JP2006076390A - ウエビング巻取装置 - Google Patents

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輝彦 小出
Masayoshi Nojiri
雅義 野尻
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Abstract

【課題】 ウエビングベルトの装着状態でウエビングベルトの弛みを除去でき、しかも、チャイルドシートを搭載する際にはチャイルドシートを確実に固定できるウエビング巻取装置を得る。
【解決手段】 本ウエビング巻取装置10では、助手席44P上に載置したチャイルドシート156にウエビングベルト34を巻き掛けた後に、モータ100を起動させてウエビングベルト34でチャイルドシート156を固定した後に、イグニッション装置160のシリンダに挿し込んだイグニッションキーをACC位置以上に回転させると、再びモータ100が駆動して、ウエビングベルト34の巻き取りが行なわれる。これにより、ウエビングベルト34が係合するチャイルドシート156の所定部位におけるチャイルドシート156とウエビングベルト34との摩擦が大きくて、最初のモータ100の駆動では十分にスラックが除去できなかったとしても、ウエビングベルト34によって助手席44P上にチャイルドシート156を確実に固定できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、車両等の座席に着座した乗員の身体を長尺帯状のウエビングベルトで拘束するためのシートベルト装置を構成するウエビング巻取装置に係り、特に、モータ等の駆動力でウエビングベルトを巻き取り、収納可能なウエビング巻取装置に関する。
車両の座席に着座した乗員の身体を長尺帯状のウエビングベルトで拘束するシートベルト装置は、座席の側方で車体に固定されたウエビング巻取装置を備えている。ウエビング巻取装置は、例えば、軸方向が略車両前後方向に沿ったスプール(巻取軸)を備えており、このスプールにウエビングベルトの長手方向基端側が係止されている。スプールはその外周部にウエビングベルトを層状に巻き取ることができ、シートベルト装置を使用しない場合には、スプールの外周部にウエビングベルトを巻き取らせて収容する。
また、この種のウエビング巻取装置には、モータの駆動力でスプールを回転させてウエビングベルトを巻き取るモータリトラクタや電動リトラクタと称されるものがあり、その一例が下記特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されているモータリトラクタでは、ウエビングベルトに設けられたタングプレートがバックル装置から抜け出たこと、すなわち、乗員の身体に対するウエビングベルトの装着状態が解除されたことを、バックルスイッチが検出すると、シートベルト制御装置がモータ駆動回路及びクラッチ切替機構と電源との間の接点を閉じる。接点が閉じられると、クラッチ切替機構がモータとスプールとの間に介在するクラッチを操作して、モータとスプールとを連結させると共に、モータ駆動回路がモータを駆動させる。
これにより、モータに一定時間電流が流れ、モータが一定時間駆動させられる。このモータの駆動力が減速機構及びクラッチを介してスプールに伝わることでスプールが巻取方向に回転し、ウエビングベルトを巻き取る。
また、特許文献1に開示されたモータリトラクタでは、ドアが開放されたことをドアスイッチ(カーテシスイッチ)が検出したり、エンジンキースイッチ(イグニッション装置)からエンジンキー(イグニッションキー)が抜き取られた場合等にも上記の接点を一定時間だけ閉じる。これにより、バックル装置からタングプレートが抜き取られた際のウエビングベルトの巻き取りが不十分であったとしても、再度の巻き取りを行なうことで確実にウエビングベルトを巻き取って収納できるものである。
特開2001−163186公報
ところで、車両の助手席等(更に言えば運転席以外の座席)には、シートクッション(座面)上にチャイルドシートを載置すると共に、スプールから引き出したウエビングベルトをチャイルドシートに掛け回し、これにより、座席上にチャイルドシートを固定することがある。
このようにウエビングベルトでチャイルドシートを固定する場合にも、座席上でのチャイルドシートの強固な固定と言う観点からすると、ウエビングベルトのスラックが除去されていることが好ましい。したがって、ウエビングベルトでチャイルドシートを固定する場合にも、モータの駆動力でスプールを回転させてスプールにウエビングベルトを巻き取らせることは有効である。
しかしながら、チャイルドシートをウエビングベルトにより固定する場合にはチャイルドシートの所定の部位に形成されたベルト通し等の係合部にウエビングベルトを係合させたり、また、チャイルドシートの外表面でのコーナ部等にもウエビングベルトを掛け回す。このため、チャイルドシートにウエビングベルトを掛け回した直後等はモータを駆動させてスプールを回転させても、係合部やコーナ部とウエビングベルトとの大きな摩擦によって十分にウエビングベルトを巻き取ることができず、スラックを十分に除去できない可能性がある。
本発明は、上記事実を考慮して、ウエビングベルトの装着状態でウエビングベルトの弛みを除去でき、しかも、チャイルドシートを搭載する際にはチャイルドシートを確実に固定できるウエビング巻取装置を得ることが目的である。
請求項1に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、長尺帯状のウエビングベルトの基端部が係止されたスプールを、駆動手段の駆動力で軸周り方向一方の巻取方向に回転させて、前記スプールの外周部に前記ウエビングベルトを巻き取るウエビング巻取装置であって、車両の座席上に載置されたチャイルドシートを検出して、チャイルドシート検出信号を出力するチャイルドシート検出手段と、前記座席上への前記チャイルドシートの搭載動作を除いた前記車両に対する所定の操作、車両室内外での乗員の所定の動作、及び前記車両状態の所定の変化の何れか1つに伴いトリガ信号を出力するトリガ手段と、前記チャイルドシート検出信号及び前記トリガ信号の双方の入力でスラック除去制御して前記駆動手段を駆動させる制御手段と、を備えることを特徴としている。
請求項1に記載の本発明に係るウエビング巻取装置によれば、スプールから引き出された長尺帯状のウエビングベルトを座席に着座した乗員が、身体に掛け回してウエビングベルトを装着することで乗員の身体がウエビングベルトにより拘束される。
また、駆動手段を駆動させると、駆動手段の駆動力でスプールの軸周り一方である巻取方向にスプールを回転する。巻取方向にスプールが回転することで、ウエビングベルトが長手方向基端側からスプールの外周部に層状に巻き取られる。
したがって、乗員の身体に対するウエビングベルトの装着状態が解除された際に駆動手段を駆動させれば引き出されたウエビングベルトがスプールに巻き取られて収納される。また、乗員の身体に対するウエビングベルトの装着状態で駆動手段を駆動させれば、所謂「スラック」と称されるウエビングベルトの弛みが除去されて、ウエビングベルトにより確実に乗員の身体が拘束される。
