JP2006060985A - 交流電力生成装置ならびにそれが用られたリニアモータおよびスターリング冷凍機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 トランジスタのON抵抗に起因した発熱による悪影響が低減された単相用の交流電力生成装置を提供する。
【解決手段】 三相交流電力を生成するために使用可能な三相用IPM(Inteligent Power Module)において、配線Uから分岐し、U相コントロールとトランジスタGwのゲート電極とを接続する配線W、および、配線Xから分岐し、V相コントロールとトランジスタGzのゲート電極とを接続する配線Zを設ける。また、トランジスタGuとトランジスタGxとの間のノードに接続された出力端子と、トランジスタGwとトランジスタGzとの間のノードに接続された出力端子とを配線Kで接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】 三相交流電力を生成するために使用可能な三相用IPM(Inteligent Power Module)において、配線Uから分岐し、U相コントロールとトランジスタGwのゲート電極とを接続する配線W、および、配線Xから分岐し、V相コントロールとトランジスタGzのゲート電極とを接続する配線Zを設ける。また、トランジスタGuとトランジスタGxとの間のノードに接続された出力端子と、トランジスタGwとトランジスタGzとの間のノードに接続された出力端子とを配線Kで接続する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、3相用IPM(Inteligent Power Module)が用いられた単相用の交流電力生成装置等に関するものである。
従来より、単相モータの一例のリニアモータMのPWM(Pulse Width Modulation)制御においては、3相モータを制御する3相用IPMが単相交流電力を供給する交流電力生成装置に用いられている。以下、図14を用いて、従来の3相用IPMを説明する。
図14に示すように、従来のIPM200には、インバータ回路100が内臓されている。インバータ回路100は、6つのスイッチング素子を有し、図14に示すような態様で、たとえば、スターリング冷凍機40に内装されたリニアモータMに接続されている。6つのスイッチング素子は、トランジスタGu、Gx、Gv、Gy、Gw、およびGzであり、それぞれには、ソース電極とドレイン電極との間にフライホイールダイオードが接続されている。ただし、単相モータの制御においては、6つのトランジスタのうちトランジスタGu、Gx、Gv、およびGyからなる4つのトランジスタのみが用いられる。
図14から分かるように、トランジスタGuおよびトランジスタGx、トランジスタGvおよびトランジスタGy、ならびに、トランジスタGwおよびトランジスタGzは、それぞれ、直列に接続されている。また、トランジスタGuおよびGx、トランジスタGvおよびGy、ならびに、トランジスタGwおよびGzが、この順番で互いに並列に接続されている。
本明細書においては、トランジスタGuおよびGxを第1列とし、トランジスタGvおよびGyを第2列とし、トランジスタGwおよびGzを第3列とする。
なお、トランジスタGwおよびGzは、従来のリニアモータM、すなわち単相モータの制御には用いられないトランジスタである。このように、従来のIPM200は、インバータ回路100がリニアモータMの制御に用いられないトランジスタを有している。
また、リニアモータMは、一方の端子がトランジスタGuとトランジスタGxとの間のノードに接続され、かつ、他方の端子がトランジスタGvとトランジスタGyとの間のノードに接続されている。
また、マイクロコンピュータ1000のU相コントロールとトランジスタGuのゲート電極とは、配線Uによって接続されている。また、マイクロコンピュータ1000のU相コントロールとトランジスタGxのゲート電極とは、配線Xによって接続されている。また、マイクロコンピュータ1000のV相コントロールとトランジスタGvのゲート電極とは、配線Vによって接続されている。また、マイクロコンピュータ1000のV相コントロールとトランジスタGyのゲート電極とは、配線Yによって接続されている。
マイクロコンピュータ1000は、配線U、X、V、およびYを介して、トランジスタGu、Gv、Gx、およびGyのそれぞれのゲート電極にPWM制御信号を送信する。それにより、それらのトランジスタのそれぞれの開閉動作が行なわれ、リニアモータMに各パルス電圧が印加される。それにより、リニアモータMのコイルに交流電流が流れる。その結果、リニアモータMのピストンの往復運動の振幅および周期が制御される。
なお、トランジスタGu、Gv、およびGwのそれぞれのゲート電極とマイクロコンピュータ1000との間には、HVIC(High Voltage Inteligent Circuit)が設けられており、トランジスタGx、Gy、およびGzのそれぞれのゲート電極とマイクロコンピュータ1000との間には、LVIC(Low Voltage Inteligent Circuit)が設けられている。HVICは、スイッチング用半導体素子の駆動保護機能を構成する耐圧50V以上の集積回路(小さな電圧のPWM制御信号を受け、そのPWM制御信号に応じて大きな電圧が印加されるスイッチング素子の開閉を行なう駆動回路)であり、LVICは、スイッチング用半導体素子の駆動保護機能を構成する耐圧50V以下の集積回路(小さな電圧のPWM制御信号を受け、そのPWM制御信号に応じて大きな電圧が印加されるスイッチング素子の開閉を行なう駆動回路)である。また、IPMとは、スイッチング用半導体素子に加えて、それらの駆動回路および保護回路などが、一体的に樹脂封止されて、1パッケージのモジュールになっているものである。
また、インバータ回路100に対して並列に平滑コンデンサCが設けられている。この平滑コンデンサCに対して並列に整流器Dが設けられている。さらに、整流器Dに対して並列に交流電源Gが設けられている。また、インバータ回路100の電位を安定させるためのコンデンサCCが設けられている。さらに、リニアモータMの2つの端子に、電圧計として機能する回路Vの2つの端子が1対1の関係で接続され、回路Vで得られた電圧値が回路Vからマイクロコンピュータ1000のU相電圧センサ入力ポートおよびV相電圧センサ入力ポートのそれぞれへ送信される。
