JP2006298142A - シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両 - Google Patents

シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両 Download PDF

Info

Publication number
JP2006298142A
JP2006298142A JP2005122259A JP2005122259A JP2006298142A JP 2006298142 A JP2006298142 A JP 2006298142A JP 2005122259 A JP2005122259 A JP 2005122259A JP 2005122259 A JP2005122259 A JP 2005122259A JP 2006298142 A JP2006298142 A JP 2006298142A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seat belt
power transmission
spool
state
motor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005122259A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahito Takao
雅人 高尾
Koji Tanaka
康二 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takata Corp
Original Assignee
Takata Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takata Corp filed Critical Takata Corp
Priority to JP2005122259A priority Critical patent/JP2006298142A/ja
Priority to EP06005221A priority patent/EP1712435A3/en
Priority to EP06005222A priority patent/EP1712436A3/en
Priority to US11/398,525 priority patent/US20060237570A1/en
Priority to CNA2006100755308A priority patent/CN1853990A/zh
Publication of JP2006298142A publication Critical patent/JP2006298142A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60RVEHICLES, VEHICLE FITTINGS, OR VEHICLE PARTS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60R22/00Safety belts or body harnesses in vehicles
    • B60R22/34Belt retractors, e.g. reels
    • B60R22/44Belt retractors, e.g. reels with means for reducing belt tension during use under normal conditions
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60RVEHICLES, VEHICLE FITTINGS, OR VEHICLE PARTS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60R22/00Safety belts or body harnesses in vehicles
    • B60R22/34Belt retractors, e.g. reels
    • B60R22/46Reels with means to tension the belt in an emergency by forced winding up
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60RVEHICLES, VEHICLE FITTINGS, OR VEHICLE PARTS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60R22/00Safety belts or body harnesses in vehicles
    • B60R22/34Belt retractors, e.g. reels
    • B60R22/44Belt retractors, e.g. reels with means for reducing belt tension during use under normal conditions
    • B60R2022/4473Belt retractors, e.g. reels with means for reducing belt tension during use under normal conditions using an electric retraction device
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60RVEHICLES, VEHICLE FITTINGS, OR VEHICLE PARTS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60R22/00Safety belts or body harnesses in vehicles
    • B60R22/34Belt retractors, e.g. reels
    • B60R22/46Reels with means to tension the belt in an emergency by forced winding up
    • B60R2022/4666Reels with means to tension the belt in an emergency by forced winding up characterised by electric actuators
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60RVEHICLES, VEHICLE FITTINGS, OR VEHICLE PARTS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60R22/00Safety belts or body harnesses in vehicles
    • B60R22/34Belt retractors, e.g. reels
    • B60R22/46Reels with means to tension the belt in an emergency by forced winding up
    • B60R2022/468Reels with means to tension the belt in an emergency by forced winding up characterised by clutching means between actuator and belt reel

Abstract

【課題】 車両に搭載されスプールに対する電動モータの回転速度差によって動力伝達機構が接続状態から接続解除状態に切り換り、電動モータとスプールとの接続が解除される構成のシートベルトリトラクタにおいて、シートベルト格納動作の円滑化を図るのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 車両に搭載されるシートベルト装置100のシートベルトリトラクタ1は、スプール4に対するモータ6の回転速度差によって動力伝達機構8が接続状態から接続解除状態に切り換り、モータ6とスプール4との接続が解除される構成であり、特にシートベルト巻き取り中において当該シートベルトの引っ掛かりが発生したことを検出すると、当該シートベルトの引っ掛かり発生の要因に見合った制御を遂行する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両に搭載されるシートベルトリトラクタの構築技術に関するものである。
従来、車両乗員を拘束するシートベルト(ウェビング)によって当該車両乗員の保護を図る構成のシートベルト装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、シートベルト装置において、電動モータの制御によってスプールを回転させてシートベルトの巻き取り動作及び巻き出し動作を行うシートベルトリトラクタの構成が開示されている。この特許文献1に記載の技術では、シートベルトリトラクタの構造として、スプールによるシートベルトの巻き取り動作及び巻き出し動作を、電動モータを用いて行う可能性が提示されている。また、電動モータを用いてスプールを動作させるこの種のシートベルトリトラクタにおいて、電動モータとスプールとの間に動力伝達機構を介在させ、スプールに対する電動モータの回転速度差によって動力伝達機構が接続状態から接続解除状態に切り換り、電動モータとスプールとの接続が解除されるようにした構成が公知である。
特表2003−507252号公報
ところで、上記構成のシートベルトリトラクタのように、電動モータとスプールとの間に動力伝達機構を介在させる構成では、シートベルト格納動作中において当該シートベルトに引張り力が作用することがある。具体的には、シートベルトが車両乗員によって引き出し操作がなされたり、シートベルトが単に車両乗員の肩や腕などに接触したり障害物に干渉することによって、シートベルトが引っ掛かり当該シートベルトに引張り力が作用する。そこで、シートベルトが車両乗員によって引き出し操作されることを考慮した場合、シートベルトの引っ掛かりが発生したときには動力伝達機構を接続解除状態へと切り換え、一定時間経過後に動力伝達機構を再び接続解除へと切り換えてシートベルト格納動作を行う制御が可能である。これにより、車両乗員によるシートベルト引き出し操作が可能とされる。
しかしながら、このような制御は、シートベルトが車両乗員によって引き出し操作される場合に有効であるものの、シートベルトが単に車両乗員や障害物に干渉したような場合には、シートベルト格納完了までに要する時間が長くなるため、車両乗員に不快感を与えるという問題を抱えている。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、車両に搭載されスプールに対する電動モータの回転速度差によって動力伝達機構が接続状態から接続解除状態に切り換り、電動モータとスプールとの接続が解除される構成のシートベルトリトラクタにおいて、シートベルト格納動作の円滑化を図るのに有効な技術を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明が構成される。本発明は、典型的には自動車の車両に搭載されるシートベルトリトラクタに適用することができるが、自動車以外の車両、例えば飛行機、船舶、電車等に搭載されるシートベルトリトラクタの構築技術に対し本発明を応用し得る。
(本発明の第1発明)
前記課題を解決する本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりのシートベルトリトラクタである。
請求項1に記載のこのシートベルトリトラクタは、スプール、電動モータ、動力伝達機構、制御手段、第1の検出手段、第2の検出手段を少なくとも備える。
本発明のスプールは、シートベルトの巻き取り及び巻き出しを行う部材として構成される。このスプールに対し巻き取り及び巻き出しされるシートベルトは、シートに着座した車両乗員に装着される長尺状のベルトであり、「ウェビング」とも称呼される。典型的には、車両シートに着座した車両乗員を、車両衝突などの乗員拘束時にシートベルトにより拘束することによって当該車両乗員の保護が図られる。