一方、座席にチャイルドシートを載置した状態で、スプールから引き出されたウエビングベルトをチャイルドシートの所定部位に係合させつつチャイルドシートにウエビングベルトを掛け回してウエビングベルトを装着すると、ウエビングベルトによりチャイルドシートが座席上で固定される。
ここで、本発明に係るウエビング巻取装置では、座席上にチャイルドシートが載置されると、チャイルドシート検出手段により座席上にチャイルドシートが載置されたことが検出され、更に、この状態ではチャイルドシート検出手段からチャイルドシート検出信号が出力される。
チャイルドシート検出手段から出力されたチャイルドシート検出信号は、駆動手段制御用の制御手段に入力される。
また、上述した座席上へのチャイルドシートの搭載動作とは別の車両に対する所定の操作を乗員が行なった場合、車両室内外での乗員が所定の動作を行なった場合、及び、車両が所定の状態に変化した場合の何れか1の場合には、トリガ手段が作動してトリガ手段からトリガ信号が出力される。このトリガ信号は上記の制御手段に入力されるが、上述したチャイルドシート検出信号とトリガ信号の双方が制御手段に入力されると、制御手段がスラック除去制御する。
スラック除去制御されることで駆動手段が駆動され、スプールが巻取方向に回転させられる。上記のように巻取方向にスプールが回転させられることで、スプールにウエビングベルトが巻き取られ、これにより、ウエビングベルトの弛み、すなわち、スラックが除去される。
このように、本発明に係るウエビング巻取装置では、座席にチャイルドシートを固定する場合には、少なくとも、座席にチャイルドシートを取り付けた後の乗員の動作や操作、更には車両の状態の所定の変化等に伴い駆動手段の駆動力でウエビングベルトのスラックが除去される。
これにより、ウエビングベルトにより座席上にチャイルドシートを取り付けた直後の状態で、ウエビングベルトに弛みが生じていても、その後に乗員が所定の動作や操作をしたり、又は車両の状態に所定の変化が生じることで確実にウエビングベルトのスラックを除去でき、座席上にチャイルドシートを確実に固定できる。
請求項2に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、請求項1に記載の本発明において、前記座席を介して前記スプールとは反対側に設けられ、前記スプールから引き出された前記ウエビングベルトを保持する保持手段と、前記保持手段による前記ウエビングベルトの保持に伴い保持信号を出力するウエビング保持検出手段と、を備え、前記保持信号の出力に基づき前記制御手段が前記駆動手段に対して前記スラック除去制御すると共に、前記保持信号及び前記チャイルドシート検出信号の双方が入力された際に前記保持信号の入力に伴う前記スラック除去制御をしない、ことを特徴としている。
請求項2に記載の本発明に係るウエビング巻取装置によれば、スプールから引き出されて座席に着座した乗員の身体や座席上のチャイルドシートに掛け回されたウエビングベルトは、座席を介してスプールとは反対側に設けられた保持手段に保持される。これにより、乗員の身体にウエビングベルトが掛け回されているのであれば、乗員の身体やチャイルドシートにウエビングベルトが装着される。
また、保持手段にウエビングベルトが保持されると、ウエビング保持検出手段から保持信号が出力される。保持手段から出力された保持信号は制御手段に入力される。
ここで、制御手段にチャイルドシート検出信号が入力されずに保持信号が制御手段に入力された状態、すなわち、座席に着座した乗員の身体にウエビングベルトが装着されたとみなされる場合には、制御手段がスラック除去制御して駆動手段を駆動させる。これにより、乗員の身体に装着されたウエビングベルトのスラックが除去され、ウエビングベルトにより乗員の身体を確実に拘束できる。
一方、制御手段にチャイルドシート検出信号と保持信号の双方が制御手段に入力された状態、すなわち、座席上のチャイルドシートにウエビングベルトが取り付けられたとみなされる場合には、保持信号の入力に基づいたスラック除去制御を制御手段がしない。
ここで、座席上にチャイルドシートを取り付ける場合には、ウエビングベルトを保持手段に保持させた後にもチャイルドシートのウエビングベルトを掛け回した部分や係合させた部分でウエビングベルトを引っ張って座席上でのチャイルドシートの取付位置を調整したりする。
このような場合、保持手段にウエビングベルトを保持させた直後にウエビングベルトの巻き取りが行なわれると、座席上にチャイルドシートを取り付け難くなる。
これに対して、本発明に係るウエビング巻取装置では、上記のように保持手段にウエビングベルトを保持させた直後のウエビングベルトの巻き取りが行なわれないことで、座席にチャイルドシートを取り付ける際の作業が容易になる。
請求項3に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、前記ウエビングベルトの長手方向に沿って前記ウエビングベルトに作用する張力により前記巻取方向への前記スプールの回転が規制された際に前記駆動手段に生じる所定の大きさのロック電流を検出してロック電流検出信号を出力するロック電流検出手段を備え、前記ロック電流検出信号が前記制御手段に入力されることで前記制御手段が前記駆動手段を停止させると共に、前記チャイルドシート検出信号が出力されていない状態よりも前記チャイルドシート検出信号が出力されている状態で、前記ロック電流検出信号を出力する際の前記ロック電流の電流値を高く設定した、ことを特徴としている。
請求項3に記載の本発明に係るウエビング巻取装置によれば、駆動手段に電力が供給されて駆動手段から駆動力が出力されると、スプールが巻取方向に回転し、これにより、ウエビングベルトが巻き取られる。乗員の身体やチャイルドシートにウエビングベルトを装着したウエビングベルトが巻き取られると、スラックが除去されて乗員の身体やチャイルドシートにウエビングベルトがフィットする。
さらに、この状態から駆動手段の駆動力でウエビングベルトがスプールに巻き取られると、ウエビングベルトの長手方向に沿ってウエビングベルトに作用する張力がスプールの巻取方向への回転を規制する。駆動手段に電力が供給されている状態でスプールの巻取方向への回転が規制されると、駆動手段を含めて構成される電気回路に流れる駆動電流が増加してロック電流が流れる。
ロック電流が生じたことはロック電流検出手段により検出され、更に、ロック電流の電流値が所定の大きさに到達するとロック電流検出手段からロック電流検出信号が出力される。ロック電流検出手段から出力されたロック電流検出信号は制御手段に入力される。ロック電流検出信号が制御手段に入力されると、制御手段が駆動手段を停止させる(すなわち、駆動手段に対する電力供給を遮断する)。
ここで、本発明に係るウエビング巻取装置では、チャイルドシート検出信号が出力されていない状態でロック電流検出信号が出力されるロック電流の電流値よりも、チャイルドシート検出信号が出力されている状態でロック電流検出信号が出力されるロック電流の電流値の方が高く設定される。これにより、座席に着座した乗員の身体にウエビングベルトを装着した際には駆動手段が停止される程度のロック電流が駆動手段に流れても、ウエビングベルトによってチャイルドシートを固定した場合には、駆動手段に電流が流れ続ける。