また、平滑コンデンサCとリニアモータMとの間には、電流計として機能する回路Aが設けられ、回路Aで得られた電流値が回路Aからマイクロコンピュータ1000の電流センサ入力ポートへ送信される。
電圧値および電流値の取得手法は、より具体的には、次のようなものである。実際の電圧値の取得においては、まず、リニアモータMに印加されている電圧が分圧され、その分圧された電圧値がマイクロコンピュータ1000に入力される。マイクロコンピュータ1000は、その分圧された電圧値をA/D変換し、それによって、実際の電圧値が算出される。また、電流値の取得に関しては、まず、シャント抵抗Sの両端の電位差がオペアンプを含む回路Aによって増幅され、その増幅された電位差の値がマイクロコンピュータ1000に入力される。マイクロコンピュータ1000は、その増幅された電位差の値をA/D変換し、それによって、電流値が算出される。
上記の交流電力生成装置によってリニアモータMに印加される交流電圧波形においては、図15に示すように、正電圧の最大値の絶対値Vupと負電圧の最小値の絶対値Vvpとはほぼ同一である。なお、図15の左端部に記載された電圧値は、各トランジスタのON抵抗値が1Ωである場合における電圧値である。
特開2000−184778号公報
特開2001−8481号公報
特開2003−9509号公報
上記従来の交流電力生成装置においては、使用される4つのトランジスタGu、Gv、Gx、およびGzのそれぞれのON抵抗が大きなものであり、それらのON抵抗に起因したトランジスタの発熱がIPM全体に悪影響を与えるおそれがある。なお、ON抵抗とは、トランジスタのチャネル領域を電荷が通過するときに生じる抵抗を意味する。
本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、3相用IPMが用いられた単相用の交流電力生成装置における、トランジスタのON抵抗に起因した発熱を低減することである。
本発明の交流電力生成装置は、三相交流電力を生成するための三相用IPM(Inteligent Power Module)と該三相用IPMを制御するマイクロコンピュータとを用いて、直流電力を単相交流電力へ変換するものである。三相用IPMは、互いに直列に接続された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを含む第1列と、第1列に並列に接続されているとともに、互いに直列に接続された第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とを含む第2列と、第1列に並列に接続されているとともに、互いに直列に接続された第5スイッチング素子と第6スイッチング素子とを含む第3列と、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との間のノードに接続された第1出力端子と、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子との間のノードに接続された第2出力端子と、第5スイッチング素子と第6スイッチング素子との間のノードに接続された第3出力端子とを備えている。第1出力端子と第3出力端子とが接続されており、第1列のスイッチング素子と第3列のスイッチング素子とは、同期してON/OFFするように構成されている。
上記の構成によれば、第1列を構成する個々のスイッチング素子と第3列を構成する個々のスイッチング素子とが並列に接続されている。そのため、3相を構成する6つのスイッチング素子のON抵抗に起因する発熱量が全体として低減される。その結果、スイッチング素子の発熱に起因した3相用IPM全体への悪影響が低減される。また、既存の3相用IPMの内部構成を変更することなく、マイクロコンピュータと3相用IPMとの接続態様またはマイクロコンピュータから3相用IPMへのPWM制御信号の出力態様、および、3相用IPMの出力端子同士の接続態様をわずかに変更するだけで、3相用IPMを構成するスイッチング素子のON抵抗を低減することができる。
本発明のリニアモータは、前述の交流電力生成装置と交流電力が供給されるコイルとを有し、そのコイルの周囲に生じる磁力を用いるものである。マイクロコンピュータは、コイルに印加される正電圧の最大値の絶対値と負電圧の最小値の絶対値との差が小さくなるように、第1列、第2列、および第3列を構成する6つのスイッチング素子のON/OFFの期間を調整する手段をさらに備えている。
上記の構成によれば、交流電圧の最大値の絶対値と交流電圧の最小値の絶対値とが異なることによってリニアーモータに生じる問題を解消することができる。
本発明のスターリング冷凍機は、前述のリニアモータと、リニアモータによって往復運動するピストンと、ピストンの往復運動に起因する圧力変動によって往復運動するディスプレーサとを備えている。
上記のスターリング冷凍機によれば、交流電力生成装置は、リニアモータに印加される交流電圧の最大値の絶対値とリニアモータに印加される交流電圧の最小値の絶対値とが大きく異なることがないように、交流電力の波形を調整する。したがって、ピストンの振幅の中心位置を変えることなく、3相用IPMを構成するスイッチング素子の発熱によって生じる問題を解消することができる。
本発明によれば、簡単な構成の変更で、IPMのON抵抗による発熱を低減することができる。
(実施の形態1)
まず、図1〜図13を用いて、実施の形態の交流電力生成装置ならびにそれが用られたリニアモータおよびスターリング冷凍機を説明する。
まず、図1〜図13を用いて、実施の形態の交流電力生成装置ならびにそれが用られたリニアモータおよびスターリング冷凍機を説明する。
まず、図1を用いて、交流電力生成装置を説明する。本実施の形態の図1に示す交流電力生成装置は、図14に示す従来の交流電力生成装置とほぼ同様である。したがって、本実施の形態の交流電力生成装置については、図14に示す従来の交流電力生成と異なる構造および図14を用いて説明がなされたなかった機能のみの説明がなされる。
本実施の形態の交流電力生成装置は、図1に示すように、配線Wが配線Uから分岐し、配線UによってU相コントロールとトランジスタGwのゲート電極とがHVICを介して接続され、配線Zが配線Xから分岐し、配線ZによってU相コントロールとトランジスタGzのゲート電極とがHVICを介して接続されている。また、トランジスタGwとトランジスタGzとの間のノードと、トランジスタGuとトランジスタGxとの間のノードとリニアモータMの一方の端子とを接続する配線とが、配線Kによって接続されている。つまり、本発明の第1列を構成するトランジスタGuが、本発明の第3列を構成するトランジスタGwに並列に接続されているとともに、第1列を構成するトランジスタGxが、第3列を構成するトランジスタGzに並列に接続されている。