本発明の動力伝達機構は、電動モータとスプールとの間に介在して、これら電動モータとスプールとが接続された接続状態、及び当該接続状態が解除された接続解除状態を形成する機構として構成される。この動力伝達機構は、ギア部材等を組み合わせて形成されるいわゆる「クラッチ」とも称呼される。
この動力伝達機構の接続状態は、スプールが動力伝達機構と物理的に接続され、電動モータの動力を動力伝達機構を介してスプールに伝達可能な状態である。従って、この接続状態において電動モータが駆動されることによって、当該電動モータの動力が動力伝達機構を介してスプールに伝達される。また、この接続状態において電動モータが駆動停止されている場合には、当該電動モータの動力がスプールに伝達されることはないが、スプールと物理的な接続状態にある動力伝達機構によって、スプールに対し高い巻き出し抵抗が付与されるため、スプールからのシートベルトの巻き出し(引き出し)が規制された状態が形成される。具体的にはスプールからシートベルトを巻き出し(引き出し)にくい状況、或いは巻き出し(引き出し)が不能とされた状況が形成される。
これに対し、動力伝達機構の接続解除状態においては、電動モータの駆動及び駆動停止に関わらず、スプールとの物理的な接続状態が解除された動力伝達機構からスプールに対し付与される巻き出し抵抗が低くなり、スプールからシートベルトを容易に巻き出す(引き出す)操作が可能となる。
本発明の制御手段は、電動モータ及び動力伝達機構を制御する手段として構成され、電動モータに関する駆動と駆動停止との切り換え、動力伝達機構に関する接続状態と接続解除状態との切り換え等が制御される。なお、この制御手段は、典型的にはCPU(演算処理装置)、入出力装置、記憶装置、周辺装置等によって構成される。この制御手段は、シートベルトリトラクタに専用に設けられてもよいし、或いは車両の駆動系や電装系を制御するその他の制御手段によって兼用化されてもよい。
そして、本発明では、動力伝達機構の接続状態において、電動モータが第1の方向へ回転駆動されることによってスプールがシートベルト巻き取り方向へ回転制御され、シートベルト巻き取り動作が行われる。また、本発明では、動力伝達機構を接続状態から接続解除状態へと切り換えるべく、電動モータが第1の方向と反対の第2の方向へ回転制御されるとき、スプールに対する当該電動モータの回転速度差によって動力伝達機構が接続状態から接続解除状態に切り換るようになっている。
本発明の第1の検出手段は、シートベルト巻き取り中における当該シートベルトの引っ掛かりの発生を検出可能な手段として構成される。また、本発明の第2の検出手段は、動力伝達機構が接続状態と接続解除状態のいずれの状態であるかを検出可能な手段として構成される。これら第1の検出手段及び第2の検出手段は、別個の検出手段として構成されてもよいし、単一の手段によって兼用とされてもよい。これら第1の検出手段や第2の検出手段として、電動モータの電流値を検出するセンサを用い、検出した電流値に相当するモータ負荷からシートベルトの引っ掛かりの発生を検出したり、動力伝達機構の状態を検出する構成や、ホールICセンサを用いる構成等を適宜採用することができる。
本発明の制御手段は、特に、シートベルト巻き取り中における第1の検出手段の検出結果に基づいて、当該シートベルトの引っ掛かりが発生したことを検出すると、電動モータを第2の方向へ引っ掛かり状態判定速度で回転制御する。この引っ掛かり状態判定速度は、シートベルトの引っ掛かり状態を検出するのに有効な速度として規定され、シートベルトの引っ掛かりが単に車両乗員の肩や腕などに接触したり障害物に干渉したときにのみ、スプールに対する電動モータの回転速度差が生じる速度として適宜設定される。この引っ掛かり状態判定速度は、特定の速度自体であってもよいし、或いは一定の速度範囲内に属する任意の速度であってもよい。
そして、本発明の制御手段は、この回転制御時における第2の検出手段の検出結果に基づいて、動力伝達機構が接続状態である場合には当該シートベルトの引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作によるものであると判定する。一方、本発明の制御手段は、動力伝達機構が接続解除状態である場合には当該シートベルトの引っ掛かりが車両乗員或いは障害物に対する干渉であると判定する。
請求項1に記載のシートベルトリトラクタのこのような構成によれば、シートベルト巻き取り中に当該シートベルトの引っ掛かりが発生した場合には、その引っ掛かり発生の要因に見合った制御を行うことによって、シートベルト格納動作の円滑化を図ることが可能とされる。
(本発明の第2発明)
前記課題を解決する本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりのシートベルトリトラクタである。
請求項2に記載のこのシートベルトリトラクタでは、請求項1の制御手段は、第2の検出手段の検出結果に基づきシートベルトの引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作によるものであると判定した場合には、電動モータを引っ掛かり状態判定速度を上回る速度で第2の方向へ回転制御する構成とされる。
請求項2に記載のシートベルトリトラクタのこのような構成によれば、シートベルトの引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作によるものであると判定した場合、そのシートベルト引き出し操作が円滑に行われるように電動モータを制御することが可能となる。
(本発明の第3発明)
前記課題を解決する本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりのシートベルトリトラクタである。
請求項3に記載のこのシートベルトリトラクタでは、請求項1または請求項2に記載の第1及び第2の検出手段は、電動モータの電流値を検出するモータ電流計を用いて構成される。
そして、制御手段は、シートベルトの引っ掛かり発生検出の際、モータ電流計により検出された電流値が第1の基準電流値を上回る場合に当該シートベルトの引っ掛かりが発生したと判定する。この第1の基準電流値は、シートベルトの引っ掛かりが発生した状態でのモータ電流値、及びシートベルトの引っ掛かりが無い状態でのモータ電流値に基づいて適宜設定される。
また、制御手段は、シートベルトの引っ掛かり状態判定の際、モータ電流計により検出された電流値が第2の基準電流値を上回る場合に動力伝達機構が接続状態であると判定する。この第2の基準電流値は、動力伝達機構が接続状態にあるときのモータ電流値、及び動力伝達機構が接続解除状態にあるときのモータ電流値に基づいて適宜設定される。
請求項3に記載のシートベルトリトラクタのこのような構成によれば、シートベルト巻き取り中における当該シートベルトの引っ掛かりの発生を検出する手段、及び動力伝達機構が接続状態と接続解除状態のいずれの状態であるかを検出する手段として、電動モータの電流値を検出するモータ電流計を用いることが可能とされる。
(本発明の第4発明)
前記課題を解決する本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりのシートベルト装置である。
請求項4に記載のこのシートベルト装置は、シートベルト、スプール、電動モータ、動力伝達機構、制御手段、第1の検出手段、第2の検出手段を少なくとも備える。
シートベルトは、シートに着座した車両乗員に装着される長尺状のベルトであり、「ウェビング」とも称呼される。典型的には、車両シートに着座した車両乗員を、車両衝突などの乗員拘束時にシートベルトにより拘束することによって当該車両乗員の保護が図られる。本発明のスプール、電動モータ、動力伝達機構、制御手段、第1の検出手段、第2の検出手段は、請求項1に記載のシートベルトリトラクタの構成要素であるスプール、電動モータ、動力伝達機構、制御手段、第1の検出手段、第2の検出手段と実質的に同様の構成を有する。
従って、本発明によれば、シートベルト巻き取り中に当該シートベルトの引っ掛かりが発生した場合には、その引っ掛かり発生の要因に見合った制御を行うことによって、シートベルト格納動作の円滑化を図ることが可能なシートベルト装置が提供されることとなる。
(本発明の第5発明)
前記課題を解決する本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりのシートベルト装置である。
請求項5に記載のこのシートベルト装置では、請求項4に記載の制御手段は、第2の検出手段の検出結果に基づきシートベルトの引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作によるものであると判定した場合には、電動モータを前記引っ掛かり状態判定速度を上回る速度で前記第2の方向へ回転制御する構成とされる。
請求項5に記載のシートベルト装置のこのような構成によれば、シートベルトの引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作によるものであると判定した場合、そのシートベルト引き出し操作が円滑に行われるように電動モータを制御することが可能となる。
(本発明の第6発明)
前記課題を解決する本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりのシートベルト装置である。
請求項6に記載のこのシートベルト装置では、請求項4または請求項5に記載の第1及び第2の検出手段は、電動モータの電流値を検出するモータ電流計を用いて構成される。
そして、制御手段は、シートベルトの引っ掛かり発生検出の際、モータ電流計により検出された電流値が第1の基準電流値を上回る場合に当該シートベルトの引っ掛かりが発生したと判定する。この第1の基準電流値は、シートベルトの引っ掛かりが発生した状態でのモータ電流値、及びシートベルトの引っ掛かりが無い状態でのモータ電流値に基づいて適宜設定される。
また、制御手段は、シートベルトの引っ掛かり状態判定の際、モータ電流計により検出された電流値が第2の基準電流値を上回る場合に動力伝達機構が接続状態であると判定する。この第2の基準電流値は、動力伝達機構が接続状態にあるときのモータ電流値、及び動力伝達機構が接続解除状態にあるときのモータ電流値に基づいて適宜設定される。
請求項6に記載のシートベルト装置のこのような構成によれば、シートベルト巻き取り中における当該シートベルトの引っ掛かりの発生を検出する手段、及び動力伝達機構が接続状態と接続解除状態のいずれの状態であるかを検出する手段として、電動モータの電流値を検出するモータ電流計を用いることが可能とされる。
(本発明の第7発明)
前記課題を解決する本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりのシートベルト装置付車両である。
請求項7に記載のこのシートベルト装置付車両は、請求項4〜請求項6のいずれかに記載のシートベルト装置を少なくとも備える。本発明の車両では、当該シートベルト装置が、車両内の収容空間、例えばピラー内の収容空間、シート内の収容空間、あるいは車両内のその他の部位の収容空間に収容された構成の車両である。
このような構成によれば、シートベルト格納動作の円滑化を図ることが可能なシートベルト装置が、車両内の収容空間に収容された構成の車両が提供される。
以上のように、本発明によれば、スプールに対する電動モータの回転速度差によって動力伝達機構が接続状態から接続解除状態に切り換り、電動モータとスプールとの接続が解除されるシートベルトリトラクタの構造に関し、特にシートベルト巻き取り中において当該シートベルトの引っ掛かりが発生したことを検出すると、当該シートベルトの引っ掛かり発生の要因に見合った制御を遂行する構成によって、シートベルト格納動作の円滑化を図ることが可能となった。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1〜図4を参照しながら、本発明の一実施の形態を説明する。