このため、仮に、チャイルドシートとウエビングベルトとの摩擦が大きく、座席に着座した乗員の身体にウエビングベルトを装着した際に駆動手段が停止される程度のロック電流程度では十分にスラックが除去できなくても、それ以上の電流を駆動手段に流して駆動手段を駆動させることができる。これにより、より一層確実にスラックを除去でき、ウエビングベルトによってチャイルドシートを確実に固定できる。
以上説明したように、本発明では、ウエビングベルトによりチャイルドシートを固定した際には、車両に対する所定の操作又は車両室内外での乗員の所定の動作により駆動手段が作動してスプールにウエビングベルトを巻き取らせるため、チャイルドシートに掛け回したウエビングベルトの弛みを除去できる。これにより、座席上でチャイルドシートを確実に固定できる。
<第1の実施の形態の構成>
図1には本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置10の全体構成の概略が正面断面図によって示されている。また、図2には本実施の形態に係るウエビング巻取装置10を運転席44D用として適用したシートベルト装置12の概略が正面図によって示されている。さらに、図3には本実施の形態に係るウエビング巻取装置10を助手席44P用として適用したシートベルト装置12の概略が正面図によって示されている。
図1に示されるように、ウエビング巻取装置10はフレーム20を備えている。フレーム20は平板状の背板22を備えており、背板22がボルト等の図示しない締結手段によって、例えば、車両24のセンターピラー26(図2及び図3参照)の下端部近傍にて車体に固定され、これにより、本ウエビング巻取装置10が車体に取り付けられる。
図1に示されるように、背板22の幅方向両端からは、略車両前後方向に互いに対向した一対の脚板28、30が互いに平行に延出されている。これらの脚板28、30間には略円筒形状のスプール32が配置されている。
スプール32は軸方向が脚板28、30の対向方向とされており、自らの軸周りに回転可能とされている。また、スプール32には長尺帯状のウエビングベルト34の長手方向基端部が係止されている。
ウエビングベルト34はスプール32がその軸周り一方である巻取方向に回転することでスプール32の外周部に基端側から層状に巻き取られて収納される。さらに、ウエビングベルト34を先端側から引っ張れば、スプール32に巻き取られたウエビングベルト34が引き出され、これに伴い、巻取方向とは反対の引出方向にスプール32が回転する。
図2及び図3に示されるように、本実施の形態に係るウエビング巻取装置10が車両24の運転席44D用又は助手席44P用として適用されるのであれば、ウエビングベルト34は車両24のセンターピラー26に沿って略車両上方側へ引き出されている。また、センターピラー26の上端部近傍には、ウエビング巻取装置10と共にシートベルト装置12を構成するショルダアンカ36が車体に取り付けられている。ショルダアンカ36にはウエビングベルト34の通過が可能な程度のスリット孔38が形成されており、スプール32から引き出されたウエビングベルト34は、スリット孔38を通過して略車両下方へ折り返されている。
さらに、図2及び図3に示されるように、ウエビング巻取装置10の近傍では車体にアンカプレート40が取り付けられており、ウエビングベルト34の先端部がアンカプレート40に係止されている。
また、アンカプレート40に係止されたウエビングベルト34の先端部と、ショルダアンカ36でのウエビングベルト34の折り返し部分との間には、タングプレート42が、ウエビングベルト34に沿って所定範囲変位可能に設けられている。さらに、車両24の座席44を介してウエビング巻取装置10やアンカプレート40の反対側にはウエビング保持手段としてのバックル装置46が設けられている。
バックル装置46は、タングプレート42の先端側が入り込み可能に設けられており、タングプレート42が先端側からバックル装置46の内部に入り込むと、バックル装置46の内部に設けられたラッチ(図示省略)がタングプレート42に係合して、バックル装置46から抜け出る方向へのタングプレート42の移動を規制する構造になっている。
一方、図1に示されるように、スプール32の内側にはトーションシャフト48がスプール32に対して同軸的に設けられている。さらに、スプール32の軸方向に沿った脚板28側の端部には嵌合孔50が形成されている。嵌合孔50は断面形状がスプール32に対して略同軸の略円形で、しかも、嵌合孔50は軸方向一端側へ向けて段階的に内径寸法が大きくなる段付き形状とされている。
一方、スプール32の軸方向一端側には、ロック機構52が設けられている。ロック機構52はロックベース54を備えている。ロックベース54は嵌合部56を備えている。
嵌合部56は嵌合孔50の内周形状に対応してスプール32の軸方向他端側(脚板30側)へ向けて段階的に外形寸法が小さくなる略円柱形状に形成されている。嵌合部56は嵌合孔50の内側でスプール32に対して同軸的に相対回転可能に嵌合孔50に嵌め込まれていると共に、脚板28側のトーションシャフト48の端部48Aが同軸的且つ一体的に連結されている。
また、ロック機構52はケース58を備えている。ケース58は脚板28の外側(すなわち、脚板30とは反対側)に設けられており、脚板28にねじ等の締結手段や嵌合爪等の嵌合手段等により脚板28に一体的に固定されている。このケース58の内側には、図示しないラチェットギヤや圧縮コイルスプリング等のロック機構52を構成する部材、更には、ロックベース54を直接又は間接的に巻取方向に付勢する渦巻きばね等が収容されている。
ケース58内のラチェットギヤは、スプール32及びロックベース54に対して同軸的且つ相対回転自在にロックベース54に軸支されている。また、ケース58内の圧縮コイルスプリングはその一端がラチェットギヤに係止されており他端はロックベース54に係止されている。
ロックベース54が回転して圧縮コイルスプリングを圧縮し、又は引っ張ることで圧縮コイルスプリングの付勢力が増加すると、圧縮コイルスプリングがその付勢力でラチェットギヤをロックベース54の回転方向へ付勢してラチェットギヤをロックベース54に追従回転させる構造になっている。
また、ラチェットギヤには、ロックベース54に取り付けられたロックプレート60が係合しており、引出方向に回転しようとするロックベース54に対してラチェットギヤが追従できない場合(すなわち、ラチェットギヤがロックベース54に対して相対的に巻取方向へ回転した場合)には、ロックプレート60がラチェットギヤに誘導されてスプール32の回転半径方向外方へ移動し、脚板28に形成されている内歯のラチェット歯62に噛み合う。これにより、ロックベース54、ひいては、スプール32の引出方向への回転を規制する。
また、ラチェットギヤの半径方向下方には、図示しないロック機構52用の加速度センサが配置されている。この加速度センサは、ラチェットギヤに対して接離移動可能な係合爪と、係合爪のラチェットギヤとは反対側に設けられた鋼球と、鋼球が載置された略皿状の載置部と、を含めて構成されている。
ロック機構52用の加速度センサは、車両24急減速状態で鋼球が載置部上で転動すると鋼球が係合爪を押し上げてラチェットギヤに接近移動させ、係合爪をラチェットギヤに係合させてラチェットギヤの回転を規制する。