言い換えれば、トランジスタGuとトランジスタGxとの間のノードと第1出力端子とが接続され、トランジスタGvとトランジスタGyとの間のノードと第2出力端子とが接続され、トランジスタGwとトランジスタGzとの間のノードと第3出力端子とが接続され、さらに、第1出力端子と第3出力端子とが配線Kによって接続されている。また、第1出力端子および第3出力端子がリニアモータMの一方の端子に接続され、第2出力端子がリニアモータMの他方の端子に接続されている。
上記の構成によれば、マイクロコンピュータ1000は、U相コントロールから出力するPWM制御信号によって、トランジスタGuおよびGwを同期させてON/OFFさせる。また、マイクロコンピュータ1000は、V相コントロールから出力するPWM制御信号によって、トランジスタGxおよびGzを同期させてON/OFFさせる。また、第1出力端子から出力される電流および第3出力端子から出力される電流が合流してリニアモータMに流れ込み、一方、第2出力端子から出力される電流はそのままリニアモータMに流れ込む。
具体的には、マイクロコンピュータ1000が、トランジスタGuおよびGyのそれぞれをONさせるPWM制御信号を出力するとともに、トランジスタGvおよびGxのそれぞれをOFFさせる制御信号を出力する。それにより、トランジスタGu、リニアモータMの一方の端子、リニアモータM、リニアモータMの他方の端子、およびトランジスタGyに、この順番で、第1交流電流が流れる。
また、マイクロコンピュータ1000が、トランジスタGvおよびGxのそれぞれをONさせるPWM制御信号を出力するとともに、トランジスタGuおよびGyのそれぞれをOFFさせるPWM制御信号を出力する。それにより、トランジスタGv、リニアモータMの他方の端子、リニアモータM、リニアモータMの一方の端子、およびトランジスタGxに、この順番で、第2交流電流が流れる。
また、トランジスタGuがONしているタイミングにおいて、トランジスタGwがONするとともにトランジスタGzがOFFすることにより、トランジスタGw、リニアモータMの一方の端子、リニアモータM、リニアモータMの他方の端子、およびトランジスタGyに、この順番で、第3交流電流が流れる。
また、トランジスタGxがONしているタイミングにおいて、トランジスタGzがONするとともにトランジスタGwがOFFすることにより、トランジスタGv、リニアモータMの他方の端子、リニアモータM、リニアモータMの一方の端子、およびトランジスタGzに、この順番で、第4交流電流が流れる。
前述の第1交流電流と第3交流電流とは合成されてリニアーモータMのコイルを流れる。また、前述の第2交流電流と第4交流電流とは合成されてリニアモータMのコイルを流れる。
図1に示すように、本実施の形態においては、配線W、ZおよびKを除いた構成は、図15を用いて示した従来技術の構成と全く同様である。
図2は、PWMインバータ制御用のタイマが1つ(1チャンネル)内蔵された単相リニアモータ制御用のマイクロコンピュータ1000の構成を説明するためのブロック図である。
図2に示すように、本実施の形態の交流電力生成装置のマイクロコンピュータ1000は、発振器としてのクロック回路と、演算手段としてのCPU(Central Processing Unit)と、書替え可能な記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)と、読出専用のROMとを備えている。ROM(Read Only Memory)には、6つのスイッチング素子を制御するためのプログラムが格納されている。また、RAMは、ROMに格納されたプログラムに従ってCPUでの演算処理が行なわれた結果を一時的に記憶するための記憶手段であり、レジスタなどの一時記憶手段が含まれていてもよい。さらに、クロックは、発振器から送信されてきた信号を用いて、後述するタイマを動作させるための基本となるクロックパルスを形成するためのものである。
また、マイクロコンピュータ1000は、従来においては、3相モータの制御に用いられていた3相PWMインバータタイマを備えている。この3相PWMインバータタイマは、アップ/ダウンタイマである。アップ/ダウンタイマ1には、U相、V相、およびW相のそれぞれの相を制御するための信号を出力する回路(U相コントロール回路、V相コントロール回路、W相コントロール回路)が設けられている。但し、本実施の形態においては、制御信号出力回路のうちU相コントロール回路およびV相コントロール回路のみが使用される。
なお、本実施の形態のインバータ回路100は、元々3相モータを制御するための回路であるため、マイクロコンピュータ1000には、W相のトランジスタGwおよびGzを制御するための制御信号を出力するW相コントロール回路も内臓されているが、本実施の形態の交流電力生成装置においては、W相回路は使用されていない。ただし、図1のように、配線Wおよび配線Zを用いない場合には、W相コントロール回路から出力されるPWM制御信号とU相コントロール回路から出力されるPWM制御信号とが同期して出力されるようにプログラムを書き換えることによっても、図1に示す構造の交流電力生成装置によって実行される制御と同様の制御を実行することができる。
また、マイクロコンピュータ1000には、アップ/ダウンタイマ1の3つの相それぞれに対応した3つのレジスタが設けられている。ただし、本実施の形態においては、アップ/ダウンタイマ1のU相およびV相に対応したレジスタのみが使用される。W相に対応したレジスタは、3相モータを制御するときに使用されるものである。
また、U相とV相との位相角の差は、3相モータを制御する場合には120度であったが、本実施の形態の単相モータの制御に用いられる場合には180度となるように、前述のROM内のプログラムが設定されている。U相コントロール回路から出力されたPWM制御信号は、トランジスタGu、Gx、GwおよびGzのそれぞれのゲート電極に送信される。また、V相コントロール回路から出力されたPWM制御信号は、トランジスタGvおよびGyのそれぞれのゲート電極に送信される。なお、W相コントロール回路は、前述のように使用されていない。