ここで、図1は、本発明にかかる「シートベルト装置」の一実施の形態であるシートベルト装置100の構成を示す図である。また、図2は、図1中のシートベルトリトラクタ1まわりの構成を示す図である。また、図3は、本発明にかかる「シートベルトリトラクタ」の一実施の形態であるシートベルトリトラクタ1の分解斜視図を示す。また、図4は、図3に示す例のシートベルトリトラクタをリテーナカバーを外した状態で示し、図中(a)は斜視図、図中(b)は左側面図である。なお、以下の説明において、特に断らない限り、「左」、「右」は説明に使用する図において「左」、「右」であり、また、「時計回り」、「反時計回り」は説明に使用する図において「時計回り」、「反時計回り」である。
図1に示すように、本実施の形態のシートベルト装置100は、本発明の「シートベルト装置付車両」である自動車車両に搭載される車両用のシートベルト装置であり、シートベルトリトラクタ1、シートベルト3、ECU68等を主体に構成されている。また、車両には、当該車両の衝突予知や衝突発生に関する情報、当該車両の運転状態に関する情報、シートに着座している車両乗員の着座位置や体格に関する情報、周辺の交通状況に関する情報、天候や時間帯に関する情報などの各種の情報を検出して、その検出情報をECU68に対し入力する入力要素70が搭載されている。この入力要素70の検出情報が、常時又は所定時間毎にECU68に伝達され、シートベルト装置100などの動作制御に用いられる。
シートベルト3は、運転席である車両シート80に着座した車両乗員Cの拘束または拘束解除に用いられる長尺状のベルト(ウェビング)である。このシートベルト3が、本発明における「シートベルト」に対応している。このシートベルト3は、車両に対し固定されたシートベルトリトラクタ1から引き出され、車両乗員Cの乗員肩部領域に設けられたショルダーガイドアンカー60を経由し、トング(タング)62を通ってアウトアンカー64に連結されている。ショルダーガイドアンカー60は、車両乗員Cの乗員肩部領域においてシートベルト3を係止しガイド(誘導)する機能を有する。そして、車体に対し固定されたバックル66にトング(タング)62が挿入されることによって、当該シートベルト3が車両乗員Cに対し装着状態となる。なお、バックル66にはバックルスイッチ66aが内蔵されており、バックル66にトング(タング)62が挿入されシートベルトバックル操作がなされたこと(実質的にはシートベルト装着状態になったこと)が、このバックルスイッチ66aによって検出される。
シートベルトリトラクタ1は、後述するスプール4を介してシートベルト3の巻き取り動作及び巻き出し動作を可能とする装置であり、本発明における「シートベルトリトラクタ」に対応している。このリトラクタ1は、図1に示す例では、車両のBピラー82内の収容空間に装着されている。
ECU68は、入力要素70からの入力信号に基づいて、シートベルトリトラクタ1をはじめ、各種の動作機構に関する制御を行う機能を有し、CPU(演算処理装置)、入出力装置、記憶装置、周辺装置等によって構成されている。特に本実施の形態の説明では、このECU68が、シートベルトリトラクタ1の後述するモータ6に関する制御を行う。具体的には、ECU68が、モータ6の電磁コイルに供給される電流供給量や電流供給方向を制御することによって、モータシャフトの回転速度や回転方向が可変とされる。詳細については後述するが、このECU68は、モータ6の駆動制御を行うとともに、後述する動力伝達機構8及び動力伝達モード切換機構9を制御してスプール4にモータ6の動力が伝達される状態を切り換える手段として構成され、本発明における「制御手段」に対応している。このECU68によって、シートベルトリトラクタ1は、動力伝達遮断モードと、低減速比動力伝達モードと、高速比動力伝達モードとに切り換え制御される。なお、このECU68は、シートベルトリトラクタ1に専用に設けられてもよいし、或いは車両の駆動系や電装系を制御するその他の制御手段によって兼用化されてもよい。
また、図2に示すように、シートベルトリトラクタ1には、スプール4の回転に関する情報を直接的に検出する検出センサ50が搭載されている。この検出センサ50は、スプール4の回転動作に関する回転動作情報を検出するセンサである。この検出センサ50によって検出された検出情報に基づいて、ECU68によるモータ6の制御が可能とされる。検出センサ50による検出情報として、スプール4の回転動作の有無、回転角度、回転方向、回転速度、回転量などを適宜用いることができる。この検出センサ50としてホールセンサ、ボリューム、フォトインタラプタなどのセンサ類を適宜用いることができる。
次に、本実施の形態のシートベルトリトラクタ1の詳細構成を説明する。
図3に示すように、この例のシートベルトリトラクタ1は、大きく分けてフレーム2と、必要時に乗員を拘束するシートベルト3と、このシートベルト3を巻き取るスプール4と、フレーム2の一側に配設され、衝突時等の所定減速度以上の大減速度時に作動してスプール4のベルト引出し方向αの回転を阻止するロック手段5と、スプール4に付与する回転トルクを発生するモータ6と、モータ6の回転を比較的高い減速比で減速してスプール4に伝達する高減速比減速機構7aとモータ6の回転を比較的低い減速比で減速してスプール4に伝達する低減速比減速機構7bとを有するとともに、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とが設定されて、モータ6の回転トルクをこれらの第1動力伝達経路および第2動力伝達経路のいずれか一方を選択的に介してスプール4に伝達する動力伝達機構8と、動力伝達機構8を第1動力伝達経路と第2動力伝達経路のいずれか一方に選択的に切り換え設定する動力伝達モード切換機構9とからなっている。
これら動力伝達機構8及び動力伝達モード切換機構9は、モータ6とスプール4との間に介在して、これらモータ6とスプール4とが接続された接続状態、及び当該接続状態が解除された接続解除状態を形成する機構(いわゆる「クラッチ」と称呼される機構)を構成するものであり、本発明における「動力伝達機構」に対応している。この接続状態は、モータ6の動力をスプール4に伝達可能な状態であり、モータ6が駆動されることによって当該モータ6の動力がスプール4に伝達される。また、この接続状態においてモータ6が駆動停止されている場合には、スプール4に対し高い巻き出し抵抗が付与されるため、スプールからのシートベルトの巻き出し(引き出し)が規制された状態が形成される。これに対し、接続解除状態においては、スプール4に対し付与される巻き出し抵抗が低くなり、スプール4からシートベルト3を容易に巻き出す(引き出す)操作が可能となる。
フレーム2は、平行な一対の側壁2a,2bとこれらの側壁2a,2bを連結する背板2cとからなっている。このフレーム2内の両側壁2a,2b間には、シートベルト3を巻き取るためのスプール4が回転可能に配設されている。このスプール4は、シートベルトリトラクタ1において従来周知慣用のスプールを用いることができる。このスプール4は、シートベルトの巻き取り及び巻き出しを行う部材として構成され、本発明における「スプール」に対応している。
一方の側壁2aには、ロック手段5が取り付けられている。このロック手段5もシートベルトリトラクタにおいて従来周知慣用のロック手段を用いることができる。すなわち、ロック手段5は、車両に加えられる所定減速度以上の大減速度をヴィークルセンサ(減速度感知センサ)が感知して作動したとき、あるいはシートベルト3の所定速度以上の引出し速度をウェビングセンサ(ベルト引出し速度感知センサ)が感知して作動したとき作動して、スプール4の引出し方向αの回転を阻止するようになっている。
なお、図示しないがスプール4とロック手段5との間には、ロック手段5の作動によりシートベルト3の引出しが阻止されたとき、シートベルト3の荷重を制限する従来周知慣用のフォースリミッタ機構(エネルギ吸収機構:以下、EA機構ともいう)が設けられている。このEA機構としては、例えば従来周知のトーションバーから構成することができ、ロック手段5の作動によりシートベルト3の引出しが阻止されたとき、このトーションバーがねじれ変形することで、シートベルト3の荷重が制限され、衝撃エネルギが吸収されるようになっている。
図3および図4(a)に示すように、モータ6は、フレーム2の他方の側壁2bに3個のねじ10により取り付けられているリテーナ11のフレーム2取付面側に、一対のねじ12により取り付けられる。このモータ6のモータ回転軸6aがリテーナ11の貫通孔11aを貫通しており、リテーナ11のフレーム2側と反対側に突出したモータ回転軸6aに外歯を有するモータギヤ13がモータ回転軸6aと一体回転可能に取り付けられている。このモータ6は、電動式のモータとして構成され、本発明における「電動モータ」に相当する。
図3に示すように、スプール4および前述のEA機構(例えば、トーションバー)の両方と減速機構7a,7bとの間には、これらを回転方向に連結するコネクタ14が設けられている。このコネクタ14は、スプール4およびEA機構の両方と回転方向に連結する第1回転連結部14aと、コネクタ側軸受け15と回転方向に連結する第2回転連結部14bと、スプライン状に形成されて減速機構7a,7bと回転方向に連結する第3回転連結部14cとから構成されている。
第1回転連結部14aは、図3に明瞭に示されていないが多角筒状に形成されており、その外面側がスプール4にこのスプール4と一体回転可能に連結されるとともに、その内面側がEA機構(例えば、トーションバー)にこのEA機構と一体回転可能に連結されるようになっている(なお、コネクタ14とスプール4およびEA機構との一体回転可能な連結構造は従来周知であるので、その具体的な説明は省略する)。
第2回転連結部14bの外周面が断面多角形状に形成されているとともに、コネクタ側軸受け15の内周面が同じ断面多角形状に形成されている。そして、コネクタ側軸受け15が第2回転連結部14bに嵌合することで、コネクタ側軸受け15はコネクタ14に相対回転不能に取り付けられる。このコネクタ側軸受け15が、リテーナ11の孔11bに相対回転不能に取り付けられるリテーナ側軸受け16に相対回転可能に支持されることにより、コネクタ14がリテーナ11に回転可能に支持されている。
第3回転連結部14cには、例えばスプライン溝のような軸方向に延びる所定数の係合溝が周方向に等間隔をおいて形成されている。
高減速比減速機構7aは、環状のキャリヤギヤ17と、このキャリヤギヤ17に回転可能に取り付けられる所定数(図示例では3個)のプラネットギヤ18と、円環状のリング部材19と、サンギヤ部材20とを備えている。
キャリヤギヤ17の内周面17aのコネクタ14側部分には、例えばスプライン溝のような軸方向に延びる所定数の係合溝が周方向に等間隔をおいて形成されている。この内周面17aの係合溝がコネクタ14の第3回転連結部14cの係合溝間の凸部に嵌合しかつ内周面17aの係合溝間の凸部がコネクタ14の第3回転連結部14cの係合溝に嵌合(スプライン嵌合と同様の嵌合)することで、キャリヤギヤ17がコネクタ14に相対回転不能に、つまりコネクタ14と一体回転可能に連結される。また、このキャリヤギヤ17の外周面には、外歯17bが形成されている。
プラネットギヤ18は減速プレート21を介して減速ピン22によりキャリヤギヤ17に回転可能に取り付けられる。
リング部材19は、内周面に形成されたインターナルギヤ19aと外周面に形成されたラチェット歯19bとを備えており、これらのインターナルギヤ19aとラチェット歯19bは互いに一体に回転するようになっている。
サンギヤ部材20は、図5(a)および(b)に示すように小径の外歯からなるサンギヤ20aと大径の外歯20bを備えており、これらのサンギヤ20aと外歯20bは互いに一体に回転するようになっている。
そして、キャリヤギヤ17に支持された各プラネットギヤ18がともにサンギヤ20aとインターナルギヤ19aとに常時噛合して、遊星機構が構成されている。これにより、減速機構7は、サンギヤ20a入力でキャリヤギヤ17出力の遊星歯車減速機構として構成される。
図3に示すように動力伝達機構8は、更に、コネクトギヤ23と、一対のクラッチスプリング24と、一対のプーリ25と、外歯を有する下側コネクトギヤ26と、外歯を有する上側コネクトギヤ27と、ガイドプレート28と、外歯を有するアイドルギヤ29とを備えている。
コネクトギヤ23は、リテーナ11に立設された回転軸11cに回転可能に支持され、大径の外歯からなる第1コネクトギヤ23aと小径の第2コネクトギヤ23bを備えており、これらの第1および第2コネクトギヤ23a,23bは互いに一体に回転するようになっている。その場合、図4(a)および(b)に示すように大径の第1コネクトギヤ23aはモータギヤ13に常時噛合されている。