上記のように、ラチェットギヤは圧縮コイルスプリングの付勢力によってロックベース54に追従して回転するが、加速度センサの係合爪がラチェットギヤに噛み合うことでラチェットギヤの回転が規制されると、ラチェットギヤとロックベース54との間で相対回転が生じる。これにより、上記のように、ロックプレート60がラチェット歯62に噛み合う。
一方、トーションシャフト48の脚板30側の端部48Bにはスリーブ82が設けられている。スリーブ82は、脚板28側へ向けて開口した有底筒形状に形成されており、その内側にトーションシャフト48の端部48Bが入り込んでトーションシャフト48とスリーブ82とが同軸的且つ一体的に連結されている。
スプール32にはスリーブ82に対応して円孔84が形成されている。スリーブ82は円孔84に嵌挿されてスプール32に対して同軸的且つ一体的に連結されている。
スリーブ82のトーションシャフト48とは反対側の端面からは軸部86がトーションシャフト48及びスプール32に対して同軸的に延出されている。軸部86は脚板30に形成された円孔88を貫通して脚板30の外側に突出している。
また、脚板30の外側には、クラッチフレーム90がねじ等の締結手段や嵌合爪等の固定手段によって脚板30に一体的に取り付けられている。クラッチフレーム90の内側にはクラッチ手段としてのクラッチ92が収容されている。クラッチ92はリング状のウオームホイール94を備えている。ウオームホイール94は軸部86に対して同軸的に配置されている。
さらに、ウオームホイール94の内側には1乃至複数のパウルが設けられている。パウルはウオームホイール94の回転中心から偏心した位置でウオームホイール94に機械的に連結されており、ウオームホイール94と共に軸部86周りに回転する。また、パウルはウオームホイール94との連結部分にて軸部86と平行な軸周りにウオームホイール94に対して回動可能とされている。
さらに、ウオームホイール94の軸心部分には図示しないアダプタが設けられている。このアダプタは軸部86に対して同軸的且つ一体的に連結されており、軸部86、ひいてはスプール32と共に一体的に回転する。
また、このアダプタの外周部にはラチェット歯が形成されており、上記のパウルが回動するとパウルの先端がアダプタの外周部のラチェット歯に係合する。この係合状態では、ウオームホイール94がパウル及びアダプタを介して軸部86が機械的に連結され、巻取方向へのウオームホイール94の回転がパウル及びアダプタを介して軸部86に伝わり、軸部86を巻取方向に回転させる構造になっている。
一方、図1に示されるように、スプール32の下方には駆動手段としてのモータ100が設けられている。モータ100は出力軸102が平面視で略凹形状となるフレーム20の開口方向側、すなわち、背板22からの脚板28、30の延出方向側とされており、その先端側は上記のクラッチフレーム90とは別の図示しないギヤケースに入り込んでいる。
このギヤケースの内部には平歯のギヤ104が収容されている。ギヤ104は出力軸102に対して同軸的且つ一体的に取り付けられている。ギヤケース内におけるギヤ104の回転半径方向側方にはギヤ104よりも十分に歯数が多い平歯のギヤ106が配置されている。
ギヤ106は回転軸108がギヤ104と同方向とされており、ギヤ104に噛み合っている。また、ギヤ106にはギヤ106よりも歯数が十分に少ない平歯のギヤ110が同軸的且つ一体的に形成されている。
さらに、ギヤケース内におけるギヤ110の回転半径方向側方にはギヤ110よりも十分に歯数が多い平歯のギヤ112が配置されている。
ギヤ112は回転軸114がギヤ104〜112と同方向とされており、ギヤ110に噛み合っている。また、ギヤ112の回転軸114はギヤケースを突出して更にクラッチフレーム90内に入り込んでいる。
クラッチフレーム90内では回転軸114にウオームギヤ116が回転軸114に対して同軸的且つ一体的に設けられている。ウオームギヤ116は上記のウオームホイール94に噛み合っており、モータ100の出力軸102の回転が、ギヤ104〜112を介してウオームギヤ116に伝わり、ウオームギヤ116が回転すると、ウオームギヤ116の回転がウオームホイール94に伝えられて、ウオームホイール94が回転する。
一方、図4のブロック図に示されるように、モータ100は、ドライバ122を介してバッテリー124に電気的に接続されており、モータ100はドライバ122を介して通電されることで駆動し、出力軸102を回転させる。また、ドライバ122は制御手段としてのECU126を構成する制御部132に電気的に接続されている。
制御部132からはドライバ122に対して駆動信号Dsが出力される。制御部132から出力された駆動信号DsがLowレベルからHighレベルに切り替わると、ドライバ122はモータ100に電流Idを流してモータ100を駆動させる。また、制御部132から出力された駆動信号DsがHighレベルからLowレベルに切り替わると、ドライバ122はモータ100に対する電流Idの供給を停止してモータ100を停止させる。
また、図5には制御部132の要部の構造の概略が論理回路図により示されている。この図に示されるように、制御部132は3入力のORゲート134を備えている。ORゲート134の各入力端子には図4に示されるタイマ回路136、速度センサ138、及び加速度センサ140が接続されている。
図4に示されるように、タイマ回路136はバックルスイッチ142に接続されている。さらに、図3に示されるように、バックルスイッチ142はバックル装置46に内臓されている。
バックル装置46にタングプレート42が挿し込まれていない状態では、バックルスイッチ142はOFF状態になっており、バックルスイッチ142からはLowレベルのトリガ信号又は第1トリガ信号としての信号Bsが出力される。これに対して、バックル装置46にタングプレート42が挿し込まれてバックル装置46に対するタングプレート42の装着状態になると、バックルスイッチ142はON状態になり、信号BsはLowレベルからHighレベルに切り替わる。
タイマ回路136にはバックルスイッチ142から出力された信号Bsが入力され、信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わった際にタイマ回路136が起動し、信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わってからの時間がカウントされる。タイマ回路136からは基本的にLowレベルの信号Tsが出力されるが、カウントを開始してから所定の時間が経過すると、信号TsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
さらに、タイマ回路136は、モータ100の駆動回路を構成するロック電流検出手段としてのロック電流検出回路144に接続されている。モータ100に対して駆動電流Idが供給されている状態でモータ100の出力軸102の回転が規制されていると、モータ100の駆動回路を流れる電流が増大し、その結果、モータ100の駆動回路に通常の駆動電流Idよりも大きなロック電流が流れる。