このように、本実施の形態の単相用の交流電力生成装置は、従来の単相用の交流電力生成装置と比較して、前述の配線W、配線Zおよび配線Kが設けられていることのみが、異なっている。つまり、従来の交流電力生成装置から本実施の形態の交流電力生成装置への変更にかかる費用負担は比較的少ない。
次に、レジスタにおいて更新される設定値の決定手法を説明する。以後、設定値というときは、レジスタの設定値を意味するものとする。この設定値によって、交流波形の形状が決定される。
本実施の形態では、PWMの基本周波数fb=10kHzであり、モータの駆動周波数fm=50Hzであるとする。このとき、アップ/ダウンタイマ1の半周期(半インターバル)は、1/10kHz/2=100μsec/2=50μsecである。
また、マイクロコンピュータ1000のアップ/ダウンタイマ1のU相の設定値またはのV相の設定値に、比較的大きな値を設定すると、パルス幅は比較的小さくなる。たとえば、図3に示すように、リニアモータMに最も大きな幅の電圧パルスを出力するときには、アップ/ダウンタイマ1の設定値を0にする。リニアモータMに最も小さな幅の電圧パルスを出力するときには、アップ/ダウンタイマ1の設定値を1000にする。
また、アップ/ダウンタイマ1を650にすると、トランジスタGuおよびGxのそれぞれには、図3に示すような電圧パルスが発生する。アップ/ダウンタイマ1のU相の設定値およびV相の設定値のそれぞれを500にすると、U相およびV相のそれぞれにおいて、50usecの間、電圧パルスが出力される。
本実施の形態においては、リニアモータMに印加される最大実効電圧をAC(Alternative Currency)200V(Sin波のピーク値は±282Vである)とする。この交流の電圧が印加される場合、図4に示すように、U相の印加電圧の最大値は+282Vであり、V相の印加電圧の最小値は、−282Vである。したがって、電圧波形の最大値と最小値との差すなわちリニアモータMの印加電圧のピーク値は、±282Vある。このとき、アップ/ダウンタイマ1のカウントアップ数またはカウントダウン数1に対して、0.282VだけリニアモータMに印加される電圧が変化する。なお、設定値が0のとき各相に印加される電圧は282Vまたは―282Vであり、設定値が1000のときリニアモータMに印加される電圧は0Vである。
上記の事項をより詳しく説明すると、次のようになる。
リニアモータMに実効電圧AC200Vを印加する場合には、設定値は、0から1000の範囲内でアップ/ダウンするように、順次更新される。そのため、たとえば、リニアモータMに実効電圧AC120Vを印加する場合には、1000×(120V/200V)=600の幅で、設定値の更新が行なわれる。
また、Sin波の最大値のタイミング(位相角90°のタイミング)においては、U相の設定値は、1000−600=400であり、Sin波の最小値のタイミング(位相角270°のタイミング)においては、V相の設定値も、1000−600=400である。
PWMの基本周波数が10kHz(100μsec)であれば、リニアモータMの往復運動の半サイクルの期間に、すなわち、10msec(=1/50Hz/2)の期間に、100個の電流パルスが発生する。つまり、リニアモータMのピストンの位相角が0°から180°まで変化する間に、電圧パルスは100個出力される。また、この場合、位相角θ=1.8×電圧パルス数である。
したがって、最大実効電圧が120Vの場合には、半周期の間に出力しようとしている電圧パルスの数x(xは、最大電圧と周波数とを用いて電圧パルスの幅に応じて算出される)を用いて、次の式(1)および式(2)によって、設定値を算出することができる。
U相の設定値=400+600×Sin(1.8×電圧パルス数) …(1)
V相の設定値=400+600×Sin(1.8×電圧パルス数) …(2)
ただし、U相とV相とでは位相が180°ずれている。
V相の設定値=400+600×Sin(1.8×電圧パルス数) …(2)
ただし、U相とV相とでは位相が180°ずれている。
また、リニアモータMに必要とされる交流電圧のピーク値をVmax(≦200)とすると、Sin波の位相角90°での電圧は、1.41×Vmax/2となる。
したがって、レジスタの設定値の変化の幅は、
1.41×Vmax/2:設定値の変化の幅=1.41×200/2:1000
という式を用いて計算すると、
5×Vmaxになる。
1.41×Vmax/2:設定値の変化の幅=1.41×200/2:1000
という式を用いて計算すると、
5×Vmaxになる。
したがって、アップダウンタイマ1の設定値は、最大実効電圧が200Vである場合、一般に、次の式(3)および(4)によって表わすことができる。
U相の設定値=1000×(1−Vmax/200)+5×Vmax×Sin(1.8x) …(3)
U相の出力タイミングにおいては、V相の設定値は常に0に設定されている。
U相の出力タイミングにおいては、V相の設定値は常に0に設定されている。
V相の設定値=1000×(1−Vmax/200)+5×Vmax×Sin(1.8x) …(4)
V相の出力タイミングにおいては、U相の設定値は常に0に設定されている。
V相の出力タイミングにおいては、U相の設定値は常に0に設定されている。
ただし、一旦、設定値が決定されると、順次xは順次1つずつ更新される(x=x+1)。また、xが最大値になれば、x=0にする。なお、前述のように、U相とV相とは位相が180°ずれているため、U相の設定値が、交流波形の半サイクルの期間、用いられた後、次の交流波形の半サイクルの期間、V相の設定値が用いられる。
次に、本実施の形態の交流電力生成装置において用いられるアップ/ダウンタイマ1のそれぞれの設定値を決定するためにマクロコンピュータ1000が実効する処理を説明する。
図5に示すように、設定値決定処理においては、ST11において、まず、必要とされる駆動電力の値の入力があったか否かが判別される。つまり、単相モータを如何なる駆動電力で駆動させるかを特定するための値が外部からマイクロコンピュータ1000へ入力されたか否かが判別される。
ST11において、必要とされる駆動電力の値が入力されていない場合、すなわち、単相モータが使用されていないか、必要とされる駆動電力の値が既に入力された後であって、入力された必要とされる駆動電力の値に変更がない場合には、必要とされる駆動電力の入力があるか否かを判別される処理が続行される。ST11において、必要とされる駆動電力の値の入力があれば、ST12に進む。
