記ロッキング部材のシートベルト引出し方向の回転が阻止されて前記スプールが前記ロッキング部材に対してシートベルト引出方向に相対回転するとき、前記シートベルトにかかる荷重を制限する第1および第2のシートベルト荷重制限機構とを少なくとも備えているシートベルトリトラクタにおいて、
    前記第2のシートベルト荷重制限機構は、前記シートベルトに対して制限荷重を設定する制限荷重設定手段と、緊急時のシートベルトの制限荷重を、乗員の体格の情報、シートスライド位置の情報、衝突速度の情報、衝突加減速度の情報、衝突の仕方の情報等の緊急時の状況の情報に基づいて変更するように前記制限荷重設定手段を制御する制限荷重制御手段とを備えていることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  2. 前記第1のシートベルト荷重制限機構は、前記スプールと前記ロッキング部材との間に設けられかつ前記回転伝達軸を構成するトーションバーをねじり変形させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた線材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係合ピンでしごく荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた帯状板を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられたガイド溝で強制的に変形する荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた筒状部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係止部で塑性変形させる荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられかつ他端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に係合されたU字状の平板素材またはU字状の線材を変形させる荷重制限機構、前記スプールとロッキング部材との間に設けられたシェアピンをせん断破壊させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた被切削部位を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切削刃で切削する荷重制限機構、および前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた板状のエネルギ吸収部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切り裂き用突起で切り裂く荷重制限機構のいずれか1つであることを特徴とする請求項1記載のシートベルトリトラクタ。
  3. 前記制限荷重に対して、前記制限荷重設定手段の非作動による負荷モード、小負荷モードおよび大負荷モードの3段階の負荷モードが設定されていることを特徴とする請求項2記載のシートベルトリトラクタ。
  4. 前記第1のシートベルト荷重制限機構は、前記スプールと前記ロッキング部材との間に設けられかつ前記回転伝達軸を構成するトーションバーをねじり変形させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた線材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係合ピンでしごく荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた帯状板を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられたガイド溝で強制的に変形する荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた筒状部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係止部で塑性変形させる荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられかつ他端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に係合されたU字状の平板素材またはU字状の線材を変形させる荷重制限機構、前記スプールとロッキング部材との間に設けられたシェアピンをせん断破壊させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた被切削部位を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切削刃で切削する荷重制限機構、および前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた板状のエネルギ吸収部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切り裂き用突起で切り裂く荷重制限機構のいずれか1つであり、
    緊急時に動力伝達機構を介して前記回転伝達軸の回転が伝達されて回転する回転軸が設けられているとともに、この回転軸に前記第2のシートベルト荷重制限機構が設けられており、
    前記第2のシートベルト荷重制限機構の前記制限荷重設定手段は所定数のエネルギ吸収機構を有し、
    更に、前記第2のシートベルト荷重制限機構は、前記所定数のエネルギ吸収機構を作動制御する少なくとも1つの作動制御部材と、前記作動制御部材に対応して設けられこの作動制御部材を作動する駆動部材とを備えていることを特徴とする請求項1記載のシートベルトリトラクタ。
  5. 前記第1のシートベルト荷重制限機構は、前記スプールと前記ロッキング部材との間に設けられかつ前記回転伝達軸を構成するトーションバーをねじり変形させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた線材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係合ピンでしごく荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた帯状板を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられたガイド溝で強制的に変形する荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた筒状部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた係止部で塑性変形させる荷重制限機構、一端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられかつ他端が前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に係合されたU字状の平板素材またはU字状の線材を変形させる荷重制限機構、前記スプールとロッキング部材との間に設けられたシェアピンをせん断破壊させる荷重制限機構、前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた被切削部位を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切削刃で切削する荷重制限機構、および前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか一方に設けられた板状のエネルギ吸収部材を前記スプール側および前記ロッキング部材側のいずれか他方に設けられた切り裂き用突起で切り裂く荷重制限機構のいずれか1つであり、
    緊急時に動力伝達機構を介して前記スプールの回転が伝達されて回転する回転軸が設けられているとともに、この回転軸に前記第2のシートベルト荷重制限機構が設けられており、
    前記第2のシートベルト荷重制限機構の前記制限荷重設定手段は所定数のエネルギ吸収機構を有し、
    更に、前記第2のシートベルト荷重制限機構は、前記所定数のエネルギ吸収機構を作動制御する少なくとも1つの作動制御部材と、前記作動制御部材に対応して設けられこの作動制御部材を作動する駆動部材とを備えていることを特徴とする請求項1記載のシートベルトリトラクタ。
  6. 前記動力伝達機構は、前記スプールの少なくともベルト引出方向の回転が伝達されるスプール側歯車と、前記スプールと前記スプール側歯車との間に設けられ、通常時は前記スプールと前記スプール側歯車とを遮断し前記緊急時に前記スプールと前記スプール側歯車とを少なくともベルト引出方向に回転連結するクラッチ機構と、前記回転軸にこの回転軸と一体回転可能にかつ前記スプール側歯車に常時噛合する回転軸側歯車とが設けられていることを特徴とする請求項5記載のシートベルトリトラクタ。
  7. 前記スプール側歯車は、前記回転軸側歯車に常時噛合する外歯と内歯とからリング状に形成されており、
    前記クラッチ機構は前記スプールに支持されたクラッチパウルおよびこのクラッチパウルを支持するとともに緊急時に破断するシェアピンを有し、前記シェアピンは前記ロック機構の作動に連動する連動部材に設けられており、前記クラッチパウルが前記ロック機構の作動で作動して前記スプール側歯車の内歯に係合するとともに前記シェアピンが破断して、前記スプールの回転が前記スプール側歯車に伝達されるようになっていること特徴とする請求項6記載のシートベルトリトラクタ。
  8. 前記制限荷重設定手段は、U字状部を有するとともにこのU字状部が終端に向かって移動するように変形することで制限荷重を設定する帯状平板または線材を備えていることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  9. 前記駆動部材は、前記作動制御部材を作動するためのガスジェネレータまたはソレノイドを備えていることを特徴とする請求項4ないし8のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  10. 前記制限荷重を変更する前記制限荷重設定手段は複数の荷重制限作動パターンが設定されており、前記複数の荷重制限作動パターンは、それぞれ制限荷重の大きさが乗員の体格、シートスライド位置、衝突速度、衝突加減速度、衝突の仕方等の緊急時の状況に応じて設定されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  11. 前記制限荷重を変更する前記制限荷重設定手段は、予め得ることができる緊急時の状況の情報に基づいて、事前にシートベルトの制限荷重を変更することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1記載のシートベルトリトラクタを備えていることを特徴とするシートベルト装置。
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