ロック電流検出回路144は、モータ100の駆動回路に流れる電流の電流値が第1の所定値以上になると、Highレベルの信号L1を出力する。さらに、モータ100の駆動回路にロック電流が流れ続けることでロック電流が増大し、その結果、第1の所定値よりも大きな第2の所定値以上のロック電流がモータ100の駆動回路を流れると、ロック電流検出回路144はHighレベルの信号L2を出力する。
詳細な図示は省略するが、タイマ回路136は、第1の所定値にロック電流の電流値が到達した際のHighレベルの信号L1が入力されることでリセットされ、信号TsがHighレベルからLowレベルに切り替わる。
また、図2に示されるように、速度センサ138は車両24の所定部位に設けられており、例えば、車輪の回転数から車両24の走行速度が検出される。さらに、速度センサ138からはトリガ信号又は第1トリガ信号としての信号Vsが出力される。信号Vsは車両24の速度が所定値未満であればLowレベルであるが、車両24の速度が所定値以上になると、信号VsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
さらに、図2に示されるように、加速度センサ140は車両24の所定部位に設けられており、例えば、車両24が加速したり減速した際の加速度が検出される。さらに、加速度センサ140からはトリガ信号又は第1トリガ信号としての信号Asが出力される。加速度センサ140からは基本的にLowレベルの信号Asが出力される。
但し、車両24が減速状態になり、その際の減速度(加速度)が所定の大きさ以上(減速の割合が所定の大きさ以上)の場合には信号AsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
上記のORゲート134には、信号Ts、Vs、Asがそれぞれ入力され、これらの信号Ts、Vs、Asの少なくとも何れか1つがHighレベルの場合にはORゲート134の出力端子からHighレベルの信号が出力される。
一方、ORゲート134の出力端子は、2入力のORゲート146に接続されている。ORゲート146の他方の入力端子は2入力のANDゲート148の出力端子に接続されている。ANDゲート148の一方の入力端子はトランスポンダ150の車両側送受信部152に接続されている。
図3に示されるように、トランスポンダ150の車両側送受信部152は、助手席44Pに設けられている。トランスポンダ150は、車両側送受信部152と対をなすチャイルドシート側送受信部154を備えている。チャイルドシート側送受信部154はチャイルドシート156に設けられている。
車両側送受信部152とチャイルドシート側送受信部154とは互いに無線信号を送受信できる構成になっており、助手席44Pにチャイルドシート156が取り付けられたか否かをチャイルドシート側送受信部154から出力された無線信号により車両側送受信部152が検出する。
車両側送受信部152からはトリガ信号又は第2トリガ信号としての信号Crsが出力される。通常は車両側送受信部152からLowレベルの信号Crsが出力される。しかしながら、チャイルドシート156が助手席44Pに載置されると、車両側送受信部152から出力される信号CrsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
また、ANDゲート148の他方の入力端子は4入力のORゲート158に接続されている。ORゲート158の各入力端子には、各々がトリガ手段又は第2トリガ手段としてのイグニッション装置160、ペダルスイッチ162、カーテシスイッチ164、及び自動変速機のECU166に接続されている。
図2に示されるように、イグニッション装置160は車両24の運転席44Dの前方に設けられたステアリングホイール168の近傍に設けられている。イグニッション装置160は、イグニッションキーの挿し込みが可能なシリンダを備えており、シリンダにイグニッションキーを挿し込んだ状態で、挿し込み方向を軸方向とする軸周りにACC(アクセサリ)位置までイグニッションキーを回転させると、車両24に搭載されたオーディオ装置等を起動させることができる。また、イグニッションキーを更に回転させると、車両24のエンジンを起動させることができる。
さらに、イグニッション装置160からはトリガ信号又は第2トリガ信号としての信号Isが出力される。シリンダに挿し込まれたイグニッションキーがACC位置に回転するまでは、イグニッション装置160からLowレベルの信号Isが出力される。しかしながら、イグニッションキーの回転位置がACC位置に到達すると、イグニッション装置160から出力される信号IsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
また、図2に示されるように、ペダルスイッチ162は、車両24のブレーキペダル170の後方側に設けられており、運転席44Dに着座した乗員によりブレーキペダル170が踏み込まれるとON状態になり、例えば、車両24の後端部に設けられたブレーキランプが点灯する。さらに、ペダルスイッチ162からはトリガ信号又は第2トリガ信号としての信号Psが出力される。
ペダルスイッチ162がON状態になるまではペダルスイッチ162からLowレベルの信号Psが出力される。しかしながら、ペダルスイッチ162がON状態になるとペダルスイッチ162から出力される信号PsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
また、カーテシスイッチ164は、図3に示される助手席44Pに対応したドア172の下側(すなわち、助手席44Pに対応した車両24の乗降口の周縁部)に設けられている。ドア172が乗降口を閉止した状態では、カーテシスイッチ164はOFF状態になっており、カーテシスイッチ164から出力されるトリガ信号又は第2トリガ信号としての信号CpsはLowレベルとなっている。
これに対して、助手席44Pに対応したドア172が乗降口を開放した場合には、カーテシスイッチ164はON状態になり、信号CpsはLowレベルからHighレベルに切り替わる。
また、自動変速機のECU166は、図示しないシフトレバー装置でのシフトレバーの操作に基づいて、自動変速機のシフトレンジを切り替える。さらに、ECU166からはトリガ信号又は第2トリガ信号としての信号Ssが出力される。
自動変速機のシフトレンジが、車両24の駐車状態等で車両24の駆動輪をロックするためのパーキングレンジの状態では、ECU166からLowレベルの信号Ssが出力される。しかしながら、シフトレバー装置でのシフトレバーの操作によって自動変速機のシフトレンジがパーキングレンジ以外のシフトレンジに切り替わると、ECU166から出力される信号SsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
一方、上述したORゲート146の出力端子は、3入力のNANDゲート174の1つの入力端子に接続されている。NANDゲート174の他の1つの入力端子は、バックルスイッチ142に接続されており信号Bsが入力される。
さらに、NANDゲート174の残りの入力端子は2入力のNORゲート176の出力端子に接続されている。NORゲート176の一方の入力端子は2入力のANDゲート178の出力端子に接続されている。