ST12では、必要とされる駆動電力の値に応じて、リニアモータMにかかる交流電圧の最大値の絶対値または最小値の絶対値(交流電圧の実効値)および交流電圧の周波数(波長)が決定される。この決定は、ROMに内蔵されているプログラムを用いてCPUにより行なわれる。次に、ST13において、ST12において決定された交流電圧の1周期内の電圧パルスV1,V2,…,Vnのそれぞれの幅W1,W2,…,Wnのそれぞれを決定する。
このとき、電圧パルスの幅W2,W2,…,Wnは、最小値から徐々に大きくなり、最大値に達すると徐々に小さくなり、最小値に達すると再び除々に大きくなる。すなわち、電圧パルスW1,W2,…,Wnと時間の関係は、Sinカーブを描くように設定されている。
次に、ST14において、ST13において決定された電圧パルスW1,W2,…,Wnのそれぞれの幅W1,W2,…,Wnのそれぞれの値を用いて、アップ/ダウンタイマ1の設定値S1,S2,…,Snのそれぞれの値を決定する。この設定値S1,S2,…,Snの決定によって、トランジスタGu、Gx、Gv、Gy、GwおよびGzのそれぞれの動作タイミングが決定される。また、ST14の処理が終われば、ST11の処理を繰返し実行する。すなわち、必要とされる駆動電力の値が変更されるまでマイクロコンピュータ1000は待機する。
なお、本実施の形態では、設定値決定処理は、マイクロコンピュータ1000が、ステップST12〜ステップST14のステップのそれぞれの演算をROMに内蔵されているプログラムに基づいて実行する。
次に、図6および図7を用いて、本実施の形態の交流電力生成装置におけるトランジスタGu,Gx,Gv,Gy,Gw,およびGzのそれぞれの開閉動作のタイミングを説明する。
図6に示すU相の設定値に基づいてU相コントロールがPWM信号を出力している期間においては、カウントアップ中にアップ/ダウンタイマ1が設定値S1,S2,…のそれぞれの値になると、U相のトランジスタGu(Gw)およびGx(Gz)には、マイクロコンピュータ1000から自動的にPWM制御信号が出力され、トランジスタGx(Gz)がOFFになった後、トランジスタGu(Gw)はONする。その後、トランジスタGu(Gw)は、トランジスタGx(Gz)のONタイミングより所定時間前に、自動的にOFFする。また、カウントダウン中にアップ/ダウンタイマ1が設定値S1,S2,…のそれぞれの値になると、U相のトランジスタGx(Gz)には、マイクロコンピュータ1000から自動的にPWM制御信号が出力される。それにより、トランジスタGx(Gz)はONする。
なお、本実施の形態のU相のPWM制御信号が出力されている図6に示す期間においては、トランジスタGvは常にOFFしており、トランジスタGyは常にONしている。
図7に示すV相の設定値に基づいてV相コントロールがPWM信号を出力している期間においては、カウントアップ中にアップ/ダウンタイマ1が設定値…Sn-1,Snのそれぞれの値になると、V相のトランジスタGvおよびGyには、マイクロコンピュータ1000から自動的にPWM制御信号が出力され、トランジスタGyがOFFになった後、トランジスタGvはONする。その後、トランジスタGvは、トランジスタGyのONタイミングより所定時間前に、自動的にOFFする。また、カウントダウン中にアップ/ダウンタイマ1が設定値Sn-1,Snのそれぞれの値になると、V相のトランジスタGyには、マイクロコンピュータ1000から自動的にPWM制御信号が出力される。それにより、トランジスタGyはONする。
なお、本実施の形態のV相のPWM制御信号が出力されている図7に示す期間においては、トランジスタGu(Gw)は常にOFFしており、トランジスタGx(Gz)は常にONしている。
本実施の形態においては、アップ/ダウンタイマ1のそれぞれのレジスタの設定値は順次変化している。つまり、図6および図7におけるアップ/ダウンタイマ1の設定値S1,S2,…Sn-1およびSnは、電圧パルスの幅W1,W2…Wn-1,Wnの値と時間との関係を示すグラフがサイン波を描くように、順次変化する。
図6と図7とを比較すると分かるように、リニアモータMに流れる電流パルスが正と負で逆になっている。それらのこと以外はU相の制御とV相の制御とは全く同様である。なお、U相のPWM制御信号とV相のPWM制御信号とは、前述のように、交流波形の半周期ごとに、交互に出力されている。
したがって、本実施の形態においては、U相の電流パルスを出力しているタイミングにおいて、リニアモータMに正電圧が印加され、V相の電流パルスを出力しているタイミングにおいて、リニアモータMに負電圧が印加されるものとする。
また、1サイクルの前半においては、図8(a)および(b)に示すように、U相のトランジスタのみによって波形が形成される。1サイクルの後半においては、図8(a)および(c)に示すように、V相のトランジスタのみによって波形が形成され、1サイクルの全体では、図8(d)に示すように、前述のU相の波形とV相の波形とは、180°位相がずれた状態で、交互に出力される。
上記の図1に示す本実施の形態の交流電力生成装置においては、電源GとリニアモータMとの間において、トランジスタGuとトランジスタGwとが並列に接続され、かつ、リニアモータMと電源Gとの間において、トランジスタGxとトランジスタGzとが並列に接続されている。図9は、前述のことが分かり易く表現された図である。
一般に、抵抗値R1と抵抗値R2とが並列に接続されている場合においては、合成抵抗値は、R1×R2/(R1+R2)である。また、本実施の形態においては、トランジスタGu、Gx、Gv、Gy、Gw、およびGzには、全て同一の素子が用いられているため、各トランジスタのON抵抗値は全て同一である。
したがって、トランジスタGuとトランジスタGwとの合成ON抵抗値およびトランジスタGxとトランジスタGzとの合成ON抵抗値のそれぞれは、(1/2)×Rとなり、トランジスタGuのみまたはトランジスタGxのみのON抵抗値Rよりも小さい。