図3に示すように、下側コネクトギヤ26の両側面には回転軸26aがそれぞれ突設されており(図3には、一方の回転軸26aのみ図示)、これらの回転軸26aを軸方向に貫通する貫通孔26bが穿設されている。各回転軸26aには平坦部が形成されているとともに、各プーリ25の長孔25aが平坦部の平面に沿うようにして嵌合されている。これにより、各プーリ25がともに下側コネクトギヤ26の両側面に下側コネクトギヤ26と一体回転可能に支持されている。各プーリ25には、それぞれクラッチスプリング24が第1湾曲係止部24aが係止されている。更に、下側コネクトギヤ26の一側の回転軸26aには上側コネクトギヤ27が下側コネクトギヤ26と一体回転可能に支持されている。そして、各プーリ25、下側コネクトギヤ26および上側コネクトギヤ27がリテーナ11に立設された回転軸11dに回転可能に支持される。
ガイドプレート28は、その一対の孔28aがリテーナ11に立設された一対の支持軸11eにそれぞれ嵌合支持された状態で、一対のねじ30をガイドプレート28の対応するねじ孔28bを貫通させかつリテーナ11に穿設された一対のねじ孔11fに螺合することで、リテーナ11に取り付けられている。このガイドプレート28に立設された回転軸28cに、アイドルギヤ29が回転可能に支持されている。
図4(a)および(b)に示すように、このアイドルギヤ29は、サンギヤ部材20の外歯20b、コネクトギヤ23の小径の第2コネクトギヤ23bおよび上側コネクトギヤ27のいずれにも常時噛合されている。
そして、低減速比減速機構7bは、上側コネクトギヤ27と、下側コネクトギヤ26と、クラッチギヤ31およびキャリヤギヤ17とを備えている。
したがって、アイドルギヤ29に伝達されたモータ6の回転トルクは、アイドルギヤ29から低減速比減速機構7bを介してスプール4に伝達されるか、あるいはアイドルギヤ29から高減速比減速機構7aを介してスプール4に伝達されるようになる。
図3に示すように、動力伝達モード切換機構9は、外歯を有するクラッチギヤ31と、回転軸32と、クラッチアーム33と、クラッチパウル34と、抵抗スプリング35と、スプリングストッパ36とを備えている。
図7に示すようにクラッチギヤ31は、このクラッチギヤ31より大径のキャリヤギヤ17の外歯17bに噛合可能とされているとともに、図示しないが下側コネクトギヤ26に常時噛合されている。回転軸32は、クラッチギヤ31の中心孔31aを貫通してこのクラッチギヤ31を回転可能に支持している。
クラッチアーム33は両側壁33a,33bと底部(不図示)とからなる断面コ字状に形成されている。両側壁33a,33bの一端側は底部が突出しており、これらの突出部に直線状の支持溝33cが形成されている。そして、両側壁33a,33bの両突出部の間にクラッチギヤ31が配置され、クラッチギヤ31の両側面から突出する回転軸32がそれぞれ対応する支持溝33cにこれらの支持溝33cに沿って移動可能に支持されている。更に、回転軸32の両側壁33a,33bから突出する突出部分に各クラッチスプリング24の第2湾曲係止部24bが係止されている。更に、回転軸32の一端側は、リテーナ11に穿設されたガイド孔11gに嵌合支持されている。このガイド孔11gは、回転軸11dを中心とした円の円弧として形成されている。したがって、回転軸32はガイド孔11gにガイドされて、回転軸11dを中心とした円の円周に沿って移動可能となっている。
また、両側壁33a,33bの他端側には、それぞれ長孔33dが穿設されているとともにほぼ円弧状の係合部33eが突設されている。更に、両側壁33a,33bの長手方向中央部には、それぞれ支持孔33fが穿設されている。クラッチアーム33は、これらの支持孔33fがリテーナ11に立設された支持軸11hに嵌合されて回動可能に支持され、Eリング37を支持軸11hに組み付けることで抜け止めされている。
クラッチパウル34は、一端側に支持孔34aが穿設されているとともに、他端側に係止爪34bが形成されている。また、クラッチパウル34の他端側つまり係止爪34b側には、係合ピン34cが立設されている。係合ピン34cはクラッチアーム33の長孔33dに嵌合されていて、クラッチアーム33に対して相対回動可能にかつ長孔33dに沿って相対移動可能とされている。図6に示すように、クラッチパウル34は、パウルピン38を支持孔34aに貫通させかつリテーナ11のピン孔11iに挿入係止させることで、リテーナ11に回動可能に取り付けられる。そして、図8に示すように係止爪34bがリング部材19の時計回り(スプール4のベルト引出し方向αに対応)の回転に対してラチェット歯19bに係止可能となっており、係止爪34bがラチェット歯19bに係止したときは、リング部材19の時計回りの回転が阻止される。
抵抗スプリング35は帯状の板ばねから構成されており、下端部がL字状に形成された支持部35aとされているとともに、長手方向中央より上方位置にコ字状の凹部35bが形成されている。この凹部35bより下方の支持部35aまでが平面とされているとともに、凹部35bより上端までが湾曲面とされている。
この凹部35bには、クラッチアーム33の係合部33eが係脱可能とされている。図6に示すように、この係合部33eが凹部35bに係合した状態では、支持溝33cの延設方向がガイド孔11gの円弧の接線方向となり、回転軸32がガイド孔11gから支持溝33cへおよび逆の支持溝33cからガイド孔11gへ移動可能となっている。
スプリングストッパ36はL字状に形成されており、このスプリングストッパ36とリテーナ11に形成されたスプリング取付部11jとの間に支持部35aが挟持されることで、抵抗スプリング35がリテーナ11に上端を自由端とした片持ち支持で取り付けられている。
前述の減速機構7、動力伝達機構8および動力伝達モード切換機構9の各構成要素が、リテーナ11のフレーム2取付側と反対側の面に形成された凹部内に組み付けられた状態で、この面にリテーナカバー39が所定数(図示例では4個)のねじ40で取り付けられて、これらの構成要素がカバーされる。
このように構成された動力伝達機構8および動力伝達モード切換機構9は、ECU68によって次の3つのモードに切り換え制御される。これら3つのモードを図6〜図8を参照しながら説明する。ここで、図6は、図3に示す例のシートベルトリトラクタにおける動力伝達遮断モードの状態を、構成要素の一部を除いて示す左側面図である。また、図7は、図3に示す例のシートベルトリトラクタにおける低減速比動力伝達モードの状態を、構成要素の一部を除いて示す左側面図である。また、図8は、図3に示す例のシートベルトリトラクタにおける高減速比動力伝達モードの状態を、構成要素の一部を除いて示す左側面図である。
(1)動力伝達遮断モード(フリーモード)
図6に示すように、動力伝達遮断モードでは動力伝達モード切換機構9におけるクラッチアーム33の係合部33eが抵抗スプリング35の凹部35bに係合した状態にされる。また、係合部33eが凹部35bに係合した状態では、クラッチパウル34の係止爪34bがリング部材19のラチェット歯19bに係合されなく、リング部材19は回転自由となっている。これにより、サンギヤ部材20とキャリヤギヤ17との間のトルク伝達経路(後述するように、低速かつ高トルク伝達経路)は遮断される。
一方、回転軸32がガイド孔11gの右端に当接してクラッチギヤ31は最右位置に設定される。この最右位置では、クラッチギヤ31はキャリヤギヤ17の外歯17bから離れている。これにより、クラッチギヤ31とキャリヤギヤ17との間のトルク伝達経路(後述するように、高速かつ低トルク伝達経路)が遮断される。
したがって、動力伝達遮断モードはスプール4とモータ6が接続されず、モータ6の回転トルクがスプール4へ伝達されない、かつ、スプール4の回転トルクもモータ6へ伝達されない動力伝達モードである。すなわち、この動力伝達遮断モードは、スプール4と動力伝達機構8との物理的な接続状態(本発明における「動力伝達機構の接続状態」に対応)が解除された接続解除状態(本発明における「動力伝達機構の接続解除状態」に対応)として規定される。この状態では、スプール4が動力伝達機構8側(モータ6側)から完全に切り離されることで動力伝達機構8によりスプール4に対し付与される巻き出し抵抗が低くなり、スプール4の回転動作が容易とされるため、モータ6の駆動及び駆動停止に関わらず、当該スプール4に巻き取られているシートベルト3の引き出し操作(巻き出し操作)が容易となる。
(2)低減速比動力伝達モード
図7に示すように、低減速比動力伝達モードでは、動力伝達遮断モードと同様にクラッチアーム33の係合部33eが抵抗スプリング35の凹部35bに係合した状態にされる。また、係合部33eが凹部35bに係合した状態では、クラッチパウル34の係止爪34bがリング部材19のラチェット歯19bに係合されなく、リング部材19は回転自由となっている。これにより、サンギヤ部材20とキャリヤギヤ17との低速かつ高トルク伝達経路は遮断される。
一方、回転軸32がガイド孔11gの中央の最高位置(スプール4の回転軸に最も接近した位置)に設定され、クラッチギヤ31も最高位置(スプール4の回転軸に最も接近した位置)に設定される。この最高位置では、クラッチギヤ31はキャリヤギヤ17の外歯17bに噛合する。これにより、クラッチギヤ31とキャリヤギヤ17との間の高速かつ低トルク伝達経路が接続される。すなわち、モータ6は、モータギヤ13、コネクトギヤ23、アイドルギヤ29、上側コネクトギヤ27、下側コネクトギヤ26、クラッチギヤ31、キャリヤギヤ17およびコネクタ14を介してスプール4に接続されている。したがって、低減速比の動力伝達経路が設定される。また、回転軸32の最高位置では、回転軸32はクラッチアーム33の支持溝33c内に進入してクラッチアーム33に当接して
いる。
このように、この低減速比動力伝達モードは低減速比で、高速かつ低トルク伝達経路が設定される動力伝達モードである。この低減速比動力伝達モードでは、モータ6の駆動により迅速なベルト巻取りが可能となる。この低減速比動力伝達モード及び後述の高減速比動力伝達モードは、いずれもスプール4と動力伝達機構8とが物理的に接続され、モータ6の動力を動力伝達機構8を介してスプール4に伝達可能な接続状態として規定される。
特に、モータ6が駆動され動力伝達機構8が低減速比動力伝達モード或いは後述の高減速比動力伝達モードに設定されている状態は、モータ6の動力が動力伝達機構8を介してスプール4に伝達される状態である。また、モータ6が駆動停止され動力伝達機構8が低減速比動力伝達モード或いは後述の高減速比動力伝達モードに設定されている状態は、スプール4と物理的な接続状態にある動力伝達機構8によって、スプール4に対し高い巻き出し抵抗が付与され、スプール4からシートベルト3を巻き出し(引き出し)にくい状況、或いは巻き出し(引き出し)が不能とされた状況が形成される状態である。
(3)高減速比動力伝達モード
図8に示すように、高減速比動力伝達モードでは、クラッチアーム33の係合部33eが抵抗スプリング35の凹部35bから脱出し、抵抗スプリング35の凹部35bより上方の湾曲部に位置した状態にされる。また、このように係合部33eが凹部35bから脱出した状態では、クラッチパウル34の係止爪34bがリング部材19のラチェット歯19bに時計回りに係合し、リング部材19は時計回りの回転が阻止されている。これにより、サンギヤ部材20とキャリヤギヤ17との低速かつ高トルク伝達経路が接続される。すなわち、モータ6は、モータギヤ13、コネクトギヤ23、アイドルギヤ29、サンギヤ部材20の外歯20b、サンギヤ20a、プラネットギヤ18、キャリヤギヤ17およびコネクタ14を介してスプール4に接続されている。したがって、遊星機構により高減速比の動力伝達経路が設定される。
一方、回転軸32がガイド孔11gの左端に当接してクラッチギヤ31は最左位置に設定される。この最左位置では、クラッチギヤ31はキャリヤギヤ17の外歯17bから離れている。これにより、クラッチギヤ31とキャリヤギヤ17との間の高速かつ低トルク伝達経路が遮断される。
このように、この高減速比動力伝達モードは高減速比で、低速かつ高トルク伝達経路が設定される動力伝達モードである。この高減速比動力伝達モードでは、モータ6の駆動により高ベルト張力でのベルト巻取りが行われる。