ANDゲート178の一方の入力端子はトランスポンダ150の車両側送受信部152に接続されており、信号Crsが反転入力される。また、ANDゲート178の他方の入力端子はロック電流検出回路144に接続されており、ロック電流検出回路144から出力される信号L1が入力される。
これに対して、NORゲート176の他方の入力端子はロック電流検出回路144に接続されており、ロック電流検出回路144から出力される信号L2が入力される。
また、上記のNANDゲート174の出力端子は、2入力のNANDゲート180の一方の入力端子に接続されており、このNANDゲート180から駆動信号Dsが出力される。NANDゲート180の他方の入力端子は2入力のNANDゲート182の出力端子に接続されている。NANDゲート182の一方の入力端子はNANDゲート180の出力端子に接続され、他方の入力端子はNORゲート176の出力端子に接続されている。
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本ウエビング巻取装置10の動作の説明を通して、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本ウエビング巻取装置10では、スプール32にウエビングベルト34が層状に巻き取られた収納状態で、タングプレート42を引っ張りつつウエビングベルト34を引っ張ると、スプール32に巻き取られたウエビングベルト34が引き出される。
このようにして引き出されたウエビングベルト34を、助手席44Pに着座した乗員の身体の前方に掛け回しつつタングプレート42をバックル装置46に挿し込み、バックル装置46にタングプレート42を保持させることで乗員の身体に対するウエビングベルト34の装着状態となる。
このように、バックル装置46にタングプレート42が保持されると、バックルスイッチ142から出力される信号BsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。上記のように、信号BsがLowレベルからHighレベルに切り替わると、タイマ回路136が起動する。信号BsがLowレベルからHighレベルに切り替わってから所定時間が経過すると、タイマ回路136から出力される信号TsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
また、上記のように助手席44Pに乗員が着座している場合には、トランスポンダ150の車両側送受信部152から出力される信号CrsはLowレベルである。このため、制御部132のNORゲート176から出力される信号はHighレベルになる。
これにより、Lowレベルの信号がNANDゲート174から出力される。NANDゲート174から出力されたLowレベルの信号はNANDゲート180に入力され、Highレベルの駆動信号DsがNANDゲート180、すなわち、制御部132から出力される。
制御部132から出力された駆動信号Dsはドライバ122に入力される。駆動信号Dsが入力されたドライバ122はモータ100に駆動電流Idを流す。これにより、モータ100は駆動して出力軸102が回転すると、出力軸102の回転はギヤ104〜110を介してギヤ112に伝えてギヤ112を回転させる。
さらに、ギヤ112が回転することでウオームギヤ116が回転し、これにより、クラッチ92のウオームホイール94が回転する。このようにしてウオームホイール94が回転すると、ウオームホイール94の内側に設けられたパウルがアダプタに噛み合い、アダプタをウオームホイール94の回転をアダプタ、ひいては軸部86に伝えて軸部86を巻取方向に回転させる。
軸部86の巻取方向への回転はスリーブ82、トーションシャフト48、及びロックベース54を介してスプール32に伝わり、スプール32を巻取方向に回転させる。スプール32が巻取方向に回転することで、ウエビングベルト34が基端側からスプール32に巻き取られる。
このように、ウエビングベルト34がスプール32に巻き取られることで、ウエビングベルト34の弛み、所謂「スラック」が除去され、乗員の身体がウエビングベルト34により確実に拘束される。
また、このように、乗員の身体がウエビングベルト34に拘束されることで、スプール32によるそれ以上のウエビングベルト34の巻き取りが不能になると、出力軸102の回転が不能になる。但し、この状態でもモータ100には駆動電流Idが流される。このように、出力軸102の回転が不能であるにもかかわらず、モータ100に電流が流され続けると、モータ100に流れる電流が増加して所謂「ロック電流」が流れる。
ロック電流はその電流値が漸次増加する。このようにしてロック電流が増加して第1の所定の電流値にロック電流の電流値が到達すると、ロック電流検出回路144から出力される信号L1がLowレベルからHighレベルに切り替わる。
また、この状態では、助手席44Pには乗員が着座しているため、トランスポンダ150の車両側送受信部152から出力される信号CrsはLowレベルである。したがって、この状態では、ANDゲート178から出力される信号がLowレベルからHighレベルに切り替わる。
これにより、NORゲート176から出力される信号がHighレベルからLowレベルに切り替わるため、NANDゲート174から出力される信号はLowレベルからHighレベルに切り替わる。
一方、NORゲート176から出力されたLowレベルの信号がNANDゲート182に入力されると、NANDゲート182からHighレベルの信号が出力され、この信号がNANDゲート180に入力される。これにより、NANDゲート180から出力される駆動信号DsがHighレベルからLowレベルに切り替わる。Lowレベルの駆動信号Dsが入力されたドライバ122は、モータ100に対する駆動電流Idの供給を停止してモータ100を停止させる。
次いで、例えば、車両24の走行速度が一定の値に到達した場合には、速度センサ138から出力される信号VsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。また、車両24の走行中に運転席44Dの乗員がブレーキペダル170を踏み込み、これにより、車両24の減速度が所定の大きさになると、加速度センサ140から出力される信号AsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
このように、信号Vsや信号AsがLowレベルからHighレベルに切り替わった場合にも、信号BsがHighレベルであれば(すなわち、乗員の身体にウエビングベルト34が装着されていれば)、信号TsがHighレベルの場合と同様に制御部132からHighレベルの信号Dsが出力される。
したがって、上記のように、スラックが除去されるまでウエビングベルト34がスプール32に巻き取られる。したがって、例えば、車両24が発進して通常走行又は高速走行になった場合や車両24の急減速状態になった場合に、ウエビングベルト34によって乗員の身体を確実に拘束できる。
一方、助手席44P上にチャイルドシート156を固定する場合には、助手席44P上にチャイルドシート156を載置した状態でスプール32に巻き取られたウエビングベルト34を引き出す。次いで、引き出したウエビングベルト34をチャイルドシート156の所定部位に係合させてバックル装置46にタングプレート42を保持させる。これにより、ウエビングベルト34によってチャイルドシート156が助手席44P上に固定される。