一般に、インバータ回路100の発熱量Qは、I2×Rによって表わされ、その大きさはトランジスタのON抵抗値Rの大きさに比例する。そのため、本実施の形態のインバータ回路100においては、従来のインバータ回路100よりも発熱量が小さくなっている。したがって、IPM200は、従来のインバータ回路に比較して、各トランジスタの発熱による悪影響を受け難い。また、本実施の形態の交流電力生成装置によれば、IPM200の内部構造を変更することなく、配線W、ZおよびKを設けるだけで、ON抵抗の低減が実現されている。つまり、本実施の形態の交流電力生成装置によれば、簡単かつ低コストの方法でON抵抗の低減が実現されている。
(実施の形態2)
次に、図10および図11を用いて、実施の形態2の交流電力生成装置を説明する。前述した実施の形態1の交流電力生成装置においては、図10に示すように、U相の正電圧の最大値の絶対値VupとV相の負電圧の最小値の絶対値Vvpとを比較すると、U相の正電圧の最大値の絶対値Vupの方がV相の負電圧の最小値の絶対値Vvpより大きくなっている。
次に、図10および図11を用いて、実施の形態2の交流電力生成装置を説明する。前述した実施の形態1の交流電力生成装置においては、図10に示すように、U相の正電圧の最大値の絶対値VupとV相の負電圧の最小値の絶対値Vvpとを比較すると、U相の正電圧の最大値の絶対値Vupの方がV相の負電圧の最小値の絶対値Vvpより大きくなっている。
その理由は、次のようなものである。実施の形態1の交流電力生成装置においては、図9に示すように、電源GとリニアモータMとの間において、トランジスタGuとトランジスタGwとが並列に接続され、かつ、トランジスタGxとトランジスタGzとが並列に接続されている。それにより、前述のように、U相の交流電流が流れる経路において、トランジスタGuおよびGwの合成抵抗値(R/2)がトランジスタGuのみの抵抗値(R)よりも小さくなっている。また、V相の交流電流が流れる経路において、トランジスタGxおよびGzの合成抵抗値(R/2)がトランジスタGxのみの抵抗値(R)よりも小さくなっている。
そのため、図10に示すように、トランジスタGuおよびGwに起因する電圧降下が、トランジスタGyに起因する電圧降下よりも小さくなっている。また、トランジスタGw、およびGzに起因する電圧降下がトランジスタGvに起因する電圧降下よりも小さくなっている。その結果、本実施の形態の交流電力生成装置では、図10に示すように、リニアモータMに印加されるU相の電圧の最大値の絶対値VupがリニアモータMに印加されるV相の電圧の最小値の絶対値Vvpよりも大きくなっている。つまり、図10に示す本実施の形態の交流電力生成装置の電圧波形は、図14に示す従来の交流電力生成装置の電圧波形に比べ、V相の電圧波形が、0V線へ近づくように移動している。なお、図10の左端部に記載された電圧値は、各トランジスタのON抵抗値が1Ωである場合における電圧値である。
前述のような実施の形態1の交流電力生成装置による不都合を解消するために、次のような制御を行なうことが望ましい。以下、本実施の形態のマイクロコンピュータ1000が行なうU相電圧調整処理を図11のフローチャートに基づき説明する。
S2において、現時点がリニアモータMにU相の電圧が出力されている期間内か否かが判別される。S2において、現時点がリニアモータMにU相の電圧が出力されている期間であると判定されれば、U相の電圧の出力値の大きさを調整して、U相の電圧の出力値とV相の電圧の出力値とがほぼ同一になるようにするために、次のS1〜S6の処理が実行される。つまり、S1〜S6の処理においては、V相の電圧波形とU相の電圧波形とがゼロクロスポイントに対して点対称になるように、PWM制御のU相のデューティ比(パルス幅)とV相のデューティ比とを調節する制御が実行される。さらに言い換えれば、V相の電圧波形とU相の電圧波形とが同じ形状かつ同じ大きさで向きが逆になるように、PWM制御のU相のデューティ比(パルス幅)とV相のデューティ比とを異ならせる制御が実行される。
S3においては、(Kuの値)=(前回のV相の電圧の最小値の絶対値Vvp/前回のU相の電圧の最大値の絶対値Vup)を算出する処理が実行される。次に、S4において、今回のU相の設定値={1000×[1−(Vmax×Ku)/200])}+5×(Vmax×Ku)×Sin(1.8×x)を算出する処理が実行される。その後、S5において、今回のU相の設定値とアップ/ダウンタイマ1とを用いて、U相の電圧パルスのそれぞれの幅が決定され、そのU相の各電圧パルスのそれぞれを出力するためのPWM制御信号が、順次、トランジスタGu、Gx、Gv、Gy、Gw、およびGzのそれぞれに出力される。次に、U相の電圧が測定され、U相の正電圧の最大値の絶対値VupがRAMに記憶される。
また、S2において、現時点がリニアモータMにV相の電圧が出力されている期間であると判定されれば、次のS7〜S9の処理が実行される。
S7において、今回のV相の設定値として、通常のU相の設定値が設定される。通常のU相の設定値とは、実施の形態1の式(3)によって算出されるU相の設定値である。その後、S8において、今回のV相の設定値とアップ/ダウンタイマ1とを用いて、V相の電圧パルスのそれぞれの幅が決定され、そのV相の各幅の電圧パルスのそれぞれを出力するための制御信号が、順次、トランジスタGu、Gx、Gv、Gy、Gw、およびGzのそれぞれに出力される。次に、V相の電圧が測定され、V相の負電圧の最小値の絶対値VvpがRAMに記憶される。
上記本実施の形態の交流電力生成装置によれば、S3〜S6の処理によって、U相の正電圧の最大値の絶対値VupとV相の負電圧の最小値の絶対値Vvpとがほぼ同一になる。したがって、U相の正電圧の最大値の絶対値VupとV相の負電圧の最小値の絶対値Vvpとが異なることによってリニアモータMに生じる不都合が解消される。
(実施の形態3)
実施の形態1の交流電力生成装置によってリニアモータに生じる不都合を解消するために、前述の実施の形態2のU相電圧調整処理の代わりに、本実施の形態において説明する次のようなU相電圧調整処理を行なってもよい。以下、本実施の形態のマイクロコンピュータが行なうU相電圧調整処理を図12を用いて説明する。
実施の形態1の交流電力生成装置によってリニアモータに生じる不都合を解消するために、前述の実施の形態2のU相電圧調整処理の代わりに、本実施の形態において説明する次のようなU相電圧調整処理を行なってもよい。以下、本実施の形態のマイクロコンピュータが行なうU相電圧調整処理を図12を用いて説明する。