これらの動力伝達遮断モード、低減速比動力伝達モード、高減速比動力伝達モード間の動力伝達モード切換は、動力伝達モード切換機構9によって行われる。例えば、以下に示す3つの態様にしたがって各モードの切り換えが遂行される。
(1)動力伝達遮断モード→低減速比動力伝達モードの動力伝達モード切換
図6に示す動力伝達遮断モードの状態から、モータ6が正回転(図6においてモータ回転軸6aが時計回り:スプール4のベルト巻取り方向(図3中の方向β)の回転に対応)すると、モータギヤ13、コネクトギヤ23、アイドルギヤ29および上側クラッチギヤ27を介して下側コネクトギヤ26とプーリ25とがそれぞれスプール4のベルト巻取り方向βに対応した方向に回転する。すると、クラッチギヤ31はキャリヤギヤ17の外歯17bに噛合していないので空転するとともに、回転軸32が抵抗を受けないのでクラッチスプリング24がプーリ25と同方向に回動する。これにより、クラッチギヤ31および回転軸32がガイド孔11gに沿って左方に移動し、図7に示すように回転軸32がクラッチアーム33に当接する。
この回転軸32がクラッチアーム33に当接した位置では、図7に示すようにクラッチギヤ31および回転軸32が前述の最高位置に設定されて、クラッチギヤ31がキャリヤギヤ17の外歯17bに噛合する。これにより、クラッチギヤ31の回転がキャリヤギヤ17に伝達され、キャリヤギヤ17が回転する。このとき、シートベルト3にスラックがあると、このキャリヤギヤ17の回転でシートベルト3がスプール4に巻き取られる。このスラックが除去されると、スプール4が回転しなくなるので、キャリヤギヤ17も回転しなくなる。このため、クラッチギヤ31もキャリヤギヤ17から抵抗を受けて回転しなくなる。
しかし、モータ6の回転トルクにより下側コネクトギヤ26が回転しようとするので、下側コネクトギヤ26の回転トルクにより、回転軸32に前述の最左位置方向に向かう力が加えられる。このとき、回転軸32がクラッチアーム33に当接しているので、この力により回転軸32がクラッチアーム33を押圧する。しかし、このときシートベルト3の張力が所定値以下であるので、回転軸32の押圧力によるクラッチアーム33を時計回りに回転させようとするモーメントが、係合部33eと凹部35bとの係合力による、この時計回りのモーメントに対向するモーメントより小さい。したがって、係合部33eが凹部35bから脱出しなく、クラッチアーム33は回動しなく、回転軸32がこのクラッチアーム33に当接した位置に停止する。
この回転軸32の停止により、クラッチギヤ31および回転軸32が図7に示す前述の最高位置に保持される。クラッチギヤ31が最高位置に保持されることで、クラッチギヤ31とキャリヤギヤ17の外歯17bとの噛合が保持され、クラッチギヤ31とキャリヤギヤ17との高速かつ低トルク伝達経路の接続が保持される。また、クラッチアーム33が回動しないので、クラッチパウル34も回動しなく、係止爪34bはラチェット歯19bに係合しない位置に保持される。これにより、リング部材19が自由となり、サンギヤ部材20とキャリヤギヤ17との低速かつ高トルク伝達経路の遮断が保持される。
こうして、動力伝達機構8の動力伝達遮断モードから低減速比動力伝達モードへの動力伝達モード切換が行われ、動力伝達機構8は低減速比動力伝達モードに設定される。
(2)低減速比動力伝達モード→高減速比動力伝達モードの動力伝達モード切換
高減速比動力伝達モードはモータ6の比較的高い回転トルクにより設定される。その場合、高減速比動力伝達モードは、動力伝達遮断モードから低減速比動力伝達モードを介して設定される。
動力伝達遮断モードから低減速比動力伝達モードの動力伝達モード切換は前述と同じである。しかし、高減速比動力伝達モードの設定ではシートベルト3の張力が所定値より大きいので、図7に示す低減速比動力伝達モードの状態で、回転軸32の押圧力によりクラッチアーム33に加えられるモーメントが、係合部33eと凹部35bとの係合力による、この時計回りのモーメントに対向するモーメントより大きくなる。このため、係合部33eが凹部35bから脱出可能となる。
したがって、クラッチスプリング24が反時計回りに更に回動すると、回転軸32がクラッチアーム33をその支持軸11hを中心に時計回りに回動させながら、ガイド孔11gに沿って左方へ移動する。これにより、クラッチギヤ31も更に左方へ移動する。回転軸32がガイド孔11gの左端に当接すると、それ以上の移動が阻止され、クラッチギヤ31、回転軸32およびクラッチスプリング24が停止する。これにより、図8に示すようにクラッチギヤ31および回転軸32は前述の最左位置に設定される。この最左位置では、クラッチギヤ31がキャリヤギヤ17の外歯17bから外れ、クラッチギヤ31とキャリヤギヤ17との高速かつ低トルク伝達経路は遮断される。
一方、クラッチアーム33の回動に連動して、クラッチパウル34がクラッチパウルピン38を中心に反時計回りに回動し、図8に示すようにその係止爪34bがラチェット歯19bに係止可能な位置に設定される。このとき、モータ6の回転トルクでサンギヤ部材20が回転してリング部材19も時計回りに回転しているので、ラチェット歯19bが係止爪34bに係止する。これにより、リング部材19の回転が停止し、サンギヤ部材20とキャリヤギヤ17との低速かつ高トルク伝達経路が接続される。
こうして、動力伝達機構8の低減速比動力伝達モードから高減速比動力伝達モードへの動力伝達モード切換が行われ、動力伝達機構8は高減速比動力伝達モードに設定される。
(3)高減速比動力伝達モード→(低減速比動力伝達モード)→動力伝達遮断モードの動力伝達モード切換
図8に示す高減速比動力伝達モードの状態で、モータ6が逆回転(図6においてモータ回転軸6aが反時計回り:スプール4のベルト引出し方向(図3中の方向α)の回転に対応)すると、下側コネクトギヤ26およびプーリ25も前述と逆回転する。すると、クラッチスプリング24も同様に前述と逆方向に回動するので、クラッチギヤ31および回転軸32がクラッチアーム33を反時計回りに回動させながらガイド孔11gに沿って右方へ移動する。
クラッチアーム33の反時計回りの回動に連動してクラッチパウル34が時計回りに回動するので、クラッチパウル34はラチェット歯19bと係合しない非係合位置となる。これにより、リング部材19が回転自由になり、低速かつ高トルク伝達経路が遮断される。
クラッチギヤ31および回転軸32が前述の最高位置になったとき、クラッチギヤ31がキャリヤギヤ17の外歯17bに噛合して一時的に図7に示す低減速比動力伝達モードとなるが、クラッチギヤ31および回転軸32の右方への移動が継続しているので、すぐにクラッチギヤ31は外歯17bから外れ、空転する。これにより、高速かつ低トルク伝達経路は一時的接続されるがすぐに遮断される。なお、高速かつ低トルク伝達経路が一時的接続されたとき、モータ6が逆回転しているので、スプール4はベルト引出し方向αに一時的に回転するが、すぐに停止する。
回転軸32がガイド孔11gの右端に当接すると、それ以上の移動が阻止され、クラッチギヤ31、回転軸32およびクラッチスプリング24が停止する。これにより、クラッチギヤ31および回転軸32は前述の図6に示す最右位置に設定される。
こうして、動力伝達機構8の高減速比動力伝達モードから動力伝達遮断モードへの動力伝達モード切換が行われ、動力伝達機構8は動力伝達遮断モードに設定される。
このように本実施の形態において、動力伝達機構8の設定はモータ6の回転制御によって切り換る。
具体的には、低減速比動力伝達モードに関しては、モータ6が正回転方向に回転制御されることによって動力伝達遮断モードから低減速比動力伝達モードへと切り換り当該低減速比動力伝達モードが継続される一方、モータ6が逆回転方向に回転制御されることによって低減速比動力伝達モードから動力伝達遮断モードへと切り換り当該低減速比動力伝達モードが解除される。このとき、動力伝達機構8を接続状態(低減速比動力伝達モード)から接続解除状態(動力伝達遮断モード)へと切り換えるべく、モータ6が逆回転方向へ回転制御されると、スプール4に対するモータ6の回転速度差によって動力伝達機構8が接続状態(低減速比動力伝達モード)から接続解除状態(動力伝達遮断モード)に切り換るように構成されている。
また、高減速比動力伝達モードに関しては、モータ6が逆回転方向に制御されることによって低減速比動力伝達モードから高減速比動力伝達モードへと切り換り当該高減速比動力伝達モードが継続される一方、モータ6が正回転方向に制御されることによって高減速比動力伝達モードから低減速比動力伝達モードへと切り換り当該高減速比動力伝達モードが解除される。
更に、この例のシートベルトリトラクタ1は、シートベルト3の次の7つのベルトモードが設定されている。
(1)ベルト格納モード
ベルト格納モードは、シートベルト3が使用されずスプール4に完全に巻き取られている状態のベルトモードである。このベルト格納モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ6が駆動されず、かつ動力伝達機構8が動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3にごく弱いベルト張力が生じているだけであり(ごく弱いベルト張力が生じていることについては、後述の格納用ベルト巻取りモードで説明)、また消費電力がゼロである。
(2)ベルト引出しモード
ベルト引出しモードは、シートベルト3を装着するためにスプール4から引き出す状態のベルトモードである。同様にこのベルト引出しモードでも、シートベルトリトラクタ1は動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3を弱い力で引き出すことが可能となっている。このときにも、モータ6が駆動されず、消費電力がゼロである。
(3)フィッティング用ベルト巻取りモード
フィッティング用ベルト巻取りモードは、シートベルト3を引き出してトング(図1中のトング(タング)62)をバックルに挿入係合してバックルスイッチ(図1中のバックルスイッチ66a)がONした後、シートベルト3を乗員にフィットさせるために、余分に引き出されたシートベルト3を巻き取る状態、およびシートベルト3の通常装着状態(このとき、バックルスイッチはON状態となっている)で、乗員が動いてシートベルト3が所定量引き出された後、乗員が再び正規位置に着座したとき、引き出されたシートベルト3を巻き取る状態のベルトモードである。このフィッティング用ベルト巻取りモードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ6がベルト巻取り方向に駆動され、かつ動力伝達機構8が低減速比動力伝達モードに設定される。したがって、シートベルト3は低トルクで迅速に巻き取られ、ごく弱い所定のベルト張力が生じたときモータ6が停止することで、シートベルト3は乗員にフィットした状態で装着される。
(4)通常装着モード(コンフォートモード)
通常装着モード(コンフォートモード)は、フィッティング用ベルト巻取りモード終了後に設定される、シートベルト3の通常装着状態のベルトモードである。この通常装着モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ6が駆動されず、かつ動力伝達機構8が動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3にごく弱いベルト張力が生じているだけであるので、乗員はシートベルト3が装着されても圧迫感を抱くことはない。また、消費電力がゼロである。
(5)警報モード
警報モードは、通常装着モードで車両走行中にドライバの居眠りや車輌進行方向前方の障害物を検知して、シートベルト3の巻取りを所定回数繰り返すことで、ドライバに警報を発する状態のベルトモードである。この警報モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ6が繰り返し駆動されるように設定される。
したがって、シートベルト3に比較的強いベルト張力(後述する緊急モードのベルト張力より弱い)とごく弱いベルト張力とが乗員に繰り返し加えられるので、ドライバは居眠りや車輌進行方向前方の障害物に対して注意を促される。
(6)緊急モード
警報モードは、通常装着モードで車両走行中に車輌が障害物等に衝突するおそれがきわめて高い場合に設定されるベルトモードであり、次の2つの段階からなる。