さらに、このように、助手席44Pにチャイルドシート156が固定されると、トランスポンダ150のチャイルドシート側送受信部154から出力された無線信号を受信した車両側送受信部152から出力される信号CrsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
また、上記のように、チャイルドシート156に掛け回されたウエビングベルト34のタングプレート42がバックル装置46に保持されると、信号BsがLowレベルからHighレベルに切り替わり、更に、タングプレート42がバックル装置46に保持されてから所定時間が経過すると信号TsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
これにより、上述したようにHighレベルの信号DsがNANDゲート180(すなわち、制御部132)から出力され、この結果、スプール32が巻取方向に回転してウエビングベルト34を巻き取る。このように、ウエビングベルト34が巻き取られることで、ウエビングベルト34がチャイルドシート156を締め付ける締付力が上昇する。
この状態で、上記のようにスプール32でのウエビングベルト34の巻き取りが不能になるとモータ100にロック電流が流れる。ここで、上記のようにロック電流の電流値が第1の所定値に到達すると、ロック電流検出回路144からHighレベルの信号L1が出力される。このHighレベルの信号L1はANDゲート178に入力されるが、この状態ではHighレベルの信号CrsがANDゲート178に反転入力される。
このため、ANDゲート178から出力される信号がLowレベルを維持する。したがって、この状態では、ロック電流検出回路144からHighレベルの信号L1が出力されても、モータ100に対する電流の供給が停止されない。
次いで、ロック電流の電流値が第1の所定値に到達してから時間が経過し、これにより、ロック電流の電流値が第1の所定値よりも大きな第2の所定値に到達すると、ロック電流検出回路144からHighレベルの信号L2が出力される。Highレベルの信号L2がNORゲート176に入力されることで、NORゲート176から出力される信号がHighレベルからLowレベルに切り替わる。
この結果、NANDゲート180、すなわち、制御部132から出力される駆動信号DsがHighレベルからLowレベルに切り替わり、モータ100に対する電流の供給が停止され、モータ100が停止される。これにより、ウエビングベルト34によって助手席44P上にチャイルドシート156が固定される。
次いで、この状態から、運転席44Dの乗員が車両24を発進させるために、イグニッションキーをイグニッション装置160のシリンダに挿し込んでACC位置以上イグニッションキーを回転させると、イグニッション装置160から出力される信号IsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。上記のように、この状態では信号CrsがHighレベルであるため、ORゲート158、ANDゲート148、ORゲート146から出力される信号は全てHighレベルとなる。
また、チャイルドシート156をウエビングベルト34で助手席44Pに固定した状態では、信号BsはHighレベルである。さらに、モータ100の停止状態ではロック電流は流れていないため、NORゲート176から出力される信号はLowレベルである。これにより、NANDゲート180から出力される駆動信号DsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
上述したように、NANDゲート180からHighレベルの駆動信号Dsが出力されることで、ロック電流の電流値が第2の所定値に到達するまでモータ100に電流が供給される。これにより、再びスプール32にウエビングベルト34の巻き取られる。
このように、本実施の形態では、助手席44P上に載置したチャイルドシート156にウエビングベルト34を巻き掛けた後に、モータ100を起動させてウエビングベルト34でチャイルドシート156を固定した後も、イグニッション装置160のシリンダに挿し込んだイグニッションキーをACC位置以上に回転させると、再びモータ100が駆動して、ウエビングベルト34の巻き取りが行なわれる。
このため、例えば、ウエビングベルト34が係合するチャイルドシート156の所定部位におけるチャイルドシート156とウエビングベルト34との摩擦が大きくて、最初のモータ100の駆動では十分にスラックが除去できなかったとしても、上記のように、モータ100を再駆動させることでスラックを確実に除去でき、ウエビングベルト34によって助手席44P上にチャイルドシート156を確実に固定できる。
また、本実施の形態では、ウエビングベルト34によってチャイルドシート156を固定する場合には、ロック電流がモータ100に流れても第1の所定値よりも大きな第2の所定値にロック電流が到達するまではモータ100に電流が流れる。したがって、その間にモータ100が駆動することで、より一層確実にスラックを除去でき、ウエビングベルト34によって助手席44P上にチャイルドシート156を確実に固定できる。
さらに、例えば、運転席44Dの乗員が、車両24を発進させるために、シフトレバー装置のシフトレバーをパーキングレンジに対応する位置からドライブレンジに対応する位置に移動させる際には、急発進を防止するため通常はブレーキペダル170を踏み込む。このように、ブレーキペダル170を踏み込むとペダルスイッチ162から出力される信号PsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
また、シフトレバーを操作して自動変速機のシフトレンジをパーキングレンジから他のシフトレンジ(例えば、ドライブレンジ)に切り替えると、自動変速機のECU166から出力される信号SsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
さらに、助手席44P側のドア172を開放すると、カーテシスイッチ164から出力される信号CpsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
以上のように、信号Ps、Ss、CpsがLowレベルからHighレベルに切り替わった場合にも、信号IsがLowレベルからHighレベルに切り替わった場合と同様の作用を奏する。このため、上記のように、モータ100が再駆動され、スラックを確実に除去でき、ウエビングベルト34によって助手席44P上にチャイルドシート156を確実に固定できる。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態に係るウエビング巻取装置200は、ECU126に代わる制御手段としてのECU202が制御部132を備えておらず、代わりに制御部204を備える構成であり、制御部204以外の部位については基本的に前記第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置10と同じ構成である。