本実施の形態のU相電圧調整処理においては、まず、S11において、現時点がリニアモータMにU相の電圧が出力されている期間内か否かが判別される。S11において、現時点がリニアモータMにU相の電圧が出力されている期間であると判定されれば、U相の電圧の出力値の大きさを調整して、U相の電圧の出力値とV相の電圧の出力値とがほぼ同一になるようにするために、次のS12〜S14の処理が実行される。
S12においては、予めRAMに記憶されている。U相を構成するトランジスタGyのON抵抗値Ron1とV相を構成するトランジスタGxおよびGzの合成ON抵抗値Ron2とが読み出される。また、RAMに記憶されている前回のU相の最大電流値Ion1と前回のV相の最大電流値Ion2とを読み出す。その後、ON抵抗によってU相を構成するトランジスタGyに生じる電位差Von1=Ron1×Ion1(図10参照)を算出する。また、合成ON抵抗によってV相を構成するトランジスタGxおよびGzに生じる電位差Von2=Ron2×Ion2(図10参照)を算出する。次に、Ku=(Von1−Von2)を算出する。
次に、S13において、今回のU相の設定値={1000×[1−(Vmax−Ku)/200]}+5×(Vmax−Ku)×Sin(1.8×x)を算出する処理が実行される。その後、S14において、今回のU相の設定値とアップ/ダウンタイマ1とを用いて、U相の電圧パルスのそれぞれの幅が決定され、そのU相の各幅の電圧パルスのそれぞれを出力するためのPWM制御信号が、順次、トランジスタGu、Gx、Gv、Gy、Gw、およびGzのそれぞれに出力される。
また、S11において、現時点がリニアモータMにV相の電圧が出力されている期間であると判定されれば、次のS17〜S18の処理が実行される。
S17において、今回のV相の設定値として、通常のV相の設定値が設定される。通常のV相の設定値とは、実施の形態1の式(4)によって算出されるV相の設定値である。その後、S18において、今回のV相の設定値とアップ/ダウンタイマ1とを用いて、V相の電圧パルスのそれぞれの幅がされ、そのV相の各電圧パルスのそれぞれを出力するための制御信号が、順次、トランジスタGu、Gx、Gv、Gy、Gw、およびGzのそれぞれに出力される。
また、S17およびS18の処理の後には、S15およびS16において、U相の電流値およびV相の電流値が測定され、U相の最大電流値Ion1およびV相の最大電流値Ion2がRAMに記憶される。
上記本実施の形態の交流電力生成装置によれば、S12〜S14の処理によって、U相の正電圧の最大値の絶対値とV相の負電圧の最小値の絶対値とがほぼ同一になる。したがって、U相の正電圧の最大値とV相の負電圧の最小値とが異なることによって生じる不都合が解消される。
なお、前述の実施の形態2および3に示されたフローチャートに基づく制御は、あくまでも一実施例であり、U相の電圧の出力値とV相の電圧の出力値とがほぼ同一になれば、つまり、V相の電圧波形とU相の電圧波形とがゼロクロスポイントに対して点対称になるように、PWM制御のV相デューティ比とU相のデューティ比(パルス幅)を調節する制御が実行されれば、さらに言い換えれば、V相の電圧波形とU相の電圧波形とが同じ形状かつ同じ大きさで向きが逆になるように、U相とV相とでPWM制御のデューティ比を異ならせる制御が行なわれるのであれば、本発明に適用される制御は、前述の実施の形態2および3に示された制御に限定されない。
(実施の形態4)
上記実施の形態2および3の交流電力生成装置が用いられれば、より効果的な使用が可能となるスターリング冷凍機を以下説明する。
上記実施の形態2および3の交流電力生成装置が用いられれば、より効果的な使用が可能となるスターリング冷凍機を以下説明する。
なお、スターリング冷凍機においては、後述するように、リニアモータによってピストンが往復運動し、それにより、ディスプレーサが往復運動する。また、ピストンおよびディスプレーサのそれぞれは、その一端がバネに固定されている。したがって、リニアモータMに印加される交流電圧の正側の振幅と負側の振幅とがほぼ等しくなければ、ピストンの振幅の中心位置がずれてしまう。ピストンの中心位置がずれるとスターリング冷凍機が振動するなどの問題が発生する。
実施の形態2または3の交流電力生成装置を用いれば、リニアモータに印加される交流電圧の波形の正側の振幅と負側の振幅とを必ずほぼ同一にすることができる。そのため、実施の形態2および3の交流電力生成装置は、スターリング冷凍機40の制御において非常に適したものである。
以下、図に基づいて、本実施の形態のスターリング冷凍機を説明する。
図13は、実施の形態のスターリング冷凍機40を示す断面図である。スターリング冷凍機40においては、2つの部分で構成されている円筒形状のシリンダ3内に、円柱形のピストン1およびディスプレーサ2が嵌め込まれている。ピストン1とディスプレーサ2とは、圧縮空間9を介して設けられ、共通の駆動軸として軸Yを有している。
ディスプレーサ2の先端側に膨張空間10が形成されている。圧縮空間9と膨張空間10とはヘリウム等の作動媒体が流通する媒体流通路11を介して連通している。媒体流通路11内には、再生器12が設けられている。再生器12は、作動媒体の熱を蓄積するとともに、蓄積した熱を作動媒体に供給する。シリンダ3の略中間には鍔部(フランジ)3aが設けられている。鍔部3aにはドーム状の耐圧容器4が取り付けられることによって密閉されたバウンス空間(背面空間)8が形成されている。
ピストン1は後端側で支持バネ5と一体化されている。ディスプレーサ2はピストン1の中心孔1aを貫通するロッド2aを介して支持バネ6と一体化されている。支持バネ5と支持バネ6とはボルトおよびナット22により連結されている。後述するように、ピストン1が往復運動すると、ディスプレーサ2は、ピストン1とディスプレーサ2との間に生じる慣性力によって、ピストン1に対して所定の位相差を有する状態で往復運動を行な
う。
う。
バウンス空間8内のシリンダ3の外側には内側ヨーク18が嵌め込まれている。内側ヨーク18には隙間19を介して外側ヨーク17が対向している。外側ヨーク17の内側には駆動用コイル16が嵌め込まれている。隙間19には環状の永久磁石15が移動可能に設けられている。永久磁石15はカップ状のスリーブ14を介してピストン1と一体化されている。内側ヨーク18、外側ヨーク17、駆動用コイル16、および永久磁石15によって、ピストン1を軸Yに沿って移動させるリニアモータ13(M)が構成されている。
駆動用コイル16には、リード線20および21が接続されている。リード線20および21は、耐圧容器4の壁面を貫通し、交流電力生成装置のIPM200に接続されている。交流電力生成装置のIPM200によってリニアモータ13(M)に駆動電力が供給される。