(i)初期段階
緊急モードの初期段階では、シートベルトリトラクタ1は、モータ6が比較的高い回転トルクで正回転される。すると、動力伝達遮断モードからクラッチスプリング24が回動して、クラッチギヤ31および回転軸32が前述の最高位置に移動し、クラッチギヤ31がキャリヤギヤ17の外歯17bに噛合する。この時点では、シートベルト3のスラックが除去されかつシートベルト3の張力が所定値以下であるので、キャリヤギヤ17からのクラッチギヤ31への抵抗が比較的小さい。このため、モータ6の回転トルクが比較的高くても、回転軸32はクラッチアーム33を回動させないので、動力伝達機構8は低減速比動力伝達モードに設定される。したがって、クラッチギヤ31の回転がキャリヤギヤ17に伝達されてキャリヤギヤ17が回転し、シートベルト3は低トルクで迅速に巻き取ら
れて、シートベルト3のスラックが迅速に除去される。
(ii)後期段階
前述の初期段階においてシートベルト3のスラックが除去されると、この初期段階に続いて緊急モードの後期段階となる。この後期段階では、シートベルト3の張力が所定値より大きくなるのに伴い、キャリヤギヤ17からのクラッチギヤ31への抵抗が比較的大きくなるのでキャリヤギヤ17およびクラッチギヤ31が回転しなくなる。しかし、モータ6の回転トルクにより下側コネクトギヤ26が回転しようとするので、下側コネクトギヤ26の回転トルクにより、回転軸32に前述の最左位置方向に向かう力が加えられる。このとき、モータ6の回転トルクが比較的高いので、回転軸32の押圧力によるクラッチアーム33を時計回りに回転させようとするモーメントが、係合部33eと凹部35bとの係合力による、この時計回りのモーメントに対向するモーメントより大きくなる。このため、クラッチアーム33の係合部33eと抵抗スプリング35の凹部35bとの係合が解除されて、回転軸32がクラッチアーム33を回動させながら前述の最左位置の方へ移動する。このクラッチアーム33の回動に連動してクラッチパウル34が回動するので、クラッチパウル34の係止爪34bがラチェット歯19bに係合し、リング部材19の回転が阻止される。これにより、動力伝達機構8が高減速比動力伝達モードに設定される。したがって、シートベルト3は高トルクで巻き取られて、きわめて強いベルト張力で乗員が拘束される。
(7)格納用ベルト巻取りモード
格納用ベルト巻取りモードは、シートベルト3の装着を解除するために、トング(図1中のトング(タング)62)をバックルから抜き出し、バックルスイッチ(図1中のバックルスイッチ66a)がOFFとなったとき、シートベルト3を格納状態にするために完全に巻き取る状態のベルトモードである。この格納用ベルト巻取りモードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ6が比較的低い回転トルクでベルト巻取り方向に駆動されて、動力伝達機構8が低減速比動力伝達モードに設定される。したがって、引き出されたシートベルト3は低トルクで迅速に巻き取られる。
そして、シートベルト3が完全に巻き取られて、ごく弱い所定のベルト張力が生じたときにモータ6が停止することで、シートベルト3は前述のごく弱いベルト張力が生じているベルト格納モードとなる。
この格納用ベルト巻取りモードによって、シートベルト3が巻き取られ格納された後は、前述のように、動力伝達機構8を接続状態(低減速比動力伝達モード)から接続解除状態(動力伝達遮断モード)へと切り換えるべく、モータ6が逆回転方向へ回転制御される。ところで、この格納用ベルト巻取りモードにおいて、シートベルト3が引っ掛かりシートベルト3に引張り力が作用することがある。この要因としては、シートベルトが車両乗員によって引き出し操作がなされたり、シートベルトが単に車両乗員の肩や腕などに接触したり障害物に干渉することが想定される。そこで、本実施の形態では、これらの要因によってシートベルト3に引張り力が作用することを考慮し、各要因に見合った制御を遂行するべく、シートベルト3の引っ掛かりがどのような状態で発生しているかを検出する制御を行う。この制御は、制御手段(図1及び図2中のECU68)が例えば図9に示す「シートベルト格納制御処理」を遂行することによって可能とされる。ここで図9には、本実施の形態のシートベルト格納制御処理のフローチャートが示される。
図9に示すリトラクタ制御処理では、まずステップS10によって、シートベルト巻き取り制御(格納制御)を行う。このシートベルト巻き取り制御では、動力伝達機構8を低減速比動力伝達モードに設定するべくモータ6を正回転方向に駆動制御し、引き出されたシートベルト3をスプール4に低トルクで迅速に巻き取る(格納する)動作を行う。このとき、スプール4がシートベルト3の巻き取り動作を行うようにモータ6が回転する正回転方向が、本発明における「第1の方向」に対応している。
次にステップS20では、シートベルト3の引っ掛かりの発生を検出する。具体的には、モータ6の動作時のモータ電流値を検出(測定)し、このモータ電流値に基づいてシートベルト3の引っ掛かりが発生したか否かを検出する。このモータ電流値は、図2中のモータ電流検出計69(本発明における「第1の検出手段」及び「モータ電流計」に対応)により検出する。
次にステップS30では、ステップS20で検出したモータ電流値が規定値(本発明における「第1の基準電流値」に相当)を上回るときには、モータ負荷が相対的に高くシートベルト3の引っ掛かりが発生したと判定し(ステップS30のYES)、ステップS50にすすむ。一方、ステップS20で検出したモータ電流値が規定値を下回るときには、モータ負荷が相対的に低くシートベルト3の引っ掛かりは発生していないと判定し(ステップS30のNO)、ステップS40にすすむ。この規定値(第1の基準電流値)は、シートベルト3の引っ掛かりが発生した状態でのモータ電流値、及びシートベルト3の引っ掛かりが無い状態でのモータ電流値に基づいて適宜設定される。
ステップS40では、シートベルト格納条件が成立していない場合に(ステップS40のNO)ステップS10に戻り、シートベルト格納条件が成立している場合には(ステップS40のYES)、そのまま処理を終了する。
ここで、シートベルト3の引っ掛かりが単に車両乗員の肩や腕などに接触したり障害物に干渉したことに起因する場合には、モータ6を逆回転方向へ低速度にてゆっくりと回転制御したときには、スプール4に対するモータ6の回転速度差が生じ、動力伝達機構8が接続状態(低減速比動力伝達モード)から接続解除状態(動力伝達遮断モード)へと切り換る。これに対し、シートベルト3の引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作に起因する場合には、モータ6を逆回転方向へ低速度にてゆっくりと回転制御したときには、スプール4に対するモータ6の回転速度差が生じないことがあり、動力伝達機構8が接続状態(低減速比動力伝達モード)から接続解除状態(動力伝達遮断モード)へと切り換らないことがある。
そこで、本実施の形態では、モータ6を逆回転方向へ低速度にてゆっくりと回転制御したあとの動力伝達機構8の状態を検出することによって、シートベルト3の引っ掛かりがどのような状態で発生しているかを検出するように構成している。
すなわち、ステップS50において、シートベルト3の引っ掛かりがどのような状態で発生しているかを検出するべく、モータ6を逆回転方向へ低速度にてゆっくりと回転制御する。モータ6のこの逆回転方向が、本発明における「第1の方向と反対の第2の方向」に対応している。このときのモータ6の速度(低速度)は、シートベルト3の引っ掛かり状態を検出するのに有効な速度として規定され、シートベルト3の引っ掛かりが単に車両乗員の肩や腕などに接触したり障害物に干渉したときにのみ、スプール4に対するモータ6の回転速度差が生じる速度として適宜設定することができる。この速度(低速度)が、本発明における「引っ掛かり状態判定速度」に対応している。なお、この引っ掛かり状態判定速度は、特定の速度自体であってもよいし、或いは一定の速度範囲内に属する任意の速度であってもよい。
次にステップS60では、動力伝達機構8の状態(クラッチ状態ともいう)を検出する。具体的には、モータ6の動作時のモータ電流値を検出(測定)し、このモータ電流値に基づいて動力伝達機構8が接続状態と接続解除状態のいずれの状態であるかを検出する。このモータ電流値は、図2中のモータ電流検出計69(本発明における「第2の検出手段」及び「モータ電流計」に対応)により検出する。
そして、ステップS70では、ステップS60で検出したモータ電流値が規定値を下回るときには、モータ負荷が相対的に低く動力伝達機構8が接続解除状態(クラッチ解除状態)であると判定する(ステップS70のNO)。この状態は、スプール4に対するモータ6の回転速度差が生じた場合であり、シートベルト3が単に車両乗員の肩や腕などに接触したり障害物に干渉したことによって、シートベルト3の引っ掛かりが発生した状態であると推定される。従って、動力伝達機構8が接続解除状態(クラッチ解除状態)であると判定した場合には、ステップS10に戻りシートベルト巻き取り制御を行う。
一方、ステップS80において、ステップS60で検出したモータ電流値が規定値(本発明における「第2の基準電流値」に相当)を上回るときには、モータ負荷が相対的に高く動力伝達機構8が接続状態(クラッチ接続状態)であると判定する(ステップS70のYES)。この状態は、スプール4に対するモータ6の回転速度差が生じなかった場合であり、車両乗員によるシートベルト引き出し操作によって、シートベルト3の引っ掛かりが発生した状態であると推定される。従って、動力伝達機構8が接続状態(クラッチ接続状態)であると判定した場合には、車両乗員によるシートベルト引き出し操作を可能とするべく、ステップS80にすすむ。この規定値(第2の基準電流値)は、動力伝達機構8が接続状態にあるときのモータ電流値、及び動力伝達機構8が接続解除状態にあるときのモータ電流値に基づいて適宜設定される。
ステップS80では、動力伝達機構8を確実に接続解除状態(動力伝達遮断モード)へと切り換えるべく、今度はモータ6をステップS50の速度よりも相対的に高い高速度にて逆回転方向へ回転制御する。この速度(高速度)が、本発明における「引っ掛かり状態判定速度を上回る速度」に対応している。これにより、動力伝達機構8を確実に接続解除状態(動力伝達遮断モード)へと切り換えることができ、車両乗員によるシートベルト引き出し操作が可能とされる。
ステップS90では、タイマ(図示省略)等の作動によって一定時間の経過を検出したのち、ステップS10に戻りシートベルト巻き取り制御を行う。この一定時間は、車両乗員によるシートベルト引き出し操作に要する時間を想定して適宜設定される。
このように本実施の形態のシートベルトリトラクタ1によれば、特に図9に示すシートベルト格納制御処理を遂行することによって、シートベルト3の引っ掛かりが発生した場合には、その引っ掛かり発生の要因に見合った制御を行うことができ、これによりシートベルト格納動作の円滑化を図ることが可能とされる。
また、本実施の形態のシートベルトリトラクタ1によれば、シートベルト3の引っ掛かり発生を検出する手段として、また動力伝達機構8が接続状態と接続解除状態のいずれの状態であるかを検出する手段として、モータ6の電流値を検出するモータ電流計69を用いた簡便な構成が可能とされる。
また、本実施の形態のシートベルトリトラクタ1によれば、動力伝達機構8に高速かつ低トルク動力伝達経路からなる低減速比動力伝達モードと低速かつ高トルク動力伝達経路からなる高減速比動力伝達モードとの2つの動力伝達経路を設定しているので、低減速比動力伝達モードによる、シートベルト3のスラック除去のための迅速なベルト巻取りと、高減速比動力伝達モードによる、乗員拘束のための高トルクでのベルト巻取りという2つの巻取り性能を実現することができる。
しかも、これらの2つの動力伝達経路が設定されることで、モータ6の回転トルクを効率よくスプール4に伝達することができるので、限られた消費電力でこれらの2つの巻取り性能を確実に発揮することができる。特に、乗員拘束のための高トルクでのベルト巻取りを低速かつ高トルク動力伝達経路で実現されるので、モータ6の回転トルクを従来に比して小さくすることができる。これにより、モータ6の消費電力を低減させることができるとともに、より小型のモータを使用することができ、その分、シートベルトリトラクタ1をコンパクトにできる。