このため、制御部204の構成に関してのみ説明して、その他の部位に関しては説明を省略する。
また、制御部204の構成に関しても、制御部132と同一の部位に関しては制御部132にて用いた符号と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図6には、本ウエビング巻取装置200を構成するECU202の制御部204の要部の構成の概略が論理回路図によって示されている。この図に示されるように、制御部204はORゲート146を備えておらず、代わりに3入力のORゲート206を備えている。
ORゲート206は出力端子がNANDゲート174に接続され、1つの入力端子がANDゲート148に接続されている点ではORゲート146と同じである。但し、ORゲート206の他の1つの入力端子は、ORゲート134に代わるORゲート208に接続されている。ORゲート208はORゲート134とは異なり2入力とされており、そのうちの一方の入力端子は速度センサ138に接続され、他方の入力端子は加速度センサ140に接続されている。
また、ORゲート206の残りの1つの入力端子は2入力のANDゲート210の出力端子に接続されている。ANDゲート210の一方の入力端子はタイマ回路136に接続されており、他方の入力端子はトランスポンダ150の車両側送受信部152に接続され、信号Crsが反転入力される。
以上の構成の制御部204を有するウエビング巻取装置200では、チャイルドシート156をウエビングベルト34によって助手席44Pに取り付けると、車両側送受信部152から出力されたHighレベルの信号CrsがANDゲート210に反転入力される。このため、仮に、タイマ回路136からの信号TsがLowレベルからHighレベルに切り替わったとしても、ANDゲート210から出力される信号はLowレベルのまま維持される。
このため、本実施の形態では、助手席44P上でチャイルドシート156にウエビングベルト34を掛け回してタングプレート42をバックル装置46に保持させてから所定時間が経過しても、モータ100が駆動することはない。
次いで、例えば、イグニッション装置160のシリンダに挿し込んだイグニッションキーをACC位置以上に回転させると、モータ100が駆動して、ウエビングベルト34の巻き取りが行なわれる。
このように、本実施の形態では、チャイルドシート156にウエビングベルト34を掛け回した直後等、運転席44Dの乗員がイグニッションキーを回動させたり、ブレーキペダル170を踏み込んだり等の動作が行なわれることでウエビングベルト34の巻き取りが行なわれる。
これにより、本実施の形態では前記第1の実施の形態とは異なり、チャイルドシート156にウエビングベルト34を掛け回した直後のウエビングベルト34の巻き取りは行なわないが、スラックを確実に除去でき、ウエビングベルト34によって助手席44P上にチャイルドシート156を確実に固定できる。
なお、上記の各実施の形態では、入力される信号Bs、Ts・・・等の判定処理や、駆動信号Dsの切り替えを制御部132、204の回路でハード的に処理する構成とした。しかしながら、制御部132や制御部204と同様の作用を奏するコンピュータプログラムによってソフト的に処理する構成としても構わない。
本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置の構成の概略を示す正面断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置を適用した運転席側のシートベルト装置の構成の概略を示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置を適用した助手席側のシートベルト装置の構成の概略を示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置のシステムの構成の概略を示すブロック図である。 制御手段の要部の構成の概略を示す論理回路図である。 本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置に用いる制御手段の要部の構成の概略を示す論理回路図である。
符号の説明
10 ウエビング巻取装置
12 シートベルト装置
32 スプール
34 ウエビングベルト
46 バックル装置(ウエビング保持手段)
100 モータ(駆動手段)
124 ECU(制御手段)
138 速度センサ(トリガ手段)
140 加速度センサ(トリガ手段)
142 バックルスイッチ(保持検出手段)
144 ロック電流検出回路(ロック電流検出手段)
150 トランスポンダ(トリガ手段)
156 チャイルドシート
160 イグニッション装置(トリガ手段)
162 ペダルスイッチ(トリガ手段)
164 カーテシスイッチ(トリガ手段)
200 ウエビング巻取装置
202 ECU(制御手段)

Claims (3)

  1. 長尺帯状のウエビングベルトの基端部が係止されたスプールを、駆動手段の駆動力で軸周り方向一方の巻取方向に回転させて、前記スプールの外周部に前記ウエビングベルトを巻き取るウエビング巻取装置であって、
    車両の座席上に載置されたチャイルドシートを検出して、チャイルドシート検出信号を出力するチャイルドシート検出手段と、
    前記座席上への前記チャイルドシートの搭載動作を除いた前記車両に対する所定の操作、車両室内外での乗員の所定の動作、及び前記車両状態の所定の変化の何れか1つに伴いトリガ信号を出力するトリガ手段と、
    前記チャイルドシート検出信号及び前記トリガ信号の双方の入力でスラック除去制御して前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
    を備えることを特徴とするウエビング巻取装置。
  2. 前記座席を介して前記スプールとは反対側に設けられ、前記スプールから引き出された前記ウエビングベルトを保持する保持手段と、
    前記保持手段による前記ウエビングベルトの保持に伴い保持信号を出力するウエビング保持検出手段と、
    を備え、
    前記保持信号の出力に基づき前記制御手段が前記駆動手段に対して前記スラック除去制御すると共に、前記保持信号及び前記チャイルドシート検出信号の双方が入力された際に前記保持信号の入力に伴う前記スラック除去制御をしない、
    ことを特徴とする請求項1に記載のウエビング巻取装置。
  3. 前記ウエビングベルトの長手方向に沿って前記ウエビングベルトに作用する張力により前記巻取方向への前記スプールの回転が規制された際に前記駆動手段に生じる所定の大きさのロック電流を検出してロック電流検出信号を出力するロック電流検出手段を備え、
    前記ロック電流検出信号が前記制御手段に入力されることで前記制御手段が前記駆動手段を停止させると共に、
    前記チャイルドシート検出信号が出力されていない状態よりも前記チャイルドシート検出信号が出力されている状態で、前記ロック電流検出信号を出力する際の前記ロック電流の電流値を高く設定した、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエビング巻取装置。
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