上記構成のスターリング冷凍機40は、リニアモータ13(M)によってピストン1が往復運動すると、ピストン1に対して所定の位相差を有する状態でディスプレーサ2が往復運動する。これにより、圧縮空間9と膨張空間10との間を作動媒体が移動する。その結果、逆スターリングサイクルが形成される。
上述の本実施の形態のスターリング冷凍機40は、交流電力生成装置のIPM200によって所定の交流波形の駆動電圧がリニアモータ13(M)に印加されると、ピストン1がその所定の交流波形の駆動電圧に対応した周期およびストロークで往復運動を行なう。したがって、リニアモータ13に印加される駆動電圧を制御することにより、ピストン1の往復運動の周期およびストロークを制御することが可能である。
次に、上記本実施の形態のフリーピストン型スターリング冷凍機の動作原理をより詳細に説明する。
ピストン1は、リニアモータ13により駆動される。ピストン1は、支持バネ5に弾性的に支持されている。そのため、ピストン1は、その位置と時間との関係が正弦波を描くように運動する。
また、ピストン1の動きにより、圧縮空間9内の作動ガスは、その圧力と時間との関係が正弦波を描くように運動する。圧縮空間9内で圧縮された作動ガスは、まず、放熱用熱交換部としての圧縮空間9から熱を放出する。次に、圧縮された作動ガスは、ディスプレーサ2の周囲に設けられた再生器12で冷却される。その後、圧縮された作動ガスは、再生器12から吸熱用熱交換部としての膨張空間5へ流入する。
膨張空間5の作動ガスは、ディスプレーサ2の動きにより膨張する。膨張した作動ガスは、その温度が低下する。膨張空間5内の作動ガスは、その圧力と時間との関係が正弦波を描くように運動する。膨張空間5内の作動ガスの圧力と時間との関係を示す正弦波は、圧縮空間9内の作動ガスの圧力と時間との関係を示す正弦波に対して、所定の位相差を有する波形であるが、同じ周期で変化する波形である。すなわちディスプレーサ2はピストン1に対して所定の位相差を有する状態で往復運動する。
膨張空間5における冷凍能力は、ディスプレーサ2の往復運動によって生じる膨張空間
10内の作動ガスの圧力の変動の度合いによって決定される。また、膨張空間10の圧力は、ピストン1の位相とディスプレーサ2の位相との変化、すなわち膨張空間10の圧力と圧縮空間9の圧力との差によって生じるディスプレーサ2とピストン1との相対的な位置の変化によって変動する。
10内の作動ガスの圧力の変動の度合いによって決定される。また、膨張空間10の圧力は、ピストン1の位相とディスプレーサ2の位相との変化、すなわち膨張空間10の圧力と圧縮空間9の圧力との差によって生じるディスプレーサ2とピストン1との相対的な位置の変化によって変動する。
ディスプレーサ2とピストン1との相対的な位置関係は、ディスプレーサ2の質量、支持バネ6のバネ定数およびピストン1の周波数により決定される。また、ディスプレーサ2の質量および支持バネ6のバネ定数は、設計時に決定されるものである。
マイクロコンピュータ1000からインバータ回路100へ出力されるPWM制御信号は、デジタル信号すなわちパルス波形である。このパルス波形は、インバータ回路100においてアナログ信号すなわち正弦波に変換される。この正弦波の周波数が、スターリング冷凍機40のピストン1の周波数になる。
なお、デジタル信号をアナログ信号に変換するときには、上述したようにPWMが用いられる。つまり、マイクロコンピュータ100から順次出力される複数のパルスは、その幅が、小さいものから大きなものへと除々に変化し、ピークの幅になった後、除々に小さなものへと戻っていくように構成されている。それにより、交流波形が生成される。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
40 スターリング冷凍機、100 インバータ回路、200 IPM、1000 マイクロコンピュータ。
Claims (3)
- 三相交流電力を生成するための三相用IPM(Inteligent Power Module)と該三相用IPMを制御するマイクロコンピュータとを用いて、直流電力を単相交流電力へ変換する交流電力生成装置であって、
前記三相用IPMは、
互いに直列に接続された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを含む第1列と、
前記第1列に並列に接続されているとともに、互いに直列に接続された第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とを含む第2列と、
前記第1列に並列に接続されているとともに、互いに直列に接続された第5スイッチング素子と第6スイッチング素子とを含む第3列と、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との間のノードに接続された第1出力端子と、
前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間のノードに接続された第2出力端子と、
前記第5スイッチング素子と前記第6スイッチング素子との間のノードに接続された第3出力端子とを備え、
前記第1出力端子と前記第3出力端子とが接続されており、
前記第1列のスイッチング素子と前記第3列のスイッチング素子とは、同期してON/OFFするように構成されている、交流電力生成装置。 - 請求項1に記載の交流電力生成装置と前記交流電力が供給されるコイルとを有し、該コイルの周囲に生じる磁力を用いるリニアモータであって、
前記マイクロコンピュータが、前記コイルに印加される正電圧の最大値の絶対値と負電圧の最小値の絶対値との差が小さくなるように、前記第1列、前記第2列、および前記第3列を構成する6つのスイッチング素子のON/OFFの期間を調整する手段をさらに備えた、リニアモータ。 - 請求項2に記載のリニアモータと、
前記リニアモータによって往復運動するピストンと、
前記ピストンの往復運動に起因する圧力変動によって往復運動するディスプレーサとを備えた、スターリング冷凍機。
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Legal Events
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