また、前述の2つの巻取り性能を実現できることで、シートベルトリトラクタ1にモータ6の回転トルクによるプリテンショニング機能を持たせることができる。したがって、従来のシートベルトリトラクタにおける反応ガスを用いたプリテンショナーを不要にできるので、コストを削減することができる。
更に、シートベルト3の張力に応じて動力伝達機構8を低減速比動力伝達モードまたは高減速比動力伝達モードに設定しているので、モータ6の回転トルクを制御することなく、モード切換を簡単に行うことができるようになる。
更に、動力伝達機構8にモータ6の回転トルクをスプールに伝達しない動力伝達遮断モードを設定しているので、シートベルト3の引出し、シートベルト3の圧迫感のない通常装着、非装着時のシートベルト3の格納を、モータ6に影響されることなく行うことができる。
更に、シートベルト3の格納巻取動作をモータ6の回転トルクのみで行っているので、シートベルト3に常時作用するうずまきばね等の巻取り手段によるシートベルト巻取方向の付勢力を、テンションレデューサ等の追加モジュールを用いることなく排除あるいはきわめて小さく設定することができる。
その場合、この巻取り手段による付勢力を、乗員がシートベルト3の装着時に行うフィッティング動作のために最低限必要な範囲内で設定した場合であっても、モータ6の回転を低減速比動力伝達モードでスプール4に伝達することによりシートベルト3の巻取りを補助することで、シートベルト3の格納巻取り動作を確実に行うことが可能となる。
更に、高減速比減速機構7aを遊星機構により構成しているので、低速かつ高トルク伝達経路をコンパクトに形成することができる。これにより、動力伝達機構8を低減速比動力伝達モードまたは高減速比動力伝達モードを有するようにしても、シートベルトリトラクタ1の大型化をより効果的に抑制することができる。
更に、高減速比減速機構7aのキャリヤと低減速比減速機構7bの外歯17bとを1つの共通のキャリヤギヤ17で構成しているので、部品点数を削減できるとともに、その分、よりコンパクトになる。
更に、シートベルト3の張力に応じて動力伝達モード切換機構9により遊星機構のインターナルギヤ19aの回転制御および小径のクラッチギヤ31と大径のキャリヤギヤ17の外歯17bとの間の噛合制御を行うことで、動力伝達モードを簡単に切り換えることができるようになる。
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記実施の形態では、シートベルト3の引っ掛かりの発生を検出する第1の検出手段、及び動力伝達機構8が接続状態と接続解除状態のいずれの状態であるかを検出する第2の検出手段として、いずれもモータ電流検出計69を用いる場合について記載したが、本発明では、このモータ電流検出計69にかえて、第1の検出手段及び第2の検出手段の少なくとも一方に対し、ホールICと称呼されるタイプのセンサを用いることもできる。ホールICを用いる構成に関し、具体的には、クラッチ動作に連動した磁性体(磁石)と磁気センサ(ホールIC)によりクラッチ状態の監視を行うという構成を採用することができる。
また、上記実施の形態では、自動車に装着されるシートベルトリトラクタ1の構成について記載したが、本発明のシートベルトリトラクタは、例えば自動車、飛行機、船舶、電車等の乗員を乗せて移動する車両に装備されるシートベルト装置に用いられ、乗員を拘束保護するためのシートベルトをモータにより巻取るシートベルトリトラクタに好適に利用することができる。
本発明にかかる「シートベルト装置」の一実施の形態であるシートベルト装置100の構成を示す図である。 図1中のシートベルトリトラクタ1まわりの構成を示す図である。 本発明にかかるシートベルトリトラクタの一実施の形態であるシートベルトリトラクタ1を示す分解斜視図である。 図3に示す例のシートベルトリトラクタ1をリテーナカバーを外した状態で示し、図中(a)は斜視図、図中(b)は左側面図である。 図3に示す例のシートベルトリトラクタ1に用いられるサンギヤ部材を示し、(a)はその斜視図、(b)は(a)におけるIIIB方向から見た斜視図である。 図3に示す例のシートベルトリトラクタ1における動力伝達遮断モードの状態を、構成要素の一部を除いて示す左側面図である。 図3に示す例のシートベルトリトラクタ1における低減速比動力伝達モードの状態を、構成要素の一部を除いて示す左側面図である。 図3に示す例のシートベルトリトラクタ1における高減速比動力伝達モードの状態を、構成要素の一部を除いて示す左側面図である。 本実施の形態のシートベルトリトラクタ1におけるシートベルト格納制御処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 シートベルトリトラクタ
2 フレーム
3 シートベルト
4 スプール
5 ロック手段
6 モータ
6a モータ回転軸
7 減速機構
7a 高減速比減速機構
7b 低減速比減速機構
8 動力伝達機構
9 動力伝達モード切換機構
13 モータギヤ
17 キャリヤギヤ
18 プラネットギヤ
19 リング部材
19a インターナルギヤ
19b ラチェット歯
20 サンギヤ部材
20a サンギヤ
23 コネクトギヤ
24 クラッチスプリング
25 プーリ
26 下側コネクトギヤ
27 上側コネクトギヤ
29 アイドルギヤ
31 クラッチギヤ
32 回転軸
33 クラッチアーム
33c 支持溝
33e 係合部
34 クラッチパウル
34b 係止爪
35 抵抗スプリング
35b 凹部
40 ねじ
50 検出センサ
60 ショルダーガイドアンカー
62 トング(タング)
64 アウトアンカー
66 バックル
66a バックルスイッチ
68 ECU
69 モータ電流検出計
70 入力要素
80 車両シート
82 Bピラー
100 シートベルト装置

Claims (7)

  1. シートベルトの巻き取り及び巻き出しを行うスプールと、
    電動モータと、
    前記電動モータと前記スプールとの間に介在して、これら電動モータとスプールとが接続された接続状態、及び当該接続状態が解除された接続解除状態を形成する動力伝達機構と、
    前記電動モータ及び動力伝達機構を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記動力伝達機構の接続状態において、前記電動モータが第1の方向へ回転駆動されることによって前記スプールがシートベルト巻き取り方向へ回転制御され、シートベルト巻き取り動作が行われるとともに、前記動力伝達機構を接続状態から接続解除状態へと切り換えるべく、前記電動モータが前記第1の方向と反対の第2の方向へ回転制御されるとき、前記スプールに対する当該電動モータの回転速度差によって前記動力伝達機構が接続状態から接続解除状態に切り換る構成のシートベルトリトラクタであって、
    更に、シートベルト巻き取り中における当該シートベルトの引っ掛かりの発生を検出可能な第1の検出手段と、前記動力伝達機構が接続状態と接続解除状態のいずれの状態であるかを検出可能な第2の検出手段を備え、
    前記制御手段は、シートベルト巻き取り中における前記第1の検出手段の検出結果に基づいて、当該シートベルトの引っ掛かりが発生したことを検出すると、前記電動モータを前記第2の方向へ引っ掛かり状態判定速度で回転制御するとともに、その回転制御時における前記第2の検出手段の検出結果に基づいて、前記動力伝達機構が接続状態である場合には当該シートベルトの引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作によるものであると判定する一方、前記動力伝達機構が接続解除状態である場合には当該シートベルトの引っ掛かりが車両乗員或いは障害物に対する干渉であると判定することを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  2. 請求項1に記載のシートベルトリトラクタであって、
    前記制御手段は、前記第2の検出手段の検出結果に基づき前記シートベルトの引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作によるものであると判定した場合には、前記電動モータを前記引っ掛かり状態判定速度を上回る速度で前記第2の方向へ回転制御することを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  3. 請求項1または2に記載のシートベルトリトラクタであって、
    前記第1及び第2の検出手段は、前記電動モータの電流値を検出するモータ電流計を用いて構成され、
    前記制御手段は、前記シートベルトの引っ掛かり発生検出の際、前記モータ電流計により検出された電流値が第1の基準電流値を上回る場合に当該シートベルトの引っ掛かりが発生したと判定し、前記シートベルトの引っ掛かり状態判定の際、前記モータ電流計により検出された電流値が第2の基準電流値を上回る場合に前記動力伝達機構が接続状態であると判定することを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  4. 車両乗員に対し装着されるシートベルトと、
    前記シートベルトの巻き取り及び巻き出しを行うスプールと、
    電動モータと、
    前記電動モータと前記スプールとの間に介在して、これら電動モータとスプールとが接続された接続状態、及び当該接続状態が解除された接続解除状態を形成する動力伝達機構と、
    前記電動モータ及び動力伝達機構を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記動力伝達機構の接続状態において、前記電動モータが第1の方向へ回転駆動されることによって前記スプールがシートベルト巻き取り方向へ回転制御され、シートベルト巻き取り動作が行われるとともに、前記動力伝達機構を接続状態から接続解除状態へと切り換えるべく、前記電動モータが前記第1の方向と反対の第2の方向へ回転制御されるとき、前記スプールに対する当該電動モータの回転速度差によって前記動力伝達機構が接続状態から接続解除状態に切り換る構成のシートベルト装置であって、
    更に、シートベルト巻き取り中における当該シートベルトの引っ掛かりの発生を検出可能な第1の検出手段と、前記動力伝達機構が接続状態と接続解除状態のいずれの状態であるかを検出可能な第2の検出手段を備え、
    前記制御手段は、シートベルト巻き取り中における前記第1の検出手段の検出結果に基づいて、当該シートベルトの引っ掛かりが発生したことを検出すると、前記電動モータを前記第2の方向へ引っ掛かり状態判定速度で回転制御するとともに、その回転制御時における前記第2の検出手段の検出結果に基づいて、前記動力伝達機構が接続状態である場合には当該シートベルトの引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作によるものであると判定する一方、前記動力伝達機構が接続解除状態である場合には当該シートベルトの引っ掛かりが車両乗員或いは障害物に対する干渉であると判定することを特徴とするシートベルト装置。
  5. 請求項1に記載のシートベルト装置であって、
    前記制御手段は、前記第2の検出手段の検出結果に基づき前記シートベルトの引っ掛かりが車両乗員によるシートベルト引き出し操作によるものであると判定した場合には、前記電動モータを前記引っ掛かり状態判定速度を上回る速度で前記第2の方向へ回転制御することを特徴とするシートベルト装置。
  6. 請求項4または5に記載のシートベルト装置であって、
    前記第1及び第2の検出手段は、前記電動モータの電流値を検出するモータ電流計を用いて構成され、
    前記制御手段は、前記シートベルトの引っ掛かり発生検出の際、前記モータ電流計により検出された電流値が第1の基準電流値を上回る場合に当該シートベルトの引っ掛かりが発生したと判定し、前記シートベルトの引っ掛かり状態判定の際、前記モータ電流計により検出された電流値が第2の基準電流値を上回る場合に前記動力伝達機構が接続状態であると判定することを特徴とするシートベルト装置。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載のシートベルト装置が、車両内の収容空間に収容された構成のシートベルト装置付車両。
JP2005122259A 2005-04-14 2005-04-20 シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両 Withdrawn JP2006298142A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005122259A JP2006298142A (ja) 2005-04-20 2005-04-20 シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両
EP06005221A EP1712435A3 (en) 2005-04-14 2006-03-14 Seat belt retractor, seat belt device, and vehicle with seat belt device
EP06005222A EP1712436A3 (en) 2005-04-14 2006-03-14 Seat belt retractor, seat belt device, and vehicle with seat belt device
US11/398,525 US20060237570A1 (en) 2005-04-20 2006-04-06 Seat belt retractor and seat belt device
CNA2006100755308A CN1853990A (zh) 2005-04-20 2006-04-19 安全带卷收器、安全带装置、带安全带装置的车辆

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005122259A JP2006298142A (ja) 2005-04-20 2005-04-20 シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006298142A true JP2006298142A (ja) 2006-11-02

Family

ID=37185853

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005122259A Withdrawn JP2006298142A (ja) 2005-04-14 2005-04-20 シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20060237570A1 (ja)
JP (1) JP2006298142A (ja)
CN (1) CN1853990A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008069067A1 (ja) * 2006-12-07 2008-06-12 Takata Corporation シートベルト巻き取り制御装置、シートベルト巻き取り装置、シートベルト装置、シートベルト巻き取り制御方法、及びプログラム
JP2016155451A (ja) * 2015-02-24 2016-09-01 株式会社東海理化電機製作所 ウェビング巻取装置

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006159969A (ja) * 2004-12-02 2006-06-22 Tkj Kk シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両
JP4773766B2 (ja) * 2005-08-05 2011-09-14 タカタ株式会社 シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両
JP5180481B2 (ja) * 2007-01-24 2013-04-10 タカタ株式会社 モータリトラクタの制御方法、モータリトラクタ及びシートベルト装置
US7947943B2 (en) * 2007-06-08 2011-05-24 Disney Enterprises, Inc. Pawl and ratchet assembly adapted for indirect sensing of proper operation
JP4492732B2 (ja) * 2008-05-13 2010-06-30 株式会社デンソー モータ駆動装置、及び駆動装置状態判定方法
JP5771639B2 (ja) * 2013-03-15 2015-09-02 富士重工業株式会社 4点式シートベルト装置
JP2016137767A (ja) * 2015-01-26 2016-08-04 トヨタ自動車株式会社 車両用プリクラッシュシートベルト装置
DE102015209708A1 (de) * 2015-05-27 2016-12-01 Airbus Operations Gmbh Passagiersitz mit Sicherheitsgurt für ein Luftfahrzeug und Verfahren
KR20170016267A (ko) * 2015-08-03 2017-02-13 주성엔지니어링(주) 수액 나무에 절개홈을 형성하는 장치 및 방법
US10604259B2 (en) 2016-01-20 2020-03-31 Amsafe, Inc. Occupant restraint systems having extending restraints, and associated systems and methods
JP6988458B2 (ja) * 2017-12-25 2022-01-05 トヨタ自動車株式会社 車両用シート
JP2020083147A (ja) * 2018-11-28 2020-06-04 株式会社東海理化電機製作所 ウェビング巻取装置
DE102019218307A1 (de) * 2019-11-26 2021-05-27 Autoliv Development Ab Gurtaufroller
JP7313305B2 (ja) * 2020-03-24 2023-07-24 株式会社東海理化電機製作所 ウェビング巻取装置
CN111873937B (zh) * 2020-08-11 2022-03-08 湖南机电职业技术学院 一种高舒适性的安全带装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4467688B2 (ja) * 1999-01-19 2010-05-26 タカタ株式会社 シートベルト巻取装置
DE19940034C2 (de) * 1999-08-24 2001-08-30 Hs Tech & Design Gurtaufroller
JP4356852B2 (ja) * 1999-12-13 2009-11-04 タカタ株式会社 シートベルト制御装置
JP4521798B2 (ja) * 2001-01-22 2010-08-11 タカタ株式会社 シートベルト巻き取り装置
JP3698085B2 (ja) * 2001-10-05 2005-09-21 日産自動車株式会社 シートベルト制御装置
JP2005029014A (ja) * 2003-07-14 2005-02-03 Takata Corp シートベルトリトラクタ
DE10336122B4 (de) * 2003-08-06 2006-04-06 Key Safety Systems, Inc., Sterling Heights Verfahren und Vorrichtung zur Einstellung eines Versorgungsstromes für einen Elektromotor, dessen Drehmoment auf eine Gurtspule eines Sicherheitsgurtaufrollers eines Kraftfahrzeugs übertragen wird
JP4472299B2 (ja) * 2003-09-25 2010-06-02 タカタ株式会社 モータ付シートベルト巻き取り装置の制御方法及び装置
JP2005119403A (ja) * 2003-10-15 2005-05-12 Takata Corp シートベルトリトラクタ
JP4573225B2 (ja) * 2004-09-24 2010-11-04 タカタ株式会社 シートベルトの巻き取り方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008069067A1 (ja) * 2006-12-07 2008-06-12 Takata Corporation シートベルト巻き取り制御装置、シートベルト巻き取り装置、シートベルト装置、シートベルト巻き取り制御方法、及びプログラム
JP2016155451A (ja) * 2015-02-24 2016-09-01 株式会社東海理化電機製作所 ウェビング巻取装置
WO2016136587A1 (ja) * 2015-02-24 2016-09-01 株式会社東海理化電機製作所 ウェビング巻取装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20060237570A1 (en) 2006-10-26
CN1853990A (zh) 2006-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006298142A (ja) シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両
JP2006321358A (ja) シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両
JP2006290285A (ja) シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両
EP1524159B1 (en) Seat belt retractor
JP2005029014A (ja) シートベルトリトラクタ
JP2006218984A (ja) シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両
JP4885764B2 (ja) ウエビング巻取装置
JP2006282015A (ja) シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両
JP2006327413A (ja) シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両
JP4630181B2 (ja) モータリトラクタ
US7380740B2 (en) Seat belt retractor and seat belt device
JP2001151076A (ja) 乗員拘束保護システム
JP2007284014A (ja) シートベルトリトラクタ及びシートベルト装置
JP2005324772A (ja) モータリトラクタ
JP2011230691A (ja) シートベルトリトラクタの制御装置およびこれを備えたシートベルト装置
WO2011043273A1 (ja) 車両用乗員拘束装置
US7240923B2 (en) Seatbelt retractor and seatbelt device
EP1712436A2 (en) Seat belt retractor, seat belt device, and vehicle with seat belt device
JP4265392B2 (ja) シートベルト装置
JP4420693B2 (ja) シートベルト装置
JP2020172192A (ja) シートベルトリトラクタ及びシートベルト装置
JP2006036119A (ja) ウエビング巻取装置
JP2006076390A (ja) ウエビング巻取装置
JP2006159955A (ja) ウエビング巻取装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060822

A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080701